夏井先生のプロフィール
夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。
5月の審査結果発表
兼題「泉」
「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。
鳥と月しづかに跨ぐ泉かな
上原淳子
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夏井いつき先生より
今回は、過剰な演出をし過ぎて、季語の鮮度を落としてしまう句が多かったように思います。この一句は、季語「泉」の本質をシンプルな言葉の選択で表現。心が澄んでいくような作品になりました。
森の奥でひっそりと何百年も湧き続ける泉を思いました。恋を語る鳥たち、縄張りを争う鳥たち、子育てをする鳥たちが集う泉。欠けてゆく月、満ちてゆく月、朧な月、暑くて赤い月、清澄たる月、寒気に青む月、さまざまな月がその水面をさざめかせる泉。
擬人化はややもすると陳腐になりがちですが、この句の「跨ぐ」は、鳥と月の悠久なる営みを抽象化して見事。常套的になりがちな形容動詞「しづかに」が、「鳥」「月」「泉」の表情を支えます。
泉汲む双眼鏡を背へ垂らし
板柿せっか
バードウォッチングの双眼鏡でしょうか。背中の側に回し、泉の水を飲んでいるのです。背に当たる双眼鏡、水に触れる手、冷たい喉ごし。それぞれの感触が、そのまま読者の皮膚に再生されます。
寂しくて涸れた泉を知つてゐる
花伝
泉が涸れた理由が「寂しくて」なのだといわれるとなぜか納得します。鳥も来ず、月光も届かぬ鬱蒼たる森の泉は寂しさに涸れる。その詩的定義が、私たちの寂しさと共鳴するからかもしれません。
みづにみづ溺れるやうに湧く泉
古賀
「泉」を一物仕立てで表現した一句です。「みづにみづ溺れるやうに」は秀逸な措辞。中七のこの技法のポイントは、擬人化&比喩を映像化すること。泉独特の水の動きが鮮やかに見える作品です。
いづみとは母でありつづける痛み
斉藤立夏
私の「母でありつづける痛み」を「いづみ」ならば分かってくれるのではないか、癒やしてくれるのではないか。そんな心の声が聞こえてくる作品。「痛み」の一語がキリリと我が心に刺さります。
泉澄みわたり最終処分場
横浜J子
「泉」と「最終処分場」、相反する二つの言葉。社会へのシュプレヒコールを、見事に詩として昇華させた作品です。地の哀しみを吸うて、泉はますます蒼く澄みわたっていくに違いありません。
ナイフ沈める悲話のひとつもない泉RUSTY=HISOKA
地下よりの水の産ぶ声泉湧くANGEL
避難指示地区なほ湧泉の水冥むあ・うん
手ぬぐひに今朝の泉のにほひかなあいだほ
村人に泉を奢る山の神赤馬福助
霊廟や泉湧きたる山は雨愛燦燦
文字板の墨書うっすら泉汲む藍野絣
谺みな洞へ帰つてゆき泉葵新吾
夜の泉懐かしきもののみ映し蒼空蒼子
書笈投げ泉を終の住処とす青田奈央
泉あり絡め取られる千々の音あおのめ
泉澄むなんてちひさな足でせう秋沙美洋
泉に来金婚式を前にして昭谷
踝の冷えて泉のあをあをし朝月沙都子
月読を隠して閑かなる泉あさのとびら
ホーローのコップを借りて泉汲む麻場育子
身のうちの熱り知りたる泉かなあずお玲子
どなたと言ふ母吾とあをき泉触れ足立智美
死ぬらしき父を泉に浸してみんあまぶー
泉湧く地球の臍をくすぐりて綾竹あんどれ
手を入れば揺らぐ泉の定まらずあらら
長袖をまくり泉の底に触る有本仁政
音もなく泉は真昼撹拌すアロイジオ
あの指輪泉の底にありますかアンサトウ
星たちの眠る泉をすくひなむ飯村祐知子
泉辺に官能の失せゆけり 音いかちゃん
サファイアの指輪泉にゆらぎをり郁松松ちゃん
鉛直に滾る泉の深ければ池内ときこ
ンゴロンゴロの河馬裏がへる泉かな池之端モルト
太陽を飲みこみしづかなる泉イサク
掬ふみづこぼれ泉へ還りけりいさな歌鈴
泉つめたしつめたしと義手伝ひくる石井一草
屈むれば泉に浸るネックレス石井茶爺
約束の真珠沈める泉かな石塚彩楓
泉水の光りて星と交信す石原由女
霊験のあるてふ泉三口飲む遺跡納期
郡上八幡の五百年を泉磯野昭仁
万の蝶沈め泉の清らなる斎乃雪
行き場なき風プラチナの音の泉一斤染乃
この朝の泉の色を静謐とす伊藤柚良
泉掬う逢ひたき人と会ふやうに伊藤治美
少年は棒もて泉いぢめけり伊奈川富真乃
子の傷を洗ぐ泉のやはらかさ稲畑とりこ
倒木を跨いで三歩泉汲むいまいやすのり
夜は星の色なすらんや野の泉今井淑子
伏龍の涎ゆらゆら泉湧く伊予吟会宵嵐
ユニコーン来ず濁りたる泉には色葉二穂
泉湧く水輪に雲の収まらず岩橋春海
神域の泉に雨の波紋かなういろ丑
留石は山彦のみぞ知る泉うさぎまんじゅう
泉あり水底色の水のあり宇佐美好子
樹齢は百年泉は今生まれ宇田建
泉湧く静かに浸す水みくじ内田英樹
肉厚の手で汲む泉郵便夫内本惠美子
薬指ことさら長く泉はも靫草子
磨かれて湧くや祈りに似て泉海野碧
王国はいくつ滅びて泉湧く浦野紗知
倒木の声は透明たる泉詠頃
渓流の泉湧く獲物の息か江田綾子
泉とは秘密にしたき場所ならむ絵十
泉ありあれやこれやの荷を下ろす戎居多佳子
泉へと足を浸してサリンジャー海老名吟
ひげ面の兵士とか来る泉かな朶美子
地球には月しか知らぬ泉あり江見めいこ
いづみいづみ十年後に会う約束はM・李子
始まりはちひさく点の泉湧く円 美々
泉汲むペットボトルは二百円近江菫花
前撮りの二人は裸足泉の辺おおい芙美子
つらら石伸びぬ泉に触れたくて大紀直家
天蓋の森の泉の底の靴大黒とむとむ
朝空に浸す両の手泉湧く大小田忍
微笑みのやうな泉の声光る大槻税悦
君が手のゆっくり触れる泉かな大津美
聖剣のような草木よ泉わく大野美波
水底は光のるつぼ泉汲む大庭慈温
一日を照らす琥珀色の泉大山葉
辛口の男泉に死角あり大和田美信
泉より掬みたる彩やバカラ瓶岡井風紋
泉から無数の空の湧き出づる可笑式
遣唐使汲む奈留島の泉なほ岡田明子
逃走の馬来て止まる泉かな岡田雅喜
いずみわくあの日の風に帽子飛びおがたみか
森映す泉の底に何か居るオカメインコ
金剛の石映りたる泉かな 岡山小鞠
泉静かなり防護服の目小川さゆみ
立つ前に泉に浸す作業帽小川天鵲
泉澄む俯く人の窓として小川野棕櫚
泉より戻りし少女透きとほるおきいふ
泉より出づるはひかり揺るる音オサカナクッション
ハングルの警告山寺に泉あり王子田ぶらまん
クコクコと泉の口の笑いたるおぼろ月
泉から子が生まれそう子を呑みそう海瀬安紀子
売る水に泉の風のなつかしき甲斐みか
消息はこの泉辺りで断ったというカオス
放課後は泉の音を聞く時間影山らてん
泉汲み母を泣かせし口漱ぐ樫の木
見つけたる泉の清さうたがはず加世堂魯幸
泉湧く音色はツリーチャイムかな風ヒカル
神様がきらきら笑ふ泉かな片栗子
ヒンドゥーの泉や原色の祈り克巳@夜のサングラス
泉辺に暗殺者の来ない朝桂子涼子
「この泉の水飲めます」和尚の字カフェオレ専門店々主
地の底の孤独清らに泉湧く神長誉夫
泉は清き何も棲もうとしない亀の
心友は一人もをらぬ泉かな加良太知
案内さるシーズー犬に泉まで川村湖雪
カンロ飴落として泉閑かなり閑々鶏
くずれたる古祠や龍鳴く泉かな岩のじ
唇に響く泉の鼓動かな喜祝音
ほんものと置物の亀泉汲むキートスばんじょうし
泉湧く山の懐通り抜け菊川寝ん猫
遊び疲れて昼になる泉かな菊池洋勝
生くること拒む泉を砂浮遊北川そうあ
吾を離れ泉の砂となりにけり北野きのこ
苔石の柔和やゆたかなる泉北藤詩旦
火の国の炎なだめる泉かな北村礼子
生ぬるい呼吸樹海の泉かなきなこもち
泉湧く地球の耳石狂わずに城内幸江
笹舟を難破させたる泉美し木ぼこやしき
八重垣の泉に祈る娘たち木村修芳
泉汲むボトルは一本三百円紀友梨
星堕ちて泉の主の目となりぬ清島久門
泉辺に取っ手みたいに寝転んでギル
狼の喉うつくしく鳴る泉ぐ
青年の耳あらはなり泉聴く久我恒子
口笛に胎動あまやかに泉ぐでたまご
龍神の呼吸漣立つ泉くま鶉
泉噴く龍神様の大いびき倉岡富士子
くれなずむ泉ゆらいでゐる家族倉木はじめ
腹の子へ泉の風を吸ひ込めり倉嶋志乃
人けもの泉にあらう傷もちて紅さやか
暗きより出口の眩し泉湧く黒沢まる
延命てふ泉の中をさまよへる薫夏
清泉をまずは拝みて正殿へけいたかこ
裏切って泉の水が飲めませんけーい〇
壬申の墳掘れば湧く泉かな健央介
泉あり月の鼓動をこゑとして小池令香
泉辺で聞いた話は嘘ばかり公木正
泉汲む末期の水の甘からん幸田柝の音
恋人に触れる手泉に湿らす手高野豆腐
セグウェイの試走いずみの薄荷色小笹いのり
神泉迄のむせかへる獣道コスモス
漆黒の泉よ何を飲み込んだ木染湧水
神さまと会うのは泉掬うとき小手鞠しおり
泉湧く聖堂の祈りのごとく小殿原あきえ
時の湧く泉を人は永遠とこま
泉にてお山はへそを隠しけり小薪まりちゃ。
しゃっくりがとまらない泉の水を飲む今藤明
分校の先生と汲む泉かな今野淳風
泉わく少年にある変声期さいたま水夢
大空は泉一つに歪みけり齋藤夜明鳥
隕石の飛び込みさうな泉かな齋藤杏子
ごくごくとラマダン明けの泉かな早乙女龍千代
とわとわと泉とくんと心臓さかたちえこ
植林の森にたどたどしく泉さくさく作物
願掛けの泉飲まうか飲むまいか咲弥あさ奏
泉にてうるおす黄昏の旋律さくら亜紀女
倒木の重なりあへる泉かな紗千子
泉飲む生命線はくつきりと佐藤志祐
心音や泉はとほく夜を響む佐藤儒艮
夜の泉木々は手当を欲しがってさとけん
地の底へ引っ張られさうな泉かな里山子
独居めく泉ちちちちちちしづか錆田水遊
どの顔も愁眉を開く泉かなさぶり
何かその泉までとどいたふるえさむしん
泉湧く地球粛粛公転すさるぼぼ@チーム天地夢遥
てのひらはわたしの器泉汲む澤田紫
泉渾渾浄土の栓は抜けたるか澤村DAZZA
児を夫に預け泉を掬みにけり三泊みなと
泉辺に旅人と鹿のかしづけり紫瑛
能書きのままに泉を掬ひけり品川笙女
水の地図暗渠から泉へ向かう篠原雨子
金網に塞がれてなお泉わく篠雪
愉しげに生まれきたれる泉かな渋谷晶
一番星泉の底は宙のはてしぼりはf22
千年の森はぼこりと泉産む島田あんず
迷子とは泉へたどり着くちから嶋田奈緒
こんこんとこぶのとれるといふ泉清水祥月
薄荷色の風を従え湧く泉じゃすみん
うろこめく樹皮を泉に浸しけり砂楽梨
深呼吸すれば強張り解く泉寿松
泉湧く水面に和き天眼鏡シュリ
棺めく泉の色を掬ふ朝常幸龍BCAD
天泣に次々泉打たれけり白よだか
生きるってこんなしんどい泉湧く新開ちえ
動揺を見透かしてゐるかに泉しんぷる
義家の弓音遥か泉澄む深幽
ぽちゃんとは鳴らぬ泉の張り具合水花
泡ぷくり静かに泉息してる澄海舞流生
神泉の光に耳を澄ませけりすがりとおる
泉の月ゆたにたゆたに欠けゆけり杉本果ら
屈むれば泉の芯のゆるぐさま鈴木由紀子
りゅらりゅらと光のうたふ泉かな主藤充子
木漏れ日や泉はリズム正しうすスナップ
こんこんと泉わたしは真人間すりいぴい
木道の修理工手で泉汲む晴好雨独
ぼこぼわっと闇から目覚め泉かな星夢光風
鏡面の緩みて午下の泉かな瀬尾ありさ
風吹いて殊に泉の透き通る瀬戸ティーダ
地下水は泉に触れて屍に世良日守
クメールの泉や牛の拭わるるせり坊
霊泉にゆるりゆるりと深き皺惣兵衛
泉には何も隠されてはいない曽我真理子
登り来て泉に荒く口づけるそまり
青空の濾過されてゐる泉かな染井つぐみ
ふれたいと思う泉は暗がりにたいやきは腹から食べるにゃんこかな
沢山の泉や曽祖母に会いに高石たく
みたされて手には泉のうつり香よ高尾里甫
客途絶え今日も泉はこんこんと高嶺遠
喝貰ふ山神様の泉水に高橋 淳子
さざ波の泉をじつと阿修羅の目高橋寅次
さみしさは泉のことば聴きてより高橋無垢
泉滾滾と右脳を浸しゆき滝川橋
中年となりて故郷の泉かな多喰身・デラックス
けふ恋をすると思へる泉かな竹内一二
踝より北国のひと泉透く多事
色の無き泉の水の色深し唯飛唯游
吾が瞳青みさうなる泉かな多々良海月
脱皮する少年泉湛えおり立葵
泉湧く朝を掻き混ぜたる匂ひ橘まゆこ
泉浴びをんな幾度も転生すダック
わたしけだもの泉のみほしたくてもう田中木江
木簡の墨に営み泉湧く田端欲句歩
泉澄める良き物語与ふれば玉木たまね
泉に手きらきら埃めく死骸玉庭マサアキ
翅を持つものの泉に触れてゆき玉響雷子
水の面に御幣のゆらぐ泉かな田村モトエ
星々の過去を泉は伝へ継ぐ田村利平
一人きり銀の指輪を投げ泉田本雅子
毀れさう夜の泉の音を抱きちゃうりん
天道の樹冠に広き泉かなツカビッチ
この泉なみだが湧いてゐるといふ月影の桃
沈黙す泉の星を二個掬いつきのひと
こちこちのパンと友あり泉あり辻内美枝子
棲みたるは己が影なり泉汲む対馬清波
口止めをして泉への藪ひらくツナ好
青色のスーパーカブで汲む泉ツユマメ末っ子9歳@いつき組広ブロ俳句部
仄暗き泉覗かば彗星来鶴小なみ
身勝手を占う泉清らかに弦巻英理花
脈をうつ泉の底にみづの罅天陽ゆう
その泉石の記憶の静脈音トウ甘藻
泉川ここはあくまで世田谷区東京子
つぎ何か湧くかと覗きこむ泉東京堕天使
りんりんと花弁のひらくかに泉とかき星
泉にてA案B案棄てにけりとき坊
信楽の茶碗円相泉湧くときめき人
罅割るる鏡の眠る泉かなどくだみ茶
泉湧く明けには黄泉の匂ひしてとしなり
屍の静かな祈り泉湧くとしまる
大字の謂れや古老指す泉戸部紅屑
泉噴くきっと哀しいテラの芯トポル
夜風かな泉に星の孵る声トマト使いめりるりら
ペットボトルを泉の涼で満たしたる友@雪割豆
うつくしき嘘あり星宿す泉富山の露玉
木霊から零るるままに泉湧く内藤羊皐
ポロネーズ聞こえて止まぬ泉かななかむら凧人
りす組の泉に着いたらしい声新蕎麦句会・凪太
陽の鱗しづかに溶けて泉かな夏 湖乃
鬼の塒より十八歩なる泉夏野あゆね
ワタシノ死ンダ泉、飲ホスアナタ夏雨ちや
泉とふかたちにみづの盛り上がる名前のあるネコ
喫泉へ老叟の背に遅るるな西川由野
いにしへの翳る泉の今朝の色仁和田永
撥条の緩みきるまで泉湧く猫詠たま
泉湧く心底の泥動かざる根々雅水
始まりは誰も知らない泉なり野井みこ
分け入らば森の心臓らし泉野地垂木
踊る砂太陽磨く泉かな埜水
二つ目の故郷はここ泉湧く野ばら
リヤカーの賑やかな日の泉かな登りびと
山麓の泉は鏡融ける空白雨
泉より太古の冷えのひと掬いパクパクポンタ
先客の気配の朝の泉かな長谷川水素
山奥の水の化石となる泉はっしー
誰か来て誰かが帰る泉かな八田昌代
耳朶へゆらぐ泉のこそばゆくはなあかり
歌詠みの泉に交わす声さやか花岡淑子
影法師泉覗けば月近し花弘
踏みにじる雨が泉をぐちゃぐちゃに花屋英利
泉に届く光に磨かれて森ははのん
象つかひ泉につどひ象洗ふ濱野菜摘子
倒木は相席泉に風かすか葉るみ
尻ひとつほどの岩場のある泉はれまふよう
ふたりとも泉に足を滑らせてひっそり静か
泉覗く泉下の人に似たる顔ひでやん
心臓の近き指もて泉撫づ日向こるり
敬称を持ちて久しき泉かなひなた和佳
歌垣のその後さみしき泉かな比々き
つつましき泉分けあふ鹿の尻平本魚水
腰掛けて古書のにほひの泉かな平本さち
生贄を呑んで緑の泉かな昼寝
我といふ輪郭もろし泉鳴る広木登一
愚痴る吾に泉の音は真新し廣重
泉きらきら内緒の待ち合わせひろ夢
ここいらは古今こんこん泉湧くふくじん
泉湧く音のカタチは半円形福良ちどり
招かれざる死に明るさを増す泉藤色葉菜
太陽に黒点森に泉噴くふじこ
BB弾浮かぶ夕べの泉川藤咲大地
みえるものばかりとはかぎらず泉冬のおこじょ
泉辺の人に習ひて柄杓置く古川シアン
背に風の翅を授かる泉かな古田秀
草も岩も泉匿うかの高さふるてい
人間も泉も星のかけらかなヘッドホン
しづけさの泉戦の起きさうな紅ズワイガニ海老美
飲み干して泉の色となる体干しのいも子
水晶を沈め泉は澄みにけり星詩乃すぴか
泉汲み了へて指環を嵌めなほすほろろ。
ふくよかな山の心音泉湧くまこ@いつき組広ブロ俳句部
菩提樹のおちて泉の襞きれいまこちふる
東雲や泉は赤い鸚哥飼う松井くろ
胎動の音まっさらな泉かな松田文女
泉有り水の頭をもたげけり松村貞夫
草深き泉しづかな午後に入る松本裕子
星しづめ咆哮をしづめて泉まどん
ぽわんぽわぽぽっぽわんと泉鳴る豆福樹々子
右肩に髪を集めて泉汲む真宮マミ
泉湧く子どもの声は水の色丸山隆子
泉鳴りヨルの蒼さを解毒せりまんぷく
泉までいきもの踏まぬよう歩く三浦にゃじろう
わたくしの秘密を知つてゐる泉南方日午
口漱ぐ泉しずかや旅半ば湊かずゆき
泉といふさみしい水に来てしまふ水面叩
我映し泉はすこし濁りけりみやかわけい子
一瞬に獣の臭ひ泉川みやこわすれ
独り身の泉のこゑを聴き夜明け宮坂暢介
木漏れ日をかそけき音として泉宮武濱女
泉から塩飴二つ山頂へ雅乃珠晃
暗きより出でて明るし泉川ミラベル
悲話をもつ泉藻に蓋されてをりみわ吉
沼よりも泉おそるるをとこかなむうさく
波郷来る泉の音を拾ひつつ椋本望生
泉より揚げたる斧の鉄きれい武者小路敬妙洒脱篤
泉噴くゆらりと当てる子の足裏むべ
泉澄む杜氏の柏手高き朝無明庵乾齋
乳房なき胸に泉のとほりけりむゆき
そよ風や泉のシンメトリー緩む村上牛蒡
泉湧くサマルカンドの青タイル桃香
関所ちひさくなりてやうやう泉ももたもも
巡礼地の泉尽きせぬ痛みよもりたきみ
泉に目のぞけばのぞき返されて森中ことり
こんもりと水が膨れる泉かな八木実
マーブルチョコ投げし泉の今小さき山羊座の千賀子
泉鳴るここは平らな地の始め矢口知
緑の喧騒ひと際なる泉八永真之介
けだものの渇きへいづみ澄みとほり山内彩月
泉湧く天岩戸を開けし神山川腎茶
沈む葉の葉脈さやかなる泉山﨑瑠美
言の葉も澱となりけり泉濃し山科美穂
鉄色の嘆き都会の泉湧く山田啓子
旅程表ちひさく折れば泉噴く山田蹴人
泉より手ぶらの男戻りけり山月恍
ペガサスの星生むやうに泉湧く山本先生
泉湧く吾の悲しみと引き換へに柚木みゆき
嘘泣きを見抜かれたのは泉だけ遊飛
浅葱より藍へ泉の色一日有希
音立てぬ禊の巫女や青泉雪井苑生
泉汲むヒカリを採取するごとく雪音
珈琲をほめて泉をすすめらるゆこ
昼の星落ちて泉の鳴き出しぬ羊似妃
呼吸する影の明るき泉かな横縞
オカリナを吹く君がいてあの泉横田信一
ぶにゅぶにゅのふわふわくろいいずみかな吉田結希
こんこんと星吹き上ぐる泉かな葦たかし
泉汲む同心円の交わりぬよしのはるか
暗い顔うつす泉も底暗し吉藤愛里子
腹這いて泉に映る空を飲むよしみち
人妻と夜の泉に来てしまふ吉行直人
富士山のにほひを掬ふ泉かな余田酒梨
三人のシスター憩ふ泉かなラーラ
羊水は泉ミイラは母になる来知万郷
静やかに月を揺すっている泉雷紋
山神の遣いとなりて泉汲む楽花生
泉ぐにゃり二十年後の吾を映し梨音
水底にシリウスのゐて泉湧く莉子
代々に泉鳴る家東入る柳絮
泉の音耳から喉へ転がれりるんやみ
透明なさびしさ北の甘露泉蓮花麻耶
縄文の星空の下泉潜むわかなけん
押し上げる泉の脈や掌若林千影
清らかな泉であるとは保障せず若林千影
泉湧く地中の核は汚れなき笑笑うさぎ
巡礼の道の思索として泉碧西里
水みくじ末吉残る泉かな石岡女依
数式の解(ほど)ける先の泉の透明石垣エリザ
能面を写す憂いの泉かないたまきし
木漏れ日の泉に降りて羽洗う市川りす
青い目の落ちていそうな泉かな伊藤順女
いつも留守精霊おらぬ泉かな伊藤れいこ
缶缶に泉を足して石の椅子稲葉雀子
宝物みたいに掬ふ泉かな上野眞理
泉川ゆるやかな坂潤みたる魚返みりん
汲む手より零れて泉ちぎる音小川都
砂踊る泉掬いてシェラカップ乙華散
ゆるゆると占ひの文字泉よりおひい
往昔は人身供犠の泉かなかさね
手杓子のいつしかありし泉かな風花まゆみ
泉口地球の匂い幽かなり神谷米子
手に受けて泉とならむ瞬時消ゆ亀山酔田
この先の泉をみると石になる花紋子
天地の嗚咽を受くる泉かな北村崇雄
小田原や富士の泉は床下にうごく木村波平
来年は来ないよ泉に靴沈めクウシンサイ
乾きたる喉に泉の通る道景清華
落城の炎沈めし泉かな剣橋こじ
泉辺に髪を敬ふてふ神社小泉野魚
飛騨の山をとぢこめてゐる泉かな小杉泰文
さめ肌の如き水面の泉かな塩沢桂子
泡二つ泉に歪む命かな清水縞午
耀きは姫生まるてふ泉なり清水 三雲
赤裸々なスーパームーン泉止めどなくジャスピン
縄張りは五尺懺悔の泉湧く白プロキオン
野良終えて泉でこぼす飯の些事鈴ノ樹
泉黙し地球の息を吹き出せりそうま純香
泉に昭和の五円と笑い皺それいゆ
空き缶も清き泉とする泉平良嘉列乙
ゲームゆめ泉を見るの3回目たけうちおうすけ
碧天を大地おしわく泉かなたすく
懐中の蛇の目で掬う泉かな谷本真理子
絹のごと両手を滑る泉かな田畑整
手首より先覗き込む泉の世衷子
母に聴く泉の寓話夢のふち澄心静慮
火の山に沁み透き通る泉かな月乃羊
泉揺る赤児の姉が眠りけり電柱
裏葉色の風を羽織るらし泉東戎
地軸傾き泉生まるる地球独星
臍の緒を断たれし泉火の如し七瀬ゆきこ
刀のやうな木漏れ日を吸う泉⑦パパ@いつき組広ブロ俳句部
まつろわぬ鬼神を鎮む泉かな花結い
嬰児の言の葉掬う泉かなぱぷりかまめ
湧く泉血の巡るごと地より出る林 里美
王宮の袈裟の光れる泉かな播磨陽子
百年の秘密を湛えたる泉東原桜空
言えたのはハローとバーイ泉の辺菱田芋天
稽古場に師の声響く泉あり琵琶京子
泉より碧の溢れて水となる風慈音
島原を泉の水と巡りけり深町 明
裏山をギュッと搾った泉かな福月スミレ
山鳥の光ついばむ湧き泉藤井眞魚
神獣伝説此処倭国の泉藤田康子
この星の破水にあらむ噴く泉藤雪陽
悪しき手を拒むことなき泉かな文月さな女
古の雨滴零るる泉かな風友
泉なり青の青さに深さ知るベニヤサン
泉澄む斬首されたる有間皇子茫々
合宿の尽きたる頃の泉かなほしの有紀
吾の顔泉の波紋に揺すぶられ曲がりしっぽ
抜けし歯をしかと携え泉まで正岡恵似子
エプロンのリボンをほどく泉湧く真冬峰
泉湧く心臓を持つ地球かなまりい@
武蔵野の宮居を守りて泉かな丸山しん
山里の臍に星雲めく泉みい
天にある泉底抜け地を引っ掻く水乃江辰
身体測定5cm伸びて泉澄むむらのたんぽぽ
泉音や屍ポーズよりふかく本山喜喜
泉あり澄んだ地獄を覗き込む森佳月
泉湧く礫(たぶて)は永久に無重力杜まお実
地へ馴染む糞輝かす泉かなもりさわ
弘法の泉も造花の色褪せてもろ智行
プリズムの宝石を汲む泉かな柳瀬玲子
泉噴く穴冥冥と神の庭八幡風花
瞼閉じれば元の無色の泉ヤヒロ
夜風吹き生まれ変わりゆくいづみやまな未
三日目は泉に溶かす粉薬結壱隆月
黙々と整備作業す背に泉ゆすらご
地の闇を出でて泉の果にけり宵猫
蓼科の魁夷の泉無重力紫雲英田
繰り返す細胞分裂泉かな山田好子
コロナ禍よ泉に硬貨投げるふりあいあい亭みけ子
苔を飲みなほ濁りなきいづみかは相井あかね
人工の代々木の森に泉あり藍彩々
深山の鼓動にあわせ湧く泉間むつみ
泉ありペダルぐぐんと初遠出葵かほる
遠き日の傷口浸したかの泉あおいなつはやて
両の手にひかり踊るや泉汲む青井猫
空の青含み溢れる泉かな青井晴空
満天の星はゆつくり泉湧く蒼鳩薫
龍神の泉や君に逢う明日蒼來応來
やはらかき胸の妖女や泉汲みacari
白雪姫の井戸へ続くかこの泉あかり
朝末き泉の底の月影(つきすがた)秋
百年を掬ひいただく泉かな明惟久里
宝箱ひかりかがやく泉かな了朗
ノッポから泉ふれゆく子らの笑みあきののかなた
泉汲む女子マネージャー大やかんあきみ
泉湧く祖母に教わり菜を洗う秋代
長長したゆたふ光湧く泉秋吉孝治
わく泉あかるい尾根に帰路さそう芥川春耕
泉来て無口になりて風の音淺井翠
あーちゃんも歩いてください泉まであさいふみよ
百億の星吸い込んで泉臥す朝雲列
最奥に泉ゆるり鮫小紋の波よ朝倉カグラ
さざめくも泉の音がかき消して浅野俊也
泉にて元気と勇気が湧きもどる亜紗舞那
ひんやりと樹林に篭もる泉かな明日良い天気
るーと五富士山麓に泉あり網代
木漏れ日をあつめて青き泉かなあずき
崖のマリア像祝福湛え泉麻生恵澄
泉わく水まんじゅうのまるみありあそぼ葉
宮の泉藻を振り絡むトミヨいてあたなごっち
足元の遠き光を手に泉新子熊耳
陽光の神秘の色に泉透くsakura a.
祈るごと泉汲む祖母湿る膝あまぐり
微睡めば河童に曳かれる泉かな数多未完
踏み入れる赤いペデュキア泉揺れ雨戸ゆらら
その泉深き底には朽ちた斧アマリリスと夢
夜勤明け彼との別れ泉まで網野れいこ
息潜めコロポックルを待つ泉あみま
忘却は泉に浮かぶ白い花雨降ザラメ
繦洗う遥か上(カミ)に泉ぞあらむあやや
メロンパン不気味に光る泉かなあらせもんじ
嗚呼泉ロープウェイの右眼下新多
泉澄み五指ひらきみる朝ぼらけ蛙里
子らしゃがむ泉の輪よかごめかごめありいかな
ボコボコと地球の息吐く泉かな有馬裕子
泉湧く谷間の翳に光の矢有本俊雄
泉噴くマニュキュアの赤揺らめけり安春
森に入り泉を手水鉢とする飯田淳子
森の泉列の最後は犬と人いくみっ句
泉わくそっとすくうや悠久を池内ねこバアバ
弥生から戦の火種になる泉池田華族
石槍の鹿の血濯ぐ泉かな石垣
愛猫の墓地脇に湧く泉かな石川巴里
アンモニア噴水実験泉の湧くやいしきひさき
富士の雪100年溜めて湧く泉石倉啓子
縁結びという碧緑(あおみどり)の泉かな石崎京子
眼下には泉連なる柿田川石田恵翠
ぽこぽこと魚からかいて泉湧く石橋千佳子
泉湧く百年の記憶持ち和泉明月子
父と行く山路の奥に泉澄む泉子
法界定印苔青みたる泉泉千尋
救い上ぐゼリーの隆起めく泉一小鳥
処女林の静寂を湛う泉かな一太郎ラン坊
森の奥小さき泉眠ってるいちり
泉端で貪る惰眠雲白しいつかある日
言の葉を探してのぞく泉かな 一秋子
脈打ちていにしえを知る泉かな一本槍満滋
誰がすくう泉の奥の奥の澱井出奈津美
少女らの笑い吸い込み泉鳴る伊藤亜美子
水紋の光の碧き泉あり伊藤節子
もう米寿泉に映る我が姿伊藤ひろし
泉かな山のエサ場の水遊び伊藤正子
泉汲むオオキンケイギクの一面伊藤小熊猫
目に見えぬものの守りし泉かな糸川ラッコ
早朝に泉に放す鯉太し稲垣由貴
この狭き急な石段泉へと井中ひよこ号
バイク止めのどに直球泉あり稲葉こいち
ほつほつと樹の立つてゐる泉かな稲畑とりまる
泉透く痺(しび)る十指の揺らめけり井納蒼求
東西も南北も空は泉にゐのかたゆきを
湧泉や丈の短し亡母(はは)の服イマスノリコ
富士に降る雨は忍野に泉湧く井松慈悦
千年を旅する先の泉かな今西知巳
黒き砂巻きて泉の湧きいずる今村ひとみ
旅人の心拍合わせ泉鳴る入江幸子
指先に泉冷たき決心す彩人色
静かなる泉に棲むは神か魔かいろをふくむや
微睡めり泉の音に誘われ岩木順
裏山の秘密の泉枯れてをり岩切義治
リウマチの手にも泉はつめたくて磐田小
山岳ラン泉に救われ完走すいわつよ8
気が付けば泉清しき緑湧きvivi
ザック置き泉に吾を解き放つウィヤイ未樹
地下の息泉に生きる万物と植田かず子
泉汲みコーヒーいれる小屋の朝上原まり
泉弾むニ羽バードウォッチング内田誠美
ゆらゆらと幹に反射す泉かな宇野翔月
木漏れ日に泉の底の揺らぎかな海口竿富
暗闇で出会えし君に湧く泉海葡萄
神域の光を零す泉かなうめがさそう
聖堂のパイプオルガン泉澄む梅里和代
泉に来てマイナスイオン有るや無し浦文乃
巡礼や奇跡の泉に今着きぬ麗し
泉の底の銅鏡神秘湧く吽田のう
ふるふると命ゆらして泉湧く江川月丸
泉湧く映りし顔に手櫛する越後縮緬
朝日浴び少女のごとき泉あり江藤薫
エメラルドブルーの泉明日も晴れえぬひよこ
冷やしたい首かけタオル泉かな榎本はなちゃちゃ
孫たちと忍野の泉富士山とえみばば
菜を洗ふ笑ひ絶えざる泉かなえんかず
泉湧く彩とりどりのあやめかな遠藤愁霞
渋滞に諦む泉阿蘇の峰遠藤百合
ペディキュアを除き泉に晒す足遠藤玲奈
闇抜けし泉ひかりを吸ふ力おいらくの鯉
アルマイトやかんの汗や泉汲む大熊猫@四句八句
サラトガの泉飲みたりインディアン大恵
泉の輪この葉押しやり掬ふかな大古さよ
清泉も流れて明日ぞ濁れける大阪駿馬
大河の流れ初めは小さな泉から大島一声
泉湧く心の扉開くごとく大嶋メデ
葉の小舟せせらぎ運ぶ泉川大島由椿
母望む想ひ出深き泉訪ふ大谷如水
少年に老成の心泉湧く太田酔酔
泉湧く強く明るく清い子ら大野喬
山里にいのちの泉とうふ買う大原妃
夜勤明けこっそり泉で顔洗う大原雪
故郷の泉もとめて乗る始発大道真波
沢泉庭のうたたね時季忘る大村真仙
命の音涌き出る泉触れている大本千恵子
泉見るマスクの顔と睨み合う大森大
泉よりテイクアウトのモカマタリ大山きょうこ
アフガンの地に曳く愛の泉かな大山小袖
おにぎり落とす遠足の日のあの泉岡れいこ
オアシスの泉の旨味ラクダ知る岡崎俊子
秩父路に独りたたづみ泉かな岡﨑宙夏
菩提樹の甘き夢見し泉かな奥田早苗
旅僧の夢や精霊棲む泉奥寺窈子
ダヴィンチの聖母子の眼よ泉美し小倉あんこ
抜ける青深々となる泉かなおぐら徳
湧く泉俯瞰で攻めるドローンかな小栗福祥
とうとうと口説き文句の泉かなおこそとの
墨消えし立て札ゆかしこの泉おざきさちよ
切なくて泉に石を投げてみる小澤ほのか
泉あり5分休憩栂池路お品まり
老ゆる身をそつと映してみる泉小田和子
菩提樹の添ふ泉へと跪く小田龍聖
灼熱の手指の隙間に流るる泉小田孝子
一瞬の風の引き裂く泉かな小田虎賢
滾々の泉に沈む石の斧小田慶喜
泉辺で合掌安産を祈るおでめ
空と土つないで静かなる泉音のあ子
ハグの中ゆるみだしたる泉なり音人妙歌
珈琲を点てて明るき泉端音羽凜
疲弊なり生命の泉滾々と沢瀉みやこ
鏡面の泉の月飲む機影諧真無子
ビルバオの無口な床屋泉汲む海音寺ジョー
大仙の孕む泉は十一度かいぐりかいぐり
泉千年神さえ棲むと畏怖の念甲斐紫雲
サイフォンと解けぬ数式泉湧く快晴ノセカイ
いつ見たか泉の森に旧友と海碧
足音も声も届かぬ泉かな海峯企鵝
参道の泉脇道あんころ餅かえる
こんこんと泉に呼吸合わせ飲む火炎幸彦
ひすい色泉味はふ野点かな果音
一頭の白き象たたずむ泉馨子
部活後に走る天狗岩の泉加賀くちこ
泉湧く揺れる心のアルファ波柿野宮
地の神の御座すところに泉湧くかこ
この泉地球が生きている証拠笠江茂子
倒木も澄ます泉の青さかな風花美絵
五秒無理富士の泉やしばれる手梶浦多見子
澄んでいるコロナに負けぬ泉かな加島
鏡面にひそむ命の泉飲む鹿嶌純子
王子手繰る泉のつるべ響く夜柏原淑子
草藪に湧きたる泉秘密基地花純
弁天様と言い馴染む泉澄み粕谷聰子
恐るおそる手を清めいる泉かなカズン
深緑きらめく大台泉かな片岡敦子
コバルトの泉に沈むコインかな加田紗智
動物のやうに泉の水を飲むかつたろー。
神苑に泉は二箇処江戸古地図門未知子
山深き里こんこんと泉沁む加藤雄三
手拭いを俥夫のひたせる泉かな加藤ゆめこ
不採用通知丸めて泉かなかとくみ
恍惚の深きへと母泉澄むかとの巳
厨子王の去りし泉に薄衣金井謙雄
赤々と空呑み込んで寝る泉かなえの
泉ある土地に嫁ぎて空仰ぐかなた小秋
孫の顔忘れし母に泉汲む仮名鶫
木漏れ日を掬ひてゆるる泉かなかぬまっこ
斯く濁せども泉は湧きて澄渡らむ鐘ケ江孝幸
この星の底知りたるや泉湧く兼子さとみ
陽も笑う泉のようになれたなら金子真美
木漏れ日や泉の青は幾重にもかねつき走流
泉湧く忍野の里を訪ねをり金本節子
泉湧く百年前の雨よ今釜眞手打ち蕎麦
湧き出でて光ふふめる泉かな神or愛
村外れ水甕ほどの泉あり紙谷杳子
掬てはひらきし泉てふあはれ白鳥古丹
泉打つ指ドレミファソその波紋かむろ坂喜奈子
聖書閉ぢ泉に足を浸しけり亀田荒太
ぶわつぶわ地球の呼吸泉湧く亀田かつおぶし
コイン投げトレヴィの泉夢離る(サカル)亀田幸子
汲みたての泉の水の紅茶かな亀田稇
砂粒の揺れて泉の湧くところ亀山逸子
神代の如苔生す森の泉深しかもねぎ親子(娘)
泉見つけ抜けた歯洗う森の中かもめ
泉には古き硬貨の沈みおり加裕子
火の山の眠りし後に泉湧くカラハ
水筒に酒にならずに菊水泉狩谷わぐう
記憶なき母の脳(なずき)に泉わく霞流庵淡律
泉をば大河の一滴とならむかわいいワンワン
泉湧き内緒話は碧く透く川越羽流
分け入りて樹間に泉見え始む河原つばめ
エルフらの素肌は白し泉かな江南和波
汗をかく石仏の居る泉かな川村紀陽子
マニキュアの赤揺蕩いて泉湧く河村静葩
気泡あり波紋描いて泉湧くカワムラ一重
ヨガのポーズ泉のほとりの木となり川村昌子
球場の声援はるか泉わく閑蛙
良縁と祈願泉の紙コップ邯鄲
父に似た爪先ひたす泉かな看板のピン
マクロ撮り覗く被写体泉あり紀杏里
複眼に映る泉や何青さ木子結雲
助手席の老父腕まくり泉かな黄桜かづ奴
じゃり道の瓜割りの水湧く泉岸本幸久
一口を含めば凛と泉かな酒暮
幽かなる水の音在る泉かな季切少楽@いつき組広ブロ俳句部
透明の泉や透明の鱗北大路京介
ひかりを揺らす凹凸の泉かな北川颯
泉汲む五臓六腑に沈沈と北雀ちえ
山並みの鏡となりし泉かな北の貴子
神泉にうかぶ硬貨のゆくえ待つきた実実花
山間に光降り立つ泉かな北村修
朝光を浴びる泉の涅槃かな基太郎
差し覗く浄玻璃鏡となる泉祺埜箕來
幸せの溢るるごとく泉湧く木原洋子
泉湧くちさき祠に五円玉きべしー
水槽のようだ木洩れ日の泉は木村香津枝
竹割りて泉の水を引きし朝木村かわせみ
湧き止まぬ泉の底の砂笑ふ木村となえーる
瞑想の朝や泉のせせらぎよQ&A
太古より砂踊らせて泉湧くQさん
再びの「トレヴィの泉」三世の旅鳩礼
瑠璃色の空溶かしたる泉かな木葉
呼吸ひとつ止めて不動の泉汲む京野秋水
カレー皿泉に入れる無知な君ぎょぎょうざ
太閤の涙含有泉汲む季凛
泉泉野山に微か涸れ急ぐ銀長だぬき
爪縮み掬ぶも難き泉かな空地春水
夜が明けて母となれし日泉湧く空龍
顔写る泉の君とあっぷっぷ草野あかね丸
酒蔵の祀る祠や泉湧く葛谷猫日和
昼暗き隠れ泉の冷たさよ楠田草堂
歩きたくなる蒜山や泉涌くぐずみ
美しき泉やアングルの裸婦画を覚ゆ朽木春加
黄泉の国あるやもしれぬ泉かな國吉敦子
修復の泉に映る肥後の城國吉隆仁
馬が飲み我が刻(とき)飲む泉かな窪田睡鯨
泉へ足を浸ける背徳感よ倉木葉いわう
こぽと吹く泉は時に砂も吹く空流峰山
木洩れ日を纏ふ小町の泉かなくるみ今日子
泉よりの柔らかき声すれ違ふ久留里61
泉湧く地球まるごと浄化してクロまま
泉塗る色を迷いて筆止まる桑田栞
降る雨よ千歳伏して泉たれ桑原和博
天上の音か泉の渾渾とくんちんさま
薄藍の泉の深み不思議湧く恵享怜
いいいいと云はれ泉や伊豆に出紫雲英
この泉末は大河よ大海よケンG
泉溢れ昨夜の愚痴が流れゆく源氏物語
女神呼べよ白川の泉充せよ研知句詩@いつき組広ブロ俳句部
饒舌な人もしづかな泉かな兼珍
大海もドナウも信濃も泉から鍵盤ポロネーズ
ひたす手の泉に躍るアルペジオこいぬ
父の前シャベルですくう泉かな幸内悦夫
泉湧く余命の母の縫う産着河野なお
波紋なす泉の音の高きかな神戸めぐみ
富士を背に鏡のごとき泉あり宏楽
光満つモネの泉に夢はせて幸織奈
ふるさとの泉記憶の中ごぽり五月ふみ
届かない泉の底の金の斧穀雨
波のまにまに泉の寝息さやかコケコッコケコ
午後六時町歌が響く泉かなこけぽて丸
高速道の眼下泉の反射光小嶋芦舟
泉汲む波紋はやがて消えにけり孤舟
コロポックルの合羽とりどり湧く泉小だいふく
弱虫の泉で洗う泣きっ面木積
泉湧く社にひとりもらひ水後藤三梅
豆腐屋の裏の泉で小休止小鳥沢やすこ
透きとほる水出し緑茶泉聴く古都鈴
泉よ斧はもう呉れてやるだから小林たえ
山麓の泉に送られ頂へ小林のりこ
「亀の水」長寿祈願の泉かなこぶこ
「エルマーのぼうけん」龍のいる泉小松甘夏
すいぼつする島いづみわく島よ駒水一生
白き泉幾千人の甘露かなこむぎ
尾根目指し沢を渡れば泉湧く小山晃
魂鎮め泉の息吹すくいけり小山祐治
大樟の水脈にある泉かなGONZA
森深く狐だけ知る泉あり西條晶夫
みどりごの無心泉の乳を飲む西條恭子
子らの声ひそやかになる神の泉さいとうすすむ
藪の中確と泉の聲はあり榊昭広
我が身つい浄め見目良き泉川坂島魁文@回文俳句
やんわりと義手に泉のしみ入るや坂まきか
山路来て顔中で泉むさぼりぬ坂本千代子
泉あり手拭い広げ掬うなり相良まさと
ファラオの大地蠢き泉湧くさくやこのはな
碧き底脈打つ泉手を浸す櫻井弘子
女奴隷甕をあたまに泉へと桜姫5
鍵一つ泉に沈め嫁ぎ行くさくら悠日
泉入る性善説は信じないさこ
泉涌くミステリーから読み終わり迫久鯨
つんとして泉もひとりさびしけれ雑魚寝
星の子の醒めて泉を見しといふ佐々木教照
こもれびの差し込む泉わが故郷佐々木邦綱
道迷う渇くのどすじ泉笑み佐々木幸江
道迷い森閑の泉またここにささきなお
女人結界碑横目に泉汲む紗々
笹舟のたゆたう泉風清し砂舟
透明な泉見たくて登り続ける幸子
泉あり我も妖怪かも知れぬ佐藤花伎
万年の沈みてねむる泉かなさとう菓子
砂を噴く三嶋大社の泉かな佐藤恒治
けものらの去るのをじつと待つ泉佐藤綉綉
隊商の足取り軽し泉かな佐藤俊
雲一片すくい上げたり泉かな佐藤しらべ
泉には陽光キャンプ椅子ひとり佐藤美追
湛えるは悲恋の涙泉汲む佐藤佳子
はじめての胎動泉溢れ出づ里すみか
名山の鼓動豊かに泉湧く真井とうか
木々の下泉冷たい鳥の声さなぎ
義母の手と木組みの家と泉かな皿檸檬
不老不死の泉いらぬと寝しなの児澤田郁子
霊峰の蒼忍び入る泉かな沢拓庵
チャリで集合ぼくたちの「魔の泉」へと澤野敏樹
やり水やあの日あの空蒼深し三球
この径を辿らば泉あるぞかし塩原香子
いっさいの人影流す泉かなしかもり
仕事終えジュース一杯泉かなしげとし
泉かな揺らめく砂は水の息茂る
ぬらり腐臭獣道の湧く泉紫檀豆蔵
休日ひとり泉へ男女二組東雲 歩
静けさや泉の淵に集う声柴桜子
きらきらはうそつきのおの泉かな芝野麦茶
国道沿い砂舞い踊る泉青渋谷武士
トクトクと泉の鼓動砂を吐く島じい子
Googleに載らない泉で瞑想す島村福太郎
泉まで吾子とかけっこ惜敗す嶋良二
掬う手に静寂やぶる泉かな清水容子
泉湧くザリガニの背の泡三粒霜月詩扇
部活後に飛び込む泉一時間下丼
教祖の死信者泉に集う夜下丼月光
精霊は吸ひ込まれたり泉鳴る芍薬
曳舟道いずれ泉と出会う道沙那夏
喧騒を百歩はずれて湧く泉しゅういずみ
再訪を期すコイン見ゆかの泉秀耕
木道をナイキのまたぎ汲む泉柊二
おだやかに八十路を歩む泉かな秀道
深泉に水神の立つあさぼらけ秋結
泉に映りし浅はかなる思惑じゅこ@トーキング
モクモクと砂鮮明に泉湧き獣羅
ゆるゆると砂をゆすりて泉湧くじょいふるとしちゃん
殿様の泉の前に黙る吾子湘南じじ
泉涌く幾としぶりの帰郷かな湘南太郎
泉の辺文庫読む手に波模様白井佐登志
万病を治す泉や太子堂白井百合子
水湛え少女遊ばす泉かな白沢修
山降る見つけ足早泉かな紫龍
清冽の泉を濁し旅をする新濃健
ごっぽりと静寂を破りて泉湧く森牧亭遊好
主亡き泉に生きろ亀の子ら酔軒
泉湧き万里の海へ旅立ちぬ酔進
光る君を潤す泉に妬ける影菅原千秋
泉なる愛のようなもの探して菅原敏子
淋しさのこくこくと湧く泉かな杉浦あきけん
桶狭間泉のほとりの鬼ごっこ杉浦真子
堂々と倒木寝かす泉かな杉尾芭蕉
小さき子の両手で掬ふ泉かな杉柳才
こもれびや泉の底の五円玉すずきしほ
泉湧く地球という星あるかぎり鈴木(や)
いづみいづみ白馬誘ふ森の果て鈴木麗門
列長しタンク重たし泉汲む清白真冬
手を伸べて泉に濡らす空の瓶聖山
柿田川光琳模様の泉川青児
掬ふ手に泉の鼓動過疎の村せいしゅう
真姿の泉にコイン光りけり勢田清
泉より光を放つ五円玉そうり
卒寿越え母の泉のこんこんとそしじみえこ
森行けば熊の糞ある泉かなソフィ
鶴見川水脈をたどりて泉の碑杣人
月の船泉を渡り朝招く染野まさこ
ゆうらりと泉の底で魚たちそよかぜ花子
亡き夫の声に聞へる泉かな空
やり水や無き懐古心尋ね来てぞんぬ
金ですか酸素ですかと訊く泉橙と紫
三方へ分けし泉や猛者の技平たか子
泉湧く五臓六腑を流れけり高岡春幸
月影を落として泉しんしんと 高木音弥
泉とは産土神の盃か高田祥聖
木々映り泉のあるを知りにけり鷹之朋輩
スイスまで泉訪ねて今を見る高橋紀代子
泉湧く砂立ち上がる立ち上がり髙橋なつ
倒木の眠りつづける青泉高橋裕樹
天と地と泉のほかに無かりけり高橋ひろみこ
富士裾野泉に湧くはいつの雨高橋光加
銭数多業が溢れる泉かな高林学
泉より消えし獣や藪に音髙見正樹
水辺より深さは謎の泉かな拓王
青空の泉へ垂らす首タオル卓女
絶へざらむ祈りのことば泉湧く竹口ゆうこ
中世の社叢潜ませたる泉竹八郎
路地奥に泉伝説街歩き多胡蘆秋
泉の底海は知らぬが空は友黄昏文鎮@いつき組広ブロ俳句部
命湧くマリアナ海溝にも泉ただ 地蔵
山歩き小さな泉に和まされじゃむぱん泉
一滴や空から地へと泉へと立田鯊夢@いつき組広ブロ俳句部
かがまりてひかり掬ふや泉川立野音思
杉木立泉ひとつを隠したる辰野史会
山陰の泉の横にアルミコップ蓼科嘉
トロッコの駅泉への案内図立山枯楓
泉にて勝手に死なせよ女優の剛気立山はな子
泉湧くテロの命の軽きこと田中勲
謎多き泉の脇を高速道田中勝之
流れ行く時と動かぬ泉哉田中玄華
観光客去りて泉の静寂かな田中洋子
問われればわたし色の斧を泉よ谷相
いくとせを潜みてここに泉あり谷口 あきこ
泉辺に佇み想う黄泉の国谷町百合乃
深呼吸鎮守の森の泉澄む田畑尚美
幾とせの地層をくぐりぬけ泉玉井令子
謎の声泉の端の岩の裏タマゴもたっぷりハムサンド
朝採れの野菜を浸す泉かなたまのねこ
有漏無漏の地底の闇や泉湧くたむらせつこ
わが村にゴボゴボと湧く青泉ダメ夫
泉川クリアファイルと同じ色田本莞奈
山深し掌の泉雪山を乾す淡水亭
泉ありアンパンマンのボトルあり丹波らる
藻を梳くがごとの水量泉川千鳥城
泉湧く吾子の笑顔に生きる欲千葉敬子
参道は掃き清められ泉湧く千葉睦女
虹色の源流揺らぐ泉かな千風もふ
億千年思い変わらず泉湧くチャーリー・吉田
雲映る泉でゆるりタイムラプスちやこ
瑠璃色の泉しずしず草の船長楽健司
ソロキャンプ晴夜の泉コーヒーミル珍風伊潤
どぶ川に一ヶ所澄めり泉湧く辻宝樹
岩泉ぜひ飲まれよと札のあり辻野 花
獣らの光る目夜の泉かな辻陽気姫
岡寺の華の泉よいざ厄除津田涼子
泉の妖精ダンプを揺らす土田耕平
濁りくる泉をまたぎひかりさす綱川羽音
湧く泉水琴窟の音に化け津幡GEE
呑み込みし願ひ数多や泉鳴る露草うづら
瞬きに重ぬ泉の乱反射ツユマメ@いつき組広ブロ俳句部
夫と歩む泉まであと少しデイジーキャンディー
泉より少女頭上に甕乗せてテツコ
千年の聖なる泉沐浴す哲山
悲しみも怒りも無くて湧く泉鉄猫
散々の釣果忘るる泉かなてまり
女子旅やジェルネイルにしたき泉てんてこ麻衣
心地良き調べ泉の息づかひでんでん琴女
深々と「主」の息衝く泉かな蚕丸
弘法の泉ペットボトルの列びたるどいつ薔芭
泉鳴る頻脈気味にやゝ早くdoいつもcoいつも
聞き返す夫の「陰性」泉湧く苳
ポリタンク九つ泉汲む夫婦遠峰熊野
何飲み込みしどこまでも泉の青徳庵
ひざまづき泉の音の行方追ふDr.でぶ@いつき組広ブロ俳句部
ふと鏡泉の水仙哀しくて徳田ヨーコ
泉へと導きゆくか人新生戸根由紀
初登山見つけた楚楚と湧く泉冨川 友香理
藪漕ぎて光たゆたふ泉かな斗三木童
乳歯抜け少女の顔や泉湧く富野香衣
名泉が処理場拒み山守る戸村友美
雲の間のドローン映す泉かな登盛満
足浸し九九の練習する泉豊川顕
泉から錆びた指輪を発見す鳥田政宗
嘆息や泉の水面は揺れざりき丼嬢
晴天や庵のそばに湧く泉とんぶりっこ
鳥鳴くや泉は深き孔雀青中岡秀次
銀鱗の跳ねて波立つ泉かな中川 貴恵
渾渾と泉湧き出る地球かな中里蛙星
大戦の死者に捧げる泉かな中島葉月
地の底を旅して泉生まれくる中嶋京子
カップルの絶えぬ社の泉かな中島圭子
瓶掲ぐ泉の乙女とわみつむ中嶋敏子
泉の静けさヴァイオリンの音色中中
朝日浴び鳥で賑わう泉かな中西澄子
泉より出でよ希望のひとしずく中村こゆき
スマートフォン落として女神の居ぬ泉永谷部流
二の腕の眩しさ晒す泉かななごやいろり
キラキラと泉たゆとう宿の朝nothing
水の底涌き出る泉旭岳那須のお漬物
虫も吾も父も泉を囲いけり夏風かをる
木もれびやささやくように湧く泉夏草はむ
茶虎猫水飲む泉草ゆらり夏雲ブン太
立札に長命水と泉湧く夏目坦
鳥の影杜の泉に呼ばれおり七森わらび
つくねんと愛でる泉やぷくぷくと浪速の蟹造
落武者を清めし泉のぞき色名計宗幸
底深し青き泉に探査船なみ夢めも
泉の畔青年の読み耽る奈良素数
汚染せる泉かわらず渾々となんじゃもんじゃ
泉湧く泣いていいよと亡母の声南部飛翔
公園の泉ではしゃぐパンツの子にいやのる
陽のまだら浮かべて揺らぐ泉かな薫子(におこ)
アマビエのゐる海泉には女神西尾至史至雲
思春期は薄日さしたる泉かな西田月旦
泉汲む山の恵みの太古より西原さらさ
闇夜いま祈りのごとく湧く泉西原みどり
こほこぼごほごぼごぼ泉鳴きにけり尼島里志
騒がしき小さきものたち泉辺に二重格子
ロード踏み泉汲み汲み五番関二上松風
トレッキングシューズ脱ぎたる泉の辺にゃん
住人の泡ぶく無色泉湧く鵺駿明
水底の砂の明るさ泉湧く沼沢さとみ
柳色瑠璃の泉に波紋たてねがみともみ
星型の銀貨が沈む泉かな涅槃girl
苔むすや千代を泉は湧き続けノアノア
天を突く神の岩なる泉かなのど飴
天と地下との水出逢う泉かな野中泰風
きらきらといのち色のいずみかなののr
泉湧く木桶をひたし菜を洗う野原蛍草
泉こんこんだらり溢るる離乳食乃村奈月
砂の舞無言で味わう泉かな典子さん
下校児の柄杓の音す泉かな則本久江
砂粒の永遠の踊りや泉吹けはーたん
トラウマの泉はアスファルトの底に羽織茶屋
願掛けのローマの泉は後ろ向き白庵
森深き泉ジュラ紀のみづのいろはぐれ杤餅
空に雲青山映し泉あり橋爪利志美
長命の伝え標す泉かな橋本恵久子
見つけたる小さき泉に吾ひとり馬祥
子ノ権現黙して行かむ泉まで馬笑
合言葉交わす泉よ鎮み給へ長谷川小春
ころころと小石転がす泉かな長谷川ろんろん
泉湧きガン寛解の手水する長谷島 弘安
野趣のなか泉しずかに横たはり畑 詩音
泉への道に突き刺す二本杖畑田ほずみ
泉くみ冷たき水で歯を磨きはちえいと
囁きは木霊のしわざ泉川葉月けゐ
中国の泉へ酸素缶足りぬパッキンマン
木漏れ日に水音奏でる山の泉服部たんぽぽ
風吹きて揺れる泉のわれの顔初野文子
耳澄まし愛犬おしっこ泉の音花岡幸嗣
その昔校舎に引きし泉かな花岡紘一
龍神の船が揺れる泉立つ花岡浩美
新薬の報せ待兼ね泉川華樹
木洩れ日の途絶えしところ泉湧く花子.Y
絶え間なく泉の磨く水鏡花咲明日香
山路を二人泉の森の味はなぶさあきら
こぼさじと掬う泉や我映す林田りこ
足裏に水吹き上げて泉聞く原善枝
泉湧く風力計は止まりをり原田民久
ぷくぷくと砂を吐き出し湧く泉原乃野衣
掘れど出ぬ泉と知恵の背比べはらは
泉辺に龍の吐息か耳澄ます巴里乃嬬
緑映す流れの底より吹き出でる泉haru.k
骨折のリハビリ散歩泉過ぐ春海淳
ホームラン喜びを踏む泉かなばんしょう
透き通る動脈の弁泉吹くHNKAGA
泉かな木蔭でしゃがみハリヨ見つひーたん@いつき組広ブロ俳句部
情熱の枯れぬ泉の君踊るひーちゃんw
分け入りし阿寒の泉神さびて東山たかこ
泉湧く堀に白亜の大天守微喜
剣刺し湧きし泉や日本水(やまとすい)ひぐちいちおう(一応)
口つける泉へ木洩れ日のモアレ樋口滑瓢
霊山の秘せし泉やけもの道ひすい風香
白い玉味さっぱりと泉かな美泉
夜明け前ピアノ一打と泉鳴るヴィッカリー趣乃
くわづかい母の泉が溢れ出る日向の熊
地震の里願の泉よみがへるひな芙美子
婚活やハートの泉待ち受けに向日葵@いつき組広ブロ俳句部
獣道に迷ひ安堵の泉かな氷室茉胡
暗い世を知らずに湧きし泉かなひめりんご
安曇野の泉清らにわさび園ひよこねいさん
亡き父の地下足袋憶ふ泉の辺日吉とみ菜
満腹の吾子の寝息に泉澄み飛来英
朝の鳥余韻泉に沈みゆく平井麦春
ほろ酔いに足捕るる泉川平井由里子
泉に沿ひてと歌いしは遙か古稀迎ふ平井千恵子
碧い星砂漠の底の泉照らす平岡花泉
湧玉の泉は富士の高嶺から平坂謙次
木漏れ日の揺らぐ泉に祝詞聞き平松 一
申し継ぐ柄杓の朽ちし泉かな比良山
けもの道あの日の泉に会うつもり蛭本喜久枝
清くあれと湧いて見せたる泉かな風泉
住み継ぎて奴(やっこ)の泉玉を産み深川佳子
やり水や三毛も控える躙り口深蒸し茶
うまかろう冷たかろうよ泉湧く深夜のり子
見上げたる泉の底の蝦数多福井三水低
産土の泉に古るる祠かな福川敏機
深山に密かな泉命満つふくじろう
一掬の水給ふルルドの泉福田みやき
アースデーされどしずかに湧く泉福ネコ
手のひらで潤す泉小宇宙福山文子
狐吠ゆ泉のほとりソロキャンプ福弓
牛馬鳴く泉に雲の色溶けるふくろう悠々
がん治療湧き出る泉に勇気得る藤井聖月
大峰の修験の泉ふつふつと藤丘ひな子
旅の手を泉に沈めこえをきく藤川鴎叫
煩悩の火照りを冷ます山泉藤倉密子
止め処なき嫉妬泉の透明度藤田ゆきまち
美女映る泉が売りの過疎の村藤丸子
泉汲み飯盒飯のお焦げかな藤原訓子
助走付け飛び越えられる泉かな豚ごりら
待ちぼうけ癪は泉に放り込む船橋こまこ
庭泉モーター音の苔青しふみ
傑作をと声かけ合うか泉にて古澤久良
杉木立過ぎれば泉湧く流れ古下翠照
角砂糖めいて泉の面の月は古瀬まさあき
立ちどまり耳をすませば泉の音平市
砂粒もひかりも湧きて泉かなペトロア
古傷を泉に洗い流す朝べびぽん
水筒を満たす手痛し泉かなぼくらのおじさん
生きしものを癒しただろうか泉星雅綺羅璃
白亜紀の泉に青きT.レックス星月さやか
仄暗くあたたかに命の泉星乃ぽっち
泉湧く背中清しや握り飯星善之
岳人のアルミのコップ泉汲む細川小春
深山の泉に眩し日の光保土ちゃん
震災で涸れ震災で湧く泉堀卓
木漏れ日の泉に穴お尻に泥堀江弘子
透き通る泉の底を魚の影堀隼人
覗き込み泉に映るは僕とマスク堀将大
光りつつ泉に沈む半紙かなホロンママ
雲割れて泉にかかる天使の梯子盆暮れ正ガッツ
明神に注ぐ泉の碧きかな香港ひこぞう
泉の上で音符の小人踊ってる梵多
一椀の泉の水の馳走かな凡々
メキシコの旅のセノーテ泉かな本間美知子
泉汲むアルミのカップ置いてありほんみえみねこ
泉湧く看板の木の黒ずめり梵庸子
木もれ日を浴びて生まるる泉かな凡狸子
紙吹雪ひとひら泉を染めにけり真亜一佳
泉汲む花を手向けし六地蔵舞洲ゴン
湧き泉耳をすませば鯉の息前田順一郎
泉掬む吾が手の皺にこはばりぬ前田冬水
泉にて一時間後のバスを待つ茉叶
泉とは黄泉の入り口出口かな真喜王
生くものの喜怒哀楽を聴く泉牧野敏信
波風を立たせてみたし泉かな槙由梨子
泉から分水嶺へ実は流れ眞熊
泉来て横の豆腐屋列並ぶまこと(羽生誠)
地球ありどこもかしこも泉湧くまこも
泉より神出てたるも目が覚めて雅蔵
本家裏小さき泉に名前無し眞さ野
泉の音楽しき山は今いずこ松井研治
孫の手を引くか引かれか泉の辺松井酔呆
けものみち足あと続く泉かな松尾直幸
泉には竜が似合うと絵を描きて松岡幸子
風うまし木洩れ日躍り泉湧く松尾義弘
鶸色の木々に抱かれ湧く泉松高網代
深く入りカメラ据え置く泉なり松高網代
七色の泉の起源神の鉾抹茶子
百余年過去知る泉飲まんとす松野英昌
我が顔を泉にうつし清めけり松野蘭
もののけと思うなかれよ泉舞う松本牧子
石鎚山におされ鼓動の泉わく松山のとまと
白き雲泉はみ出し流れゆくまやみこ恭
一条の光泉の水底に真理庵
水草が泉の底で胸を張るまりおR
湧泉や今年は子らの声もなく三浦ローズ
常よりも美人泉に映る我澪つくし
倒木の腐らず眠る泉かな帝菜
鎖付きアルミカップがある泉三茶F
かじられし草の実紅し泉かな三島瀬波
一片の果報によがる泉あり美翠
泉ありてドジョウを捕った通学路水口りょうゆう
伏して待つ母へ汲みたるこの泉みたせつよ
百年を湛ふ泉よ愛しきやしみち乃
湧泉や無言で味わうひと口目みちむらまりな
浸す指光まといて泉にとけ美月舞桜
泉湧く風と光と水鳥とみっちー@TG
頭頂の甕よ泉の遠きこと満る
神泉やドクターヘリのホバリングみつれしづく
祖父の手の中の泉の水澄みし緑風音女
望遠で鳥の飛来を待つ泉皆見元喜
米を研ぎ野菜も洗ふ泉かなみなみはな
富士の雪五十年経てわく泉三保鶴
葉も花もより艶やかに泉湧く宮美月
里の色手から零るる泉かな宮井そら
泉への木道軋み忍び足見屋桜花
コーヒーは泉の水で舌踊る宮階愛子
もう五年泉探しに出た父は宮坂変哲
子ら笑いギボンの泉魚跳ねる宮崎桂子
恋かもと素足で泉蹴ってみるみやざき白水
息こらし泉の空に茶筅ふる宮澤ごんたろう
地球(ほし)青くビル・エヴァンスの音泉宮澤さっち
泉に手浸せば溶くるダイヤかな宮部里美
泉川沢ガニよけて渇きとる美山つぐみ
泉湧く命あるもの見えざりき宮村土々
昨晩の豪雨語らぬ泉かな宮本象三
少女の素足鏡のやうな泉かな眠兎
みどりごの瞳に泉かくれ見ゆ夢雨似夜
背伸びして泉の西に零す愚痴無弦奏
泉には獣ゐて許されぬ距離向原かは
トレヴィの泉の底に居るコインむしようかん
青の香や此は古に見し泉睦月くらげ
泉冴え鳥の水浴び波紋描くむねあかどり
泉涸る危機管理課は昼休み紫小寿々
柄杓置く苔むす寺の泉かな室より子
目印の泉もうすぐ友の家暝想華
自慢話に捕まりて泉見るモコ
泉湧くこの世に希望あるごとくmomo
原生にもののけ禊ぐ泉かな森 毬子
泉辺のかそけき刻に瞑想す百理有
龍神の髭をタクトに泉湧く森田祥子
山深く迷いて出会ふ泉かな森の水車
緑濃き木陰の泉でゆれる黒尾森の虹
塩むすび青き泉の風清し森山博士
テキストの1/f泉かな杜若 友哉
新興住宅地奥佇む泉諸岡萌黄
砂場トンネル日暮れの吾子に泉かなもんちっち山本
寄り道の沢に草分け泉湧くやいす屋の欠良
七年の待ちて逢瀬の泉湧く泰乙女
木漏れ日に映えし泉の重さかな安田美智子
草分けし手ひたす泉にしみる傷痩女
吾子ふたり素足のスキップ浅泉奴
獅子の口平和の泉したたりて柳井るい
混混と泉隣に学舎や山川真誠
かおり立つ富士伏流水の泉山川芳明
地図になき泉を前に戸惑う吾山口要人
山稜を跨ぎし先に泉あり山口香子
泉沸く石の上では甲羅干し山口雀昭
柔らかき泉トーベの贈り物山口たまみ
砂の舞スローモーション泉噴く山﨑勝久
わく泉夫と見たのに命消ゆ山崎鈴子
鹿白骨コンコンと湧くいずみ際山育ち
湧く底に主の目光る泉かなやまだ童子
コンコンと湧き出る泉水筒へ山田文妙
焼け焦げた倒木の陰泉あり大和屋としより
雨上がり泉の中に長靴の跡山野花子
富士山の滴り集む泉かな山薔薇
子らもまた踊る泉に草も木も山辺道児
古来より良き泉には米と酒山本康
溜息も知らず流れる泉かな山本ひらりこ
心の音こんこんとなり泉湧く山吉白米
カツオドリ泉の空に飛び込みぬ雪の泡
鳥たちも人も寛ぐ泉かな葉子
静かなる泉に波紋指先で夜香
生きている砂湧き上がる泉かな吉哉郎
暗がりの祠にしかと泉の音吉川拓真
泉とは身投げせし人の涙かよしざね弓
泉あり寺の裏山幼の日吉田まゆみ
源泉や砂踊らせて地の息吹き吉野天笑
理想の休日泉のほとり犬珈琲吉野川新
雲が切れ青と緑の泉かなY・りこ
こんこんと川の始めの泉かな稜風
樹々さわぎ金のさざなみ泉なるルーミイ
木漏れ日が阿修羅を映す泉かな連雀
旅宿や泉の話題忘れじと蓮風
ケント紙を溶かすクレヨン泉の弧若葉一家
泉よいずみ真面目に生きています若宮直美
山陰の泉見つけて笑みこぼる鷲野の菊
亡母常に語りし泉訪ねけり海神瑠珂
やしろ映え生辰に禊ぐ泉やわたなべいびぃ
泉てふ幾星霜の地層経て渡邉竹庵
木洩れ日や息吹く泉の踊り出づ渡辺陽子
五臓六腑を確認す泉かな渡邉わかな
統合の中学の山に泉涌く戸村
- 夏井いつき先生からの一言アドバイス
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●投句者の皆さんへ
○俳号とは、その句が自分のものであることをマーキングする働きもあります。ありがちな名前、似たような俳号での投句が増え、投句者双方の混乱も起こっています。
共に学び楽しむための俳句欄を維持していくため、〈俳号に姓をつける〉あるいは〈差別化できる俳号を工夫する〉ことを、ささやかな約束事としてご協力願います。
●俳句の正しい表記とは?
- 温泉で 他人と比べ 自信出るかめれおん
- さりげない 善意の配慮 泉湧く重芳
- キャイキャイと 泉の我が子 服と髪白濱隆次
○「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪
●季重なり
- カワセミの狩に見惚れる泉かな石原直子
- ビー玉を秘めし泉の青時雨右京蔵井田
- めぐる泉 みずばしょうの白天空の道卯月女
- クレソンを秘密の泉にそっと植え教来石
- 水汲みの泉に集う汗ふたつジョン爺
- ふくふくと香る泉か沈丁花静江
- ぺかぺかと流星群を喚ぶ泉空野千鶴
- 蕗の葉で泉飲みほす五月晴光子
- 緑なす田の傍らの泉かな村松登音
- 内川端きゅうり冷たる泉かな山村楓
○一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「泉」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。
- 黄砂まみれ泉を求め洗車機へ岸本元世
- 親族の涙は泉かしわ餅山田一予
○この二句の「泉」は「洗車機」「涙」の比喩になっています。となれば、主たる季語は「黄砂」「かしわ餅」ということになります。
- いずみ湧く女神の使い水すましケセラ幸子
○この下五は季語の「みずすまし」でしょうか? 水を澄ませている? ということか。その辺りが分かりにくく判断つきかねます。
●兼題が入ってない!
- 黄カバーを背負いし子女の手には花伊豆和架奈
- 佳き紅に邂逅す梅雨晴れの厨植村守株
- 母の日や母三代が花もらふ中島走吟
- マスク無き温泉遠き空の果てなやな
- 静けさや噴井のあたり苔青く花野
- 梅雨空はおぼろおぼろか皆既月食丸坊主
- 久方の墓参り鳴呼井戸ポンプ山内直美
○今回の兼題は「泉」です。兼題を詠み込むのが、たった一つのルールです。
- 子等の手や3寸先を舞う落花今井弓月耶
- モニター越し一ピクセルの落花かな緋乃捨楽
○「落花」は前回の兼題です。投句〆切に遅れたか~!?
●季語深耕
- アイデアの泉となりぬ友の頭赤子沢赤子
- 心の泉のぞき見れば灰汁色akkotas
- 駅ストリートピアノ奏でる癒しの泉安樂安策電
- 新緑や私の心に湧く泉お寺なでしこ
- 春季大会内なる泉信じつつ熊野みーぼう
- 黄泉からハロー意識朦朧虫垂炎陶子
- 目に泉小さき姪の我慢かな波と向日葵
- 森泉森雪星森英恵山本可能
- 母戒名泉と入りて寺の内石本美津
○本サイトでは季語を兼題としております。これらの句は、確かに「泉」という単語が入っていますが、夏の季語としての「泉」とは違う使い方をしています。
- 古き文泉の如く尽きぬ夢紅紫李依
- 泉の如く多作凡句を捨てきれず跡部榮喜
- ほこほこと泉湧くよな姪の頬植田虎豆
- 今年こそ旅プラン泉のごとく尾関みちこ
- 幼な子や泉の如く知恵の湧く風花あつこ
- コロナ禍に泉のごとく会ひたや会ひたや加藤水月
- 説明は泉の如く懇々と土屋紅蠍
- 潺々と泉のごとくことのはを眞理子
- 母還る泉の如き平穏死百瀬はな
- 湧く泉のように母よ健やかに森ひのき
- 流し台蛇口が筒の泉かな焼津昌彦庵
○季語を比喩として使うと、季語としての力が弱くなることは否めません。比喩として使ってはダメというわけではありませんが、かなりハイレベルな技術が必要になりますので、まずは季語を季語として活かすところから、練習していきましょう。
- 泉色ラフマニノフの跳ぶ音符佐藤里枝子
○季語「泉」と「ラフマニノフ」の取り合わせは、美しいと思います。惜しいのは、「泉色」とすることで、比喩になってしまう点です。ご自身で推敲して、佳句として生き返らせて下さい。
お待たせしました!5月の兼題「泉」の結果発表でございます。
みなさまが毎月盛り上げてくださるので、2018年4月(兼題は『薫風』)に始まった『俳句生活』は、3周年を迎えることができました!本当にありがとうございます。これからもなにとぞ、ご投句のほどよろしくお願いいたします!(編集部より)