夏井先生のプロフィール
夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。
12月の審査結果発表
兼題「狩」
「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。
神の名の沢に狩の刃雪ぎけり
澤村DAZZA
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夏井いつき先生より
「雪ぎ」は「そそぎ」と読みます。この場合は、水で汚れを洗い落すことを意味します。狩りを終え、谷川まで降り、獲物にトドメを刺したナイフを洗っているのです。
「神の名」のついた沢の近くでの狩猟は、いたずらな殺戮ではなく、本来の「狩」の意味を持った行為。その肉や毛皮を売ること、獣害から作物を守ること、それらは人間が生きるための止む負えない行為ですが、命を狩ることには違いありません。「神の名」のついた沢の冷たい水で雪ぐ「刃」は、命の遣り取りへの呵責や祈りを象徴しているようでもあります。雪が降っているわけではないのですが、「雪」の一字によるサブリミナル効果が、この作品を下支えしているようにも感じます。
糞追うて糞追うて糞続く狩
けーい〇
足跡と糞を追うのが狩り。「糞」を三回、「追う~追う~続く」と動詞を三つ重ねることで、季語「狩」の現場を描き出しました。「糞」しかないのにこのリアリティ! 思い切った技法を誉めたいです。
猪狩や無線ぷつぷつ告ぐ目方
岸来夢
「狩」の現場の「無線」を詠んだ句はそれなりにあるのですが、「ぷつぷつ」のオノマトペが巧い。「猪狩」と明確に獲物書くことで、下五「目方」と呼応させる判断も実に的確。確かな作品です。
曇天に血の湯気白し勢子の声
加裕子
季語「狩」の傍題「勢子」を使った一句。「曇天」の灰色、「血」の赤、さらに獲物の血からあがる「湯気」を「白し」と敢えて強調する判断が秀逸。下五で狩猟の現場が生々しく立ち上がってきます。
狩終へて銃口水を欲しさうな
さくさく作物
狩りが終わった銃口は、まだ熱を帯びているのです。かなりの数の弾を撃ったのかもしれません。下五「欲しさうな」は猟銃の擬人化でありつつ、狩人の心情にも及んでくるようで、巧い展開です。
傷々を獣の名で呼ぶ老猟夫
空野兎
季語「狩」の傍題「猟夫」は「さつお」と読みます。傷々を「獣の名」で呼ぶとは? と思った瞬間、「老猟夫」が出現する語順の巧さ。獣の名の傷の一つ一つが歴史であり名誉でもあるのです。
熊笹に狩のナイフの血を拭ふ樫の木
狩の銃提げて車道を皆猫背蒼空蒼子
狩解禁老斑の手にガンオイル斎乃雪
狩の宿松竹錠に月あかり藍野絣
狩人の目に泥濘の蹴爪跡青居舞
牛丼を両手に提げて狩の夜葵新吾
弾だってただじゃねえしな狩は糧青井晴空
此処其処に陽の骸あり狩の宿青田奈央
今朝の町内放送聞いたか狩青に桃々
糧食はカップヌードル熊狩へ赤間勇
饒舌の猟夫にはかに押し黙る赤松諦現
狩のあと奇麗事など唱えけり赤馬福助
山風の吹き残したる狩場かな赤間学
浮き沈む茅場のいぬや狩の笛acari
たたはしき山神のこゑ狩の黙明惟久里
猟にチワワ連れてくる奴があるか馬鹿秋沙美洋
狩たのし俺は地獄へ行くだらう秋野茜
狩り日和北の巨人に会いに行く彰乃泉
身体重心位置低き日を狩あきののかなた
狩らんとせる視線に逃ぐる獲物かな秋吉孝治
獲物の網膜に焼かるる狩人朝雲列
土塊へ砂利へ河原へ狩の雨朝倉カグラ
血のにほひして猟犬の名の優し朝月沙都子
角笛を先頭にいざ狩ゆかむ淺野紫桜
夜興引やまだ義経は生きてをるあさのとびら
猟師小屋山の仕事は終わりけり麻場育子
猪狩りて掻き出だしたる腑のぬるみ芦幸
狩小屋のぐるり獣の皮干せりあずお玲子
狩り終へて犬と分けあふメロンパン梓弓
熊狩られゆるりと開く掌あたしは斜楽
祖母に似し目尻の鹿よ狩の夕足立智美
撃鉄に触れば罅入る朝の狩りあたなごっち
狩小屋の雑魚寝二人の深い息新子熊耳
臍裏の痒き一撃狩始むat花結い
すれ違ふ火薬の臭ひ狩の犬天晴鈍ぞ孤
狩人や正ちゃん帽に火薬臭渥美こぶこ
筋肉のうねり風上の猟犬天風
揚げ板に鳥並ばせて猟夫来るあまぐり
狩に出れば人家有りとの注意書き数多未完
猟銃を十字架のごと背負い行く雨戸ゆらら
ぱんぱんと柏手狩に入る山へあまぶー
狩のファンファーレ森は不協和音アマリリスと夢
鎮魂歌めく銃声や狩の夜あみま
レティクルに視力を合わす狩り前夜雨霧彦@木ノ芽
獲物狩る心拍数は百五十雨李
鮮鮮と狩場の雪にぬぐふ鉈綾竹あんどれ
走れ走れ走れ先祖は狩りの犬あやや
狩の犬伐採音に首をあぐ荒井類
山峡の蕎麦屋の亭主狩自慢あらかわすすむ
一瞬の森のどよめき猟銃音新多
銃口の昏きひずみに狩られけりありあり
黒麺麭を齧りて狩の小休止アロイジオ
片耳の猟犬猛る獣道安春
狩に出て獲物の視線に射抜かれる飯田淳子
花を手に狩人は畜魂の碑へ飯村祐知子
一頭の重たく温く狩の暮るいかちゃん
狩られる鹿の目クリストファー・ウォーケンの目いくみっ句
早朝の狩昼呑みのアキレス腱池内ときこ
狩終ふや早暁妻を掻き抱く池之端モルト
臓物をうづめ狩場は地のいきれイサク
枝を踏む音へ猟銃定めけりいさな歌鈴
狩人のいただきますといふ弔辞石井一草
山神の機嫌伺う猟師かな石岡女依
狩に来る見慣れた道の赤々と石崎京子
早立ちの猟夫舐りぬ神の塩石塚彩楓
猟終へて空薬莢に書く日付石橋可秋
森被う空破りたる狩の音石原由女
狩の朝の小十郎が向う意気和泉攷
狩人は地へ還りゆく血をじつと石上あまね
狩の手や鉄の臭ひは血の臭ひ板柿せっか
ぶな林の炭焼き小屋に狩の跡いつかある日
狩の道瞳の濡れし鹿を背に和泉明月子
猪倒れ狩場の殺気抜けていく伊藤亜美子
磔刑の熊が数匹狩の宿糸川ラッコ
兎狩湯気たつ腸を雪に埋め井中ひよこ号
獲物なき肩や猟銃重さうな伊奈川富真乃
狩仲間仕止めの合図缶コーヒ稲葉雀子
土偶みな女神猟夫の腕太し稲畑とりこ
地に還るべき歳なれどなれど狩居並小
血を嗅ぎて猟犬の目の裏返る犬山裕之
肝臓のあたりを狙ふ狩の弓井納蒼求
谷の狩一度の音の弾みかな伊吹はたき
猟犬は目を三角に嗅ぎ回り井松慈悦
狩の犬今日も怯えて土間の隅今西知巳
羽音立つ尾骨に残る狩の記憶今村ひとみ
ぺつたりと山に張りつく猟銃音妹のりこ
寝息さへ殺して狩の夜の更けて伊予吟会宵嵐
猟犬を背負いて渡る森の沼入江幸子
夜興引や息殺しても息の音五郎八
猟銃は山へ恭謙なる波動磐田小
鼻水をすすりて鹿を狩り逃すいわつよ8
川風の荒れる気配や狩の宿 岩橋春海
猟筒を握れる指のネイル赤ういろ丑
狩の宿マタギ支度の湯呑み酒植木彩由
獣の身が土間にごろごろ狩の家上埜嘉子
狩人の旅の初めの祈りかな上原淳子
狩の犬分厚きべろを辿る湯気うからうから
狩の肉持て来し叔父の脂足うさぎまんじゅう
夜つぴいて軋む太梁狩の宿宇佐美こころ
狩人と知りて敬語となりにけるうつぎゆこ
狩の檻泥白く血は黒く乾く靫草子
銃身の余熱や狩の帰路近し宇野翔月
狩終へて土産に捌く肢一本海野碧
触る毛の思はず硬き狩の犬梅野めい
狩あまた彼は妊婦の夫である浦文乃
ずつしりと肩に受けとむ狩の空浦野紗知
一直線上に獲物や狩の犬吽田のう
足跡の乱れて狩りは終わりけり江藤薫
靴紐を固く短く狩の祖父江藤すをん
聳え立つ柱状節理狩銃音えりいも
獲物なき狩の夜明けて山飄飄えりべり
狩終えて紫煙にむせぶ老爺の背遠藤百合
狩の森ガチャリと罠の走る痛み櫻月風香
欹てる耳老いてなほ狩の犬淡海かこ
猟銃の二瓩そびらに実に重し近江菫花
土間の隅古き毛布に狩の犬おおい芙美子
猪狩や地蔵の守る沢の水大小田忍
軽トラの獲物湯気立ち狩終る大谷如水
銃声も口も鼓動も乾く狩大槻税悦
禁煙せし猟夫の太き足山へ大津美
巻き狩りの雪を蹴散らし昭和の子大野喬
夕星や残影赤き猟夫の眼大庭慈温
夕狩や一羽抱えて駆け下りる大原妃
狩終えて骨身に染みる立川そば大原雪
山に入り猟夫鋭き貌となる大村真仙
捌きゆく肉の色なす猟夫の眼岡井風紋
狩の闇退かば近づきくる何か可笑式
狩終はりだらり湯気たつ犬の舌岡田雅喜
狩の朝力みなぎる犬の尻オカメインコ
風の中狩人の目のさびしさう岡山小鞠
なま甘き狩の獲物の血の匂ひ小川天鵲
山風は心を銀に狩の宿小川野棕櫚
裂きて血の息吹賜る狩の肉おきいふ
投薬二分生き生きと狩のことオキザリス
狩解禁告げる放送風に飛ぶ奥の昼行燈
住み慣れた集落に狩が始まる小栗福祥
駆除なれど山に一礼狩の朝おこそとの
狩果てて山のたましひてふ骸オサカナクッション
兎狩りカレー粉いつも赤い缶乙華散
茶柱が二本の朝を狩へ行くおでめ
猟銃の爆ぜて群鳥つんざきぬ音のあ子
猟銃の星の爆ぜたるにほひかな音羽凜
一瞬にこもれび乱る猟銃音おひい
狩の音や黒き犬らの耳の向きおぼろ月
猟銃の油照かりや明日は雨海音寺ジョー
大伯父の手の厚かりし狩のあと海瀬安紀子
心臓はどくどく狩るまでの静けさ快晴ノセカイ
体温の消えゆく狩や獣道灰頭徨鴉
猟銃の形の残る右手かな海峯企鵝
甲高き猟銃の頑是なき暴風火炎幸彦
熊胆を吊るす猟夫の次は医者果音
手負いの猟犬を残して山下るカオス
羆撃ち臓煮る狩人の火照り案山子@いつき組広ブロ俳句部
玉子かけ山盛りごはん狩りの朝風花美絵
板長の狩の腕まへ味噌仕立て葛谷猫日和
猟銃をさげる老婆の微笑かな加世堂魯幸
猟犬の咥えし鳥の首だらり風ヒカル
愛犬の血筋自慢や狩の宿加田紗智
猟犬や指示待ちの背の斑の美し花鳥風猫
狩の朝父は白飯かっ込みぬかつたろー。
犬の背の創の深きや狩の小屋克巳@夜のサングラス
屍を並べて満つる狩の午後桂子涼子
罅割れの手に猟銃の親しまず加藤ゆめこ
正中を穿ちて今日は狩を終へかなえの
猟銃の音の短し山清ら河南朴野
狩の音と雨の匂ひは山より来かねつき走流
マタギとして生くる覚悟の而立かな釜眞手打ち蕎麦
噴煙は悠々猟銃音の空神長誉夫
囲炉裏ばた狩の名残の熱気あり紙谷杳子
狩仕舞こんやは雪になるだろう白鳥古丹
心臓を叩く銃声狩さなか亀田かつおぶし
猪狩の成果表示の広報誌亀田稇
ぱらぱらと屋根へ散弾猟期入る亀山酔田
狩猟区は防風林の三里北唐草もみじ
くらやみへ猟夫が弓を引く五秒加良太知
猟銃音ざざめくを吸ひ空きれい果禄
森をゆく猟犬の矢印めきて川越羽流
祖父に吾に林をぬって狩の犬川村記陽子
シャツ襟の獣毛二本狩の夜川村湖雪
山ひとつ揺らして狩の音消ゆる河村静葩
初めての狩銃砲店の中古銃カワムラ一重
猟銃音北の都の昼下がり看板のピン
猟銃音腕の痺れや一発目紀杏里
狩の宿表彰盾のうす埃喜祝音
狩りの宿後部座席の獣臭キートスばんじょうし
名人の狩に持たせる握り飯菊池洋勝
猟銃の響きて森のまた眠る酒暮
狩の日のバイクに繋ぐ犬5匹季切少楽@いつき組広ブロ俳句部
黒鉄や狩の水面の陽は乾き北野きのこ
熊狩の伯父の仏前肉5キロ北の36号
止め刺し狩られし息を見据ゑをり北藤詩旦
尾を切りて猪狩の果と数へけり北村崇雄
王の狩下僕の鉦のけたたまし北村修
一瞬に耳の立ちをり狩の犬北村礼子
猟人の煙草かすかに湿りたるきなこもち
日の沈む音聞こえたか狩の犬城内幸江
狩語る義父の目の底のない淵木下桃白
狩終へてマタギ勘定の輪にをり木ぼこやしき
猪狩りや四肢縛る顔汗みどろ木村かおり
後席に少女助手席には猟銃Q&A
散弾を掻き出すまでの兎狩杏乃みずな
縄文の狩場に星の降り注ぐ教来石
熊皮の謂れを語る猟夫かな清瀬朱磨
狩は明日着信音のファンファーレ清永ゆうこ
ゆつくりと鋏を研ぎし狩の夜ギル
上京の靄を猟夫とすれちがふ銀紙
糞割れば湯気ほのかなる狩の朝ぐ
狩の朝「頂きます」の声静か朽木春加
狩人の歌声の存外高くぐでたまご
猟犬のたぎる血おさへしづかなる工藤悠久
雪を噛む漬物うまき狩の宿熊谷温古
星生まる深山の谷の狩場より倉岡富士子
いくたびも狩の死臭を拭ふ夜倉木はじめ
狩の宿洗えど腸の臭ふ指眩む凡
柔らかき腹を地に這ひ狩の犬栗の坊楚材
猪狩や初めただただ潜むだけ空流峰山
猟銃の重み冷たき枕元くんちんさま
銃声の射抜く狩場のど真ん中恵勇
怖れ忘るる狩りよ熊喰いの犬欅山四十八景
猟犬の一声月食はじまらむ健央介
さしたる獲物なく青空を狩り帰る元喜@木ノ芽
軽トラの脚出る荷台狩の宿紫雲英
夜咄は異類婚姻狩の宿ケンG
膝の子の手よ狩終へし手を重ね剣橋こじ
靴底ぐぐぐ父と最後の狩の山小池令香
猟犬の息生ぬるく無臭なり公木正
雉を狩る瞳孔開きまだ温い紅紫あやめ
猟期来る日の出日の入り一覧表幸田柝の音
猟銃をかまへて人といふ獣古賀
狩人のカップラーメンまだ温し五月ふみ
急斜面駆け降り切れぬ狩の息古賀未樹
篝火に一献手向く狩の夜古烏さや
引き金を引くたび重く狩の森こけぽて丸
猪の返り血べとり狩の犬小笹いのり
猪狩や荷台に座る犬のクロ小嶋芦舟
猪狩りの爺の訛りの生臭くコスモス
追い詰めし猟師たじろぐ狐の目来冬邦子
猟銃を撃つ隕石は星を撃つこなねこ
前傾の眼は一点を狩の犬このみ杏仁
吾の影猟銃音に撃たれけり小林昇
狩の音につど首竦む山歩き小林のりこ
狩人の匂ひ纏はせ夫帰るこま
狩る音にキュンと臓器の縮こまる小山晃
首にチップ埋められ狩のチームBGONZA
山神は子を産む女神狩の宿今野淳風
理科室の窓震はせて猟期来る紺乃ひつじ
狩終えて山下りるマタギの無口西條晶夫
御猟場にぽっかり浮ぶくじら雲さいたま水夢
爺の銃長押に残る狩の小屋彩汀
三度目の止め刺し怯む猟夫の手齋藤杏子
狩だもの正々堂々殺します宰夏海
猟犬安否不明あきらめ山くだる榊昭広
役場前蛍光ベストの狩の衆坂まきか
猪狩りを告ぐ愛犬を褒めしのち咲元無有
潔くわかりませんと狩のいろは早乙女龍千代
狩り済んで折れがまの穂に鴨の羽坂上一秀
もののけに出会う日もあり狩の犬さくやこのはな
猟犬と呼ばれし骸山に埋めさこ
狩人やあいつを撃つと宿の酒迫久鯨
引きずれる跡ありありと獣狩紗千子
耳当ての毛の擦れる音狩りの朝佐藤小百合
狩の夜やひとつの星の生まれたるさとう菓子
大鉈と血の臭ひする狩の小屋佐藤恒治
此処は通学路ぞ狩の緋のベスト佐藤儒艮
松葉杖の横に猟銃立て掛くるさとけん
ぬかるみに狩人の右足狂ふ里山子
狩極むるナイフは苦しまぬやうに真井とうか
猟銃の狙ふものみな生きてをり錆田水遊
「獲ってきて喰わせる」貼り紙勢子の店さぶり
マーラーの五番は狩の道に降るさむしん
狩の手にうさぎの耳の薄さかなさるぼぼ@チーム天地夢遥
狩ばして男さ上げて帰ってこ澤田紫
遺されし足音立たぬ狩の靴澤田郁子
銃磨く狩の前夜の父の背な三休
熊の肝をぺろりと舐めて狩りに出る紫瑛
共鳴の音叉林立する狩場塩谷人秀
狩の宿仕留めし骨は子の玩具紫檀豆蔵
平日は役場福祉課土日狩じつみのかた
山晴れやロードオフ車に猟犬と品川笙女
猟銃の音より屋号聞き分けり柴山一鷹
狼に戻りたる犬狩の尾根しぼりはf22
猟銃音一斉に仰向く顔縞子勾苑
ぐつと寄る狩の女の眉間かな嶋田奈緒
猟銃の引き金2kgてふ命嶋村らぴ
兎狩り時には授業分教所嶋良二
青米を恵む仏や狩の夜清水縞午
剣鉈の脂と狩人の息と霜月詩扇
狩りに出る空腹は今日まで続く下丼月光
狩の犬遠く騒ぐやシガーの香芍薬
鹿狩の仕留めて後の空の青沙那夏
照準は猟夫の喉へ獣の眼砂楽梨
泥まみれ息継ぎ激し狩の犬秀耕
2021猟夫募集はWebから珠桜女絢未来
猪の首にナイフ猟夫の荒き息じょいふるとしちゃん
摩尼車回して行かむ朝の狩しゅういずみ
猟犬の舌どるどると波打てり常幸龍BCAD
坂網の狩やまづめに息止まる正念亭若知古
壁掛かる銃冷えしまま猟期過ぐ四郎高綱
狩人の書斎にひらく聖書かな白プロキオン
またぎ堕つ狩場へ次々と星斗白よだか
狩の犬鳥運び来る足軽し新開ちえ
紅の薬莢立てり狩支度新城典午
狩終えて役場の人の顔となるしんぷる
登拝の道隣山の猟銃音深幽
死とは何か哲学も狩も腹は減る水蜜桃
吸ふ息の熊胆めきて狩の森すいよう
夜興引や待つ花札の猪鹿蝶すがりとおる
奥の間の火薬が匂ふ狩の宿杉浦あきけん
インターを降りて猟夫の貌となる鈴木由紀子
岩陰の狩の気配を消ちて今すずさん
山彦が知らせる狩猟解禁日清白真冬
狩の宿板に貼られしシカの皮鈴野蒼爽
君主めく猟犬のあと続きけり主藤充子
ずつしりと靴を濡らして狩の暮すりいぴい
銃を持つ指剥がしたる狩の後背馬
スコープ外し父の貌になる狩世良日守
初陣の犬より狩の始まりぬそうり
硬き手の祈りや狩の朝眩し染井つぐみ
縮こまる猟犬診察台の端空豆魚
銃に木の骸のありて狩の朝ぞんぬ
預かりしセッターかへす猟期かな泰山
女・酒・賽をはなれつ狩へと夜帝釈鴫
猟人にぎりぎり軋む外眼筋平良嘉列乙
無心に捌く狩場鹿の温もり髙上ちやこ
炎炎と滴る狩の戦利品高岡春幸
どの肉もみづの閨なり狩の夕高尾里甫
狩の犬涙焼けある眼窩かな高木音弥
心臓に誰も来ぬ部屋ありて狩高田祥聖
狩の宿引退犬の爪柔くたかはし薫風
猟犬は影をちぢめて戻りけり高橋なつ
狩をする男の首の太かりき高橋ひろみこ
猟銃に真鍮の色弾二発髙見正樹
狩をせしその掌で子を撫でる竹内一二
祖父の血の眼光碧し狩の犬竹口ゆうこ
ジュラ紀までまっすぐ進む狩の犬武田歩
猟銃に生かさるるかに爺の歩は竹八郎
大きくも小さくもない狩の宿たけろー
死は星に生は地続き狩猟刀多事
雨しとど寝息円らか狩りの犬たすく
狩人の御守り揺れる山険し黄昏文鎮@いつき組広ブロ俳句部
猟犬の吐く息まだら朝に満つ唯飛唯游
反撃を食らひ猟犬崖下へ多々良海月
雲閉じて猟期の山を鳴らしをり田面類
小流れに血色の毛あり狩場谷たていし隆松
けふからは父を頭と呼ぶ狩場立部笑子
耳打ちの尽きぬ我らへ猟夫の眼田中木江
犬連れて今日は猟夫か駐在所谷町百合乃
譲られた古銃を磨く明日は狩谷本真理子
狩を知る粗く縫われた犬の貌田端欲句歩
ストーブが調へている狩の飯玉木たまね
狩場への道の墓皆草臥れるタマゴもたっぷりハムサンド
散弾の葉に降る音や狩近し玉響雷子
硝煙の匂ふ脱衣所狩の後田村利平
引退の猟犬は火の匂ひしてたろりずむ
銃声や狩の獲物の胃に指輪ダンサーU-KI
夜興引や無線の拾う朝鮮語丹波らる
狩終えてまだ温かき腹を裂くちくりん
闇中に猟銃音の群青色千歳みち乃
猟銃に一瞬凹む大胸筋千鳥城@広ブロ俳句部カナダ支部
初狩や山神の贄湯気たてて千葉睦女
猪狩のケージ錆び行く田圃脇千代之人
今日の狩あとはオリオンに任せた月岡方円
狩果てて赤い星座が地に残る月硝子
狩をする山の重なる伊賀甲賀辻野花
狩をする背骨を奔る炎かな対馬清波
心音を奪ひ猟銃しづもれり綱川羽音
身に泥を擦りつけ狩の息となすツナ好
回し飲む狼酒や狩の宿露草うづら
狩や今泥の長靴引き抜きて露口全速
狩支度赤錆臭い虎鋏ツユマメ末っ子9歳@いつき組広ブロ俳句部
狩終えてアイヌコタンに細き月鉄猫
落日を拝みて狩の終りかなてまり
猟犬の位置情報に異な動き寺尾当卯
猟銃の照星ぶれる脈と息電柱
城跡へ猟銃の音厚き雲でんでん琴女
山姥の秘策出し抜く狩の犬天童光宏
一瞬を待つ猟銃にへこむ頬天陽ゆう
狩人も獣も孤独樫の森どいつ薔芭
止血パウダー猟犬の肉球へdoいつもcoいつも
崖の鹿狩るべし吠える犬五匹トウ甘藻
猟犬の吠えて檻ごと揺らしをり遠峰熊野
狩下手な犬弁えて遠く座す遠山有馬
吐く息に残れる狩の火照かなとかき星
猟犬や獲物を囲む円の渦ときめき人
古傷の多き老爺や狩の宿独星
撃鉄のこつりと響く朝の狩Dr.でぶ@いつき組広ブロ俳句部
狩の宿空薬莢の赤あざあざどくだみ茶
狩終へし男の左小指の血毒林檎
わな猟の骨の砕けし森白しとしなり
狩の犬夕暮れの道けつまずき十津川ポロ
解体痕らしき黒ずみ踏み狩場戸部紅屑
鹿狩や枝は痛みを覚へをりトマト使いめりるりら
狩の朝靴ひもぎゅっとアキレス腱斗三木童
断崖の狩肉塊を背負ひけりTomo
狩の眼に白内障のかすみかな登盛満
心得て飛び乗る荷台狩の犬とよ
狩人の行く立入禁止の山とんぼ
枕辺の蜘蛛の凝れる狩の宿内藤羊皐
おおいぬ座うさぎ座よぎる狩の山中岡秀次
酒断と衣正して狩の宿中島葉月
左側歩く猟犬名は虎徹中鉢矢的
コップ酒握る猟夫の犬静なかむら凧人
凄まじき狩の朝の勃起かな新蕎麦句会・凪太
山神へ捧げる清酒狩始めなしむらなし
種と雌雄瞬時に見分け猟銃音夏風かをる
はやる犬荷台へ上げて狩の朝夏草はむ
コール三百メートル狩る時来たり夏雲ブン太
獲物曳く重さや狩の山に星夏湖乃
右から上から下から左から猟犬の声夏野あゆね
けふの真中駆けゆく猟犬の斑夏雨ちや
ライフルを背負う狩人の饒舌七朝まるよ
若鹿の筋膜剥がす猟夫の手七森わらび
猟犬の大腿二頭筋、きれい⑦パパ@いつき組広ブロ俳句部
銜へたる狩の獲物の生温く名計宗幸
狩人は生く狼の眼の中に奈良素数
引金の指を庇いて狩の雨西川由野
やばいよと口笛合図狩の犬西原さらさ
血の滲みる新聞紙や狩の帰路西村小市
百キロの足跡猪狩の朝西村棗
狩の夜の山はしづかに啼いてゐるにゃん
バッテンに四肢を結はひて狩を終ふ仁和田永
猟犬の子と骨肉と明の星鵺之疾秋
夕星を背負ひて狩の夕餉かな暖井むゆき
大物を狩つてせいのと軽トラに沼沢さとみ
教頭がくわえタバコで狩りへ行く涅槃girl
「狩へ行く」メモに鉛筆舐めた跡野井みこ
日暮るるや糞嗅ぎ分けて山の狩野地垂木
ざくざくと深き足跡狩の道ののr
解体の手の静かなる猟夫かな野ばら
手負い犬抱きて猟師の戻りけり野原蛍草
血の声を消すに転がる狩の犬登りびと
猟銃を捧げ柩のみづみづしはぐれ杤餅
無線機のざらりと告ぐる狩の首尾長谷川水素
猟銃の弾込めの間の祈りかな長谷機械児
狩の川ずずんずずんとにじり脚畑詩音
猟犬の息も兎の血もぬるし畠山悊央
初陣の傷の顛末狩の宿パッキンマン
わな猟の匠片眼で狩をする八田昌代
狩座を清めるごとき明けの雨はなあかり
朝酒や風を肴に狩の宿華樹
鹿狩や風は縄文より痛しはなぶさあきら
狩の夜の五右衛門風呂に当てる尻はのん
大物に村を総出の猪の狩早川令子
狩の宿2B尖らす肥後守巴里乃嬬
マスターの葬儀の話狩の昼播磨陽子
軽トラのブルーシートに狩の跡はれまふよう
猟犬の悲鳴の遠く遠く消ゆはんばぁぐ
狩人や胸に吸い付く銀の鍵万里の森
熊笹に沈みて待つや狩の朝ひーたん@いつき組広ブロ俳句部
薮震え小さく唸る狩の犬東の山
狩人の家はもぬけの殻となり光源爺
山二つ狩をたづきの隠れ里ひでやん
狩の朝これは止めを刺すナイフ日向こるり
おさがりの携帯ラジオ狩の道ひなた和佳
猟犬の濡るるまつ毛や朝の森緋乃捨楽
下りてくる手負ひの狩の犬を抱き比々き
柱には流弾の跡狩の宿向日葵@いつき組広ブロ俳句部
狩終えて宿の兎を買いにけり姫川ひすい
銃口や狩人の息づかひ聴く日吉とみ菜
狩人が毛皮売りに来職員室平岡花泉
狩のあさ弾はまつしぐらに急所比良田トルコ石
主より目つき険しき狩の犬平林晶子
狩せよ狩せよここは立方体の森平本魚水
狩女子の内臓抜きの喘ぎかな比良山
一発の渇いた猟銃音だった広木登一
付き纏う猪狩の血の臭みかな広島立葵
けふの狩きつと神話になるだらう広瀬康
鹿狩りて沢に冷ませる間の座談弘友於泥
かうべ無き地蔵の立つや狩の途風慈音
狩人の供へたる肝震へをり深町明
父に似し狩声山を渡りたり福井三水低
雉下げて藪からぬつと狩の人福川敏機
薪はぜる巻狩りの大鍋たぎる福ネコ
熊狩や父の晴れ晴れなる帰還福山文子
粛々と熊狩る山河びょうびょうと福弓
蒼き狩人夜の隙間より狙ふ福良ちどり
遠吠えの風に交じれる狩の宿ふくろう悠々
止め刺しのナイフに狩の青史かな藤色葉菜
猟師らが猪かつぎ行く登山道藤丘ひな子
止め刺して土砂吐く狩の猪の口藤咲大地
猟銃音山はかうして豊かなり藤田康子
猟銃の音に出くわせるドライブ藤田ゆきまち
狩あとに飲む熊胆のほろ苦し藤原涼
狩の耳静寂の芯を捉へけり藤丸子
ふがふがとマズルを赫め狩の犬藤雪陽
狩り終えて玄関汚す泥の靴豚ごりら
山岳の風嗅ぎ分けて狩仕度船橋こまこ
狩そこね突進し来る距離に熊冬のおこじょ
走り根の浪へ闇へと狩の径古瀬まさあき
白湯ぐいと胃をほどきたる狩の朝古田秀
酒呑みの町長狩場では無口ふるてい
夜の色せり銃磨く狩の眼は碧西里
乾く血の匂ひや狩りの帰途四里ペトロア
狩り中にメッカはどっちって聞くなよへなけん
狩人の黒眼鏡微動だにせずベニヤサン
猟銃は重たき鉄ぞ猪の屍茫々
生臭き狩の獲物に星の降る星月さやか
柏手のことに大きや狩の朝干しのいも子
夜興引や獲物は鬼ばばに渡す星乃ぽっち
狩猟音キャラメル喉に引っ掛かり細川小春
吐く息の強さよ狩のアイヌ犬堀卓
狩の手を洗へばみづの香の濁るほろろ。
狩初日体勢低く犬走る凡々
甘すぎるあんぱん狩のひと休み梵庸子
狩人の足跡だけが道しるべma_tant.
亡き犬の毛皮あり狩人の背に真壁和子
無線機に訛早口獣狩まがりしっぽ
残響や動きを止むる狩の罠まこ@いつき組広ブロ俳句部
毒をまく池のほとりへ黙の狩まこちふる
沢を踏みそれぞれ別れ狩四人正岡丹ん
狩の宿相棒悼む紫煙かな眞さ野
猟犬や半矢の猪に喰らい付き松尾祇敲
ランコムの匂ひの女狩の宿まつたいら西
土と火と獣を纏ふ狩の夜抹茶子
狩の犬見送る窓のブルドッグ松本裕子
太陽を味方につけて狩の湖まどん
猛る火の神まなうらに狩の夜真冬峰
日に数度山を見る犬猟期来るままマリン
狩のあと並ぶ紋章入りの皿真宮マミ
冷凍庫二台の肉や狩の宿丸山隆子
三日経つ狩の掌震えをりまんぷく
荒々し猟期の森の息づかい三浦にゃじろう
ともしびの寂しさ色の狩の宿三上栞
猟犬は土間にくつろぐ銃手入れみちむらまりな
銃身はグリスの匂い狩の宿みづちみわ
狩の日の頓服苦し水苦し光峯霏々
猟銃と蹄と突き上る荷台南方日午
猟夫の雪漕ぎながら戻り来るみなと
猟銃の十字の中にある心臓港のパン屋
ぬかるみの足跡浅き狩場かな南風の記憶
たはむれに兄を狙へる猟夫の子水面叩
臆病な猟夫のじまん五度聞きて宮井そら
吾がポチへ一瞥もせぬ狩の犬宮坂暢介
受け止める銃も獲物も狩の肩宮田悦自
猟犬のずざざと藪をまつしぐら宮武濱女
猟銃の引き金の遊び恐ろし宮部里美
猟期来てけざやかなりや登山服みやま千樹
おほかみとおほきみ仰ぐ狩の宿ミラベル
狩の犬異名ジャックの傷を撫づみわ吉
撃鉄を起せば熱し狩の父椋本望生
笹音の四時の方角狩の銃無弦奏
みそ汁に喉を焼きたる狩の朝向原かは
狩や陽を臓腑の湯気の透きゆきて武者小路敬妙洒脱篤
鹿狩や伸びる夕日の獣道むねあかどり
猪の止め刺して猟夫の肩しづか無恙庵閑酉
耳尖り初期微動めく狩の犬紫小寿々
猟銃の一声山神の無言村瀬っち
夜明け押し広げる狩の犬の声むらのたんぽぽ
狩の宿酒酌む肩の湿布の香暝想華
狩りすなり叔父の炊ぎし肉硬し目黒千代恵
お守りの石ポケットに狩の朝望月ゆう
ゆふつづや網はおごめき狩をはる本山喜喜
猪狩の獲物転がる店のすみ桃香
腹這いの猟夫も山の視野にいて百瀬一兎
石となる一羽に狩の暮れにけり百瀬はな
退いて子を狩へと送り出す朝ももたもも
狩くらや犬吠ゆ吠ゆ吠ゆ獲物の目森日美香
煙る川狩りの獲物の血を浄め森佳三
箱罠より毛ごと引き抜く狩の槍もりさわ
息荒き腹の泥跳ね狩の犬もりたきみ
死火山の空に猟銃音一つ森山博士
狩の朝浄めの水に濁り無し諸岡萌黄
狩のあと田に薬莢をひらう子らもろ智行
町道の血だまり狩の後始末山羊座の千賀子
狩終えて一番星を帰りたり矢橋
ベテランの猟夫の後を息切らしヤヒロ
獣臭に足は動かず狩の山山内彩月
狩の日の始末に会いし下山道山口香子
狩の宿犬の寝床は納屋の隅山口はなこ
従兄弟死して狩りし鹿肉残りおり山崎のら
猟銃の重さに耐ふる膝の骨山田蹴人
うさぎ二羽鼓動を止めて狩り終わる山野青灯下
真っ直ぐな目で狩行こと言われても山本先生
両肩を上下に三度狩の始まり柚木みゆき
ワグナーを聴いて身支度狩の父宥光
狩の宿鍵束鳴らす大男ゆうま
雌の声真似れば雄の来る狩場ゆすらご
猪狩りや山積みに腸晒されて宙美
猟期来るガンロッカーのドア重しゆめの常盤
狩られたる獣の眼空映さず宵猫
猟銃や古くともよく鳴るラヂオ陽花天
看板はホーロー狩の宿昏し羊似妃
神殿の如く猟場の杉しづか横縞
深き日のなめとこ山の狩のあと余jii詐
赤尾羽成果に数ふ狩の夜吉田郁
子に乳を飲ませ猟犬立ち上がる葦たかし
狩る側か狩らるる側かドサと音吉武茂る
狩の手や引金をひく紅をさす吉野川
猟銃の遺影を向きて置かれあり吉行直人
狩場には龍の鱗のごとき雪夜紫遠
晩鐘に頭を垂るる猟夫かなラーラ・K
くれなゐに腿ほふりけり狩の宵RUSTY=HISOKA
猟犬の口に鼓動のどくどくと楽花生
猟銃音五百羅漢に響けりリーガル海苔助
猟銃のスコープ越しに合ふ目線梨音
荒男には過ぎたる女房狩の宿柳絮
狩られたるその僥倖に獣死す良俗倭人
罠どこもかしこも空の狩の朝るんやみ
流し猟積荷の首を畳みけり烈稚詠
銃身は腿に重たし狩前夜蓮花麻耶
狩の山手負いの鹿は川を跳びれんげ咲く
狩おえて兎煮る夜の更けてゆく紫雲英田
どの狩人も何かを載せてゐるカレーローストビーフ
猪狩罠にも雪の降り積もりわかなけん
狩好きの敏く見つけし野鳥かな若林千影
狩日和らし国語教師の退勤す渡邉一輝
猟銃や動かぬ影に風も失せ渡邉わかな
猟犬の目脂のごふや湯の川原清水三雲
生き死にの職人として狩りをせりあさいふみよ
狩りへ山へ死体を埋める人と会うアシツノカラ
狩もせず皮剥ぎもせず食らふ我飛鳥井薫
祖母一撃狩で捕らえし鳥殺す生野薫
いにしへの狩場に聞ゆ相聞歌岡田明子
片耳の折れし統領狩の犬M・李子
バンクシーのリトグラフある狩の宿きゅうもん@木ノ芽
獣追ふ狩は愛貪るがごとこいぬ
狩られたる獣に魂の湯気たてりじゃすみん
狩人や湯に身を隠す旅の宿杉山博代
宍道湖の鴨の狩場に朝日刺す蜂鳥子
猟犬と言われるほどの元気なし風来坊
老犬の牙を拭う懐旧の狩よ宮村寿摩子
内気なる猟犬居留守使いけり杜まお実
はじめての狩悲しけれ手を繋ぐありいかな
狩の人帽子は妻の贈り物伊藤れいこ
罠にかかりし母の眼の狩りの無情彩人色
愛犬を猟犬にされそうになり上野眞理
狩や伝説の記しは破られしうた歌妙
手毬唄狩の宴と児ら知らず笑姫天臼
鉄砲と罠に勝れる猟夫かな朶美子
録画の囮につられ猟銃音円美々
美しき本能駆くる狩の犬えんかず
ネクタイを解きていざ狩へ狩へ遠藤玲奈
おかあさん狩つてどんなげえむなの旺上林加
こどおじは仕事ばかりで狩はせず大江戸小紋
ギヂギヂのスケジユウル孫、みづ江、狩大黒とむとむ
猟銃は勇まし上座の祖父や灰落とす大谷一鶴
階段のない村狩の手が続く大和田美信
山の湯に狩人二人ザブザブと岡﨑宙夏
石となる九尾の狐や狩の果て奥寺窈子
獲物より高価な武器や夫の狩小倉あんこ
腸に響く猟銃音刹那かいぐりかいぐり
眼の澄みし獣追はねばならぬ狩花伝
老いたるや農夫と犬は狩に出で加藤雄三
狩の犬米寿ばっちゃの膝の上仮名鶫
ものとして斜面擦らるる顔や狩かむろ坂喜奈子
「熊出た」と猟銃担ぐ祭めき亀田荒太
狩に給ふ人の子孫と鹿の子孫亀の
狩の鼓動高鳴るボレロの三連符閑々鶏
背中にも目のあるごとし狩の人岸野草太朗
べにがらの字も軽やかに狩の朝木野まち
車座の赤ら顔達狩終えるきべし
猟銃を撃ちし男に抱かれる夜くぅ
闇に火や屠る命や狩場の血ぐずみ
注文の多い家人ら狩の夜黒田良
仄昏き告解室へ狩の犬げばげば
珈琲の香に包まるる猟夫かな香田ちり
狩り犬を車で待ちて日暮れたり宏楽
狩をして販路拡大考えて木染湧水
狩の宿祖父そつくりの熊の皮小だいふく
寝る前の珈琲がまん明日は狩古都鈴
猟銃の弾百円で死ぬ命粉山
音一つ命も一つ消ゆる狩西條恭子
空抜けて大樹きわだつ狩日よりさくら亜紀女
息潜め祖父の背を追う兎狩櫻井こむぎ
猟期来れば玩具となりぬ獣たち佐藤綉綉
猟銃のトリガーの重さただ一羽沢拓庵
狩の昼五目御飯の握りめし澤野敏樹
まつすぐな目で狩人はカモを撃つ渋谷晶
魘されし猟犬ざわり森醒む島田あんず
リード張る二頭の先を夫の狩柊ニ
あすの狩鳥獣戯画の夢をみる杉柳才
新人の狩の背守る手練れ九人瀬央ありさ
寂しくてうさぎ狩ります夢さめて瀬紀
独身の課長が狩に行く支度曽我真理子
いる物といらない物と猟銃と素空
熊狩りや捨てる血の熱白穿つ外鴨南菊
生く者の痛みなるべし猟銃音ソフィ
手鞠つき狩りに出かけた父を待つ染野まさこ
狩の道「ゴミ持チ帰レ」と其処かしこ橙と紫
狩解禁あまくなましいかほりは死橘乎夏
南無阿弥陀仏猟夫は引き金引くダック
狩人の尿ごと喰われ笹低し立田鯊夢@いつき組広ブロ俳句部
狩りの残骸か三和土に薄羽散る辰野史会
狩ガール糞嗅いだ後に恋バナ衷子
狩人の残した薬莢たからものてんてこ麻衣
狩の犬でした寝顔の耳ピクリ内藤由子
狩人老いて休業のレストランなみ夢めも
狩の犬降り立つ場所で生き生きと成瀬悠
血を抜かれ臓器も抜かれそれも狩ノアノア
車座に子らも食らうや狩の後則本久江
うたかたの恋の眠れる狩の宿白庵
樹に彫りし齡八十狩終えて白雨
狩の犬初陣飾る遠吠えか馬笑
猪狩の眼孔燐光にし吠ゆ長谷川遊山
あばら家の気配消す犬狩の息長谷島弘安
体内時計あるかに騒ぐ猟犬ら畑中真土
箱罠を角で突く音響く狩場花岡浩美
猟銃の弾丸の出でたるバーベキュー花岡淑子
銃構へ目は眼に変はる狩の刻花咲明日香
せんば山昔の狩の謡たのし花咲みさき
マニキュアの先まで深呼吸狩場花南天
狩の獲物か鴨われ睨み朽ちる菱田芋天
狩の朝穴持たずの風下へいざヒマラヤで平謝り
狩へ行く父へ「懇談会来てね」ひろ夢
みずおちで禁書の発火狩始む深川佳子
狩の昼サラミを齧る口獣深夜のり子
しんしんと狩りの跡を消してゆく福田真由美
あのオンナ猟師はジビエ料理長藤倉密子
有明の猟銃一射宇宙焦ぐ甫舟
狩暮れて獣崩るる神の山星善之
百年を生き抜き夫の狩を待つ牧野敏信
狩の空仕留め損ねて安堵あり槙由梨子
老若男女皆しゃがみ込む狩場かな松井酔呆
異国語の美しき響きよ狩の宿松田文女
狩に行く友なる犬を道連れに松本修
靴裏に命のにほひ狩の森帝菜
もののふのけはいまとひし狩の朝巳智みちる
猟銃にのけぞる身体綿毛飛ぶ美月舞桜
仕留めたる獣の目に葉狩を終ふみやかわけい子
猟銃を向けてぶくぶくの原発村上牛蒡
猟銃へ顔拭くごとき白き布メレンゲたこ焼き
狩の道迷ひて森のレストラン森佳月
食卓の合掌長く狩の肉森田祥子
床に伏し狩のちからにあこがれる痩女
まっさらの褌きりり狩の朝柳川耀一郎
狩人をなりはひにして里居かな山河穂香
引き金はギロチンの紐狩の指山﨑瑠美
猟人は三十路継ぐ日の朝日かな祐宇
猟夫ゆくオレンジ色は人の色雪音
狩人の纏う蛍光ピンクかな八日きりん
背くべく戦慄きたるや狩の犬横浜J子
鉄砲をしよるとなだめ狩の留守よし季
めいろでかりをしたらなかまに打たれた吉田結希
風下へ蝋人形と化す猟夫余田酒梨
終業後の唇赤く狩に出るY・りこ
丹田を練る猟待つ間の静けさ若宮直美
狩たけなわ手負いの猪や受く砲火海神瑠珂
片翼の傷水しぶき疚し狩わたなべいびぃ
押し殺す気配読み合う狩の山ANGEL
狩人の肩に担いで来し土産あああのこひつじ
饒舌にまた無口にも狩の宿愛燦燦
兎狩りしかの山消えてゴルフ場間岳夫
猪狩や神をおろがみ山に入るあ・うん
狩の犬生死のふちを越え行けりあおいなつはやて
狩の犬追う固まりは散り散りに青橘花
狩の犬ふだんの散歩はゆうゆうと大竹八重子
狩られしは牡鹿か我か景色揺れあおのめ
獲を咥へ猟犬どうと躍り出づ蒼鳩薫
追われたる動物憐れむ狩の時赤子沢赤子
獣道息を殺して狩最中紅紫李依
狩りで哀一日分の運捧げ赤松鴨
義父の昔語り生きるための狩りあかり
狩の字や守る獣と書く矛盾秋田白熊
狩人や吾は暴れん坊将軍昭谷
狩を終え満足顔の脇の犬秋山誠
狩猟禁解けて山々銃響き秋代
猪狩や臭いたる血の鮮やかさ秋吉和紀
猟犬の声近付きつ遠退きつアクエリアスの水
狩怖し誤認の末にチビは死す亜紗舞那
猟犬やずらす散歩の道と時あそぼ葉
狩猟犬今は座敷を駆けまわる跡部榮喜
狩猟期や義兄ジビエ塊持って来たるsakuraa.
猟銃を向けるや猿の合掌す荒木俊充
猟犬の弾む足音黙やぶりあらら
分け入りて命いただく山の狩蛙里
獣駆除へ背筋伸びたる老狩人有本俊雄
狩の夜のこのニンゲンといふ命有本仁政
一撃は苦痛与へぬ狩の道アンサトウ
ザクザクと足跡深きシシの狩飯村錦也
阿仁マタギ命に感謝狩り日和粋庵仁空
狩の夜や渋谷のゴミを喰うカラスいくたドロップ
猟銃一発すべてが息を殺す山郁松松ちゃん
狩人の思い込めたる指動き池内ねこバアバ
貧民の温もりを狩るはけの道池田華族
親の背を追いつ狩り出しけものの子池ノ村路
雪山の狩の中にぞ宿る生唯沢遥
みづうみの鳥一斉に狩の犬石井茶爺
「狩る」と言うか河川敷に人を狩る石垣エリザ
湖畔翔ぶ大鹿を撃て狩る人よ石間毅史
狩おえし犬の目優し父の横石本美津
狩り人の孤独の音か谷渡るいずみ節子
湯気のぼる車座の狩のレヴュー泉千尋
息澄ます天狼またたく狩の闇石動胡盧巴
狩終えていただく命囲む鍋遺跡納期
断末魔今熊の瞳に猟師をり磯野昭仁
狩忘れ草食系と言われけりいその松茸
狩ったぞとほくそ笑んだ日狩られてたいたばよしこ
狩の青空の深みの優しさよ伊丹八兵衛
猪狩や泥まとう死屍やれ重い市川りす
狩終えて宴始まる秘密基地樹十後
狩り重ね自給自足の里の秋いづる葉
銃声や落ちくる鳥へ狩の犬伊藤順女
生きている稲穂も狩ると表記したい伊藤テル
少年のつぶらな瞳猟銃口伊藤治美
ルバングに日は昇りまた狩りを解くいなだはまち
急下降無音のとどめ狩終う稲葉こいち
碧空の雲隠れ為す狩の音の禱上颯晶
玄関の熊の剥製狩の宿井上幸子
吾子の前口唇あげし狩の犬井上しじみ
獣母子救ひし自慢狩話ゐのかたゆきを
放たれて駆くる駆くるや狩の犬いまいやすのり
狩終えし命の寝床温かしイマスノリコ
狩をする漢優しき目を持てり岩木順
生臭き獣の匂う狩りの宿岩田勇
街歩く迷いぐま狩る悲しさよvivi
生き残る軌跡を描く狩りの目よ植田かず子
獲物解体狩女子の細き腕宇佐美好子
狩ならばせめて二発で仕留めてよ宇田建
東京の東の涯や狩の山内田こと
狩の朝リードと銃と凛と犬うちだまみ
わらべ歌狩とは無縁の狩の宿内本惠美子
猟犬や悪魔の森を出てきたる空木眠兎
狩罠や仕掛け三晩は待ちぼうけ海口竿富
狩の目や水平線のその先に海葡萄
ポインター駆ける狩場の空青し梅里和代
銃声のこだま狩場に降りしきる梅鶏
山を這うマタギや狩りの掟あり麗し
跫のかぞくかぞくと沁むる狩詠頃
跪く狩りとは祈り祖父の背な江川月丸
狩の塚視界を塞ぐビル疎みs葉子
撃てば彼撃たねば我が死今ぞ狩る蝦夷野ごうがしゃ
刃の月杣道走る狩眼光越前岬
ぶら下がる狩の獲物の無表情絵十
ノーメイク狩猟免許と犬連れて江藤真治
夕暮れて狩も終いと歌う鳥江戸川ちゃあこ
今を生き狩られたものよ森うたう戎居多佳子
猟期来ぬ飾り物から実践へ江見めいこ
狩の音の鳴き声かすか悲しきや江本光景
恋をした少女のような狩の父縁穐律
狩の声見慣れぬ犬にあとずさり遠藤愁霞
猟銃を持ってるあなたの生き方は大石聡美
縁側に満つガンオイル猟期かな大紀直家
棲み分けの意味がわからず狩に死す大阪駿馬
猟犬とあたたか眠る狩の宿大島一声
唾ごくり狩の静寂の只中に大塚恵美子
狩人の心配をする家族かな大野美波
狩りで着る毛皮のポンチョ勝利品大本千恵子
ホルン鳴り狩りガールズの登場す大山小袖
ラスコーやせめぎ合う狩泳ぐ鹿岡崎俊子
耳澄まし背中すっくと狩の犬岡田瑛琳
倒れたる獲物の息や狩りの犬緒方朋子
駆けあがる獲物狩る犬本能や岡田ぴか
一斉に水面蹴ちらす狩の音おがたみか
殺処分街中の熊涙狩岡塚敬芳
狩人が狙いの先に宇宙かな岡本
太き腕イノシシ捌く狩の夜小川さゆみ
朝もやをパンと切り裂く狩の音小川葉月
狩の宿剥製の目に猛者めく吾小川都
狩り小屋で猟果の自慢犬自慢奥ノ木蛍子
狩の山いのち三つ分の音の降る小椋チル
狩の血の匂ひは知らずジビエ喰ふおざきさちよ
楽しいか半径3mの狩りおさむらいちゃん
磨かれし猟銃のごと爪を染む小沢史
猟犬の鳴く声高く足震えお品まり
古人の足音聞ゆ狩の道尾関みちこ
狩に出る夫を笑顔でお見送りお寺なでしこ
狩りの民やすきにあらず病める君沢瀉あけみ
追えぬ我狩り終え鹿は悠々と小山田之介
狩人やこだま行き交いさやぐ山菓果
猟犬鼻の関所や朝帰り諧真無子
息吐いてワルツを踊る狩の野にカヴァティーナ
老犬よ主人は何処狩の場かかえるL
狩りするも狩られるほうも命なり笠江茂子
狩人の去るを待ちぬるうさぎかな風花まゆみ
夕星の光ひとすじ狩り終える鹿嶌純子
覇権さえ正当化せむ狩の性柏原淑子
猟銃の重みの比命の重み花純広場
土間に吊るオレンジベスト狩の明け片岡六子
老いてなお足どり軽し狩の山かづさや十織部衛
遺伝子の狩りの記憶の握る槍桂葉子
曇天や猟銃音の谺せりかぬまっこ
知らぬ間に狩往き続け空焼ける金子真美
はかなき命狩場のけむりと化す神谷米子
高空に狩音ひとつ遠こだま亀井汀風
映像の狩では見えぬ血と臭い亀山逸子
狩人の背中哀れや樹海入るかもめ
狩りに出て自然破壊も自己負担加茂亘
狩をする呼吸獣の息づかいかよ
狩の音響く山里鎮まれりカラハ
人と犬獲物追い込む狩りの声川村昌子
殿様の狩場の跡の託老所閑蛙
女でも狩猟免許や肝っ玉菊川寝ん猫
糧求む子熊狩らるるは車庫の屋根岸本元世
狩終えて笑う貴族の絵の不気味奇想あげまき
死ぬるまで狩られまいとぞ洞の中木寺仙游
祖父は狩したるか雉鍋の記憶木村かわせみ
狩終えたじじと囲むや雉料理木村修芳
掛かったと猟夫同士の弾む声木村となえーる
狩場消え手綱の先端小犬かな木村波平
狩に出て獲物無き夜のとぼとぼと鳩礼
狩逃れさなぎになるか葉の裏で稀世生
縄文の猪狩は悠なり京野秋水
瞬きも息もしないで狩の犬桐野鈴子
狩の夢見てかワウワウマルチーズ銀長だぬき
足跡の大き小さき獣狩り國吉敦子
狩られてか池に晒さる猪や悲し窪田睡鯨
厳として猟犬の眼の澄みわたるくま鶉
時を積む小屋の扉や猟期来る久留里61
生温き血ドロ、狩の生と生クロまま
捌く手に温もり伝う狩の宿桑田栞
お狩り場や鳥立ちあとは荒涼と桑原和博
山踏に異臭殺気の狩衣鯨子
ずっしりと胸にこだます猟銃音景清華
猟銃音震える手足耳を裂く恵風
山路に抜き去り殺気狩猟犬鯨野
狩の犬在りし日を思い床につく研さん
狩人の相棒俺はドーベルマン源氏物語
スコープの中で目の合う獣狩研知句詩@いつき組広ブロ俳句部
雪の森血だまり残る狩の跡小池浩美
狩終えて兎の足跡ただ辿る郷りん
解禁日猟銃音の生き生きと剛海
六十四歳祝いの膳の狩のさち幸内悦夫
静けさに銃声一つ朝の狩神戸めぐみ
手弱女の狩人鹿を愛しぬく幸織奈
狩響き飛び立つ鳥に絶える生古賀ちん
枯れ山に獣狩跡の静けさよココヨシ
全校で兎狩せし戦後の子後藤三梅
狩支度仕上げは胸のゴム鉄砲小松甘夏
ジビエ喰む狩りの命と我が命こむぎ
鼓動をも響き渡らせ狩りの昼ゴリの園
狩暮れて山向こうに星ひとつ五郎島金時
白き夜影を待ち伏せ獣狩るさいとうすすむ
イエティを追っているのか狩の音齋藤夜明鳥
手止めしは道理か狩人初めとて坂島魁文
宴あり生命受け止め狩の夜さかたちえこ
映像は名優の雄姿狩場にて坂本千代子
狙い決め狩の態勢草の陰相良まさと
狩命頂き命繋いで行く櫻井弘子
犬いたわるタータンチェック狩疲れ桜姫5
獣道に入る狩人の孤独さくら悠日
狩りし猪の肝臓浸す乳の丹桜よし榮
父子相伝伝説の狩ジビエ肉佐々木邦綱
狩人よ白夜の宴に恵みあり佐々木幸江
手の皺を合わす神棚狩の朝紗々
狩の跡シャベルもつ手で弓を射る幸子.S
山降りて犬とたわむる狩のひとさっち
狩行きて去年の地蔵と再会す佐藤志祐
狩の日に柏手響く隠れ里佐俊俊
朝霧のどこかで権兵衛鴨を狩る佐藤しらべ
照準は鴨鍋の湯気里の狩り佐藤佳子
森深き狩りの足跡凝視せん里之照日日
狩人は木の下にいて狙い撃ちさなぎ
丸い背の猟師と黒い犬の山サバナ光風
狩準備犬も木を噛み牙を研ぐ三光
けさ狩に仕掛けた餌がムダになりジェントルASANO
狩人の父の眉間や天に向く塩沢桂子
狩終へてまずは一献マタギ衆塩原香子
狩り了へし老爺の指にShort HOPE重松徹子
狩行きし銃声音がしじま絶つ実本礼
狩の躯地は殺生の血を吸ひぬ篠原雨子
鉄砲の音で逃げ出す狩りの犬篠雪
大空に銃声響く狩の哀れ柴桜子
紅き狐ほころぶ狩人とける雪澁谷結唯
狩をする犬はただただ楽しそう島じい子
山中に乾いた狩の音二発清水祥月
獲物なき猟夫に世辞の古女房清水容子
狩の銃声聞いて大会選者来る写俳亭みの
下着換え妻の洗濯朝の狩り秀道
山道の入口で拝狩の朝寿松
数里跳ぶ。ターン、ピギーと狩の音や。獣羅
猟犬の末裔なのよボールどこシュリ
目覚め鳴く狩の犬ウサギはうたかた湘南じじ
狩の後狼浮かぶ夜の闇ショートケーキ
狩不発脚には蛭のキスマークじょん爺
狩のあと踏み込んだらしけものみち白井佐登志
狩り終えておとなになりて戻りけり白石健治
眼が光る仔犬なれども狩の犬白井百合子
狩の銃響き荒涼県境白沢修
猟銃の音色は空へ吸われて消えた白とり貝
チョコ香る夜半のキッチン狩の宿白星みどり
倒れる熊こだまする猟銃音新濃健
カイツブリ消えて波紋や狩の跡新花水木
澄み渡る空を引き裂く猟銃音森牧亭遊好
狩人の手にはハンマー目には畏怖水牛庵乱紛
獣害の宍鹿狩るやIターン酔軒
まなぐばりで狩るよあんだを逃さねよ菅原千秋
火を囲み食らう野の肉狩りの夜杉浦真子
猟銃音湖に弾みて一村に杉尾芭蕉
山に入る目に愛嬌の猟犬と杉本果ら
狩をする人のいのちも刹那かな鈴木勝也
狩やモノクロ写真に考と甲斐犬鈴ノ樹
狩の音振り子の如し古希の朝素敵な晃くん
犬先に姿も見えぬ狩の道晴好雨独
猟犬と聞くより撫づる手の震へ醒子
ジグザグと猟犬二頭吼えて追う青児
命狩る漕ぐカヤッカか音消してせいしゅう
樺太で熊狩りしたと叔父の銃勢田清
湯船から湯気の形に惜しむ狩星夢光風
長身の狩人踊るように野を瀬尾白果
ランニング後ろに熊や狩り頼むセンターテール
熊狩りや時空を超えて縄文人惣兵衛
分け入りて狩りをためらふ斑の親子そうま純香
猟夫と獣眼光一閃森光る即刻時捉
猟犬の名は「リリィ」父と山駆けるそまり
瞳の奥狩りの火消えず元刑事駄詩
荒れ山や狩りという名の自己破産太閤検地郎
夕暮れに静かに響く狩の声高木うべ
玉砂利に眠る猟犬耳ぴくり高嶺遠
狩の朝かたわらをポチという武器鷹之朋輩
訴える眼を却下して狩は高橋寅次
レトルトの狩の匂ひのカレーかな高橋裕樹
狩の犬市井のマタギ鍋知らず高山佳己
沼尻はけもののにほひ狩前夜滝川橋
猟銃音2発吾子の箸止まる卓女
笛の合図響き並走す狩の犬竹一
狩に発つ瞳太古に遡り多胡蘆秋
狩みやげ哀しさの居て握りし毛ただ地蔵
雪中の狩人観たしウィーンへ糺ノ森柊
しなやかに走り出したる狩の犬立野音思
学びたる猪の狩り住民は立山枯楓
巻き狩りや犬の息まで真っ赤っか田中勲
森の中静寂つんざく狩の音田中洋子
狩の犬賢治の童話森深し谷相
経験のない狩何故か身ぶるいす谷口昭子
鮮血の止め刺しナイフ持つ猟夫田畑整
猟犬の目は赫々と光おりたまのねこ
たまり場はジビエ料理や狩の宿たむらせつこ
鴨撃つや剥製にして狩談議田村モトエ
狩人の銃と犬とを相棒にダメ夫
十津川や空の狭まる狩の道茶秋
狩の音を木々は澄まして聴き居りぬ澄心静慮
狩人の作る三つの塩むすび長楽健司
人に向かふ狩の本能ロザーリオちょぼ鶉
呻吟の途絶える狩のしじまかなツカビッチ
和のけはひスーツに託し狩に出る辻内美枝子
鳥狙う眼は狩人やカメラマン辻陽気姫
勢子の声吾の心音とクレッシェンド椿こちょすけ
狩人の風切る肩や獣道津幡GEE
奥山は哮りのこだま狩日和ツユマメ@いつき組広ブロ俳句部
お揃いの黄色で下校猟期の夕T-京條
鋭い目紀州から来た狩の犬デイジーキャンディー
しんとした狩場漂う獣の香哲庵
猟銃のトリガーの艶女手に哲山(山田哲也)
気配あり無言のあさの狩じたく蚕丸
静寂を突き抜く狩の手のふるえ苳
狩了えし犬の沸りのおさまらぬ東京堕天使
夕暮れし狩無き森に鹿の鳴く徳庵
百匹の熊狩り煙る銃を置くどこにでもいる田中
犬の耳動き猟銃音かすか杼けいこ
鹿狩や角何本もみかん畑戸根由紀
狩の獲を食らう子ら見る母の顔冨川友香理
いただきます地でも海でも狩る命冨川精子
銃口の熱冷めやらぬ狩の宿富野香衣
猪狩の血抜き終え解剖初め鳥田政宗
猟銃や父の遺影の鋭い目とんぶりっこ
のど自慢狩自慢出づ男風呂中十七波
そのかみの王の狂気や狩の城中里凜
母と子を別つ狩人うらがなし中島圭子
狩終へし猟犬の食ふささ身かな中島走吟
兎狩鶏飯炊いてねぎらわれ中嶋敏子
猪狩の音の先の足跡哉仲田蓮謙
初狩で礼を尽くせず落つ涙長月晴日
夕日浴び猟銃構え岩と化す中中
鼠手に狩場へ黒い金曜日中西歌子
狩の日の白きもの降る夜の青し中原柊ニ
狩ガール命見つめる村おこし仲操
命かけ狩の標的逃げ惑ふ中村こゆき
狩人の居らぬ山里立ち話中村あつこ
雪沓を鳴らし翁の狩り独り永谷部流
友と鍋仕留めた狩の獲物かな凪ゆみこ
猟友会五人揃いて狩の道那須のお漬物
縄文の狩人鬼退治に遭ひ夏藤涼太
猟犬や夫の自慢の写真集夏目坦
セッターや知らずに老いる狩の味七国独楽男
狩のまだ営みだつた火の匂い七瀬ゆきこ
狩の音途絶ゑて久し比婆の山浪速の蟹造
狩果てて獲物にも子があったかも名前のあるネコ
立ち入れぬ街で猪狩けふもまたなんじゃもんじゃ
狩の山デビューの犬の息白くにいやのる
狩のあと笑顔で写る父と友二階堂恵
猟人の後ろ姿に吾は虜西田月旦
謀略に死覚悟の皇子狩の宿西谷寿
牛乳といふ牛の乳狩の宿西原みどり
狩に出た父がなぜなにいまいずこ尼島里志
狩のナイフ茂みへ肺を刺せば鳴く二重格子
卓囲み米寿のじいの狩自慢二上松風
狩られをり一目散に子は逃げる日滔
森深く鳥獣狩の明けの空二和田美枝子
白い息殺意と感謝獣狩るねがみともみ
吾に秘むや強く生く狩の本能根々雅水
水を込め放つ添水と猟銃と野口雅也
狩終え古老や供えす山の神野中泰風
狩り終えて闇鍋薫る宵の刻稗島塗小太郎
静けさや発砲前の狩の空白水
獣道狩りの目光る西東はごろも856
狩人の差し入れは初熊鍋橋爪利志美
熊狩りの銃口の先親子落つ波止浜てる
ビーグルの遺伝子さわぐ狩の爪橋本恵久子
狩人が狙う獣の目は澄みて初野文子
摂理とも逃げろと思う狩映像花岡幸嗣
狩に行く軽トラ隊の勇ましさはなおかひろかず
縄文の狩りして遊ぶ泥の顔花弘
自在鍵狩のあとなる猪子の肉花野
研ぎ澄ませ狩猟の武器は五感なり花和音
血沸き肉踊れないよ狩は地響かせるもの羽沖
狩の音森が無いよと嘆く声馬場勇至
俗人の無常を背負ふ猟人かなぱぷりかまめ
人も犬も獲物も命かけて狩浜けい
狩せんと分け入る背中魔の笑い浜友輔
狩の山いづこで命奪はるる林山千港
猪も狐も消えて狩場台原善枝
「熊出没」の無線合図にいざ狩へ原島ちびすけ
喉乾き脈早打ちの狩始む原田民久
遠き山タァーンとひとつ狩の音原野乃衣
狩人の優しい顔がこわばる一瞬時haru.k
鉄砲は供養ジビエの鹿を狩る春爺
狩人の眼の音か鹿耳ぞ立つ晴菜ひろ
狩の為歯でかみ砕く苦い皮ばんしょう
パパパンは狩の獣の弔辞かなHNKAGA
大叔父の形見の銃や狩デビュー東原桜空
狩猟犬殺気立ちたる狩りの時期東山たかこ
狩犬のまなこの奥に狸をりひぐちいちおう(一応)
犬老いてなほ牙を剥く狩の夢樋口滑瓢
命懸けバーチャルでない狩の道久鍋得利子
先見えぬ狩の季節の星々やひしぬままき
人と言ふ獣が遊ぶ狩場かなひすい風香
目の白い鳴き声さえる狩の鳥美泉
狩猟期の森や霊気の匂い立ち美竹花蘭
狩の目や失敗挫折で磨きます日向の球磨
森の中銃声響く狩の後ひめりんご
車座の一升瓶や狩りの宿雛子なな
狩の朝誤射に息絶ゆポニーの仔平井由里子
内臓の湯気にいのちを知る狩や比良夏翠
剥製の問わず語りの狩の宿平野孤舟
猪狩の記事短冊やジビエ店平松一
しとめたり狩場に一瞬の静寂廣重
狩られるを悟りし狩りや小十郎風泉
水鞠で猟銃は背に身を清む深蒸し茶
確信に満ち猟犬の上げた顔ふくじん
狩の鹿笛だるまさんがころんだ福田みやき
初めてのジビエ一割は狩の味藤井聖月
空の色しんと静かに猟の前ふじこ
狩人は生きてゆくため殺生す藤原訓子
猟犬のごと君ジビエ食らひけり風友
分け入って静寂破る狩りの音ぶるーふぉっくす
狩人に心得ききて山撮影古澤久良
猟銃に我と獲物の板挟みヘッドホン
猟銃を口に含みし慚愧の夜べびぽん
狩られし熊の傍に子熊の悲哀星雅綺羅璃
狩の末縄文人の生まれけり堀隼人
狩の宿具の物足りぬジビエ鍋堀邦翔
猟犬の息づかいふと郷里秋田本間美知子
狩するや獲物の肉の赤黒きほんみえみねこ
川越えて神域超えて猟人へ茉叶
風の音に耳そばだてて狩の犬正岡恵似子
初陣の狩に震えし君を抱き雅蔵
狩人と雁の息飲む心理戦またあ
猟銃やずしりと命の積み重ね町田勢
一閃に虚空捉へて狩進む松平武史
狩くらや深く分け入るけもの道松高網代
犬が駆け馬が走ればそれは狩まつとしきかわ
猟銃に実弾こめる手の震え松野蘭
狩の道命戴くことを知る松村貞夫
狩人よぬくやおにぎりふところに松本牧子
風を読み犬と山入る狩人や真理庵
狩に来て過去世の記憶蘇るまりい@木ノ芽
我が猟犬軽トラの上で仁王立ち○エツねも
みづみづし土鍋の昆布や狩日和三浦金物店
日の出でて狩の銃声こだまする澪つくし
猟銃音イノシシは交通事故死みことのりこ
さあ狩ぞ逃げろ隠れろ獣たち三茶F
追い込みて笑みで輪を解く狩もどき水乃江辰
吾子抱く手銃に持ち替え狩に入る水野ややちゃん
若き日の狩の話にホラをふく光子
徴兵を拒みてマタギ狩に死す満る
照準の先との間合い図る狩湊かずゆき
一服し男ら狩の目となりしみなみはな
収穫を終えた里では狩談義見屋桜花
窟深くクロマニヨンの狩の記憶みやざき白水
猪逃す勢子声むなし銃重し美山つぐみ
皮纏ひ獣となりて狩場かな宮村土々
始まりはサビニの狩のローマなり妙
猟銃に観つめられ鹿身じろがず夢雨似夜
元猟犬ソファー狩場にへそ向ける村岡佑太
狩る者は獣となりて仏となりて村上一杯
野を駆ける万葉の狩の息づかい紫けい
狩の犬我にも我の役目あり村松登音
縄文の体力有りし石の狩モコ
猟犬の嗅覚頼り晩の飯本村なつみ
猟銃音冷たき空を切り裂きてmomo
銃磨く狩の前夜の山静か桃花@いつき組俳句迷子の会
朝靄にマズル鋭く狩の犬森毬子
目で追う狩列なし泳ぐ潜る頭もり葵
ビーグルは猟犬気質たまに出し森下薫
猟銃の乾いた音や露天風呂森中ことり
獣らに狩られる夢で変えた夢杜乃しずか
きな臭き毛皮燃す香や狩りの後森の水車
生き延びるべきはジビエか狩人か森翠
狩人の冴ゆる君の目プロポーズ奴
市中では駆除処分という名の狩柳井るい
青い鳥まで殺すのか狩の馬鹿柳瀬レーコ
猟銃の生きるか死ぬか一大事やのかよこ
命ひとつ天へ帰すや狩の山八幡風花
耳も尾も立て飛びかかる狩の犬山川腎茶
エゾヒグマ飛沫キラキラ競い狩山口
子は親を外で待ちをり狩人の家山口絢子
またぎ追う熊狩りのなか犬も吠え山口雀昭
猟銃音メイドら城にパンの香と山口たまみ
猪狩や毛皮並べて老翁の店やまさきゆみ
標野張り意気揚々と狩りをする山下ひとみ
限界の村に狩せしジビエかな山育ち
へたり込むほどに疲れし狩の果て山田啓子
狩りの場はあまりに遠く思いなく山田文妙
巻き戻す猟銃を折るその場面山田喜則
慶喜の昔の狩や富士裾野山薔薇
荒涼と狩場に潜む殺気かな山本康
毛の付いた肉ぐつぐつ煮えて狩り自慢山吉白米
キツネ狩り遠い世界の物語陽光樹
狩に行く祖父の背中に漢あり夜香
小坂チアキひとりで挑む蝦夷の狩横田信一
狩の供煩き隣家解禁日吉哉郎
夕狩の細く確かな獣道吉川拓真
夕の狩瞬くと消えじっと見るよしぎわへい
昔日の弓矢震える兎狩吉田びふう
瓜坊に狩の手とまる人の親吉藤愛里子
うさぎ狩命いただくまたぎの子四葉の苦労婆
猟銃や互いに揺れる命の火雷紋
市街地の猟期伸びたるヒグマかな流流
狩人の目には猪すんでおり鈴音
狩の帰途ねぎらいそっと首輪引く麗詩
山神に供物捧げし狩の者連雀
高原や伏して群れ待つ狩の悲喜蓮風
父の自慢狩成果よりポインター若林雅美
愛犬の狩猟の父を先導す若林鄙げし
狩りの音おさなき喉の好奇心和光
足音のきしむ山道狩の朝わたなべすずしろ
苦渋かなリンゴ農家に狩の音渡辺陽子
鍋囲み狩りの成果は銚子の数和の光
子へ帰る足跡途絶え狩哀れ笑笑うさぎ
狩成功ジビエパーティー心待ちaama
- 夏井いつき先生からの一言アドバイス
-
●俳号には苗字を!
○俳号とは、その句が自分のものであることをマーキングする働きもあります。ありがちな名、似たような名での投句が増え、混乱が生じています。せめて、俳号に姓をつけて下さい。
皆で気持ちよく、この広場にて共に学び楽しめますよう、俳号の付け方にご留意ください。
●俳句の正しい表記とは?
- 狩犬も 家の中では 炬燵の間男花
- 地のすずめ かげの猫の目 狩人め梅原宏茂
- 狩り行けば 何も穫れず カラス鳴くかめれおん
- dna 何処かに狩人 山椒魚ギザギザ仮面
○「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪
●兼題とは
- 母の声朝のスウプは冬を射る天科灘
- 聖夜の日付入院書類小野原龍
- 寒空を苦にもならずに芝生刈りみきのり
- 一冊の本で冒険行ってきます豊田はなみ
- 巨大空彼岸に伸びる草の原山鉄
- 香川来てあんもち雑煮おどろいた太田しろ
○本俳句サイトでは兼題が出題されています。今回は冬の季語「狩」での募集でした。次回の兼題を確認して、再度挑戦して下さい。
●「狩」あるいは「狩の獲物」を詠んだ句ではありますが
- てつほうの凍てつく眼の先の牝鹿よ米原梓美
- 息をのむ閃光の先断末魔チェリーボーヤ
- 守り鈴命尽きても悔いは無し致清
- 友人の家で出された猪肉忘れない*nonbiri*hokkori*
- 氷張る池の片隅つどう鴨よこたこうじ
○兼題は、テーマではないので、「狩」という季語を詠み込む必要があるのです。
●猫や鳥の狩
- 狩猫が鼠咥えて雪に置き白水秀美
- 狩の目となりて家猫紐を追ふ神or愛
- 冬の朝鼠狩取り自慢顔紫龍
- 我が猫どもは猫飯食わず狩をする楠田草堂
- おもちゃでも狩る本能よ猫哀しあいあい亭みけ子
- ねずみ狩り腹ぽてちんの猫しゃなり石橋千佳子
- 雀狩り我も獣とタマが云い石の上にもケロリン
- 昼寝すみモグラカナヘビ狩る猫ら泉梅子
- 日の斑追い狩りの目となる猫二匹今井淑子
- 尻振りて狩の眼となる仔猫かな斎藤数
- 爪研ぎて今日もまた狩行くや猫砂舟
- 草むらに狩するねこ野生みせさぬきのにゃんこ
- 得意げに狩の成果を見せる猫瀬戸ティーダ
- 狩りの目や天井一点猫定む琵琶京子
- これも狩か!ジェリーがトムを追いかける松島美絵
- 背を低く鳥狩る猫や玻璃戸内三島瀬波
- 狩りの目の猫の跳躍ねこじゃらし水無月葉子
- 狩をするノネコは生きるためにする宮原みかん
- 里帰り午後の出来事猫の狩山野花子
- 愛猫の自慢げな顔ねずみ狩りロジャーラビット
- 山鳥は見て狩は赤き果実よそれいゆ
- 冬を狩り氷突き割る寒鴉那和几
- 恐竜の狩りをする目の化石にて西尾至雲
- 虫が跳ね急降下の目狩りの空豆福樹々子
- 舞う鳥をはすからねらう鳶の狩三保鶴
○兼題となっている冬の季語「狩」は、鳥獣を罠、網、銃などで狩猟することを指します。ですから、猫や鳥が獲物をとる行為は、季語としての「狩」とはいえないのです。
兼題の季語について、まずは意味を調べてから、句作に入ることが肝要です。
●紅葉狩、苺狩、茸狩など
- 紅葉狩り今年は近場で済ましけり聰子
- 紅葉狩りライトに浮かぶ紅葉橋樺久美
- 紅葉狩り 夢見て起きた 侘び住まい桐山榮壽
- 君となら握手できるよ紅葉狩堤善宏
- オレンジのトンネル抜けて紅葉狩り湊弘
- 溜め息の 行方辿りし 紅葉狩り大村朱希花
- 何するの孫はきょとんともみじ狩り谷口美奈子
- イチゴ狩り味より数の使命感明日良い天気
- AIの仮想空間いちご狩りakkotas
- 吾子必死にこりともせず苺狩天川滴翠
- 狩れちゃったうふふ松茸うれしいな鈴木葉子
- ソロで行くキノコ狩には危険付き高橋紀代子
- きのこ狩夕げ楽しみうどん打ち榛名ぴぐもん
- 逆光に目を細めたりミカン狩杉本誠山
○「狩」という漢字は入っていますが、「紅葉狩」「苺狩」「茸狩」などは全く違う季節の季語です。
●買い物も狩……?
- 狩りの日や半額セールで鴨狙い淡水亭
- 人間の買ひ物それは狩りなのか平本文
- 列並び福袋狩刻々と日向大海
- スーパーの値下げ目当てや狩のようしげとし
- 給料日前狩ってきた肉まんどこにもない滝川1019
- 息白し心は狩人ジャンボ買ふ猫辻みいにゃん
- 今週の値下げ商品狩楽しひーちゃんw
○日々の買い物を「狩」に喩えたい気持ちは分かりますが、それは季語とは言わないよ。
●季語とはちょっと違う狩
- 人類は身を護るためコロナ狩加島
- 狩人や札際狙うクイーン戦大江鈴
- イベの狩獲物は着ぐるみのウサギ空龍
- オンラインの狩にいそしむ大晦日里海太郎
- 経済の発展の為人狩りてさんとうせい
- 哀れかな狩に遭遇酔いオヤジしかの光爺
- あさひより先に空狩る息白い篠原亜希子
- 割り下を纏っただけの肉を狩るスタンダードまろん
- 父亡くし痴いる母抱き明日を狩るすみ子ろろ
- なにを狩る鬼滅コスプレ街を行く静江
- ひたすらに夢を狩りつつ古希近しそしじみえこ
- 床屋さん狩り入れ時の師走かなちゃんこダイエット
- 射的屋の菓子狩る仕草ネコの如弦巻英理華
- 待ちぼうけ四ツ葉狩る子のランドセル徳田和良
- 映画見たディアハンターの逃がす止むパンダ
- ブラジャーで母なる星を狩り尽くす藤乃雪
- 安全のかたち被ばくを測る狩松井くろ
- 袖を振り魂狩りぬ五月の野瑞季ゆうな
- 年賀状届いて虎が狩りをする六浦筆の介
- ボール狩り沸くスタジアム遠き声望月朔
- 半押しで狙ふ獲物や撮るは狩雪井苑生
- 命がけ中島みゆきの狐狩り上田次郎
○これらの句は、「狩」を比喩に使っているうえに、実際に鳥獣を狩猟しているわけではないので、兼題のルールからは外れます。
●気持ちは分かるのですが
- 喘息の子と仰ぐ狩人オリオンを平井千恵子
○冬の人事の季語「狩」ではなく、星座オリオンを描いている句と読むべきではないかと。
●入力ミス・文字化け
- 初刈やパトカーも来し峡の朝葵そら
- ?狩の祖父愛用の村田銃羽馬愚朗
○入力ミス、誤字脱字はよくあります。送信ボタンを押す前の、最後の確認を習慣にしましょう。文字化けは不可抗力に近いけど、文字化けしそうな字を予測できるかも。
●季重なり
- 狩り場から強く冷たく北颪板津和貴
- 身構えて白き息吐く狩の朝盆暮れ正ガッツ
- 白き息狩の恵みに歓喜の輪まやみこ恭
- 仕留めれば雑煮は兎父の狩り吉田まゆみ
- 冬到来狩して囲炉裏で暖をとる井上未鼓
○一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「狩」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。
●鷹狩は微妙
- 真っ赤なる鷹狩の目と嘴と爪虎八花乙
- 狩を待つ鷹三羽鳥カフェに居り凡狸子
- 天泣や狩り待つ子鷹森に鳴く山井直
- 家康の鷹狩りの道渋滞す高橋光加
- 家康の狩場の歴史住まう町裕子
- 家康の狩場群れゐる発掘隊いたまきし
- 家康の狩場を散歩今民家えみばば
○まさに、家康の頃の狩といえば、鷹狩りではあったのですが、現代の歳時記では、冬の季語「狩」は猟銃や罠での狩猟を指します。「鷹狩」は別の季語として、独り立ちしてます。
●悪くはないけれど……な類句例
- 狩りするも狩られるほうも命なり笠江茂子
- 狩るほうも狩られるほうも命がけ亀田かつおぶし
- 狩するものと狩られるものはいのち鈴木勝也
- 狩る方も狩られる方も孤独か死リーガル海苔助
- 狩るものと狩られるものの世界は無愛燦燦
- 狩るものも狩らるるものも運のもの木寺仙游
- 狩る者も狩られる物も山一つ椿こちょすけ
- 狩るものへ狩られるものへ森の声野地垂木
- 狩るものと狩られる間のいみじさよぶるーふぉっくす
- 銃声とともに飛び出す狩猟犬二和田美枝子
- 銃声の音に飛び出す狩猟犬円美々
- 狩くらで縄文の血沸騰す惣兵衛
- 縄文の血のたぎりかな狩の道吉田びふう
- 猟銃を構へ獣の目となりぬ宮坂暢介
- 狩に出る男獣の目を持ちて野ばら
- 剥製の熊の迎える狩の宿森山博士
- 剥製の熊の牙むく狩の宿工藤悠久
- 剥製の熊睨みゐる狩の宿しぼりはf22
- 猟犬も主も互いに年老いて美月舞桜
- 猟犬も男も老いて山に消ゆ葦たかし
- 猟銃音外してるきっとあの音はカオス
- 猟銃音遠し今のは外したなぐでたまご
○このような類句例を、データとして自分の中に蓄積していくことも、凡人の沼を回避する具体的なトレーニングになります。
お待たせしました!12月の兼題「狩」の結果発表でございます。「狩」という兼題、難しかったですよね。ここ最近でいちばん少ない投句数でした。2月の兼題は明日(1日)発表ですが、ヒントは動物です。みなさまのご投句、楽しみにお待ちしております!(編集部より)