夏井先生のプロフィール
夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。
5月の審査結果発表
兼題「葉桜」
「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。
葉桜や微笑疲れの仏たち
とんぼ
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夏井いつき先生より
一読、日本史の教科書に載っていた百済観音のお顔を思い出しました。飛鳥時代の仏像だといわれていますが、古代ギリシャアルカイック期(紀元前七世紀ごろ)の塑像にみられる謎めいたアルカイックスマイルを浮かべています。「仏」の「微笑」を詠んだ句は幾らでもあろうかと思いますが、「微笑疲れ」という詩語に惹かれます。
花の終わった後にでてくる初々しい若葉、そしてびっしりと茂っていく青葉へ、その変化も味わえるのが「葉桜」という季語です。葉桜のひかり溢れた伽藍の奥に安置されている美しい仏たち。その永久の微笑みに対し、「微笑疲れ」かもと呟く作者のウイット。風にゆれる葉桜もまた、美しく微笑み続けているかのようです。
葉桜の朝やひかりの抵抗器
ギル
「葉桜」を何かに比喩する発想の句は沢山ありましたが、「ひかりの抵抗器」とは独自性と真実味を併せもった秀逸な詩語。「朝や」という時間帯への詠嘆も、「葉桜」の下の木漏れ日を存分に表わしていてうっとりさせられた一句です。
葉桜の丘は帆船風孕む
樫の木
こちらも比喩ですが、丘を遠望する光景。風にゆさゆさと反応する「葉桜の丘」は、まるで海をゆく「帆船」みたいだというのです。丘全体が、初夏の風を孕んでいるかのような映像を、比喩をもって見事に表現しました。
鳥の伝言を葉桜が預かる
鈴野冬遊
前半「鳥の伝言を」が八音、後半「葉桜が預かる」が九音、足して十七音の破調です。風に鳴る「葉桜」の様子を、鳥の伝言を預かっているのだと解すること自体が詩。破調の硬い調べもまた、内容を引き立てています。
葉桜の中雨太くなりたるか
戸口のふつこ
ぽつぽつ降り出した雨を避け、びっしり茂った「葉桜の中」に逃げ込んだのでしょう。やれやれと空を見上げる間に、葉桜の揺れや雨音が大きくなってきます。「雨太くなりたるか」という呟きの率直なリアリティに共感します。
葉桜に甘えて風の保健室
七瀬ゆきこ
保健室の窓の外には、大きな桜の木があるのです。保健室の窓からは、葉桜の風が心地よく吹き込んでくるのです。「葉桜に甘えて」という詩語は、この子(あるいは少し心を病んでいる教員)が本当の意味で甘えたいあれこれを想像させて巧みです。
葉桜はさりさり風の翻訳機古賀
葉桜や風の言の葉翻訳す菫久
葉桜や風の言語は幾種類青田奈央
葉桜を零れる光には密度川村ひろの
葉桜や密度をましてゆく光山内彩月
海知らぬ子よ葉桜のさざなみよRUSTY=HISOKA
葉桜やオルガン遠くすべり台相生三楽
葉桜や雲は土管の色を真似青井えのこ
葉桜や風通り過ぎ波の音青井晴空
葉桜や校を去る子と見送る子青居舞
葉桜をあふぐヒジャブの母と娘と蒼空蒼子
葉桜やこころの振り子まつすぐに青空まる
君のシャツ葉桜の影濃く薄くあおのめ
葉桜や吾亡き後の妻のこと蒼鳩薫
異議なしの役つく葉桜の校舎青水桃々@いつき組俳句迷子の会
葉桜や町にフルート三重奏赤尾てるぐ
葉桜になら暫くは居てもよし赤尾双葉
葉桜や若妻の猥談の輪へ赤馬福助
葉桜や改装さるる定食屋赤目作
葉桜や天守に集う同窓生acari
葉桜や立ち漕ぎの少年眩しあかり
葉桜の朝日を濾してゐるベンチ愛柑
川の面の桜若葉にふくらみぬ明惟久里
葉桜や無言の帰宅せり父は秋月あさひ
葉桜のふるへて初恋のにほひ秋野しら露
葉桜やキャッシュレスには慣れてきた芥茶古美
葉桜や河馬の欠伸をのぞき込むあくび指南
帰還困難の文字覆う葉桜朝雲列
葉桜よ合格守の色はさてあさぎりななみ
退院の頬を葉桜よりの風明後日めぐみ
葉桜よ君は青年だつたのかあさぬま雅王
憂鬱が脈打つ如く葉桜は芦幸
葉桜や何時もの場所に紙芝居あじさい卓
登校日葉桜だけに会いにゆく葦屋蛙城
葉桜や亀はゆつくり雨の中阿曽遊有
葉桜や口紅濃いとパパのいふ藍創千悠子
葉桜はやがて来るピノキオを待つあたなごっち
火葬炉がおおんと響き葉桜へat花結い
葉桜や更新終へしパスポート渥美こぶこ
葉桜の人の良さ気な光かなあねもねワンオ
葉桜や半ドンの日の古書店街我孫子もふもふ
万歳で葉桜並木を駆けぬけた阿部八富利
葉桜や円陣組む背まだ細しあまぐり
葉桜やリハビリ初日靴を履く雨戸ゆらら
葉桜や鬼女は聖女にもどられしあまぶー
葉桜や予鈴に子らは散り散りに天弓
葉桜や今朝はぐずらぬ子を送る雨乙女
葉桜やひとりで祝う誕生日雨李
焼香を終え葉桜の風のなか綾竹あんどれ
葉桜や小さき神馬に尻押され綾竹ろびん
葉桜や宿直あけの缶コーヒー荒一葉
葉桜の影や主演の追悼文あらい
葉桜や退職視野に深呼吸あらいゆう
戦いのニュース北半球は葉桜あらかわすすむ
葉桜や木洩れ日ならぬ木洩れ星荒木響
あたらしき水晶体と葉桜と新多
葉ざくらや磔像の腕まつすぐにアロイジオ
葉桜や商家の蔵の壁眩し淡湖千優
葉桜や右の乳房の手術痕アンサトウ
葉桜や教壇に立つ実習生安春
葉桜や色の褪せたる八畳間安藤早智
葉桜のコートで一人シュート打つ飯沼深生
葉桜の木漏れ日太陽を踏む飯沼比呂倫
葉桜やぶらんぶらんとサブバッグ飯村祐知子
葉桜を翅の明度と思ふなりいかちゃん
葉桜や釜師の熔かす鉄とろとろ猪狩鳳保
葉桜や笑わぬ甥と撮る写真いくたドロップ
葉桜や珠洲に未来の筆強き池田悦子
葉桜やオールの雫盛んなる池田桐人
葉桜葉桜はざはざはざと鳴きさぶらふイサク
葉桜や十年前はCDショップ伊澤遥佳
泣き終へて元気わたしも葉桜も石井一草
葉桜やトランペットの応援歌いしいるぴなす
葉桜やコスメクーポン期限切れ石岡女依
雨の午后葉桜の森のやわらか石垣エリザ
葉桜や段取り通り畑仕事石川明
葉桜になりハローワークへの歩道石川巴里
葉桜や店の木札に準備中石塚碧葉
葉桜や母の衣類に書く名前石塚彩楓
葉桜や今日採血の予定あり石原花野
葉桜の風道祖神囁ける石村香代子
葉桜や幹に持たれて昼の飯石本美津
葉桜へ来たる機関車連写音泉晶子
葉桜やまもなく切れるパスポート和泉攷
葉桜の余白をうめる空の青遺跡納期
葉桜や埃をぬぐふ遺墨集石上あまね
葉桜や明日より開かぬ理髪店いその松茸
葉桜ざわざわ月曜の保健室板柿せっか
葉桜や海から吸って空に吐くいたまき芯
葉桜となりて新廟守りけり一井かおり
葉桜や私の中に鬼がいる市川卯月
葉桜や応援団長は変声期市川りす
葉桜や高台寺にはねねの墓いつかある日
葉桜と上手に言えて退院日一愼
葉桜が光と何か企みぬ伊都
葉桜やひとりひっそり師の逝く日伊藤節子
葉桜や疏水巡りも最終日伊藤亜美子
補聴器の拾ふ葉桜の脈拍伊藤映雪
葉桜や洗礼名の訃報の来伊藤恵美
葉桜の下に俗名赤き文字伊藤順女
葉桜や臨月のまるみのゆたか伊藤柚良
葉桜やおろした道着うす青く伊藤小熊猫
明るさや桜若葉の横に門糸川ラッコ
葉桜やぽつりと昼の滑り台いとへん製作所
葉桜や喃語弾めば相槌も井中ひよこ号
葉桜や貴方の好きな道ですよ伊奈川富真乃
葉桜や証明書待つ納税課稲所恵
葉桜の風のきままさ友として稲葉雀子
葉桜や遅れ来る子を待つてゐる稲畑とりこ
葉桜や実物大の紙の剣いなほせどり
葉桜や書に牛革の栞あり居並小
葉桜や子どもを攫うほどの風井上鈴野
葉桜や看護師めくるカレンダー井上れんげ
葉桜やしづかなる能登さくら駅猪子石ニンニン
葉桜や十年ぶりの電話受く井原昇
葉桜や人のざわめき遠く聴く井松慈悦
「好き」のあと葉桜だけは知っている今乃武椪
葉桜の下は平和な貸しテント今林快波
急く背なに葉桜ざわりざわりかな今村ひとみ
葉桜やベンチは元の場所に置く芋二郎
葉桜や寿陵に彫らるる倶会一処妹のりこ
葉桜や先ずは平仮名習ひたる伊予吟会宵嵐
葉桜や六年生と手をつなぎ伊予素数
葉桜やレッスン初日の靴を選るいわさちかこ
葉桜や前歯に小さき矯正具岩清水彩香
葉桜の下フルートを組み立てる磐田小
葉桜に合わせて開くヴェルレーヌイワンモ
葉桜や車輌に君を探す朝ういろ丑
桜若葉の舞台ヒーローピンチです植木彩由
葉桜や出荷コークス八万トン上原淳子
葉桜の門を男とチェロケースうからうから
葉桜や髪切る理由は秘密です兎野紫
葉桜や消えぬ痛みのある体宇佐美好子
葉桜は左右へ脈を光らせてうた歌妙
音に知る雨よ葉桜打つ雨よ内田こと
葉桜やハインリヒ・ハイネ曝し内本惠美子
葉桜や朝日に透けた瑠璃と玻璃空木眠兎
葉桜にシャトル変声期の跳躍うつぎゆこ
葉桜にやうやう空の落ち着けり靫草子
葉桜や雨のやさしき日曜日卯之町空
葉桜や岬からくる風は青海口竿富
葉桜のベンチで復習うアヴェマリアうみのすな
葉桜や二番の歌詞はうろ覚え梅田三五
再テストを受け葉桜のベンチへと梅田武史
葉桜や横断幕を書く部活梅野めい
葉桜や在校生はあと五人うめやえのきだけ
葉桜や君のあかるき髪と嘘浦野紗知
葉桜やこんぴら歌舞伎幕を閉ず麗し
葉桜の光も音もさらさらと蝦夷やなぎ
葉桜や和紙毛筆のご挨拶越冬こあら@QLD句会
葉桜の光と影を鼓笛隊江戸きりこ
頭下げる仕事葉桜の密度海老名吟
通勤路葉桜が吾の応援団笑姫天臼
葉桜やチョコ溶け噛じるアーモンド絵夢衷子
葉桜やゆめからさめしやうなかほえりべり
葉桜や実験棟へ白衣行く遠藤千草
葉桜や娘に貰ふ長財布円美々
葉桜や野崎参りに船の影近江菫花
葉桜の朝や頷くのみの母おおい芙南
葉桜や下校の子らの悪だくみ大岩摩利
葉桜や会う約束をして会わぬ大越総
葉桜になりて普段の谷中墓地大澤眞
葉桜にネイルサロンの扉押す太田怒忘
葉桜や副葬品は手紙のみ大塚恵美子
もう泣かぬ子や葉桜の幼稚園大津美
葉桜や無縁仏になるもよし大道真波
葉桜は暗き急坂ハハキトク大矢香津
葉桜や洗車済ませた消防車大谷一鶴
葉桜や自分で帰る一年生大家港一
葉桜や交番に子が手を振つて大和田美信
葉桜やダムの底なる隠れ里岡邦俊
木のポストへ届く葉桜発の風おかげでさんぽ
葉桜や君のはうから手を握る可笑式
葉ざくらの下きらきらと乳母車岡田ひろ子
葉桜や足真つ直ぐに側転す岡田雅喜
葉桜やローカル線の手動ドア岡山小鞠
葉桜や都電ごとごと小さき旅岡れいこ
葉桜の陣地へ逃げろ二時限目小川さゆみ
葉桜や十二年経しサバイバー小川天鵲
葉桜やステージ袖の戦士達小川都
葉桜や雨の車掌の笛かすれおきいふ
葉桜を一枚けふの栞とする沖庭乃剛也
号泣や葉桜葉桜葉桜荻原湧
葉桜や柩車に緑の影映す奥寺窈子
葉桜の風よ猫背の大仏よ小倉あんこ
葉桜や電話の止まぬ救護室おこそとの
葉桜の陵や戦と恋在りき越智空子
葉桜となりて薬指の軽しおでめ
葉桜やオルガン残る旧校舎御成山
見舞う娘と葉桜の中歩いてる小野ぼけろうじん
葉桜やひかりのしづく仰ぎみむおひい
葉桜やB型にしたベビーカー大日方柚竹
応援合戦終え葉桜の木陰小山田之介
葉桜やポンポン船の会釈せり海音寺ジョー
葉桜や漬け樽十個並ぶ庫裡貝田ひでを
葉桜や顔認証の顔作る海峯企鵝
真白き茶碗葉桜の影が揺れ甲斐ももか
一周目葉桜綺麗後三周かえるゑる
葉桜や転職のこと母のこと風花まゆみ
葉桜や指切りの日の目黒川風花美絵
葉桜や土産物屋の琥珀糖風早杏
葉桜や虚構のバスを待つ無心加座みつほ
葉桜や硯の海の濃く深くかしくらゆう
葉桜の青濃く雨の月曜日鹿嶌純子
葉桜に漉されし風の馥郁と華胥醒子
葉桜の礼拝堂に光射す梶原菫
葉桜に莫迦になれよと独り言KAZU
葉桜や母子同室の一日目風薫子
葉桜の足湯に開く指の股加田紗智
葉桜や逢ったばかりのキリン逝く花鳥風猫
葉桜や書斎は父の秘密基地かつたろー。
葉桜や米軍基地の錆びた鍵ひだまりえりか
葉桜の蔭静寂の畳の間桂子涼子
葉桜よまた前職の夢を見たかときち
葉桜や逆子に諭す三十週金子泰山
葉桜の母校横断幕眩しかねつき走流
葉桜や繊維の光りたる反古紙加能雅臣
葉桜や土手の下では川ざらえカバ先生
葉桜もブラスバンドも笑ふ、笑ふ神島六男
葉桜を五ポンド銀貨のトス越えて神長誉夫
葉桜の並木敬語にも慣れて神谷たくみ
葉桜や緑の眩暈さそう風紙谷杳子
葉桜や雨でも富士はそこに居り亀子てん
葉桜を気にする女見ぬ男亀田荒太
葉桜や母の大きな塩むすび亀田かつおぶし
葉桜や手作り市の人だかり亀山逸子
葉桜の裏にぽつんと変圧器亀山酔田
葉桜や目を瞑りても青が射るかめよかめ
葉桜や空にボールの高き音鴨の里
葉桜や十日動かぬバイクありかもめ
葉桜やインスリン打つ而立の日加良太知
葉桜や皆出払ひし講師室かりかり久助
月曜の弱虫埋める葉桜に刈屋まさを
葉桜に顔出しパネル二つ折狩谷わぐう
葉桜や牡の大山羊つながれし河上輝久
葉桜や産科の窓に犬張子河上摩子
葉桜を手をつながなくなつた子と川越羽流
葉桜や甘くて重き吾子を抱き川崎ルル
葉桜や光集むる盲導犬翡翠工房
葉桜やシラバスの君の指追う川辺世界遺産の居候
近江商人邸葉桜の茶会川村湖雪
葉桜やトロンボーンは威風堂々河村静葩
葉桜や子の新しき友来たる邯鄲
旅人に葉桜が寄り添つてゐる干天の慈雨
葉桜や引揚館へ影の咲く神無月みと
葉桜や所属なき日のスニーカー看板のピン
葉桜や小箱に亡骸と足環喜祝音
葉桜や太鼓とどろく児童館季々諧々
葉桜や洗つてしまふ生徒手帳岸来夢
葉桜やゆるく始まる道普請喜多丘一路
葉桜の影ブラウスの腕におり北川茜月
葉桜や前の車の手信号北野きのこ
葉桜満開光らざる葉のなかりけり北藤詩旦
葉桜や親の打覆ひは白しきつネつき
まだ千年生くるつもりの葉桜か木寺仙游
葉桜を歩きぬ退部届手に着流きるお
葉桜や機械にぬるい油差す城内幸江
葉桜の風のうしろの蘂の星きのえのき
葉桜や先生はもうやめました木下桃白
葉桜の下だるまさんがころんだきべし
葉桜やテヌート豊かなる朝練木ぼこやしき
葉桜や農協ストアセルフレジ木村修芳
葉桜や慈眼におはす露座仏木村隆夫
葉桜や盲導犬の真面目顔木村弩凡
葉桜や介護士が弾くヴァイオリン木村弘美
葉桜の朝や出生届記すQ&A
葉桜や踵に天体図の寝釈迦きゅうもん@木の芽
葉桜や学校便りの第三号鳩礼
葉桜や図書館の窓辺には君霧澄渡
葉桜や今週五度目のカップ酒久我家萬蔵
葉桜やタイムカプセルじみたこと鯨之
葉桜は蒼し出所のウーロンハイ草臥れ男
葉桜や大きな橋を鼓笛隊くつのした子
葉桜や掛け声ひびく駐屯地久保田凡
葉桜や曾孫のはしゃぐ葬儀場くぼたみどらー
葉桜が撫づるかくれん坊の髪倉岡富士子
葉桜や蓋についてる紅生姜倉木葉いわう
葉桜やサンドバッグの傷涸ぶ眩む凡
葉桜やゲートボールの音硬し栗田すずさん
綯い交ぜの猜疑心葉桜に影空流峰山
葉桜や筆圧強き不在票久留里61
葉桜や過ぎたることをわづらはず愚老
伐採印有り見納めの葉桜黒猫さとみ
学割で帰省葉桜映す車窓黒ばあや
葉桜はゲルニカの絵の向こう側くんちんさま
葉桜に失くすルージュの珊瑚色桂子
葉桜や右上へ折る天ぷら紙恵勇
葉桜の木漏れ日咲うみらい館けーい〇
葉桜の隙間わたしを呼ぶ未来月下檸檬
葉桜の土手で娘の本音聞く健央介
葉桜ややさぐれる日は肉捏ねて謙久
葉桜の触れ合ふ音に匂ひ立つケント
うらがへりもどり葉桜あはしこし剣橋こじ
葉桜や戦友名簿へ「故」のしるし小池令香
葉桜や名脇役と言い継がれ恋瀬川三緒
葉桜に葉桜当たり葉桜へ剛海
葉桜やしんと原爆資料館公木正
ドの音は重く葉桜呼応する紅紫あやめ
葉桜や母に帽子を新調す柑たちばな
葉桜の下のベンチの固さかなこうだ知沙
いつからが葉桜いつからが戦前幸田梓弓
葉桜に触れいてひとり人弔うごーくん
ねぇ葉桜忘れ物取りに行こうか古烏さや
葉桜や職業訓練生のメモこけぽて丸
葉桜の鬼の神社の御籤かな小笹いのり
葉桜や父の終末期を決めて小園夢子
葉桜やビル群はジグゾーパズル木染湧水
葉桜に向かひスケボー宙返り後藤昼間
葉桜に雨ひとしきり検診日後藤方丈
くり返すピース葉桜の花嫁古都鈴
葉桜や友は五回忌だったとさ粉山
ごみ拾いラリー葉桜の堤防このみ杏仁
葉桜や甲羅かちあう石の上虎八花乙
抜け道の奥の葉桜濃かりけり小林昇
讃美歌の心は故人に葉桜に小林のりこ
葉桜に光りの粒のがさがさとこま爺
葉桜の球場兄のゐるベンチ駒村タクト
眉はまだ上手く描けずに葉桜に小南子
葉桜や昨夜の辞表の出しそびれ小山晃
葉桜の吉野に墨の老舗かなGONZA
葉桜や猫しゃべりだしそうな午後今藤明
隠るるに良き葉桜の暗さかなこんのゆうき
葉桜や俺は東京都の粒子コンフィ
いたずらなしだれ葉桜夜の道埼玉の巫女
葉桜を零るる光あをくさき彩汀
葉桜の夜をフジコのノクターン齋藤桃杏
葉桜へ三輪車の大暴走さおきち
葉桜や古墳登れば寺に着くさ乙女龍チヨ
葉桜や背面飛びの空ぐるんさかえ八八六
葉桜や喪服の襟を緩めたる坂口いちお
葉桜や築八十年を壊す音坂本雪桃
葉桜や紙おしぼりは絵の具の香さくさく作物
葉桜や秋桜子編歳時記ありさくら亜紀女
葉桜や広き額は父に似て櫻井こむぎ
葉ざくらや紐が電車となる魔法桜鯛みわ
葉桜や転校生は一つ上桜月夜
葉桜やリハビリ室の窓を風さくら悠日
廃校や葉桜映す潦雑魚寝
葉桜や厩舎の窓の闇動くさとう昌石
葉桜や研修資料完成す佐藤恒治
葉桜や公園閉鎖の告知板佐藤栞
葉桜よ咲いた痛みは癒えたのか佐藤茂之
葉桜や筆圧強き引継書佐藤志祐
葉桜や結びし髪の結び解く佐藤綉綉
葉桜や歩幅大きく古稀の人さとうナッツ
葉桜や言の葉多き珊瑚婚佐藤浩章
葉桜や吾きつぱりと戀をする佐藤ゆま(歯科衛生子改め)
葉桜やふくふく光る塩むすび佐藤レアレア
葉桜や退職届け出す新人里こごみ
葉桜が喋り出すかに風は今里山子
葉桜のひかりに破れさうな青錆田水遊
葉桜や死亡保険を解約す彷徨ういろは
たとへばといふひとの目と葉桜とさむしん
葉桜のあはひにぼうと日は白く紗羅ささら
剥落は空か葉桜間にあふかさるぼぼ17
葉桜や母に及ばぬ我が半生澤田紫
眠れなくなって葉桜が眩しくて沢拓庵◎いつき組カーリング部
声変はりし立てのやうな葉桜よ三角山子
葉桜や旧町名の残る橋三月兎
葉桜や一人で生きてやろうとも山月
葉桜や歩幅の甘いマーチング珊瑚霧
葉桜やみづ打ち鳴らし戦ぎけり三尺玉子
葉桜や渾名で呼び合う仲となり四王司
葉桜やバス停の椅子濡れてをり塩沢桂子
葉桜や亡父のジャケツに伸ぶ背筋塩の司厨長
葉桜や第二志望へ通ふ吾子志きの香凛
葉桜にひとことかけていなり寿司じきばのミヨシ
葉桜や異人ふたりのクリケット獅子蕩児
葉桜や体言止めのおと弾く四條たんし
葉桜や土曜も背負うランドセル紫檀豆蔵
葉桜やセブンのレジに浪人生じつみのかた
葉桜の望洋として墓探す篠雪
葉桜や重機佇む医院跡芝野麦茶
かかへたる荷を葉桜にゆるさるる渋谷晶
葉桜やもう歩き出す隣の子しぼりはf22
軽々に好きと言ふのね葉桜に島田あんず
葉桜や母の面倒みる覚悟島田ユミ子
葉桜や若手ばかりの部へ異動清水祥月
葉桜や陀羅尼助売る吉野建清水容子
葉桜や坊主頭は義務じやない清水縞午
葉桜や職転々として嬉し清水三雲
葉桜や歩いて行こう隣町しみず楽翠
葉桜や風とさらさら笑いたり霜川このみ
葉桜よ同窓生は今ドイツ下丼月光
閉校のサイン葉桜とパ・ド・ドゥ芍薬
葉桜やなぞへの大影山を越ゆ洒洒落落
葉桜や何度空蹴るさかあがりじゃすみん
葉桜の午後に補欠のビブもらう沙那夏
葉桜や席替えのくじ透かし見る砂楽梨
葉桜や坂のしまいの窯の煙朱胡江
葉桜や父の享年物語る柊二
葉桜のそよぐ病院までの道柊瞳子
葉桜やネクタイに合う顔となり秋芳
葉桜やレコードの音に土の色種種番外
葉桜や記念校誌の父若し酒天わーい
その幹に納めし神気葉桜よシュリ
葉桜やチェロに始まる交響曲じょいふるとしちゃん
葉桜は戦ぐひかりの懐くまで常幸龍BCAD
葉桜や厨の音も昨日今日庄司芳彦
葉桜の下野球部とすれ違う白玉みぞれ
葉桜と我の透き間に注ぐあお白歩明明
葉桜やまたも喘息くる夜間四郎高綱
葉ざくらよやつと告白されました白猫のあくび
鼻で耳で皮膚でひかりの葉桜を白よだか
葉桜や地下鉄駅に忘れ物眞京
葉桜や退部届を出した帰路ジン・ケンジ
石割の葉櫻石を割り続く深幽
葉桜や母よそゆきの笑み少し吹田風香
葉桜や埋まらないマンダラチャート水蜜桃
葉桜を仰ぐ旅愁の男坂すがりとおる
葉桜と空の碧さと鳶一羽杉岡ライカ
葉桜のベンチ仮眠の十五分杉尾芭蕉
葉桜やカレーに乗せるカツ買った杉沢藍
葉桜やフジコさんのラ・カンパネラ杉本果ら
葉桜の三年前の傷の色鈴木由紀子
葉桜やどんどん心軽くなる鈴子
葉桜や高野が兼部してくれた鈴白菜実
葉桜やパフォーマー吐く火は空へ清白真冬
葉桜や八咫の鏡はくもりなし鈴野蒼爽
カーブミラー葉桜に点滅の赤素敵な晃くん
葉桜や湧き水で飲む常備薬砂山恵子
葉桜やボトル一杯井戸の水数哩
葉桜や遺墨の文のセピア色須磨ひろみ
葉桜や君の髪刈る日暮れ前静江
葉桜や姉は綺麗な恋敵瀬央ありさ
亡き夫へかざす手形よ葉桜は瀬紀
葉桜のベテルギウスの黙示録碩無山
葉桜や眼下に鉄のくじら達seki@いつき組広ブロ俳句部
亡き父とすれ違う葉桜の下瀬戸ティーダ
葉桜や再就職の初出勤千広ブロ俳句部
葉桜や箱詰めにして売る書籍早春SOSHUN
葉桜や墓のかなたに望む富士そうま純香
葉桜やお看取りあとの空き居室そうり
葉桜やもう新人と言はせないソフィ
葉桜や目覚めてけふも生きてをりそぼろ
葉桜や心配される歳になりそまり
葉桜や解熱後五日目の登校空豆魚
葉桜や智歯に立派な根のありぬぞんぬ
葉桜を眠るクラフトウヰスキーたーとるQ
葉桜やひねもす本にたゆたゆと平たか子
葉桜やいつの間に子は歩き出す平良嘉列乙
葉桜の重さ分だけ嘘を付く高井大督
吾子掲げさわる葉桜の勢い高上ちやこ
葉桜は過去形でなく未来形高岡春雪
葉桜や重ねし嘘の深みどり高木音弥
葉桜やあだ名呼ぶ友三人にだがし菓子
葉桜や靴音軽きあさぼらけ高瀬小唄
木霊らの禊を葉桜と言へり髙田祥聖
葉桜や湯煙まとい四部合唱たか&ひろ
葉桜の図書室の午後独占す鷹取碧村
葉桜よ普段着のまま見送る柩高辺知子
葉桜の幹の内なる桜色高嶺遠
葉桜爽々声出していこうぜ髙橋花紋
葉桜や避難訓練ずる休み高橋ひろみこ
通院の道に葉桜癌を病む高見正樹
葉桜や五重の塔の反りあがる高山佳風
葉桜や弾む連続オクターブ滝上珠加
残心を解くや葉桜ひかり初む滝川橋
葉ざくらやみどりごは笑む弥勒笑むたけぐち遊子
葉桜のベンチにかじるパンの味タケザワサトシ
葉桜はその他大勢になった武田豹悟
葉桜をかすめ水陸両用車竹田むべ
葉桜や笑へば舟の動き出すたけろー
葉桜や鳥人となる肩ぐるま多事
葉桜や墓の間を通学路多数野麻仁男
葉桜の伴奏として海鳴りは多々良海月
ほの白き朝葉桜の転校生立川茜
葉桜や老船は舫われて眠るだっく
葉桜や出来ないふりをやめる朝立石神流
葉桜や行く手を阻む槇尾山田中暢一
葉桜やほんのり塩の香をはこぶたなばたともこ
葉桜のさやさやと塀朽ちかけてたなべ早梅
葉桜や見学児童の列てんで谷相
桜若葉眉墨薄く陽を浴びて谷町百合乃
外出許可出て葉桜の恨めしさ谷本真理子
葉桜や昼休憩はベトナム語田畑整
葉桜に揺れふくよかな鳥の腹玉家屋
葉桜も風もあんがい話好き玉木たまね
遅刻した訳葉桜になったからたまのねこ
葉桜や会議へ銀のイヤリング玉響雷子
葉桜や若き武者等の一行詩たむらせつこ
葉桜や陽を一片も逃さじと田村ヒロミ
葉桜や城下はたかが二万石田村利平
葉桜や古社に眠れる巻子本鱈瑞々
葉桜や第一面に俺の顔だんがらり
葉桜やあいつ才能あったのにダンサーU-KI
葉桜に沿ひて国道曲がりたり丹波らる
葉桜にむせる日和や調査来る千夏乃ありあり
葉桜やスマホは母語のバイト生ちくりん
旧校舎解体たけなはの葉桜千歳みち乃
葉桜や歯ブラシ二本色違い千鳥城・チーム広ブロ俳句部カナダ支部
葉桜の空やおこはの握り飯ちゃあき
葉桜の孔にひかりは糸となる千代之人
葉桜や祖母の遺品の着物解きちょうさん
葉桜や枝へ閃く空の青司蓮風
葉桜や好きを思い出す終活塚田まいも
きみの声あかるくて葉桜の頃月岡方円
葉桜や勝者の歴史書の軽さ月城龍二
葉桜と未来のことを語り合うツキミサキ
葉桜や独り暮らしに友を呼ぶ月見里ふく
朝練の声道を超え葉桜へ月夜田しー太
葉桜の一葉中也の栞とすつくばよはく
葉ざくら透かす陽零る陽まぜてジャムつくも果音
葉桜に触れて目深に学生帽辻基倫子
葉桜や鶸色の雨作りたり辻内美枝子
葉桜や煮炊きの匂ふ銀座路地辻野花
葉桜の影やひかりのにほひ初む津島野イリス
葉桜や下でままごと始まらぬ辻本四季鳥
葉桜や遊具に使用禁止の札つちや郷里
葉桜や鶏をつぶしてきた右手津々うらら
近道しようよ葉桜のお社へツナ好
異次元の円安葉桜ただ青し椿カナ(木の芽)
葉桜や上級生の抜けた穴坪田恭壱
葉桜の葉の重力を絶つ姿勢坪山紘士
葉桜や若船頭の二頭筋ツユマメ/いつき組広ブロ俳句部
葉桜やかけ声響くバトンパスデイジーキャンディー
葉桜やひよこバッチの鼓笛隊丁鼻トゥエルブ
葉桜や砂でつくったやまみっつ哲庵
葉桜や齧られた葉の齧る空徹光よし季
葉桜や漕艇部より誘はるる寺尾当卯
葉桜や義父とふたりで通うミサテレシア
葉桜やミケがこどもを産みました天雅
葉桜や地上へ傾ぐロープウェイ電柱
こきざみな葉桜の脈風の脈でんでん琴女
葉桜や台詞あはせの校舎裏天陽ゆう
葉桜や私の美点を百挙げよ土井あくび
葉桜や大木の示す底力どいつ薔芭
葉桜や虚の校舎を川の音トウ甘藻
葉桜の週末皿を洗ふ夫遠峰熊野
テノールのごと葉桜の匂ふかなとかき星
葉桜や老舗温泉は閉館時まる
みづの音たてて葉桜ひかりまみれ常磐はぜ
葉ざくらや的屋のをんな飴を煮るとしなり
葉桜の空あをければ車椅子どすこい早川
葉桜に止まる補欠の右翼越え戸部紅屑
葉桜を聴く教室の隅と隅苫野とまや
葉桜の若枝はガンメタル色泊かいひ
葉桜やエコー画像は鼻ぺちやと富野香衣
園庭の葉桜うたた寝の吾子友@雪割豆
葉桜や騎乗の殿の大兜富山の露玉
葉桜の色新しき雨あがりとよ
葉桜を通る選挙カー五月蝿い鳥田政宗
葉桜を抜け三度目の職安へ豚々舎休庵
葉桜の緑こんなに重たいかとんぶりっこ
葉桜や湯屋に揺蕩う午下がり内藤清瑤
葉桜や母校の太鼓響きをり内藤未来仁
葉桜の影を踊らす淫祠かな内藤羊皐
葉桜やシャッター開かぬ理髪店内藤由子
葉桜やショパンの曲の不協和音中岡秀次
葉桜や社食の窓に触れたがるなか鹿の子
葉桜やひとり占めたる展示室中里凜
満開に逢ひ葉桜に別れけり中島走吟
メロンパン噎せて葉桜の曠日永嶋夜久
葉桜や靴べらの音するんとす永田千春
葉桜と赤子の匂ふ乳母車中原柊ニ
葉桜や祖父に敬語の五年生中村あつこ
葉桜のすきま音符とひかり満つ中村すじこ
葉桜やスマホ歩きの神楽坂中村雪之丞
葉桜や入れ歯の合わぬ歯科醫院那須のお漬物
葉桜の下のゴミ捨て場がきれい夏風かをる
葉桜やまわりは「できる」奴ばかり夏草はむ
葉桜や鯉めらひかり吸いこんで夏椿咲く
葉桜の石段たんたん通ひけり夏雨ちや
葉桜や意外にきれいわたしの胃ななかまど
葉桜や甲の火傷もはや癒えり七草柚希
葉桜や飛行機雲の交差点七森わらび
葉桜や杜氏は蔵を移るらし⑦パパ・いつき組広ブロ俳句部
葉桜や父の遺ししテレカ売り名計宗幸
葉桜やひかり朗にひるがへるなびい
葉桜や傘をさすまでもなき雨名前のあるネコ
風神に葉桜は今朝さらわれて奈良岡歩
葉桜やみな用のある歩きぶり奈良素数
葉桜や葉脈の中水清し南全星びぼ
葉桜となりて雨音楽しめりにえ茉莉花
葉桜明し学び直しの六限目西川由野
葉桜や窓辺のラヂオよりワルツ西郡うり
葉桜や空をゆくときみな淋し二重格子
葉桜の下くるま座の反省会二十八
葉桜や光は風の襞となる二城ひかる
葉桜へ飛びたちさうねファルファッレにゃん
葉桜や伝言メモに包むガム仁和田永
葉桜や下まで続く九十九折庭野環石
海軍道路どこも葉桜なる青さ沼野大統領
うつ病と思う葉桜がのし掛かる猫ふぐ
葉桜のあはひ探るや絹の雨猫またぎ早弓
葉桜や誰そは退職代理人ノアノア
球児らの寺の葉桜折り返す野地垂木
葉桜や手相見の掌の生きぼくろノセミコ
先生の眼鏡いっぱいの葉桜野ばら
葉桜や会ひたい時は目を閉じるのはらいちこ
葉桜の水堀に星浮かびけり白庵
葉桜やフェンスの錆の向こう側白雨
葉桜やザムザは過去の吾なりきはぐれ杤餅
石棺の王の現世か葉桜は橋本有太津
葉桜や過去帳に記す母のこと馬笑
葉桜をくぐる胎児に大志あり蓮井理久
葉桜や宇宙へ続く杣の村羽住博之
散華シマセウ葉桜ハ卑怯モノ長谷川水素
水郷の葉桜は葉にしだれけり長谷機械児
葉桜や威風堂々廃村に蜂鳥子
日曜日寂しい人へ葉桜を八田昌代
葉桜や靴擦れの跡薄くなり初野文子
ひと時を無職しなやかなる葉桜羽奈あかり
笑ひすぎ葉桜きりり陽を弾く花南天あん
白く細く葉桜のうへ雨やはら英凡水
レフ板は低く葉桜日を散らすはなぶさあきら
葉桜や瞼を閉ぢて死後覗く英ルナ
葉桜や補助板なしの逆上がり花豆
葉桜やざくざく歩く伊吹山花水木
葉桜とラヂオのノイズの土産店ぱぷりかまめ
空は刷りたて葉桜は剥がれない葉村直
葉桜ややさしさ戻る疏水道林省造
葉桜やころがり戻る故郷へ原田民久
葉桜や十二巻目に完の文字巴里乃嬬
葉桜や仮設住宅よりハガキ春あおい
葉桜や皆柔和なる羅漢像晴田そわか
葉桜や地面に書いた案内図春野ぷりん
葉桜の影も薄墨さくらかな春海のたり
羽化は闇より葉桜は光よりはれまふよう
白きシーツ伸ばす葉桜の空へ半ズボンおじいさん
喧騒を吸うて葉桜鬱を持つ万里の森
葉桜や東京からの転校生ピアニシモ
葉桜や夜は詩人のために来る柊琴乃
雑巾レース終へ葉桜はまぶし東田一鮎
葉桜や自転車の子は振り向かず樋口滑瓢
葉桜を賢治はビュウビョと言う筈火車キッチンカー
葉桜になってもゴメンと言えずごめん髭撫子
葉桜や使わぬ消火栓の錆菱田芋天
葉桜や君にささやく嘘本当ひすい風香
葉桜や娘に更年期来たるらし美竹花蘭
葉桜や母の後見人となるひでやん
転校初日葉桜の停留所日向こるり
葉桜のささやく音ははひふへほひなたのかまきり
戦死者の声を葉桜代弁す比々き
葉桜や折り目少ない参考書ヒマラヤで平謝り
葉桜や贈るカードのインク選る平井千恵子
パンダ舎は一時間待ち葉桜の道平岡梅
葉桜やまだもの食うてゐる赤子平本魚水
葉桜の下枕する太閤記比良山
葉桜や俺は逃げきれなかつたな平山仄海
此れは妣の忘れ物か葉桜よ廣重
葉桜は空の青さを撥水す広瀬康
葉桜や西ゆくひとに影ゆれる廣田惣太郎
葉桜や幼き文字の墓標広野光
葉櫻やひゅりり竹刀と踏み込み足広ブロ&新蕎麦・摂田屋酵道
葉桜やウイッグをせず街に出るひろ夢
葉桜にぐわんぐわんと風曲がるフージー
葉桜の影ほのめくに白き画布風慈音
葉桜や軋む扉に油さす風蘭智子
葉桜や落ち着いてゐる本命馬深町明
葉桜の中より碧き闖入者深蒸し茶
葉桜のやけに道路にはみ出たるふくじん
葉桜の犬もゆつくり歩きけり藤井かすみそう
葉桜の完全無欠五日待てふじこ
葉桜や音符のやうな雲の列藤永桂月
ざわめく葉桜探幽の龍鱗伏見レッサーレッサー
葉桜に風吹き抜けて勝ち名乗り船橋こまこ
葉桜や母のつむじの熱の赤舟端玉
葉桜や君が飲んでたラムの瓶風友
葉桜の混み合ってきて昏き芯冬島直
葉桜やザリガニ釣りの子の静か古川しあん
葉ざくらをキネマのようにふりかへる古瀬まさあき
葉桜やブリキのベンツ置き去りに古道具
葉桜の透けて朝陽のウォーキングペトロア
かげあはし葉桜はつばさのしとね房総とらママ
葉桜へ訛りゆうるり市の立つほうちゃん
葉桜や蔭はひかりの幹として黒子
葉桜や半音ずれる駅ピアノ星鴉乃雪
葉桜や白球みがく新部員星月彩也華
海原にゐるやう葉桜のひかり星詩乃すぴか
葉桜や友の相づち歌のやうほしの有紀
葉桜や沈黙にらむ孔雀の図甫舟
葉桜や練習船の白まぶし細川鮪目
葉桜や風は北へ北へ還るポップアップ
葉桜や隣は今日で店仕舞い堀卓
葉桜の光と影をたらい舟堀川絵奈
葉桜や娑婆に没する楽隠居堀邦翔
葉桜や白壁青む昼下り前田冬水
葉桜や余命一カ月の友真喜王
葉桜や開襟シャツに足る時速槇折人
牧場には馬葉桜はさかりかな牧場の朝
葉桜や山車で文楽三番叟正岡田治
葉桜や青あたらしきインク瓶町田勢
葉桜やしづかな初潮の赤きれい松井くろ
葉桜や若き匂ひが弾けだす松井貴代
葉桜や茅葺き屋根へ放水す松浦姫りんご
高遠は葉桜の波青い風松浦のぶこ
葉桜や私は今日もエキストラ松坂コウ
葉桜や犬舎となりし掩体壕松田寛生
葉桜へ溺る遠心急カーブまっちゃこ良々
葉桜の行進LGBTQ松本こっこ
盛り上がる水面は鯉よ葉桜よ松本牧子
葉桜や父似の姉と母似の吾真宮マミ
葉桜や目を閉ぢてなほ青揺らぐまやみこ恭
葉桜やまた過去帳に名を入れり瑪麗
葉桜や初給料の使い途まるにの子
葉桜やしっぽ奇麗な海老フライ丸山隆子
葉桜のどこも澱まぬ要介護まんぷく
葉桜や号鼓の響く試歩の道美衣珠
葉桜へつつかへつつかへの社訓三浦海栗
葉桜や産休明けの副担任三日月なな子
涸びたる蚯蚓よ葉桜のそよぎ岬ぷるうと
葉桜がきらい世界は痒すぎる水須ぽっぽ
葉桜きらきらたましいってあるんだね三隅涙
葉桜や蔭に広げるヨガマットみちむらまりな
葉桜の参道戻りもり二枚美津うつわ
葉桜や道を譲らばお辞儀の児満生あをね
葉桜や「下呂膏入荷」開かぬ店美月舞桜
葉桜の朝わたくしをつくる水みづちみわ
葉桜の旋律を聴く今朝は雨ミツの会
葉桜にはじめてつたふ雨の粒みつれしづく
葉ざくらやいつも未完の私たち南方日午
葉桜や腰椎復帰の勤務先ミナガワトモヒロ
葉桜や実習に教え子来るみなづき光緒
葉桜や埴輪の女子に耳飾り源早苗
右脚よチタンの一歩葉桜へみのけんた
病褥や葉桜を断つ鉄格子箕輪のわ
葉桜の下に鬼ゐてかくれんぼ美村羽奏
葉桜や不審者面の社員証三群梛乃
葉桜やパート代でも買えた土地宮井そら
葉桜のざざざと鳴りて初恋は宮川令
葉桜やOB戦は河川敷みやざき白水
車輪過ぎ車輪過ぎもう葉桜か宮下ぼしゅん
決められぬ進路や葉桜の廊下宮武濱女
葉桜や村に新規の喫茶店宮本モンヌ
葉桜やくるる鉛筆削り屑みらんだぶぅ
葉桜に雨愛猫の三回忌みわ吉.
葉桜や子に奢られたアフォガード三輪白米
葉桜に飛沫をあげよクジラならミンコフスキー
葉桜や今日肩書きを詩人とす夢雨似夜
葉桜や校歌の出だし軽やかに麦野光・広ブロ俳句部
葉桜の夕べ木椅子のストレッチ椋本望生
葉桜の風よせららと陽の破片無弦奏
葉桜と空メトロノーム生真面目むらのたんぽぽ
葉桜がしみて部屋から出られない茂木りん
葉ざくらや静かに夜へ続く坂望月ゆう
葉桜や死鳩にしづかなる土を元野おぺら
葉桜や金賞は平和の絵なり百瀬一兎
葉桜やこんにちワニの読み聞かせ百瀬はな
葉桜や担任の癖見極める森毬子
葉桜や越して来た子もボール蹴る森上はな
葉桜や何も無かりし二十代もりさわ
葉桜さやに朝練の打球音もりたきみ
葉桜は朽ちてさざめく昼の月森太郎
葉桜の空よ僅差の勝ち試合森ともよ
葉桜や綺麗なままのジョグシューズ森中ことり
葉桜や赤子の脚の強き蹴り森の水車
先生も母となるらし桜若葉森葉豆
葉桜やベビーガードに増えし鍵杜まお実
葉桜をやたら褒めゐる人と居る森萌有
葉桜や母と二人の露天風呂諸岡萌黄
ヘルメット葉桜掠め二人乗りもろ智行
ガンダムのプラモが遺品葉桜よ山羊座の千賀子
葉桜や隣の子だなあの声は八木実
葉桜や修学旅行生点呼野州てんまり
葉ざくらや刑場跡の風のこゑ安井千佳子
葉桜やかどをたてずに香炉灰安元進太郎
家まで葉桜階段は二百段八幡風花
葉桜を透かして遠く駒ケ岳山内文野
葉桜や蛍光灯の切れた夜山尾政弘
葉桜や古書の栞に走り書き山川腎茶
葉桜を突っ切って新しい顔山口絢子
葉桜の母子シェルターの昼下がり山口一青
葉桜やそつとひかりの紗を掬ふやまさきゆみ
エプロンの胸に葉桜連れてきた山里うしを
葉桜となりて大きな木となりぬ山田啓子
葉桜や二度目の麒麟怖くないやまだ童子
葉桜や石を青猫舐めており山田はち
葉ざくらよ故人のまつげ太かつた山田蚯蚓
葉桜や猿飛ぶ芸に足を止め山本先生
葉桜や居間をひとりの刺繍針やまもと葉美
いちばんに咲きいちばんに葉桜に山姥和
葉桜や招待状の返信はまだ柚木みゆき
葉桜の葉穴きらきらはしけやし有野安津
葉桜やゆるりと酔へる一人酒宥光
葉桜の陰に工場跡地かな雪子
葉桜は眩しベンチにひとりでは雪音
葉桜や値札のままのハイヒールゆず柴
葉桜をひと月分の雨が打ちゆすらご
葉桜や振り返るたび手振りおり宙美
葉桜や友が忘れし煙草吸う夢散人
葉桜が聴くのは狛犬の記憶湯屋ゆうや
葉桜の影には陰のなかりけり羊似妃
葉桜がほんとの私ですからね横縞
敗兵のごと葉桜に身を預け横山雑煮
びんずる像戻る信濃は葉桜に横山道男
葉桜の色に落ち着く城下町吉田春代
豊かなる葉桜梳くや風の櫛吉藤愛里子
葉桜や老婆もすなるうぶ毛剃り余田酒梨
来た道と同じだらうか桜若葉よみ、ちとせ
葉桜に騙され補助輪外す楽花生
葉桜やアンチテーゼと言ふテーゼリーガル海苔助
葉桜や肘にくひ込むエコバッグ理佳おさらぎ
葉桜やリハビリ室のひしめきてリコピン
葉桜や江戸百景をめくる宿流流
葉桜やその先白き妙高山涼えつろう
病窓は葉桜リハビリは八歩ルージュ
葉桜をくぐり白衣の研究室ルーミイ
葉桜や昼餉の箸の割れる音烈稚詠
葉桜や昼は好みのおかめ蕎麦連雀
葉桜は上司の休暇知っている若林くくな
葉桜の転勤左遷かもしれぬ若宮直美
葉桜やなお失恋を引きずる吾海神瑠珂
葉桜や産土神は骨休み渡邉礼
葉桜や風は葉脈より生まる渡辺香野
旧友のヒジャブ葉桜は燦々渡辺桃蓮
葉桜や白衣の折り目まっすぐに渡邉わかな
素饂飩に七味葉桜が苦い亘航希
葉桜や素振りの竹刀射すひかり笑笑うさぎ
葉桜や猫の手術は15日あややDC
靖国や軍馬の像と葉桜と朶美子
葉桜の閑散巨大駐車場佐々木ヨウジ
朝礼の響く葉桜消防署夏雲ブン太
不機嫌な愛犬とゐる花は葉にEarlyBird
カテーテル尿道にあり花は葉に有本としを
まつさらの横断歩道花は葉に海野青
便箋の文字は少なし花は葉に淡海なおあき
名人の指し手緩まず花は葉に仮名鶫
校舎からチューニングのB花は葉に閑酉
ランナーは時計まはりや花は葉にくずもち鹿之助
前任の名で呼ばれをり花は葉に蜘蛛野澄香
大仏の螺髪は千個花は葉に草夕感じ
言の葉の残る痼や花は葉に仲操
来賓スリッパはみ出る踵花は葉に西村棗
大仏のそびら全開花は葉に沼宮内かほる
昼酒に肩を借りをり花は葉にふにふにヤンマー
葉桜や空に向かって深呼吸橋爪利志美
葉桜や空に向かいて深呼吸丘るみこ
葉桜や雌雄のちがひ鯱に藍野絣
葉桜や一等賞の亡母の書青井季節
葉桜やふるさとは今満開か青砥転典
葉桜や最後の戀のしたたかさ淺井翠
葉桜の終の一輪揺れてをり天海楓
葉桜や飛行機雲はすぐ消えてあみま
葉桜や群るる深さに未来あり杏っ子
葉桜萌え黄泉の扉開く刻粋庵仁空
葉桜や太公望の竿撓る石垣ようせい
葉桜や箪笥にしまふ一張羅イシカワナオキ
葉桜や言い出しそびれたごめんね石堂多聞
葉桜や夢すでに朽ち果てし街石原由女
葉桜や風吹くたびに青空か泉恵風
ふくらみし風音葉桜なりをり一久恵
葉桜が闇を作りて匿ひぬ一秋子
葉桜や課外授業の声弾むいまいやすのり
葉桜や阿武隈川みて智恵子の碑岩佐りこ
川巡りさて葉桜も酒肴かな上原まり
葉桜や枝の曲がりの程の酔宇野翔月
エコーには人影葉桜のテラス江口朔太郎
葉ざくらや敗者復活はかりごと絵十
光合う葉桜の彼方有り触れり榎美紗
葉桜や淋しい季節を思い出す大石聡美
葉桜やとれしチケットはなさない大野美波
葉桜や余命はいくら問ふべきか岡井風紋
葉桜や乳歯投げたる高き屋根小川しめじ
葉桜や朝の玉子かけご飯おだむべ
葉ざくらや砂糖多めの玉子焼き桂もふもふ
葉桜はゆっさゆっさと時を漕ぐ海堂一花
葉桜やホーローびきのオロナミン香依蒼
葉櫻やスクラム組みて祠守桂葉子
高卒の就職気づけば葉桜金澤孝子
葉桜の細胞剝がれゆく青空や木口まり子
葉桜を待つてたやうな孵化の鳥岸保宏
葉桜や鼻の触ればふ蒙古斑北村崇雄
葉桜や孫不登校なるを知る木村かわせみ
葉桜や詰襟の子の声変わり木村となえーる
倒木や葉桜育つ陽の力木村波平
葉桜や人の陰切る剣の道京野秋水
葉桜やラインに乗せる宮古島近未来
葉桜や陛下夫妻の後ろ影ケンG
葉桜の揺れて斑の母の顔郷りん
葉桜や戦地動画のうそまこと後藤周平
葉桜や術後の食欲戻りたり後藤三梅
葉桜や仕舞い酒して鍬を手に木挽町豆奴
葉桜や移住の子にも友ができ小湊八雲
葉桜を照らし葉桜光りけり小山秀行
葉桜や落語一席居酒屋で碁練者
葉桜や己がマニュアル書き足するさち今宵
ざわざわざわ葉桜も止めぬ戦(いくさ)芝歩愛美
今ちょうど葉桜に着替えたところ不知飛鳥
葉桜やリレー応援七拍子白プロキオン
空絡みあつめた欠片葉桜を新城典午
葉桜や始発電車に喜寿ふたり新濃健
葉桜が光の盾に憩う場にすずしず
葉桜や髪を染めれば黒過ぎて主藤充子
葉桜の影にひそむ鬼ひとり全美
葉桜に静けきミサの声挟む惣兵衛
葉桜や何時しか闌けて大姥に多田知代子
祖の墓へ光芒降らす葉桜や田中紺青
零れ落つる月光葉桜の読書灯高橋莉人
葉桜のすき間から見る宵の星tabei白芙蓉
幾つもの空を織り成す葉桜よ千夜美笑夢
「止まれ」の「れ」消ゆ葉桜の通学路彫刻刀
葉桜の下還暦の待ち合わせ辻瑛炎
永眠や葉桜の下したたかにつついぐれちゃん
葉桜や路上ライブの初マイク天童光宏
葉桜が似合ふ男の袖を引く天王谷一
葉桜に成りたくて花落としけりDr.でぶ
葉桜やこの友と居て半世紀登盛満
葉桜や日を選ばずに夫は逝き生天目テツ子
葉桜や友達できた一年生蓮見玲
葉桜の振るふ野外の音楽堂畑中幸利
葉桜の根方に風のむさぼるる花岡淑子
花などがありましたかねと葉桜は花彼岸
葉桜の憂き世のまよひまるでなし花和音
葉桜や古きを広ぐ蚤の市陽
朔のごと葉桜並木空削る向日葵姐@いつき組広ブロ俳句部
葉桜やニ胡の音はなつ白き指平井由里子
葉桜や被災調査やっと来る古澤久良
葉桜の夜の訪問窓こつん古庄萬里
葉桜や初寝返りとLINEあり凡狸子
葉桜に行くと決めたるときに雨森嶋師子草
葉桜やご当地アイドルダンスショー簗瀬美嘉
葉桜やおみなの和む朗読会山河穂香
葉桜や名刺の要らぬ歳となる山崎力
葉桜や地元で逆転負けの夜山本美奈友
葉桜や最終回に急く家路ユリノイロ
葉桜や互いに老けし法事にて陽介山
葉桜や灰を練り染め蓄えるよしぎわへい
葉桜や航跡雲は伸びゆきぬ吉田蝸牛
一通に葉桜込めしポストかな吉野川
葉桜は大地の嘆き吸いて増え四葉の苦労婆
葉桜や兵(つはもの)棲めり一葉(ひとは)ごとらん丸
境内の葉桜のした陣地取りわたなべすずしろ
葉桜になりて二人の友が増え渡部克三度
葉桜や訪ねし庭の子規の家渡邉花
葉桜の木洩れ日やはらべビースリングあ・うん
葉桜にしずく一滴うつす君あいあい亭みけこ
葉桜や光合成の緑濃し相沢薫
葉桜の下に笑いの輪のいくつ愛燦燦
葉桜や刹那のライフ謳歌して会田美嗣
葉桜や木漏れ日縫って走る箱根路あいのびふう
葉桜の見上げ木漏れ日笑みこぼれ逢花菜子
養生の葉桜奥の五重の塔あいりすみちこ
葉桜やデニムの青の大股に葵そら
葉桜や水子地蔵の笑み哀し青空豆千代
葉桜や一年生も打ちとけて大竹八重子
葉桜や黄色い帽子は前のめり青花潜
老いらくの道を違えよ葉桜よ青村秋入
葉桜の葉を透き通る濃き光赤富士マニア
葉桜や繋ぎたかつた手を離し赤尾実果
葉桜に隠れるようにつがひ鳥聰子
葉桜の中のそよ風杖つきて昭谷
葉桜の下ポップコーンひとりじめ空地ヶ有
葉桜となりても心浮き立ちて空き家ままごと
葉桜や村の学校閉校に秋山らいさく
葉桜や木蔭で休む団子売りアクエリアスの水
葉桜揺るボールよいざ天高く朝倉カグラ
葉桜とお墓の見える喫茶室あさのとびら
葉桜や独立告ぐる緑髪浅乃み雪
葉桜の夜のざわめき星も無し麻場育子
皆新た葉桜になりまためぐる朝日きりん
葉桜や恋の予感は勘違い朝日雫
葉桜と君の生い立ち目に沁みて亜紗舞那
葉桜や二歳の駄々に笑み一つ飛鳥井薫
葉桜や御空に響くカンツォーネあすなろの邦
葉桜の下満開の推しの笑みあすなろの幸
葉桜や目元に陰り佳人過ぐあたしは斜楽
葉桜や池へざぷんとママパンダ足立智美
葉桜を透かし見上げて深呼吸アツシ
葉桜や何気ない人遠きとこアッシー
葉桜の根もと踏み締められし土渥美謝蕗牛
聞きなしに声のみぞ知る葉桜よ跡部榮喜
葉桜さらさら凭れかかる迷子アニマル可秘跳
お腹の中パチパチしてるの葉桜アニマルヘム猫
葉桜よこれから友達できるかなあまどかに
葉桜や光と風の遊び場よ天鳥そら
店先の色なき幟葉桜やアマリリスと夢
葉桜や色重ねつつ窓となれアムゼルえりこ
葉桜や鈴音響く石畳雨霧彦(木ノ芽)
山の端の桜若葉に愚痴を言う雨降りお月さん
葉桜や抜けてその先父母の墓あらあらかしこ
葉桜の色こくなりて背中おすあらら
葉桜や読経ひろがり堂に風蛙里
葉桜は風景に溶け平時の来在在空空
葉桜の緑に流るる桃色の血安藤昼行灯
葉桜はふたつの気持ち揺るがすの暗明
葉桜や気づかずにいた碑の上に飯田淳子
葉桜やかつての少女膝痛い五十嵐真人
葉桜は一樹となりて青き山郁松松ちゃん
待ちあわせ今月も葉桜の下池田華族
葉桜となりて優しく風誘う池田炭
葉桜や雲菱形となりて消ゆ池之端モルト
葉桜や陰で日向で虫遊ぶ池谷勝利
葉桜や弘前城は人あまた伊沢華純
葉桜の下で祝った退院よ石井久次
葉桜となって世間に見捨てられ石井秀一
葉桜にはかなき命重ねみゆ石川あきよ
葉桜やここは森でもあったのか石田ひつじ雲
葉桜を愛でる同志で目礼し石の上にもケロリン
添い遂げし喪服の中に葉桜や石原しょう
窓越しの葉桜仰ぐ九十石山知子
葉桜の木陰の道の会釈かないずみ節子
葉桜に吾かさねし朝父偲びいそあまりみつ
葉桜や手を挙げ渡る黄帽子いちご一会
葉桜は私みたいと妹の言う無花果邪無
葉桜をあおぐ背中や初出社五つ星
葉桜や吾子の足裏固くなり一杯狸
葉桜や一人ベンチに握り飯伊藤薫
ギザギザの葉桜危険かわす散歩伊藤テト
葉桜の今なら言える下戸ですと伊藤なおじい
葉桜の緑課は小昼なりにけり伊藤正規
葉桜や自転車押して遠回り伊ナイトあさか
葉桜を摘む指先は薫り増し伊那寛太
肩ぐるましだれ葉桜ハイタッチ稲葉こいち
葉桜や復興急ぐ能登地震井上幸子
葉桜やいつもの道の影の濃し井納蒼求
葉桜となりて歯科医の窓蔭る今井淑子
葉桜や鳩と歩道を渡る朝いまいみどり
葉桜や過去を連れ来る車窓の風伊代ちゃんの娘2
葉桜や幹は無音の時きざむ岩木順
どの木より葉桜は悠然と立つ植田かず子
葉桜の葉のずっしりと無数かな上野徹
葉桜や2番目の夢追いかける上野眞理
葉桜の風切りたての髪揺らす宇田の月兎
葉桜の香のかすかなる雨の宵海月のあさ
たそがれの葉桜映る信濃川梅尾幸雪
葉桜やかげる新聞カラー刷り梅里和代
葉桜やラジオの野球あとひとり梅朶こいぬ
葉桜や隣の家はもういない梅鶏
校庭にあまたの足音葉桜吽田のう
葉桜よ泣かずに乗れた園バスに江川月丸
葉桜の季節幾たび姉見舞いS・葉子
疫病の床に窓の葉桜眩し江戸川ちゃあこ
花おわり誰も見上げず葉桜をえのき絵巻
葉桜や妻子と帰郷来期こそえのき筆丸
父おくる気づけば葉桜月命日榎本奈
葉桜や誰も彼もがお出掛けよえみくれ
葉桜に陽が指し孫も染まりけり遠藤倫
葉桜をひと跳び忍者石垣へ遠藤玲奈
一斉にさわわ葉桜ポニーテール旺上林加
DAYキャンプ葉桜の下タープ張り扇原寛一郎
二千本葉桜進みし弘前城大久保一水
住み馴れし町の葉桜ともに老い大越マーガレット
葉桜や読経の声鳥の声大阪駿馬
葉桜や緑に燃える生命力大島一声
葉桜や学び舎からの歌響き大嶋宏治
葉桜や切株にして洞できて大友さち
ドーランを落とし葉桜ひと休み大野喬
髪切って葉桜並木胸騒ぐ大原妃
休み明け葉桜眩し駅舎かな大原雪
葉桜や喜寿の階段厳しくも大山小袖
葉桜やリード片手に立ち話おかえさき
葉桜やボール追う子等の声高く岡崎未知
葉桜やイソヒヨドリの紅い腹岡田一竿
またひとつ忘れて生きて葉桜よおかだ卯月
葉桜や鳥の飛び立ち我ひとり岡田瑛琳
葉桜や薄紅色を忘れさし岡田恵美子
寂しさをかかえて進む葉桜とおがたみか
蕊散らし葉桜更に緑めく岡塚敬芳
葉桜や昔は引きし手に引かれ男鹿中熊兎
葉桜の木陰をたどる散歩道岡眞弓
ヘルメット触れる枝垂れの葉桜かな岡村恵子
川沿いの葉桜ゆれて雨誘うオカメインコ
葉桜や蒼にすけにしひとりじめ岡本
葉桜のまぶしきほどに発光すオキザリス
葉桜や今松葉杖コツコツとお品まり
葉桜や坊主頭は伸び始め小島やよひ
籍入れて葉桜の下指輪撫づ遅狐
葉桜に母の介護を問ひてみる小田ビオラ
葉桜や嫁ぐ娘は授かり婚小田毬藻
葉桜に想う平和のメッセージお寺なでしこ
葉桜の影に遷ろう我が心十八番屋さつき
葉桜や黒いふたつの実も揺れて沢瀉
二代目が守りし暖簾葉桜やおんころころ
葉桜や花の記憶に重ねけりおんあいす
葉桜をのせて急いだ通学帽械冬弱虫
通りよき風葉桜の下に坐す火炎幸彦
葉桜の陰前湖水波立ちて案山子@いつき組広ブロ俳句部
葉桜か実になる前は赤い星柿本苧麻
葉桜のトンネルの先空映えて影夢者
葉桜に呼ばれし季節清々し梶浦正子
葉桜に息吹みえけり昨日けふかじまとしこ
木漏れ日に葉桜ひかる散歩道和
筆先にたっぷりの緑(りょく)葉桜や風かおる
葉桜に帰らざる日を思ひけり片岡明
葉桜となり逃げるかに退院す帷子砂舟
葉桜や不登校児の慣れた道加藤水玉
まあだだよ。サヤサヤ葉桜そよぎおり叶田屋
葉桜の光の下を君の手と可児真由美
葉桜や弘前城の西の丸かぬまっこ@木ノ芽
葉桜や看護師長のガッツポーズ花星壱和
葉桜やドックの美しき膳漆器神谷米子
葉桜の影静かなる冠木門亀井汀風
葉桜の並木の影を乳母車亀くみ
葉桜や若き命の緑色亀田稇
葉桜によせてはかへす風のおと加山シンゴ
葉桜や制服に染みのひとつあり加裕子
葉桜の下で手を振るまたいつかカラハ
ドライブの葉桜流れ行く生命カワムラ一重
葉桜や友の寛解を祝いをり川村昌子
葉櫻の影ひろがり耒軽井沢樺久美
葉桜や今年二度目の母の杖岸壁の龍崎爺
葉となりて葉桜並木駅も良いkey
再受験ようやく実り葉桜か季川詩音
葉桜や眼に耳に優し散歩道きさらぎ
葉桜をスコートの子らランニング如月ゆう
葉桜や葉裏のそよぎ夢の陰岸野孝彦
葉桜の通学路背は彩いろに岸本元世
葉桜の木漏れ日眩し夜勤明け酒暮
葉桜や店舗跡地の新店舗季切少楽・いつき組広ブロ俳句部
葉桜や碁盤に響く石の音北大路京介
葉桜の下の木洩れ日独り占め北乃大地
葉桜やバーガー食べる媼おり北の星
葉桜や赤子の足に風たわむれる北山美穂
葉桜や次の人生踏み出せり貴田雄介
風に舞う大鋸屑を受く葉桜よギックリ輪投げ
葉桜や弁当箱の握り飯きなこもち
葉桜の見えるベンチに読む句集木下美樹枝
葉桜に遅れをとつてなるものか木村信哉
野球帽の色褪せてゆき葉桜へ木元紫瑛
葉桜の美しきこと甘き雨久えむ茜咲
退院の夫を迎えし葉桜よQさん
葉桜や何時もの時に戻る道清鱒
葉桜は野山に混じる忍者かな喜楽胤
葉桜や快気祝いはマカロンをくぅ
散歩びと葉桜の通端が見えくーかー
野外フェス葉桜の下雨宿り草野紫陽花
葉桜の頃より風の向き変わる草道久幸
葉桜や無言の人の立ち去りぬ久信田史夫
葉桜や樹の下走る車椅子楠田草堂
ほどほどの葉桜あつちこち宴國本秀山
葉桜の陰に小さき墓標かな國吉敦子
隠れ家や葉桜くぐり飼育小屋熊谷温古
葉桜になりて就活終焉す紅三季
友と行く美術館葉桜の道ぐりぐら京子
曲がり角葉桜見に行く人もなし黒瀬三保緑
葉桜や宴のあとの並木道黒田良@しろい
葉桜やせいろで〆る蕎麦屋酒桑田栞
駆ける子ら葉桜越しの雨掴む慶唯
葉桜や遠く部活の声増せり奎星
葉桜のまだ色薄き仕立てかな家古谷硯翠
葉桜の木漏れ日肌に反射すげんきいっぱい
葉桜や制服の襟白し源氏物語
君に似た若き姿か葉桜は輝雲彩
2年目の葉桜過ぎて病気治癒康寿
葉桜や今何してると白い眉幸内悦夫
葉桜となりて街道無渋滞宏楽
葉桜や影行く人の無表情こきん
葉桜や透ける陽プリズム遊歩道ココヨシ
葉桜や漏るる光も瑞々し越乃杏
葉桜や校門跡の校歌の碑小嶋芦舟
葉桜のスマホにのこるニ週前小杉泰文
葉桜や自転車こぐ音こだまして小薗紀彦
葉桜や木漏れ日に吾子手をかざす来冬邦子
舞い散らぬ君は葉桜が嫌い小林共捺哉読
咲き終えたあとの葉桜目が潤小林弥生
葉桜や満員電車に慣れし日々駒形さかつ
葉桜の日陰は優しベビーカーこむぎ
葉桜の下で転がる猫と我コロンのママ
葉桜や宴の後の緑かな西條晶夫
知らぬ間に古家消え去り葉桜にさいたま水夢
葉桜が覆いかぶさる尾奈駅舎齋藤鉄模写
食うてまで愛でたきものか葉桜は宰夏海
葉桜はそよぐ部活の帰り道酒井春棋
葉桜や清々しきか宴後さかい癒香
靴音天 葉桜山に雲低し榊昭広
絶えぬ陽の落差葉桜延びぬ枝坂島魁文
山門を隠し葉桜みどり増す坂田雪華
葉桜や雨を弾いて立ち上がりさかたちえこ
葉桜やスクラムを押す応援歌坂野ひでこ
葉桜や明日は退院できる夫坂まきか
喧騒の宴の跡なき葉桜や坂本千代子
ゲートの日葉桜の下集まりぬ相良まさと
葉桜や家庭訪問蔭を得る咲まこ
納骨し手合わす葉桜の共同墓地櫻井弘子
葉桜や園の泣き声頂点へ佐倉英華
葉桜に彩をつけたる鳥の声桜華姫
葉桜やお喋りのこずえざわめく桜姫5
葉桜の影を踏みつつ吾子駆けり佐々木佳芳
葉桜や子とは切符を軽く持つ佐々木小鉄
先輩風吹かせ葉桜二年生佐々木亮輔
葉桜も見頃ぞと父退院す笹靖子
葉桜や園児ら散りてまた集うさざれいし
葉桜の土手を走りて夢を追うさざんか
葉桜のまぶしき青や影揺れり砂月みれい
葉桜や簪抜いて空に映え薩摩じったくい
葉桜や線香煙る地蔵堂佐藤俊
葉桜の隙間に見える空青し佐藤しのぶ
葉桜やヒトもかつては類人猿さとう隆明
葉桜や花は無くともひとり酒佐藤佳子
葉桜やもう使われぬ車椅子さぶり
公園の葉桜空の見えぬほどさやじゅん
葉桜や手術へ向かう車中なり紗藍愛
葉桜や忘れたという夫の記憶沢井如伽
農泊と落ちし瓦と葉桜と沢胡桃
葉桜にため息つくも青嬉しさわだ佳芳
葉桜やイマジカ跡地再開発澤野敏樹
葉桜や卒寿の義母と墓掃除沢野鬼ぐるみ
葉桜や老木今も若々し沢山葵
葉桜や乳母車から覗く犬三水低オサム
水に写る葉桜のかげ仄暗し塩原香子
葉桜や制服の女児走り抜け四季彩
花しのび緑あざやか葉ざくらかな枝光
葉桜や今は静かな遊歩道じじょう庵一口
葉桜に明日の天気を尋ねけり紫月
葉桜やベンチに一人握り飯実本礼
昔若葉以前は桜今葉桜を愛でる信濃春菜
葉桜にもう言い訳はできません信濃のあっくん
葉桜や来年もきっとここに来と柴桜子
葉桜や憂い事のなくなる日縞子勾苑
葉桜や上着ポッケのエメラルド清水明美
葉桜やリフォーム工事スタート日霜月詩扇
葉桜の色も飲み込み深呼吸霜月ふう
告白の予感葉桜ざわめきぬ十月小萩
葉桜や独り身の子に思い馳せ秀耕
葉桜や杖つく翁風通る秀道
葉桜のひかりとたわむれる鳩よ樹海ソース
葉桜の無数の影とひかりかな十猪
吾子の一歩咲き誇れよと葉桜や獣羅
葉桜や猫の駅長出勤しじゅんこ
葉桜や悩める君の枝毛切る正念亭若知古
葉桜に隠れて手紙下校の途白井佐登志
葉桜の下を通りて太子堂白井百合子
葉桜や揺する風連れ街を出るしろくも
儚さか永遠なのか葉桜よしんなが新月
散るやよし実り育む葉桜や酔軒
隣に大きな切り株葉桜や末広野暢一
葉桜や一年生の声高し杉浦真子
葉桜に婚礼写真つつがなく杉田梅香
葉桜を見上げし空の青さかな杉本誠
葉桜や若き血潮は迸る杉柳才
葉桜やネクタイしっくり結び得て鈴木秋紫
葉桜の下手を繋ぎ老夫婦晴好雨独
廃校の葉桜のなか尊徳も青児
葉桜の路未舗装に雑草もせいしゅう
葉桜やベンチ木洩れ日斑なり勢田清
窯出し迄二時間葉桜と待つ青峰桔梗丘
野良猫や葉桜の下じゃれ遊び星夢光風
葉桜の緑と白の互角なりせとみのこ
葉桜や逞しさを迎えたかな瀬野広純
葉桜や田で泥んこの子らの声そしじみえこ
東屋を覆う葉桜ベーグル屋外鴨南菊
葉桜キラキラ乳母車押す染井亀野
葉桜やかそけき記憶幼き日宙まあみん
葉桜や友は終活友減らし駄詩
ファインダー越しの葉桜輝けり大
静かにて四人ベンチの葉桜や大康
菩提寺の葉桜揺るる妣還る大ちはる
葉桜の道まっすぐに進むなりたいらんど風人
葉桜やぶつかりつ行くランドセル髙田佳典
葉桜や盛りを過ぎし男の子あり高橋基人
葉桜に小鳥遊ぶはかくれんぼ高橋紀代子
葉桜の小径に紅き蘂溜まり高橋ままマリン
葉桜や若き日の父昼寝して田上コウ
葉桜やランドセルはや初の傷たかみたかみ・いつき組広ブロ俳句部
葉桜はしとどに三味のたどたどしたきるか
葉桜や湯気の向こうは月あかり竹内一風
葉桜や図書館集ふテスト前たすく
葉桜や爆ぜる直前ポテンシャルただ地蔵
葉桜や亡き母真似る老いんこ糺ノ森柊
葉桜の土手ペダル漕ぐ靴白しただの山登家
一両列車の上被る葉桜立花かおる
人去りて葉桜の城静かなり田鶴子
葉桜や買い物メモの漂白剤立田鯊夢・いつき組広ブロ俳句部
葉桜や蒸気機関車走りゆく立野音思
雲動く陰の明るさ葉桜の龍義
葉桜となりて落ち着く寺の坂たていし隆松
葉桜や転校し子の絵はがき来蓼科嘉
葉桜の影詰襟がひそひそと田中勲
葉桜やこもれび揺れる桜坂田中ようちゃん
葉桜や影を拡げてひとを呼ぶ谷口あき子
葉桜に遅くなりしを痛感す谷口美奈子
葉桜や風の果敢なし風が生む田上智佳士
葉桜のベンチに一人かつ弁当玉井令子
寿命来ても葉桜はなお鮮やか玉響海月
葉桜や老人多き街となるダメ夫
葉桜やピアノ体験老二人チームニシキゴイ太刀盗人
葉桜の上野に響く時鐘堂竹庵
風の精の舞を垣間見る葉桜智同美月
葉桜や午後の散策武家屋敷千葉睦女
葉桜に振り返らない強さ見る槻島雫
葉桜や我が人生の今のよう月のひかり
葉桜を抜け学び舎へ刻み足月待小石
葉桜の衣に着替え月を見る月夜案山子
いつの間に葉桜になるや退院日辻ホナ
葉桜や山腹日ごと膨らめり辻美佐夫
葉桜や奥本殿の空青く辻栄春
葉桜やネクタイうまく結ぶ朝椿泰文
喧噪を過ぎて葉桜光る朝津幡GEE
葉桜や君去し後の寂し日々鶴梨淵玄
葉桜の風受け謳うケセラセラテツコ
葉桜のトンネルのなか子らの声哲山(山田哲也)
葉桜の色濃くなりて読了すてつねこ
葉桜や校庭響くダンス曲典雅
葉桜やくける半えり半襦袢てん子
葉桜透く白杖の父深呼吸苳
葉桜やレモンサワーの缶を空け東行
葉桜やまた来年と言ふ希望時小町
葉桜や一輪挿しの江戸切子ときめき人
葉桜や葉となりて花の名残る徳庵
葉桜や明日こそ友にあやまろうどくだみ茶
勤め終え葉桜の路緩る歩き德永康人
葉桜を日除にテラス日曜日杼けいこ
葉桜の道や消えゆく霊柩車十津川ポロ
葉桜やあんなにピンク愛でしものを戸根由紀
葉桜やペダル踏む足力込め蓬郷あうる
おぉ頬にしずく葉桜さわさわさわ冨川友香理
そよぎつつ葉桜はみる人の悲喜冨川きよこ
葉桜や藪から棒に悲報来て斗三木童
葉桜や木漏れ日を追ふ庭雀豊岡重翁
葉桜が見送る旅の幼な虫naoki
葉桜やひとすじの傷あざやかになかかよ
葉桜がそっと教える我の歳中澤孝雄
葉桜や観光地図に揺れる影中島葉月
書道展上野の山も葉桜か中嶋京子
葉桜に陽光注ぎ鳥の声中嶋緑庵
葉桜や誰も通らぬ通学路中町太郎晴臣
葉桜やオフィス街にキッチンカー仲間英与
葉桜のトンネル抜けて街明かり中村こゆき
葉桜よ時間会わない腕時計なかむら凧人
葉桜や昼にメザシを焼く匂い中山由
葉桜を光る緑を揺らす風流れ星
葉桜や伝えたかった「ありがとう」渚
結婚の良さ説く父と葉桜と凪ゆみこ
陽を透かし葉桜揺れて風抜ける七五三五三
目を閉じてNと観上げる葉桜の日nothing
式終わり陽射し遮る葉桜なりなつ子
葉桜の岸漕ぎ出づる貴人かな夏埜さゆり女
葉桜や翁句碑追ひ東北へ夏目坦
葉桜はエピローグか始まりか浪速の蟹造
葉桜と幾度目の傷ランドセル菜類ゆいな
葉桜や新制服に子も馴染みにいやのる
葉桜や見つけてをりし散ることと西尾至雲
葉桜や今日も体操始まりぬ西こでまり
葉桜の中に異人の高き鼻西田月旦
葉桜の黒き影踏み医者通い西村小市
待ちぼうけ桜若葉を撫でてみる新田ダミアナ
葉桜やキーパーの股抜けにけり沼沢さとみ
葉桜やカシャカシャ消えてサワサワとねがみともみ
葉桜や珍寿の姿命燃ゆ猫辻みいにゃん
葉桜やどっちつかずの君も好きねこむらさきご
葉桜に朝日新しい季節来根々雅水
葉桜や鉢底石のゐる花壇野井みこ
葉桜は人冷たくもへっちゃらなり農鳥岳夫
蝕のごと葉桜かくす光かな野口雅也
葉桜や湧き出づ緑ガザ想ふ乃咲カヌレ
葉桜や雨にうなだれ水滴落つ野崎文明
葉桜や一攫千金散り散りに埜水
葉桜や登校渋る子の出でし野瀬博興
葉桜の頃にはきりりランドセル野月晴秋
自殺マニアや葉桜に魔笛きく野中泰風
姿なき父探す土手葉桜よ野々かおり
葉桜や卆寿の母の足重く野の小花
葉桜や蔭で園児のおままごと野の菫
葉桜や方を得て飛べ紙飛行機野原一草
葉桜やちょいと仮眠と車停む野原蛍草
ポチも逝き葉桜の園ひとりぼっち延杜
ひらひらと揺れる産着と葉桜や野山めぐ
葉桜のトンネル高し下校の子則本久江
葉桜を眩しく我が身重ねたり徘徊狂人
葉桜の下で始まる紙芝居白山一花
葉桜やカートの園児手を振りぬはごろも856
葉桜や衆目恐れず生きること橋詰彪
葉桜の下で販売旬野菜橋野虎空
葉桜が病窓たたき檄送る波止浜てる
葉桜の影のさざめく夫の背に橋ヒロコ
葉桜や方程式解く浪人長谷島弘安
葉桜の残り香触れる雨のなか畑美穂
葉桜の雫のひとつ優しくて葉月庵郁斗
不規則に桜若葉の幾何模様葉月けゐ
葉桜や交ざる側なる通級の子服部あや
葉桜に寄り添いみれば小宇宙花弘
隠したきこと葉桜に囁きぬ花咲めだ香
葉桜用無し人も来ず虫蜜取り終える花城キヨトシ
葉桜やくちばしのごと蕊一つ花はな
葉桜や空にトンネルお伊勢橋華花開く
送信は葉桜の下日の斑散る花見鳥
葉桜やゆるりと進む赤い傘羽馬愚朗
葉桜や就職した娘明日帰る浜友輔
葉桜や玄関を出ぬ子が笑いはむこ
葉桜やさざ波のごときらめいて葉森木霊
葉桜の下通り抜けイベントへ林めぐみ
葉桜や羽田発着する機影原水仙
葉桜や詰んだ道なら飛んで行こ原善枝
葉桜や退職代行申し込む原島ちび助
葉桜やむせる緑を深呼吸haru.k
葉桜よその若々しさ慰める春風
葉桜の蒼きうるほひ満ちあふるharu_sumomo
葉桜や特急電車通過駅葉るみ
葉桜を抱いて渡るや隅田川はるる
ウォーキング陽光透ける葉桜へはるるん1号
葉桜のピンクの後の緑かな伴田聡
カーテンもソファーも葉桜も緑パンドラみかん
葉桜やプレゼンの朝腕まくりひーちゃんw
葉桜の道を外湯へ下駄の音東の山
葉桜や跡継ぎおらぬ造園屋東原桜空
時巡り枝垂れ葉桜風なぶる東山たかこ
生涯の友と成る葉桜の道匹田小春花
葉櫻や樹皮剥かれゆく丸太杉比企野朋詠
葉桜やリハビリ窓をはみ出さむひぐちいちおう(一応)
葉桜の下で濃くなる影法師ピコリス
葉桜や人は一歩を踏み出すに一石劣
葉桜が過去より今を生きよとふひと粒の種
木もれ日や葉桜眺むる白い雲ひとり雫
葉桜や水筒並ぶ石ベンチひなた和佳
葉桜の周囲主役は子に移りひな扶美子
寝ぐらへのひととき葉桜に遊ぶヒマラヤ杉
また巡る新し命葉桜にひまわりと碧い月
人の世の縮図の如し葉桜よひめのつばき
葉桜に落胆隠し酒を呑みひめりんご
葉桜やざわめきを背に靴鳴らす日吉とみ菜
葉桜や風が滑りて吾子の笑み平岡花泉
葉桜や術後リハビリ二歩三歩平林政子
葉桜の坂降りて来し乳母車平原陽子
葉桜の小径鼻歌騒ぐ鳥平松一
葉桜や雨に濡れてもたくましく平本文
葉桜の光を浴びてまた一年昼寝
葉桜の光連なる太鼓橋浩子赤城おろし
行き違う葉桜道の猫車広島立葵
葉桜や見知らぬ街へ旅支度琵琶京子
葉桜の散りて猶立つ香りかな琵琶湖亀
葉桜に頬やや白し妻退院風泉
人の波消えて葉桜すがすがしFUFU
葉桜や富士のお山の青う見ゆ福井桔梗
葉桜の勾配ユンボ中休み福田みやき
葉桜の並木いきいき川の音福ネコ
想ひ人はもう逢へぬひと葉桜や福弓
おいでやす葉桜の影踏む烏ふくろう悠々
葉桜や登園の子はもう泣かず武幻琵離吾
葉桜や庭掃く僧の腕まくり藤井眞みこ
仰ぎ見る空いつぱいの葉桜よ藤丘ひな子
葉桜に白湯味はふ一口目藤川鴎叫
辞書を引くめぐし胴吹き葉桜や藤倉三希子
鳴響く厳つ霊葉桜を蹲む藤咲大地
葉桜の風は再出発のベル藤里玲咲
葉桜やゆらゆら揺り籠育児中藤沢・マグネット
葉桜や降る陽矢のごと花のごと藤白真語
葉桜や髪ほどく手に降る光藤原涼
葉桜や心変わりの風さわぐ藤本だいふく
葉桜の葉の透き間より青き空藤原訓子
葉桜にひこうき雲の赤きかな藤原素粒子
葉桜やまたも記念日忘れをりフタバ凛
遊歩道ウチの葉桜見納めて二見歌蓮
葉桜となりて肩の荷下ろしけりふみづきちゃこ
葉桜や静けさもどる団地庭古谷芳明
キャンパスの葉桜失恋の葉桜豊後のすもも
葉桜やうねくる風に裏表文屋純子
葉桜を照らす朝日は応援歌ヘッドホン
ペダル踏む迷いの先は葉桜よベニヤサン
葉桜や転移癌から放たれてべびぽん
葉桜や切子とジンを公園に鳳凰美蓮
葉桜や夕日に映えし鳥の声望月
葉桜となり段葛早足に峰晶
葉桜やひと月前の声を聴く宝松苑
葉桜やオープンカーにロングヘア暮戯
葉桜の良き風推され五里六里墨純
葉桜や転校生の髪かざりほこ
葉桜やそれでもそこにただそこに星雅綺羅璃
葉桜や手間をかけても代行屋星善之
葉桜や陋屋を訪う人も絶え細葉海蘭
葉桜よ私にも七歳のときほたる純子
病室の母の見つむる葉桜や牡丹ゆり
葉桜や虫の鬨空に満つ堀隼人
葉桜や来春向けて枝伸ばす本間美知子
葉桜が心変わりの君に似て本間滋之
葉桜や若やぐ媚薬纏う吾子舞矢愛
葉桜や二時のランチのしづかなる牧茉侖
葉桜に追加合格燃え盛り眞熊
ポジティブを吸って生まれたての葉桜まこと七夕
葉桜や赴任先では1DKまこもじゃる
葉桜よ君の名前も聞かぬうち雅蔵
よく喋る店主のプラン葉桜よ眞さ野
葉桜や江ノ電路面走り行く増山銀桜
葉桜のすき間の風に一呼吸町屋の日々輝
葉桜に白きスコート翻り松井酔呆
葉桜に我が身を置けば尚寂し松井英雄
葉桜や俺は黄桜常温で松井政典
葉桜を見る来年が来れば良い松岡玲子
葉桜は場所の記憶に因りて在り松岡拓司
葉桜の木漏れ陽の径手を繋ぎ松尾祇敲
葉桜のパステルカラー深呼吸松尾老圃
葉桜や門球勤む黙の口松風花純
葉桜のトンネルくぐれ風やさし松沢ふじ
葉桜やファーの一声隣から松平武史
葉桜となれば振り向く人もなくまつとしきかわ
葉桜やかの日この道亡き夫と松永好子
葉桜や電車乗り換えスムーズに松野蘭
葉桜やチューインガムはあと二枚松宮百合子
葉桜も圧巻なりし嵐山松本俊彦
葉桜やプロパンガスを降ろす音毬雨水佳
葉桜や友の墓にも風そよぐ真理庵
葉桜の空を塞ぎてさらに伸ぶまりい木ノ芽
葉桜に別れを告げて飛行する丸山よし子
初々しき葉桜のした歩みけり三浦ゆりこ
靴ずれをこらえる葉桜の下で澪那本気子
葉桜とスカーフ派手な探偵と帝菜
葉桜に駆込み寺や整骨院三上栞
葉桜や帰郷の息子抱きとめるみかりん65号
葉桜や影も光も同窓に三雲萠永
葉桜やきっと幹撫づ笠智衆三茶F
葉桜の道の眩しき後姿よ三崎扁舟
葉桜や免許返上決めた父MR.KIKYO
葉桜や駅の古木に途中下車水谷未佳
葉桜の軒に園児の寝顔かな三田忠彦
人消えし葉桜並木缶二つ巳智みちる
葉桜に夕日色濃く紅を添へ光月野うさぎ
葉桜や光の騒ぐ雨あがりみづたま
葉桜や癲癇持ちの犬クルクル満る
葉桜や校庭駆ける子らの顔湊かずゆき
葉桜や光透かして濃く薄くみなみはな
葉桜や木漏れ日背負い歩く犬見屋桜花
学童を終えて葉桜駆け抜けて宮坂暢介
葉桜やプピプピプツピと靴が鳴る宮部里美
目に清し揺れる葉桜越しの青深山柚仁
一年生蹴る球受くは葉桜や美山つぐみ
言へぬこと葉桜になら話せさうみやま千樹
ういういし風にささめく葉桜よ宮村寿摩子
葉桜にラ・カンパネラ風とほる妙
葉桜の揺れてる影の独り占めムーンさだこ
葉桜のいはくかんざうをやすめよ麦のパパ
葉桜やリルケを開く少女在り無月秋扇
白杖の君にさざめく葉桜かな武小川寿歩
風はらむ葉桜の道歩幅伸び霧想衿
葉桜を愛でるあなたよ友と呼ぶ睦月くらげ
葉桜の溢るる窓に鼻寄せむ村上の百合女
葉桜や騒きしあとを路地の猫紫小寿々
出迎えは桜若葉や新天地村先ときの介
葉桜は序章ラストは主演女優村田玉うさぎ
葉桜や五ヶ月振りのショートヘア村のあんず
葉桜の古木は鳥を抱きをり暝想華
葉桜や曾孫生まれし婆二人恵美笑
葉桜や遍路道にも影落とし恵のママ
仮名筆を置けば葉桜盛んなり目黒智子
葉桜やひかり透かしみる喫茶店目黒千代惠
葉桜の葉擦れのシャワー急ぐ帰路メディックス千里
葉桜や告白できず帰る道めでかや
葉桜よ犬とストレッチ・ジーンズメレンゲたこ焼き
葉桜や六十歳のプチ決心毛利尚人
来年もきれいに咲けと葉桜は元村幸月
葉桜に重ねし心解き放つ樅山楓
葉桜や少年たちの声変わりmomo
葉桜の土手喧騒の跡もなし桃香
鉄匂う桜若葉の中心地桃園ユキチ
葉桜の校門潜れず不登校森佳蓮
葉桜や三つ連なるランドセル森佳三
葉桜や雲の切れ間も近づけりモリコリゴリ
葉桜やお世話になった車椅子森茂子
小京都の城葉桜の翳り森日美香
さわさわと葉桜心に深呼吸森茉那
葉桜の雨を呼びたり飛鳥山もりやま博士
葉桜の木漏れ日きらり鯉ゆらり矢車草
葉桜になりても戦終わりなき矢澤かなえ
病窓に葉桜見るや三回目矢澤瞳杏
静寂の葉桜まぶし能登の駅安井清純
葉桜や尾を聳やかす初老猫安田伝助
葉桜のすきまの光けんけんぱ痩女
葉桜の道に落ち着く人見知り八手薫
愛猫の介護気付けば葉桜や柳井るい
公園の役目果たした葉桜よやのかよこ
葉桜の緑眩しきカフェテラス山内泉
葉桜の候二輪車の上にしたり顔山内悠生
葉桜となりし小径を図書館へ山川たゆ
葉桜のトンネル抜けて社会人山川充
葉桜や呑兵衛どもが夢の跡山口
葉桜や陽光浴びてうたた寝か山口笑骨
葉桜の橋渡り来しまれのひと山口愛
葉桜や見届けて行く赴任先山崎かよ
葉桜や匂ひ寄りそふ娘の手山下義人
走り出すスキップの子も葉桜ややましろあきこ
公演日葉桜越しに見る朝日山育ち
葉桜や褪せゆく吾の髪に映へ山田季聴
葉桜のざわめき止みて雨ぽつり山田翔子
葉桜が自立し日数教えたり山田はつみ
葉桜や雨にぬれてもハミングに大和杜
葉桜や寿司をとろう父米寿山野花子
葉桜やタクシードアを開け放ち山野麓
囁かぬ晴れの葉桜紅き溝山本八
葉桜の下にあったね赤ポスト山吉白米
葉桜になり華やぎし道もさみしけり雪兎
葉桜やどこにでもある樹となりぬ柚子こしょう
葉桜や朝練の声軽やかに柚木啓
雑草と会話夙川の葉桜夢一成
葉桜や鳥居へと参道しづか陽光樹
校庭の葉桜の下傘さして夜香
葉桜や只過ぎゆける人の波横井あらか
葉桜やゴールドの免許更新横須賀うらが
葉桜のトンネル駆けてくるは君横田信一
ビッグマックセット葉桜ありったけ横浜J子
吟醸があふるるグラス葉桜や横浜順風
葉桜や鳥の鳴く声吸い込まれ横辺理
山間の葉桜となり消え失せぬ横山
葉桜や調整池の散歩道吉田かのこ
葉桜や谿を眼下の橋の央吉武茂る
葉桜の香すがしい帰り道吉富孝則
葉桜の色絵の具には無い色と知る吉成小骨
葉桜や膝上の猫いと重しYoshimin空
葉桜や満開もみて散るもみるよぶこどり
葉桜や「みっちゃんあそぼ」言えたみち楽和音
葉桜や透かし絵のごと煌めきて立香
葉桜や光と影の一夜城柳絮
モザイクの光きらめく葉桜の下瑠璃あさがおT
葉桜や木漏れ日散らすアスファルト麗詩
葉桜や飛行機雲の端見えてわかなけん
葉桜の日の斑を纏ひ嬰児立つ若林鄙げし
葉桜に姉と姪との映画館わきのっぽ
葉桜や事務職から営業職和光
ひと言が過ぎて散る仲葉桜やわたなべいびぃ
近づけば騒ぐ葉桜見て見て見てと渡辺陽子
葉桜の下にバス待つベンチありワヨ
初恋は散るのがよろし花は葉に岡井稀音
君をまだ「さん」づけで呼ぶ花は葉にクラウド坂の上
花は葉に帯状疱疹癒へし爾後こひつじ@QLD句会
両親の戒名に「青」花は葉に小藤たみよ
雨音はモスキート音花は葉に綱川羽音
花は葉に緘黙の同級生野点さわ
恐竜を脱げば祖母の手花は葉にろまねす子
あたらしきあだ名にも慣れ花は葉に朝月沙都子
花は葉に自宅療養明けの朝あなうさぎ
花は葉に古民家に住む新婚さん鶴富士
旅先に人の日常花は葉に姫川ひすい
新しき靴も馴染て花は葉に神酒猫
- 夏井いつき先生からの一言アドバイス
-
●俳号のお願い二つ
①似たような俳号を使う人が増えています。
俳号は、自分の作品をマーキングするための印でもあります。せめて、俳号に名字をつけていただけると有り難く。共に気持ちよく学ぶための小さな心遣いです。②同一人物が複数の俳号を使って投句するのは、堅くご遠慮下さい。
「いろんな俳号でいっぱい出せば、どれか紹介されるだろう」という考え方は、俳句には馴染みません。丁寧にコツコツと学んでまいりましょう。※同一アドレスからの投句は、同一人物と見なしております。
俳句の正しい表記とは?
- 緑と ピンクといえば 葉桜匿名希望
- 葉桜に 愛する人を 裏切ったギザギザ仮面
- 葉桜に 菓子思ひ浮かべ 立ち止まるグンパツ
- 葉桜を 見つめて思う 翌年をしげ3
- 葉桜で 埋めてください 空いた穴田中恭司
「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪
●兼題とは
- 花軸を落としさっぱり青葉かな政雄爺
本俳句サイトでは兼題が出題されています。この句は、葉桜のことを詠んだのだとは思いますが、「葉桜」ではなく「青葉」の句になっています。兼題「葉桜」とあれば、「葉桜」を詠み込むのがルールです。
●「花は葉に」
兼題「葉桜」ですが、「花は葉に」での投句も相当数ありました。歳時記によって、「葉桜」の傍題として「花は葉に」を載せているものもあるようです。
これは全くの個人的見解ですが、「葉桜」と「花は葉に」は、感動の種類が違うと考えています。兼題「葉桜」とあれば、まずはこの季語と真っ向勝負をしてみることが、季語を一つ一つ体得していくことに繋がります。
●季重なり
葉桜に夏の気配を滲ませる村田真
葉桜の影涼し日に出る散歩江蓮蒼月
涼しさよ照られて漕いで葉桜へ村崎山藤
葉桜や緑の土手の水涼し焼津昌彦庵
葉桜や毛虫垂れたり風任せ山本蓮子
葉桜の波間を游ぐ吹き流し梶浦和子
花ごろも透かし見る葉桜の空カズ・ハヤタ
今からね紫陽花咲くよ葉桜さん菊野ぼたん
葉桜や朝露浴びてウォーキング月昭
葉桜なり桜堤も草刈りの音さち子
葉桜はツツジ乱舞の幕間かな白梵字
葉桜やメジロは楽しく蜜をすい山下重夫
葉桜や影にひっそり名残花おみ澤おみそ
開花日の初戦今日葉桜の最終戦多胡蘆秋
葉桜になって惜しむは花筏春爺
一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「葉桜」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。
●文字化け?
葉桜や声に素振りに?風弥栄弐庫
葉桜の蔭ゆら?と千種かな岡崎佐紅
二句目は「ゆらゝ」? かもしれませんが、ネット俳壇における文字化けは不可抗力……。
●悩ましい……
- 母を待ち伸ばす指先に豆葉桜鮎風母
「豆葉桜」とは? 豆桜が葉桜になったということ?
- 葉桜の風をあつめて片恋慕げばげば
「片恋」「横恋慕」はあるけれど「片恋慕」は言葉としてあるのかなあ? 歌のタイトル? 造語?
- 葉桜や山に移りしかみひとえ松尾美郷
「かみひとえ」は「紙一重」???
- うす桃を葉桜とせし恋月夜光野フウ子
「うす桃」色? なのに葉桜? 「恋月夜」も解釈に悩む……。
- 呪文ごと葉桜に降る残照のおぼろ月
「呪文ごと」は「呪文とともに」? 「呪文のたびに」? それとも「呪文のように」?
- 葉桜や最前列へビート浴むかいぐりかいぐり
「ビート」は音楽? バタ足? 「最前列」とは? うーむ……。
- はざくらがうなずきあふやちぎのうえ杉浦あきけん
「ちぎ」とは 千木? 地祇? 痴戯? 日本語は同音異義語だらけ……。
お待たせしました!5月の兼題「葉桜」の結果発表でございます。今月も夏井先生からの「今月のアドバイス」は必見です。俳句ごとにそれぞれ喜怒哀楽があるのですが、「葉桜」という季語がすべてをどこか爽やかにしてくれるなと感じました。俳句を7月の兼題「水着」もふるってご応募ください。(編集部より)