夏井先生のプロフィール
夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。
8月の審査結果発表
兼題「小鳥」
「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。
小鳥来て光塗れの家族葬
トマト使いめりるりら
-
夏井いつき先生より
秋の季語「小鳥」は、大陸の向こうから渡ってくる小鳥であり、山から里へ下りてくる小鳥でもあります。この句は、地球の反対側から渡ってくる小鳥のイメージと、我が庭を訪れる小鳥のイメージを共存させている点に心惹かれました。「小鳥来て」に続く中七「光塗れの」は、飛び来る鳥の印象を述べた措辞かと一瞬思いますが、下五に出現するのは「家族葬」の場面。家族が取り囲む柩には誰が眠っているのでしょう。荘厳にして優しい「光」に包まれた「家族葬」。秋のさえずり、羽ばたきの音。まるで聖家族を「小鳥」が取り込んでいるかのような一句です。やがてこの家族たちは、季節という大きな時間の懐で少しずつ哀しみを癒やしていくのでしょう。
神域や百の小鳥に閲さるる
穂積天玲
「神域」に佇むと、沢山の「小鳥」たちに我が身を検められているかのようだという一句です。神社の深い杜に響きわたる声は、まさに私たちの身を質すかのような鋭さ。背筋が凜と引き締まります。
小鳥来てぴるぴる河馬の耳と耳
古瀬まさあき
「小鳥」と「河馬」を詠んだ句も沢山ありましたが、「ぴるぴる」のオノマトペいい。さらに「河馬の耳と耳」という措辞で、「小鳥」と「河馬」の映像を描いてしまうのですから、大したものです。
小鳥小鳥校歌に自由意志が無い
足立智美
「小鳥小鳥」と軽やかに歌い上げるかと思いきや、「校歌に自由意志が無い」と言い切る展開にドキッとします。学校という鳥籠に閉じ込められている私たち、という無言の思いも伝わってきます。
弱音吐く小鳥はそれを歌にする
花紋
「弱音」を吐いてばかりの私。海の向こうから渡ってくる「小鳥」たちにだって辛いこともあるだろうに、「小鳥はそれを歌にする」のだなという小さな気づきが、美しい一行の詩になりました。
バスの来て小鳥を見ていたい子供
たろりずむ
「バス」は来てしまったけど、「小鳥」を見ていたい「子供」はさっさと動いてくれません。でも、この句の作者には、その気持ちが少し分かるのですね。だからこんな優しい句が作れたのですね。
聖堂に小鳥の足りぬ日曜日トマト使いめりるりら
小鳥来る胸に明るき傷を負ふトマト使いめりるりら
東京は存外静か小鳥来る足立智美
小鳥来よ駅舎の木椅子冷たかり足立智美
瀑神の呼気に濡れたり小鳥の尾古瀬まさあき
再発のしらせ小鳥はぽつと立つ古瀬まさあき
薪割りのすたんと清し小鳥ゐるとしなり
嘴の欠けた小鳥来ほら去年としなり
十日目の教育実習小鳥来る南風の記憶
小鳥来るジャングルジムは使用不可南風の記憶
小鳥来る綺麗な言葉並べた日三浦にゃじろう
小鳥来る交換日記はぼくの番三浦にゃじろう
小鳥その一羽の脚のつめたさう古田秀
順番に小鳥のネジを巻きませう古田秀
小鳥きてひとり仮病の保健室ふるてい
Imagineをかけて小鳥を待つ日曜ふるてい
長老のやうな木の椅子小鳥来るぐでたまご
タキオンの色よ小鳥の瞳の色はぐでたまご
小鳥から近寄ってきてもういないたろりずむ
小鳥来る全ての道にある名前たろりずむ
小鳥抱くイエスのやうな老大樹にゃん
武蔵野はしづかな起伏小鳥来るにゃん
東京はますます遠し小鳥来るえんかず
ふる里はガラスの街か小鳥来るえんかず
県道に二年目の供花小鳥くる上原淳子
森林の呼吸はしづか小鳥来る上原淳子
夕方の小鳥は影でありました浦文乃
小鳥渡るこんな病院もう来ない浦文乃
小鳥見る部屋は真黒き立方体潤目の鰯
小鳥寄る禁止遊具の空翳る潤目の鰯
一ペンス銅貨の重さなる小鳥樫の木
調律の淋しきピアノ小鳥来る樫の木
小鳥来て胸の樹海で鳴きにけりぐ
小鳥来る少年の詩の抑揚にぐ
小鳥来る主夫となりたる七日目に久我恒子
てのひらの丘はやはらか小鳥来る久我恒子
ソクラテス・ヒポクラテスと来て小鳥ぐずみ
あとのない暮しに小鳥の影差してぐずみ
小鳥来る妓楼跡地は駐車場倉木はじめ
ベンチにて小鳥数へてゐる遅刻倉木はじめ
おが屑のかほるアトリエ小鳥来る倉嶋志乃
ペディキュアの乾くたいくつ小鳥来る倉嶋志乃
水を飲む小鳥人生は美味しいさとけん
小鳥来る水飲む唄ふ水を浴ぶさとけん
浅草寺の四度目の凶やなあ小鳥沢拓庵
この島もまだトーキョーと云う小鳥来る沢拓庵
小鳥来る黒目勝ちにも程があるシュリ
小鳥来る家族写真を撮りましょうシュリ
Jesuisとはじめる手紙小鳥渡るいかちゃん
オーボエのEの温度の小鳥かないかちゃん
根の国の小鳥の声の甘きこと夏雨ちや
サーカスも小鳥も去りて夕つ方夏雨ちや
ヒーローに愁ひのありて小鳥来る七瀬ゆきこ
小鳥こわいよズルしても睨まれる七瀬ゆきこ
小鳥来るももいろにぬるプテラノドンほろろ。
フルートの♯は小鳥よぶじゆもんほろろ。
茅葺きに古きアンテナ小鳥来る蒼空蒼子
小鳥来る砂落ちきるを待つ日中蒼空蒼子
小鳥来る五時に始まる英会話蒼鳩薫
朝刊のインクの匂ひ小鳥来る蒼鳩薫
小鳥が来れば泣くぼくがミミズなら赤馬福助
ぼくの庭小鳥の墓ばかり増える赤馬福助
目閉じ聞く小鳥の声のひかりけり秋夕介
小鳥くる医師の所見に異常無し秋夕介
ざわめきは小鳥あるいはキキの旅秋さやか
満月の晩にゆきます小鳥より秋さやか
一葉の詩の走り書き小鳥来るあきのひなた
小鳥来るタロットカードは裏のままあきのひなた
小鳥来るシのフラットが届かない28あずきち
小鳥来る黒塗りするは四分音符28あずきち
青空を砲弾の雨小鳥来るあたなごっち
ペンを置く音に似たりてことり小鳥あたなごっち
窯出しの器の余熱小鳥来るいさな歌鈴
凸凹と揺るる牛の背小鳥来るいさな歌鈴
菜のへたる檻の内外小鳥来る石井一草
盛り土の小鳥に小鳥来て啼けり石井一草
小鳥来る河馬は大きく口開けて石井茶爺
小鳥来るスプーンで割るゆで卵石井茶爺
赤ん坊の寝返りじようず小鳥来る石塚彩楓
小鳥来るマーマレードの琥珀色石塚彩楓
蛇口から水逆立ちて小鳥来る石原由女
がらんだうの街に今年も小鳥来る石原由女
昨日より小さき小鳥の来てをりぬ板柿せっか
小鳥来るノイズ幽けく馬頭琴板柿せっか
小鳥くる緘黙の子のまばたきに一斤染乃
保育実習「おにのパンツ」へ小鳥くる一斤染乃
ことり死んだいきものがかりわたしですいづみのあ
鳴かぬ小鳥星の野原に置いてゆこいづみのあ
ベランダの紫の糞小鳥来る伊藤亜美子
黄金色のスープ出来立て小鳥来る伊藤亜美子
なにいろの海を見たのか小鳥来る糸川ラッコ
パンダ舎を見下ろす梢小鳥来る糸川ラッコ
小鳥来るブルドーザーの昼休みいまいやすのり
小鳥来る祈り始まるオルガン前いまいやすのり
アコーディオン閉じて開いて小鳥くる妹のりこ
オルガンや小鳥くるくる天主堂妹のりこ
海砂を産土として小鳥かな伊予吟会宵嵐
この星の主は小鳥なのだらう伊予吟会宵嵐
まだ休みだらけのシフト小鳥来る上野眞理
この水の底に故郷小鳥来る上野眞理
害獣の罠に目印小鳥来るうさぎまんじゅう
小鳥来る夜明けの晩といふ間合ひうさぎまんじゅう
小鳥の背後50センチに迫る宇田建
家政婦は見た小鳥は見て忘れた宇田建
黙祷の静寂に小鳥の気配内本惠美子
小鳥来て尼僧と顔見知りとなる内本惠美子
小鳥来る庭に洗濯挟み朽つうづら
枝残す小鳥のとまりやすきやううづら
国会は閉ぢたまんまや小鳥来る海野碧
ひらがなのおけいこ小鳥あそぶあさ海野碧
歯ブラシの一本減って小鳥来る海老名吟
ことりことりおとなになんてなれないよ海老名吟
やつちやんの家は廃屋小鳥来る朶美子
駄菓子屋の風船ガムや小鳥来る朶美子
小鳥にはなりたくないなさみしくて大野美波
小鳥になっても君にプロポーズする大野美波
夕映えの遠き片空小鳥来る大村真仙
小鳥来る天空の弦かきならし大村真仙
喜んで小鳥が雨の色になる大和田美信
小鳥来る空瓶といふ献花台大和田美信
評伝に書けぬ話や小鳥来る可笑式
次々に決まる内定小鳥来る可笑式
小鳥来てドールハウスは解体中小野睦
折り合いをつけて小鳥の枝とする小野睦
小鳥はちねん義母九十ニ年の天寿花鳥風猫
木管の重奏めく小鳥来る朝花鳥風猫
小鳥来る漁師の朝は三時からかつたろー
小鳥来る母の得意な草書体かつたろー
小鳥来るここは頑固な床屋さん花伝
新しき箸の光沢小鳥来る花伝
小鳥つぎつぎマトリヨーシカをひらくごと彼方ひらく
てのひらのやうなる街へ小鳥来る彼方ひらく
小鳥来る目覚ましなしで起きる朝かねつき走流
そこの自販機までついてきそうな小鳥かなかねつき走流
曲想は小鳥に聴かんとの手紙叶黄不動
生真面目な拾い食いなり小鳥どち叶黄不動
世界遺産不動小鳥の群の下かむろ坂喜奈子
有休のうつろ小鳥の列長くかむろ坂喜奈子
電線に瑠璃色光ることりことり亀田かつおぶし
花眼にも青生き生きと小鳥かな亀田かつおぶし
小鳥来る膝を抱えて俯く日亀山逸子
小鳥渡るポカンと空いた日曜日亀山逸子
球児さえいない小鳥のグラウンド岩のじ
ノクターン嫌ふ小鳥の朝は白岩のじ
小鳥来る職場へ買った鳩サブレ北野きのこ
小鳥来る広げっぱなしの恐竜図鑑北野きのこ
誤配無く終へて庭木に小鳥かな北藤詩旦
たくましき小鳥蒙古斑のわれら北藤詩旦
土入れて均すマウンド小鳥来る北村崇雄
町長の初登庁や小鳥来る北村崇雄
あかつきの象の背中に小鳥来るきなこもち
小鳥来るクロワッサンは黄金色きなこもち
小鳥来る仲直りした女の子城内幸江
裁縫は母より上手小鳥来る城内幸江
小鳥来るバッハは音を切り分けて木江
ことづてをたたへてまるき小鳥かな木江
小鳥来る靴ひもギシギシ結ぶ朝木下桃白
還暦の顔洗う朝小鳥来る木下桃白
上履きに木の実の刺繍小鳥来る柝の音
小鳥来るミルクにひたすビスケット柝の音
貴婦人と名付けた小鳥ギ―と鳴く木葉
小鳥来る武蔵野の森映す庭木葉
妊りたるを告げず小鳥に遊ぶ清島久門
けふひとつ国旗を覚え小鳥かな清島久門
小鳥来る二百の墓に句碑一つギル
小鳥来る一羽は童話生まれかなギル
曲がり根にほがらほがらと来る小鳥くま鶉
小鳥来る非常袋にドロップ缶くま鶉
二ノ丸に太鼓一音小鳥散るけーい〇
かきくけこ小鳥の森にある楽譜けーい〇
雲分かつ風に小鳥の来る気配小池令香
浮雲の端より小鳥来て暮色小池令香
灯台は四角のが好き小鳥来る公木正
小鳥は軽い悩みも軽い軽い公木正
小鳥来る刺繍で隠す膝の穴後藤麻衣子
喃語のキー上がって小鳥と会話後藤麻衣子
小鳥来る青空ひとつ高くなる来冬邦子
朝の珈琲君は猫舌小鳥来る来冬邦子
がんばらない日曜の朝小鳥聴く古都鈴
小鳥待つ息整へて朝のヨガ古都鈴
大気圏小鳥は飛べず少年Aこまたれぶー
着ぐるみを脱ぐ日曜日小鳥くるこまたれぶー
筆算はやめた小鳥がやつてきた駒斗
手鏡へ風が映つて小鳥くる駒斗
宍道湖に風の回廊小鳥来るGONZA
足跡の化石に遊ぶ小鳥かなGONZA
旅先の手話の饒舌小鳥来る今野淳風
小鳥来て作るよ新しき林今野淳風
小鳥来よ孤独な首里の馬に来よ在芽里子
宮古馬(ナークー)のたてがみ青く小鳥来る在芽里子
PayPayを習う縁側小鳥来る坂まきか
小鳥来る日延べの法事日延べする坂まきか
花束の英字新聞小鳥くるさだとみゆみこ
待機する機体美し小鳥くるさだとみゆみこ
有平棒のくるくるくると小鳥来るさとう菓子
今更の手紙の誤字や小鳥来るさとう菓子
小鳥来るハザードマップ浸水域佐藤儒艮
家じゅうのカーテン洗い終え小鳥佐藤儒艮
小鳥来るサーカステント立つ広場茂る
開けるコンパクト横切る小鳥達茂る
屋上はひとり小鳥来た放課後獅子蕩児
へたくそな君のフルート小鳥来る獅子蕩児
小鳥来る泥の畳の山に来るじゃすみん
段ボールベッドに熟寝小鳥来るじゃすみん
小鳥待つ検索アプリ準備してしゆういずみ
小鳥来るミシュラン星のレストランしゆういずみ
小鳥きたとこから時間巻き戻す常幸龍BCAD
小鳥来るこれは何かの骨だらう常幸龍BCAD
小鳥来る鷹匠橋は佐竹領笙女
小鳥来て臥す母耳を研ぎ澄まし笙女
反戦のスタンプラリー小鳥来る白よだか
開戦速報ジェンガ崩れる小鳥来る白よだか
見舞ひして小鳥の数の増ゆる塔真繍
小鳥来る半減期二億四千年真繍
小鳥かなジュラ紀の原も忙しからん鈴木由紀子
ことりコトリこのみおとりみんなひとり鈴木由紀子
手に馴染むオカリナ程の小鳥来る鈴ノ樹
カローラか河川に廃車小鳥来る鈴ノ樹
小鳥来る旧い映画を借りに行くすりいぴい
小鳥来て朝日新聞縮刷版すりいぴい
体重を計る象の背小鳥来てせり坊
小鳥来て名前はみんなぴいちゃんでせり坊
小鳥くる鳥語辞典を編纂す宙のふう
あくびする小鳥の舌の赤きこと宙のふう
道端に小鳥清掃課が拾う高尾里甫
のりたまがほしい小鳥はなにがほしい高尾里甫
積荷みな割れ物注意ことり来る高田祥聖
小鳥来る明日は明日の名をつける高田祥聖
かさこそは小鳥がさごそは婆さん高橋栄
小鳥来る隣の匂いも玉子焼き高橋栄
弥生人住みし土地なり小鳥来る高橋寅次
連休を取る根回しや小鳥来る高橋寅次
小鳥はねるはねるとぶ板書のリズム高橋無垢
装丁のアンにまた会う小鳥来る高橋無垢
もちの木は星を宿さむ小鳥をや滝川橋
読みさしの頁はらはら小鳥来る滝川橋
こと小さき詩人の墓や小鳥来る多喰身・デラックス
小鳥来る子等が名を書くオムライス多喰身・デラックス
ピアノまた弾いてみる朝小鳥来る竹口ゆうこ
弟に寛解の予感小鳥来る竹口ゆうこ
小鳥来て半濁点のやうに木に多々良海月
大いなる雲を母船に小鳥来る多々良海月
悪友が来ると決まつて小鳥来る田村利平
新旧の小鳥がゆずり合ふ水場田村利平
障子に影小鳥そっちに飛ぶか丹波らる
小鳥来るこんなに小さかったかしら丹波らる
叔母の店一式錆びて小鳥来る月の沙漠★★
小鳥らと空の青さと吾のきげん月の沙漠★★
今日いくつ覚えられるか小鳥の名てまり
境内の妙に馴れ馴れしい小鳥てまり
交番はいつも空っぽ小鳥来る天陽ゆう
小鳥来るびびび震える糸電話天陽ゆう
鬱の日が小鳥の黒を美しくする土井探花
頭蓋に脳ぴちんと嵌る小鳥来る土井探花
あの木にはあれこの木にはこの小鳥東京堕天使
五年前の栞の頁小鳥来て東京堕天使
花園の鍵もてあそぶ小鳥かなとかき星
墓守は錆びたロボット小鳥来るとかき星
「猫あげます」貼り紙褪せて小鳥来る独星
この恋は死んで小鳥になる誓い独星
九頭竜湖駅や小鳥のくにと化し戸部紅屑
■■糧秣■■シ兵ハ小鳥■■検閲済戸部紅屑
ボンカレー錆びるバス停小鳥来るトポル
秋光に小鳥ぴたりとジグソーパズルトポル
引っ張ればティッシュ次々出て小鳥富山の露玉
ぴちゅぴちゅと長い片言小鳥来て富山の露玉
小鳥来るややの忌日を過たず内藤羊皐
クレヨンの緑噛む子や小鳥来る内藤羊皐
北摂の低き山々小鳥来る中岡秀次
荒れきざす庭を喜ぶ小鳥かな中岡秀次
南は母の故郷小鳥来る中野富雄
僧何時もいこふ庭石小鳥来る中野富雄
あんぱんは小さめが好き小鳥来る夏湖乃
風呂敷に包む練習小鳥来る夏湖乃
小鳥来る子らはオルガン囲みたり楢山孝明
小鳥来る母の日本語おぼつかぬ楢山孝明
小鳥来てにわかに街が立ち上がる薫子(におこ)
小鳥来て音の粒立つ朝かな薫子(におこ)
小鳥集ふを我が鳥葬の床とせむ西川由野
黒糖パンこんがり焼けて小鳥来る西川由野
小鳥来てキャンディの包み紙きらら仁和田永
小鳥鳴く砂の寺院の窓の開く仁和田永
小鳥来る護岸工事のグァガゴゴゴ野地垂木
名を問ふ間なきほど速き小鳥かな野地垂木
青空が遠くて小鳥閉じ込める花南天
耳鳴りのやさしき朝小鳥来る花南天
石板のこの字は「実り」小鳥来るはまのはの
小鳥来る私はパンの耳が好きはまのはの
恋淋し小鳥の窓の濡るる朝播磨陽子
銃口を下げよ小鳥は空の花播磨陽子
くねくねのひらがなのてがみ小鳥来る葉るみ
リハビリのスープ口まで小鳥来る葉るみ
小鳥来る渋谷銃砲火薬店比々き
隆隆と考へる人小鳥くる比々き
長崎や天指す右の手に小鳥平本魚水
悲しみは手放すよほらここに小鳥平本魚水
小鳥来て赤子つぶさに歩き出すひろきち&ひろきき
小鳥にも目脂と皺のありにけりひろきち&ひろきき
ひとひらの雲をくはへて小鳥来る福蔵
誰にでも好かれて独り小鳥来る福蔵
バイクの免許取りに行こうか小鳥来る福月スミレ
三日後の筋肉痛や小鳥来る福月スミレ
愛告げあふ手話の指先小鳥来る福良ちどり
白抜きの南樺太小鳥来る福良ちどり
黒板のメニュースタンド小鳥来るふじこ
小鳥去る梢に詩語の消ゆるごとふじこ
先生の裏声五時限目を小鳥藤田ゆきまち
祖父の好きな小鳥祖父を好きな小鳥藤田ゆきまち
小鳥来る三人主役の学芸会ペトロア
街路樹の膨張一斉に小鳥ペトロア
七百年樟は動かず小鳥来る茫々
小鳥来るいつまで海は青いだらう茫々
小鳥来る同級生の良き知らせ蛍源氏
校庭に白線引けば小鳥来る蛍源氏
ことりことり私をお嫁さんと呼ぶな松井くろ
手掴みの小鳥は脆い風になり松井くろ
臨月の腹まるく撫で小鳥来る松本裕子
新築にメーター二つ小鳥来る松本裕子
小鳥きて図書館しづか子はしづか三雲
ドライブレコーダーはちいちゃくついたことりきた三雲
手放した生家よ小鳥来る頃か短夜の月
ブランチはパスタ小鳥の来るテラス短夜の月
小鳥くる銀器のひかり並ぶ午後みやかわけい子
小鳥来るここに青空あったのかみやかわけい子
愛宕山眺む外廊下に小鳥都乃あざみ
小鳥来る一つ飛ばしの観客席都乃あざみ
木漏れ日はひかりの言葉小鳥来るみやこわすれ
算数の時間は自習小鳥来るみやこわすれ
あしひきの山際ぐわっと小鳥来るみやざき白水
縄文のヴィナスの腿や小鳥来るみやざき白水
ポケットのオカリナ吹いて小鳥来る眠兎
小鳥来て五右衛門風呂に下駄二つ眠兎
小鳥来るこの切り株は譲れない椋本望生
エックスの謎は解けぬが小鳥来る椋本望生
地球儀のここから庭へ小鳥来る森佳月
ヴィオロンのため息つけば小鳥来る森佳月
教室の古き地球儀小鳥来る森中ことり
小鳥来る壊れたままの掃除ロボ森中ことり
武蔵野の湖わしゃわしゃと小鳥来る森山博士
小鳥来て藍色の空脈動す森山博士
小鳥来る屋根より高き防波堤八幡風花
真っ白なスケジュール帳小鳥来る八幡風花
朝礼の工事現場に小鳥来るヤヒロ
小鳥来る補聴器はまだ充電中ヤヒロ
小鳥来る大人も甘きみづ好む雪華きなこ
ちさき手で筆箱に小鳥葬らる雪華きなこ
弁当を三つ仕上げて小鳥来るゆすらご
小鳥来るたびに老ゆるも良しとしてゆすらご
小鳥喰らう夢見た朝も来る小鳥吉行直人
小鳥逃げすこし傷つくけんたくん吉行直人
密会の宿の尖塔小鳥来るラーラ
小鳥小鳥私も月に眠りたいラーラ
むらさきの糞して風の小鳥かなRUSTY=HISOKA
恋唄ふやうな水音小鳥来るRUSTY=HISOKA
ガラケーがつかえなくなる小鳥来る花紋
半跏思惟の弥勒の膝に小鳥来る唯飛唯游
ベビーカーに眠る双子や小鳥来る愛燦燦
好き勝手ルール足す子ら小鳥来るあいだほ
小鳥来るバイトはまた辞めてしまふ葵新吾
濃やかな空はからっぽ小鳥来る青田奈央
肝心を脚下にさぐる小鳥くる明惟久里
調教中干した寝藁に小鳥来て昭谷
被災地と呼ばれて二年小鳥来るあくび指南
小鳥は肉食恐竜の眼光朝雲列
小鳥来る原爆落下中心地淺野紫桜
ことりくるあしたはがっこういこうかな畦のすみれ
小鳥来る動物園で食うカレー天野姫城
小鳥ことり天秤秤つり合つたあまぶー
ティータイムヴィオロンの風小鳥来る朱頂蘭
「運命」は第四楽章小鳥来るあみま
小鳥来るちょうどケーキの焼けたとこ文女
小鳥くるクロガネモチのでんと立つあらら
庭の木に小鳥来ており靴磨く蛙里
愛されないぼくは小鳥にお辞儀をする蟻馬次朗
玄関に小さき靴あり小鳥来る杏樹萌香
空分けて寄せ来る波や小鳥来る郁楽
白き腹かへして島へ小鳥来る池田郁英
小鳥でもだみ声の奴もいるわけで池田華族
小鳥はばたきまた一羽はばたき石崎京子
名を知らぬ樹に名を知らぬ小鳥くる遺跡納期
鉛筆に残る歯形や小鳥来るいたまきし
濁さずに渡りついたか湖の小鳥一佳
はしきやし羽傷めたる小鳥来る斎乃雪
小鳥来る免許維持路線のバスよ伊藤興味
苅草の乾く匂ひや小鳥来る伊藤順女
陰口も小鳥の声も聞こへけりいなだはまち
備忘録折りかえすぎし小鳥来る稲葉雀子
案外と良い人生や小鳥来る戌の箸置
潮風のビルの屋上小鳥来る井松慈悦
小鳥来る板庇より糞零る入江幸子
小鳥から空は広がる青と白いろどり五島
姑の座は遠からむ小鳥待つ色葉二穂
号砲を待つ朝の風小鳥鳴くうさぎさん
小鳥渡る八海山のロープウェイ内田誠美
波静か貝殻浜に小鳥来る海口竿富
縁側のシールのなごり小鳥来る梅里和代
小鳥来る戦の街は通りしや麗し
小鳥来る土鍋に焦げるコシヒカリえちごひめ実
ドーナッツの穴から小鳥眺めをり海老海老
窓際の席三姉妹小鳥来るM.李子
小鳥来る三人乗りの竹箒大小田忍
小鳥鳴く夕餉のポトフ湯気の立つ大嶋メデ
昨日とは違う小鳥の庭となる大槻税悦
ちょき勝てばちよこれいとに小鳥来る大西蜜柑
小鳥渡る洋上デッキの空真青大庭慈温
店たたむ米屋の前に小鳥来る大山小袖
木にのぼり泣かうとすれば小鳥来る小川野棕櫚
小鳥来るかすれて歌ふ諏訪郡歌小川都
縁側に亡父の座椅子小鳥来る小川めぐる
活火山ついに小鳥の戻りたるおきいふ
よくこれで小鳥の細き脚と爪荻原湧
小鳥咲く死んだ仔猫の眠る森おくにち木実
繰り返すコーリューブンゲン小鳥来る小倉あんこ
小鳥来るピザ窯の火は整ったオサカナクッション
空の青羽に留めし小鳥かな小田虎賢
構えたる銃身に小鳥憩う鬼平哀歌
真つすぐに小鳥の声の届きけりおばたよう
箏の音はアイネクライネ小鳥来るおひい
小鳥来る利き手の頭脳線に餌おぼろ月
小鳥たつ何べん吹けどレが低し海瀬安紀子
紙たばこ最後の一服小鳥来る海碧
かりかりと夢を噛れる小鳥かな火炎猿
今日からは小鳥時間で暮らしましょカオス
恐竜の末裔小鳥虫呑んだ笠原理香
小鳥来る未熟なままの空の色風峰
糖分は脳に必要小鳥来る加世堂魯幸
小鳥来て糞に鮮やぐ石舞台克巳@夜のサングラス
小鳥渡るゆつくり歩く塩の道門未知子
小鳥来るきのふは白でけふは青鐘ケ江孝幸
消しカスを捩りて小鳥の流線形神誉
島民は五人三軒小鳥来る亀田荒太
彫り出すは永遠の女ぞ小鳥来る亀山酔田
バーボンは光のびやか小鳥渡る果禄
小鳥去り庭の時間の止まりたり閑蛙
ずる休みした日に祖父と見た小鳥閑々鶏
退官の名物教授小鳥来る邯鄲
納豆の重き粘りや小鳥来る閑酉
晩鐘に追い抜かされる小鳥かな喜祝音
吾子の箏のピッツィカート小鳥来る季切少楽@いつき組広ブロ俳句部
公園の半分は城小鳥来る北大路京介
小鳥はちょんちょんスプーンはシルバー北川蒼鴉
小鳥来るしおり挟んでティータイム祺埜箕來
手放しし家惜しむかに小鳥来る木村かわせみ
小鳥来て図鑑に付箋また一つ木村となえーる
陽の残る大樹に集う小鳥かな木村波平
ぎこちない恋人繋ぎ小鳥来るQ&A
ヘルシンキの青空無限小鳥来る京野秋水
少年の口笛軽し小鳥来る菫久
夕暮れに小鳥数えるまた小鳥銀長だぬき
珈琲と刺し子の午後や小鳥来る國吉敦子
小鳥来てくすくす笑ふ梢かな倉岡富士子
胎の子のぽこぽこ蹴つて小鳥くる倉形サラ
バイオリンの板の隆起や小鳥来る久留里(62歳女性)
小鳥来るコロボックルが住む空き家久留里(21歳男性)
掘割の白秋生家小鳥来る紅さやか
小鳥来て良き1日にワイン抜く桑田栞56女性
小鳥来る時自転車で走る時くんちんさま
オカリナの半音下がり小鳥来る敬具妙洒脱
パスポートなく小鳥たちはやってきた源氏物語
小鳥には目的地とかあるのかな研知句詩@いつき組広ブロ俳句部
へそくりの引き算合わぬ小鳥来る古今亭ちくしょう
小鳥来るつるしとめけんできた朝小笹いのり
切通しの通行止や小鳥来る小嶋芦舟
手水鉢きらきら小鳥次々と木染湧水
シリコンの匙は水色小鳥来るこぶこ
我が庭の小鳥の一羽一羽に名胡麻栞
車椅子押す病棟や小鳥来る小鞠
目をつぶる子らにバリカン小鳥来る小山晃
小鳥自在一茎に揺る風自在齋藤とみよ
免許証に旧姓表記小鳥来る斉藤立夏
キャンバスの音符飛び出て小鳥来るさくやこのはな
小鳥来る何でいつも走ってるの迫久鯨
小鳥来る微分積分解く夜明け紗智
黄昏にオムレツを焼く小鳥啼く佐藤花伎
ベランダに飯盒ふたつ小鳥来る山太狼
人混みのぽつくり寺に小鳥来て三泊みなと
常連の小鳥来ている八百屋かな紫瑛
小鳥来る幼にもらふえんぴつ2B塩沢桂子
よく笑ふみどりご抱けば小鳥来る塩原香子
悲しさの肩に小鳥を遊ばせて塩谷人秀
延命の煉瓦倉庫に小鳥来る篠雪
白髪増ゆ小鳥はいつも小鳥色しぼりはf22
同意書の文字のばたつき小鳥来る嶋田奈緒
小鳥来るおじさんたちの草野球寿松
小鳥来るオブリガートを習ひけりじょいふるとしちゃん
小鳥来る昼に卓球夜も卓球翔龍
カピバラ舎修理中なり小鳥来るジョビジョバ
小鳥来るまず右足を一歩出す白井百合子
けったいな小鳥の声に図鑑繰るしらふゆき
小鳥来ず可笑しくもなきチャップリン新濃健
小鳥来るお菓子の缶に古手紙新米子
クローズの帝国ホテル小鳥来る水夢
方丈記小鳥の声を栞とすすがりとおる
サイフォンの泡立つ音や小鳥待つ杉浦夏甫
小鳥来る雷門の龍の彫り杉本果蓏
痛風で痛い親指小鳥来る鈴木(や)
小鳥来る日向に廻す車椅子主藤充子
煙突の残りし街や小鳥来るすぴか
ちゃりんこに望遠レンズ小鳥来るスマイリー正子
さらさらと好きなトコ書く小鳥来るスローライフ
赤い実のほづ枝の揺れて小鳥かな青児
ダージリンそそぐ九谷や小鳥来る世良日守
紫の実に傾げおる小鳥かなセントポーリア
青空を少し削って小鳥来るそうり
生きていることは不思議だ小鳥啼け曽我真理子
小鳥来る真っ白じゃない祖父の骨空野千鶴
小鳥来て手延べガラスに滲みたり多事
蹲いの小鳥ふくらむしづけさよたすく
この下はジュラ紀小鳥らつつく様谷本真理子
巻寿司の酢も柔らかく小鳥来る玉井瑞月
小鳥来る空のキリトリ線めきて玉木たまね
灯台の小鳥十羽も増えた今日タマゴもたっぷりハムサンド
太陽と小鳥は叔父と姪の距離玉庭マサアキ
古里の狛犬うつら小鳥来るたむらせつこ
大空が絣となりぬ鳥の来て田村モトエ
うらやましそうにだがしをみることり田本莞奈
バイエルは途切れ途切れて小鳥来る千葉睦女
公園に忘れた恋や小鳥来るチャーリー・吉田
小鳥来る読書感想文嫌いちゃうりん
小鳥来し変化ほど前髪を切る衷子
校庭の白線長し小鳥来る辻が花
上靴を干すまた土日小鳥来るツユマメ@いつき組広ブロ俳句部
バオバブの手にとまりたい小鳥二羽ツユマメ末っ子@8歳
予後の胃の残すマフィンや小鳥来るテツコ
小鳥来て国後島の影青し鉄猫
新しく開くジャポニカ小鳥来るでぷちゃん
獣ゐる前に降り来る小鳥かなてんてこ麻衣
小鳥来て遊ぶ昨夜の事故現場ドイツばば
小鳥来る風に跨がるチェゲバラときめき人
痛む膝こきりとなるや小鳥来る徳
小鳥来る煙たい雨の匂いして徳庵
小鳥でもそりゃ罪くらい犯すだろDr.でぶ@いつき組広ブロ俳句部
小鳥来る輪廻転生それ私徳田ヨーコ
イヤホンを外す屋上小鳥飛ぶ斗三木童
小鳥来る少し甘めの筑前煮富野香衣
小鳥には小鳥のことば朝清しとりこ
小鳥来て揺るる木漏れ日啄めり丼上秋葵
花火の燃えかすつつく小鳥のくち仲田蓮謙
黒鍵のPP(ピアニッシモ)や小鳥来る中西柚子
小鳥くる土の匂ひの濃き遊星中原久遠
物干しの仕上げは靴下小鳥来るなかむら凧人
匂い線香一本小鳥のこえ永谷部流
清らかにふるふ耳管や小鳥くる中山月波
「小鳥来た」ツァラトゥストラはこう言った新蕎麦句会・凪太
あと何度小鳥は来てくれるだらう⑦パパ@いつき組広ブロ俳句部
小鳥来る音符のやうに家族の輪浪速の蟹造
幾何学のはまらぬ形小鳥来る名計宗幸
「モモ」をまた読んでみようか小鳥来る名前のあるネコ
又旅に出る日はありや小鳥来る新美妙子
小鳥来る白い影浮くレントゲンねぎみそ
恐竜の頭に止まる小鳥かな涅槃girl
珈琲はおかはり自由小鳥来る根本葉音
ゴッホのぐるぐるのなか小鳥来る野木編
小鳥来るなんでも叶う石仏のど飴
貯水池の底に降り立つ小鳥かな馬祥
保険でもキレイな前歯小鳥来るはずきめいこ
名を付けて一羽かはゆき小鳥かな蜂喰擬
空の端ざわめかせつつ小鳥来る葉月けゐ
小鳥来る岳父の島の朝はやしパッキンマン
触知図のこゑのやはらか小鳥来るはなあかり
空揺らす正午の鐘や小鳥来る花岡紘一
ぜつめつきぐのばくのねどこにことり花結い
小鳥来るベランダ背番号11浜田智恵子
トトトトト小鳥が来てるトタン葺林田りこ
定期券残り少なし小鳥来る原田民久
小鳥来る空き家になつて丸二年ハルノ花柊
きっとまた小鳥になってうたってるひーちゃんw
メニエルの耳に小鳥の声歪み東原桜空
古本はバニラの香り小鳥来る樋口ひろみ
蕎麦啜りつつ目が合う窓の小鳥菱田芋天
ぐずぐずと生きて小鳥と顔見知りひっそり静か
風葬の岩を列なす小鳥かなひでやん
音姫が鳴り止まなくて小鳥来る緋乃捨楽
大河めく青山通り小鳥来るひよこ号
庭先に日差し泡立て小鳥来るひろき
嘴は羅針となれり小鳥行く風慈音
捗らぬ日曜大工小鳥来る深町明
象の尿には驚かず小鳥かな福井三水低
万国旗の白十字にとまる小鳥ふくじん
小鳥来る風は大樹の腕から福ネコ
ファルファッレと発音すれば小鳥来る藤色葉菜
小鳥来る出窓に並ぶマトリョーシカ文月さな女
小鳥来る団地や二重跳びの音冬木呑子
たをやかな白餡のつや小鳥来る碧西里
眠剤の抜けぬ夜明や小鳥来る星埜黴円
久々の個食はればれ小鳥くるほしの有紀
小鳥来る日曜午後の靴磨き星善之
自転車の娘の際を小鳥落つ穂積のり子
シリアルの缶底たたき小鳥呼ぶ穂波
黒靴の手入れをさをさ小鳥来る凡々
小鳥来て昼は無口な祖父のそばまいい
小鳥渡る空奪うパーキンソン病牧野敏信
小鳥来て梢に爪のこそばゆしまこ@いつき組広ブロ俳句部
小鳥来て贔屓選手の復帰かな雅喜
羽ばたいて羽ばたいて進まぬ小鳥松永裕歩
大まかにいふと失業小鳥来るマムシ銀行早乙女
縄文の空を飛びたる小鳥かなまりい@
小鳥来て遠音に潟の広きかな眞理子
的いずこことりがぴぅと横切ったまる
小鳥来る無沙汰を詫びた缶ピースまんぷく
風の庭ミント植え替え小鳥かな三島瀬波
小さき家小さきポスト小鳥来る三隅昌山
小鳥来る習い始めた呼吸法みたせつよ
小鳥来る色鉛筆を揃えけりみつき小夏
人集う小鳥も集ふ狭庭かな光子
味噌蔵の暗きへ小鳥入りて出づみつれしづく
小鳥来るハックルベリー・フィンの墓水面
小鳥来る角より崩すミルフィーユ宮武濱女
防護服タバコ一服小鳥来る宮部里美
観客は小鳥「ソ」のないハーモニカ宮本象三
仕送りの帰路は小鳥のハミングよみわ吉
小鳥来る新調のシャツ抗ひぬ紫小寿々
木漏れ日に勾玉の影小鳥来る暝想華
小鳥来る今日二本目のラシックスもつこ
小鳥来るサビを何度も口遊むももたもも
エアメール甘く匂うや小鳥来る門前町のり子
介護用ベッドずらして見し小鳥山羊座の千賀子
チーズケーキ切れば真白や小鳥来る夜行
小鳥来る闘いの青羽に持ちて山口たまみ
九九唱ふ2年B組小鳥来る山口花子
小鳥来る童話のプロット練るほとり山﨑瑠美
小鳥来る友の絵手紙まだかしらやまな未
台所に展く文庫や小鳥来る山名凌霄
まろうどは四分休符に似て小鳥山踏青時雨
目玉焼き焦がさず焼けて小鳥来る山村楓
いつぞやの小鳥かしらと庭に出る山本あを
溜池に映りし山や小鳥来る山本康
本当は小鳥来るとは思わない結壱隆月
病院の屋上広し小鳥来る柚木みゆき
憂鬱と書きて憂鬱小鳥来る遊好
切株に座れば小鳥来るかしら雪井苑生
小鳥来る空の青さが違うよな雪だるま担
園バスのルート変更小鳥来る如矢
小鳥遊(たかなし)の字面やさしや小鳥来る揺子
小鳥舞上がる基督像の襞宵猫
ぎゃあていぎゃあていはらそうぎゃあてい小鳥来る横浜J子
小鳥来る秘め事ふふふふふふふふよしざね弓
退院の荷の軽きこと小鳥来るよにし陽子
Y体のスーツ新調小鳥来る梨音
小鳥来る素振り百回増やしけり瑠璃茉莉
乳飲み子のゲップ甘やか小鳥来る若井柳児
スキップでチョットだけ小鳥の気分和光
よき島によき風ありて小鳥来る渡邉一輝
小鳥来る朝は逢いたい人がいる笑笑うさぎ
新品の財布に小銭小鳥くる中島葉月
小鳥見る更地になった父の家あかり
被災地の軽トラの屋根小鳥来る安春
小鳥来る二枚目焼けたパンケーキ飯村祐知子
新聞のインクの匂い小鳥来るito
セキュリティゲートにとまる小鳥かな稲垣由貴
祈る声音楽となる小鳥来る江川月丸
廃校はパン屋となりて小鳥来るオカメインコ
小鳥来る庭幸福な日の形見小川天鵲
排卵の予定は明日小鳥来る橘まゆこ
国道の全面復旧小鳥来るとしまる
使はれぬ野外ステージ小鳥来る奈良素数
小鳥来る教会付属幼稚園西村小市
相棒の水筒見つけ小鳥来るノグチダイスケ
見えていて小鳥の影に消えていて羽沖
小鳥去り殺風景な庭だことはむ
手術待つ病室の窓小鳥来る早山
小鳥来るカージナルスの野球帽比良山
小鳥来る焼きたてパンは九時三時ままマリン
口重き人のまなざし小鳥来る柳川心一
小豆島は子犬のかたち小鳥来る山口一青
明日には小鳥さえずる爆心地山吉白米
席替えや消しゴム貸して小鳥来る夕顔
小鳥来る出しっぱなしの梯子かな雪乃
小鳥来てケーキと切手買いに出る百合乃
小鳥にもひと足遅いやつがいる廣重
退院の車のミラー小鳥くる鹿嶌純子
12色だけのクーピー小鳥来る湖雪
休演のつづく劇場小鳥来る紗千子
小鳥来るフランス窓を開け放ち鈴木麗門
休演のつづく劇場小鳥来る紗千子
小鳥来るフランス窓を開け放ち鈴木麗門
庭響くピアノの音に小鳥たちひなた娘
小とりくるぼくらの町へこんにちは八島清麟
小鳥たち私の町に出張か八島鳳華
どうしてことりそらがすきなのかな吉田結希
なにぬねののの字のたたみ小鳥来るういろ丑
刈りたての庭をついばむ小鳥かな痩女
今年もまた吟遊詩人の小鳥来るANGEL
三回忌独りの庭は小鳥あそびあ・うん
ベリーの実小鳥啄む朝の庭あいらぶ
小鳥来る土曜日の早朝校門に葵はるか
集会所かつては母校小鳥来る青い月
木漏れ日のまだら小鳥のホッピング青井晴空
暁の病窓に見ゆ小鳥の来茜雲
もう来るか小鳥来ないか着信音AKI
小鳥来る仏飯下げてそっとおき秋代
目が合うてはつと飛び去る小鳥かな浅井和子
弧にゆらぎゆらぐ刷毛跡小鳥来る浅井郁
経糸は無色小鳥の杼(シャトル)往くあさいふみよ
御先祖に代わり小鳥を追いかけるあさぎけんいち
あの空に白眉の小鳥飛び立って浅野俊也
遅刻して空には小鳥吾は独りあさのとびら
ツィツィと挨拶くれる小鳥かな麻場育子
魂よ小鳥の羽借り飛び回れ亜紗舞那
小鳥鳴く藪は心の置き所明日良い天気
ひもすがら小鳥遊やタカはナシ網代
名も知らぬ小鳥を埋める猫の庭麻生恵澄
宿り木はネオンの下の小鳥かなあそぼ葉
小鳥来る朝の目覚めに音連れて跡部榮喜
小鳥観に火の山ロープウェイ八時sakuraa.
一周忌庭先に鳴く小鳥かな亜放哉
小鳥転ぐ猫の爪先ヂヂヂッと雨楠
何度目か読み返す文庫小鳥来るあまぐり
われ忘れ息を殺して小鳥撮り亜祐莉
小鳥くる小島のやうな小家かな有本仁政
枝弾み二羽の小鳥と赤い実とアン
寂寥のシャッター街に小鳥群る安樂安策電
小鳥来る我が家を茶屋の代わりとし飯田淳子
タマの口に小鳥野生の戦慄粋庵仁空
小鳥来る昭和の歌手の旅立ちぬ郁松松ちゃん
友の死を聞きし明方小鳥来るいくみいっく
マー牧の牛の搾乳小鳥来る郁陽
小鳥来て見つめることのむずかしき池内ねこバアバ
フィリピンへ子供巣立てて飛ぶ小鳥池上敬子
ベランダに挨拶に来る小鳥かな池田功
小鳥来て何やらうれし疫の日々池田洋子
愛猫の命日過ぎて小鳥来る石岡女依
ボイラーに篭る小鳥へ伸ばす腕石垣
小鳥来るまたあの一羽あの角の家石垣エリザ
うずくまる小鳥や足の間に囲い石ころころころ
小鳥来て職場去る日を数えだす泉子
小鳥来る山のカーテンひっぱって市川りす
図鑑持ち孫戻るまで待て小鳥いちご一会
何気なくいつもと違う小鳥いる一太郎ラン坊
小鳥来る同じ毎日玉子焼き一番ぶろ
小鳥来る自粛自粛の窓の外伊藤節子
壬生寺のカンデンデンに小鳥きて伊藤ひろし
柵の小鳥あっちへこっちへと遊びおり伊藤正子
朝六時パンくずくれと小鳥来る伊藤小熊猫
睡魔飛ぶ浮き引く波間小鳥来る稲葉こいち
よたよたいく小鳥追う子の千鳥足いなりひろみ
なにもかも片づいた家の小鳥かな戌亥
庭のそこ見知らぬ小鳥柔に鳴き井上繁
誰からもメール来ぬ日や小鳥鳴く今井淑子
名をたずねネットサーフィン小鳥来る今村ひとみ
小鳥来る寂しき庭に色をさすいろをふくむや
リスも来て小鳥の餌をいただきますvivi
巣作りの小鳥と目の合う昼下がり植田かず子
コロナ禍の山下公園の小鳥卯巳申
小鳥呼ぶ笛の音空高く卯さきをん
小鳥来る小さき農場鶏の小屋宇佐美好子
爪を赤く喫茶の窓に小鳥来る内田英樹
対岸の小鳥見つめる放浪者うちもとえみこ
無人駅ひゅっと飛び行く小鳥かな卯月かりん
国境と知らずにぴやうと小鳥越ゆ梅嶋紫
小鳥来て自慢話の邪魔をする栄
渋谷5時小鳥集まり急ぐ帰路A.盆暮れ
小鳥来る出かけたくなる雨の日に江田綾子
小鳥のおとない手水鉢の羽毛江藤薫
正客は小鳥なりやいつもの椅子江藤すをん
小鳥たちこのもかのもでこえがするえみばば
迎賓館来る来たる小鳥もVIPかな江見めいこ
小鳥来る古希と言ふ年クラス会円
ことり鳴く吾子は背伸びで探し寄るえんどうしん
待ちぼうけ一度旋回して小鳥遠藤百合
バスタオル干せば小鳥の影の舞う遠藤玲奈
かくれんぼ鬼に加勢の小鳥かなおうれん
夕空や旅を栖と小鳥ゆくおおい芙美子
空振りの地震速報小鳥来るおさむらいちゃん
君の吹く息の温度に小鳥来る大津美
日暮れて駅前木立に小鳥湧く大野静香
小鳥来て巣ごもり独り笑みこぼす大原妃
夕闇に風と現る小鳥かな大原雪
飛ぶ道を間違えないで来る小鳥大本千恵子
高みにて歌う小鳥よ生きる吾よ岡美里
小鳥くる新居の中は段ボール岡れいこ
見慣れない小鳥の歌に声かえすおがたみか
故郷へ小鳥渡るや雨上がり奥寺窈子
小鳥来て猫ブツブツと窓の中奥ノ木蛍子
風向きが変わるやいなや小鳥発つ小栗福祥
小鳥去り一樹静かに朝を待つ小崎順也
茶碗蒸の具の多き日や小鳥来るおざきさちよ
ティータイム庭に小鳥とボサノバとお品まり
ヨチヨチと小鳥追う孫早や1歳尾関みちこ
もの言はぬ人の看板小鳥群れ小田和子
海峡を渡る小鳥の黒き群小田龍聖
手のひらに種載せ不動小鳥待つ小田慶喜
風通る庭の小鳥の奔放に音のあ子
竿拭ふちょこんとおじぎ小鳥来るOPALE
雨雲の上に天道小鳥来る馨子
休みきて小鳥眠るや蒼き夜案山子@いつき組広ブロ俳句部
小鳥来て悲しみどこか飛んでつて影山らてん
小鳥くる母の命日近くなりかこ
幼少期小鳥と子盗り祖母に問う風花あつこっとん
嘴に言祝ぎ下げて小鳥来る風花まゆみ
葉陰ゆれコーヒーかをり小鳥くる風花美絵
口笛かホーホケェキョと小鳥鳴く加島
歌忘れ捨てられし小鳥生きてし柏原淑子
ブルーベリー小鳥ついばみ孫は来ず一枝
小鳥鳴きピンと耳立つ黒小犬上総道産
被爆パネル展見終え子とみた小鳥かな風ヒカル
チルチルとミチルの庭に小鳥来る片岡佐知子
幸せに見えるは嬉し小鳥来る片栗子
待ち人の手紙は来ない小鳥来るかたちゃん@いつき組広ブロ俳句部
小鳥来るやさしき時をつれて来る鹿沼湖
小鳥来て想ういつかの朱色空金子真美
工場の吐き出す煙小鳥来る金本節子
小鳥来て羽立て水浴び目で一礼河畔亭
ヴィヴァルディ小鳥聞き入る今朝の庭甲山
朝刊とあらそふやうに小鳥来る釜眞手打ち蕎麦
老猫の見上げる空や小鳥来る神or愛
光芒に踊る小鳥や溝切れり神長誉夫
母逝きて侘しい庭に小鳥来る紙谷杳子
電線で総員点呼小鳥来る亀田稇
置き去りの原子の村に小鳥来るかもめ
小鳥飛ぶ当たり前の怖さかな加裕子
食卓に揃いし家族小鳥来る華林灯
ベランダに小鳥いるよとラインあり川添昭則
小鳥来る商店街の入口に川畑彩
カップルか小鳥来るのはさおの先川畑ここな
小鳥来る心が今に戻るときカワムラ
柔らかき手に触れる午後小鳥来る河村静葩
この庭木止まりやすしと知る小鳥川村ひろの
小鳥来るヨガのポーズの老いひとり川村昌子
この夏は売り切れましたと小鳥来るキートスばんじょうし
照り返すアスファルト跳ぬ小鳥かな菊池洋勝
信州の木々に小鳥の声辿る黄桜かづ奴
早朝(あさ)ペダルさえずる小鳥背中押し岸本元世
小鳥来る古稀迎えし朝の窓酒暮
朝市の露店の柱小鳥くるきた実実花
荒畑を手入れの農夫小鳥来る木寺仙
とどまらぬ疫病日本小鳥来る木原洋子
コロナ禍を小鳥渡るや故郷へ木村修芳
青空にどこでもドアや小鳥来るQさん
小鳥来る山の噂を羽に乗せ鳩礼
草刈りし遅目の朝餉小鳥来る空龍
電線の5羽の小鳥のロックフェス草野あかね丸
庭に来て一人語りか小鳥鳴く楠田草堂
温暖化まだかまだかと小鳥待つ朽木春加
臥すこの身見舞うてくれる小鳥かな句楽
小鳥早や来てをり朝の始まりぬグランディーヌ
菜園の残果つつきし小鳥かなクロまま
小鳥来るハミングしつつ布団干す桑原和江
小鳥来るころ庭先で新聞を佳山@水戸
離乳食匙まつ口は小鳥の子Kへりくつ
来るもの去るもの森に鳴く小鳥月昭
小鳥迎ふ今年でしまいこの小庭紫雲英
「東京へ、ゆくな」小鳥よ我が妹よケンG
ポタポタと洗車したて小鳥とぶ弘
再検診杞憂にすぎし小鳥来る江雲
小鳥来て街に明るき知らせかな上月ひろし
小鳥来るワイシャツ袖に濡れた糞幸内悦夫
哀れ小鳥陳列窓にぶつかる古賀
庭掃除こそと出で来る小鳥かな古史朗
連勝の躍る紙面や小鳥来る小杉泰文
小鳥来る国語の時間窓の外小雀
カップ麺の蓋のふくらみ小鳥来る小だいふく
空見上げれば賑やかに行く小鳥たち木積
小鳥の声消ゆ狙うパーパット小林久美子
傾く陽部屋に小鳥の黒き影小林のりこ
昨日来し小鳥と同じ種類かな小林陸人
舞台前小鳥に聴かすリコーダー小薪まりちゃ。
小鳥来て「命の母」を飲んでみる小南子
後ろめたい朝も小鳥に起こされて今藤明
庭隅に小さく盛った小鳥の碑西條恭子
小鳥来て季節は進む白い部屋さいとうすすむ
夫の元小鳥に言付け頼みたしsaitoumituko
ハノン弾く隣家の少女小鳥来る齋藤杏子
無我夢中みがく窓越し小鳥くる斎藤数
小鳥来てきっと汝の宥し哉さいとう若菜
廃屋の梁光りをり小鳥来る榊昭広
父と見る物干しに二羽小鳥鳴くさかぐちりょうこ
父植えし果実なる木に小鳥来るさかたちえこ
夫の友焼香の祈り小鳥鳴く坂本千代子
懐かねど歌う小鳥や何思うさきまき
人去りし島の灯台小鳥来る咲弥あさ奏
葉がくれの小鳥初顔合わせかなさくら亜紀女
美容師合格証書小鳥来る櫻井弘子
城跡に姫のなごりや小鳥くる桜姫5
限定のハーゲンダッツ小鳥来るさくら悠日
小鳥来てパン食多くなりし母さこ
小鳥来て被災地に唄運びけり佐々木宏
駅逓に古からか小鳥来るささきなお
雄を待つ雌の小鳥の憂い顔佐々木波響
小鳥来る啄みし実は三つ四つ砂舟
足一歩小鳥羽ばたき悔の念皐月晴れ
小鳥来る昨日の庭の菓子屑に佐藤あん
通販のカタログ開き小鳥来る佐藤志祐
藁に紛れる小鳥撮るシャッター音佐藤佳子
薄玻璃のごときいのちや掌の小鳥真井とうか
小鳥来て赤い実すかしギイと鳴くさなぎ
小鳥来て二子玉ランチローヒール佐野英
小鳥来るスケッチブックめくる前さむしん
校了の朝まだき庭小鳥来る澤田郁子
小鳥来る現場検証最中に三々一
青き目のともだちできて小鳥来る紫雲
小鳥たち悪天感じ逃げてゆく汐海さくら
コロナ渦小鳥は部屋に放つなり篠崎彰
下膨れ顔おかめ小鳥のピー子柴桜子
庭先に小鳥下がらぬ微熱かな芝野麦茶
小鳥鳴き朝日差し込む居間の傷島村福太郎
夜勤明けボンネットにも小鳥来る清水祥月
大空にわき出ず小鳥湖閑か清水容子
耳の端(は)で小鳥の姿捉えをり霜月詩扇
愛人と同衾目覚ましは小鳥下丼月光
影長く青む富士山小鳥来るうめがさそう
長距離を走るリズムや小鳥来るジャマイカ丼
小鳥きてレーキの溝のほころびぬ砂楽梨
小鳥来て恋の話の始まりぬ洒落神戸
小鳥来るチロルのパン屋歯を磨く秋月てまり
ジョギング路小鳥も人に慣れるかも秀耕
小鳥では目覚めぬ朝の列車音秀たあ
愛らしや小鳥大地を独り占め秀道
小鳥来て教えてやりたし枝の密朱沙
荷を持たず所定めぬ小鳥かな綉綉
幾たびも主なき犬舎の小鳥かなシュルツ
引越しの朝外灯に来し小鳥城ヶ崎由岐子
鋳鉄の恐竜の背に小鳥来る白藍こはく
掌の中で一声啼きて小鳥逝く白石青白
小鳥来て夜の深みに姿消し白沢修
小鳥来る遥けきを超えわが庭に白土景子
芝舞台子供と小鳥二重奏白戸生成
どうれどれ雨は降ったか小鳥来る新開ちえ
小鳥渡るパタパタダイヤ北西に真優航千の母
テレワーク小鳥の影に指止まる酔進
小鳥来る南無阿弥陀仏朝が来る杉浦あきけん
夕暮れの畑に小鳥集まれり杉浦真子
小鳥来る湖一望の不動尊杉尾芭蕉
小鳥来て失いし友の重み知る鈴木案菜
独り居の荒れたる庭や小鳥来る清白真冬
スカイブルー休日取得小鳥鳴くスッポン
和菓子屋の客をもてなす小鳥二羽素敵な晃くん
名も知らぬ小鳥の飛んでく飛んでく須藤かをる
スクワット今日は二十も小鳥来る晴好雨独
静けさやつづる文字切れ小鳥かな星夢光風
うるはしき声を辿りて茶の小鳥瀬尾ありさ
寝床にて耳は小鳥を待ちわびる瀬尾白果
小鳥ども枝から枝へ直球だ千鶴姫
無防備に水飲む小鳥朝ぼらけセントキルダ
トントントンとオムレツふわり小鳥来る蒼奏
故郷に墓のみ残り小鳥来る惣兵衛
草を食む牛の背に乗る小鳥かなそうま純香
庭の木々今日か明日かと小鳥待つ蘇州
さあ前に踏み出してみよ小鳥来るそまり
小鳥来る米汁蒔いた花の根に空
母の庭父は天国小鳥くる駄詩
葉をふむ音で小鳥来るを知る祖母高石たく
小鳥来てみききしことを告げまわる高砂浩
はやぶさ跳び難し小鳥渡る高嶺遠
ラーメンはこってりが良し小鳥来る高橋毛玉
ふんはりと小鳥の捨てし羽根積まれ髙橋なつ
聞き役にみな当てはまる小鳥の目高橋実里
小鳥来る昔の友と打ち解けて高橋光加
散歩道さざめく朝や小鳥来る高村安子
小鳥来る手帳めくりて飲む朝茶卓女
モーニング小鳥挨拶賑わいて竹井龍天
読み疲れ珈琲の憩小鳥来る竹内うめ
小鳥来る子供になった母と居り竹内みんて
巣と糞と烏よけ残し飛ぶ小鳥竹一
小鳥来て嘴向ける小鳥かな峻
小鳥来て目覚し時計も目を覚ます多胡蘆秋
小鳥来て古き分校懐かしく多田ふみ
目覚ましの小鳥去る庭しじまかな鶴群
巣の残るかつらの枝へ小鳥くる蓼科嘉
小鳥来るポリープ切除無事に終え田中ようちゃん
小鳥の子兄に負けじと空を飛ぶ田中善美
明けの空独り占めして小鳥鳴く谷口あきこ
小鳥来る次は勝負のリレー戦田畑整
だるまさん転んだのごと小鳥来る玉井令子
葉の動き追えば小鳥のかろき声玉響雷子
ウォーキング始めてみむや小鳥来るたむこん
ひとり寝の朝に小鳥や妻の声田村佳数
小鳥来て夢は未完のままとなり田村伊都
餌数多農薬皆無小鳥来る田本雅子
点々と瀬にふえる群れ小鳥来る蒲公英
小鳥二羽もつれ飛び去り静もどるちっちのきも
迫る受験深呼吸一つ窓に小鳥ちやこ
字余りの音鳴く小鳥初披露目月影キョロ
白胡麻の擂る手ぞ止めん小鳥来る辻内美枝子
小鳥来て少し優しき夫の声対馬清波
雑踏の空に狂気の小鳥かな土田耕平
訃報あり明けの空には小鳥ゆくつなちゃん
鈴なりで小鳥がかしまし女子トークつる凛々
ベランダに小鳥一羽や朝清しティーダ
小鳥来て歳時記閉じる〆切り日苳
カレーよりシチューの気分小鳥来る峠まさ子
一輪の花は小鳥が植えた蕎麦独奏
四六時中換気扇から小鳥鳴く道産子ひとみ
小鳥来る姪の縁談まとまりぬ戸根由紀
アルバムの校歌歌ヘリ小鳥来る友雪割豆
母が呼ぶ紋付を着た小鳥来たとみことみ
ごはん粒あまりて老父小鳥呼ぶ豐田雄二郎
帰省しない小鳥に託すふるさと中嶋京子
小鳥来る群れて来よ来よ小庭にも中島圭子
ッピッピと小鳥ぞ鳴くか友帰天中嶋敏子
電線に音符のやうに小鳥並む中島紀生
シャトーてふホテルに消えし小鳥かな中村一郎座右衛門
小鳥たち食する僕に応援歌中山清充
黒塀のばあちゃんちに小鳥来るなごやいろり
裏通りフェンスに群れる小鳥らよ夏雲ブン太
蹴りあげた鞠たかだかと小鳥飛ぶ七夏すばる
北の地の空気まといて小鳥来る成久巳子
小鳥来る半年だけの我が家族なんじゃもんじゃ
空騒がし猫に食われた小鳥の仲間にいやのる
小鳥まず立入禁止テープ越え二鬼酒
風の中百の小鳥の咲く木かな西尾至史
この国の未来を知つてゐる小鳥にじのすみれこ
子規庵の小鳥の巣箱まだ空家西原さらさ
窓際の俺にもほわり小鳥くる尼島里志
夕空と泣き止まぬ子に小鳥来る沼沢さとみ
俯瞰して踵を返す小鳥かなねがみともみ
新しい学びうれしや小鳥来る根々雅水
木漏れ日の影をうごかす小鳥かなのこもま
サティ聴くテラスに留守居小鳥来る埜水
山降りて庭に小鳥の奏でけり野中泰風
小鳥来る気持ち高めのリーゼントののr
ふるさとは母がゐる場所小鳥来る野ばら
退院の目途立たぬまに小鳥来る野原蛍草
小鳥飛ぶ見上げる吾子の頬に傷野原理佳
住みかどこ蹲で浴ぶ黒小鳥延杜
米ほどの舌見せて小鳥の大あくびのりのみや
鴨川も大河となるや小鳥くる則本久江
小鳥来る言葉を持たぬ子との日々琲朴
カバの背に友の小鳥や夕陽受く白雨
ひさびさに弦を張り替え小鳥来る馬笑
空へ跳ぶ小鳥の重み揺るる枝長谷川ろんろん
アッシジのごと小鳥に説く今日の庭長谷島弘安
壊れゆく父の背中や小鳥来る畑詩音
通販の声を聴く午後小鳥来るはっかあめ
渡り廊下走る子どもら小鳥来る八田昌代
つくばいで遊ぶ小鳥や水しぶき初野文子
目覚ましの小鳥見やれば仄暗くはときち
譲り合いついばむ番いの小鳥かな花おうち
くすぐらる水場の小鳥羽繕い花岡淑子
探してた赤い実青い実あの小鳥花咲みさき
裏木戸の歌を忘れた小鳥かな花咲明日香
ひび入れたカップは庭で小鳥来る花屋英利
小鳥鳴く誘う先の桜島浜崎直人
いつも二羽で小鳥訪う母の庭原善枝
夜明け前瑠璃色の空に小鳥鳴くharu.k
小鳥来て歩き初めし子の靴を買い春夏
ドヤ顔の我が猫横に小鳥果て春田あかね
小鳥たち電線一路クロニクルはるる
道路脇streetview小鳥をりHNKAGA
幼子の追ふ猫の追ふ小鳥かなびあ
愛しさの温もり覚え小鳥来る光源爺
黄昏の雲間を速し小鳥群ひぐちいちおう(一応)
墓碑の樹にしづかな日和小鳥来る樋口滑瓢
独壇場ムーンウォークの小鳥かな人見則江
庭先で影絵遊びか小鳥来るひなた
小鳥くる何度聴くとも新しきひな芙美子
かしら振り蜥蜴とどめさす小鳥かなビバリベルテ
湖に佇む小鳥凛としてひめりんご
母歌うままに覚えし小鳥うたひよこねいさん
ペダル漕ぐ君の一瞬小鳥鳴く飛来英
小鳥鳴く樹を見付けたり朝散歩平松一
五年日記ときを同じく小鳥来る蛭本喜久枝
昨日から差し込む日差し小鳥来るひろ夢
有明の夢に訪る小鳥かな琵琶京子
ベランダに小鳥侵入カーテン越し風香
朝ぼらけコトンと小鳥トタン屋根風泉
衣擦れと聴き紛ふとぞ小鳥かな風紋
やせ小鳥喪服の私見つめ立つ副田木染
命日に問いたい事あり小鳥発つ福田みやき
もがく肢咥え飛び去る小鳥かな福弓
なつくよう小鳥を諭す杖の人ふくろう悠々
一瞬のこの風に乗り小鳥来る藤井聖月
渡り待つ庭の小鳥の身繕い藤井眞おん
ぢくぢくと地面ほぢくる小鳥の目藤岡美波
ささやかな草抜きし土小鳥来る藤田康子
おはようと小鳥が朝を連れてくる藤原訓子
小鳥待つ巣箱の前の甥と姪双葉@あさ葉会
頭上過ぐ小鳥の影濃し昼下がり船橋こまこ
セコイアの天に陣取り小鳥鳴く撫品
独り居の生垣賑わし小鳥来るふみ
あれはなに街路樹の下小鳥散るふみくらのな
小鳥鳴く露天の空は限りなし古庄秀樹
虚しさを小鳥が癒す傷と牙ヘッドホン
ほほ紅をくるくるぼかし小鳥来る弁女
枝先の小鳥ひかりの粒子浴び蛇井めたる
安定剤止めて久しき小鳥来るべびぽん
尋ねても目そらす母の見る小鳥細川小春
もしかして父の命日小鳥鳴くほたるブクロ
小鳥来て朝の会話のはずみけり保土ちゃん
スッポンと酒の栓抜き小鳥来る盆暮れ正ガッツ
公園の太極拳に小鳥舞う香港ひこぞう
トーストはこんがり焼けて小鳥くるポンタ
歯切れよき小鳥の動きコマ送り本間美知子
たたかいに竹槍もなし小鳥来るほんみえみねこ
待ちわびて小鳥はくるり実から実へまあぶる
今日も明日も小鳥の名はと君は問う曲がりしっぽ
ほんとうの空フクシマ小鳥来る真喜王
小鳥来る住みたい街の第一位まこと(羽生誠)
小鳥来るきまって午後のテイータイム正岡恵似子
小鳥来た不漁の港旗は来ず松尾義弘
寅次郎小鳥と共に柴又へ松島美絵
葦原に群れる小鳥のねぐら入り松髙法彦
小鳥くる五坪の庭へ名は知れずまつぽっくり
海渡る小鳥の力庭先に松村貞夫
まつすぐに抜かれ小鳥は暁に松山のとまと
大腸の検査の終わり小鳥くる真宮マミ
夕映えに影絵のごとく小鳥飛ぶ真理庵
しわのない脳みそ抱え小鳥来る丸山隆子
庭先の木陰にコトリ小鳥来る三浦ごまこ
気を抜くと顔出す小鳥カメラ前三浦佐知子
雨雫朝陽に跳ねさせたる小鳥三浦真奈美
バザー品机に並べ小鳥来る澪つくし
小鳥逝く牛乳瓶の冷たさよ三樹卓求
小鳥来る頬杖ついてカフェテラス巫女
緊急事態宣言小鳥は密みことのりこ
お茶淹れる余白の時間小鳥来る三茶F
本買うて椅子も新調小鳥来る岬夕顔
小鳥渡るスープ温め帰り待つ美翠
窓越しに小鳥に聞きし海の色水乃江辰
小鳥くる日本国中晴れマークみちむらまりな
恐竜もドードーもゐた小鳥来る満る
友達以上恋人未満小鳥来る南方日午
枝先に小鳥来りて図鑑見る湊かずゆき
小鳥来て図鑑片手に畦道へみほめろ@いつき組広ブロ俳句部
心労の日々も馴染みの小鳥来る見屋桜花
小鳥来る風小さくも暖かし三宅剛
金色の小鳥明日なき窓に来よ三宅雅子
自由潰えて小鳥わたるよ香港に都忘れ
小鳥来る我に内定いつ来るか宮坂暢介
小鳥飛ぶ私の夢を持って往け宮坂変哲
土起こす後から小鳥ついて来る美山つぐみ
闘病の妻育てし庭に吾と小鳥深山涼水
今朝も来た小鳥を今やあの子呼び宮村寿摩子
ベランダの檸檬ねらいて小鳥来る三和花子
占へば友はペガサス小鳥来る睦月くらげ
ピチカート調べの師範は舞う小鳥村辺史公
更新の運転免許小鳥舞ふ村松登音
小鳥来たりて砂浴びは犬の墓村松昌彦
出汁巻きの匂いの窓に小鳥かなモコ
園庭のジャングルジムに小鳥来るmomo
廃線の切符売り場に小鳥来る桃香
廃校のジャングルジムに小鳥来る山育ち
小鳥来る羽裏の白の集まりて桃子ママ
廃校の記念樹撓わ小鳥来て杜まお実
グーグルの地図呑み込みし小鳥かな森の水車
真直ぐに立てなくなりて小鳥来るもりのまりりん
枝揺らしついばむ小鳥の丸きかな八重葉
枝に飽き小鳥ことりと庭に降り八木実
水平線越えこの島へ小鳥来る八島裕月
小鳥来るはらのはらはら万華鏡山内彩月
風の迅に転ばぬ小鳥の強さかな山沖阿月子
青き空朝のカフェオレ小鳥来る山川恵美子
初見えの小鳥滞在わずかなり山川真誠
トラクター掛し畑に小鳥来て山川芳明
分け入りて小鳥を捜す双眼鏡山口要人
通り雨洗いし空に小鳥来る山口香子
友来ないハチ公前に小鳥来る山口悟郎
巣作りの材料銜え飛ぶ小鳥山口雀昭
小鳥来て急ぎ飛び去る朝ぼらけ山崎鈴子
あめ色の小鳥止まりぬ生垣に山科美穂
小鳥並ぶ視線鋭く畑見つむ山城明子
つつがなく一日一日を生く小鳥山田啓子
逝きし友今日小鳥なく枝の上山野花
小鳥去り巣箱を閉じぬ空はるか山辺道児
多摩川は翡翠小鳥の来る畔山本先生
水浴びも代わり番こや小鳥来るヤンヤン
つくばいに膨らむ水や小鳥来る遊飛@蚊帳のなか
小鳥羽ばたきあの空に君は居る雪乃彩文
小鳥来る窓の向こうで果実食む夜香
友来たるベランダ越しに小鳥鳴く吉哉郎
小鳥去るV字編隊乱れなしよしこ
吾子の歯が二つ抜けし日小鳥来る吉野春夏
銀ブラへ小鳥も人も待ち合わせ吉藤愛里子
療治した小鳥を自然へ解き放つラリロリラリラ
髪梳かす小鳥おのおの羽繕い龍季
戸袋の上に営巣小鳥来る隆美
小鳥死す術後の吾の身代わりか凛
羽透かせ小鳥渡るや石地蔵伶人草
あかちゃんがかえってくるひことりくる蓮花麻耶
良き日ならなおさら嬉し小鳥来る連雀
小鳥来る父の遺しし杖ひとつ六手
朝空に聞き慣れぬ声小鳥来るわか佐
コンコース朝の光に小鳥二羽わかなけん
大欅墓地に傘さす小鳥来る鷲野の菊
ソーシャルディスタンス楢・楠・ブナに小鳥来る渡辺みちこ
群れ騒ぐかくも大きい小鳥かなわたなべいびぃ
丸の内疲れきったる小鳥かな渡邉久晃
疎まれて小鳥の大群抗議鳴き渡辺満代
いつの間に小鳥来ている川辺かな渡辺陽子
縁側の碁盤をよぎる小鳥影侘介
澄み渡る空まじり気のない小鳥の足音笹倉なおこ
小鳥飛び知るか身軽し一人床(回文俳句)坂島魁文
- 夏井いつき先生からの一言アドバイス
-
俳号には苗字を!
〇俳号とは、その句が自分のものであることをマーキングする働きもあります。ありがちな名、似たような名での投句が増えています。せめて、姓をつけていただけると、混乱を多少回避することができます。よろしくご協力ください。
●俳句の正しい表記とは?
- 盆来たり 小鳥追う稚児 目を細め崎桜弥
- 巣籠もりで、気づかぬうちに 小鳥来るざわkan
- 足跡の 落穂ついばみ 巣で一夜柴崎晶
- 猫耳が ピクリと動く 小鳥の子田中節子
- 小鳥鳴く 下田の海は 如何かとベリーベリー
- 小鳥来る 境界のない 空を飛び星影ステラ
- 小鳥来る 幸せさうな 毛繕ひ星野茜
- 小鳥来る 工事の音に 追い越され眞さ野
- 陽に光る 小鳥すり抜け アーケード白丸風仁
- ピィと鳴き 名残を置いて 飛ぶ小鳥スカビオサ
- 残り柿 小鳥啄み 踊る枝関口竜一
- 秋の暁 親を見送り 鳴く小鳥三品拓人
○「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪
- もったいない
その一言が
熱中症小田直美 - ベランダに
小鳥さえずる
迷子かな神作よしえ - 昏き夢
浮かびあがりて
小鳥来る田中由美子 - 縁側は
母の社交場
小鳥来る出口良人 - 小鳥たち
天から地上に
風運ぶ符鈴 - 目合わせば
マスク越しに
小鳥鳴く一星 - 小鳥さん
立派に成長
するんだよ吉村はるか
○テレビの俳句番組では、三行書きにする場合が多いのですが、あれはテレビの画面が四角なので、そのような書き方をしているだけです。重ねていいますが「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが正しい書き方です。
●一句一季語から練習
- 小鳥来る 汗スイカ ツクツクボーシが ヒーヨヒヨ(ヒヨ鳥)扇殿美智子
- 虫の音 月光る道 汗ぬぐひおさむちゃん
- 薪能燃ゆれど尽きぬ小鳥来るいけだひさえ
- 秋だよりLINEで送る小鳥かな村上りん
- 涼しさを小鳥と分ける風の朝藤井京子
- 極暑なり小鳥の餌も減らぬ昼合屋
- サルスベリ風と微笑む小鳥たちお寺なでしこ
- 小鳥来る突く柿の実品種改良幸子
- 小鳥すら鳴かぬ猛暑の新記録津幡GEE
- 小鳥来る枯れ枝残し剪定す渚
○一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。
●兼題とは
- 秋晴に吾子の走りにカメラ追ふ夏目坦
- 秋簾透けて見えたり犬欠伸ふく
- 餌せがみ窓に羽ばたくはぐれ鳥冨迫吉博
○今回の兼題は「小鳥」です。兼題を詠み込むのが、本サイトのたった一つのルールです。
- ときすぎて
緩んで澄んだ陽の光
照らせる庭に小鳥啄む秋月 - この星の小さき国に羽広げ
浮世を眺む小鳥秋高しOPALE
○これらは五七五七七の短歌です。俳句は五七五で、季語を入れる。有季定型を基本とする文芸です。
●季語深耕
- 残り燕たる君を追う僕もまた冨山大智
- 関宿の間口は狭し夏燕大橋勇司
- ムクドリが知恵を絞ったトルネード笠江茂子
- 椋鳥の巣作り場所は戸袋か期限切れ
- 母まねて吾が名二度呼ぶ青インコ西條晶夫
- ベランダで命終わらす雀かな佐々木トルコ
- 翡翠のくちばし射貫る春の川平たか子
- 物干しに来た手をとめる啄木鳥の音花岡浩美
○たしかに小さな鳥ではありますが、これら鳥たちのほとんどは独立した季語になっています。いつの季節の季語か、歳時記で調べてみましょう。
- アチチチと転居の小鳥ツバメ巣にぶるーふぉっくす
○この句は、「小鳥」=「ツバメ」なのか、別の小鳥が「ツバメ」の「巣」にぶつかってる?のか、「アチチチ」の部分の意味が掴みにくいかと思います。
- 夏休み自由研究ことり小屋古澤久良
- かごの鳥気がつけばヘビの腹太し宮本博子
○確かに「ことり」「鳥」とありますが、それぞれ「夏休み」「ヘビ」が季語となっている二句です。
8月は4888句もの投句がありました。毎月『俳句生活』を盛り上げてくださり、本当にありがとうございます。
さてみなさま、9月の兼題「月」の投句はお済みでしょうか。本日の24時まで投句は受け付けておりますので、ぜひ、今晩の月を眺めながら、もう一句ご投句くださいませ(編集部)。