夏井先生のプロフィール
夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。
7月の審査結果発表
兼題「炎天」
「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。
炎天をとはに落ちくる観覧車
RUSTY=HISOKA
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夏井いつき先生より
炎天に聳え立っているのは観覧車です。巨大な車輪のようなフレームには、幾つもの小さなゴンドラがぶら下がっています。箱のようなゴンドラの中には、人々の影も小さく見えます。
観覧車は、動いているのかどうか分からないほどゆっくりと回り、円の頂点を越えるとゆっくりと下降してきます。そのさまはまるで、炎天に触れたものから、次々に落ちてくるかのようでもあります。
「とは」は「永久」。いつまでも変わらないことを意味します。見上げる観覧車は、いつまでもいつまでも落ち続けます。地上にある全ての音が、炎天に吸われているかのような深閑たる真昼。観覧車は、小さな人影を乗せたまま、永久に永久に落ち続けるのです。
電線のぐぢやぐぢや炎天の馬尼羅
眩む凡
「馬尼羅」は「マニラ」。フィリピンの首都です。どこもかしこも電線がぐぢゃぐぢゃに張り巡らされている空。「炎天」といえば、あの都市の空が否応なく浮かんでくる。そんな実感の一句でしょう。
めりめりと多肉植物肥ゆ炎天
アロイジオ
多肉植物たちは、暑さを栄養とするかのように太っていきます。めりめりと音を立てて肥えていくかのよう。「肥ゆ」と言い切った後の、季語「炎天」のなんと圧倒的であるか! と感嘆した一句。
炎天の号外彼は何故撃つた
古賀
現実の事件を作品として昇華させるのは至難の業ですが、見事なリアリティ。号外の見出しのような「彼は何故撃つた」を、詩として成立させているのが、「炎天」という季語の力に他なりません。
炎天や供花みづみづしき造花
横縞
炎天下に捧げらる供花ならば、さぞや萎れているに違いないと思ったとたん、「みづみづしき」ときて、さらに「造花」と着地する展開が実に巧み。造花の形状と色合いが禍々しくも感じられて。
炎天のライスカレーの刑に処す
べびぽん
暑さで胃袋もへばっている違いないが、この「炎天」に立ち向かうにはスパイスの効いたカレーですよ。さあ、たんとお食べなさい! という、愛情たっぷりの「ライスカレーの刑」なのだよね。
炎天や訃報A4に四行青に桃々
原型なき死骸轢きけり炎天赤馬福助
炎天や黒ネクタイの報道陣梓弓
炎天に溶けて戻ってこなかった海老名吟
どの木々も人も曲がっている炎天乙村藍里
炎天の顔に鼻梁の貼りつきぬ霞山旅
炎天や塩の柱と化してビル樫の木
指輪捨てようにもこんな炎天じゃ金朋かいと
炎天や控える月は熱かろう雷紋
べつたりと炎天垂れてきてしまふ古瀬まさあき
炎天や鳩ひたつつく鳩の死骸ふるてい
褶曲のなほ炎天をゆがみをり倉木はじめ
炎天の車夫の背が舞ふ僧帽筋あ・うん
炎天や托鉢僧の動かざるEarly Bird
炎天や影に寄り添ひ寄り添はれ愛燦燦
炎天の赤信号は透き通り藍野絣
人無き町炎天統べる映画かな間岳夫
炎天をクレーンの爪降りてくるあいむ李景
炎天の砂塵ハイウェイあの日のことIYパンダ
炎天や前期高齢を飲む逢來応來
炎天下殺人者の目の放心蒼月子
炎天や爆音の降る基地の街青井晴空
百会頭維炎天に牛耳られたり青居 舞
炎天やここは生きもの棲まぬうみ蒼空蒼子
炎天にえらさうに小便小僧青空まる
炎天に片翼燃した人ばかり青田奈央
炎天にものみな白い正午すぎあおのめ
炎天や港湾都市は赤さびて蒼鳩薫
炎天や隣家はけふも解体中あかを実果
炎天や夫は洗はぬ猫トイレ赤尾双葉
炎天や声も翳りもなき漁港赤波江春奈
炎天に酔ふて涅色の街ゆれる赤松鴨
炎天を一瞥したる土竜かな赤松諦現
炎天のしりとり休止ラ行で了赤目作
試走会みな炎天をひとつづつ明惟久里
炎天や米買ふ為の缶拾ひ秋沙美洋
テトリスめく街を炎天の観覧車秋さやか
炎天や三分の一爪剥がれ秋白ネリネ
炎天よ皮膚下のガラス気化させよ空地ヶ有
炎天や乾いて白き犬の糞秋野茜
炎天や氷の龍の眼はにやけ秋吉和紀
ペダル重く溶け出しそうな炎天下アクエリアスの水
白き波かぐろく巻かん炎天を芥川春骨
炎天や赤白帽のゴムの味淺井翠
やましさに指甘くする炎天下浅井誠章
炎天や影焼かれたる爆心地朝雲列
炎天や烏合の先のドラマロケ朝霧七海
炎天の途革靴の傷の数朝倉カグラ
炎天や眼裏にサヨナラの右手明後日めぐみ
炎天や孔雀が羽を牽いた痕字土街海
炎天の乗り換え駅のベンチかな麻場育子
炎天へ翳すカードは赤だろう芦幸
炎天や母は無呼吸症十年あじさいパスタ
炎天の草焼く炎森のバスアシツノカラ
炎天よ匂うのは生きてる証麻生ツナ子
炎天のビルの空隙旅客機があたしは斜楽
がんがんと炎天粘っこい経血足立智美
炎天の秘密諜報員の影新子熊耳
炎天のマサダ砦の固唾かな 中はじめ
炎天の餡かけ掻いて銀行へat花結い
炎天に怯むことなき露天商天晴鈍ぞ孤
元職はギャルソン炎天の鳶渥美こぶこ
炎天の青そのままに更けにけり跡部榮喜
地球のごとき炎天のガスタンクあなうさぎ
炎天の丘に少女の影送りsakura a
炎天や鯰の髭のゆるゆると天風月日
炎天を寝床から見る真昼かな天川滴翠
他県ナンバー並ぶ炎天のカレー屋あまぐり
炎天に配達員のペン熱しあまねくみぞれ
炎天のポスト正しく立ちにけりあまぶー
炎天の指先は荷へ歩む瞽女アマリリスと夢
炎天やレフトの影の小さく濃くあみま
炎天下の献花警備の白き手袋雨霧彦@木ノ芽
炎天や足場組む人タガログ語雨李
炎天を東京タワー尖る尖る綾竹あんどれ
炎天にチャイムの声の歪み揺れ蛙里
炎天へライオン像の口蓋垂ありあり
炎天やかの迷ひ猫通り過ぐありいかな
炎天下炉前作業を塩舐めて有本俊雄
炎天に水ゆれてゐる蝸牛管有本仁政
炎天に黒いヒジャブの乱れなし阿波オードリー
炎天の葬クラクションは短調杏樹萌香
炎天や鈍色放ち哭く柩車安春
炎天やどこか破れて熔けるまで杏っ子
炎天下ファーンと声上ぐ霊柩車安藤ツトム
炎天に鍵取り落とす駐輪場飯田淳子
ひたすらに夜を待つ炎天の墓地飯村祐知子
炎天の葬「体温は正常です」イエティ伊藤
サモサ揚げる揚げる炎天は激辛いかちゃん
炎天や連結列車の軋む音郁爺
炎天や癌が脾臓にあるらしいいくたドロップ
窯の戸を開けるが如く炎天へ郁松松ちゃん
炎天や魚の影這ふ池の底いくみっ句
炎天のバーを大腿二頭筋池内ときこ
外好きの猫炎天を確かむる池内ねこバアバ
すれちがふ犬濃くにほふ炎天下池田桐人
ガムランに酔ひ炎天の火葬式池之端モルト
炎天や手のひらまろぶ実の赤さ池ノ村路
炎天の抹香くさきスーツかなイサク
炎天を貫く玻璃の大吊橋いさな歌鈴
炎天よ鉄板を焼く火の青よ石井一草
炎天や掘削重機野獣めく石井茶爺
炎天へいでゆく君に塩むすび石井秀一
炎天や九回裏の初打席いしいるぴなす
三振と捕球音のみ炎天下石岡女依
炎天や宮入貝の供養塔石垣
炎天のトタンの下の微温い畳石垣エリザ
炎天や抜け殻はテナント募集石川巴里
炎天や空調服ペンキまみれいしきひさき
炎天を転んだ傷のしみること石崎京子
舟作る一人あやとり炎天下石塚碧葉
たましひのへろへろ泣くよ炎天下石塚彩楓
炎天は太陽風のハンマーか石の上にもケロリン
カメラの裏蓋開けたやうな炎気石山日滔
敗者復活炎天を三時間磯野昭仁
屋外ステージはベニヤぎつちり炎天下石上あまね
炎天を八つ突き刺す八ヶ岳いその松茸
「ドロケイ」か「ケイドロ」か炎天の喧嘩磯むつみ
炎天を獣医学部のポニーかな板柿せっか
炎天やしがない軒に釘を打つ市川りす
炎天の庭や木陰の手毬跡市川隆一
炎天や荷下ろす土の吐息かないつかある日
炎天の窓や麻酔の醒めぬ腕斎乃雪
炎天へガラモンのやうなる大樹一斤染乃
炎天や嘴開きて飛ぶ鳥よ和泉明月子
炎天やハレの日始まる鉾の町伊藤亜美子
仰向きて浮けば炎天ほしいまま伊藤順女
炎天の中営業はチャイム押す伊藤どらやき
炎天の罅探しをり犬も吾も伊藤柚良
小二てふ小鬼の群れや炎天下糸川ラッコ
炎天やシャッター街に天守閣伊ナイトあさか
炎天や埃に匂ひあることを井中ひよこ号
炎天や錫杖の井の水ゆたか伊奈川富真乃
炎天を包むがごとき餃子の手いなだはまち
炎天よ永久なるものに子の遊び稲畑とりこ
炎天に螺子締め直す足場板居並小
炎天の彷徨へる道あみだくじ伊縫音々
炎天や昼日中から狐狗狸さん犬山裕之
炎天やアルミの鍋で受ける水井上れんげ
船酔の眼に炎天の青甚し井納蒼求
炎天に百粒の雨の言ひ訳ゐのかたゆきを
炎天の城見えて絵本朗読会猪俣保子
炎天や大魔王まだ無失点井原冴
炎天や水ヲクダサイ赤き地にイマスノリコ
炎天下人湧き出る青信号井松慈悦
炎天の積めば塔なる川の石妹のりこ
炎天や地下道つたひ銀座まで伊予吟会宵嵐
炎天の落ちて来たよな反射鏡入江幸子
炎天を袈裟にバイクが走り抜く彩人色
炎天や供花乾びて草高し五郎八
炎天や水陸両用バス湖へ色葉二穂
炎天やおからドーナツ売れ残る岩木あきひこ
炎天下鉄たたく音猛々し岩木順
炎天下ハノイのバイク四人乗り岩清水彩香
炎天やガラスの壁の摩天楼岩清水蒼天
炎天を煩くないと死ぬバイク磐田小
炎天下肩組み叫ぶ応援歌いわつよ8
炎天をハイヤー連ね火葬場へういろ丑
炎天の火葬場骨は脆き乳色植木彩由
炎天の空美しや吾妻富士上野徹
よしといふ口癖のあと炎天へ上野眞理
炎天や社旗と国旗と安全旗上原淳子
炎天やきりんの舌のめくれをりうからうから
球審のコール高々炎天下うさぎさん
炎天や私は四華を持つ係うさぎまんじゅう
歩道なき側は影あり炎天下宇佐美好子
聞かん子を驢馬に跨せ炎天下宇谷アポロ
炎天や低きところを米軍機内田こと
声がれの応援団や炎天下卯月紫乃
駅前の交通調査や炎天下空木眠兎
炎天を四つ切り画用紙買いにゆくうつぎゆこ
介護臭は帰化す炎天を帰る靫草子
炎天の路地に薬莢なお眩し宇野翔月
炎天にレゲエのリズム影を踏み海口竿富
炎天は無音こはれゆく大地海野碧
炎天にプランクトンネット放つ海野穴熊
炎天を仰ぎ飲み干す水に空梅井さきこ
開通間近炎天のアスファルト梅里和代
炎天や財布忘れたまま散歩梅鶏
炎天の原爆ドーム吾子を抱く梅野めい
炎天に揺らぐセールのアドバルーン浦文乃
炎天へゆらと電柱たてらるる浦野紗知
炎天や斎場に鳴るクラクション麗し
獣の犬歯はなま白く炎天吽田のう
炎天の眉間を絞り切るあくび詠頃
炎天の弓射る少女静かなる江川月丸
カブリオレ潮風を截ち炎天へ蝦夷野ごうがしゃ
ねじ曲がり合う炎天の擦れ違い越冬こあら@QLD句会
炎天の名古屋の街にテレビ塔絵十
炎天や骸を運ぶものもあり江藤薫
炎天や地球は火傷だらけなり笑姫天臼
炎天を突き刺す平和祈念像朶美子
炎天に擦り切れそうな縄でんしゃM・李子
倒れれば炎天の焼き印となる絵夢衷子
炎天の5点差相手はシード校えりいも
炎天や痛みしづかに親知らずえりべり
炎天を突き抜けてゐる槍ヶ岳えんかず
炎天の火夫や汽罐車上り坂遠藤一治
炎天よ湖面も叩き割りそうな遠藤百合
炎天に外れ馬券の焦げて散る遠藤玲奈
炎天にシャントの腕の腫れ上がる近江菫花
沿道を埋める合掌炎天下おおい芙美子
炎天のバスで骨壷抱卵す大紀直家
炎天を「不当判決」掲げゐる大黒とむとむ
炎天や試技三度目の槍投ぐる大越マーガレット
炎天下不発爆弾処理ニュース大阪駿馬
炎天や盲導犬の足に布大谷如水
炎天や西に開かずの雨戸あり大塚恵美子
炎天や保税倉庫の戸は朽ちて大槻税悦
炎天や君と会う両足重し大津美
炎天の不発弾カフェへ避難大野静香
僕たちの翼は折れた炎天下大野美波
炎天の陰を伝いて僧一人大村真仙
炎天の中心はモスキート音大山和水
炎天を先に忘れるほうが勝ち大和田美信
手のひらに珠育める炎天下岡井風紋
解体の覆い帆のごとく炎天おかげでさんぽ
炎天に帆を失ひて漂へり岡崎蹊
炎天や影なき人が列のなか可笑式
炎天を喰らいて猛る原始林岡田明子
炎天やドミノ倒しの駐輪場おかだ卯月
炎天や縄文土器はののかたち岡田瑛琳
炎天へ第五レースのファンファーレ緒方朋子
炎天に太陽の塔挑むごと岡田雅喜
炎天のガラスに映るくろずくめおがたみか
炎天下被爆電車の走る町 岡山小鞠
炎天や車線規制のパトランプ小川さゆみ
炎天の岸にぬるりと航跡波小川天鵲
炎天の底に歌無き領土かな小川野棕櫚
炎天へからくり時計打つて出る小川都
黒塗りの炎天縫つてゆく車列おきいふ
炎天にひこうき雲の潔さオキザリス
炎天の底を掘り進めるユンボ沖原イヲ
炎天を知らでワイン樽のしづか荻原湧
炎天の幾たび断層の記憶奥野悦穂
炎天やたった一つの核兵器小倉あんこ
廃業の煙草屋炎天のポストおぐら徳
炎天下涅槃仏の目は虚ろ尾頭朔江ヱゐチ
腕に駄々子ぶら下げ猶も行く炎天音館由佳
炎天や岩肌を這う硫黄臭おだむべ
炎天を物ともしない渋谷かな越智空子
炎天を置き去りにして髪を切る落句言
献花堆き炎天のアスファルト音のあ子
炎天下ゴミ置き場から痩せ烏小野寺さくや
炎天や都大路は軋めきぬおひい
炎天に挑むや朝の冷茶漬け帯壱
空焚きの鍋買ひ替へに炎天下オペラ座の俳人
炎天や置き去りの尾を振り返るおぼろ月
炎天へ誘導棒えがく楕円温湿布
炎天下犬に股間を嗅がれをり海音寺ジョー
緋色なる理由炎天吸うたからかいぐりかいぐり
炎天や足裏を覆う地の嘆き海瀬安紀子
炎天や連弾の如き血流快晴ノセカイ
蛇口からぬるい水這う炎天よ 械冬弱虫
炎天の墓にて落つるひとしずく海堂一花
炎天の脱皮めりめりめくれけり灰頭徨鴉
炎天やフェイスマスクに当たる鼻海峯企鵝
炎天のゴーパチ軍用車の群れ かえるL
銀翼がゆく炎天の上澄みへ火炎幸彦
炎天の溶岩を行く更に行くカオス
炎天やゲームセットのホイッスル風花まゆみ
炎天に地球は少し楕円形風花美絵
炎天を練り上げ餡は照りいづる風早みつほ
鬱蒼を出づるや炎天の投網華胥醒子
炎天やカクカク動かないスマホ風早杏
トンネルを抜けて炎天側の席片岡六子
炎天に生きる生きると泣く赤子交久瀬小夜時雨
炎天や味噌汁飲んで無敵とす片栗子
炎天や工場消えゆく鉄の町加田紗智
炎天や睨めくる像を睨め返す片山蒼心
炎天やカミツキガメ注意の看板花鳥風猫
炎天や決勝点はパスボールかつたろー。
炎天の公園の空白の闇桂子涼子
母の死を砕く骨上げは炎天勘解由小路白湯
炎天やロードバイクの背中追ふ花伝
炎天やトタン屋根鳴く安普請加藤雄三
炎天より戻る煙草を吸ひし顔加藤ゆめこ
街中が嘘で真っ赤っ赤の炎天加藤麗未
炎天や規制テープの二号橋金井登子
引退は今日炎天のPK戦かなえの
打つ鉄板炎天の自動車整備叶田屋
炎天に全身で指す誘導員仮名鶫
炎天やポストの赤が怒ってる金子あや女
炎天や手加減なしのベビーカー兼子さとみ
炎天や校庭は隅までしづかカフェオレ草
炎天や暖簾が舐る我が項神長 誉夫
炎天へクレーンで昇りゆくピアノ紙谷杳子
炎日や木の影ひえる祇園さん亀井汀風
どのビルもビルを反射し炎天下亀田荒太
炎天の空は爛れて狂気の街亀田かつおぶし
炎天に尋ねし人の不在とは亀山逸子
炎天や温き水飲む首輪犬亀山酔田
救急車の歪むサイレン炎天下花紋
炎天に一万円を崩したりかりかり久助
道標を西に折れ行き炎天下狩谷わぐう
熊除けの鈴炎天へ婆は喜寿枯山日明萌
炎天や杖の焼印「八合目」川越羽流
痙攣は二度炎天の草野球川村記陽子
炎天をこの塀は爆裂煉瓦川村湖雪
炎天の納骨土は湿りおり河村静葩
炎天のひとこぶらくだ大あくび川村昌子
炎天やポストぷすぷす独り言閑々鶏
炎天の踏切バギーゆらゆらと看板のピン
炎天の鳩の羽ばたき生臭し喜祝音
炎天の信号待ちを街宣車キートスばんじょうし
炎天や山手通りのネズミ捕り季々諧々
炎天につまらぬものを買ひに行く岸野草太朗
炎天や砂撒き上ぐる象の鼻岸来夢
炎天の職質疼く親知らず季切少楽@いつき組広ブロ俳句部
炎天下指紋だらけのiPad北大路京介
三角コーン炎天の削岩機北川颯
米2キロ持つ炎天の歩道橋規田素乃子
炎天や白き灯台守の祖父北岳醍醐丸
全能や炎天の味の警笛北野きのこ
炎天やうらがへる葉の死相めく北藤詩旦
炎天をづぶづ吸引したきかな北村崇雄
炎天やスカイツリーに枝はなく木寺仙游
炎天やフクロテナガザルの叫びきなこもち
炎天や指紋は錆びて落ちにけり城内幸江
犬の眼にたゆたう炎天の瓦礫きのえのき
炎天や蛇口ほお張る野球帽木下桃白
炎天下お辞儀する老警備員木原トモ
炎天の銀行に物申す昼木原洋子
炎天や子を叱る声続きおりきべし
炎天の式典背広の仁王立ち木ぼこやしき
炎天や一秒タイム縮めたり木村かわせみ
炎天や何処かで星が生まれたか木村となえーる
炎天や道路舗装に軋むローラー木村波平
炎天の坂上りたる人力車Q&A
ガツン炎天に五感は弾け飛ぶきゅうせき
切り落とす左の耳や炎天きゅうもん@木ノ芽
炎天下庇の奥の写経かな鳩礼
臨月のへそのとんがり炎天下紀友梨
炎天の結界を裁つ稚児の太刀京野秋水
陽性を告げられて出る炎天下杏乃みずな
炎天下ガス欠迫るデスバレイ教来石
炎天より機体の影へ着陸す清瀬朱磨
炎天をねっとり落つる鳩の羽根霧島ちかこ
炎天を来て大学の固き椅子桐野鈴子
炎天へ背筋正しきアシカショーギル
炎天やミニーマウスの尾の鋭利銀紙
炎天を蹴落とし登る富嶽かな菫久
炎天や不景気そうな木陰の葉銀長だぬき
炎天とは錆びたる白のハウリングぐ
炎天に干した下着の硬きことくぅ
炎天下二時間待ちのアスファルト空龍
炎天やアキレス腱を確認す久我恒子
炎天や激辛すする外回り葛谷猫日和
虚しくも立ち尽くすかの日炎天楠田草堂
炎天の田道不撓の鴉どち ぐずみ
収骨にひとつボルトや炎天下くずもち鹿之助
炎天や千段長き立石寺工藤遊子
炎天に焦げつく色の難破船窪田睡鯨
駐禁のコーンみつしり炎天下くま鶉
炎天に高々と5機B29熊谷温古
炎天に放つ勝利の応援歌熊本芳郎
限度額オーバー炎天下のカード倉岡富士子
炎天の救急車無人の足湯栗田すずさん
炎天やチケツト何であたらへん栗の坊楚材
炎天に揺らす誘導棒と蔭空流峰山
正露丸の香の地下を抜け炎天くるみだんご
突貫の応援団の炎天へ久留里61
炎天や膝包帯の滲む染み紅さやか
炎天やへらへらしたる天邪鬼愚老
炎天に実家も記憶も解体し黒田良
炎天や爆撃音は空耳か桑田さなえ
炎天の街壊れ炎天の人くんちんさま
炎天にスローモーションビル破壊桂子
炎天や鳥が咥えてゐる無言恵勇
炎天やサクマ式ドロップスの薄荷けーい〇
炎天下深まる影は吾が喪服けけいっく
石を積む石を積む炎天仰ぐげばげば
炎天の阿修羅の腕のありどころ健央介
艶黒の電波塔炎天を突く謙久
炎天下草履貼り付き山頭火紫雲英
炎天や砂利に額づく無辜の民ケンG
炎天やラクダのコブは左寄り研知句詩@いつき組広ブロ俳句部
炎天を還り影すらなき我が家剣橋こじ
炎天を無期懲役の元少年小池令香
炎天下きぐるみからのモーター音剛海
ゼブラゾーン長し炎天と目が合ふ公木正
炎天に絞られ雲はでこぼこに紅紫あやめ
炎天やデモ隊の尾のゆるびたり幸田柝の音
炎天の空支えてる避雷針こうや こう
炎天のアスファルト相手に呟く古賀ちん
猫の死のどつぷりと腹炎天下五月闇
骨晒すプテラノドンを煎る炎天古烏さや
炎天やリブレセンサー誤差五十こけぽて丸
団長のハスキーボイス炎天下小笹いのり
炎天の那須の樹林や礼拝堂小嶋芦舟
炎天を注がれ回る観覧車小杉泰文
炎天に子宮を向けて亀甲墓コスモス
炎天に溶けないでいる登り棒木染湧水
炎天や小籠包となつてゐる小だいふく
炎天の茶屋街しづか夜を待つ小手鞠しおり
炎天や金剛不動の眩まぬ眼虎堂吟雅
炎天下勝利の兄のシャツ眩し後藤周平
炎天や異音異臭の室外機来冬邦子
炎天に取り残された鍬ひとつ小鳥乃鈴音
かりかりの手拭いじりじりと炎天古都鈴
パプリカは太陽炎天を輝く粉山
炎天や学ラン長き応援団このみ杏仁
吐く息もかすかに炎気めきしかな木幡忠文
炎天やかあちゃんぼくは家出する虎八花乙
炎天下パンダの列に並びけり小林昇
炎天に墓石の刻字輝けり小林のりこ
炎天下母の葬儀へ夏目坂こま
炎天を婆娑と払いし海鵜かな駒いっちょう
炎天にふんばる鳥居真つ赤つか小町瑞泉
炎天が爆ぜる喪服の背の辺り駒野繭
炎天を逃れやかんのラッパ飲み小山晃
炎天に利用不可なる観覧車五葉松子
中華屋のサンプル黒し炎天下コンフィ
炎天へ続く角島夢のごと斉実篤
干からびたルージュ捨てた日も炎天西條恭子
炎天下ろめん電車のゆがみだすさいたま水夢
一握の砂こぼるゝや炎天下埼玉の巫女
振り向かぬ人呼んでゐる炎天下彩汀
炎天や化石となりて吼える竜齋藤杏子
炎天に備長炭と向かい合うさいとうすすむ
炎天にドッヂボールの球掲ぐ齋藤ちの
炎天を背負うが如く地獄坂宰夏海
片交の赤旗あがる炎天よさ乙女龍千よ
炎天やJA帽の誇らしげさかえ八八六
炎天の墓石へ蔓ほとばしる榊昭広
炎天のFUJIROCKぶん回すタオル坐花酔月
炎天や開かずの踏切の律儀さくさく作物
炎天を慰霊登山の尾根遠くさくやこのはな
炎天の濡羽のカラス鳩を食むさくら亜紀女
米水油前輪撓む炎天下櫻井紫乃
翅を閉じ横たわる炎天のアスファルト櫻井弘子
炎天にくびきのようなランドセル櫻井りこ
炎天や街の巨大な温度計さくら悠日
炎天や紅殻を裂いて脂の泡桜よし榮
炎天や喉元締まりゆく喪服迫久鯨
炎天や敗者のヘッドスライディング雑魚寝
炎天や孕みし猫の大あくび笹かま
炎天や正殿のなき首里の城さざなみ 葉
炎天やパンク直しの高架下紗々
炎天や刎ねしマムシの赤き舌砂舟
炎天のしぶき匂へりビート板さち今宵
炎天の足場のラヂオや尋ね人さとう菓子
炎天や線路工夫は鋲を打つ佐藤恒治
炎天に洗いし犬の生乾き佐藤しのぶ
廃ビルを崩す炎天の鉄球佐藤志祐
炎天や犠牲フライの戻りくる佐藤儒艮
炎天炎天ひたすら山歩く佐藤俊
不意に音消えて炎天下に立てり佐藤ナッツ
炎天下肉野菜焼く我が身焼く里海太郎
炎天や五冠を目指す榧の盤佐藤佳子
炎天下空巣被害を見舞ふなり佐藤レアレア
炎天や甲冑を着し我の影さとけん
炎天を院外処方へ三十歩里すみか
炎天や喪服牧師はミサへ行く佐渡の爺
炎天や弁当売りのしゃがれ声さとマル
この草はコンクリ育ち炎天下里山子
炎天やどくり脈打ちさうな岩真井とうか
炎天に小猿は影を奪ひあふ錆田水遊
苦笑ひばかりの会釈炎天下さぶり
炎天の炎は白く皮膚を噛む紗羅ささら
炎天をきて何にでも七味振るさるぼぼ@チーム天地夢遥
炎天を飲みこんでやる嗚呼理不尽澤田紫
炎天や島人見えぬ定期船山賀
炎天に戦争を呼ぶ声がする山海和紀
炎天下新車めり込む車庫の壁三角山子
炎天やシャッター街に猫溶けて三月兎
炎天や日本列島反り返る三休
喉伸ばし青い炎天ささりくる三薫三実
炎天を逃亡つり革の軋み三水低オサム
炎天の大樹の中より子等の声塩原香子
炎天やビル街駈ける溝鼠潮見悠
炎天や道の柱のまがりやう四季彩
炎天や防災放送音割れる四季春茶子
炎天を追加のダッシュあと二本獅子蕩児
炎天にカレー掻っ込む大胸筋じつみのかた
炎天や選手宣誓ハウリング実本礼
炎天の黙祷白き炎たつ篠原雨子
JAFを待つ炎天の幹線道路篠雪
炎天の白い街犬の遠吠えしぶ亭
炎天や空にとけ出す樹々の碧渋谷晶
火の山を炎天に置き壺畑しぼりはf22
炎天に静かに割れて泥饅頭島じい子
炎天やこれから産みにいく私島田あんず
鬱王の影こびりつく炎天下嶋村らぴ
炎天下のびる白線山路ゆく嶋良二
井戸水に薬缶かたぶけ炎天下清水明美
炎天や外来生物だけの川清水縞午
炎天の無言無人の野菜売り芍薬
凝固する鳥語人語や炎天下ジャスピン
白壁を並べ炎天のニュータウンじゃすみん
炎天やうねるバイクとふくらはぎ砂楽梨
炎天へ東京メトロ地下を出ず洒落神戸
炎天のマウンド円陣の主将寿松
炎天や焦げて煙るか正午の影獣羅
べらぼうな炎天下にてインド象シュリ
炎天や音もなく出るEV車じゅん
靴音の鈍きシャッター街炎天じゅんこ
炎天や螺髪の影の濃かりけり春幸
炎天や市内放送なに言うてん順之介@QLD句会
さびさびと炎天を乞ふ観覧車常幸龍BCAD
炎天に古鍋の底割れてゐる正念亭若知古
炎天の金色は死骸異国の蟻白井佐登志
炎天や陰だけつたひ帰れるか白猫のあくび
炎天の影となるべく知覧発つ白よだか
炎天や大合唱のチャリ二人新開ちえ
炎天や墓文字なぞるレイテ島神宮寺るい
炎天の裏より鴉鳴き落ちる新城典午
廃部の危機や炎天に四股を踏む新濃健
炎天の廃線に待つ客車かな新花水木
腕の蚊の陰はふるふると炎天しんび
炎天に黙する能登や黒瓦しんぷる
んんっうあ炎天下の着ぐるみショー水蜜桃
炎天の鳥籠に棲む網の影すいよう
コンビナートの風塵炎天の鏡すがりとおる
炎天や轍の残るアスファルト杉尾芭蕉
擦り傷にオキシドールの泡炎天杉田梅香
炎天が眠つた龍を揺り起こす杉柳才
炎天の軽トラ亀と家財積み鈴木もま
投げおろす炎天の螺子鉄パイプ鈴木由紀子
炎天へ断固阿修羅となりにけり鈴木麗門
炎天の重力強しビール箱鈴白菜実
炎天や追い越して行くシニアカー清白真冬
炎天の解体銭湯のえんとつ鈴野蒼爽
炎天に河童の木乃伊ゐる寺へ主藤充子
炎天に凍りし鳥語人語かなスナップえんどう
炎天や固き施錠の寺の蔵砂山恵子
炎天や海峡わたる銀の船すりいぴい
炎天や愛宕の神は膝まくり諏訪次郎
炎天や日時計強く正午指し静江
火渡りの如炎天の浜歩く晴好雨独
炎天下ビルの影踏み通院す青児
終戦を告げられ炎天貫かる瀬紀
炎天や轟く鋸と杉の香と摂田屋酵道
炎天や豚足煮込むタイ屋台背馬
裏庭に野良の炎天飼ひてゐる世良日守
炎天やカフェの空気の透きとほるせり坊
炎天に折鶴放り投げている仙台駄菓子
足場組む現場を怒声炎天下千波佳山
炎天や水飲む咽喉の脈速し惣兵衛
三味線の歪んだ音や炎天日そうま純香
炎天や踏み絵のやうなマンホールそうり
炎天へ外れ馬券の舞ひ散れり素空
炎天に勝る力湧き土手走るそしじみえこ
炎天や空を焼き割り零れおつ外鴨南菊
炎天の鬼押出しに降りる雲園蜩
炎天や錆の匂ひのジャングルジムソフィ
来たれ白大島炎天の坂をそまり
炎天をぶおぶお巨大変圧器染井つぐみ
炎天や鍵の付け替え五万円染野まさこ
炎天の柱に探す化石かな空豆魚
炎天の網に残るは羽一枚それいゆ
炎天は針を降らせてゐるのやもぞんぬ
4番線より炎天がまいりますたーとるQ
魔女の一撃や窓の炎天見上ぐ大
酸っぱめの香の炎天の畳かな太閤検地郎
炎天や離れたそうな夫婦岩泰山
炎天や骨壺抱くレースの女平たか子
送電線・巨大ガスタンク・炎天平良嘉列乙
炎天や博物館のミイラ展高石たく
炎天のケバブ屋みんな気怠そう高尾里甫
炎天や殺意すくすく成長す 高木音弥
炎天や古書回収の紐の跡だがし菓子
炎天や背番号なき応援団たか祥
教室にゐられず炎天の屋上高田祥聖
炎天やキッチンカーの列解る高橋久恵
炎天や東京は営業の街高橋寅次
駅までのまっすぐな道炎天下高橋ひろみこ
炎天へかざす消毒済の掌を高橋ままマリン
炎天やひとりで叔母の三回忌たかみたかみ@いつきぐみ広ブロ俳句部
炎立つ炎天のHIROSHIMAあり高山佳風
礼装の真珠沖縄は炎天滝川橋
炎天や少女の背負う防具入卓鐘
炎天の真下の和式便器かな多喰身・デラックス
炎天や一条戻橋に母竹内一二
炎天を来る「冷えピタ」の配達夫竹口ゆうこ
炎天やすでに白砂の吾の脳武田悟
炎天や開園前の満車札多胡蘆秋
今日からはロレンスと呼べ炎天下多事
電線の影のにじみて炎天下たすく
炎天や決め込んだ黒シャツに塩黄昏文鎮@いつき組広ブロ俳句部
炎天や墨より黒き影の色糺ノ森柊
炎天が太陽に傷んでゆきぬ多々良海月
炎天の屋上あえいうえおあお立川茜
炎天や降参する人出来ぬ人太刀盗人
炎天やシャガールの赤ぬらめきて橘萌香
炎天や足跡化石は竜と人ダック
炎天の勇者雲梯の攻略立田鯊夢@いつき組広ブロ俳句部
炎天に蠕虫渦を巻きて干る辰野史会
炎天や仕事師の目の尖りをりたていし隆松
炎天や三万層の日本刀立石神流
炎天を登る一列月山へ蓼科嘉
炎天へ少年兵は鳥になり立部笑子
炎天に風切りその風受けてたつ田中明美
炎天や鍵盤のごと人の影田中紺青
炎天をバイク駆け抜く墨衣谷口あきこ
炎天下撮るに己の影も撮り谷町百合乃
恐竜の足跡乾く炎天下谷本真理子
大山を背に雲巻き上がる炎天多歩右衛門
炎天の応援席の遺影かなたま走哉
低いほど炎天ちから持つてゐる玉庭マサアキ
炎天や全て塗り潰して真白たまのねこ
炎天や帽子捨て去るゴール前玉響雷子
炎天やダムに現わる里の道たむらせつこ
まだ乱れ無く炎天の喪服列田村利平
演説中止炎天の駅しづかダンサーU-KI
四方より折り畳まるる 炎天丹波らる
炎天下刷毛滑らかに塗装工知恵さん
炎天や貴船の神へ雨を乞うちくりん
炎天を切取る愚図な観覧車千歳みち乃
片目の海賊炎天の二の腕千鳥城@いつき組広ブロ俳句部カナダ支部
炎天下水の記憶で象は行く千葉睦女
炎天やはたりはたりと象の耳ちゃあき
炎天や風防割れた掛時計千代 之人
音割れの町内放送炎天下月石幸
炎天の入る瀝青五ミリ深月岡方円
炎天に小さき骸や通勤路つきか
立ち漕ぎの聴診器揺れ炎天下つきのひと
炎天のはじめは今日もグラシン紙辻内美枝子
炎天やてかてか光る河馬の尻辻野花
炎天下烏喘ぎつ急降下対馬清波
炎天や空のボトルのまだ結露つちのこ
炎天や屋外スピーカー無言土屋ひこぼし
炎天の試合リストバンドの跡土谷海郷
炎天や富岳の解析は山場津々うらら
順番に泥浴ぶ象や炎天下綱川羽音
炎天のいやに冷静なる迷子ツナ好
炎天や地軸のつひに歪みたる露草うづら
パスワード忘れて昼の炎天へ露口全速
炎天へ鳩一千羽解き放つツユマメ@いつき組広ブロ俳句部
炎天に倒れ掛けてる応援旗手嶋良夫、錦流
炎天や座敷に重機梁露わ徹光よし季
炎天や社旗も国旗もうなだれててまり
炎天下パリへの列車逃しなむ手毬まりこ
炎天や工場群の重油臭寺尾当卯
一歩ずつ角膜濁る炎天下電柱
炎天の兵は死人を踏みゆけりでんでん琴女
ジェットコースター炎天の穴へ消ゆ天陽ゆう
炎天やいのちをとり立てて何処天六草太郎
炎天や不発弾処理作業中土井あくび
新幹線炎気の中を突っ走るどいつ薔芭
梯子揺らし職人ヒョイと炎天へ苳
炎天や六角堂のへそ出臍トウ甘藻
休園や炎天の実は熟れてをり東京堕天使
炎天の青は高画質に過ぎて東戎
カブはふらふら炎天を乗せてゆく藤白月
炎天に風の音するポルシェかな道隆
炎天や参道の砂利ぢりと踏む遠峰熊野
サーブ打つ炎天を射る容して常磐はぜ
炎天の水場鳥彫刻のごとし徳庵
思考はまっしろ炎天の侵略独星
炎天の土曜日候補者のマイクどくだみ茶
炎天に落とすスクラム残二分としなり
炎天やメトロノームの犬の息十津川ポロ
選挙ポスター炎天にまだ笑んで戸部紅屑
錆落とし塗る炎天の鉄アレイトポル
四畳半の炎天 陽性であるとまや
脱け殻に白い糸あり炎天下冨川きよこ
炎天のグローブ空へ歓喜の渦斗三木童
炎天や路地にパトカーの待ち伏せ富野香衣
炎天へ落ちゆくウォータースライダー登盛満
炎天を声歪ませて選挙カー富山の露玉
炎天や父の遺影と見た聖火鳥田政宗
炎天をお金十万下ろすだけとんぶりっこ
地下街を出て焦げ臭き炎天にとんぼ
炎天を啼き交はしたる鴉かな内藤羊皐
炎天にテニスボールを拾ってゐる直
炎天や止まれで止まる救急車なおじい
炎天へ真白な坂道の途中なかかよ
炎天や豚の丸ごと吊るされり中十七波
炎天や午後の渚のおとろへる中岡秀次
炎天や子等の攫はれたるごとし中里凛
炎天下廃校護る金次郎中嶋和久
炎天下銃を担いでただ歩く中嶋緑庵
炎天の重力深海の浮力中鉢矢的
炎天や色褪せてゐる石野真子中原柊ニ
炎天に漢の笑い顔が有りぬ中平保志
炎天や切られたダリの左腕なかむら凧人
炎天や窓枠の影十字の影中村まさあき
炎天の寥に鉄砲の幻聴永谷部流
インターホンより炎天と分かる顔新蕎麦句会・凪太
炎天を補充しにゆく昼休みなしむらなし
炎天や黒ずむ疑牝台軋む夏風かをる
炎天を指さす平和祈念像夏草はむ
炎天やツアーバス待つおはらい町夏雲ブン太
炎天の戸がまだ開かず診察券夏湖乃
炎天を映してビルの仁王立ち夏椿咲く
炎天下行き先知らぬバスに乗る夏野あおのり
炎天に黒猫融ける吾と雑じる夏雨ちや
炎天の直葬お骨が白い夏雨ちや
独歩の足裏へばり付く炎天七草木香
炎天の献血車からプロレスラー七瀬ゆきこ
炎天にぱりぱりと魂離るる音七森わらび
炎天の島に石切り夫の一打菜々乃あや
炎天や罪状は冤罪とする 菜々の花畑
炎天や古い油のごとにほふ⑦パパ@いつき組広ブロ俳句部
炎天や運ぶ卒塔婆の梵字ゆる名計宗幸
炎天の我は電柱より太し奈良素数
炎天を不機嫌に行く風点けて二階堂恵
炎天や東京ドーム爆ぜさうな西川由野
炎天や供花に生者は満足し西爽子
炎天を裂く鶴嘴の弧の孤独西田月旦
炎天や京の碁盤目探す家西の京あんこ
炎天の十字砲火の切通し西野桃果
炎天や古書店という暗き穴西村小市
阻まるる給水炎天の競歩西村棗
炎天へかかげて熱をもつチューバにゃん
炎天の靴音軋むアスファルト二和田躬江
炎天や眼科の看板が怖い 仁和田永
炎天や三段跳びの砂の跡庭野環石
炎天や抜歯窩にまだゐるパスタ暖井むゆき
炎天や防災ヘリの影ゆがむ沼宮内かほる
炎天に客乗るラクダ遥かなり根々雅水
バルーンリリース炎天を喰らふやノアノア
炎天や今朝のおさげはよく刺さる野井みこ
炎天や空調服の電池切れ濃厚エッグタルト
影踏みの影からも声真炎天野口雅也
炎天や誰か忘れて行きし影野地垂木
ミサイルの炸裂を聞く炎天下埜水
炎天に聞き洩らしたる着火音ノセミコ
きりもみの翼よ青き炎天を野点さわ
炎天や信号渡るTレックス野々かおり
炎天や謝罪の菓子折りは四角野ばら
炎天の真正面へ海のうた野村起葉
炎天やガードマンの影短し則本久江
炎天の採石場へダンプカー俳句王
墓穴から覗く炎天の足音稗島塗小太郎
炎天に真っ直ぐ届くハイパント谷素数
嘴のほやほやのいろ炎天へ白庵
炎天やドックのペンキ肺を衝く白雨
ただの石に還す僧侶や炎天下はぐれ杤餅
炎天下救急受け入れミーティング波止浜てる
炎天下十四時の空く駐車場橋本恵久子
炎天を散水詮の開放音橋本こはく
バスケ部の声炎天の半旗垂る長谷川水素
炎天に銃口向けるスターター長谷機械児
炎天や鉄路消え波駅を打つ長谷島弘安
炎天の空気を濾して喫む煙草八九テン
リヤカーへ怪我の父乗す炎天下パッキンマン
炎天や鴉は声を飲み込めり八田昌代
「のぞみ」降り匂うホームの炎気華樹
炎天やゴジラのやうな室外機花咲明日香
炎天やバイクの僧の空調服はなぶさあきら
炎天やまた祝はれぬ誕生日ぱぷりかまめ
寄宿舎が壊され炎天が鳴った葉村直
炎天をどどどメットの西瓜柄巴里乃嬬
軒陰の猫溶けて澱む炎天播磨陽子
炎天の葬列冷めた銀釦晴田そわか
炎天下わたしまで無頼の原色晴菜ひろ
目眩ましなり炎天の迂回路春海のたり
炎天や御神体熱帯びてをりHNKAGA
炎天にぢりぢりなづき枯れゆくやはんばぁぐ
二級建築士合否通知待つ炎天万里の森
炎天の付き添い母の検診日ひーちゃんw
土間通る奥からの風炎天下東の山
トーマスのシーツはためく炎天下東原桜空
炎天を生まれて糞を転がすのみ樋口滑瓢
炎天や赤瓦のシーサー阿吽樋口ひろみ
携帯は鳴る炎天の千鳥車庫土方雪駄
また違うバス炎天に目をぬぐう菱田芋天
祝ひ言みたび諳んじ炎天へ美竹花蘭
廃炉まであと四十回炎天ひでやん
炎天は遥かカテドラルはしづか日向こるり
炎天やベルト真白きガードマンひなた和佳
あれこれを干し炎天を飼ひならす比々き
炎天や定刻に来る配達員ヒマラヤ杉
2t車のタイヤ交換炎天下ヒマラヤで平謝り
クラウチングスタート炎天の黙向日葵姐@いつき組広ブロ俳句部
エンジンのかからぬドドド炎天下日吉とみ菜
炎天の機窓に珊瑚の島の影平井千恵子
炎天の墓前の僧の鈍き声平井由里子
炎天の底を葬列ゆらゆらす比良田トルコ石
炎天に鼻カニューラの老婆行く平野孤舟
炎天のベンチ剥製めける鳩平本魚水
炎天のグランド滑り込み固し比良山
炎天や怪獣の胃の中にゐる広木登一
炎天や百歳は今日も御元気廣重
炎天の補欠へ二階からエール広瀬康
炎天が燐寸の炎冷ましけり弘友於泥
繰り返すニュース炎天に硝煙ひろ夢
炎天を鉄砲肩の三秒間フージー
暁闇を以て炎天の兆しあり風慈音
炎天の犬へ水筒の有りっ丈風泉
炎天にビニ本がカラカラめくれ深川佳子
あと一周告げるメガホン炎気立つ深蒸し茶
血走った眼はきっと炎天のせいふくじん
水舐めるねこの目に映る炎天福ネコ
オレゴンの炎天へ投擲の槍福良ちどり
炎天にひとり交通量調査藤井かすみそう
炎天やライフセーバー影燃ゆる藤井眞おん
炎天に生餌を放る飼育員藤色葉菜
ビルの影につまづきそう炎天下藤川鴎叫
足と鍬三本洗ふ炎天下藤川雅子
炎天に碑はしんしんと直立すふじこ
炎天や草むらに残る鉄棒藤田康子
炎日の恋よ乱拍子の海よ藤田ゆきまち
炎天の道靴に入った小石藤永桂月
のつぺらぼうだらけや炎天の町は藤雪陽
炎天に茫々の水軍の跡藤原墨純
炎天やビル薄ぺらな炎天に藤原素粒子
耐えがたきを耐え炎天の縫いぐるみ布施無門
炎天のワッショイややデクレッシェンド布野悠乃
炎天を向く木の花の紅きかな風友
炎天を突き上げ鉄塔のビリリ冬のおこじょ
動かざる気に気圧さるる炎天下冬野とも
汁ぬるぬらと炎天の圧搾機碧西里
炎天や水車ひとつが生きているペトロア
炎天下だーれだをするをんなの手へなけん
炎天や駐禁切符のインク擦れ北欧小町
炎天や鎌倉の大仏しずかぼくのはね
炎天の肺魚の傷やカフェテラスほこ
炎天下関数の問ゆらゆらり星雅綺羅璃
角無くすバイキンマン像炎天下星月さやか
炎天を掘り出されたる土器土器土器干しのいも子
炎天や津波の高さビルにあり星野はいかい
炎天へ放つメントスコーラかな星乃ぽっち
炎天を来て余命五日の父とほしの有紀
モネの絵や露店に傾ぐ炎天下甫舟
炎天のレールの継ぎ目余地少し細川小春
炎天の延長円陣は弾けポップアップ
炎天や行く手に歪む直線路堀邦翔
我が臓器あまねく炎天の影にほろろ。
武蔵野の炎天は濃く真つ平ら梵庸子
炎天や頸動脈に保冷剤凡狸子
炎天をくぐり魁夷の襖かな前田冬水
炎天や封切り初日のタロとジロ茉叶
炎天下犬の尿を急かしたり真壁かん
炎天の列なすユンボ墓の如まがりしっぽ
炎天や子に象の死を教えたる牧野冴
炎天や消毒のみの歯科通ひまこ@いつき組広ブロ俳句部
炎天の恒河に終の煙あり正岡丹ん
炎天を煽る掘削音ドドド眞さ野
炎天の十字路郷は左かなまちる
炎天の大鍋満たす山の塩松井くろ
炎天の彼方に太陽核融合松尾老圃
炎天にゴミ当番の終わりけり松川梅子
当面の敵は炎天肌を刺す松平武史
ママ友に遇はないやうに炎天下まつたいら西
校庭の蛇口みな炎天仰ぐ松田慶一
炎天やあと一段の男坂まつとしきかわ
炎天という語を知らぬ少年期松本俊彦
炎天に飲む酢の試飲京のまち待雪みほこ
恋はかなわず炎天の耳の影真冬峰
炎天や奪ふ愛など見あたらずまめばと
濁声やビルの作業は炎天下まりい@木ノ芽
上り坂なしに帰れぬ家炎天まるにの子
炎天や砂漠の先はエルドラド丸山隆子
御巣鷹の炎天掴む柱かなまんぷく
炎天に筋金入りの草の影みい
炎天を相撲部腹をはじき合う三浦にゃじろう
炎天や角ふやけたる届け物澪つくし
炎天やサンバのふくらはぎドゥルル帝菜
ハンドル動かぬ炎天の駐輪場岬ぷるうと
炎天や土間抜け奥の井戸の水三島瀬波
まだ弱い涙干せぬか炎天よ巳智みちる
炎天下外階段の錆びの赭みちむらまりな
炎天や空調服のゆるき風みづちみわ
炎天や硝子の雨の刺さる星満る
被写体となりて渋谷の炎天をみつれしづく
歌舞伎町貪る炎天の腐臭南方日午
炎天や猫のお墓は坂の上水上ルイボス茶
炎天や熱のうねりの駐車場水無月葉子
炎天や急に踏切警報機港のパン屋
炎天下理科室の窓濁りけり南風の記憶
炎天や太陽の塔腕広げみなみはな
炎天や三年ぶりのスーザフォンみほめろ@いつき組広ブロ俳句部
炎天に天逆鉾突立てり美村羽奏
炎天下握りしめたる二百円宮井そら
炎天下おじぎ看板工事中見屋桜花
炎天の市電消灯し沈黙宮康平
ローカル駅はまだか炎天五十分都乃あざみ
炎天に溶けゆくバスのがらんだう宮坂暢介
炎天にへばりつきたる金の鯱みやざき白水
炎天や鴉の声の楔形宮武濱女
炎天に醤油のやうな影落つる宮部里美
炎天に晒す身ガマの闇を出てみやま千樹
炎天眩し一本道はモノクローム宮村寿摩子
12時の防災無線炎天下宮本モンヌ
炎天やジリジリ痛む隠し傷みわ吉
炎天下大地の罅の暗い闇夢雨似夜
炒飯を傾げ掻っ込む炎天下麦のパパ
炎天の墓石ずぶ濡れの親父椋本望生
炎天を這うかに風の塊は無弦奏
炎天やべろんべろんと犬の舌むねあかどり
無蓋貨車の石灰石の白 炎天無恙庵閑酉
炎天の奥に絶島あるらしき村上牛蒡
炎天や電柱よがむ僧よがむ紫小寿々
炎天のマウンドにゐる吾は鼓動村瀬っち
炎天やワックスの香とビブスの香村田憲俊
炎天や動物園の獅子蹴伸びむらのたんぽぽ
炎天下閉ざされて磁場の中にいる目黒智子
炎天や托鉢僧の影の濃し目黒千代恵
炎天や魔曲奉じる七回裏毛利尚人
炎天や模擬原爆の投下跡茂木りん
炎天の列やきそばは五百円望月ゆう
炎天や下から上へ斬る刀望月朔
炎天に死神とふとすれ違ふmomo
独逸語の喧嘩は炎天下にすな百瀬一兎
炎天に畳む二千のパイプ椅子百瀬はな
炎天に地表を削るショベルカー桃園ユキチ
炎天下西郷どんは犬連れて森佳月
炎天のファン付ベスト塩辛し杜まお実
炎天に粘性のあり隅田川森毬子
眼裏に紫凝らす炎天は森海まのわ
炎天下漆黒覆うゴッホの黄森佳三
目の合うて炎天動かざる額もりさわ
炎天や靫葛に落ちる虫森下薫
パイロンは部下炎天の交通整理森田祥子
炎天や短い影がボール蹴る森中ことり
血管の浮き上がる腕炎天下森山博士
炎天に山田の美技でゲームセットもろ智行
納骨の読経項刺す炎天八重葉
炎天にだだだ高圧洗浄機山羊座の千賀子
炎天や人もゴリラも子に日陰薬膳容子
炎天や罅にテープのガラス窓矢口知
炎天やドミノ最後のひとつ立つ簗瀬玲子
炎天やグランド広くてさびしい矢橋
朱鳥の家へ炎天の一本道八幡風花
炎天下己が影を踏み歩く村の百合女
炎天やわれの踏みゆくわれの影山内彩月
炎天にふつふつ籠もる耳順かな山河穂香
炎天や老女を捜すアナウンス山口一青
炎天や鎌携へし登校日山口一青
炎天の筏の上の海鳥や山口香子
炎天や川面たぎりしあの日ありやまさきゆみ
炎天や首の後ろのたくましき山下義人
炎天の空気のあまき自転車よ山田蹴人
炎天を戻る花束みずみずしい山田蚯蚓
炎天の踏切が詩になりたがる山本先生
炎天や甍の下に眠る町山吉白米
炎天を駆ける牝馬の首白し唯果
炎天のケルベロスの鼻は乾く結壱隆月
炎天の署名極太ボールペン柚木みゆき
炎天の二人待ちゐる献血車遊羽女
炎天の序はティンパニの奏でける有野安津
歳時記の表紙反りたる炎天下宥光
炎天下とけるのか食べ終わるのかゆうみりん
時計屋のシャッターくぐり出て炎天ユ綺
炎天や墓石に刻むみづの跡雪音
大鳴門橋炎天に手をひろげゆすらご
炎天や聞く人のなき選挙カー柚木啓
炎天や瓦礫に残るタオルかなゆみずくん
炎天や焼骨の間の語り草夢見昼顔
炎天を母の遣いの文持ちて湯屋ゆうや
炎天や熱の患者の車中待ち横田信一
コンビニに先づ寄ってから炎天下横浜J子
炎天の木の影ばかりふみにけり横溝麻志穂
炎天や爬虫類舎に人の群れ横山雑煮
炎天下かしわ手二回雲が割れ吉岡幸一
炎天を回る木馬の個体距離吉川拓真
炎天に薬缶の蓋の水の味よしぎわへい
白バイの傾斜走行炎天下吉田あじょあ
炎天や同じ人間と云う口吉田郁
炎天や素振りを終へて待つ出番葦たかし
壷を売るをんな炎天をさまよふ吉行直人
炎天やみづなき道のみづのやう四葉の苦労婆
炎天や岩の屁の痕とふ穴へ余田酒梨
密か事終へ炎天の我が影とラーラ・K
炎天や画布の黄色はただならぬ楽花生
炎天やマッチ箱の家に住むららら句らら
炎天に血糊にも似し写経かなリーガル海苔助
炎天を軋めき過ぐや無蓋貨車理佳
炎天や会釈忘れぬ警備員リコピン
炎天や刃文に昇る火の景色柳絮
炎天へ起重機を突くビルの上ルージュ
炎天に減耗したるセンターライン瑠璃星
浜辺への隧道ひやり炎天下蓮花麻耶
炎天に姿現す不発弾連雀
炎天は太陽の鬣なのかローストビーフ
炎天の影拾う裏町通り若宮直美
炎天に目醒むるごとき山河かなわたなべすずしろ
赤い実をもぎ炎天に突きつけるわたなべいびぃ
炎天を裂け槍投げの放物線渡邉竹庵
炎天を来てバーガー店の昏きこと渡辺陽子
炎天や産寧坂の水の跡渡邉わかな性
灯油缶重し浮き腰に炎天亘航希
面倒な来客のあり炎天下侘介
右翼ってどっちだったっけ炎天和山しなもん
炎天の墓に造花の歪みけり笑笑うさぎ
炎天や赤子の歯二本覗けり大竹八重子
炎天のマーチングバンド音揃ふあねもねワンオ
炎天やお天道様へ放屁せり阿部八富利
炎天に手繰るザイルやクライマーアンサトウ
炎天に鳴く雀の声たくまし飯田むつみ
炎天にキンカン乾かすラガーマン池田華族
炎天に番水つなぎ気を張りつ伊泉不洋
炎天の伐採音止み刻を知る一秋子
炎天に胃がん検診列をなし井上幸子
炎天を自転車旅の親子らし井原昇
炎天に負を焼く龍の笑い声今井みどり
炎天に陰を拾ひつ乳母車いまいやすのり
炎天や虫ボンネットに腹晒し今村ひとみ
炎天や白髪の鴉地を這いて丑十八夜書
炎天下サドルまたがり立って漕ぐ臼倉桃子
炎天に延長ホームラン涙うた歌妙
炎天やリースの寝間着とナースコール卯花かろん
こんな日に子らは探検炎天下榎風子
炎天や海は平らに山出張り旺上林加
炎天や職場の窓からスカイツリー大江鈴
炎天やカット鋏に映る汗岡田恵美子
炎天下宰相斃れ焔立つ岡本選魚
アスファルト焦げつく影や炎天下加裕子
炎天下柩車の陣の黒光り加良太知
炎天や地球儀カラカラ廻りけり小山秀行
炎天や島に一つの信号機GONZA
炎天や空き家の如し眞昼かな坂田貞雄
炎天に準決勝のコイントス坂まきか
炎天に守る球児の面構え坂本千代子
炎天のミットの下へ手跳び込む山月
炎天下塗るか剃るかの腕試し3代目ふくろう
炎天の影に吸われし虫の群紫瑛
炎天や閻魔が鬼の鬼ごつこ潮風の台所
炎天や沖縄復帰五十年塩沢桂子
炎天のゴール最後の走者待つ芝野麦茶
炎天下幼なじみのふくらはぎ縞子勾苑
天地の病もろとも炎気かな清水容子
公園の懸垂五回炎天下下丼月光
炎天や「休業中」が「閉店」に沙那夏
チャリ漕いで夢の蓄積炎天下写俳亭みの
炎天やギリシャの波紋立つ野音柊ニ
炎天下顔をそむけず野花立つ秀道
炎天やアポロらの穿孔開く種種番外
炎天や茶溜に聞く鬨の声深幽
ウクライナ畑焼く炎炎天へ酔軒
炎天に土埃上げベース踏む酔芙蓉
炎天の力投の君と息止める菅原千秋
炎天や隔離の窓に孫の顔杉浦あきけん
炎天下道聞かるるも知らずして杉本果ら
炎天に他国の不幸を忘れおり鈴木暮戯
霊柩車炎天下ゆく影曳きてせいしゅう
利根川の流れ果て無し炎天下勢田清
諏訪の湖たゆとう筏炎天下鷹野和美
トラックの上炎天と競う若者よ高橋紀代子
炎天や帆船ぐんと胸を張るたかはし薫風
炎天下大地を掬うショベルカー高見正樹
太閤や遥か炎天の伏見城唯飛唯游
炎天や名を連呼する選挙戦田畑整
炎天に線で結ばれ陽と私玉木たまね
炎天の展望台の意志遥か澄心静慮
炎天や祖母へ着物を左前長楽健司
炎天や翁の真白きカイゼル髭彫刻刀
箸たがふ日の炎天いさぎよき昇天つくも果音
炎天や鉄柔らかきロープウェイてつねこ
炎天下相馬の武士は野馬を追い峠南門
炎天へバベルの塔を積み上げるとかき星
炎天や子どもら競ふ化石採りときめき人
炎天やドクターヘリは発進すとよ
炎天下君への氷なだれけり鳥元優子
炎天の刺す襟足から後れ毛永田千春
炎天や三年ぶりの母の顔中西歌子
炎天や自動ドアーの天と地と仲操
炎天の綻び繕う糸あれば中村こゆき
炎天や不動尊さえ身をよぢる名草
炎天や吾「脊柱管狭窄症」の手術待つ夏目坦
炎天や「戦地」なる語の今も尚野原蛍草
炎天下眼で挨拶し過ぎる人馬笑
炎天の肥やす塩粒天の味花弘
闊歩する若き乳房や炎天の浜花和音
炎天や高校野球予選落ち羽馬愚朗
炎天下ホームに降りし喪中服 浜友輔
炎天や瀧谷不動あと2丁原田民久
炎天を言い換えてみる昇華などはるなつきえ
病気では行けぬ病院炎天下はれまふよう
炎天下グランド蛇口虹がたつばんしょう
炎天や灸据へし祖母のいびきよ福田みやき
炎天やワゴンセールの靴下屋藤原涼
炎天やビーチクリーンの三世代房総たまちゃん
炎天のまぐろちきゅうにとっしんす藤田流歌
炎天や静かに脈動する地球茫々
炎天下自転車手にし渡船かな芳明
地球全部ひっくりかえして炎天下堀江むすぶ
炎天やポニーテールの位置高く堀川彗直
炎天の読経吃るや金閣寺真喜王
炎天に二人背ワタ取りのバイト抹茶子
炎天や虫の骸が巣穴へと三茶F
炎天下虫のむくろを運ぶ蟲霧想衿
炎天を杖の老女の一歩づつ三崎扁舟
炎天の体温越えの名所かな水川海豊
連れ合いの無駄口宙に炎天下妙
炎天や競技自転車宙を舞ふみらんだぶぅ
炎天や水の地球と融け合ふ吾睦月くらげ
炎天や獅子をぢりぢり剣闘士メレンゲたこ焼き
炎天に祝詞響くや地鎮祭山川腎茶
炎天に逃したバスを見送れリ山崎のら
炎天や母の背中におんぶ紐哲山(山田哲也)
桐ダンス見送り一礼炎天下山田啓子
炎天の午後の静かや抹茶立つ宙美
炎天やベースの少女初舞台陽のばぁば
炎天を支へ東寺の塔かごか羊似妃
炎天嘘で飾る詐欺師の人生吉武茂る
炎天や坊主遅れて白ベンツ流流
炎天や妻の武装は摩訶不思議麗詩
炎天や浮気現場の家の奥和光
炎天よその青きは温度ゆえか321ちいに
炎天の日々に果実の爆発すANGEL
炎天の雲は芸術神宿るあいあい亭みけ子
はぐれ雲一つ炎天よ相澤泉
炎天やスーパーボールに跳ねる水葵かほる性
炎天下黙々作業老夫婦赤とんぼ
炎天の海鷹の群れて巌のうへacari
炎天やズックに張り付くアスファルトあかり
炎天に大雨警報島国日本聰子
炎天下土を集めて甲子園昭谷
炎天にイヤホンこめて藤井風秋野萱
炎天下ブルトーザーのうなり音あきみ
炎天に花だけにして墓の母空家ままごと
炎天を避けてひとりで草を抜く秋代
炎天の木陰で頬張る水菓子や天空海まりん
炎天の外を横目に文を書く芥茶古美
炎天や最短ルート検索すあくび指南
炎天や実行委員が決まらないあさいふみよ
炎天に負けじ号音ラッパ吹く淺野紫桜
炎天を傘で防止の少女かな淺野俊也
一歩一歩炎天滲むるふくらはぎあさのとびら
炎天のサッカーボーイ弧を描く朝日雫
炎天か猫も杓子もふらふらに亜紗舞那
パンクせし自転車重く炎天下あじさい卓
炎天に道あやまりて逝くミミズ明日良い天気性
ヒトの傲諌むか炎天激化して飛鳥井薫
炎天は突き刺せり野の日不見さえあたなごっち
黙祷のサイレン響く炎天下阿部海苔巻
野良猫も炎天に負け我もまた数多未完性
炎天に踏み出すハイヒールは赤雨戸ゆらら
炎天に打ち上がる白球の行方あまどかに
炎天の高校球児の歯の白き天野幸子
炎天の犬友に傘さしてやり雨降りお月さん
炎天や基礎工の甥勇者なりあやや
炎天やホームベースの砂ぼこり荒一葉
炎天や母の実家は遠かったあらかわすすむ
炎天や自己主張する己が影荒木豊
静寂な炎天平和告ぐかの日あらら
炎天やレベルマックスに罪洗え在在空空
炎天や地を這う虫に休暇なし安蔵典道
炎天よ三年ぶりの故郷よイカロス
炎天に振る旗強し車止め粋庵仁空
炎天や背に太陽をしよつてゐる生野薫
炎天やテニスボールと冷えた水池田
炎天や極太きうり巨大なす池田悦子
不快感百パーセント炎天下池谷勝利
二重跳び三回止まりの炎天伊沢美香
炎天でぼんやりの我犬が見る石川明世
炎天に息子は杉を切り倒す石川初子
炎天やお出掛け今日もやめておく伊敷代左美
炎天下何処でつくやら鐘の音石原花野
炎天に山車練り進む牛頭のごと石間毅史
炎天を避けて早出の握り飯石本美津
草むらをのぞきこむ子の背に炎天石山知子
炎天や母と歩きし甘味どこ泉恵風
炎天や高層ビルの窓磨き和泉攷
色残し落ちた炎天カラス飛ぶいずみ節子
炎天を突き刺すアームクレーン車遺跡納期
炎天に塩分補給な忘れそ伊丹八兵衛
炎天にきりりと立てり大弘法いちご一会
炎天やパトカーは西から東へ無花果邪無
炎天や自転車泥棒許すまじゐてふ@QLD句会
炎天にぴくりともせず猫の夢五つ星
炎天を突く子らの手や青信号井出奈津美
炎天や飛行機雲が空を斬る伊藤節子
炎天の震ふドアフォン選挙前日伊藤治美
炎天に喪の車ゆく永田町伊藤ヒンナ
炎天や沸騰の鍋パスタ入れ伊藤れいこ
炎天を避けれてないが俯いてイトートア
飲み干して水筒重く炎天路稲葉こいち
老いた背に逃げても刺さる炎天か稲葉雀子
炎天や孫たちが吠える動物園伊波智恵美
炎天や海面映ずダイヤ哉井上胡録
炎天を自転車の列ジャージの子今井淑子
火傷しそう吹奏楽の炎天下今西知巳
炎天へビートにコロナ富士ロック岩清水星斗
炎天や乳飲み子にっとそっぽ向き岩野正信
炎天に負けじと真白いシーツ干しVIVI
炎天や飛行機雲はほぐれ行く植田かず子
炎天のコート「ラスト一本!」の声うさぎと
炎天や零下のワクチン溶け始め宇田建
炎天や去年は登りし坂見上げ宇田の月兎
炎天や天辺到達コースターうちだまみ
炎天にあくびを一つガラス越し内本惠美子
炎天やジェット機仰ぐだけの丘うみのすな
炎天や屋根のパネルのほくそ笑み海葡萄
炎天に鬼瓦向く生家跡梅尾幸雪
炎天や軽いばかりの釣りバケツ梅木若葉
出目似鱚の目線水平線炎天乌鲁鲁
炎天や林に息う池の鳥S・葉子
西郷像炎天見据え犬とゐて越前岬
炎天のメタボ溶かすか徒歩通い江藤真治
遠くの道茹で上がるか炎天江戸川ちゃあこ
炎天下サンゴの海でスノーケルえみばば
炎天や猫おいはらふ母機敏縁穐律
炎天を来てワクチンの接種受く遠藤千草
今はまだ旅の途中と炎天下円美々
炎天へ指突上ぐる勝投手淡海かこ
炎天のゾウの遊具に猫ペタリ大泉まる丸
炎天の薄い酸素が狂わせる大江戸小紋
炎天のモスタル「Forgive」の標榜大岡秋
炎天やビル街に無人販売所大久保加州
炎天に父のまなざし草の緑大越総
炎天や神戸地裁の赤煉瓦大小田忍
炎天よコロナも戰心も焼き尽くせ大島一声
炎天下そっと差しだす塩分補給おおたくみこ
炎天で髪の毛染まる灯の色に大野小町
我が余生逃げ隠れせぬ炎天下大野喬
炎天に球児の涙悔いは無し大原妃
炎天も戦火思えば耐え得るや大原雪
炎天下ハンドルに足置き昼寝大道真波
炎天に負けるもんかとガン飛ばす大村朱希花
炎天でペットボトルがもうぬるい大本千恵子
炎天や備長炭で焦げるタレ大谷一鶴
小太郎の肉球焼ける炎天よ大山きょうこ
背余る重責に屈す炎天下大山小袖
炎天に水瓶のぞき稚魚数え岡田ぴか
炎天下浜に黒傘祖母の待つ岡塚敬芳
炎天に悼む人々なおさらにオカメインコ
伝え往く炎天六日子や孫へ岡本
馬の背の砂丘越え炎天と海岡由紀阿希
炎天に会釈虚しく誰なのか丘るみこ
目指すのはここ炎天の甲子園小川しめじ
心くじけそう慈悲のない炎天沖らくだ@QLD句会
炎天の至りてみどり寺の門奥田早苗
銃声に揺れし炎天人の波奥寺窈子
炎天下山に登りて水求む奥原邦敏
炎天の村にも響く声と音小栗福祥
炎天に向かって走る陸上部生越寛子
炎天やテントサウナを組む湖畔おこそとの
地の七色炎天に見すプリズムよおざきさちよ
前宮の見下ろす町や炎天下おさだ澄恵
炎天やあぶらとり紙五、六枚小沢史
炎天下走る球児に飛ぶ声援お品まり
炎天や蕗の神様ニャーと寝ぬ乙華散
炎天や触れぬコマクサ束で咲くおでめ
炎天や重きリュックと抱っこの子音羽実朱夏
百獣の王の屈する炎気かな音羽凜
炎天に足首出して闊歩する沢瀉
炎天や夕待つ父とトラクター小山田之介
万物の影透きとほる炎天下馨子.N
炎天や百本ノックあと二本加賀くちこ
炎天やモグラ死ぬよりなかりけり案山子@いつき組広ブロ俳句部
炎天や現場検証つづきをり笠谷タカコ
通り雨炎気治める町と我梶浦和子
炎天や人影隠す狭き路地 梶浦正子
炎天や道路工事の騒がしく鹿嶌純子
信号待つ背ぢりぢり炎天下かじまとしこ
炎天下陰を探しつ杖突きつ柏原淑子
炎天を般若心経唱えつつ春日山太郎
炎天や像一点を見る不動和季
炎天やそれでも並ぶ美味い味花純
炎天に上るボールや掴み取れ勝瀬啓衛門
一点を追う炎天の飛球嗚呼克巳@夜のサングラス
炎天やトタンの錆のどぎつよさ桂葉子
炎天下推しの団扇とチケットと金田由香
炎天や鞄の角に溶くる飴かぬまっこ@木ノ芽
炎天も咲く鉢の花ひたすらに金子真美
炎天の物干リラックマの視線かねつき走流
炎天や路傍にならぶ六地蔵カバ先生
炎天や靴紐直しいざ行かんかみふうせん
炎天へ厚底靴は挑みたり神谷米子
炎天のゴルフコンペのティーショット亀田稇
炎天の小人蠢く交差点亀の
万引きを目撃す午後炎天やかもめ
炎天やコーンはよしなと耳にタコ唐草もみじ
炎天下ボートの軌跡水ひかるカラハ
炎天やゴーストタウンにジジジジジがるる
オヤジらがたこ焼きとなり炎天下かわいなおき
真っ黒に友と遊んだ炎天下翡翠
炎天や亡者のカルマ示す今川端芙弥
炎天や目の奥白く気は遠くカワムラ一重
母弔ひて炎天の慈悲めいて川村ひろの
炎天にかざす手のひらカラメル化神田優梨
炎天よ老いたりとは言え負けずぎらい樺久美
炎天下我の体も滝になる漢方十七錠
炎天や無心に歩む日向山紀杏里
炎天や仕事の度にかをは焦げ菊川寝ん猫
炎天や農夫の黒き肌ぎらり如月イツカ
炎天をあつめ今宵のきばうとす如月宗局
風求む炎天に咲く万国旗岸本元世
炎天の駅舎に老婆ぽつねんと酒暮
炎天下帰路に回復の一服帰宅部めんそ
炎天や水飲んでけと母の声北の星
炎天抜ける踏むペダルちからこめきた実実花
炎天や塩飴くれるゴルフ場北村修
冷えた土炎天遠し祈る父木野まち
風が止み炎天と化すその時木村かおり
炎天下乾鰯が光る弓ヶ浜木村修芳
炎天や家族総出のタバコ獲りQさん
炎天の宅配車中拭う顔桐生典子
炎天に闘い挑む花強し銀髪作務衣
炎天下我を冷やせよ体脂肪草豆ええ
目玉焼き出来そうな道炎天下草道久幸
炎天に雲で書きたい雨の文字草山熊太郎
炎天の道ゆく母の足わかし葛井えみほ
炎天や獅子と母象の距離わずか朽木春加
炎天に遊ぶ童や水しぶき國枝瞬山
炎天や全身で泣く赤ん坊國吉敦子
噴煙で炎天さえも仰ぎ見ず球磨太郎
炎天下日影に入る甲羅干しぐりぐら京子
炎天下影追う子等も樹を抱き栗子
炎天下母は大の字宿題す来ヶ谷雪
ヘルメットあごひも外す炎天下黒田
ひと気無き炎天のからくり時計桑田栞
炎天や白き歩道に乾る蜥蜴桑原和博
炎天のホーム名無しのポリ茶瓶薫夏
熱ありて列なす人や炎天下景清華
炎天やストックだけが頼りなる鯨野
炎天に一球こめて甲子園月昭
元総理への献花延々炎天下元喜@木ノ芽
炎天や白球高しつかむ夢源氏物語
炎天や働き方改革って・・・こいぬ
炎天や吾子の降り抜くホームランコウ
炎天の子の手に溶ける甘い滴弘
炎天や煙草くゆらす祖父と影郷りん
炎天や弱き命を連れてゆく柑橘
炎天下靴底熱き警備員康寿
ぐるぐると地図を回して炎天下香田ちり
炎天や背なでカランとマグボトル幸内悦夫
炎天に抱く子励まし急ぎ足神戸めぐみ
炎天に地鏡見ゆるハイウエイ宏楽
炎天の銀の水面やハレーション柑たちばな
炎天に重なる影もハレーション幸織奈
炎天下生き活きとした草の匂いコカ
炎天に沸き立つ雲や応援歌古賀粋漢
炎天下ザリガニ追って溺れけりコケコッコー
木陰には先客の有り炎天下ココヨシ
炎天下影踏み日影の奪い合いコスモス
炎天や犬と日陰を奪い合う小兎女
炎天の脳この星の未来像こひつじ@QLD句会
炎天や狛犬は歯を食いしばり小藤たみよ
早期退院の窓にはなき炎気小緑ふぇい
炎天のラストボールはホームランこむぎ
炎天や町内会をぐるぐると今藤明
炎天の衣をまとふ耕運機今野浮儚
炎天や九回裏のツーアウト西條晶夫
炎天の外覗きけり半分こ再生
部活帰りの道炎天も暮るる齊藤巻繊
さらさらと流水すくい炎天下齋藤鉄模写
炎天や子の与えし飴ひとつ舐め酒井智美
炎天や見あぐる高みトンビ舞う坂上一秀
交代の夜勤炎気や退いた雨後坂島魁文@回文俳句
炎天下舗装工事はジジッジジさかたちえこ
炎天の予報先取り動く朝相良まさと
炎天や子の白シャツの食ひこぼし咲元無有
炎天や少年野球延長戦櫻井こむぎ
冬と思へばここち良き炎天よ桜姫5
黄の絵の具増やすスケッチ炎天下桜望子
炎天にポニーテールを横揺らし佐々木智
炎天に水あそびする声はしゃぐさざんか
炎天やホースのた打つ砂の上紗千子
炎天に屋根を塗りたる仕事人砂月みれい
炎天下樹木を燃やして燻し銀さといも
炎天に産毛張り付くうなじかな佐藤陽子
うなだれた雀すくって炎天下佐藤里枝子
炎天にひびくサイレン甲子園さぬきのにゃんこ
影のなき瞬間炎天の極みさむしん
炎天の大バカヤロウ死なせるな!さわだ佳芳
コンビニをおっと出ていく炎天へ沢拓庵
炎天や七十円のガリガリ君澤野敏樹
炎天を笑って走って背に刻む三保緑
炎天やカーボンニュートラルって何しーちゃん
溝川の魚羨むあぁ炎天紫雲
炎天に岩場のカニと友の影しおみー
海を抱き炎天遥か帆は駆けるしかの光爺
炎天や長蛇の列に並びをり紫檀豆蔵
炎天に笑みと小走り配達す篠崎彰
炎天に溶けゆく体乾く舌柴桜子
炎天にきらりと一機熔け行きぬ芝G
炎天の庭園鹿威し響く柴森爽
炎天を靴下の犬散歩中嶋田奈緒
炎天に慣れぬヒールで歩く道島津菜素
サヨナラのホームスチール炎天下清水祥月
西館へ四百歩嗚呼炎天下清水三雲
炎天や遠ざかりゆく飛行船志村狂愚
炎天も我が家のネコはなんのそのじゃむぱん泉
炎天に乳母車押す妊婦かな朱胡江
炎天や太陽フレアそのまま来秀耕
炎天の気配じわりと朝の風朱康君
炎天にあの本屋までひとまたぎショートケーキ
炎天や揺れる真珠のイヤリング白井百合子
閃輝暗点誘発する炎天白浜ゆい
宅配のひと小走りにゆく炎天シリウス(麻美)
炎天を弾く雄々しさ羅臼岳四郎高綱
炎天へ睨みを利かすガードマン白とり貝
炎天の孤島をカツオドリ発ちぬ白プロキオン
炎天に塩飴配るアンパイア信州のあっくん
炎天の自転車卵でも焼かん森牧亭遊好
炎天や運動場を鳥の影杉浦真子
炎天のブルーハワイに歓喜の子鈴木りく
炎天やマスク外して息を吐く鈴木静子
炎天下鞄に潜むチョコレート鈴吉
ユラユラと揺れる炎天駱駝の背鈴木ユリ子
羽音追う眼球滲みし真炎天素敵な晃くん
炎天に負けぬ色黒部活の子清香優
岩山に化石のロマン炎天や星夢光風
炎天を笑ふ鬼山ワニ幾重瀬央ありさ
炎天のテニスコートに古希のひと瀬尾白果
炎天のうしろにおるか星たちよ関根洋子
へそ天の猫炎天に散在す瀬戸ティーダ
奥入瀬の散歩炎日を和らぐ瀬野広純
炎天下ビニルハウスの吾は修羅宙まあみん
炎天の京河原町急ぎ足駄詩
炎天や軒下のネコ今日は逃げぬ第一句けいぜろばん
炎天よ貴社室外機御繁栄帝釈鴫
整列に放送流るる炎天よ大ちはる
炎天や汽笛の響く港町太平楽太郎
炎天の演説途切れ術も無く高上ちやこ
思い出煩き炎天のグラウンド高嶺遠
炎天下ブルドーザーが忙しげに高橋基人
炎天下演説最中に銃の音高橋なつ
炎天やコーヒーカップの重くなり高橋光加
縁側の薬缶の茶ぬるし炎天下田上コウ
炎天や知らない虫の赤い足田川彩
炎天にボウフラごと撒く溜まり水滝谷朗
炎天に揺れる意識と揺れる影高城龍之介
炎天や病室はいつもと同じ卓女
炎天下コストコのカート押す吾子ら竹内菊香
炎天の影は短し甲子園竹田むべ
炎天や喇叭も熱い応援の武椪
表情に出さないやうに炎天下たけろー
炎天の砂漠の水脈つく眠りただ地蔵
炎天の帰路脳裏は氷音のみ立花かおる
冷凍車炎天破り運ぶ食橘春容
快適も炎天恋しオフィス冷え橘路地
炎天に聳えて立つよ御神木田鶴子
炎天や試されている第七波立山枯楓
炎天やバイパス下は別天地田中勝之
血乱れて涙の燃える炎天よ田中玄華
炎天や車の下で過ごす猫田中ようちゃん
炎天の日々の向こうに実りあれたなばたともこ
炎天が富士の山肌なぞりけりたなべまるこ
炎天や黒光りする甲子園谷卓生
炎天や待合室のモネに逢い谷相
炎天下我には出かける用のなく谷口美奈子
炎天や潤み眼睛天を衝く田上智佳士
炎天やふわりとかおるさおのはな旅女杉山ふみ子
炎天や線路ぐにゃりと溶けさうな玉井令子
炎天やポストの影へ水ぼとりタマゴもたっぷりハムサンド
炎天や客なきバスが出発す田村モトエ
炎天下大樹の下に群れる牛ダメ夫
炎天の肌に貼りつくエコバッグ月硝子
炎天に蓋され茹だる世界かな月見里ふく
炎天や水浴ぶ神輿威勢よきつくだかずこ
炎天やゴムの靴底が半分に辻ホナ
炎天のけばい下草箔押しや筒児
炎天に背を向けて干すスニーカー綱川恋心
炎天にクーポン求め黒Tシャツ椿律
滲み出てほどく手と手の炎天下津幡GEE
炎天に昭和のコップ水出し茶弦巻英理華
炎天や不足始めたカロナールデイジーキャンディー
駆け込みの寺の軒下炎天下寧陪禰
炎天に一掬の水しみとほる哲庵
炎天の段畑まるでエベレスト天童光宏
炎天を煽れくみてん高く跳べ!東京子
炎天の遺されし汗腕時計唐山星美
炎天に一人きり律儀なマスクとおやま桜吹雪
炎天を来てカレー屋に飛び込みぬとき坊
炎天下噂の店の最後尾Dr.でぶ@いつき組広ブロ俳句部
照り返し炎天炎天肺焦げるどこにでもいる田中
鎌ふるう炎天ミントの香もありて所陽子
炎天よこの発熱の引き金か杼けいこ
マーメイド炎天昇り陽を掴む都月もなか
炎天や足はふらふら天ぐらり刀根山光風
炎天下クレーコートの水のアーチ戸根由紀
炎天のけふのアトランタの風よとはち李音
炎天や墓花の生奪いたる冨川友香理
炎天も笠がいるじゃろ地蔵さま戸村友美
炎天やこれで最後と一輪車友@ユキ割豆
炎天に戦い挑む風見鶏中島葉月
炎天の海辺の砂に吾子ら待つ中嶋京子
炎天や隣の畑にソーラーパネル中島圭子
炎天にこむらがえりの球児かな中島走吟
炎天へ馳せる列車の寒さかな中島隆
炎天にひと暮らす街焼く戦中嶋敏子
炎天やただ白球を追いかけて中嶋倫風
炎天や電柱の陰に身を置く中瀬すみっこ
炎天や肩で息するうさぎ跳び中村あつこ
炎天や水はねあげる子らの声中山由
掛け声の楽し炎天部活の子渚
炎天や走るごと比す前記録凪ゆみこ
炎天や荷物両手に宅配人那須のお漬物
水入れて抹茶ねる日外は炎天夏ぎらい
炎天や避けられぬかな上り坂夏空なみ
炎天に昇る煙や熱き窯七国独楽男
炎天下待ち遠しい水遊びの日七海
炎天にオバマも仰ぎか広島の空浪速の蟹造
炎天やつるりとむけたゆで卵名前のあるネコ
炎天やキッチンカーの人の波にいやのる
炎天の無限見上げる五重の塔にこまる。
炎天やゆらぐ電柱フラダンス西尾至雲
ネパールの飾り炎天の羊肉二重格子
炎天や大台ヶ原ダウンヒル二上松風
炎天へ開きしみ腕聖母像新田ダミアナ
炎天下しじまが揺れて影の笑むにのまえはじめ
炎天や着色料の研究所鵺之疾明
炎天や青青とした道を僧額田化石
炎天下石に躓き砂拭うねがみともみ
厳かに舞うや生稚児炎天下猫辻みいにゃん
炎天に原爆ドーム揺らぎけり猫まるぞう
炎天や静止しているコマーシャル涅槃girl
風穴に太古をくぐり炎天へ野中苦泉
早明浦ダムや炎天で痩せ細る野中泰風
炎天よ木漏れてくれるな1時間羽織茶屋
炎天やクロオオアリも干からびて萩時雨
ひらひらり炎天避ける少女かな白咒と蒸しエビ
炎天のエクセル不可に式解けずはくたい
炎天や行くピーポーの甲高しパクパクポンタ
炎天のフェス観衆のつき上ぐ手はごろも856
炎天や帽子手袋靴は白橋爪利志美
炎天やギラつく雲はシンタロー馬笑夫
炎天や道路工夫の力瘤長谷川ろんろん
炎天の下に白旗またも上げ蜂鳥子
鳥潜み炎天の午後人潜み葉月けゐ
炎天に照り返しもか鯛焼きだ服部たんぽぽ
炎天にサイレン響かす救急車初野文子
炎天や鳩むくろにてナスカの絵八白土星
炎天突く拳の波やフェス山場羽奈あかり
炎天下仲良く並ぶ燕尾服花岡浩美
炎天の道端会議と成り頻り花咲みさき
炎天や水飲む犬の尾の無力花南天あん
炎天下長蛇の列やサマーくじ華姫
銃声二発炎天の昼下がり英凡水
炎天や小僧がみえる人には見える羽沖
目眩する刹那炎天突く凶器はのん
炎天や街路樹途切れそぞろ急ぐ馬場勇至
炎天や空気重たき事故渋滞浜けい
炎天の公園さみしパパ抱っこ浜野洋志
膝小僧よせて会議の炎天かはむこ
炎天の牛はひたすら草を食む早川令子
炎天や海を知らないモビール群林山千港
炎天や決めコーデも足もつれ原貴美子
靴底にピタ炎天のアスファルト原水仙
凶弾が撃つ炎天の日本とは原善枝
炎天下草むしりするキリがない原善枝
炎天やラジオに頭垂れた日よ原島ちび助
乗り換えの単線を待つ炎天下原島裕英
寝坊して炎天歩くダイエット原野乃衣
炎天や水の自販機坂の上ぱらん
グランドの白球飛んで炎天にキラリharu,k
炎天や再配達はお詫びから葉るみ
炎天や瀬戸に居並ぶテントかな晴海南風@「木の芽」
炎天や足先そっと水につけ晴田稲刈
炎天の木陰に飛んだミスショット榛名ピグモン
格子戸を出でて目細む炎天下ひーたん@いつき組広ブロ俳句部
炎天や来る人去る人無言なり東津村流坊
炎天や工事現場の首タオル東山たかこ
ゲームセットの打球炎天に消ゆ光源爺
炎天や遠ざかりゆくちんどん屋比企野朋詠
炎天や白杖ギツと路の突きひぐちいちおう(一応)
炎天下河童は淵で昼寝かな久生
炎天の燃ゆ突く如く剣五つひしぬままき
炎天のキューポラの町屋根燃ゆるひすい風香
炎天を突き刺す白球追ふ眼ひな扶美子
炎天や母の手を引くリゾート地美羽烏子
炎天の営業マンにノルマかな氷室茉胡
炎天下蟻を見つめる幼き眼ひめりんご
炎天下玉音放送時止まる平岡花泉
炎天下ラーメン待ちの列延々平林政乎
ノック音砂塵きらめく炎天や平松一
炎天や柱の影に並ぶ人昼寝
病む君よ炎天おして訪ねきて蛭本喜久枝
人走る炎天のサービスエリア広島立葵
炎天やクジラと目合う写真展琵琶京子
炎天や空気もよどむ大都会FUFU
炎天や我が影法師縮こまる福川敏機
焼きそばは佳境庭の炎天よ福みつこ
炎天や子二人走るサンルーム福山聡練
苦か楽か炎天焦がすロックフェス福弓
炎天や枕カバーを新調すふくろう悠々
電柱が半身隠して炎天下藤丘ひな子
炎天下吾子の足もよごれけり藤川哲生
ロシアの狂気ウクライナの炎天藤倉密子
炎天にぼんくらの胸焦がせたし不二子
吾と君と競り合う炎天の立ち漕ぎ藤咲大地
炎天や赤信号の点滅す藤白真語
炎天に団旗はためく五回裏藤田陽太
炎天にロレンス見ゆる砂丘かな藤れんぎょう
炎天や塩を舐め舐め屋根を葺く藤原訓子
炎天に影もわたしに纏い付く船橋こまこ
炎天に対抗強くアイライン冬美っ呼
年重ね僧説話解す炎天や古澤久良
炎天の信号老婆渡り切る風路観徒
炎天や絶える虫達定め事ヘッドホン
炎天や静寂の中に容赦なくベニヤサン
炎天や平和の泉氷入れ鳳凰美蓮
炎天に響く柩車のクラクション北斗星
炎天に小雀砂浴び庭葉陰ぼけろうじん
炎天や車も歪むビデオ内細江隆一
炎天や名も無き草の伸び早し細野めろん
炎天のマウンドに立つ独り立つ堀卓
炎天を言ひ訳にする人になり堀隼人
炎天に雀の傘や河原草凡句楽直
炎天や乾物の陰猫の腹香港ひこぞう
炎天やハローワークの人いきれ梵多
炎天や倦まず厭わず機を織る凡々
炎天下目に居るけしき無機質で本間美知子
炎天に聳える鉄塔空揺れるma_tant.
炎天や大気が澱む交差点マーヒー
炎天の通知は愛車リコールと舞白祖父登
炎天下避けても通うサウナ浴前田敏彦
炎天の最後尾の気力かな真壁らん
炎天に伸びる線路や車輪焼く眞熊
炎天や回送バスの「すみません」まこちふる
炎天や我が家の屋根は発電所まこと(羽生誠)
炎天下エースで四番の球拾い雅蔵
穴掘りて腹つけあえぐ犬炎天まじかにゃんちょろう
炎天や渚に跳ねる波と子等増田蓮華
結び合う影ぼってりと炎天下町田勢
炎天のマスクの中の喉渇き松井研
炎天や吾を生みたる母想ふ松井洋
候補者のマイクのがなり炎天下松尾祇敲
炎天を生き生き歩む小犬かな松尾美郷
炎天や猪渡る瀬戸の海松高網代
炎天下屋根に干したるスニーカー松野蘭
炎天や信号待ちのベビーカー松本千春
炎天の法衣なびかせスクーター松本裕子
歩けども歩けども遠き炎天下松本牧子
声がれや炎天歩きの報いなりまほろば俳筋トレ
炎天に腕もげるクマ抱える子真宮マミ
炎天の足音もなきアスファルト豆福樹々子
炎天下舞台の余韻追いかけてまやみこ恭
炎天に清水求めて手水鉢mayu
炎天や手水に遊ぶ小さな手瑪麗
炎天下白く塩吹く作業服真理庵
電線の影伝ひゆく炎天下真路巴笛
炎天の瞼の裏になほ炎天三浦金物店
炎天下青空の下手をつく私三浦妃麻里
炎天や火傷しそうなアスファルト三浦ユリコ
全身がトーストになる炎天下澪那本気子
炎天の温度なくした家族写真磨けばすりへる石
炎天の名所巡りのバスに乗り三上栞
炎天へ往時をとどめ大錨未貴@QLD句会
炎天やムッと路店の室外機MR.KIKYO
球を追い炎天なんぞと走り抜くMrふじやん。
炎天やどろり無敵メイクとやら水取象
炎天の時代行列美しき姫水野禾甫
炎天に負けてなるかと腰痛持ち水乃江辰
炎天やフランスパンの持ち重りみたらしだんご
グレアな平和炎天の献花台美月舞桜
炎天に子らの雄叫木霊する光子
炎天下ミミズ路上に絶命す皆川徳翁
炎天や球児の汗と涙沸く湊かずゆき
洗濯機五回目回す炎天下ミモリ
炎天下石炭背負ふ兄の黙みやかわけい子
人っ子ひとりいない炎天の地上都忘れ
炎天や猫も通らぬ道を行く宮原みかん
炎天に工事現場の音響く雅乃珠晃
炎天や私ひとりが歩いてる美山つぐみ
炎天路シュレディンガーの揺らぎあり宮村土々
炎天のどさりと置くや妻の愚痴ムーンさだこ
炎天下木陰で休む老夫婦麦わら帽子
炎天やヘルパー着替え四回目村のあんず
炎天の下校ランドセルの重く村松登音
炎天の沿道埋める祈悲し室依子
屋根瓦炎天からの熱生み出す名扇初江
炎天の献花の列や最後尾暝想華
炎天に奇声が響く祖谷の谷恵のママ
炎天の航路そもそも見えぬもの杢いう子
炎天の交通整理や敬礼モコ
炎天の少女の悔いは浅かりし本村なつみ
炎天や祖母が握った塩むすび桃井ゆらら
炎天下ボトルのお茶を飲み干した桃花
炎天や干からびている魚の骨桃香
炎天をふるはせ逆転の一打ももたもも
療養明け宿立つ炎天へいざ森翠
アスファルトペダル焼けるよ炎天よもり葵
炎天の古代瓦や元興寺もりたきみ
炎天をひた走りゆくタスキかな杜乃しずか
炎天や作業着姿ヘルメット森の水車
炎天や今年も中止と連絡網森脇美樹
炎天や人も樹木も無口なり諸岡萌黄
太陽は東と西に炎天下もんもこ
炎天や大手をひろげにらみたり焼津昌彦庵
炎天の道路に蚯蚓ぺったりと八木実
明るさや子らの笑顔に炎天霞む野生の栗
我愚民炎天に故人を悼む痩女
炎天に忘れがちなるウクライナ柳井るい
炎天にぶつかる肩と肩ベトリ柳川耀一郎
炎天の肌焼く熱に風仰ぐ柳田紗和
炎天をものともしない夏生まれ柳荷無花果
黙々とブロックを積む炎天下ヤヒロ
炎天や無人の橋の長かりき山口絢子
炎天や水かけ茶漬け二・三杯山口雀昭
炎天やママチャリをパパ前後に子山口たまみ
炎天下アイロンがけす正座して山崎鈴子
白球の行方にわきたつ炎天下山育ち
郷ひろみ炎天の浜アッチチー山田季聴
炎天やシュプレヒコールの声も割れ山田企鵝
炎天や街路樹の影動かないやまだ童子
炎天やぎらりと嗤うすべり台やまな未
炎天にひとりお墓の草をとり山野花子
炎天やぶあんと横に室外機山野麓
炎天の撮影現場コート着て山村楓
炎天の原爆ドーム涙なし山本康
炎天の変電所端から端へ優木ごまヲ
炎天下ふうふう泣いてビルの街裕子
炎天のこれ以上なき敬礼を雪ノ下青観
炎天に鍋で溶け行くバターになるゆめの常盤
炎天下肉球浮かす散歩犬ゆりのゆき
炎天の川辺の草香に胸広げゆるランナー
炎天や月面都市のドームとて陽花天
炎天のサイレン忘るなあの日陽子
早朝のカラス炎天告げにけり陽光樹
シャツのしみ分からなくなる炎天下要次
戦火を怒りて燃ゆるか炎天や夜香
炎天やコンビニまでの道長き横山子守熊
炎天やヘリの爆音降ってくる吉哉郎
炎天や昨夜の喧嘩ふつふつと吉田蝸牛子
炎天や打ち水無に帰す水けふりよした山月
炎天に竿のあたり麻薬のごと吉田典子
炎天下しがみつく草引き剥がすよしだばあば
炎天へ覚悟を決める水一杯吉田びふう
炎天の利根にざわめく波の音吉田わさび
炎天に這う影のごと植民地吉野川
炎天の機影見送りまたいつか吉藤愛里子
炎天や空振りみつつ果てる夢よみちとせ
炎天にペダル緑の風を切るY・りこ
炎天に挑むジェットコースター楽和音
炎天や花壇は水を奪いあうらりっく
炎天の中に幻過去の人ランタン
炎天や夕色の花ゆらり落つリコット
炎天の白皙めいた足に傷鈴音
炎天やメール開けばお見送り烈稚詠
炎天の我を蒸し焼きえんま来る蓮香(山端直子)
炎天の黒靴も聴く読経かな煉獄佐保子
炎天や浮子睨めつつ親子連れ蓮風
炎天や脛毛濃き漢足湯入り六地蔵と狛犬
炎天や逆さに下りて地を覆いわかなけん
炎天に挑みクレーン空を掻く若林雛げし
駆け上がるホームベースへ炎天よわきのっぽ
炎天や波の中仰向けに浮く海神瑠珂
炎天や葉は萎れしも茎強し和の光子
エルゴは無敵か炎天の当番駒水一生
炎天やカンボジアの幻肢痛ののr
炎天の門扉ヒメシャコガイ乾く梨音
炎天や塀に浸み入るライトオーク道見りつこ
- 夏井いつき先生からの一言アドバイス
-
●俳号には苗字を!
○俳号とは、その句が自分のものであることをマーキングする働きもあります。ありがちな名、似たような名での投句が増えています。せめて姓をつけていただけると混乱を多少回避することができます。皆で気持ちよく楽しむための、小さな配慮。よろしくご協力ください。
- つゆあけの むしもやけつく えんてんに今井和子
- つゆあけの むしもやけつく えんてんに今井保夫
○ん? これは別人なのか?
本サイトに投句する際、一人で幾つもの俳号を使うのは止めて下さい。一人一人の成長を見守りながら、選句を続けております。
●俳句の正しい表記とは?
- 炎天に 地球の心理 怒髪天大槻実
- 炎天の 外は静かで 日差し眩しく立岡雅子
- 炎気より 部活のやる気 勝りけり能見ふう
○「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪
●兼題無し
- 子供たち 夫婦の宝 永遠にyuko tomita
- 夏空や水面に映る大入道空還
- コンビニの扉ひらけば蝉の音つれづれ
- 摘み取りで一生懸命ブルーベリーひこじま
- 一輪といふ涼しさを朝食に藤本仁士(仁士)
○今回の兼題は「炎天」です。兼題を詠み込むのが、たった一つのルールです。
●「炎天下」の入力ミス?
- 炎天夏同じ手ぬぐいほおゆるむひつじまる
- 炎天夏白球追う声空に抜け大島薄
○送信ボタンを押す前に、確認しましょう。
●季重なり
- 炎天や蜂なぞりし納涼の知らせ遠藤波留
- 炎天下木陰に入るとメチャ涼しカブトムシ
- 炎天も母のくびもと涼やかに哲山(山田哲也)
- 炎天の墓にきしみの涼供え新美妙子
- 炎天を雲が囲いて地涼む木曜日
- 炎天に生き物みな汗だくだ紗和
- 炎天に佇む地蔵汗ぽたり白河夜船
- 炎天下汗滴りて瞬きす梅林我流
- 幼子を抱きて汗吹く 炎天下まあちゃん
- 炎天下蝉は鳴かずに親子泣く遠藤光彦
- 炎天下木陰の宿に蝉しぐれお散歩じいじ
- 炎天や働きアリの強靭さやのかよこ
- 炎天やなすびに刻む日焼けあと芝崎悦子
- 炎天に並ぶなすびを焼くか漬けるか海壁
- 炎天に打ち水滲みるアスファルトアツシ
- 炎天やラムネの泡が目にしみるドテかぼちゃん
- 炎天下葉かげにひそむ青蛙藤田和彦
- 炎天や焼け跡焦がす終戦日山本蓮子
- 炎天の屋外プール温い水ヨシヒコ
○一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「炎天」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。
●むしろ他の季語がメイン?
- 炎天や砂漠の薔薇の香りをりあすなろの邦
- キンとする宇治金時の炎天下あすなろの幸
- 秋はじめ孫の誕生待つ炎天齊藤真紀子
- 炎天にミンミンゼミの自己主張しまだようこ
- 俊敏な蟻炎天を黒光り沼沢さとみ
- 炎天下間もなく秋よ天高い美泉
- 炎天の向日葵負けじと上を向く茉莉花
○同じ季重なりではありますが、むしろ「炎天」ではないほうの季語が主役になっているのではないかと、読めます。
●季語深耕
- 炎昼や髪カットして児の来る花岡淑子
- 老猫を襤褸と見紛う炎暑かな渡辺ヤスコ
- 踊り子の声なる声よ炎帝渡辺香野
○「炎昼」「炎暑」「炎帝」は時候の季語、「炎天」は天文の季語です。歳時記を確認してみましょう。
●添削
- 炎天やま行音で揺るカーテン水曜日生まれ
○中七下五は、マ行のオノマトペで揺れているように感じられるカーテンだ、という意味でしょうか。
「揺る」は、「カーテン」に接続していくと考えられますので、文語ならば「揺るる」、口語ならば「揺れる」となります。- 炎天に今日はリアルだお客さま常勝
○何のお客さまなのか、何を「リアルだ」と言っているのか。そのあたりの情報がないので、添削のしようがありません。
何を表現したかったのか、もう一度自問自答してみましょう。
お待たせしました!7月の兼題「炎天」の結果発表でございます。あの目にしみるように感じるほど晴れた夏の日には、こんな名前があったんですね。ところで、この夏も「炎天」続きの末、最高気温が40度以上の日を指す「酷暑日」という言葉が誕生しましたが、これもいずれは季語になるんでしょうか。
9月の兼題「子規忌」もふるってご応募ください(編集部より)。