夏井先生のプロフィール
夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。
2月の審査結果発表
兼題「野焼」
「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。
ヨシキリの空の巣ひとつ明日野焼
菱田芋天
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夏井いつき先生より
「ヨシキリ」は夏の季語ですから、「ヨシキリの空(そら)」とは、ヨシキリが飛ぶ夏空かと思うのですが、「~の巣」と続く。そうか! 「ヨシキリの空(から)の巣ひとつ」なのだと理解し直します。
この句が凄いのはここからです。下五「明日野焼」で、野焼前日の光景であることが分かり、「野焼」は早春の季語ですから、この巣は、去年のものなのだと気づくことができます。明日ここら辺りは野焼の火に覆い尽くされ、この巣も焼き尽くされてしまうのです。眼前にあるのは、空っぽの古い巣だけなのに、明日の野焼の炎を見せ、やがて萌えだす青草を思わせ、新しい巣を作り始めるヨシキリの様子も想像させる。この句は、季語「野焼」の本意の一つ、再生される命の賛歌を見事に表現しているのです。
野焼の奥より風向き変わったと怒号
さとけん
「野焼の奥より」という措辞による遠近感。風向きが変わったことを知らせる「怒号」が、リアリティをもって読み手の耳に届きます。独特の破調も内容に見合った緊迫感を表現していて秀逸です。
混線の無線野焼の急接近
高橋寅次
「無線」も、野焼の現場ならではの句材ですね。「混戦の~」という措辞が、無線の雑音やその場のやり取りなど具体的な映像を想像させます。「急接近」の名詞止めも、臨場感を表現して効果的。
野を焼いて千羽のからす渦巻けり
登りびと
「野を焼いて」とゆっくり詠いだした後に出現する「千羽のからす」の迫力。その真っ黒な動きを「渦巻けり」と描写したのも巧いです。火の赤、焼けゆく野の黒、烏の動き等、映像的な一句です。
トイレにて野焼退避のアナウンス
いさな歌鈴
季語の現場に実際に立ってこその句材。公衆トイレに入ってる時に「退避」を呼びかける放送が始まるとは! ちょっと慌てつつ、いよいよ季語との遭遇だ! という俳人的緊張感も伝わります。
雨止みて三キロ先の野焼の香
ギル
「三キロ先」って何? と思ったとたんにでてくる「野焼の香」が巧いですね。雨によって火は消えているはずなのに、野を焼いた匂いは残っている。これも「野焼」を実体験してこそ書ける一句。
急き立てて追ひ詰められて野火の哭く高橋寅次
中腹の巨石の辺りまで野焼高橋寅次
野焼果つ走る観光課の新人高橋寅次
野焼見つつシケモクに火をつけてみる菱田芋天
草赫し野焼の空に残る月菱田芋天
奈良側に抜くれば淡き野焼の香戸部紅屑
拭ひあふ家路野焼の煤の顔戸部紅屑
月ひとつ野焼をさますには足りぬ斎乃雪
根の国は業火野焼の爺暢気斎乃雪
長兄の渾名で点呼され野焼西川由野
野焼へとハンドブレーキきつく引き西川由野
野火猛り出す拡声器はハウリング佐藤儒艮
対岸の野火や酸い風のたゆたふ佐藤儒艮
野火叩くモヒカン刈の研修生あさのとびら
野焼まで愛宕の山は笑はないあさのとびら
野を焼いて残る山影塩むすび足立智美
かさぶたのはずだが痛む野焼かな足立智美
波のごと焔打ち来る野焼かな安春
野焼果て空に張りつく昼の月安春
太陽を休ませてゐる野焼かな大和田美信
野焼して頬が何かに濡れてゐる大和田美信
采配は氏子総代けふ野焼にゃん
第二分団走る野焼の防火帯にゃん
野焼終え石碑の文字の現れるいさな歌鈴
己が火の起こす風にぞ走る野火いさな歌鈴
こんな大きくなるはずじゃなかった野焼さとけん
己が火にたじろぐ野火を叩きけりさとけん
野焼き果て鼻腔にこびりつく何か秋沙美洋
野焼き果てまだ形ある何かの腑秋沙美洋
煤まみれに野焼き果つ風呂だ風呂だ朝月沙都子
TVクルーが叱られてゐて野焼朝月沙都子
野を焼けば生温き夜の被さり来あずお
真つ直ぐに立つは吉兆野火の煙あずお
ぬたうつ野火追いてぺちぺち火消棒あまぐり
ヘルメット並ぶ野焼に鍔向けてあまぐり
明王の剣唸りをる野焼の火飯村祐知子
野を焼くや火伏の水をまきながら飯村祐知子
野火果てて風なまぬるくあるばかりいかちゃん
人類に禁忌のありし野焼の手いかちゃん
遠まきの頬に野焼の粗熱来池内ときこ
野を焼いて来し瞳孔のおとこかな池内ときこ
野焼して消防団に貸し一つ池田華族
溶けてゆく野焼に投げたフォトグラフ池田華族
豊作となる方角へ野焼の火池之端モルト
野焼せし地より腕無き地蔵尊池之端モルト
我ヤマトタケル野焼の草を薙ぐイサク
野焼して太陽赤く焦がしけりイサク
国生みの島てふ淡路野火走る石塚彩楓
山彦がお忍びで野火見物に石塚彩楓
そこはもう闘ひのあと野焼あと石原由女
憂ひごと火の海となる焼野かな石原由女
鳥声を焼かんと野火の猛るかな板柿せっか
堤焼く皮膚を剥がしてゆくごとく板柿せっか
ふつくりと土持ちあがる野焼あといづみのあ
火焔土器めらめら揺れる野焼かないづみのあ
海はるか大室山の野焼かな糸川ラッコ
野を焼けば山のかたちの揺らめきぬ糸川ラッコ
勢子の背へ襲ひかかるや野火猛る伊奈川富真乃
鼻の煤袖にてぬぐふ野焼酒伊奈川富真乃
魁が殿となる野火の風うさぎまんじゅう
野火点けし庭師の所作の神事めくうさぎまんじゅう
火付けせんと思ひしことあり野焼宇佐美好子
踏み分け道現れたるや野焼後宇佐美好子
燃やしてまた初めからつて乱暴だな野焼潤目の鰯
根を齧る赤き鼠のゐて野焼潤目の鰯
日輪も巻き添えになる野焼の火朶美子
野を焼いて漢ハーレーに跳び乗れり朶美子
行き交ふはお国訛りや野火走るえんかず
村中の軽トラ集う野焼かなえんかず
縁側を野焼の風の濃き薄きおおい芙美子
瘡蓋の痒みをたたく野焼の夜おおい芙美子
野焼きの火風の形を見つけたり大紀直家
喉の奥灰残したる野焼かな大紀直家
野焼終へ見張りを残し酒を酌む大谷如水
眠さうな一山起こす大野焼大谷如水
やはらかき歌にたゆたふ野焼かな魚返みりん
肋骨にざらりざらりと野焼かな魚返みりん
あれ埋めしあたりに野火のいたりけり可笑式
野を焼けばあかるき潦いくつ可笑式
野焼して父に薄荷の匂ひかな岡田雅喜
「おう」と来るをとこ八人野焼守岡田雅喜
野焼して平原星の創世記おきいふ
人の声野火を真中へ押し戻すおきいふ
風向きに撤回できぬ野焼なりおこそとの
野焼の火かけ上がる胃の芋焼酎おこそとの
九時方向班長の声追ふ野焼オサカナクッション
詰まる息の吐き処など無く野焼オサカナクッション
野焼眺めて吃逆はよく止まる小野睦
よくもまあこんな処を野焼とは小野睦
前世を犬が見てをり野火さかん海音寺ジョー
野火猛る平成の漫画誌が舞ふ海音寺ジョー
ひとつまみ野焼きに残る風のあり火炎猿
来し方を裏返しゆく野焼かな火炎猿
野焼の火見てより胸のさうざうし霞山旅
大空の裏側のごと野焼跡霞山旅
大地には小さき痒み野焼かな花伝
堤焼く穏やかな死を否定して花伝
草を焼きぴたりと止める畑境亀山酔田
野を焼くに明日の指示と飯の数亀山酔田
半島の半分ほどの野焼かな花紋
大野焼龍は片眼を開きたる花紋
幾百のスマホの窓に野焼燃ゆ加裕子
野焼跡我の死体のあるような加裕子
リアカーに子犬待たせて野焼かな川村湖雪
梵字なりあの田の野火のはじまりは川村湖雪
暗闇を濡らす野焼の焔かな喜祝音
野焼あと一番星の煤けおり喜祝音
火種曳き先づは従順なる野火よ北藤詩旦
絶え間なく咀嚼の音のごと野焼北藤詩旦
グラサンに野焼の哮る支団長北村崇雄
ツーリングの列に野焼の包囲さる北村崇雄
ぢりぢりと焦げたる馬糞野焼跡きなこもち
捨てられたエロ本爆ぜる野焼かなきなこもち
野火の壁おーいと声をかけてみる祺埜箕來
野焼開始消防隊員前へ祺埜箕來
通訳の人に群がる野焼かな城内幸江
この靴を履いて野焼に来ちまった城内幸江
野焼の跡に星待つことのありにけり清島久門
野を焼きて残りし鬼の角二本清島久門
生臭く這ふや野焼の心臓部ぐ
昼の月淡し野焼に立つ煙ぐ
口ずさむ戦艦ヤマト野焼なか久我恒子
野を焼くや宇宙に星を増やしつつ久我恒子
サヘラントロプス・チャデンシスの頭蓋の色の野焼跡ぐでたまご
野火走る中に銃声の混じるぐでたまご
野焼の日昼からやけに肉が売れ倉木葉いわう
野焼とは相性悪く水瓶座倉木葉いわう
野焼してピザにタバスコたっぷりと紅さやか
龍の舌空へ荒ぶる野焼かな紅さやか
野焼して細胞の核焦げているけーい〇
あとはただ無糖コーヒー飲む野焼けーい〇
野焼果て岩波文庫の匂ひかなケレン味太郎
生存者のようにスコップ野焼き跡ケレン味太郎
手の影の先より野焼始まりぬ公木正
野焼あとしばらくなにもない人生公木正
渡良瀬の起伏あらはに野焼果つ幸田柝の音
くろぐろと朝を濡れたる野焼跡幸田柝の音
阿蘇山家野焼斎場こちらです→古賀
一年の光の火葬野を焼けり古賀
野焼終え酢豚に黒酢効かせたる木染湧水
野焼見る少し苦手な人と見る木染湧水
野焼せる農夫の黒き鼻の穴今野淳風
火の色の褪せて野焼の空いびつ今野淳風
咽頭に張り付く野火の塵埃斉藤立夏
野を焼くやウェストポーチの薄荷飴斉藤立夏
野焼きの火浴み足りし身をいま返す榊昭広
野火いまや尽き果ててをり身をはがす榊昭広
ころげるか天は野焼ぞだんご虫坂まきか
ライブ配信を正座秋吉台野焼坂まきか
髪を洗えばぶわっと匂う野焼かな座敷わらしなつき(9才)
野焼きが来るぞ天道虫を逃がしたよ座敷わらしなつき(9才)
湾内へ降りる野焼の熱き風紗智
マンモスの這うた足跡大野焼紗智
灌木の骨累々と野焼跡真井とうか
毛穴の底まで燻されて野焼かな真井とうか
道祖神一時御鎮座野焼本部沢拓庵
鬼岳の鬼へ願いの野焼かな沢拓庵
走る火を火で迎へ撃つ野焼かなしぼりはf22
熊撃ちの勢子も火を追ふ野焼かなしぼりはf22
少年と聴くは野焼の風の音島田あんず
犬ひくく唸り野焼きの風おこる島田あんず
ラジオより迂回促す野焼かな嶋田奈緒
明日野焼だから電話するなと母嶋田奈緒
山も野もバスも呑気に野焼かな清水三雲
ペライチの回覧で知る野焼かな清水三雲
消防員の急な募集や野焼後芍薬
野焼の夜じっちゃがやけによくしゃべる芍薬
野を焼けば子を呼ぶ山羊の細き声じゃすみん
野火のあと巨神のごとき杉の洞じゃすみん
飛火野の雨を待たせて野焼かな沙那夏
九相図や遠くに野焼始まりぬ沙那夏
風読みの狼煙めくかな野火の空シュリ
加具土命の舌が伸びゆく野焼かなシュリ
野を焼いて剥がしても剥がしても野常幸龍BCAD
名前なき野でも焼かねばなりません常幸龍BCAD
猛る火を手懐け了る一日かなジョビジョバ
太陽の黒点の香野焼跡ジョビジョバ
地の神の目玉は四つ大野焼白プロキオン
草喚く野焼や風神など居らぬ白プロキオン
先づ水を捧げ今年の野焼せり白よだか
飯を炊くように野焼が始まれり白よだか
廃校の土俵に迫る野焼かな新濃健
村の名の袢纏焦がす大野焼新濃健
夜の雨に匂ひ鎮まる野焼かなしんぷる
青年に還る還暦野を焼きぬしんぷる
ボタの野火霞むや三池闘争史すがりとおる
手鏡に唇映す野火の窓すがりとおる
風強し野焼延期の無線あり晴好雨独
家路へと野焼の匂ひ嗅ぎながら晴好雨独
野火消えて海峡の色深まれり清波
猛る野火見し夜に長子生まれけり清波
目深なるフード野焼に小雨きてせり坊
野焼して黒き鼻汁袖に拭くせり坊
野焼きの火富士を敬ふごとく燃ゆそうま純香
外輪山野焼きの後の傷多きそうま純香
僧の来て野焼の色の変はりけりそうり
走り行く野焼きに町は歪み出すそうり
祖父の影水にゆらぎし野焼かな染井つぐみ
白髭にすす混じりたる野焼かな染井つぐみ
野焼の火喫んでふくよかな青天高尾里甫
影という影のゆれ野焼は盛り高尾里甫
野焼果つ耳に弔ふやうなぱちぱち高田祥聖
野焼見る あれは怖くないほうの火高田祥聖
草魂のぱりこりばりごり野火となる多事
男らは国盗りのごと野火を曳く多事
危ない火はさつさと潰す野焼かな多々良海月
行儀良き炎を残し野を焼けり多々良海月
猿と人のあはひへ還る野焼かな田中木江
野焼てふ殺風景を後ずさる田中木江
一村の野焼にけぶる豊肥線谷町百合乃
野を焼いて祖母山渡る新風かな谷町百合乃
火も草も反抗期めく野焼かな玉木たまね
津波めく野火を夜空に送りけり玉木たまね
ガードレールにぶつかり野焼き朦朧と玉庭マサアキ
打ち寄せる野焼へぶつけたる野焼玉庭マサアキ
見物の眼の熱をもつ野焼かな玉響雷子
長靴の底のゴム臭野焼跡玉響雷子
猛りくる野焼き川辺にきて止まる田村利平
鶴翼の型にくろぐろ阿蘇野焼田村利平
野焼き終ふ灼けぬところはまたこんど丹波らる
野焼き終ゆ物欲しそうに来る烏丹波らる
野焼果てうす汚れたる陽がひとつちゃうりん
野を焼く火そいつは制御できる火かちゃうりん
野火守の卵殻ひょいと放りけりツカビッチ
焼け果てて野焼のぽつと収まりぬツカビッチ
灯台を孤島のごとく野焼の火露草うづら
野焼果て海の気配の濃くなりぬ露草うづら
野焼き後の火の番がてら畑めしツユマメ@いつき組広ブロ俳句部
野焼き後の夜回り月を見るついでツユマメ@いつき組広ブロ俳句部
火葬場の行きも帰りも野焼跡てまり
野焼見る天然水を飲みながらてまり
野焼して大地ぐらりと歪みけり天陽ゆう
地の底のみづ累々と野を焼けり天陽ゆう
遠野火や逃げ来し蝶のやうに灰とかき星
野焼して火星の暗く匂ふかなとかき星
救いたる小さき卵や野を焼きてどくだみ茶
地の力試されており野焼跡どくだみ茶
蒼空明るくて野焼地味だつたトマト使いめりるりら
野を焼きて風の糖度を触診すトマト使いめりるりら
野を焼きてうつくしきもの土の奥とりこ
野を焼きて次鋒の家へ集いけりとりこ
鳥葬の跡を蔵せし野焼かな内藤羊皐
祝祭の如く禽啼く野焼かな内藤羊皐
野火走る岬の果ての海の色中岡秀次
東歌聞こゆる毛野の野焼かな中岡秀次
野を焼きて蛇口の水を口いつぱい中原久遠
明神に清酒ふるまひ野焼へと中原久遠
吠えているばかりや野焼番の犬新蕎麦句会・凪太
太陽の痛がっている大野焼新蕎麦句会・凪太
野焼してもしても鳥の国に戻らぬ七瀬ゆきこ
野辺焼ける点火したのは赤い月七瀬ゆきこ
野焼見て踵(きびす)は軸になりにけり尼島里志
目も口も閉して風と野焼かな尼島里志
野焼見る妻の瞳の潤みおり西村小市
口開けて呆けおりたる野焼かな西村小市
金の粉を撒いて野焼は空を焚く仁和田永
野を焼けり地神の息吹賜りて仁和田永
見張りつつ競馬中継きく野焼馬祥
臨月の妻とみてゐる野焼かな馬祥
白富士を攻めるが如き野焼きかな馬笑
ティーショット野焼きに向けて放つなり馬笑
神獣の都を出づる野焼の夜長谷川小春
野焼果て朝をひとりの湯浴みかな長谷川小春
紺碧の海すさみゐる野焼かな早田駒斗
風は火を研ぎて野焼の宵の底早田駒斗
上空を自衛隊機や野焼果つ巴里乃嬬
野火の底青き水満つ鍾乳洞巴里乃嬬
升池の水面へ烈し野焼かなひでやん
野火付けて回る一家の笑ひ声ひでやん
引きしぼる即ち野火となる火矢を比々き
どろどろと太鼓囃せば野火走る比々き
錆びついた心ぎぢぎぢ野は焼かれ平本魚水
野焼はげしくて悲しみはみづうみ平本魚水
野焼く火の清しく尽きし夕間暮れ風慈音
野火の這ふ風を率ゐて野の目覚む風慈音
ぷすぷすと煙ふて腐れて野焼藤田ゆきまち
もうもうと野焼の意志のありにけり藤田ゆきまち
野焼して涙のやうな雨降りぬ藤雪陽
野焼の火激しや痒くなるもゝた藤雪陽
撤収の聲ひび割れてゐる野焼古瀬まさあき
野焼の香させて野焼のこと言はず古瀬まさあき
胃に水のつめたく揺るる野焼かな古田秀
野を焼くや山向ふより軍用機古田秀
ハッカ飴苦くなりゆく野焼かな碧西里
野を焼くや阿蘇の乾きを寿ぐや碧西里
十秒を軽々切って野火走る堀卓
火に遊び色に溺れる野焼かな堀卓
心臓にしまふ野焼の火の一片ほろろ。
血はとうに乾ききつたる野焼の手ほろろ。
貧血に臥せる日遠く野焼あり真冬峰
野焼き果て躯の芯にひかり埋め真冬峰
大野焼脇百姓に世継ぎなしまんぷく
野焼きしてみづの御霊の鎮まるるまんぷく
火の鳥の生まれしはこんな野焼だろう三浦にゃじろう
野焼かな火はいつも同じ色して三浦にゃじろう
ぐんぐんと野焼の焔立ちあがるみなと
追い風にカメラの走る野焼かなみなと
巻貝の化石のかけら野焼果つ南風の記憶
野焼跡運航は明日より再開南風の記憶
野焼して眼の奥くらき農夫かな水面叩
野焼してバレエ教室まで煙る水面叩
野焼放つ乱れ始むる風の息宮坂暢介
遅参せし野焼の風を一気飲み宮坂暢介
野火猛て空との間(あはひ)みづみづし宮武濱女
野を焼くや千年前は船着き場宮武濱女
火と走るちから衰え野焼かな美山つぐみ
農家父子急所教える野焼かな美山つぐみ
すでにおとなの目もて見つめる野焼かなむうさく
奇声なく火のはなたれし野焼かなむうさく
野火の風おこして雲を動かせり紫小寿々
野焼きする酒呑み達は共犯者紫小寿々
野焼終へ昼餉に集ふ歯の白し暝想華
夕野焼風にもののふ見たやうな暝想華
野を焼けり神の牧地のおほどかに山内彩月
土地神に牧を乞ひたる野焼かな山内彩月
車窓から野焼の農夫七人目山﨑瑠美
婆ちゃんも野焼も同じ匂いする山﨑瑠美
低予算映画のやうな夕野焼山田蹴人
独り言くすぶるやうに野焼かな山田蹴人
爺ちゃんの空も野焼の色となる結壱隆月
野を焼きてひとりぼつちのごとく見ゆ結壱隆月
野焼あと身体震はせ出す尿葦たかし
ほどけゆく野焼の匂ひ妻を抱く葦たかし
僧の血を滾らすほどの野焼かなラーラ
野火果てて常と変わらぬ夜となるラーラ
宇宙では野焼十円禿のごと雷紋
ぷすぷすと大地文句を言う野焼雷紋
煙這う明るき野火の上を這う蓮花麻耶
高々と野火を越えくる父の声蓮花麻耶
まほろばや野焼く焔に酔ふごとしRUSTY=HISOKA
遠野火や土神さまの恋かなしRUSTY=HISOKA
死火山の火口へ野火の走りけり樫の木
野焼の火急に膨らむこと三度ギル
満月に墨絵のごとき野焼きあと葵かほる
明星の肥えて野焼を仕舞う声葵新吾
野を焼くる火の粉の行方昼の月蒼空蒼子
野焼き終へ缶コーヒーのプルトップ仮名鶫
大野焼昨日焦眉の香ぞ黒し叶黄不動
八ミリのフィルムに映る野焼かな今藤明
心臓の形して終ふ野焼き跡紫瑛
拍動は小暗き野火に沈みつつ滝川橋
崖を研ぐ波音高し野火の果て谷川下沖
泣けるのは野焼の煙のせいかしらつきのひと
午後五時のメロディーは鳴り野焼終ふDr.でぶ@いつき組広ブロ俳句部
日曜の野焼担当観光課原田民久
支流から大河となりぬ大野焼連雀
野焼きへの合掌震災の跡地佐藤美追
道祖神土手駈け上がる野火の中あ・うん
風起こし風を従え野焼かな愛燦燦
町内放送野焼の灰と知らせをりあいだほ
野を焼きて咆哮没むしじまかな藍野絣
火の神が怒らぬやうに野焼する青い月
申請の通って無事に野焼きせりあおいなつはやて
横一線川まで攻め込む野焼きかな青井晴空
乾坤まで焔走りて夕野焼青田奈央
ボアボアと野焼の炎貌を出す蒼鳩薫
消防と警察仰ぐ野焼かな蒼來応來
遠野火や死に後れたる者つどふ赤松諦現
野を焼くや旧友らしき消防士赤馬福助
阿蘇の馬のつこり戻る野焼して明惟久里
火を御する者となったか野を焼いてあさいふみよ
風吹いて鳴り止むジャズと野焼かなあ須藤かをる
不死鳥は野焼の原に生まれけり畦のすみれ
野焼する男衆の手に水ぶくれ雨戸ゆらら
尿してさてと始まる野焼かなあまぶー
カルストの野焼き〆日の生配信あみま
阿蘇野焼ゆたかに闇の生まれけり有本仁政
サンドラは刺子法被を撮る野焼アロイジオ
火の神が烙印を押す野焼あとアン
息止めて突つきれど野焼の煙石井一草
陽石のごろんと黒き野焼かな石井茶爺
放たれし炎のドミノ野焼かな石岡女依
野焼に木々は我慢するかに動かない石崎京子
ダンゴムシ野焼きの前夜の寄合磯野昭仁
天と地を分くる野焼に怯えけりいたまきし
風鐸の静かなる夜野焼かないつかある日
大仏の半眼朱く大野焼伊藤亜美子
半纏の緻密な織目野焼く朝井中ひよこ号
野焼日やスクランブル機発動すいまにしともき
満々と草焼く傍のバケツかな入江幸子
荷台から振り返り見る野焼かな彩人色
清めの祈りまなうらに赤野焼の夜いろどり五島
野焼の火猛りを迎えの火が鎮め色葉二穂
野を焼いた男と思ふ背も腹もウィヤイ未樹
ぼんやりと地球に立っている野焼上野眞理
大阿蘇の地を捲りたる野焼かな上原淳子
野焼き見る昔馴染みとわれの影ウスキシュウジ性
おにぎりに野焼の灰の降りかかる内田英樹
ここまでと野焼の線を地図に引き海口竿富
買ひ食ひの道や野焼きの匂ひけり海野碧
ひのもとの臍も灸治のごと野焼うめがさそう
野焼したとこだけ空に穴が空く浦文乃
風たちて手負いの獣めく野焼浦野紗知
野焼跡きのう焔であつた土江藤すをん
湯呑みには煤逆巻きの野焼かな江戸川舟
天つ日の男言葉の大野焼M・李子
風のなき野焼の風を呼び寄せぬ円
殿は宿直明けの野焼隊大黒とむとむ
大野焼棚田一千三百枚大小田忍
野焼するふとじっちゃんのにほひする大嶋メデ
一礼の実習生や野焼跡大槻税悦
王冠のような炎は野焼です大津美
益荒男の叩く野焼の炎かな大庭慈温
菓子袋高く巻き上げ野焼きかな岡崎まさよ
いづこにて遊びしや野焼きのにほひ小川天鵲
太郎冠者も煙に咽ぶ野焼きかな奥寺窈子
断食の挫折舐め尽くす野焼おくにち木実
野焼防火帯の草刈る消防団小倉あんこ
富士隠す濃煙高き野焼かなおぐら徳
大野焼立ち木一本鳶巣ありおさむ
父母の墓前に迫る野焼かな小田和子
野を焼きて地球新たや背伸びせり乙華散
ドイツ語で耳打ちされて野を焼いておぼろ月
都井岬野焼き一粒万倍日かいぐりかいぐり
阿蘇野焼牛馬の声も遠からじ甲斐紫雲
野焼き跡生臭き吾歩いてるカオス
野を焼くや親父朝から燻さるる案山子@いつき組広ブロ俳句部
パタゴニアの烈風突っ走る野火影山らてん
野を焼けば鼻腔にのこる血の匂いかさいともこ
山の神静かに野焼受け入れぬ風花まゆみ
人棲まぬ里に野焼きの煙たつ柏原淑子
「野焼ありあな恐ろしき」煤け猫加世堂魯幸
死ね。とLINE野焼きの火はたえだえに風ヒカル
野焼の香イヤホン外し風を聴くかたちゃん@いつき組広ブロ俳句部
巡回の車内に異臭野焼ありかたな
「禿山の一夜」奏でるがごと野焼かな花鳥風猫
野を焼くや観光客の服に穴かつたろー。
父祖の野を焼けば棚田の姿かな克巳@夜のサングラス
野火果てて露天の風呂に星を嗅ぐ門未知子
鼻奥へ理不尽の風野焼かなかとの巳
青年団のきびきび動く野焼かなかぬまっこ
野焼撮り終えて野焼の香る車中かねつき走流
葬列は野焼きの中を粛々と金本節子
白妙の富士を炙りて野焼かな釜眞手打ち蕎麦
山裾をくすぐりてゆく野焼かな神or愛
ここまでと決めて野焼の火を放つ亀田荒太
眠りたる神起き上がる野焼かな亀田かつおぶし
野焼終へまだ皆の瞳に炎川村昌子
マイルスのラッパ野焼きのリズムかな閑々鶏
野を焼かん土も清めの火を欲すキートスばんじょうし
注連縄に迫る野焼や向い風北川そうあ
一村を挙げて野焼の有線や喜多吃音
かけあがる炎のにじむ野焼かなきた実実花
野焼きの夜親子の靴を洗ひけり木下桃白
車窓から淀の鵜殿の野焼かな木村修芳
青空と野焼きの後の死の匂いぎょぎょうざ
もう会社なんて辞めたる野焼の火桐野しおり
地に描く野焼太陰太極図銀長だぬき
「決行」と有線響く野焼かな葛谷猫日和
野焼に煙る夕陽の中に異界あり楠田草堂
野焼の火台地に縄文土器出土ぐずみ
鍬を持つ農夫一人の野焼きかな國吉敦子
野を焼くや遥かに兆す土の色窪田睡鯨子
野を焼きて一番星をうたひけりくま鶉
風吹けば風に噛み付く野焼の火倉岡富士子
野焼して干からびてゆく昼の月倉木はじめ
仙石原野焼きに消えし迷い道月昭
野焼前種火掲げて血走る目紫雲英
遥けくは伊吹山麓走る野火ケンG
千年の野焼千里をゆく焔研知句詩@いつき組広ブロ俳句部
太陽と競ひて野火の焔たつ兼珍
野焼の夜むかしのをとこ夢にまた小池令香
ごうごうと空蝕んでゆく野焼小笹いのり
野焼果て勢子の眼玉に火の匂ひコスモス
野火赤く走れ黒煙龍を呼べ来冬邦子
伊邪那美(いざなみ)の体の焦げて野焼あと古都鈴
野焼あと不思議な空が山吹色木の実
トンネルを過ぐる野焼の余韻かな小山祐治
作況を野焼の隅に占ひぬGONZA
からっぽの空の落書き野焼かな齋藤杏子
太平洋プレート動く野焼きかなさくら悠日
死神の消し忘れたる野火一つ紗千子
三脚が橋に陣取る野焼かな佐藤弘
地図になき大地も焦がす野焼かな佐藤志祐
吉相の山は平穏野焼きかなさぶり
甘やかなけむり西より野焼かなさむしん
野焼果て牛らの乳房張ってゐる澤村DAZZA
野を焼きて我は大地に発情す山太狼
野焼あとのぼりし月の色淡く塩原香子
遠野火や記憶底からでんぐりと茂る
野焼にて揮毫す天つ空の神篠雪
火の粉舞う野焼の昼や握り飯芝野麦茶
猛り来て地蔵につまづく野焼かな清水容子
野焼果つ猫の尾つぽの柔らかき霜月詩扇
県境野焼きは橋の手前まで砂楽梨
野焼終へ滾る眼の鎮まらず綉綉
野焼して田圃は覚悟決めにけり寿松
野焼して遠くの村の現れぬじょいふるとしちゃん
現代詩読む野焼の匂い日曜日白沢修
光淡し影も焼き尽くすか野焼しんび
野焼きして明るく漂う憂いかな森牧亭遊好
タチスミレ救ふ野焼の菅生沼水夢
この国は一旦野焼するとよい鈴木(や)
たぢろぎてまた進みをり野焼の火鈴木由紀子
野焼あと足裏つつく息づかい素敵な晃くん
野焼の日父神棚に深々とスマイリー正子
野火走る島津奔りし阿蘇の路青児
地下足袋の底こそばゆし野焼かなせいしゅう
野を焼きて帰路の互いの肩近し瀬尾ありさ
カルデラの野を焼くをんなロキソニン世良日守
野火走るガードレールを捕らへしか蒼求
風集め野火は最後の仁王立ち蒼奏
雲追いて風に追われて野焼かなそまり
流木を焚けば遥かに野焼の火宙のふう
野焼き後の中華屋満席火消し団それいゆ
何処かの野焼きを纏う洗濯物第一句けいぜろばん
廃線の線路に迫る野焼きかな平良嘉列乙
野火走り里つゝみゆくホルンの音 高木音弥
結界をはるやうに立つ野焼守高橋無垢
故郷とは違う匂ひの野焼かな竹内応琳
野焼した祖父は此の地に還りたり竹内寧子
野焼の香降車ボタンに手が届く竹一
バケツ持ち野焼真っ平に熱し立田鯊夢@いつき組広ブロ俳句部
駅弁置く窓に野焼の白煙谷本真理子
分家の婿消防団で初野焼千葉睦女
野焼き後のリキュール微かけぶる喉衷子
カーエアコン外気にほのか野焼の香丁鬢敏太郎
痙攣の始まるまぶた野焼の火月館まりも
半音符上げて弧を描く野焼かな辻が花
饒舌な地の声を聞く野焼きかな辻陽気姫
狼煙上げ火馬の駆ける野焼かな椿りん
長靴の底冷めやらず野焼跡津幡GEE
野焼き火や足でグリグリ空仰ぐツユマメ末っ子9歳@いつき組広ブロ俳句部
見届けて野焼の果は阿蘇五岳鉄猫
野焼する爺の犬は今朝死んだてんてこ麻衣
野焼きの火音呼び起こせ土のみづ東京堕天使
野を焼くや熊野古道の千枚田ときめき人
たそがれて野火のみ揺るる盆地かな独星
ゆふやみを野焼のけぶり月乾ぶとしなり
野焼立つ筑紫の空のまったいら富山の露玉
野を焼けばジンタの笛の音がする中島圭子
篳篥と笙の雅楽の野焼きかななかむら凧人
土手の野焼きポケットに吸入薬永谷部流
団長の指示淡々と野焼せりなごやいろり
野焼の火消えつつ疼く微風あり夏湖乃
青空へもつれてゆきぬ野焼の火夏野あゆね
火の巫女の眸幼き野焼かな夏雨ちや
甲斐駒や日と火戯むる野焼きかな七森わらび
野を焼いてほむらの戦車行進す七歩
野を焼くや火の鳥幾度生まれしか名計宗幸
その人の妻の訃報や野火高し奈良素数
徐に神酒を交はして野焼かな楢山孝明
堤焼く炎が炎巻きこめり西尾桃太郎
野焼く日に希望退職者の通知西田月旦
野焼あとかつてのホームランボール西原みどり
野を焼けば独り言増えて二重格子
野うさぎに星降る夜よ野焼きの日ねがみともみ
野焼の夜地球の鼓動吾と一つ根々雅水
野焼きだろう舌の右端痛苦い野井みこ
淀川を浪速へ煙る野焼かな埜水
内示あり野焼の灰の降り積もる野々香織
御神火を貰ひ始まる野焼かな野ばら
火矢放ち野焼始まる潮岬野原蛍草
市職員交じる野焼きの漢らにはぐれ杤餅
月賦払えぬ遠くに野焼きが見える橋田ろろ
炎まだまなかひにあり野焼の夜長谷川ろんろん
二階より土手の野焼を見ていたり畑詩音
なにもない野焼きの村の夕陽かな畑田ほずみ
いま阿蘇の野焼見てると妻の声パッキンマン
揺さぶられたくて見ている野焼きなり八田昌代
弔ひや殊に野焼の後の雨はなあかり
出動の先は野焼きの飛び火場所花岡浩美
野火上がるほむらのゆらぎ地のゆらぎ花岡淑子
妙なもの焦げて転がる野焼あと花咲明日香
風神の眼の下の野焼かな 羽沖
野焼して声なきものの焼かれけり東原桜空
野焼果て盛りあがりたる土竜塚樋口滑瓢
千年の火柱御して野焼きかなひすい
ラジオから演歌流るる野焼かなひなた和佳
野焼のにおいたてぶえでアマリリスひろ夢
逸れし野火鎮めて立つや灰神楽尾流雅
野焼より生まれてきたり篳篥は昼寝
鎌首を擡げ地を這ふ野焼の火広木登一
思春期や野焼の爆ぜる音しずか廣重
野を焼くや甲斐に武田の赤備へ深町明
野を焼くや飛べるもの皆飛び立てりふくじん
籾殻の張りつく軍手野焼かな福田みやき
土神の手跡烈しき土手野焼き福ネコ
野焼する炎立つたり座つたり福良ちどり
野を焼けばたのかんさあの降りてくる藤色葉菜
前線の見る見る捲れゆく野焼ふじこ
曖昧な哀愁燻る野焼後双葉@あさ葉会
鳥の住む野であるまいか野焼進む文月さな女
野焼へ野焼へと恍惚の躯冬のおこじょ
助っ人も高齢と見ゆ夕野焼古川シアン
姉嫁ぐ遠く野焼の香の辛し弁女
野焼さびし外輪山の広々し茫々
風読みの指示確かなり野焼の火干しのいも子
疾く尽きて今年の野火は意気地なし凡々
ひたすらに火が火を呑みて野焼かな梵庸子
和紙に墨広がるがごと野焼かなまこ@いつき組広ブロ俳句部
夕暮れに寂しさ匂う野焼き跡まこと(羽生誠)
野焼の火生まるる明日と死ぬる今松本裕子
赤龍の神木へ野火走りけりまどん
野焼する俺は監督口達者まりい@
野を焼くや梵字のやうな炎上げ三茶
地下足袋は特注なのか野焼の師水間澱凡
相続の小さき畑野焼かなみちむらまりな
土手焼きの左右同じに進みける光子
野焼です休暇届の備考欄みつれしづく
野焼の火たましひ抜かれゆくけむり南方日午
野火果つる浜風しんと己巳の役港のパン屋
火を統べて漢の礼する野焼かなみやかわけい子
在りし日の父の野焼きの一斗缶宮重祐子
野火走る齢に見合ふ炎上げ椋本望生
皆ちよいと男前なる野焼かな向原かは
カルデラを太極図とし野焼後武者小路敬妙洒脱篤
打ち払う野焼の埃したたかなむべ
五時間目「どこかで野焼はじめたね」本山喜喜
野焼果て墨の匂いのような朝森山博士
抱き通すぎゃぎゃ泣きの吾子野焼の夜山羊座の千賀子
笛三度鳴つて始まる野焼かな八幡風花
渡良瀬の風喰らはんと野火猛る山口一青
野焼して山ふところの気の潤び山科美穂
警官の腕組み解けて野焼果つ山名凌霄
管轄の野焼に竦む署長かな山本先生
口癖は段取り八分野焼果つ柚木みゆき
牛の背に野焼の匂ひ残りけり羊似妃
どうせもうとっくに終ってる野焼横浜J子
野焼の間真空のまま落つる肺佳子
野焼して山ひたひたと裏返るよしのはるか
野火追ひて野火に追はれる農夫かな余田酒梨
野を焼きて地表の捲れる音がする楽花生
野焼あと煤吐き棄てて新香食む柳絮
眼裏に鼻腔に野焼また輾転瑠璃茉莉
野火走るそこは天狗の通り道るんやみ
あるけないびりびりのやきやけどするさくら(4才)
のやき?なんだかこわいこわいよー吉田結希
サイコロで音階決めたかの野焼タマゴもたっぷりハムサンド
スマッシュ決まった後ろの野焼かなデイジーキャンディー
軽トラへ座して眺むる野焼かな山川腎茶
軽トラの荷台から見る野焼かな一番ぶろ
縄文の火やもしれぬ野焼かな淺野紫桜
縄文の火は逞しき野焼かな河村静葩
野焼守縄文からの火断ち棒まこも
野焼跡孤独が胸をかきたてり立野音思
爪先に哀しみコツン野焼かな月々
美しき誤算生まるる野焼かな富野香衣
丸めたる背中野焼に伸ばさるる高橋ひろみこ
真っ直ぐに背筋の伸びる野焼きかな千風もふ
野焼き消ゆ天狗の夜尿漏りぬらむあたなごっち
台地は野焼きして黒い神纏ふsakuraa.
野焼時の誹謗中傷多き日よ浅野俊也
野焼とは静かなるものと知るなり杏樹萌香
野焼きの匂いに煽られ菜刻むいけだひさえ
メニュー無き料理店より見し野焼伊予吟会宵嵐
無精ひげ祖父と一緒の野焼かな麗し
終わつたらステーキ食べる大野焼お天気娘
野を焼くや柔術は殺さず仕留むかむろ坂喜奈子
坂ひとつ降りて婿入り野焼かな邯鄲
水の星野焼の黒はチャーミングクロまま
農区長の耳にたばこ野焼きかな新開ちえ
空もえて雲けむたそう野焼かなすみれ(9才)
地下足袋を求む御仁は野焼の香淑伶
ポケツトの手紙投げ入る野焼かな雪駄
野焼しに歩みの鈍き牛を押す髙橋なつ
野を焼いて若者白きスニーカー立葵
赤黒の早稲田のジャージ野焼かな⑦パパ@いつき組広ブロ俳句部
野焼野焼小さき命へひた迫る野地垂木
野火匂ふ風振り抜いて一番ティーパクパクポンタ
野焼の熱アポロはここに落下した紅ズワイガニ海老美
瓦屋根に大工突っ立つ野焼かな真宮マミ
マクドナルドの向かふの野焼かな宮部里美
輪唱の五番始まる野の焼くる遊飛@蚊帳のなか
おーい宇宙から見えるかこの野焼き夜明鳥
青空に挑むが如き野焼きの火ANGEL
野焼降る懐かし故郷はもう無くて相田遥斗
野焼後の薄煙野山の湯治間むつみ
野焼きしてチリポリ残る藁の束acari
熱下がり溜まった下着野焼きの香あかり
野焼見る原風景に足生やし秋さやか
坊主頭堤防に座し野焼跡昭谷
けとばした石けとばして野焼過ぐあきののかなた
野焼きする新聞もちて我走る秋代
神事終えスマホの布令待つ野焼あくび指南
野焼の香アークトゥルスは纏い居る朝雲列
回覧の欄は余ってもう野焼あさきまほろ
遠巻きに無口になりて野焼かなあさぎいろ
我も又野焼きの跡に住みにけり麻場育子
目をほそめ野焼きのけむりかくれんぼ亜紗舞那
大室のマグマ駆け上がるごと野焼芦幸
生きもののごと炎ゆく野焼かなあじさい子
野を焼いて生きた証の煙立ち明日良い天気
仏壇も写真も野焼したとふ嗚呼あしたはあした
世界中空晴れ渡る野焼きするアシツノカラ
燃えさかる野焼へ雉飛び込みて網代
堤から色うまれゆく野焼かなたすく
消防団法被の祭りのごと野焼麻生恵澄
「あっち行き」棒振り父ら野焼かなあそぼ葉
幻風景むかしむかしの野焼きかな跡部榮喜
里ごとの野焼郵便赤バイクあべ積雲
暗闇の瞼に赤き野焼かなあやや
前髪の邪魔になる日の野焼かなあらせもんじ
「野焼き通報せよ」我が住む街の掲示板新多
野焼告ぐ「下記日程」の字が踊るあらら
無骨な手かざして見張る野焼きの火蛙里
汽車迫る小さき野焼きの気にかかるありいかな
野焼の火地に残るものを爆ぜさせて飯田淳子
不意つかれ野焼きの煙に巻かれ泣き飯村錦也
眼の底に焼き付くほのほ大野焼郁松松ちゃん
野焼して灰糧とする民がいていくみっ句
こわからん野焼なれども火と煙池愛子
けむと舞う野焼きのにおい広々と池内ねこバアバ
野焼の風この時期かよと逃げる虫池上敬子
青い空野焼きへ焚べる千歯扱ぎ石垣
積年の思いも昇る野焼きかな石田恵翠
火の番の益荒男凛々し野焼きかな和泉明月子
野を焼くや変わる風向き火が迫る遺跡納期
友逝きぬ野焼の煙しみる暮一井蝸牛
父ちゃんが野焼きを終えた風呂沸かせ市川りす
野を焼くやアウシュヴィッツ収容所一の矢はんぺいた
煙立つ鳥の旋回野焼きあと一佳
目の奥に原始の記憶野焼きの火一秋子
清も濁も総てを呑んで野焼きかな井出奈津美
野焼して黒き匂ひの残りけり伊藤順女
風うねり全山白煙野火走る伊藤節子
太鼓鳴る若草山の野焼かな伊藤ひろし
野焼とやらすっかり姿の消えてゆき伊藤正子
野焼の香車内に入れば我が故郷伊藤ゆうり
山裾に白き龍駆ける野焼あり伊藤れいこ
野焼なか木々はどれほど熱からういなだはまち
消防団揃いの法被野焼の日稲葉こいち
音を連れ野焼ぐるぐる道祖神稲葉雀子
老犬の咳する朝の野焼きかな戌亥
瞑想合宿夜の山の野焼いぬふぐり
三世代野焼きパワーに燃えしのぶ井上専治
限りなくふたりを点す野焼かなゐのかたゆきを
野焼終へ三兄弟の法被の香いまいやすのり
野焼きして芽ばえぬ原の風の歌今井淑子
畦焼や気になる大気回り見る今宿
まん丸の姿露に野焼かな井松慈悦
あれは野焼きか吾は瓦斯火で肉を焼く今村ひとみ
野焼き匂ふ分団長の夜明けかな妹のりこ
野焼きの香母のおもかげ連れて来るいろをふくむや
ガラス越し野焼の焔(ほむら)に頬重ね祝氷な子
胸中を風抜けて行く野焼以後岩木順
雨兆呼ぶ竜が如くに野焼駆け伊和佐喜世
風情より人の目気にし野焼きせりいわつよ8
もくもくと長閑な里の野焼かなvivi
家を出る決意のメール野焼の夜ういろ丑
生まれ変わりあると信じる野焼かな植田かず子
焼き場に立つ少年野焼の息吹上田健五
新しき芽生え待つ野や野焼あと上原まり
野焼き消ゆ灰は終わりか始まりか右近
野焼きあとラピュタ峠に飛行雲うさぎさん
荒馬の丘駆け抜ける如野焼宇田建
牛も待つ野焼きのあとの新天地内田秋麗
帰宅路に匂う目に染む野焼かな内田誠美
遠野火や大地の神の怒りとも内本惠美子
消防車待ちてはじまる野焼かな梅里和代
夕暮れの野焼のあとに動く影江田綾子
ざわめける人と害虫野焼時枝豆の花
野焼きするあねさ被りの母見えて越後縮緬
野焼き来る鼠やこちへおいでんか江藤薫
野焼き見てみなぎる力子らの顔えみばば
あかときに野焼きのあとの黒ぐろと江見めいこ
野焼かなあつといふ間にお爺さんえりいも
野焼きの香帰れぬ里の夕日の香えんどうしん
懐かしき野焼きのにおい今はなく遠藤愁霞
地から背へ熱上がるよな野焼あと遠藤百合
鼻と尾は示す野焼の方角を遠藤玲奈
阿蘇野焼焔自在に山の神近江菫花
人間よ熱いじゃないか野焼など大阪駿馬
野焼して大地の恵み生きかえり大島勤
鼻もたげ風嗅ぐ老犬野焼か串か太田ウエンディ
野焼あと咥え煙草で眺めたり大西加賀
息子君野焼のごとくさっぱりと大西加佐見
火事にしか見えぬニュースの野焼き也大野静香
おまえには苦労をかけた野焼かな大野美波
野焼きして戻る父待つ宵となる大橋敏子
入院の朝の野焼を淡々と大橋勇司
ぼうぼうと空気を焦がす野焼かな大原妃
偶さかに出会いし野焼これぞ旅大原雪
秋吉の龍の舌先野焼かな大村真仙
若草山知らずに登る野焼き跡大本千恵子
初めての阿蘇は黒々野焼き跡大山きょうこ
全身で浴びる野焼きの懐かしみ大山こすみ
韋駄天のひた走るかの野焼きかな大山小袖
「火事だ」と子等はしりだす土手野焼かな岡れいこ
野焼き立つ蒼天に華紫根色岡崎俊子
鹿の糞ころがりてをり野焼跡岡﨑宙夏
息を止めスピード上げる野焼きの道おがたみか
野焼き火の走り始めや声上がるオカメインコ
駅弁の蓋の飯つぶ野焼かな小川さゆみ
野焼の火解き放たれた犬のよう小川都
野火放つ昨日の我を焼き殺す荻原湧
回鍋肉煽る匠野焼かなお銀
野焼き後虫も子供も草も萌え奥ノ木蛍子
車窓から野焼の煙眺めけり小栗福祥
枯れし肌潤す火とぞこの野焼おざきさちよ
野焼きのけむり回転遊具はなくなりましたおさむらいちゃん
見ていればなぜか切ない野焼きの火小澤ほのか
着火待つ高鳴る鼓動野焼かなお品まり
母思う野焼に我も早や六十尾関みちこ
法螺貝の吹き鳴らさるる野焼かな小田龍聖
大火にて野焼見物追い出され小田孝子
地球への灸か野焼の煙沁みる小田慶喜
さよならのあとに野焼きの煙滲む音のあ子
野焼とはゼロから耕し創る人音人妙歌
日の暮れて熾火息する野焼かな鬼平哀歌真改
祈ること幾度かさね野焼かなおひい
足軽のごとひたひたと野焼の火霞山旅
止めたとて行く人の肩野焼の日海瀬安紀子
野焼きの香じわり登りて月纏ふ快晴ノセカイ
特養の窓外にぽつんと野焼かな海碧
野を焼きて耕す人も今やなしかえる
火の穂佇つ揺らぐ景色の野焼きかなkao
野焼きさえ傷にもならぬ無限の大地かおり
堤焼く消防団の法被着て馨子
野焼きして蠢くものの目覚めかな篝
カルストの野焼と日々の出来事よ柿野宮
野焼見た夫の居ぬ夜や胸こがすかこ
白き糸野焼きの煙荼毘に似て笠江茂子
やがて来る次の季節や野焼きかな風花あつこ
右左野焼の煙追つて来る風花美絵
広々と阿蘇の裾野や野焼の火梶浦多見子
秋吉台灰を求めて野焼かな加島
映像に消防団と野焼きあり鹿嶌純子
はるばるとベランダに告ぐ野焼灰かたおかピンポンパン
遠き火を震えて見てる野焼きかな片栗子
団欒の車内に匂う野焼きかな桂木右京
バチバチと野焼き微かに響きけり鐘ヶ江孝幸
野焼きして肥後の赤牛草千里かねこ
遠き日の手紙をくべる野焼きかな金村伸男
我残し海へ高みへ野焼煙神長誉夫
野焼きの煙トンネル抜けて山越えて紙谷杳子
野火走る電動自転車一目散神谷米子
草千里野焼の炎舐めつくす亀山逸子
ふたつみつ夢物語野焼き跡かもめ
記憶する奈良の野焼きの恋おぼろ加茂亘
野焼き原捨て猫寝場所消え去りぬカラハ
鼓なりてドローン翔び今朝焼野狩谷和寓
熱帯雨林破壊密かに野焼かわいいわんわん
外輪山慌てる車を追う野焼き河村あさみ
老いの顔炎に揺れる野焼きかな閑蛙
清盛の死に際のごと野焼かな看板のピン
野焼してほんのり里の空香るKII
風は西流れる野焼くにおいふと菊池風峰
マスクごし仄かに香る野焼かな木久仁
野焼かな昨日の自分明日の自分黄桜かづ奴
野を焼かん焦げ臭き畦を飛ぶ岸本元世
阿蘇山を赤く染め抜く野焼きかな酒暮
父の顔少し厳しく明日野焼き季切少楽@いつき組広ブロ俳句部
野焼き観て気づけば1人立っており北大路京介
戦場ののろしのごとく野火立てり北村礼子
唯一田の世話する野焼我ひとりきつね火
卵抱く鳥いずくにか野焼き跡木原洋子
野焼する吾子の合格通知待つきみえは公栄
野焼きだよ市報の顔はゆずるくん木村香津枝
淀の原に住みて野焼のあるを知り木村かわせみ
自ずから風起こしたる野焼きかな木村となえーる
そよ風に押される土手の野焼かな木村波平
野焼きして新しき地図広げゆくQさん
野焼して祭典待てば清しかろ鳩礼
阿蘇野焼九重踏破の若き顔木葉子
道行に匂ふ野焼の奈良暮色京野秋水
さあ野焼き回覧板の招集状教来石
ヘビメタのシャウト煌めく野焼の火季凛
帰宅した猫の背の草野焼の日空龍
武蔵野の稲荷見守る野焼かな久慈流水
「目は離せん」祖母の代わりに見る野焼朽木春加
大地より「元気」の便り野焼の香熊野みーぼう
ちろちろと野焼く火徐々に近づきし久瑠圃
誇らかに列なす野焼ボランティアくるみ今日子
野焼き走る色見定める一瞬に久留里61
野焼き終え温い黒土犬走る桑田栞
湯は別府旅情くゆらす野焼かな桑原和博
道草を延ばした先の野焼かなくんちんさま
野焼き跡阿蘇はおだやか風が舞う源氏物語
くちさうな草に追い打ち野焼きかな江雲
野焼きとは意味も知らずに生きていた高坂和子
山頂はゴールにあらず野火走る紅茶一杯
野焼のごと裏の畑の土けむり幸内悦夫
野を焼くや見守り人の肩の灰河野なお
散歩道くゆる野焼やいずこより児嶋修梧
水害の爪痕深し阿蘇野焼小嶋芦舟
団長の法被誇らし野焼かな小杉泰文
火や走る稜線えがき山野焼こずむす
野を焼きて鳶三羽の旋回す小だいふく
煙たつ小さな旅の野焼かな木積
鍬を待つ野焼の土の香ばしき小林のりこ
監視役消火馬穴の野火近しこぶこ
火気厳禁野焼の準備整ひぬこま
賑わえば野焼きもおもひでのひとつ小薪まりちゃ。
野焼き跡青の歯ブラシまたひろうこまたれぶー
龍うねりたるかに野火の広ごりて 小鞠
背負われて祖母の髪から野焼の香小山晃
野焼きせど苦き軌跡や土のなか西條晶夫
炮烙の非情老土に野焼きの音西條恭子
我が胸に広がる野焼き黒々とさいとうすすむ
あかき点下天に野焼はじまりぬさいとうとみよ
虫草菌土を荼毘す野焼かな齋藤むつは
野焼にも立ち寄る鳥はありにけり早乙女龍千代
野焼して蒼天見遣る未亡人榊原蒼嶺
長き屋の留守居拝する野焼きかな坂島魁文@回文俳句
野焼昇りて山色を直すさかたちえこ
太古とまごう原野の野焼にヘリが飛び坂本千代子
野焼き中貰いタバコに火をつける相良まさと
先見えぬ不安を溶かす野焼きかなさきまき
丸裸野焼大地は寂しき日さくやこのはな
野焼きはるかなる宇宙の灯をともしさくら亜紀女
再生の祈りを込めて野焼する櫻井弘子
野焼きありと通報されし風さむし桜会
野焼から逃げて都会の虫になるさこ
野焼ある孤島の水牛とカレーの木迫久鯨
大野焼息吹く大地に雲流る佐々木宏
何残す野焼きの如きコロナ後にささきなお
野焼きして声若やげる自治会長砂舟
母の家まで煙巻く野焼きの火幸子
野焼の薫りユーチューブは香らず佐藤花伎
漫漫と龍絡むごと野焼なりさとう菓子
ホスピスの遠くに煙る野焼かな佐藤恒治
阿蘇野焼き赤き天竜這いまわり佐藤佳子
野焼の煙消え阿蘇山現る佐藤里枝子
阿蘇山へ野焼のあとの黒模様白庵
アルプスへ白き筋立つ野焼かな里山子
野焼には切ない香り叱られてさなぎ
野を焼きていのち吹き込む焔かな澤田郁子
エコシステム加速スイッチ入れて野火澤野敏樹
火の神地の神風の神野焼かなしー子
父在りし比企の里山野焼かな塩沢桂子
隠れんぼ野焼の煙来ても尚ジキシキ
昼食はピザかおやきか野焼かなしげとし
野焼果つ俺は似合わぬ一人称獅子蕩児
窓に跳ねる虫野焼きで絶える虫篠崎彰
野焼見て生かされていることを知る柴桜子
茜ぞら野焼たなびき駄菓子はむ渋谷武士
小さな世界焼き尽くす野焼あぁ島じい子
野焼の翁正体は蛇遣い縞午
野焼き来るリセットしたき疫禍の世島田金魚子
野焼かな異動希望は通らない島村福太郎
野焼きする煙一筋竜のごと嶋良二
漆黒は希望のにほひ野焼かな清水祥月
合格の帰り野焼きは夕日色下丼月光
村総出「火付け」「火消し」の野焼きかなしゆういずみ
秋吉台野焼火影を映したり秀耕
土から採られ土に還る野焼き秀道
見晴るかす阿蘇の野焼の粛々と春雪
堰の水嵩まだ低し野焼かな笙女
病室の窓に野焼きの煙り立つジョンジさん
畦道の今年も同じ日の野焼白井百合子
大野原演習場の野焼かな白土景子
父母ありし日の灰に立つ野焼かな仁
野焼して原子の凱歌に曝されり真繍
野を焼きて真っ黒けなり草千里新町会輔堂
杖一つ翁果つ喝野焼立つ真優航千の母
イカロスの羽根も溶かさむ野焼かな酔進
あれもこれも野焼に押し付け次へ次へ菅原千秋
安房のうみ極楽浄土や野焼かぜ杉浦あきけん
病魔祓え滾る血潮の野焼かな杉浦真子
野焼きあと煤け顔して村の衆杉尾芭蕉
野焼跡リード持つ吾をいざなひぬ杉本果?
野焼する農夫熱さを忘れけりすぎやん
大幣のごとき火煙や野焼き空鈴木直人
野焼あと虫と話をする少年鈴木麗門
煤臭き髪洗う夜野焼後清白真冬
野焼待つ群衆の目になにか憑き主藤充子
愛宕札頒布の村やけふ野焼すぴか
日が暮れて野焼のにおい生々し静江
野焼され遊び場の土手黒焦げに勢田清
尾長鳥野焼越えるやあせあせ星夢光風
にゃーと鳴き野焼きの香り纏い寄る瀬戸ティーダ
土湿る朝なほ温し野焼跡千川
それぞれに批評ぶつけて野焼かな早春SOSHUN
祝詞あり野焼の雄たけびリーゼント惣兵衛
アリバイの服に纏った野焼き臭そうに
感情を消す野焼見る音を聞く曽我真理子
日曜日親子で見張る野焼かな染野まさこ
多摩の朝野焼きの煙大空に空
野焼き見てかの日の藁の香のきたる駄詩
野焼脇かかる煙とカーラジオたいやきは腹から食べるにゃんこかな
大地のフランベ野焼のメラメラとたいやきやいた
野焼からグーの手を出す土偶かな平たか子
野焼き見て吾子祖父の足しがみつく高石たく
子集う野焼日のコインランドリー高垣りんどう
車窓から野焼の煙山へ消ゆ高々笏太
野焼に燻されし森の人どこへ高嶺遠
真っすぐと野焼きの煙碧空へ鷹野みどり
過去までも消し去る如き野焼きかな高橋光加
喧嘩して涙こぼれる野焼き後卓女
千年の草原走る野焼かな竹口ゆうこ
野焼見て祖父より継ぎしわらべ唄竹八郎
暮れてなほ熱き野焼舐めし跡多胡蘆秋
最後の手段我が心野焼きせりたじま
めらめらとちりちりふわり野焼なりたすく
白銀に野焼まだかと北海道鶴群
野焼して夕まぐれになり雨の音多田ふみ
煙より動くものなき野焼かな唯飛唯游
草臥れを干葉湯で流す野焼かな辰野史会
唸るごと野焼の山へヘリコプター蓼科嘉
初野焼き笑顔の集う阿蘇の原立山枯楓
駆け上がる丘の向こうの野焼きかな立山はな子
野を焼くや右腕にする腕時計田中勲
足音のリズムはマーチ野焼きあとあいあい亭みけ子
野焼の日村の長老指揮とりぬ田中洋子
招かれし不動明王野焼かな谷相
昂ぶった声の往き交う野焼かな谷口あきこ
渋滞の車列の先に野焼きかな田畑整
炎立つ野焼に鳥の飛び立ちぬ玉井令子
山里に風の生まれし野焼かなたむらせつこ
野焼終えまき場へ出る日牛と待つ田村モトエ
待ち遠し奈良の都は野焼きかな千恵
ウイルスの絶滅願う野焼きかな筑前もとい
野焼かな転職告げる声朗らちっちのきも
日の出前集落総出の野焼かな千鳥城@広ブロ俳句部カナダ支部
宇宙からたなびく煙野焼見ゆチャーリー・吉田
カルストの野焼よ我の苦も燃やせちやこ
バーナーの加減覚えし初野焼きちょこはは
ダイオキシン行く先思う野焼かな珍風伊潤
合戦のごとし野焼に京おもふ月影キョロ
翁の袖つかむ媼の野焼かな辻内美枝子
ため池や一輪だけの野焼まえ辻巣雀
白煙の野焼そよ風空模様辻本麻衣
野焼とは資料の中の出来事か弦巻英理花
野焼の灯流れゆく紅蝋を追うつわぶきはじめ
野焼き無く嫌がる君も今はなく寺林凌
軽トラの座席に残る野焼の香電柱
野焼きの火予期せぬ風を孕みをりでんでん琴女
野焼の匂いしみた躰で夕餉かなドイツばば
ギリギリの風に野焼の始まれりdoいつもcoいつも
祖父の手の大き節くれ野焼の香苳
野焼く月が茎洞照らさぬやうにトウ甘藻
不揃いな拍空昇る野焼かな遠間貴月
消防の法被揃ひて野焼かなとき坊
野を焼くや幼なじみの笑い声徳庵
野焼きして見つかりし幼子の靴徳田ヨーコ
寧日やライブカメラの野焼見る毒林檎
命から命伝つて野火走る飛ばぬ鳥
野焼く声大きく小さく延びゆきぬ斗三木童
無きことにしたき事有る野焼きする友雪割豆
通勤路野焼跡見て偲ぶ祖父ともしょう
青空に吸いこまれし野焼かなともたん
共に生き共に老い妻よ野焼よ豊川顕
野火走る猛る舐るや秘密基地直木葉子
戦に勝も負けるも野火果てて中島葉月
日も隠す野焼き熱風迫りくる中嶋京子
風向きを幾度も見て野焼かな中島走吟
阿蘇の香が鼻孔くすぐり野焼かな中嶋敏子
右見ても左を見ても野焼哉仲田蓮謙
荒田の草焼けけぶる駐車場中中
野焼きの香窓から入る山のバス中西澄子
野焼きから生まるる命の満つ力中村こゆき
野焼かな時の全篇好転し中山清充
足利や神の野焼きよ永過ぎか那須享珠
野焼の火竜神天へ駆け上る那須のお漬物
組内の男衆野焼のチェーンソー夏雲ブン太
村の長消防指図野焼かな夏目坦
晩年の野焼きや衛星のごとし名無しのさん
野焼あとポトフのほっこり今宵かな浪速の蟹造
火は走り立ち上がり這い野焼かな名前のあるネコ
ためらわず野焼日和に火を放つなんじゃもんじゃ
後楽園人まばらなり芝を焼く新美妙子
生活を立て直したい野焼きかなにいやのる
野焼きせり地球に灸を据えるごと西尾至史至雲
川を越え街覆ひたる野焼臭西原さらさ
野焼きして脱衣の籠の燻臭き沼沢さとみ
迸り抗ふ野火を男あやつりて猫詠たま
見物の車を払う手は野焼根津C太
タロットで死神を引く野焼かな涅槃girl
男衆の生き生き跳ねる野焼かな根本葉音
水供え祠へと野焼きの準備寝ん猫
木漏れ日へ煙草燻らす野焼後ノアノア
カルストの風神起こし野火猛る野尻敏子
ちりちりと地球を走る野焼かなのど飴
四万十で大地に活の野焼かな野中泰風
野焼して五秒のキスへ馴染む香ののr
遠野火や龍の模様の太鼓打つのりのみや
先人の野焼守りて鵜殿かな則本久江
秘密基地のお団子や仄かな野焼俳人の山本
野を焼けば魑魅魍魎は灰と化すはいびす
黄帽にあれは野焼きとランドセル羽織茶屋
野焼くべてやれ元カレとの指輪萩まめ香
祖母死して原生花園野焼終ふ白庵
涸れ葦の伴に粉と成る野焼きの火白雨
急ブレーキ野焼の煙道渡る橋本恵久子
鳥高く合戦の地は野焼きかな長谷島弘安
野焼きのごと焼夷弾の昼飾り蜂巣
ドローンで野火見守りて水を飲む葉月けゐ
山肌の色変わりゆく野焼きかな初野文子
人沈むすすきが原の野焼かな花おうち
想定外消防車くる野焼きかな花岡紘一
魑魅魍魎も吾も清める野焼きかな華樹
黒き芝境界線拡げ野焼せし花咲みさき
野焼きせし灰のなかから芽ぶく声花野
傷心の血を沸かしたる野火の赤はなぶさあきら
野焼あと溶けた携帯朽ちており花結い
荷をほどき深夜にひそり野焼き芋馬場勇至
野焼後手習の紙散るごとく浜けい
野焼果て清けき夜となりにけりはむ
野焼けぶる平等という偽りの空林里美
野焼する煙も絶えて恋終わる原善枝
野焼きするボランティアは七十代原乃野衣
牛退避完了の報いざ野焼 播磨陽子
野焼後今宵の月へ薄煙haru.k
野を焼けば真っ赤な嘘の迫り来るハルノ花柊
近道は野焼の臭い踏むホース葉るみ
丸い原野焼きがかこむ男衆はるる
野焼あと豊満なる丘や露わHNKAGA
火災報知器電池外して野焼パンナコッタ井上
琵琶湖野焼釣り人残し雲に入るひーたん@いつき組広ブロ俳句
風上へ逃げる野焼きの鬼ごっこひーちゃんw
遠く立つしばしの煙野焼きらし東山たか子
炎見て空をみあげて野焼泣く光源爺
逃げ惑う虫のあらんや野焼の火ひぐちいちおう(一応)
野焼果て夜風煙をさらい行く樋口ひろみ
野焼する祖父の背やアルプスの峰陽皐光
一茎に一陣の風野焼あとビタミンワイ
野焼きあと身に沁む母の捨て台詞ヴィッカリー趣乃
炎食い山野は走る野焼きかなひっそり静か
山の神姿現す野焼かな一重
風を食い龍と化したる野焼の火日向あさね
なゐ無き世野焼へ祈る地へ祈るひなたか小春
父の影火柱見つめ土手野焼きひなたのくま
眠り深き大地覚めよと野焼せむひな芙美子
バス降りる間をも惜しみて見る野焼き向日葵@いつき組広ブロ俳句部
野焼きした熱い風が頬を刺すひめりんご
父と見た秋吉台の野焼かな日向菊江
俺の過去宇宙に返す野焼きかな日向鳴山
野焼きのごとコロナの年をチャラにして飛来英
身の廻り野焼きのごとき終活平井千恵子
野焼して炎の先に仏ゆ平松一
曇天や野焼の軍手忘れらる平本さち
野焼見物村の火消しに駆り出され比良山
野焼して鉄塔高く夕暮れる蛭本喜久枝
里めぐるバスに野焼の香のほのかひろき
きのふから一人暮らしの野焼きかな琵琶京子
捻る野火ヤマタノオロチや阿蘇の峰々風泉
ちろちろと残り火も良し野焼あと風紋
芋喰らふ野焼きのかほの煤ぬぐひ深蒸し茶
川風が運ぶ野焼の臭いかな福井三水低
落人や野焼逃れし蟻の群れ福川敏機
野焼きの日でめんさんらの高笑い消すふくだえつこ
ビスケットは優しい甘さ野焼の香福月スミレ
風雲急戦場と化す野焼かな福弓
糞香る野焼の土手のバックシャンふくろう悠々
電車中かすかに匂う野焼きかな藤丘ひな子
野を焼いて隠れる月や雨到藤川鴎叫
石佛の顔して野火を渓に守る藤咲大地
古顔が迎え火放つ野焼かな藤原訓子
野を焼きて一目千里や海近しふみ
ぽっかりと野焼の空に浮く心ぶるーふぉっくす
いぶされて乾く涙や野焼きかなfullさとみ
野焼き待つカメラ自慢に盛り上がる古澤久良
雨上がり野焼の跡の地図のごと古下翠照
野を焼くや十年ぶりの里の駅平和鳩三郎
リスタート野焼の香り引き締めるヘッドホン
展望台緋線躙るる野焼かなペトロア
野を焼きて無かった事にしませうねべびぽん
バスで行く野焼きの原野次を待つほうすい
野焼あり外干しの物早しまう房総たまちゃん
野焼ごとこのままでいられぬ我が身星雅綺羅璃
野を焼くや初挑戦のパラグライダー星月さやか
地の力頃をしらせる野焼かな星ぽっちゃん
指舐めて火を放ちたる野焼かな星善之
野焼き後の洗濯物の臭さかな細江隆一
ブッツブッツと仙石原の野焼かな細川小春
紀寿の祖母「ぱちぱち言うてるで」野焼堀江弘子
明日の夕祖父の楽しみ相撲と野焼堀将大
雨ざあざ焼き芋食えぬ野焼かな盆暮れ正ガッツ
野焼きあと煙の薫り握り飯香港ひこぞう
野を焼きて煤けし夕陽沈みゆく梵多
室までも野焼きの匂ひ峡暮し本間美知子
新芽待つ岬の馬在り野焼きかなほんみえみねこ
我が里は小さな野焼残りけりまあぶる
生きものとなりて立ちしく野焼の火前田冬水
野焼より上ぐる煙に兵見ゆ曲がりしっぽ
野火に逃れ焼けぬ記憶の遺る日記牧野敏信
野焼きして焦げめのつきし大地かな槙由梨子
野焼きして帰れば夫のいと優し正岡恵似子
草焼いてベッドタウンは違う街眞さ野
豊かなる土や野焼のうずたかし松井くろ
白球が消える彼方の野焼きかな松尾直幸
火の大蛇野山のたうつ野焼かな松尾義弘
青空や野焼のにおい深呼吸松島美絵
離農する兄の帽子に焼野の香抹茶子
野焼後黒きボールの一つ有り松村貞夫
帰り道野焼きのにおいを感じたり叡雲
野焼きしてたなびくけむり天界に松本和加恵
阿蘇の旅野焼囲まれ冷や汗や松山章子
まつくろの野焼登校遠回り松山のとまと
勢子衆や真言唱へ野焼きせり真奈
一瞬の風に膨らむ野焼かなままマリン
野焼きした祖父は遠かり栗駒山麻由
草千里バイク駆け行く野焼かな真理庵
燻される髪の芯まで土手野焼眞理子
野焼の夜うき出る文字と歓声とまりゆみか
野焼あとオオクニヌシは不死身なり丸山隆子
野焼きして生命の残骸空へ空へみい
あれはいつ幼き頃に野焼あり三浦ユリコ
始まりは野焼や阿蘇の模様替え澪つくし
母親と縁切り野焼清々す帝菜
泡沫の心すり抜け野焼舞うPARTY坊主
野火煙る鶴折る子の手なめらかや三島瀬波
若草山緋色になりぬ野焼かな美翠
あぜ道に芽を引き出す野焼の火水乃江辰
ハンガリー舞曲第5番火爆ぜ火踊る野焼きかな美月舞桜
若旦那消火器持ちて野焼の日満る
野焼撮る人々の顔火照りけり湊かずゆき
護るのも壊すのもこれ野焼なりみほめろ@いつき組広ブロ俳句部
土手行かば野焼の匂う向かい風見屋桜花
野焼きする小さな命許してね宮階愛子
オペ室に窓あり野焼見ゆる日も三宅雅子
野焼くや猛火に押され逃げ帰るみやこ
しづかなり臭ひばかりの野焼あとみやこわすれ
人だれも塵に還らむ野焼見るみやざき白水
「はやぶさ」も「こまち」も烟る野焼きかな宮澤さっち
野焼跡胸に刻みて故郷発つ宮地弓恵
復興の祈りの如し野焼なり宮原みかん
高速で鼻をくすぐる野焼かな雅乃珠晃
茅山の後を夢見る野焼かな深山涼水
火の神はじゃじゃ馬のごと野焼かな宮本象三
野焼あと灰になるものならぬものみわ吉
阿蘇野焼く見えた廃線竹筋峡眠兎
青き地球きっと忘れぬ野焼けても夢雨似夜
野焼かなけむり香と成り止めし歩を無弦奏
コロナ禍の閑散野焼から悲鳴睦月くらげ
野焼きにて飛び立つ鳥はうしろ見ぬむねあかどり
阿蘇の原野焼きのあとああ黒かったむらのたんぽぽ
野を焼くや再生ビデオ押すごとく村松登音
野焼終へ野良着に小さく火片跡室よりこ
薄闇を野焼き嚔ひとつは犬萌葱木綿
野焼け後梅干しだけの握り飯モコ
緩坂に野焼き待機の消防団もつこ
忍び寄る蛇のごとくの野火の舌momo
野火走る風の匂へる堤かな桃香
ぢつと見て犬の動かぬ野焼跡ももたもも
仕舞い込んでいた手紙からまず野焼き桃葉琴乃
袖を振る君に野焼のくすぶりて森佳月
カラメルの匂い野焼の夕暮れに杜まお実
赤黒く野焼授ける命かな森毬子
日の暮れを神降りさうな野焼かなもりさわ
野を焼いて明日の風に色つけて森中ことり
野焼きする煙の恋を追い落とす森野千生
おっとっと野焼で地球が弾けそう森の水車
草原に黒き火傷の野焼かな諸岡萌黄
にぎり飯笑う黒き手野焼かなもろ智行
朱を映す点滴バッグ野焼かな八重葉
合戦の声が聞こゆる野焼かな八木実
本能寺炎は同じ野焼かな八木実
野焼は火葬輪廻する細胞痩女
はぐれ雲野焼の風も忘れしか柳川心一
農協の帽子に残る野焼の香ヤヒロ
野焼の地宅地となりて祖父は逝く山川恵美子
神々に願いを込めし野焼かな山川芳明
ぶすぶすと火種のありし野焼あと山口要人
野焼の火オロチクサナギ厄払い山口香子
野焼き見る少年の目に火が映る山口雀昭
爺さんの長い一日野焼かな山口たまみ
豊饒の北上河原野焼きかな山崎鈴子
遠近に野焼きの香する能勢路行く山育ち
清らかないのちはぐくむ野焼あと山田啓子
灰の色腹帯に染む野焼き後やまな未
焼き尽くせ野焼後に生れくる山本康
阿蘇谷へ煙りたなびく野焼きかな山吉白米
脱衣所に煤の香仄か野焼きの夜熊耳
阿蘇野焼三分のニはボランティア雪だるま担
野焼の火萱草色の大蛇なり雪音
野は焼けて朝陽の白の痛きほど雪乃
アマゾンの火災野焼の詐欺疑惑雪見白庵
田畑飲み込む津波のやうに野焼ゆすらご
死と生のあはひ暮れゆく野焼跡宵猫
山影にくすぶる野焼白月火妖精さん
火の端を打つ少年の野焼かな杳然庵眇眇斎
村なべて炎色のなき野焼かな酔々
きな臭いゴルフ場にて野焼きかな夜香
放たれて野火青雲へうねり立つ横縞
墳丘にメット並びて野焼かな横田信一
野焼傍緊張の顔揺れ動き吉哉郎
いろいろをリセットしたく野焼きかなよし季
吸殻を残らず拾い野焼かなよしざね弓
野焼き美よかすむ伝統時の風ななゆきこゆき
野火放て眠るる息吹目覚めけり吉田江月子
眉ひいて生まれ変わるぞ野焼きかな吉野茶々
風のない夕方野焼ただ眺む吉藤愛里子
あふれ出る太古の記憶野焼きかなよにし陽子
幼き日朱色連なる野焼かなY・りこ
地をたたく阿蘇の野焼の火消し棒梨音
辿り着き鼻に刺さるる野焼の香龍季
オレンジの炎追いかけ野焼かな隆美
野焼きの火逃げるバルサを覆い隠す凛
陽に傘を被せ野焼の煙立つ瑠珂
落日や野焼の煙渦巻きぬ六手
野は焼けて今はただの駐車場若葉一家
野を焼きて肺に嵐の丑三つ時若林千影
いぶされて眠りから覚める野焼きかな若緑
野焼きの火風切り音と走り出す若宮直美
何となく煙たき一日野焼かな鷲野の菊
野焼して昔とんとん爺の膝わたなべすずしろ
ブラウンのVinoのお尻まで野焼渡邉一輝
雑念をくべて煙たし野焼かなわたなべいびぃ
風上に三世代立つ野焼きかな黎成
中3の娘の膝の野焼跡ろんろん
足元に果ててしまひぬ野焼の火渡邉久晃
一歳の重みを肩に野焼かな渡邉わかな
きらはれるならば畏れられよ野焼渡邉桃蓮
圧巻の野火の踊るや草千里渡辺陽子
時折に怒声飛び交う野焼かな侘介
野焼の地生まれ変わりを嫌われて笑笑うさぎ
- 夏井いつき先生からの一言アドバイス
-
俳号には苗字を!
〇俳号とは、その句が自分のものであることをマーキングする働きもあります。ありがちな名、似たような名での投句が増えています。せめて姓をつけていただけると、混乱を多少回避することができます。よろしくご協力ください。
●先月の兼題!
- 空も吾も風も泣きたし風花す岩のじ
- 巡礼の鈴へ風花埋もれりまこちふる
- 動物園かざはな光る命名日珠桜女絢未来
○タッチの差で〆切に送れたのかも……。
●文字化け?
- 息を?むハイスピードや野焼の火亀田?
○「息をのむ」かな? さらに俳号も文字化け。これこそ、まさに無念……。
●俳句の正しい表記とは?
- 還暦や あと何回の 野焼かな加藤雄三
- 無焼観て この山の先 期待する服部コナン
○「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪
●季重なりとは
- 野焼きした香に誘われしつくしの子あいあい亭みけ子
- 寒いよねふたりで見たね奈良野焼石橋千佳子
- 動物と春を彩る野焼きかなお寺なでしこ
- 肌寒い煙いかほり野焼かなかわら俳句人
- 漆黒の白き息吐き野焼果つ斜楽
- 春雨の畑に野焼きの灰黒く大河快晴
- 山動く野焼きの風が春まねく玉置むつみ
- 登校の吐く息白く野焼きの香ばぅ
- 湯布院の野焼きの春や空まだら福次朗
- 青い空野焼きのあとにつくしさく佐々木邦綱
- 西日眩しいサイドミラーの野焼かな田本莞奈
○一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「野焼」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。
●兼題とは
- 手前屋根まぶし後方は春がすみ北田政文
- 小山ゆく寒さなめとる橙の帯樹緑
- 手作りの凧の上行くオスプレイ国芳みさと
- 邦人や移民の一人初詣二コラ・ブレンダン
○今回の兼題は「野焼」です。兼題を詠み込むのが、たった一つのルールです。
- 野焼の如くサバクトビバッタ、嗚呼鍵盤ポロネーズ
○確かに「野焼」という言葉が入っていますが、比喩として使われています。むしろこれは、「サバクトビバッタ」が主役ですね。
●季語深耕
- 故郷の土の残り香野分中三宅剛
○「野焼」は春の季語、「野分」は秋の季語です。
○今回、「末黒野」という季語を使ったものも三十句ほどありました。ページ数の少ない季寄せやネット歳時記等で、「野焼」「末黒野」を一括りで解説しているものもあるようですが、基本的には別の季語です。
季語は、時候・天文・地理・人事(生活、行事)・動物・植物の六ジャンルに分けられます。「野焼」は人事の季語、「末黒野」は地理の季語です。
お手元に確かな歳時記を一冊、置かれることをオススメします。
お待たせしました!2月の兼題「野焼」の選句結果を発表いたします。
毎月、俳句生活を盛り上げてくださるみなさまに、大事なお知らせがあります。4月1日より投稿のルールが変ります。詳しくはこちらをごらんください。
これからも俳句生活をどうぞよろしくお願いいたします(編集部より)。