夏井先生のプロフィール
夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。
1月の審査結果発表
兼題「風花」
「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。
母曰く風花が誕生花らし
さとけん
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夏井いつき先生より
「風花」とは、晴れている空に降ってくる雪片です。逆の言い方をすると、風花という季語には、真っ青な空が内包されているのです。風花が舞う日はかなり冷えます。生の祝福として、風花は冷たく美しく降ってくる。なんと素敵な日に生まれたのでしょう。
「風花」を「誕生花」として生まれたきたのは、母自身でしょうか。母が、成長した我が子に語っているのでしょうか。あなたが生まれた日は風花が舞っていてね、空が痛いほど青かったわ、と。風花を見ると「母曰く」と思い出す。小さなドラマがそこにあります。
「風花」という美しい言葉を、誕生花として愛でる。その心持ちそのものが詩であるよ、と感じ入った作品です。
みちのくの風花硬きままに消ゆ
霞山旅
「みちのく」ともなれば「風花」の背後の空もひときわ深いのでしょう。冷気も募るのでしょう。ふと手に取ったか、衣服にとまったか、「風花」は「硬きまま」頑なな冷気に消えていくのです。
風花や土地神様を口寄せす
北野きのこ
「口寄せ」とは、霊を己に憑依させて霊の代わりに語る術。「風花」がしきりに降るのは、「土地神様」が何かを伝えたいからだ、と。そのお告げは吉か凶か。「風花」の空はますます青く深く。
風花へ嘶く空のみづみづし
ほろろ。
「風花へ」向かって嘶いているのは馬でしょうか、誰かの精神でしょうか、禍々しいまでの青空でしょうか。「空」そのものを「みづみづし」と感じさせるのが「風花」の美しさでもあります。
風花の触れたるところから痛い
クラウド坂の上
「風花」が触れたからといって、本当に痛みがあるわけではないのです。が、作者の心には「風花」のひかりが眩しくて痛いのです。「風花」とその背後の青空が美しければ美しいだけ、痛いのです。
風花をみんなで見てる相撲部屋
古賀
なんかいいな、「相撲部屋」のお相撲取りの皆さんが稽古を中断して、「風花」を見てるなんて。みんな裸でまわしを締めてて、「風花」の空は青くて、うっとり見上げてて、ね、なんかいいよね。
風花す舌先をトローチの穴北野きのこ
モヒカンの配るティッシュや風花来北野きのこ
出走馬嘶きたてがみに風花古賀
風花や真昼の月の削られて古賀
風花をシャーレに入れて育てけりクラウド坂の上
風花やコルベ神父の丸眼鏡クラウド坂の上
風花や眼鏡に残るなゐの疵霞山旅
風花の同郷として出羽の酒霞山旅
風花のひとつ挟みぬシロのお手さとけん
かざはなは風のをさなき日をえらぶさとけん
風花でもなければ見上げない空うさぎまんじゅう
千丁ってこんなに広い風花すうさぎまんじゅう
風花や土地神様へ祝い酒いさな歌鈴
青空を触れゐる心地風花すいさな歌鈴
風花を掌の温もりに瞬殺すいなだはまち
風花やだうりで母のしづかなるいなだはまち
ピッコロのぴろぴろぴぴぴ風花すM・李子
風花の秘色色してとけにけりM・李子
風花を吸うて心臓のみづ音小池令香
風花のしづか長崎マリア像小池令香
風花を風花のままつかみけり常幸龍BCAD
風花や海は淋しい夜でせう常幸龍BCAD
火の色の東京駅や風花す多々良海月
風花や柔らかに跳ぶ調教馬多々良海月
風花の触れて水面のひびかざるほろろ。
調律の指はきよらか風花すほろろ。
爪先の風花にきづくまで泣け潤目の鰯
風花や怒声の止みてまた怒声潤目の鰯
暇つぶしみたいな恋だ風花だ倉嶋志乃
風花と同じはやさの独り言倉嶋志乃
風花や鬼の架けたるかづら橋石塚彩楓
風花や錆の浮きたる蔵の鍵石塚彩楓
風花や自動シャッター軋む音青い月
風花や動物実験供養塔青い月
風花や次は鎌倉高校前蒼空蒼子
風花やこの道空に行けそうな蒼空蒼子
風花や青空三番地の瓦解青田奈央
風花を白きノートに埋葬す青田奈央
風花やバーテンダーと話し込む赤馬福助
ぼくひとり風花に紛れて消えた赤馬福助
中三の苛立ち風花へキック朝月沙都子
ヒンメリのモビールに風花を飼ふ朝月沙都子
風花や上を向きたき風見鶏足立智美
風花やのどでほどけるこんぶだし足立智美
風花と遊ぶや父の鉋屑あたなごっち
風花や龍の骸の香を連れてあたなごっち
風花の茫と逆まく老樹あり綾竹あんどれ
風花や言の葉すでに逃げてをり綾竹あんどれ
「かざはな」の音美しき歩の緩むありいかな
風花の似合う形見のテーラードありいかな
風花や髭の神父のベレー帽アロイジオ
風花はタマゴボーロの香りしてアロイジオ
風花や幟はためくたこ焼き屋安春
風花や仔馬の睫毛長く伸ぶ安春
風花に眼窩のにごり浚ひをり飯村祐知子
風花を切子グラスに閉ぢ込めん飯村祐知子
馬車道へ風花ミルクティーに膜いかちゃん
風花は雪のつもりのあたたかさいかちゃん
風花やポンポン山が不動点池内ときこ
風花す埴輪の口は丸い穴池内ときこ
掌に風花ライオンは不在イサク
風花す狗の骸は匂ひけるイサク
鳥辺野の北へ風花散りにけり石井一草
眼に触れたのは風花であつたらう石井一草
風花や乳歯へ繋ぐ糸の張り石垣
風花の濡らす鯨骨鳥居の罅石垣
風花や名もなき人にある名前板柿せっか
鳴き交はすこゑは風花にはふれず板柿せっか
積もらむとする風花の極みかないたまきし
風花やとうに忘れた子守唄いたまきし
風花や弔いの火の透き通る市川りす
風花よ今年は金平糖になあれ市川りす
風花の睦ぶ光の稚し斎乃雪
生まれ来る子はさくらいろ風花す斎乃雪
風花と人の裏腹ひらりひら伊藤あんこ
風花よ疫禍攫いて弥陀堂へ伊藤あんこ
風花のひかりて消ゆる柩の上伊藤順女
風花や富士山麓に母の墓伊藤順女
豆腐屋へ風花入り消えにけり糸川ラッコ
風花や猫の尾骨は星形す糸川ラッコ
風花や鏡に鬼を見たやうな伊奈川富真乃
風花のひかりや黒き牛の膚伊奈川富真乃
一度だけ回すワイパー風花す伊予吟会宵嵐
風花や声援に顔そむけをり伊予吟会宵嵐
風花やこれからもらふ母子手帳ウィヤイ未樹
風花をつれて回転扉かなウィヤイ未樹
風花は箱根の関を越えにけり海口竿富
いろは坂くだる風花すれ違い海口竿富
風花や厚きSPIの本浦文乃
擦り減った靴風花の大通り浦文乃
透明な造影剤や風花す浦野紗知
風花や生前葬のあいあいと浦野紗知
風花や明日私は上京す海老海老
風花やピアニカをまた持ち替へて海老海老
風花や癌の告知はせぬままに大小田忍
風花や綺麗な青の点滴台大小田忍
風花の街は秘色となりにけり大庭慈温
風花へ母の手のひら子の手のひら大庭慈温
戻らぬと決めし故郷よ風花よ可笑式
風花のゆくへやうやう麻酔さめ可笑式
ぽつくりのとぶらひはかざはなのなか小川天鵲
風花や折檻に泣く納屋の裏小川天鵲
風花や四年過ごした街を出るおさむ
神の間のホコリはらはらと風花おさむ
風花や投げ銭入へ二三片カオス
風花や良い案配に露天風呂カオス
風花や函館湾へ下る坂影山らてん
風花とピアノのためのアンダンテ影山らてん
風花の長崎口笛のイマジン樫の木
悲しみの剥がれし鱗風花は樫の木
風花やべろべろといふ能登料理加世堂魯幸
風花や御陣乗太鼓幽かなり加世堂魯幸
まな板に飛び散る鱗風花すかつたろー。
風花や今日の絵本はこれにするかつたろー。
くちびるを噛む癖同じ風花す花伝
先生の古きオルガン風花す花伝
祇王寺は小さき庵風花す門未知子
寒立馬の仔のギャロップや風花す門未知子
風花の神事の如き別れ哉叶黄不動
風花のきらきら高し飛鳥佛叶黄不動
北口を風花抜けて西口へかむろ坂喜奈子
風花の看板A型も不足かむろ坂喜奈子
風花や日向ぼこめく営業車岩のじ
風花や肋骨二本折れてをり岩のじ
風花の青き轍のありにけり喜祝音
漣に残る光は風花か喜祝音
風花や東京からの転校生キートスばんじょうし
風花や図書館はほうとざわめくキートスばんじょうし
風花をズル休みした顔で受け北大路京介
風花の路地や鼻歌はブルース北大路京介
風花やたたむ老舗の晴々と北藤詩旦
風花や山は寝返り打つたらし北藤詩旦
吹越へスローカーブを、もう一球北村崇雄
マレツトにほつれマリンバに風花北村崇雄
風花に触れたよ恍惚の右手きなこもち
風花や重油の匂ふ操舵室きなこもち
喉の奥風花落ちて痣となる祺埜箕來
風花や止まった時間指す時計祺埜箕來
記憶の端っこに風花の終わり城内幸江
風花に話の続き盗られをり城内幸江
屋上のやられっぷりへ風花す木江
風花やあやふく泣かぬとこでした木江
風花や山に分け入る剣と杖京野秋水
風花におこぼこぽこぽ巽橋京野秋水
愛隣の名は麗し哀し風花の街清島久門
風花やホストクラブの灯の煌々清島久門
風花やプレパラートに十億体ギル
たいようはにぎれるおんど風花やギル
ぽしぽしと風花生まる音階にぐ
輪唱の果ての風花くわくわくわぐ
風花や記憶は空にとぢこめて久我恒子
風花やうつかりうそをつく子にも久我恒子
風花に温泉卵の匂ひかなぐずみ
風花の湿りイスラエルの砂漠ぐずみ
五線譜へ風花の音の足されゆくぐでたまご
風花のきてアルバムの一曲目ぐでたまご
風花やイブの吐息のかけらなるくま鶉
風花や隻眼の黒猫ゐたるくま鶉
風花が褒美のやうに手の平へ倉岡富士子
天界は宴の様子風花す倉岡富士子
風花やロボット犬を抱きよせる倉木葉いわう
風花や貴方の音はレの♯倉木葉いわう
風花やこつりこつりと喉仏薫夏
風花や骨まで美しき人かへる薫夏
風花やキシリトールガムきりりけーい〇
偏頭痛予知風花の淡き影けーい〇
判子押すための出社や風花すケレン味太郎
風花をケーキ出てくるマサん家へケレン味太郎
風花きらきら水晶体をあふれさう柝の音
風花や我らたちまち船人に柝の音
風花や鋤焼き鍋を買いに行く小笹いのり
園バス降りて風花にアヴェマリア小笹いのり
風花や午後の団地の広報車小嶋芦舟
風花や揺るる埠頭の検疫艇小嶋芦舟
風花やひとめあはずに死なれうかこま
風花日和楽しむために窓を拭くこま
風花や戦車は眠る駐屯地小山晃
吾の手にも風花消ゆる血がかよふ小山晃
風花の調オルゴールの調今野淳風
風花やみどりごの眼にみづの色今野淳風
風花やゴールテープを持つ係斉藤立夏
平日のきりんのびのび風花す斉藤立夏
風花や尋ね人は保護されました早乙女龍千代
風花や捨てるつもりのリカちゃん早乙女龍千代
窓の青切る風花の粒速し榊昭広
眼病の目に風花を吹き入れる榊昭広
金子みすずに風花の栞かなさだとみゆみこ
風花をはらうコテツの尻尾かなさだとみゆみこ
遺稿集風花に乗り我が下へ佐藤弘
きらきらと風花遊ぶ仁王像佐藤弘
風花や薬問屋の喫煙所佐藤志祐
風花や留守電の声うつくしき佐藤志祐
風花やどかと磐梯照りにけり佐藤儒艮
天窓を風花あおぞらの剥落佐藤儒艮
その視線なほ透明に風花へさむしん
雑踏へかろき涙のごと風花さむしん
胃に腫瘍あと何云はれたか風花沢拓庵
風花へシヅカニワラフモノデアリタイ沢拓庵
痩せ犬やチェルノブイリに風花す澤村DAZZA
なけなしのショートホープや風花す澤村DAZZA
風花やローム層にてサメ眠る紫瑛
風花やパズルのすき間埋めてをり紫瑛
風花や日ごと欠片になる記憶茂る
生まれたての皮膚きれい風花す茂る
風花や駅までの坂おんな坂篠雪
風花や昼の時報で止む工事篠雪
らんぶらんぶ風花らんぶスクランブルしぼりはf22
風花やふつふつ踊るダージリンしぼりはf22
雲動き風花くるん胸どくん島田あんず
少年に草の匂いして風花す島田あんず
風花やベレーの耳の透き通る嶋田奈緒
風花をくるくる回るケバブかな嶋田奈緒
地の芯に震ゑの微か風花す清水三雲
風花や磐戸ひらきて地に光清水三雲
風花よ父の遺品は捨て去りし下丼月光
風花のベンチ中年と中坊下丼月光
風花や這いつくばって道に草じゃすみん
風花の空よりからっぽのリフトじゃすみん
風花や鉄人貌のラッセル車斜楽
風花の舞ひて醪の匂ひけり斜楽
みづうみはにびいろかざはなすきとほるしゃれこうべの妻
淡墨を空へ刷くかに風花のしゎれこうべの妻
風花や空柔らかくほころびてシュリ
風花の奏づる今を手の平にシュリ
風花や高校生の人見知り翔龍
風花を掬うレシート長きこと翔龍
風花や修道院のバター買ふジョビジョバ
風花にひらく拳の生命線ジョビジョバ
風花と廻る木馬の眼は白い白プロキオン
かざはなはみつちやんのいふでんしよばと.白プロキオン
天敵の無き青空や風花す白よだか
風花と異国の妻を迎えけり白よだか
海知らぬペンギンの列風花す水夢
風花や山ふところに芋畑水夢
風花零れ青に焼ける網膜鈴木由紀子
よしきみが最長不倒の風花だ鈴木由紀子
風花へ骨の匂いのたちにけり鈴ノ樹
風花や槍投げの槍浜に立つ鈴ノ樹
風花や売切れランプ毒っぽい主藤充子
風花や素焼きの壺の肌かなし主藤充子
風花の悲しくならぬ日は稀ですりいぴい
風花よ終の棲み家の小ささよすりいぴい
風花に無音で吸われゆくセスナ瀬尾ありさ
風花の鑑賞S席にいるよ瀬尾ありさ
風花や化石のやうな遊具跡せり坊
風花や調律二件予約ありせり坊
風花や周回遅れのミニマラソン蒼奏
風花や空の底より浮かびたり蒼奏
風花や十八枚の異動辞令そうり
風花に第二楽章無かりけりそうり
風花やかかりつけ医のベンツ黒染井つぐみ
風花や澄みて固まる吹きガラス染井つぐみ
風花や足のギブスの大げさな宙のふう
風花は空の欠片や傷いたい宙のふう
駄弁りつつ走るマラソンに風花高尾里甫
風花や母の指すこし動いた高尾里甫
指さされても風花は傷付かぬ高田祥聖
ギター売るこれっぽっちの風花か高田祥聖
風花は人の言葉を知らぬなり鷹之朋輩
風花やみんなは上を向けもつと鷹之朋輩
風花や君のほつぺにあ、えくぼ高橋寅次
風花の間隙に風だけの空高橋寅次
風花を運ぶきれいな風が吹く髙橋なつ
風花の積もるつもりや髪の上髙橋なつ
縄跳びがまた風花をからめとる高橋無垢
ストリートピアノ風花とは音符高橋無垢
風に遅れてもう風花の来る頃よ滝川橋
風はチェロ風花舞へばピチカート滝川橋
風花や結い上げた髪乱すまじ谷本真理子
風花や浅間は今日も煙立ち谷本真理子
あとがきのやうに風花まひにけり玉木たまね
風花や朝日に晒す鬼の首玉木たまね
風花は軽し神戸はまだ昏し玉庭マサアキ
風花てふ雲のたましひゐる麓玉庭マサアキ
風花やバター艶めく修道院玉響雷子
風花よ兄というもの欲しかった玉響雷子
風花に神の埃の匂ひして田村利平
意に反しでかい風花ではないか田村利平
風花や今日でラジオは最終回丹波らる
風花やここは悪党討死の地丹波らる
風花や祈りて死者と隣合ふちゃうりん
ストリートピアノ風花を追ふ光ちゃうりん
風花や冷めゆく水の匂ひ立つツカビッチ
吾子笑いけり風花の奈落にてツカビッチ
風花やチェルノブイリはまだ冷えぬテツコ
風花やシベリアの地に埋めし友テツコ
会えぬ日に風花なんて泣けてくる天陽ゆう
象の鼻のの字のの字と風花す天陽ゆう
摩天楼風花摘める高さまで東京堕天使
風花やガラスドームの水族館東京堕天使
風花を追ふ国境を越へてしまふとかき星
風花や空のどこかに死者の国とかき星
無人駅風花の舞う音を聴く徳庵
風花や静かに心は死なせとく徳庵
三年目の病室から見る風花独星
風花やアフリカ象の尿の湯気独星
風花や緑内障の進みをり毒林檎
風花や頬さす風の土くさき毒林檎
らせんのほどけきて風花のきららとしなり
グラシン紙の乾き風花のらららとしなり
箸墓の矩を風花閲しつつ戸部紅屑
姉上のことが訊きたし風花来戸部紅屑
風花や寂しき耳の拾ふ鳥トマト使いめりるりら
風花や詩人の肺は花の色トマト使いめりるりら
風花のメトロノームの尻尾かな富野香衣
風花よ君と僕とは不等式富野香衣
密語めく風花に聴く喃語かな内藤羊皐
風花やひと無き化石販売店内藤羊皐
河馬の潜むまろやかな水風花降る中岡秀次
風花の空こそ青のただならね中岡秀次
風花や整形外科の帰り路中瀬すみっこ
風花や打ち明けぬまゝ五十年中瀬すみっこ
何度目の輪廻か今度は風花かなかむら凧人
風花や毛筆で書くさようならなかむら凧人
舌戦のまた風花に決着す新蕎麦句会・凪太
風花の今日より新しい薬新蕎麦句会・凪太
風花や任地の寮築四十年夏湖乃
風花を巻き込み二重飛び得意夏湖乃
風花やこの公園に象もゐた夏雨ちや
あとからあとから風花の無遠慮夏雨ちや
風花やサイロに水が来た標七瀬ゆきこ
榛名には巨人がをつて風花す七瀬ゆきこ
風花や阿武隈越えて常磐へなんじゃもんじゃ
風花や「村の歴史」脱稿すなんじゃもんじゃ
風花や墓標に風の文字ひとつにゃん
風花の2番ホームにきつね蕎麦にゃん
風花のひとひらありて噤む手話仁和田永
風花や指先の痛むほど寂し仁和田永
風花のきらきら胎の子の鼓動琲朴
子に借りしサドル高きや風花へ琲朴
風花や酸素ボンベを担ぐ母はぐれ杤餅
少年B「おはよう」風花の中をはぐれ杤餅
風花や国を離るる貨物船馬祥
風花や衛兵つゆも動かざる馬祥
風花や再発の影晴るる日をはなあかり
風花やかすかに湿る千羽鶴はなあかり
風花や犬の肉球軟膏塗布花岡淑子
風花や手作りジャムの沸々と花岡淑子
風花の御陵発ちて来にけらし花南天
風花の影持てぬまま消えにけり花南天
風花を式神に渦暴き出す花屋英利
生れし子よ風花さえも汚れなり花屋英利
風花や光に熟るるカルデラ湖早田駒斗
風花やカスタネットの音ひらく早田駒斗
風花や鬼の棲むてふ村へ嫁す播磨陽子
この天のどこ綻びて風花は播磨陽子
換気の窓から入る風花脆し菱田芋天
娘が部屋に籠りしまま風花菱田芋天
空振りをして風花を打ちにけり比々き
孤独にも引力ありて風花す比々き
風花の頼りなきまでうすみどり平本魚水
怒りゆつくり溶けゆく風花はらはら平本魚水
風花の白褪せずして暮れゆけり風慈音
風花の一片溶くる痛さかな風慈音
少年の風花の中素振りせり藤雪陽
風花に風花触れて爆ぜりけり藤雪陽
風花へスリーポイントシュートすぱん藤色葉菜
風花やホルンを満たす肺活量藤色葉菜
風花やあちらこちらに一茶句碑文女
風花や山門までの二百段文女
風花や濡れながら溢るる献花古瀬まさあき
あをぞらのあをの湧く地や風花す古瀬まさあき
木洩れ日は蜜のつめたさ風花す古田秀
荒川を過ぐる十秒風花す古田秀
風花へざばりペンギン上がり来るふるてい
舵切るや風花の窓開けたままふるてい
風花や空の鱗の剥がれゆく干しのいも子
風花や外輪山の青深し干しのいも子
病む友の風花を撃つ拳かな梵多
スタンドバー出て風花の歌舞伎町梵多
負けっぷりほめてくれるか風花よ凡々
風花や高倉健似の執刀医凡々
ファンファーレ降る誇らかな風花よまこ@いつき組広ブロ俳句部
風花は少し悩んで落ちてくるまこ@いつき組広ブロ俳句部
風花や砂場はまるで無人島まこちふる
風花や放置じてんしゃ鉄臭いまこちふる
風花や甥の望みし樹木葬雅喜
風花や男体山の襞深く雅喜
風花や明るい歌は聞き飽きたまんぷく
風花や嘗て厩の産科棟まんぷく
風花よそのまま風を噛んでしまえ三浦にゃじろう
風花とひかりの人とぶつかった三浦にゃじろう
風花や手ぶらで向かう彼の家澪つくし
風花や初めての角曲がりたる澪つくし
風花や太平洋へ飛び出せり三茶F
風花や『悪性です』のリフレイン三茶F
風花や忘れえぬ四人のヨウコ短夜の月
風花を切って芦毛の一着馬短夜の月
風花や珊瑚はぽつり息を吐く南方日午
風花や御所の向かひに裁判所南方日午
風花やガラスの檻のやうなビル港のパン屋
風花や素顔写さぬ家族写真港のパン屋
風花や螺子に少しの闇のあり南風の記憶
山なりのボール風花をリハビリ南風の記憶
風花やトランペットは硝子めくみやこわすれ
風花や除染袋の色しづかみやこわすれ
風花や指輪の痕の薄れたる宮武濱女
風花の沁みゆくやはらかな痛み宮武濱女
倒木はぶつ切りとなり風花宮部里美
風花や抱かせてもらふ子の乳の香宮部里美
風花や壬生の浪士の屯所跡眠兎
妣が呼ぶ風花墓で遊びけり眠兎
かすてらのざらめ噛む音風花す森佳月
風花や六角堂の六の角森佳月
失恋の呼吸器なぞる風花来もりさわ
風花の眠いの一つ二つをりもりさわ
風花は「記念日」にルビふるように森永青葉
風花へ吾子は寝たまま連れ出さる森永青葉
風花や銀のエンゼルあと二枚森山博士
風花に空磨かれて青の濃く森山博士
骨壷のひんやり風花のふわり山羊座の千賀子
風花や税務署経由父の墓山羊座の千賀子
窓に風花点滴はあと二時間八幡風花
風花やデパート前の托鉢僧八幡風花
風花や草履つっかけ外便所ヤヒロ
風花の碓氷峠へ連結音ヤヒロ
風花の息を聴く間もなかりけり山内彩月
かなたより鈴の音かなたより風花山内彩月
断りの返事すぐ来て風花す山田蹴人
風花や空の蒼さを差し出して山田蹴人
風花と踊ってみてもいいやんか結壱隆月
風花はどのスイッチで出てくるの結壱隆月
風花の町に素泊まり明日は発つ柚木みゆき
風花やワルツ三拍目は軽し柚木みゆき
風花や泣きたくないし笑えないゆすらご
隣りは更地に風花は右手にゆすらご
家畜運搬車の豚へ風花す横縞
風花や麻酔の効いたままの奥歯横縞
風花来る昭和の空のあをさからRUSTY=HISOKA
風花や乾びて黒き河童の手RUSTY=HISOKA
風花や私は何処に立てばよい楽花生
風花や三年生のいない朝楽花生
「風花」と四十五階からLINE瑠璃茉莉
てじなのやうね光から風花が瑠璃茉莉
風花に或る登山家の血の名残るんやみ
風花よ来い来い鈴の鳴る方へるんやみ
風花のさらさらヒヴァの町遠し渡邉桃蓮
風花やトルコランプの傷光る渡邉桃蓮
かざはなはひかりのたんさんてにとけるさくら(4才)
風花やリハビリ室の窓翳る麻場育子
喪の肩に囁くやうな風花よANGEL
風花ひとひら恐竜の化石へ愛燦燦
高く低く部活のホルン風花す青井晴空
風花の中に新たな星条旗青空若葉
風花や鞄一つの草枕蒼鳩薫
ゆたゆたと風花わたる近江かな赤松諦現
風花を祖母の瞳は映さない秋さやか
上の歯が抜けて風花ははらりあさきまほろ
風花や母のコートは藍の色あさぎいろ
風花や今日は一番好きな服あさぎ以呂波
風花や二人で聞いたボブディランあさぎけんいち
ワルツのごとく風花の濡らす頬淺野紫桜
傾国の頬に落ちるは風花か浅野俊也
風花や知らぬ人らと車押しあ須藤かをる
さやうならのきつかけとしてかざはなあずお
レクイエム風花の青に清し麻生恵澄
上京の娘に風花や卵焼きあそぼ葉
風花の五歳牝馬に星を打ち赤羽跳
風花や背なの子の睫に解けりsakuraa.
風花や人間ドック異常なし雨戸ゆらら
血の滲むカツトバン風花に濡る天野姫城
風花や移動図書館あおぞら号あまぶー
生きてゐる風花三片集めをりあみま
風花や坂の上なる夫の墓新多
風花や光秀の謎解けぬままあらら
風花や陰極まれる兆しとも蛙里
風花や鉄条網の向かうから有本仁政
風花やフルートに息漏れぬよう安
風花や母の卵焼きは甘し杏樹萌香
不意の風花鼠径部のツボを押す飯田淳子
狛犬の阿相ひとひらの風花猪狩ほうほ
風花や猫の額にとどまれりいくみっく
風花に汝消えたまいそ叫ぶ妹池田華族
風花やショパンの短いプレリュード石崎京子
ひかり来る風花と来るここに来る和泉明月子
風花に見上げて探す空の傷泉子
風花やあるかもしれぬ良い知らせ遺跡納期
スクラムは明治ボールや風花す池之端モルト
風花や朽ちた卒塔婆の泥ぬぐい一の矢はんぺいた
神馬疾く風花鼻に纏はせついづみのあ
風花がちらちら明日は美しい井出奈津美
風花やシャッター下ろす二年坂伊藤亜美子
兼好の双ヶ岡に風花す伊藤ひろし
風花やテンポイントの細き脚伊藤れい子
風花やチーズタルトの生地さくり井中ひよこ号
風花や越後の兄はいかならむいまいやすのり
風花を行く護送車に黒いカーテン妹のりこ
病窓の外は風花白湯を飲む入江幸子
風花けちらす特急は「ひのとり」彩人色
風花や祖父の黒目の白濁をいろどり五島
風花をまとひ黙祷波しづか色葉二穂
風花す遊女の墓はこのあたり岩木順
風花や式の終わりの家族写真上原淳子
風花はたぶんほんのり温かい宇佐美好子
合格の画面にぽつと風花や歌い鳥
風花や何度もマイク拭く係宇田建
洋館の噴水跡や風花す内田英樹
拡大連写採取したての風花内田誠美
風花や赤錆浮かぶ鉄の塔卯月かりん
風花やアンティゴネーの小さき墓うどまじゅ
風花や螺鈿の箱に埃積む海野碧
校庭の大縄跳びや風花すうめがさそう
風花や触れられぬ物ほど人は江藤すをん
グレゴリオ聖歌の道や風花す朶美子
風花やポルカに弾むおさげ髪えりいも
外つ国より風花つれて貨物便円
風花や若冲の象吠えてをりえんかず
風花や平塚亭に団子食ぶ近江菫花
信濃川滔々と風花溶け入るおうれん
風花やギターの音に少し揺れ大紀直家
風花舞う薄目開くマンドリル大熊猫
風花の街へ煙草火押し当てり大黒とむとむ
掌の風花舌でちとすくい大嶋メデ
風花や官庁街の日曜日大谷如水
風花や抗がん剤を終えし午後大槻税悦
風花やずっと鬼こぬ隠れんぼ大津美
風花や冷たきラメの髪飾りおおにし加賀
風花や漁船は鼓動のこし出ず大村真仙
風花や電話も鳴らず誰もこず岡れいこ
あやとりに風花ふたつ閉ぢこめし魚返みりん
国道の誘導員に風花すオカメインコ
青空の波紋のごとく風花す小川都
風花ぽわぽわ砲丸がどっすん荻原湧
二上りの根締めキリリと風花が奥ノ木蛍子
激辛カレー風花は顔を打つお銀
風花や鼻腔の奥をしんとさせおぐら徳
風花や御嶽山のああ無念おこそとの
風花や胎児しづかに回転すオサカナクッション
コンパスの軸揺らぐ午後の風花おざきさちよ
風花や粒の記憶はリューズ式大和田美信
朗読の窓に風花ジャズめけるおきいふ
風花や逆さ鳳凰堂揺らぐ小倉あんこ
風花や北より覗く天橋立小田龍聖
風花やボール追う子の桃の膝お天気娘
風花に揺れる産着の白眩し音のあ子
一番に風花見つけた一年生音人妙歌
風花へ思うがままに伸ぶリード小野睦
風花やリフトの尻に古新聞おぼろ月
風花を越えてドーベルマンの尻海音寺ジョー
風花やダイオウイカが漂着しかいぐりかいぐり
風花の記念写真のなかに在り甲斐紫雲
風花の消えてなお濃し掌海瀬安紀子
風花は愛鷹山を栖とす香依蒼
遠いくにのニュースに風花を知るかえる
風花を指差す君しか見ていない篝
風花やひとえ瞼の磨崖仏風花まゆみ
風花のふわりと肩に温かし鹿嶌純子
風花や保護犬はうちの子になる風ヒカル
風花や笙の音色の降るが如花鳥風猫
ヘアドネーション軽やかに風花を克巳@夜のサングラス
風花やギターのアルペジオのごとかなで
風花のジムノペティより流れをりかぬまっこ
風花や三河屋さんの原付来かねつき走流
風花や関八州のど真ん中釜眞手打ち蕎麦
風花や船に乗る子の肩へ降る神or愛
風花や蒼空干魚の眼に溢れ神長誉夫
風花の陽に溶けざりき地に溶けゆ亀田荒太
風花に見えざる風を見つけたり亀田かつおぶし
慰めの風花少し呉れまいか亀山酔田
風花や仰臥する父無言なりかもめ
風花のフェリー乗り場のかしわ飯花紋
開店の幟一列風花す河原つばめ
風花や龍神さまへ一本道川村湖雪
出張し多分一度きりの風花川村ひろの
乗車する肩に風花だったもの閑々鶏
風花や蔵空にせし四代前邯鄲
風花や止む時には忘れている菊池洋勝
どよめいて馬券ひらひら風花す酒暮
風花や姉妹校から来た選手北野南瓜
四条大橋托鉢僧へ風花す木寺仙游
風花や赤ペンの音のみ聞こゆ木下桃白
外は風花麻酔さめ今帰路につく木村香津枝
風花を追って神社に詣でけり木村かわせみ
風花を陽に透かしてや万華鏡木村修芳
老犬の歩幅風花降る速さQ&A
風花やママレードの硬い蓋Qさん
風花や厄神さんの焼き餅屋楠田草堂
風花や軍事境界線の先久世有仁
人ちがひされ風花の時計台倉木はじめ
骨壺に母のぬくもり風花す句楽
風花や露天に浸かるうなじきれいクロまま
風花や時止まるごと温かきくんちんさま
風花やマークシートの黒目ずれ研知句詩@いつき組広ブロ俳句部
風花や山に貼り付くゲリラ基地公木正
風花や後10秒のロングパス小杉泰文
風花や春には壊す旧校舎来冬邦子
風花やこの空の詩はガラシヤ色木の実
風花と吾子三人のまはるまはるこぶこ
風花や再建不可を内見す駒草らんぷ
風花や群れて膨るる猿団子小鞠
風花や俎板に散る烏賊の墨GONZA
風花のターン白バイ機動隊今藤明
惜別のフロントガラスに風花西條晶夫
胸ぬちをちぎって吹けば風花に西條恭子
風花や予言のような受信音齋藤杏子
風花の空に満つるやかりもがり齋藤むつは
素面なば酒手にて風花降らし坂島魁文(回文俳句)
風花や空に影なき滑走路榊原ゆか
風花や三月後れの師の訃報坂まきか
風花や孫三ヶ月名はふうか相良まさと
風花や砂丘のはてに続く空咲弥あさ奏
風花や心のネジは逆戻りさくやこのはな
風花がほほにあたりて退職となる桜会
風花や拍子宜しき刀鍛冶佐藤恒治
風花が君を選んで着地したさこ
風花や余命数へず猫を飼ふ砂舟
風花や和紙に包みし祝い金紗智
風花や湯島の朝の風かおる佐藤花伎
風花に開口悔いの科白飲む佐藤美追
風花や研ぎ師来ている団地前さぶり
車窓より風花入りぬ召天日澤田郁子
風花や石の十字架静かなり山太狼
風花や独りランチはワンコインしー子
風花にスマホの滴拭う袖ジキシキ
風花や片胸なきことにも慣れ柴桜子
風花や屋上だけにある居場所洒落神戸
風花や故郷へ戻れと美しき文綉綉
風花や火鉢で作るカルメ焼きシュルツ
風花の馬のしっぽに払はれてじょいふるとしちゃん
風花やきょうのホットはやや苦し笙女
風花や父の磁石と行く蒙古真繍
風花や障害越ゆる老ばん馬新濃健
風花を光としたる新婦かなしんぷる
不意の風花さて廻り道の帰路スイリン朝寝
跪く尼僧風花舞ひたまふすがりとおる
風花やあす身にまとふ色探しすぎやん
風花に心の浮きし頃遠く鈴木直人
「風花ね」回覧板の立ち話鈴木麗門
打たせ湯にカピバラわんさ風花す清白真冬
風花をめがねの兄妹食べているすみれ(9才)
六年の校歌風花より聞こゆ淑伶
風花や神様も泣くことがあり晴好雨独
陶片に散る風花やピアニシモせいしゅう
名画座の看板描きや風花す瀬尾白果
十円の尽きる電話器風花す世良日守
就任の式風花に靡く旗蒼求
約束を結び直すネバーランドに風花颯萬
風花やポケット奥に万歩計曽我部郁
もう一度風花もう一度未来曽我真理子
風花の御巣鷹山の慰霊塔曽根新五郎
風花や心にぽとり落ちる恋そまり
水晶を二、三度振れば風花来空野千鶴
風花や空撫でて軋むワイパー橙と紫
風花はジムノペディの第1番高石たく
風花や踏んで叩いて麺を打つ鷹野みどり
風花や意外と重し吹いてみる卓女
風花や煙となりて母はいま多喰身・デラックス
風花見折鶴の羽伸ばしけり竹内応琳
完走は間近風花の声援竹八郎
風花の静寂を蒼きジンベイザメ多事
風花や廃炉見上げる防護服たじま
風花や伝言板に「待ちました」立葵
風花やピアス六つめうすいあお舘野まひろ
風花やぐしゃぐしゃの吾と遭遇す田中勲
吹越や野ぼとけ石に還りさう谷川下沖
風花や海へ溶けゆく空の青たむらせつこ
愛犬の匂い風花の命日珍風伊潤
風花や白髪染めるのもう止める月々
風花や裏の翁はもとほりぬ辻内美枝子
風花や甘く冷たき稲荷寿司辻が花
風花の水脈かき消して明かし空対馬清波
風花や週に一度の出勤日つちのこ
風花すネパールカレー屋の小窓露草うづら
風花や学校行くぞいちにのさんツユマメ末っ子@9歳
風花や立ち去り難き駅ホーム鉄猫
風花の暫しめがねに停まりけりドイツばば
風花を瘡蓋として胸に受くdoいつもcoいつも
風花や嘘の上手な京男土橋胡翔
風花や小屋に旧型ポン菓子機トポル
風花と遊ぶ子供の舌つ先斗三木童
風花と手紙の嘘と歩道橋富山の露玉
風花や天井画めく遠江とりこ
風花やにじむ宛先「不明」印中島葉月
傘はいらない風花だもの夫の言う中嶋京子
県境の活火山より風花来中島圭子
風花を掴んでくれとばかりいふ仲田蓮謙
とるるるる風花は坂るるるると中村こゆき
風花やひねもす客の来ない軒⑦パパ@いつき組広ブロ俳句部
風花やビルの谷間は立方体名前のあるネコ
風花に呼ばれて叔母の三回忌楢山孝明
風花や「まだ生きたい」と意向書来西川由野
劇場出てうつつに戻りゆく風花西原みどり
風花の滲んだ宛名投函す尼島里志
金沢は風花の町古き町西村小市
風花や殺処分待つ犬の息二重格子
風花をひとつ手のひらとおのうち沼沢さとみ
風花やみんな寝ている学級会涅槃girl
風花や蛇姫様の墓一基根本葉音
風花や早朝5時のインスリンねもとぽてと
風花や明け方に聴く子守歌野井みこ
風花や路面電車はドイツ製野木編
風花や岩の底なる御神水のど飴
風花や白髪結って対局へののr
風花や関西弁を聞く渋谷野ばら
くす玉の割れたるやうに風花す登りびと
風花や定休日週二、三日のりのみや
風花をくすぐったがる蒼い空はいびす
風花やふつと忘るるパスワード長谷川小春
触れあはぬ風花風を待ちにけり畑詩音
風花へ二発打込む暫定球パッキンマン
風花や一番美しい矛盾八田昌代
風花の調べ五線譜に映す花咲みさき
風花や空晴れたまま剥がれ落つ花咲明日香
なきわらい風花かみにくちびるにはむ
風花や猫の亡骸まだ温いハルノ花柊
風花は波紋なく消ゆ水瓶にひーたん@いつき組広ブロ俳句
風花や誰かのために脱ぐ衣柊月子
命名の朝に風花ひかりさす東原桜空
風花やカピバラは湯に目を閉ぢて樋口滑瓢
風花や鍵を失くした鳩時計花結い
風花のこんな時間がありましたひっそり静か
猿猴の鼻息荒し風花すひでやん
風花や吾の持つものは名前だけひなた和佳
ちょっと昔の風に乗って風花猫詠たま
風花や解答速報スワイプし飛来英
風花の光のトンネル列車駆る平田エショウ
ロードショー出て風花に投げキッス比良山
ポケットに手無言の運河風花よ昼寝
風花や一国重ねたる屍深町明
風花が踊る骨組みだけの家ふくじん
風花に立ちて病名忘れをり福田みやき
風花や慣れない薬指の銀福月スミレ
四色のタグ風花のトリアージ福良ちどり
魁夷の青風花の孤独に似てるふくろう悠々
生きるって面倒くさい風花舞う藤井聖月
風花やひかりへのべるたなごころふじこ
風花を45度で蹴る機体藤里玲咲
朝練の撓う竹刀や風花す藤田ゆきまち
風花やマチネのあとはあの和カフェ無荷庵
投薬の時間ほら窓に風花文月さな女
風花やサファリパークの虎眠る冬木惰眠
風花を追って私に逢いにゆく冬のおこじょ
風花や渡り廊下を女湯へ古川シアン
風花の舞いて水面に乱れ無し古澤久良
風花やバイクカバーを取る合図ヘッドホン
風花や母は記憶の鍵探しペトロア
風花や犀は目蓋を閉じてゐる茫々
風花はハ行ラ行がよく似合う堀卓
おむすびに風花降りて塔ノ岳香港ひこぞう
風花や欲しかつた本抱え帰路梵庸子
風花やもしも言い置く再入院前田冬水
風花や朝市馴染みの猫闊歩曲がりしっぽ
風花やマークシートの3を塗る眞さ野
能筆の扁額読めず風花す松本裕子
風花やガラス細工の息の音まりい@
ブラインド越しの風花歯をみがく丸山隆子
風花や山頂で食むカップ麺みことのりこ
風花や笙澄み渡る鳥居うち三島瀬波
口遊む昭和の歌に風花すみたせつよ
風花や手作り味噌は黄金色みちむらまりな
風花や市に花売る農高生光子
風花やグラスハープの音の刹那満る
風花や握手する手は空けたままみつれしづく
風花や足どりかろき大阿闍梨みどり川
風花やプレパラートに小さな死水面叩
風花を届けて風は力尽き見屋桜花
美しき義姉風花の中逝きにけりみやかわけい子
風花を捕ふや檻の底昏し三宅雅子
「花園は風花」告ぐるカーラジオ宮坂暢介
風花の軽し二重の妊婦帯宮本象三
とんぼりの窓のゴンドラ風花す椋本望生
哲学の道へ風花咲くゲーテ武者小路敬妙洒脱篤
風花や荒涼と送電線むべ
風花や切株に名はすでに無く村松登音
風花につむる瞼の明るくてもつこ
風花へ試合開始の一球目桃子ママ
風花や白墨響く5時間目もも先生
風花は「鳩のポーズ」の足裏に杜まお実
風花やきっちり届く宅急便森の水車
風花や三人だけの一周忌柳川心一
風花やG1レース荒れさうな山川腎茶
天よりの返事のごとく風花来山口一青
風花や八十の父叱り来てやまぐちこう司
風花は君の指より温かし山﨑勝久
風花や病室はみな午睡して山崎のら
風花や鉄橋折れたままの川山﨑瑠美
買取はたつた百円風花す山名凌霄
風花や婚約指輪ポケットに山村楓
風花の工作室はニスまみれ山本先生
ゴミ箱の人形の目に風花か山本ひらりこ
風花や試合序盤の好セーブ熊耳
風花やセーラー服の転校生遊飛@蚊帳のなか
風花舞う闇にマネキンの孤独宵猫
風花の始めと終り知らざりき羊似妃
風花やゴム飛行機の旋回す吉哉郎
風花やきゃらこにすべる根付けの音佳子
風花へ握りしめたる万馬券葦たかし
風花は采女の袖の緋に消ゆる吉永敏行
あれ風花と掌の淡きこと吉野茶々
ふるさとは鈍いろここは風花すよしのはるか
空重く風花ひやり倦怠期吉藤愛里子
風花や町は明るく静もりてよりこ
風花やロケバス止まる数寄屋橋ラーラ
風花や糀は今夜あまくなる来知万郷
風花や人は記憶で出来ている雷紋
風花も何時かは失くなる浪漫主義羅蒐
風花や車窓を後退る駅舎梨音
風花は水子の墓のみづとなる里音
片恋と風花散らす紫煙かな柳絮
風花や工場の床に潰えしも黎成
バスケットゴールの孤独風花よ籠居子
風花に返事は要らぬ青い空若林千影
風花の後のワルクチ熾んなり若生淡霧
風花やキーホルダーの鈴ちりり畦のすみれ
風花や母の吐息の色なせる今井淑子
クレーンのまとう風花C埠頭梅里和代
風花にアンモナイトはささやけり江川月丸
風花やミルクに溶けて甘くなれしらふゆき
風花や草喰む牛の鼻に消ゆスマイリー正子
風花やアフガンの水遺しけり馬場行男
目の中に風花世界がよく見えるさくらちゃん
風花やいまだに孫は人見知り案山子@いつき組広ブロ俳句部
風花や惚け色優し和三盆森毬子
かざはなやそらからおりてぼくのてにひなた息子
風花や出逢いは吉と占い師笑笑うさぎ
風花やちっては咲いてなくならずひなた娘
風花に別れた人を思い出しひめりんご
風花や幼なじみの福白髪西田月旦
風花や土鍋の重み手にあまりなごやいろり
風花やお嬢吉三は玉三郎みやざき白水
風花や看取り介護の里帰り細川小春
風花や畳の電動ベッド痕雪華きなこ
風花の睫毛に消ゆる一つづつ石井茶爺
風花舞うや嚥下食いちご色石倉啓子
風花の儚さに似て鏡中亜紗舞那
風花や昭和がチラリとホラリかな明日良い天気
夕暮の風花我を追ひ越すやあ・うん
風花かかざはなしらずググったよ藍華愛
風花や地に満つる疫解く魔法間むつみ
クレバトの風花でふと電話して深山涼水
風花や門出祝いのメレダイヤ愛野優
風花と声をあげれば消えそうなあいむ李景
筋交に土も埃も風花す葵新吾
研修生風花にピンと背を伸ばしあおいなつはやて
潔く振り向かぬ背よ風花よ蒼來応來
風花に交じる背の子の寝息かなあかり
風花や葷酒山門潜り抜けAKI
風花や目とどむる伯山の芸明惟久里
風花の案内のままに街歩き明田句仁子
風花や青毛勝利を確信す昭谷
風花やレンガ造りの純喫茶あきののかなた
孫らいて風花の中出棺すあきみ
風花が犬と戯れ走り去る秋山裕子
晴天の風花降りて手で受けり秋代
風花や牛丼小盛り黙食すあくび指南
風花や地球(ほし)のかけらとなりし彼あさいふみよ
風花やライブカメラで吾子の街朝雲列
風花うけ口開け舞う幼子麻田透
段取は舞ふ風花の除幕式あさのとびら
風花や5人目のキッカーの吐く息芦幸く
風花やはらりと躱す吾のうそあじさい子
風花の風景と化す別れかなアシツノカラ
風花を見せんと犬抱きあげるあじょあ
風花や揺れる水面の折り鶴に網代
風花やそらに思い出散りばめるあずき
風花に誘われ手舞う島んちゅう安谷屋治子
風花や虚子の句碑へとからみをり跡部榮喜
風花や閂錆びし観音堂あべ積雲
「モチモチの木」めく欅の影に風花すあまぐり
坂道を見上ぐや顎に風花す天野呑水
風花は辞書の中より湧き出づるあやや
風花に通学団の足早し有本典子
風花や湯治の草津湯もみ唄アン
風花や相合傘で手をつなぎ粋庵仁空
曇りなき借景の窓風花す郁松松ちゃん
風花を身ですくわんと立ちつくす池内ねこバアバ
目覚める病室風花舞う午後よ池上敬子
風花を目でキャッチと競いし子らいけだひさえ
風花舞うつい口ずさむ直太朗石井華
風花を風上に立ちて見送りし石井秀一
風花や祖父に背負われ黒部ダムいしいるぴなす
風花や半年ぶりのランニング石岡女依
風花が乾びた頬をもてあそぶ石垣エリザ
踏みしめて風花の中挑む我れ石田恵翠
風花や珊瑚の産卵青い空石原直子
釣れぬ釣り風花舞いて帰れ言う石原日出男
風花の舞ひ来て街は眠れない石原由女
風花を手に受けしごと友の逝く石本美津
発表の朝のスマホに風花よ和泉葵
風花とニキビの彼と窓の外和泉ミキ
連れ立ちて来る風花の住まいどこ磯野昭仁
風花が点描となり五輪塔いちご一会
雲去りて眩き空や風花す一太郎ラン坊
二重跳び一回跳べて風花や一番ぶろ
ノーサイド高きサイレン風花よ一佳
風花は故郷の便り帰省せずいつかある日
風花やランドセルの列さざめいて一秋子
風花や電車でかよふ一年生一芳
約束の時間の過ぎて風花すito
風花よ流るる先には誰が居る伊藤ゆうり
門をいで並木の端や風花す伊藤節子
風花に水辺の鳥が集いよる伊藤正子
風花やオデュッセウスの帰還かな伊藤ユリシーズ
風花の向こう那須岳吾れアクア稲葉こいち
風花を睫毛に乗せて走る子ら稲葉雀子
風花や背子の睫毛のそよぎをり戌亥
風花の長き旅路を見届けり戌の箸置
風花に笑顔の妻の手を握り井上繁
風花や襟たて急ぐ歩道橋井松慈悦
風花や笠をかぶって温泉に入り今西トモキ
立つけむりそは風花か終の花か今村ひとみ
風花に洗礼うけて目が覚めるいろをふくむや
鎌倉の御仏やさし風花す岩田勇
風花や在宅勤務御茶一服いわつよ8
風花や舞ひさうな身を押し止むゐのかたゆきを
次々と手のひらで消える風花よvivi
風花や亡き友夢に見た朝ういろ丑
言伝てはあっという間の風花よ植田かず子
風花や初恋に似た空模様上野眞理
おかっぱがゆれて風花駆けてゆき上原まり
老犬はダウン着込んで風花を愛づウエンディママ
吾子の声舞い上がらせし風花や魚男飛男
風花は富士より来たか視程百キロうさぎさん
かそけき命風花のごとく卯さきをん
風花や祖母の菓子箱カラの箱うすけ
風花を両の手で受くいくたびも内本惠美子
笑顔咲く老母にかかるかざはな痛宇都宮千瑞子
風花や歩めば遠き散居村梅木若葉
眉に触れ涙となりぬ風花や梅田訓睦
風花や連絡船の銅鑼が鳴る麗し
風花に合格の頬ふっくらA.盆暮れ
風花のロンド見上げる青空江田綾子
風花や撮り鉄の指熱帯びる枝豆の花
風花よ元気で居ると伝えてよ越後縮緬
風花も温し絡める指と指江藤薫
延長戦風花摘みに鳥打ちに江戸川ちゃあこ
火葬場の煙と混じり風花は海老名吟
風花は老犬遊ぶ思い出よえみばば
風花や十七時に流るる「赤とんぼ」江見めいこ
風花に乗せて小指で取るタクト遠藤百合
新築の窓ガラス風花凍る遠藤愁霞
風花に祈る終わりじゃないはずと遠藤玲奈
風花や礼状を手にポストまでおうい
風花の窓一瞬の無重力おおい芙美子
たまゆらに消ゆる風花指輪跡大隅淳一
風花降っとるかな友の窓にもお々たすゞこ
風花や更地となりし友の家大野静香
長い髪バッサリきった風花よ大野美波
風花に犬も幼なも門口(かどぐち)まで大橋敏子
光浴び躍る風花素手の上大原妃
風花とともに去り行く恋心大原雪
風花や無縁仏になるもよし大道真波
風花や鬼さんこちらと宙を舞う大本千恵子
風花やひらり秒速数センチ大山きょうこ
風花を受ける両の掌赤き椀大山こすみ
風花や未練蹴散らすバリアなれ大山小袖
風花や吾と交じりて合い言葉岡﨑宙夏
風花や役行者今いずこ岡田かねこ
風花や手術控えた病室の窓小形宗一郎
父からの手紙なのかな風花はおがたみか
風花の舞ふ校庭やショートゴロ小川野棕櫚
風花がひざっこぞうに滲みる朝小川モモンガ
ひとひらの風花舞ふや太極拳奥田早苗
過去問を解く手に風花音もなく奥寺窈子
西風にうねり地を這う風花や小倉藍朱
風花を浴びて心の塵掃う小栗福祥
17号トラクターまき散らす風花やおさむらいちゃん
空見上ぐ陽に透けたるは風花か小澤ほのか
降り立ちた駅風花に迎へられお品まり
吾子は行き風花の空港デッキ尾関みちこ
ドローンの苦悩風花抱けぬ風小田和子
夜勤明け風花待たせたる扉小田虎賢
風花に凭るる老いのひとり旅小田慶喜
別珍に秒を永遠にす風花来乙華散
風花は見上げ覗くや万華鏡お漬物
人生は庭に舞い散る風花のようお寺なでしこ
風花の囁く北の国訛り鬼平哀歌真改
風花のまづの知らせは壮ちゃんへ小野柚子
風花に叫ぶ汽笛のさみしさよおぱーる
風花や亡き母の名をゆきと云ひおひい
ストライダー蹴り出す風花置き去りにofficial髭メガネ
風花や少し戸を開け猫を待つ快晴ノセカイ
風花をもう一駅と歩を進め海鮮ハンバーグ
風花を口あけて待つ昼下がり怪盗キャットA@小五
風花や背中押したるサ高住海碧
風花や煩悩ともに鐘に消ゆ果音
風花や田んぼリンクに鬼ごっこ馨子
手をかざし風花の儚さ切なさよ柿野宮
六甲の風花に瞳を伏せるかこ
わが吾子は風花のごと天に召し笠江茂子
風花やあの日あなたは来なかったカザナクション
さよならとそっと囁く風花に風花あつこ
風花は金平糖の味がして風花美絵
風花やサウナ休憩部屋に降る笠原理香
風花や親子の埴輪目のやさし風峰
風花や縄跳び楽し子の笑顔梶浦多見子
風花やコロナも避けるマスクして加島
まだ歩み出せぬ吾に寄り添うて風花柏原淑子
風花を追えば恥じらうひとつ星風の三郎
若き甥風花と化し涙目に片岡ピンポンパン
風花や神様たちのかくれんぼ片栗子
風花に口元ゆるむ笠地蔵かたちゃん@いつき組広ブロ俳句部
風花吹く欲と諦めのシーソーふうこ
風花の西方浄土よりキラリかつしい波
風花に呑む息の間の小休止桂木右京
風花や思うことふと散り消えてかとの巳
風花や星の光貰ひけれカネコ
風花やマシュマロ溶けて火の粉舞う金子真美
風花に君への思い託し去る金本節子
去る背中言葉足らずの風花や佳乃子
ベッドから妻とみる今朝の風花甲山
風花や祖母の足跡踏み進む紙谷杳子
象の耳動き風花宙をきる神谷米子
風花や山谷野越え辿り着き亀田稇
吉報を連れて風花舞い降りぬ亀山逸子
風花や神さまはきっといるんだよ加裕子
風花を生き物係跨りて狩谷和寓
風花の見舞いを受ける部屋ひとり川添昭則
風花や挑むがごとくペダル漕ぐ河村静葩
風花の舞ふ山守りて七代川村昌子
見上げては風花の頃われ芽吹く河村めぐみ
風花や鼓動ざわめく通学路閑蛙
風花や疑心暗鬼の黎明期岩隠子
風花と歩きし銀座遠き去年看板のピン
風花や落ちる先にはアスファルトKII
陽だまりの窓から見ゆる風花かな木久仁
風花やぬか床の古漬け刻む黄桜かづ奴
涙のごと頬に風花君を待つきさらぎ
風花や憎めぬような嘘をつく如月お道
制服の採寸終えし風花や岸本元世
風花や土は土の色のまま季切少楽@いつき組広ブロ俳句部
霊山の吹き飛ばしたる風花や北川そうあ
風花や儚き命惜しむよう喜多吃音
つけまつげ風花ごしにあおきそらきた実実花
ピアノ弾き終えて風花窓の外木原洋子
風花や二十歳の晴れ着の笑い声きみえは公栄
風花や別れ間近の学び舎よ木村となえーる
風花や道路チグハグ姿消す木村波平
風花を追いしその手にペンを持つ鳩礼
恨んでも恋しても風花となり木葉子
風花や兄の訃報に天仰ぐ教来石
稜線に風花重ね押すズームキラキラオーラ
湯煙に風花舞ひぬ従兄弟会季凛
風花は砂山小さき富士にして銀長だぬき
風花や笑顔で巣立つ君の肩錦矢
風花やワイパーの先かいくぐる空龍
新居から見下ろすバイク風花や草野あかね丸
風花や露店なき初天神さびし久慈流水
風花や聞き慣れね異国の言葉葛谷猫日和
風花や月命日の墓上舞う朽木春加
風花の産院の朝名の決まる國吉敦子
今ここにひらり風花舞えばいい久瑠圃
母の忌に父の背丸し風花すくるみ今日子
風花やおやまにあめがふりました久留里61ぬ
せつせつとランナーの息風花す紅さやか
車窓ごし風花眺めワンカップ桑田栞
風花の舞う舞台かな芝つ原桑原和博
風花やかさつく指でピアノ弾く恵享怜
風花や国際ピアノコンクール佳山@水戸
風花の轍に集まる村の道啓思
風花に置き配赤き包装紙紫雲英
風花はスカイツリーの天辺からケンG
風花や空の青さに酔いしれて源氏物語
風花や望まぬ再会の明日兼珍
秋田犬(あきたいぬ)しっぽに風花たわむれる鍵盤ポロネーズ
山荒れて風花ひとひら待つ人よ弘
風花や眺めし妣の姿追ふ江雲
風花やかたこと揺れるランドセル柑たちばな
年金の手続き終えて風花よ幸内悦夫
風花と通う五度目のロードショー河野なお
捕まえた!嬉々たる吾子よ風花よ神戸めぐみ
風花と名付けた人に感謝する午後山木一朗
風花や北方領土を返さんか古今亭朝朝
風花のはらり緋色のボンネット児嶋修梧
風花や記憶確かに右の頬木染湧水
風花や蕎麦屋の出汁の匂ひたる小だいふく
遠州に風花舞えば踊る心木積
グラニュー糖はらはら風花のふわり古都鈴
風花の先を争ひ駆ける子等小林翼
干すシャツの湯気立つ朝に風花舞ふ小林のりこ
風花やはじめてみるものふれるもの胡麻栞
手の平の銀の風花溢れゆく駒見真由美
迷ひ人たづぬる声と風花と小南子
風花ちかし波乗りどものテイクオフ小山祐治
風花や追えよ越えろよ父の背をころころなずな
風花や峰々舞いてふたり見た佐伯千代美
風花を連れて峠を越えて行くさいとうすすむ
風花や極楽橋にゆきあひぬ齋藤富美代
風花や銀ブラ帽子にひらりひらさかたちえこ
風花や荒ぶる風のなすがまま坂本清美
納骨の墓参の肩に風花や坂本千代子
風花の舞う日ピンクの紅をさすさきまき
風花や光にふれて逡巡すさくら亜紀女
風花やたすきは一人じゃ渡せない櫻井弘子
風花をヒロイン見あぐエンディング桜姫5
風花やプリマドンナの足の音さくら悠日
風花や空の蒼さを塗り潰す迫久鯨
風花に時戻りけり城下町佐々木宏
湯治場ににぎわう声と風花よ佐々木邦綱
風花と毛玉じゃれ合う赤信号ささきなお
風花や湯上がりの髪は濡羽色座敷わらしなつき(9才)
コロナ禍に風花の便りこころ湧く幸子
風花やなりたき自分にはなれず紗千子
首をおり風花を追う我のねこさといと
手紙出す風花連れて行く小径佐藤明美
頬にふれ泪とかはる風花よさとう菓子
風花を嗤うママさんダンプ漕ぐ佐藤庸子
言の葉や風花の閃きを待つ佐藤佳子
風花の国道今日を始めよう里山子
襷受けいざ風花の最終区真井とうか
風花は二本のギターに舞って散るさなぎ
風花や換気窓から深呼吸澤真澄
彼の人に届きはせぬか風花よ慈雨
風花の土手立ち漕ぎの頬赤しJBB
風花やふいにこぼれるひとりごと塩沢桂子
風花や我はひとりと思ふ日よ塩原香子
風花はあまた舞ひ散る白き星汐海さくら
風花や残りわずかの砂時計しげとし
耳遠き母の自儘や風花す重本誠子
風花や我仮病にて早退す獅子蕩児
風花や彼に寄り添う細い道忍凡子
風花の華北生まれの母の墓篠崎彰
花は盛り別るる代わり風花は渋谷武士(回文俳句)
襟足にチクリ肩をすぼめる風花の罰島じい子
風花やふわふわ何処へも行けぬ吾島田金魚子
詰襟の袖丈短し風花や島村福太郎
風花や大口開けて呑み込めり嶋良二
風花やきみに見出す生きる意味清水祥月
華やかに風花舞うや巫女だまり清水容子
風花やオコジョの嫁入りかと仰ぐ清水晴架
風花の香は子狐の鼻の上霜月詩扇
風花や老母の手の柔らかき石神井五郎
心変はり告げる風花付け睫芍薬
風花やもう許そうと思う朝沙那夏
風花の月命日に鳴る遺骨砂楽梨
風花の舞ふ日や今日もタンシチューしゅういずみ
風花やこの地に住みて五十年秀耕
終末を彩るが如風花や秀道
風花の子を走らせて眠らせて寿松
風花やぬくもり残る撫で牛に春雪
風花や君の面影夢にみし如風
じんじんと風花の白膝に来る白井百合子
風花や恋患いも懐かしく白沢修
青き空風花舞いてひかりけり白土景子
震える白きヒゲ猫に風花シロくん
目を閉じて風花に訊くみぎひだり仁
風花やわたしは母の子供なり新開ちえ
叶わぬ恋よ風花の溶けゆくか森牧亭遊好
風花や思い出をここに留めよ新見上
風花や空のスタンド駆け上がる酔進
風花が上人様のほほにのる杉浦あきけん
受験日に風花合格の予感杉浦真子
風花や指三本の塩加減杉尾芭蕉
風花や写経の文字のつたなくも杉本果蓏
風花や四條大橋渡るころ鈴木鈴
風花の一部始終を見つめけり鈴木(や)
髪切りてうなじに嬉し風花よ素敵な晃くん
手のひらにとけし風花華としてすぴか
紺碧の海に溶けゆく風花は青児
風花や故郷の空と父の声勢田清
風花や童達シャドーボクシング星夢光風
風花や天日干しに趣を添えて瀬戸内涼月
風花やこの瞬間を皆生きる瀬戸ティーダ
風花を乗せて黒髪恋語る走吟
風花と舞いおりし母の手のひらに宗薫
日もすがら舞う風花やすする粥荘谷
閉店の増えた街かど風花す早春SOSHUN
風花やほろりほろりと葬儀の日惣兵衛
風花や受け止められぬ訃報くるそうま純香
風花を爪に落として口付けた染野まさこ
ワイパーに風花からみ渋滞中空
風花の奥の山見てみぞれ鍋それいゆ
風花や寝息途切れてたたく胸駄詩
跳ねて待つ風花のティーグラウンド第一句けいぜろばん
風花ははらりはらりかひらひらかたいやきは腹から食べるにゃんこかな
風花や西の山から手の掌(ひら)に平たか子
風花やラインで届くさやうなら高木音弥
風花や若気の恋の叶いし日たかこ
駄々こねる頬に届きし風花や高嶺遠
ページ繰る子等の視線へ風花の高橋久恵
風花や歩幅の少し広くなり高橋ひろみこ
風花や美しいものすぐ消える高橋光加
風花やカップ持つ手に手をかさね高山昌子
合格祈願空仰いで風花竹一
さて換気風花呼んで一人酒多胡蘆秋
風花やかたい空気をだきよせるたすく
風花に朝の静けさ増しにけり鶴群
風花の峠越ゆれば民家有り多田ふみ
風花を包みて荼毘の煙消ゆ唯飛唯游
白無垢に風花ライスシャワーのごと只野花
風花の空丸く切り聖母置く立田鯊夢@いつき組広ブロ俳句部
風花や漂う生き方しか出来ぬ辰野史会
風花や鳥いつしんに啄む実蓼科嘉
風花の庭に黒猫動かざる立山枯楓
風花やよろこぶ子らの声すみぬ田中明美
この世とは思えぬ風花まぶた閉じ田中節子
旅立ちは風花の舞う里の駅田中洋子
風花や恩師の便り今年来ず谷相まり子
震災の記憶の中に風花も谷口昭子
風花や再会待ちて駅ピアノ谷町百合乃(百合乃)
風花や通過列車の衝撃波田畑整
風花や山飛び越えてはるばると玉井令子
親不知抜いた帰りの風花よタマゴもたっぷりハムサンド
風花や校門出でて振り向きぬたむこん
広き田の神の小社や風花す田村モトエ
風花やなごりを惜しむ時もなく田村伊都
風花ぺちゃり視界は白くなってゆく田本莞奈
風花の結晶ゆがむ夢のごと田本雅子
風花や夫に見せし大吉をちっちのきも
風花や土曜の午後のケセラセラ千鳥城@広ブロ俳句部カナダ支部
風花や葬送の列僅かなり千葉睦女
風花に手を止め仰ぐ剱岳チャーリー・吉田
着膨れて銭湯へ風花の匂いちやこ
風花を過る記憶の闇の恋衷子
風花や風の電話に耳すまし月影キョロ
風花の頑張らないでとメッセージ月野しづく
風花や生まれたばかり光の子つきのひと
風花ね君の言葉に空仰ぐ辻宝樹
渇く手に風花浸みて七回忌津田涼子
風花よ退院まだか車椅子津幡GEE
風花の遊ぶウインドウのぞきおり津村千鶴子
風花やスマホの光の中に咲く津本晶
風花や験担ぎの青シャーペンツユマメ
風花やひとひら触れも解けぬ侭弦巻英理花
風花にほかほか三毛の鼻踊るつわぶきはじめ
ワイパーではらう風花夜勤明けT-京條
風花やテレビの画像映らないデイジーキャンディー
風花に遠い総理の記者会見鉄猫
風花やたつた一人のカフェテラスてまり
風花を植物図鑑に尋ねし子寺田伊織
風花や児童施設でめくる辞書電柱
風花やボレロ上手に弾く少女でんでん琴女
風花を祖母と近道産院へ苳
風花や山をくすぐる北の使者トウ甘藻
風花や掌で見る空広し遠間貴月
風花やイーハトーブの扉開くときめき人
風花や煙草は今日も薄荷味Dr.でぶ@いつき組広ブロ俳句部
風花の祝福受けし吾子の頬どくだみ茶
風花や猫の頭に居候徳田ヨーコ
店頭のバーゲン品に風花や戸根由紀
おちゃわんへきらり風花おままごととみことみ
三度言ふ風花ひとつ消える間に友@雪割豆
幼猫の興奮冷めぬ風花の朝豐田雄二郎
冷えピタで口開け見上げ風花よトルコ桔梗林
くちびるのあ音のかたち「あ風花」直木葉子
風花や美しく散る祖母の息中川佐千子
風花を放つどこまで青き空中島走吟
風花や公園の空子ら駆ける中嶋敏子
風花へドラコン狙いフルショット中中
風花や開通五周年の道中西柚子
風花や坊主頭に留まらぬ中野正浩
風花や捨てられてゐるおんぶ紐中原久遠
風花に亡き人の影墓参り中平恵美子
風花よ君の瞳に吸い込まれ中山清充
風花や受験の子らの空は青渚
いざ行かん風花を待つ未踏の地凪宮
風花来真青の彼方ふわふわ来夏雨ちや
風花や屋台途切れて首すくめ夏雲ブン太
風花や足を引きずる修行僧夏目坦
風花や数珠で遊ぶ子家族葬七歩
風花がひとひら君にとまりゐて浪速の蟹造
風花の描くそらなか点描画名計宗幸
風花やかつて魅かれし男たち奈良素数
平野にも稀なる空の風花か新美妙子
風花や年々友の便り減るにいやのる
風花や行方不明になる手紙薫子(におこ)
風花や目だけ動かす鬼瓦二鬼酒
風花や人の疎らな赤ちょうちん西尾桃太郎
風花や天よりためらひがちの文西尾至史至雲
風花や上毛三山踊り出す西澤節子
風花す狭庭は今し水墨画西原さらさ
風花やもとはひとつであったもの西村柚紀
マスク粧いて風花の銀ブラnid
風花や頬を濡らして前を向くねがみともみ
風花をつかまんとする幼き手ねぎみそ
風花を喰らう池や音もなく猫あご
風花に焼き菓子の香のとっておき根々雅水
澄み渡る青風花に映えにけり寝ん猫
風花や犬に急かされまろぶ道埜水
祝うか如き風花よ妻と吾野中泰風
「今日帰る」3時の珈琲に風花野々香織
風花や墓石に触れて消えにけり野原蛍草
風花や温泉宿の朝げの香野原風香
風花や香港の香すティールーム則本久江
音も無き風花ふわり甘そうだ白庵
傘ささず頬に受けたき風花や白雨
風花や猪苗代湖の粉おしろい橋本恵久子
風花や老犬乗せた乳母車馬笑
風花のひとかけら追う五時間目バスチー
川面まで風花に添う術後の眼長谷川ろんろん
風花や病床の熱ユラユラと長谷島弘安
風花やメールに付かぬ既読文字畑田ほずみ
型抜きし小麦粉ふるう風花かな蜂巣
風花を捧げるように子らの手にはっしー
合格を願う牛の向こうに風花舞う服部たんぽぽ
風花やライスシャワーと共に散る初野文子
子に会えぬ母に風花そつと触れ花おうち
愛犬のよろこぶ風花積もらない花岡幸嗣
風花や鐘の音下に一人行く花岡紘一
風花を犬と見上げて笑い合う花岡浩美
鍬の手入れ風花にすする熱茶はなぶさあきら
風花やいつでも会えていたものを羽沖
風花の中をゆるりと一万歩羽馬愚朗
風花や無言の街の石畳浜けい
風花の道で今だに迷ってる林里美
風花に身を任せつつ墓参り原善枝
風花を見た見てないで口げんかはらいそ
風花や白神の山晴れ渡る原田祥子
風花を掴んで見れぬ子の不思議原田民久
庭に降り風花の衣身にまとうharu.k
風花や白髪の山と青し湖(うみ)春田あかね
風花を喰わんと燥ぐ孫五人春待ち人、ま
風花や静かに回る丘の羽葉るみ
風花や輪島塗沈金のごとHNKAGA
風花の窓辺老妻待ちゐたるビア英男
風花の坂の厳しき杖握りひぐちいちおう(一応)
風花や銀座騎士像かすめ消ゆ樋口ひろみ
風花の里は遥かな関ヶ原ひすい
風花を初めて知りし嫁ぐ朝一重
風花を手に受けはしゃぐ幼き日人見則江
会いたいと思い思われ風花舞う一人ベランダ晩酌
額には検温計と風花とひなたか小春
風花と炎の合唱児童行く日向の熊
風花となりて不安と不満舞うひな芙美子
風花にカーテン替えて模様替えひめりんご
師を送る「大地讃頌」風花とひよこねいさん
風花やぴりぴりと犬の耳ゆれ平井麦春
姉の背に舞う風花や癌告知平井千恵子
風花の光のなかを登校す平岡美弥子
不帰の古里風花の宅急便平松一
風花や生生たりし祖母の窓平本さち
風花を追っては転び赤いくつ蛭本喜久枝
風花をびゆんびゆん連るるのぞみ号ひろき
墓石拭く義父の肩にも風花廣重
父の目の風花振袖また涙ヒロハル作詞作曲
風花ウキウキあんまん半分こひろ夢
風花やさういうことか資本論琵琶京子
風花の盃に淡きや暖簾超し風泉
コンサート中止街は風花舞ふ風紋
風花や携帯番号変えあぐね風来
朝まだき風花うける散歩道風来坊
風花に両手広げし酔っ払い福井三水低
風花や母が床から手を伸ばす福川敏機
風花の光を跳ねて舞うているふくじろう
風花や保護猫二ひき飼う覚悟福ネコ
父躍る大ホームラン風花へ福弓
リモートの窓に風花見えかくれ藤井京子
つなぐ手に風花積もる寮の前藤井弘子
風花や目で追うややの鼻の先藤井眞おん
風花が赤いほっぺにくっついてる藤咲主計
風花や幾重の陽光ビルの間でフジサキサオリ
風花やひらりひらりとさようなら藤原訓子
風花の集めし光我ひとり双葉@あさ葉会
風花やスマホの底から解き放つ船橋こまこ
風花や祈願写経の筆を置くふみ
フィナーレのごと風花の舞ふシャッター街赴美栄
風花の20キロ北東に赤城山フリアフロリダ
風花見気持ちすでに芝の上ぶりちゃん
炊出しの湯気の無言や風花す碧西里
iターン散歩は夫と風花と弁女
風花や事故物件の前通るべびぽん
風花すホームのうどん独り言つ歩路岡丁隠
風花やダイヤの指輪やっと貰う星雅綺羅璃
風花や川は逆流するかの如く星月さやか
風花やかやぶき里の五平餅星善之
風花に紛れ数多の命ゆくぼたんのむら
胸弾むカノンの旋律風花堀江弘子
風花や何処に落ちても音は無し盆暮れ正ガッツ
風花は亡母の便りよ両の手に本間美知子
ああこれが風花なのね空見入るほんみえみねこ
てのひらに果つ風花の美し旅はまあぶる
疫病退散祈る背に風花茉叶
風花や線路を歩く猫真面目真喜王
風花を掬いてのひらを合掌牧野敏信
風花や女優のごとく手を広げ槙由梨子
風花やどこの山から来たのやら眞熊
ほっとけば風花の中歩いてくまこも
風花や可愛いうそをまじで聞く正岡恵似子
風花に顔突き出して遊ぶ吾子増田光子
風花よ君の睫毛の長きことますみん
風花や居間の電気下子らの愚痴またあ
風花やつなげや襷湯気ランナー松あゆみ
手に取れば風花の白沈みゆく松井くろ
風花もタスキをかけて後を追う松尾直幸
風花や宗谷の港真っ白貌松尾義弘
透明な山頂きらめく風花松島美絵
待ちわびた風花のぬくもり裸の地面松田菜
風花やトランク持ちてまた旅に松高法彦
風花や今年の頂きみどり富士まっち
汽笛に振り返る海へ風花す松野蘭
風花や受けても受けても受けられず松村貞夫
風花や名残あろうに友ゆきて松本厚史
風花や忘却曲線上の母松本みゆき
風花や山すそに祖の眠りをり松山のとまと
声明の風花となる御堂かなまどん
風花に紛れてふたり黄泉の国真冬峰
胴上げの引退選手風花す真宮マミ
風花のひとひら舞いて山便り真理庵
風花や坂のぼりゆき人と逢ふ眞理子
風花や母が笑顔を取り戻すみい
風花に仰ぐ稜線遠く映え三浦加容
風花を指さす猫に見せたくて三浦ごまこ
風花や手をのべるともふれられず三浦ユリコ
風花や誰より早く知らせるの美倉まり
光彩の中に風花奥の院巫女
球根の鉢嗅ぎて犬風花やみ・さえ
風花や頬に追いつき解れる美翠
風花やスコップ寄せてがぶりと茶水鳥木綿
風花は神の泣き笑い伊吹山水乃江辰
風花や古き万事屋閉店す美月舞桜
風花や道行く人に引きつられみっちー@TG
風花にきみの容態聞いてみる美津芭蕉
風花や誰か解からぬ声あげてみなと
風花やふわりふわりと眉に落つ湊かずゆき
風花や今日が最後の登校日みほめろ@いつき組広ブロ俳句部
マニキュアは薄紅の色風花すみやうち暁美
風花へ両手広げてはしる孫宮階愛子
風花に触れたし吾子の千鳥足三宅剛
風花を見上ぐ夫婦や水子寺都乃あざみ
風花や小さき手袋落ちており都忘れ
風花を火山灰(はい)と見まごう薩摩女よ宮澤さっち
風花を見上げて言えた明日暇宮地弓恵
風花にはしゃぐ苦労を知らぬ人宮原みかん
風花を見上げる手には受験票雅乃珠晃
風花や林すり抜け空に映え美山つぐみ
風花の舞う石段と曾良と師と深山涼水
風花に問う待ち人は来るこない宮村寿摩子
風花や新燃の灰思ほゆるミラベル
滲む文字きっと風花のしわざねみわ吉
風花を追いかけ回す子供たちみわぽん
風花や運動場に振袖咲く夢雨似夜
風花や米寿スマホに手を染める夢耽
手のひらに風花あわきわたがしよむねあかどり
風花を窓越しに見る一乗寺むゆき
風花や夫のよこがおヒョンビン似紫小寿々
風花にそびえる工場の狼煙むらのたんぽぽ
風花や部活帰りのカップ麺暝想華
風花やドッチボールの息で溶けモコ
風花や自粛の街に踊りける母音子
風花やはらはらふわりふわふわり本山喜喜
火曜日は可燃ゴミの日風花すmomo
喫茶店出でて風花通りかな桃香
風花や鳥居へ投げる小さき石ももたもも
亡き祖父の声が聴こえし風花の朝森川奈津子
風花や会えなくなって九ヶ月森中ことり
風花の溶けきるまでを恋と呼ぶ森野
風花や窓開け見上ぐ中学生焼津昌彦庵
風花や十五万キロ廃車する八重葉
風花やニュースは暗いものばかり八木実
風花や分娩室の吾子の声八島裕月
にこにこと雪しらぬ夫に風花泰乙女
風花や那須の辺りに生まるらむ安田蝸牛
ランチ行く染めたての髪に風花痩女
風花やふと懐かしき人の声矢野茂嗣
風花は峠の便り風に乗り山川恵美子
風花やおろした靴の一歩先山川真誠
風花や遥かなる峰黒き雲山川芳明
風花は虫の群れごと宙に舞ひ山口要人
風花を追いし吾子今日二十歳なり山口香子
風花は思いの程に暖かく山口雀昭
風花や隣家の梁とショベル音山口たまみ
かざはなや行きまどう道ひかり追う山崎鈴子
ワンピース踊りて飾る風花や山崎和子
風花や内気な人の肩を借る山科美穂
風花や広いお堂に聞く読経山育ち
風花に受験終へたる吾子みつけ山田啓子
君は風花いつも追うだけの僕山田ポチコ
風花や三度唱えた願い事やまな未
風花のぐうるりみえるてんのあお山猫太郎
パソコンの付箋ざわめく風花よ山野花子
風花や涙に混じる去りし校庭山辺道児
風花に母の許しの声を聞く山村晴美
手のひらに風花ひらり別れ行く山本康
風花にふれるフリして髪ふれる雪だるま担
風花と二十歳の写真撮りにけり雪音
バッティングセンター風花のカーブ雪乃
風花かスコップの先から舞い上がるゆきまりママ
吾も風花とならう大空舞はんゆこりん
庭にねこ逆立てし尾に風花ふわりゆみずくん
風花とセーラーの襟が舞う入試ゆりこ
風花に確かめる手のぬくもりを酔子
風花や耐え耐え堪え小咲なる妖精さん
風花やゆたかな珈琲と紅茶欲句歩
風花に癒される人嘆く人夜香
風花を散らすダクトの排気口横浜J子
襟立てて風花の舞う一番星横山洋子
風花にペット奏でる軽騎兵よしこ
風花を纏ひ地球は薄化粧よしざね弓
かざ花やダッシュでもどるきょうしつへ吉田結希
風花の見上げる先に笑みひとつ吉田和花
風花やみづに広がる青き空吉野春夏
照れ笑いクスクス前撮りの風花吉野川あらた
編みかけの糸を解きて風花す吉野春夏
吾子の頬かざしともりし風花は行く吉野山
風花や母の葬儀に笑いありよしもとあけみ
風花や顔撫でながら溶けながらよたまな
風花や星の結晶六つほどよにし陽子
風花やシャッター街を明るうす里沙
風花をぬってシュプール描くやまりつりつ
風花を食う親犬のすまし顔龍季
風花や寂しさ一つ掌に残る隆美
風花の降る日は父の里想ふ緑雨
風花よインコ膨らみくしゃみする凛
怒りをる吾を風花のかすめゆく蓮花麻耶
風花に「もういいかい」の声響くれんげ草
風花の散華と見ゆる東大寺連雀
金毘羅山隠してしまふ風花や六手
風花や猫が身震い走り去るわかなけん
風花や肺呼吸すら叶わぬ子若葉一家
青空に風花はらり野鳥なく若緑
風花や空にミキサーあるごとく鷲野の菊
風花や蔵王の嶺のまぶしさよわたなべすずしろ
風花の舞う父母の墓参り渡辺暁美
風花や減点式に終わる恋渡邉一輝
画面滲む上げた頬刺す風花やわたなべいびぃ
風花の大き一片君の手に渡辺陽子
風花や運命線の真ん中に渡邉わかな
動かざるウキに風花散るばかり侘介
- 夏井いつき先生からの一言アドバイス
-
俳号には苗字を!
〇俳号とは、その句が自分のものであることをマーキングする働きもあります。ありがちな名、似たような名での投句が増えています。せめて姓をつけていただけると、混乱を多少回避することができます。よろしくご協力ください。
●俳句の正しい表記とは?
- 風花や 数え切れない 粒となり池谷勝利
- 生きるをば 風花のよふ 過去未来一本槍満滋
- 風花に 豊年たくし 種を蒔く加藤雄三
- 靴下はき、風花煽られ、引き篭もり。渡邉弘子。
- 風花隔つ
母が握るは
妹の手可侑
○「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪
●季重なりとは
- 風花のたより仰いで春を待つ青山茂樹
- 風花や寒まだ癒えず午後の陽大隣京子
- 雪道をひざしに気ずき風花や高坂和子
- 風花やからっかぜのコンチェルト春泱
- 風花や春の日差し伴って撫でる冬の枝白狼玉藻
- 凍結の朝風花ふわりタラスピオファリム
- 風花や見たことなし寒かろな延杜
- 風花だ?手袋は「履く」雪は「漕ぐ」木蓮直行
- 雪おろしほっと一息風花舞い大島勤
- 天籟の風花一瞬白鳥立つ岡崎俊子
- 大寒の空からヒラリ淡い恋中西澄子
- 風花にこごまりながら春待つつぼみ西原久美子
- 夜はオリオン昼は風花冬愛し野原花火
- 風花や山里はまだ凍えるかひーちゃんw
○一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「風花」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。
●兼題とは
- 窓越しの吹越山颪の形相J.B.ミシェル
- 竹刀は尻へ振りかぶるすずらん
- 足裏と耳とで味わう霜柱エコ虎
- 深雪に行く気も失せる門扉かな齋藤格
○今回の兼題は「風花」です。兼題を詠み込むのが、たった一つのルールです。
- 別荘の風鈴の音や風の花米岡優子
- 檻の象見上げる空や風の花立野音思
○「風の花」は、微妙に違う。「花」は、俳句では桜を意味する季語になるからなあ。
●文字化け?
- 風花は?蝉の無念かもしれぬむうさく
○うーむ、これこそ、まさに無念……。
お待たせしました!1月の兼題「風花」の選句結果を発表いたします。
1月の投句総数は6756句!ダントツの過去最多投句数です。みなさま、毎月俳句生活を盛り上げてくださり、本当にありがとうございます。天・地に入選された方にはささやかな賞典もご用意しておりますので、今月もふるってご投句くださいませ(編集部より)。