夏井いつき先生の俳句生活

夏井先生のプロフィール

夏井先生のプロフィール

夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。

ご応募はこちら

12月の兼題

「雪催い」

10月の審査結果発表

兼題「鶏頭」

お待たせしました!10月の兼題「鶏頭」の結果発表でございます。
鶏頭…「ニワトリの頭」ではなく「ケイトウという花」なのですね。自らの無知を恥じました。さて、今月の兼題「冬の海」も本日の24時まで募集しております。みなさまのご投句、楽しみにお待ちしております(編集部より)。

「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。

天
十四五本の鶏頭越しに見やる町

背馬

夏井いつき先生より

 兼題「鶏頭」となればどうしても<鶏頭の十四五本もありぬべし 子規>が頭を過ぎります。今回本歌取りに挑戦した人たちも何人かいたのですが、やはり難しいテクニック。そういう意味で、この句は佳きヒントとなるのではないかと思います。
「鶏頭」が四音、「十四五本」が六音、必要なキーワードを入れるだけで十音。残り七音で子規の鶏頭にはない光景を入れ込む。ここが難しいのです。子規句に書かれているのは十四五本の鶏頭のみ。掲句は、その十四五本の向こうに令和の町並みを出現させます。明治、大正、昭和、平成、令和と移ってきた時代が、鶏頭越しに動いていくかのような感覚。「見やる」の一語も効果的な選択です。

地
雨に鶏頭ずっくりともう無理です

一斤染乃

 雨に濡れた鶏頭の句は多かったのですが、展開が個性的。「~ずっくりと」までは濡れている描写なのに、「もう無理です」は擬人化でありつつ、自身の心情に変化していく、絶妙な味わいです。

鶏頭のあたまを犬の食はんとす

上沼汚無明

 鶏頭に犬や猫がビビっている句も結構あったのですが、「鶏頭のあたま」に食いつくという図柄が強烈。生き物めいて見える鶏頭の特徴をこんな方法で表現できるとは、この作者、只者ではないね。

鶏頭の赤は寂しいほうの赤

木染湧水

 鶏頭に対する赤は余りにもありがちですが、後半の措辞は、いかにも鶏頭らしい表現です。時折、明るいオレンジや黄色の鶏頭を見ると、今更ながら私も「寂しいほうの赤」に惹かれてしまいます。

鶏頭や耳打ちさるる耳が欲し

さとけん

 鶏頭をじっと眺めていると耳のようにも見えてきます。眼前の鶏頭と、「耳打ち」される時の耳の感触が、重なってくるかのような感覚。「欲し」の一語も、密やかな吐息のようで強く惹かれます。

鶏頭が何かに進化する途中

新蕎麦句会・凪太

 鶏頭という面妖な花を見ていると、確かに「進化」していくのかもしれぬと思えてきます。「何かに」「途中」のような曖昧な言葉を使いつつ、季語「鶏頭」の本質を見せる。相変わらずの発想力です。

人
  • 傾ぎゆく鶏頭空に疲れたかにゃん

  • 雲ひとつなし鶏頭の走りさう猫詠たま

  • 鶏頭が土間に置かれたまま夜更け青蜥蜴

  • 磁場強し砂鉄のやうに鶏頭花ありあり

  • 鶏頭のひとつ諦めきつてゐる可笑式

  • 非常灯点く鶏頭が濡れてゐる倉木はじめ

  • 鶏頭や皇太后は耳打ちす夏草はむ

  • 鶏頭の赤のなんたる逞しさANGEL

  • 鶏頭の茎動脈の深き赤間むつみ

  • 自画像に死の予期ありて鶏頭花藍野絣

  • 新聞の尋ね人欄鶏頭花あいむ李景

  • しつとりと生まれたての火鶏頭花葵新吾

  • 乱れ打つ心臓抱きぬ鶏頭花青井猫

  • 鶏頭や昭和知りたる舞台幕青海也緒

  • 風葬の錆びた看板鶏頭揺れ青田奈央

  • 背後より鶏頭の群かまびすしあおのめ

  • 還暦の鶏頭ではないが赤い赤馬福助

  • 鶏頭や「炎の人」は左耳acari

  • 鶏頭を見しより頭痛の鳴り止まず秋沙美洋

  • 鶏頭花殴りもせずに五十年彰乃泉

  • 不機嫌な脳か鶏頭の褶曲朝雲列

  • 夜半吐血手にあたたかな鶏頭花朝倉カグラ

  • からあゐやいたはりあへぬことおほし朝月沙都子

  • 色あせぬ恋鶏頭はお洒落して淺野紫桜

  • 鶏頭の要塞の先には旅順あさのとびら

  • 鶏頭を刈つて日暮れのおそろしきあずお玲子

  • 鶏頭や脱毛サロン閉店す梓弓

  • 鶏頭を撫でケロイドを撫でる母あたしは斜楽

  • 鶏頭と目があつてしまふマリーの忌足立智美

  • 鶏頭花檄文の飛ぶ蒼き空新子熊耳

  • 鶏頭や病室までに拭く涙天風

  • 車夫の腓隆々鶏頭の道へあまぐり

  • 鶏頭を足蹴に倒し進みおり数多未完

  • 血尿の襁褓けたけた鶏頭花あまぶー

  • 校庭の鶏頭やコールはアウト網野れいこ

  • 夜の声を知る鶏頭を探しをりあみま

  • 横断歩道牛乳瓶に鶏頭花雨李

  • 迷子札「鶏頭の家」を見えるようあやたか

  • 鶏頭のひたひた雨を発火せり綾竹あんどれ

  • 青空にミサイル赤い鶏頭花荒井類

  • 温もりをぽんぽん繋ぐ紐鶏頭あらかわすすむ

  • 鶏頭の野に雨ロヒンギャの涕荒木俊充

  • 鶏頭やどこからを浮気とするかあらせもんじ

  • 折り返しのきかぬ齢や鶏頭花新多

  • ため息はこころを腐す鶏頭花蛙里

  • 鶏頭のざらり遠き日父の頬ありいかな

  • 仏花買ふ槍鶏頭の混じりをリ有本俊雄

  • 鶏頭や職安に入るメルセデス有本仁政

  • しづ子の紅の色に翳りて鶏頭花アロイジオ

  • 鶏頭や読めぬ草書の遺言書アンサトウ

  • 鶏頭の迷路の如き花の襞杏樹萌香

  • 火焔式土器の呟き鶏頭花安春

  • 朱印帳預けて鶏頭の方へ向き飯田淳子

  • おもむろに鶏頭あるきだしにけり飯村祐知子

  • 鶏頭やバスの内輪差を揺るるいかちゃん

  • 母は老ゆ多分最後の鶏頭花いくたドロップ

  • ジャングルジム抜け鶏頭に迷路見ゆ池内ときこ

  • 鶏頭をさわりて指の不思議なり池内ねこバアバ

  • 失恋のうす暗き果て鶏頭花池之端昇雲

  • 鶏頭へ水校長の二時間目池之端モルト

  • 水受けて墓碑は鶏頭を映せり池ノ村路

  • 野にありて野を拒みけり鶏頭花イサク

  • 鶏頭を撫でゐて触れぬままの母指いさな歌鈴

  • 明日閉ざす牧に鶏頭列を為す石井一草

  • 鶏頭の赤きに怯む墓じまひ石井茶爺

  • 鶏頭や原油価格の不安定石岡女依

  • 鶏頭や箸で炒めるナポリタン石垣

  • 鶏頭とフォルクローレを聴いて夜半いしきひさき

  • けいとうの赤きみのくちびるの赤石崎京子

  • 傍らに猫の墓石を鶏頭花石塚彩楓

  • 鶏頭のうねり東京の人混み石橋可秋

  • 立たされてゐる鶏頭にそよと風石原由女

  • 月蒼し鶏頭わずかに首を上げ石間毅史

  • 鶏頭や墓守として闇に立ち和泉攷

  • 街頭演説を聞いた鶏頭と泉千尋

  • 結審の日の鶏頭のただ黙なり磯野昭仁

  • 鶏頭立つ地に客死せりカラヴァッジオ石上あまね

  • 雑音を吸い込むやうな鶏頭花いその松茸

  • 仮縫ひの襞たつぷりと鶏頭花板柿せっか

  • 鶏頭を手向ける鳥の墓あたりいたまきし

  • 鶏頭や今日もレクイエムを空へ市川りす

  • 鶏頭花まさか鶏冠を知らぬとかいちご一会

  • 鶏頭の風に靡かぬ厚さかな斎乃雪

  • 鶏頭の朱を連写するさかあがり一秋子

  • 行き場なき毒や鶏頭の鮮やか井出奈津美

  • 鶏頭花ここも向かいも野中さん伊藤亜美子

  • 鶏頭の天泣吸うて重たげな伊藤柚良

  • 鶏頭や夜中は歩き出すらしい糸川ラッコ

  • あの腰のはりは多産よ鶏頭花伊奈川富真乃

  • へのへのもへじ子供食堂鶏頭花稲葉雀子

  • 僕以外鶏頭乾く岸にゐる稲畑とりこ

  • 青鬼が追ってくるゆめ鶏頭花いぬくん八歳

  • 鶏頭の競ふ銀座の花展かな井納蒼求

  • 鶏頭や出しそびれゐし祝状ゐのかたゆきを

  • 鶏頭や介護日誌はまだ白紙いまいやすのり

  • 立ち上がる鶏頭の赤フジコ聴くイマスノリコ

  • 鶏頭や手は休みなく針仕事井松慈悦

  • 鶏頭や松陰門下の四天王今西知巳

  • 鶏頭や性別欄を無回答妹のりこ

  • 鶏頭のうなじピンセットが硬い伊予吟会宵嵐

  • 鶏頭花妹兄より弁が立ち五郎八

  • 鶏頭や2DKに子だくさん色葉二穂

  • 小腸の壁はざわざわ鶏頭花磐田小

  • 鶏頭やまことのやうな母の嘘岩橋春海

  • 鶏頭やトレイの上の癌組織ういろ丑

  • 鶏頭の種もこぼれる誕生日植田かず子

  • 鶏頭は忘れていない母の顔上野眞理

  • 鶏頭や真白き壁のコテの跡上原淳子

  • タバコ屋の跡地鶏頭花の余熱うからうから

  • 鶏頭に蹂躙されし村役場うさぎまんじゅう

  • 船酔いを脱し鶏頭ああきれい宇佐美好子

  • 鶏頭やビロードの谷の漆黒うた歌妙

  • 鶏頭や並ぶ国旗の赤ばかり宇田建

  • 鶏頭の襞へ読経は吸はれゆく内田こと

  • 鶏頭やビデオテープの映画名内田英樹

  • 鶏頭や移動動物園の列うつぎゆこ

  • 鶏頭赫しもう二度と来ぬ座敷なれ靫草子

  • 鶏頭を数えて子規を召喚す卯夏野心

  • 封筒に去年の日付鶏頭花海口竿富

  • 鶏頭や嫗きれいに死に給ふ海野碧

  • 花壇に鶏頭職員室に母海葡萄

  • 鶏頭は太初のいろづく付箋吽田のう

  • 鶏頭や雀荘でしか会はぬひと詠頃

  • 鶏頭や手折られ挿され忘れられs葉子

  • 鶏頭の野暮つたきほど靭きこと絵十

  • 鶏頭と阿修羅どつちが寂しいか江藤すをん

  • 鶏頭の海一匹の蟻をのむ戎居多佳子

  • 鶏頭や接骨院の昏き庭朶美子

  • 鶏頭を摘みしあとなり風淋し江見めいこ

  • 鶏頭をクロネコヤマト撫でて来るえんかず

  • こぼれ落つ鶏頭の種砂鉄かと遠藤愁霞

  • スケッチを拒む鶏頭の曲線遠藤玲奈

  • 閻魔の子ぴよんと鶏頭群るる庭旺上林加

  • 鶏頭や夕暮れ過ぎの鬼の顔大泉まる丸

  • 三叉路の剥げた「止まれ」と鶏頭花おおい芙美子

  • 鶏頭や錆びた屋上コースター大紀直家

  • 鶏頭をひとまず斬首して晒せ大黒とむとむ

  • 鶏頭や着信履歴消してゆく大小田忍

  • 鶏頭の赤は球子の富士の赤大阪駿馬

  • 12時の庭で鶏頭天を突く大谷寿鶴

  • 鶏頭や経過観察中の肺大槻税悦

  • 知らんぷりされて知らんぷりする鶏頭よ大野美波

  • 鶏頭や島の札所へ落暉充つ大庭慈温

  • 平家村死者を弔う鶏頭や大村真仙

  • 鶏頭を覗けば傷が生き返る大和田美信

  • 鶏頭や満身創痍の赫赫岡井風紋

  • 鶏頭を抜けば聞こえて土の息岡﨑宙夏

  • 晩年と言ふも明るき鶏頭花岡田雅喜

  • 吾子曰く落ち込んでいる黄鶏頭丘の上太郎

  • 鶏頭や強き色こそ淋しけれオカメインコ

  • 怒りなほ骨の髄まで鶏頭花岡山小鞠

  • 夜の鶏頭ひゅうひゅうとなる肺よ小川さゆみ

  • 野ざらしの車鶏頭ともにあり小川天鵲

  • 内臓のうねり鶏頭花ざかり小川野棕櫚

  • うなだるる鶏頭起こす日なりけりおきいふ

  • 獣毛に触れしゆび鶏頭に触れオキザリス

  • 直立の鶏頭日毎赤さ増す奥ノ木蛍子

  • 鶏頭や砲音轟く演習地奥の昼行燈

  • 四時起きの本家の嫁や鶏頭花小倉あんこ

  • 鶏頭や犬は動かず獣医前おぐら徳

  • 鶏頭や火力の足らぬ中華店おこそとの

  • 鶏頭や今朝のこころは少しかたいオサカナクッション

  • 仏壇には鶏頭覗くのはだあれおざきさちよ

  • 鶏頭花飛び火しそうに吹かれをり小沢史

  • 鶏頭の畝黒々と暮れ残るおだむべ

  • 夕日射し鶏頭の影奪い合うおでめ

  • 母の襟に触れてみた日や鶏頭花音のあ子

  • 鶏頭を切り残したる投票所音羽凜

  • 星空へぎゆつと襞よせ鶏頭花おひい

  • 鶏頭やきっと天狗も子だくさんおぼろ月

  • 鶏頭は毎夜人間食べているおんちゃん。

  • 女子高の校則違反黄鶏頭諧真無子

  • ベルベットは畝る温厚な鶏頭快晴ノセカイ

  • 鶏頭やすずめの空の底浅く灰頭徨鴉

  • 鶏頭や三人だけの地鎮祭海峯企鵝

  • 腥風は鶏舎よりして鶏頭に火炎幸彦

  • 鶏頭や皺深ければ影深きカオス

  • 鶏頭の腋芽も小さき鶏頭花かこ

  • 鶏頭や夫と並んで投票す風花まゆみ

  • 鶏頭のいつより夜を怖がらず霞山旅

  • 首の無い鶏が走るよ鶏頭花樫の木

  • 鶏頭や戦火の色は穏やかでカズン

  • 鶏頭や木乃伊の胸に納めけり加世堂魯幸

  • 鶏頭や海光浴ぶる流人墓加田紗智

  • 待ち居たりCOOPの荷なる鶏頭花克巳@夜のサングラス

  • 鶏頭は疵口のごと爛れけり桂子涼子

  • 鶏頭の要件定義に子規が要る加藤ゆめこ

  • 鶏頭や永代供養へ納骨す仮名鶫

  • 吃りある子の黙赤き鶏頭花河南朴野

  • とめどなき小言よ庭の鶏頭よかねつき走流

  • 鶏頭や行列長きピカソ展釜眞手打ち蕎麦

  • 暴くべからず鶏頭の襞の闇紙谷杳子

  • ラシャメンを匿つている鶏頭花白鳥古丹

  • 熱唱の帰途を絶叫の鶏頭かむろ坂喜奈子

  • 鶏頭花墓誌六列の献体碑亀田荒太

  • 心臓暗し鶏頭赫し赫し亀田かつおぶし

  • 鶏頭の赤は愛でも血でもない花紋

  • 鶏頭は抜かれても赤滲ませるかよ

  • 廃校の花壇鶏頭は喧し加裕子

  • おはようが土手の鶏頭飛び越えて唐草もみじ

  • 鶏頭や解体新書第二卷加良太知

  • 鶏頭の絞り出て種のあたたかい狩谷わぐう

  • 鶏頭は襞へ夕日をたくはへる川越羽流

  • 献血の天井白し鶏頭花河原つばめ

  • 鶏頭も砂混じりなり海の街閑々鶏

  • 鶏頭の辺り寂しき写生会邯鄲

  • 空爆にも生き鶏頭の赤忘られじ樺久美

  • 太陽の自転は歪鶏頭花喜祝音

  • 鶏頭をなでライオンの尾のつもりキートスばんじょうし

  • 鶏頭の始末はいたむ手首かな菊池洋勝

  • 鶏頭や子の子の頃の事故の事季切少楽@いつき組広ブロ俳句部

  • 百均の仕付け糸色した鶏頭北川颯

  • 鶏頭の庭の光はホルマリン北野きのこ

  • 鶏頭に呼応するかに口内炎北藤詩旦

  • 鶏頭や波止場の夜の観覧車北村崇雄

  • 鶏頭の見送る畑じまいかな北村修

  • 鶏頭の直立不動無口なる北村礼子

  • 鶏頭や暗渠の水の音激しきなこもち

  • 鶏頭の時間狂わずして進む城内幸江

  • すうすうと甘き鶏頭のまどろみ木下桃白

  • 町道を庭と仕切つてゐる鶏頭木ぼこやしき

  • 鶏頭花見なくなったよ投票日木村恵美子

  • 鶏頭の朱やショパンのスケルツオ木村かわせみ

  • 鶏頭や外に置かれた洗濯機久助

  • 鶏頭呻く活断層の上にかなきゅうもん@木ノ芽

  • 月曜や鶏頭は痛いほど赤紀友梨

  • 鶏頭や引っ越しに棚叩き破れば杏乃みずな

  • 鶏頭や独立といふ道選ぶ清瀬朱磨

  • 石碑のつぺり鶏頭をはべらせて清永ゆうこ

  • 鶏頭やずばりもの言ふ女の子桐野鈴子

  • いじめ相談センターの鶏頭がこわいギル

  • 男児嘔吐ケイトウをみていました銀紙

  • 空っぽの空に鶏頭難しげ銀長だぬき

  • こつてりの鶏頭あつさりの鶏頭

  • 鶏頭や執行猶予満了の日くぅ

  • 信長は人か炎か鶏頭花久我恒子

  • 鶏頭や喪中はがきの下準備葛谷猫日和

  • 鶏頭の花穂たましひのおもさぐでたまご

  • 鶏頭や空き家に残る古時計國吉敦子

  • 朝靄に紛れぬ赤や鶏頭花窪田睡鯨

  • 火事ですか救急ですか鶏頭花くま鶉

  • 鶏頭花いくたび我を刺したるか熊谷温古

  • 鶏頭に触れたる指が熱を帯ぶ倉岡富士子

  • 鎌を研ぐ祖父のケロイド鶏頭花紅さやか

  • 鶏頭や石炭運ぶ列車待ち恵享怜

  • 鶏頭や墓地に明るさ引き連れて景清華

  • 盲人に触れて鶏頭きっと赤恵勇

  • 鶏頭の一本からは数えないけーい〇

  • 鶏頭鶏頭猫車鶏頭げばげば

  • 鶏頭を見たく嗅ぎたく彷徨えり欅山四十八景

  • 余生とは齢にあらず鶏頭花健央介

  • 鶏頭と機械仕掛けの猫の首元喜@木ノ芽

  • 鶏頭に炙らるる太陽の塔研知句詩@いつき組広ブロ俳句部

  • 鶏頭をごろり落として刃のひかり剣橋こじ

  • 悲しみは赤き鶏頭枯るるまで小池令香

  • 辻説法の風よどみをる鶏頭花小泉野魚

  • 鶏頭のゲバラのTシャツより赫し剛海

  • 鶏頭を振り返らないどうせ赤公木正

  • 鶏頭やタイムカプセルのプリクラ紅紫あやめ

  • 夕闇を往く鶏頭を畏れつつ幸田柝の音

  • 鶏頭や暖色ばかり減る絵の具神戸めぐみ

  • 鶏頭と勝手に拝む無縁墓幸織奈

  • 鶏頭の人でも埋まつてさうな赤古賀

  • 鶏頭の色を使って描く空こけぽて丸

  • 駆け落ちの一年持たぬ鶏頭花小笹いのり

  • 鶏頭花赤より闇に溶けにけり孤舟

  • 鶏頭一列にフレンチカンカン小舟千里

  • 戒名に出来ぬカタカナ鶏頭花コスモス

  • 鶏頭や妻七人の回教徒小だいふく

  • 鶏頭の穂先を握る指に皺小手鞠しおり

  • 鶏頭や父の匂いの古帽子来冬邦子

  • 水ぶくれ潰れて濡れて鶏頭花古都鈴

  • 基地近く翼の影に鶏頭花小林のりこ

  • 鶏頭や泣き崩れたる如く枯れこひつじ

  • 鶏頭は瘡蓋の花と忌み嫌ふこま

  • 鶏頭に尖った心置いてゆくこむぎ

  • 鶏頭や肺が吐き出す赤き血よ小山晃

  • 鶏頭の手触り喉袋とも違ふGONZA

  • 鶏頭や二ヶ月ぶりの理髪店今藤明

  • 鶏頭やあれは火の粉の降りし夜今野淳風

  • 鶏頭花雨の匂ひの日曜日さいたま水夢

  • やわらかに月夜けいとう縁どりぬさいたまべっ甲ネコ

  • 鶏頭の埃まみれに林立す彩汀

  • 庭に立つ鶏頭あかく疼く足齋藤杏子

  • 鶏頭や手巻き煙草のくゆる先齋藤さいす

  • 鶏頭や腹部に手術痕かかへ斉藤立夏

  • 鶏頭や呼び名に文句はあるまいか宰夏海

  • 槍鶏頭折るメーター検針員早乙女龍千代

  • 鶏頭の手前ナースの影よぎる榊昭広

  • ムスリムに秘めた心よ鶏頭よさかたちえこ

  • フライ追う子は鶏頭をポンと越え坂まきか

  • 鶏頭は風の螺旋を茎としてさくさく作物

  • 糸端をほどけば憐れ鶏頭花さくやこのはな

  • ぐったりと鶏頭さりげなく斜陽さくら亜紀女

  • 隻眼の芯で捉える鶏頭ぞさこ

  • 数滴の露涙めく鶏頭花迫久鯨

  • 鶏頭や閲兵を待つ儀仗兵笹かま

  • 鶏頭の丘ぎっしりと続きおり砂舟

  • 鶏頭の垂れて頭痛の日なりけり紗千子

  • 鶏頭やキュッキュ鳴いてる名古屋帯佐藤花伎

  • 鶏頭の襞の朝日を抱きけりさとう菓子

  • 政党頼まれ鶏頭ほめられて佐藤儒艮

  • けいとうやきらひなものとふれあはず佐藤綉綉

  • 鶏頭の緋色は私に似合います佐藤しらべ

  • 鶏頭や晩餐の炎に十字佐藤里枝子

  • 鶏頭と自販機だけがある酒屋里すみか

  • 母の摘む鶏頭ぬらり臓器めく真井とうか

  • 鶏頭や臓器移植を待つぬめり錆田水遊

  • 無垢彫りの仏は童鶏頭花さぶり

  • 全てわすれた鶏頭の赤以外さむしん

  • ドアマンに戦後の永し鶏頭花さるぼぼ@チーム天地夢遥

  • ほと焦がすヒト科ヒト属鶏頭花澤田紫

  • 鶏頭の思ひがけなき硬さかな澤田郁子

  • 鶏頭や片せぬ部屋を抜け出して沢拓庵

  • うす桃の祖母の頭蓋よ鶏頭よ澤村DAZZA

  • 竜虎相搏つ鶏頭が飛ばぬよにジェントルASANO

  • 鶏頭やみだれて黝き夜の庭塩原香子

  • 鶏頭よ婚家の墓は入らんけ紫檀豆蔵

  • 引き裂けば狂ひ出しさう鶏頭は篠原雨子

  • 密度濃きバッハの調べ鶏頭花篠雪

  • 鶏頭のひだに怠惰をうずめけり渋谷晶

  • 鶏頭を握れば出づる今朝の雨しぼりはf22

  • 鶏頭や胸ざらざらと日の暮れぬ島田あんず

  • 鶏頭花私は黙食が好きで嶋村らぴ

  • 鶏頭や仕事ばかりの誕生日清水縞午

  • この鎌で畑の鶏頭手向けけり清水三雲

  • ドライブスルーのバーガーと鶏頭下丼月光

  • 鶏頭や唸るラジウム計測器芍薬

  • 鶏頭の喝と叫びて青天にジャスピン

  • 揺さぶれど拳は固く鶏頭花じゃすみん

  • 別嬪と言われし頃や黄鶏頭沙那夏

  • 街頭の演説聞くや鶏頭と写俳亭みの

  • 鶏頭や女子は全員姫の役砂楽梨

  • 鶏頭に触れる亡き人の化粧刷毛秀耕

  • 分裂の狂ひ正しき鶏頭花シュリ

  • 吾と月のあはひへ浮かぶ鶏頭花常幸龍BCAD

  • 岩礁の熱噴き出すや槍鶏頭正司志津

  • 鶏頭や十五歳にて子を産むと白井百合子

  • 鶏頭の鶏冠燃えてる昭和初期白沢修

  • 太陽逃さじと開くや鶏頭四郎高綱

  • 鶏頭や火薬の匂う投票所白プロキオン

  • バツイチの実印四つ鶏頭花白よだか

  • 鶏頭や誰も使わぬ駅の傘新開ちえ

  • 鶏頭の走り出すかもしれぬ夜新城典午

  • 能登線の錆びし鉄路や鶏頭花新濃健

  • 鶏頭の迷路に一人うたた寝す新花水木

  • 点滴パック窓辺の鶏頭遠ししんび

  • 鶏頭やもつと力を抜きたまえしんぷる

  • 鶏頭やがらんだうなる眼底に深幽

  • 大股の黒パンプスや鶏頭花水牛庵乱紛

  • 鶏頭や少年姉の背を抜けり酔進

  • 鶏頭の紅は人を喰ろうた紅水蜜桃

  • 一族の血しほ滴る鶏頭花すいよう

  • 鸚鵡にも鬱の日ありぬ鶏頭花すがりとおる

  • 鶏頭や老衰という終わり方鈴木(や)

  • 緋鶏頭こわくて見れぬ映画あり鈴木由紀子

  • 鶏頭の並ぶ律儀や月曜日鈴木麗門

  • 体育を休みて鶏頭の赫しすずさん

  • 鶏頭やひだのあひまの迷ひ道主藤充子

  • 鶏頭のそろそろ灯油買へと言ふスナップえんどう

  • 太陽のような母です黄鶏頭すみれ(10才)

  • 鶏頭を数へて耳鳴りが止まぬすりいぴい

  • 鶏頭や寄りかからずに生きた母静江

  • 鶏頭花50回忌の父に会い青児

  • 鶏頭の朱を落款に墨を磨るせいしゅう

  • 鶏頭や触れて厚さを確かめる青灯下

  • 肉厚の鶏頭埠頭の昼下がり瀬戸ティーダ

  • 心臓が二つあるヌシ鶏頭花世良日守

  • 暗がりに鶏頭の列迫りくる惣兵衛

  • 鶏頭や編み物のごと解けそうそうま純香

  • 今いじょうなりきれぬ赤鶏頭花そうり

  • 槍鶏頭引力を貫きにけり素空

  • 鶏頭の拒絶の白は好きですかそまり

  • 鶏頭の白く草臥れけり廃炉染井つぐみ

  • 鶏頭や炎に似せて我は描く染野まさこ

  • 豆瑠璃羽くねくね鶏頭は襞増やす空豆魚

  • 鶏頭やまた悪口で盛り上がるぞんぬ

  • 暗幕を繕う鶏頭の香の中橙と紫

  • カリエスの穴覗きたる鶏頭花平良嘉列乙

  • 怪人にされる鶏頭バイク乗る高岡春幸

  • 鶏頭や隣の部室から怒号高尾里甫

  • 座布団に祖母のいばりや鶏頭花高田祥聖

  • 鶏頭の赤はボレロの調べして高嶺遠

  • 好奇心の数ほど鶏頭咲きぬべし高橋寅次

  • 玩具のごとき鶏頭玩具のごとき恋田川彩

  • 鶏頭花厠の道を灯されよ竹内一二

  • 鶏頭や失書の母の五年日記竹口ゆうこ

  • 鶏頭の紅まだ遺し祖母の墓竹八郎

  • 人は人自分は自分鶏頭花たけろー

  • その夢のほぐれぬ紅さ鷄頭花多事

  • 埋めたのは確か鶏頭のすぐそば黄昏文鎮@いつき組広ブロ俳句部

  • 裏庭の鶏頭したはインコの骨糺ノ森柊

  • 鶏頭を育てて助平親父かな多々良海月

  • 鶏頭の末広がりの頭痛かな立葵

  • 鶏頭やななめに影のゆれてをり橘乎夏

  • 鶏頭や嬰児は赤い夢を見るダック

  • 沈黙は銀や鶏頭ふくらんで田面類

  • 鶏頭の襞のうごめくとき切らむ田中木江

  • バテレンの説教長し鶏頭花谷口詠美

  • 鶏頭やにわとり嘴を胸に埋め谷町百合乃

  • 夕暮れの球児の素振り鶏頭花田畑整

  • 鶏頭や瘡蓋は未だじくじくとたまのねこ

  • 鶏頭や夫の電話は前の妻玉響雷子

  • 鶏頭やうつらうつらと野の仏たむらせつこ

  • 鶏頭や濡れ縁借りて握り飯田村モトエ

  • 鶏頭の赤に考へ邪魔されて田村利平

  • 力石徹のアッパーカット鶏頭たろりずむ

  • 鶏頭のブーケ縄文土器のごと淡水亭

  • 鶏頭や息絶えし後も締める首丹波らる

  • 鶏頭や我が手老婆の手となりぬちっちのきも

  • 鶏頭や参観の日のお母様千歳みち乃

  • 救急車の横は鶏頭血の匂ひ千鳥城@いつき組広ブロ俳句部カナダ支部

  • 嫌われていたのは私鶏頭花ちゃうりん

  • 触れられぬ美術品鶏頭触る衷子

  • 鶏頭のまざまざと居て畑せまし澄心静慮

  • 怖々と触れる墓前の鶏頭花ちょぼ鶉

  • 鶏頭やアレルギー性結膜炎ツカビッチ

  • 鶏頭を齧る夢かな暗き朝月岡方円

  • 鶏頭や知恵の重みにうなだれる月硝子

  • 老眼に鶏頭重く眼鏡置くつきのひと

  • 鶏頭や戦争の痕消えぬ丘月の道馨子

  • 鶏頭や夫婦同氏か別姓か辻内美枝子

  • 鶏頭花ゆばり永しや老いた牛辻野花

  • 弾痕深き旧発電所鶏頭花ツナ好

  • 鶏頭の襞を斜陽のなぞりけり露草うづら

  • 鶏頭や癌宣告を子に隠すツユマメ@いつき組広ブロ俳句部

  • 鶏頭や物置の戸が閉まらないツユマメ末っ子9歳@いつき組広ブロ俳句部

  • 鶏頭や乾いた空へ赤い鳥弦巻英理華

  • ウィッグを選ぶ病窓より鶏頭テツコ

  • 鶏頭やドグラ・マグラの五ページ目寺尾当卯

  • 鶏頭や軍歌流れる街宣車電柱

  • 工事始まる鶏頭摘んでやるてんてこ麻衣

  • 鶏頭や年に二度ある発情期ノエル@天馬

  • 風の鶏頭Soleaなるギタアの音蚕丸

  • 鶏頭や父の老木包囲せり天陽ゆう

  • 人真似はせぬと決めたり鶏頭花どいつ薔芭

  • 鶏頭やグラスハープの音の波doいつもcoいつも

  • 「手術だね」中庭眩し鶏頭花

  • 鶏頭や太陽色の声高くトウ甘藻

  • 鶏頭の迷路に沈む我が憂ひ東京堕天使

  • ゴスロリの差し色あはれ鶏頭花遠峰熊野

  • 鶏頭花わたし世帯主本人遠山有馬

  • 倒れゐし鶏頭ぬつと首擡ぐとかき星

  • 鶏頭や郵便受けはがらんどう独星

  • 天を突きさし鶏頭花は血まみれどくだみ茶

  • 鶏頭や何本あつてもえぢやないか毒林檎

  • 鶏頭や酒は指先から逃げるどこにでもいる田中

  • 鶏頭の余白なき顔のどぼとけとしなり

  • ジョーロより朝日零れて鶏頭きれいトマト使いめりるりら

  • 鶏頭に斜に構えたる砂時計斗三木童

  • 民意沸る鶏頭は濡れて燃ゆ富山の露玉

  • 鶏頭の緋や今日死んだラットの目鳥さん

  • 千人分の自己PR鶏頭花鳥田政宗

  • 下腹の痛み鶏頭より赫くとんぶりっこ

  • 白鹿の蹠に残す鶏頭花内藤羊皐

  • 鶏頭の昏く粟立つ首根っこ

  • 曇天の午後鶏頭の緋の不穏中岡秀次

  • お隣はメリーウィドウ鶏頭花中里凜

  • 鶏頭や小使室のあった頃中嶋敏子

  • 鶏頭や七期連続当選者中鉢矢的

  • 鶏頭の束より小さき祖母の顔中村あつこ

  • 酔客が鶏頭撫でてゐるホーム夏湖乃

  • 鶏頭やあとは終わるだけの万博夏野あゆね

  • 九九算で計る空地に鶏頭花夏目坦

  • 鶏頭はやまない雨を録音す夏雨ちや

  • 肉抉れさらに鶏頭奮い立つ七国独楽男

  • 鶏頭が痛い土下座した玄関七瀬ゆきこ

  • 朝市の鶏頭われを貫けり七森わらび

  • 整地待つ解体跡の鶏頭花名計宗幸

  • リハビリはあの鶏頭の花壇まで名前のあるネコ

  • 鶏頭を嫌ったわけをもう聞けぬ二階堂恵

  • 見つめるな忙しいのだ鶏頭は西尾至雲

  • 鬱血のやうに鶏頭畳まれて西川由野

  • 殺し文句は鶏頭花に訊ねよ西田月旦

  • 咲くやうに歌ふくちびる鶏頭花西原みどり

  • 鶏頭の毛糸玉めく警察署西村小市

  • 鶏頭の熾ればゼロで割り切れる仁和田永

  • 母なくば静寂だけの鶏頭花二和田美枝子

  • 鶏頭へお辞儀の練習して夜明け鵺之疾秋

  • 鶏頭や空炙られるやうにあり暖井むゆき

  • ふと咽の渇いて鶏頭の健気沼沢さとみ

  • 葬りし一秒前の鶏頭花根々雅水

  • 鶏頭や国旗が燃える焼却炉涅槃girl

  • 鶏頭や刺さりたる矢の抜けぬまま野地垂木

  • 国政へ転じて鶏頭たばたばとののr

  • 鶏頭をにぎって何か確かめる埜の乃

  • 祖父母逝き父母も逝き鶏頭花野ばら

  • 「通りゃんせ」聞きて渡れば鶏頭花野原蛍草

  • 喰はれたるのは脈をうつ鶏頭のみ登りびと

  • 遺伝子が一つ足りない鶏頭は白庵

  • 鶏頭や遠慮なきほど赤爆るはごろも856

  • ホームセンターの鶏頭萎びたり橋爪利志美

  • 鶏頭花なにか悪さをしましたか橋本恵久子

  • 鶏頭を伐つて関羽に敵五万長谷川水素

  • 鶏頭を順繰りに撫で校門へ長谷川ろんろん

  • 鶏頭やひねもすひねくれものがゐる長谷機械児

  • 撮り鉄が鶏頭ぼかす無人駅長谷島弘安

  • 鶏頭や酸素奪うがごと赫し畠山悊央

  • 夕さりて鶏頭の裏側の顔八田昌代

  • 喪主の背へ手のひら鶏頭はかたしはなあかり

  • 鶏頭や話はいつも終活に花岡紘一

  • 満中陰の雨ケイトウ赤くし華樹

  • 鶏頭や性別にない性を持つ花咲明日香

  • 切除せし肺や鶏頭鮮らけし花結い

  • 鶏頭の緋色若冲の墨彩はのん

  • 鶏頭に情熱分けてもらう朝羽馬愚朗

  • シーソーの尻は痒しや鶏頭花ぱぷりかまめ

  • 曽祖母に厭はれ鶏頭の出禁浜けい

  • 飛び込めと背押す鶏頭線路脇浜友輔

  • 鶏頭や焼け落ちる家ただ見てたアクエリアスの水

  • 鶏頭にひかれて昔心地なる林田りこ

  • 鶏頭の俯くままに日は暮れぬ林山小春

  • 子等が抜く鶏頭雨に生き返り晴海南風@木の芽

  • ニカーブの強き瞳や鶏頭花巴里乃嬬

  • 柔らかい心にとまる鶏頭だばんしょう

  • 鶏頭花今宵も息をして眠るはんばぁぐ

  • 空き箱に小さき鶏頭折れぬよう万里の森

  • 教会の鐘鶏頭の波を越へ東野礼豊

  • 鶏頭の弾ける種の黒光り東山たかこ

  • 鶏頭の立ちて鳴きたるこゑの紅ひぐちいちおう(一応)

  • 鶏頭や瘡蓋色に暮れゆける樋口滑瓢

  • なんにも喰いたくない鶏頭揺れる菱田芋天

  • 鶏頭の裏帳簿など燃やしをり美竹花蘭

  • 鶏頭は正統正岡家の血筋ひでやん

  • 水をやる鶏頭ばかり熱くなる日向こるり

  • 土間残る公民館や鶏頭花ひなた和佳

  • 平日のパソコンの奥の鶏頭の群れ日野煌花

  • 鶏頭や百個目の嘘見抜かれるヒマラヤで平謝り

  • 鶏頭の根元卵を埋めて待つ向日葵@いつき組広ブロ俳句部

  • 鶏頭の咲く丘越えて分校へ平井由里子

  • 鶏頭は空の深さを培養す比良田トルコ石

  • 鶏頭のここのあたりが鐙骨平本魚水

  • 韓藍の花や中華の炎立つ比良山

  • しんざうは君へと捧ぐ鶏頭花広木登一

  • 鶏頭は赤不明は七万円廣重

  • 鶏頭の絶叫とどまりし形広瀬康

  • 鶏頭や今年はひだり五十肩ひろ夢

  • 鶏頭の赤なんなんと夜へ添はる風慈音

  • 自画像のゴッホよ激紅の鶏頭よ風泉

  • 鶏頭やここはお七の眠る寺深夜のり子

  • 車検待つ間の鶏頭と新車臭福井三水低

  • 鶏頭が見てる素振りをもう百回ふくじん

  • 鶏頭花触れれば土のごと優し福ネコ

  • 半分は鶏頭となる母の脳福良ちどり

  • ツーブロックは校則違反鶏頭花房代ちゃん@いつき組広ブロ俳句部

  • 鶏頭や墓までもつていくはなし藤色葉菜

  • 淋しさはこの手触りよ鶏頭花ふじこ

  • 鶏頭の懐かしすぎる赤すぎる藤田康子

  • 鶏頭の何処かに目鼻口心藤丸子

  • 鼻血出づ鶏頭に触れたる罰か藤雪陽

  • 写真の母白い鶏頭好きかしら藤原訓子

  • 機嫌よい鶏頭今日も早起きす船橋こまこ

  • 鶏頭や郵便配達待つてゐる文月さな女

  • 脂肪肝のように鶏頭がくどい冬のおこじょ

  • 鶏頭やいつぞや捨てし自句よむ夜冬水常

  • 鶏頭花どくどく濁りきり真つ赤古瀬まさあき

  • 続柄欄の「友人」鶏頭花古田秀

  • 鶏頭花つぎつぎ焚べるごと舟へふるてい

  • 鶏頭をちこち城下の町の迷ひ方碧西里

  • 鶏頭やロックスターの七回忌ペトロア

  • 鶏頭や届けエリーへFコードベニヤサン

  • 鶏頭や苛立つ父の長電話べびぽん

  • 鶏頭の隠し持つ宙は√x星雅綺羅璃

  • 帰宅理由忘れる母や鶏頭花星月さやか

  • 今日からは一人親方なり鶏頭干しのいも子

  • 縮みゆく輪郭すがし鶏頭花星詩乃すぴか

  • 鶏頭を食べようとしてやめる山羊ほしの有紀

  • 後悔の氷を溶かす鶏頭星海はるか

  • 鶏頭が金星をはさみ撃ちせり甫舟

  • 鶏頭や少年の朝練はつづくポップアップ

  • 鶏頭花それでも赤き仮設跡堀卓

  • 鶏頭のトサカの先に白き富士堀邦翔

  • 触れあはぬやう鶏頭の火色揺るほろろ。

  • 墓は閉ぢられ鶏頭は此方向く梵庸子

  • 鶏頭の人を滅ぼす夢を見る曲がりしっぽ

  • 鶏頭を数えた人を思い出す槙由梨子

  • 雀荘の昭和歌謡と鶏頭花まこ@いつき組広ブロ俳句部

  • 鶏頭や朝日へすける施無畏印まこちふる

  • 鶏頭燃ゆ地中の炎おしみなく正岡恵似子

  • 鶏頭よ私は周りと戦わぬ松井くろ

  • 鶏頭の躊躇ひの無き朱色かな松平武史

  • 計算ドリルやりて鶏頭水やりてまつたいら西

  • 暮れのこる夕日のしっぽ鶏頭花松本裕子

  • 鶏頭のめらめら可燃ごみの朝松山のとまと

  • 鶏頭に触れて犬の鼻の湿りまどん

  • 鶏頭この星は如何に死ぬでしょう真冬峰

  • 鶏頭の首刎ねしもの手を挙げよままマリン

  • 鶏頭や腸蠕動の音激しみい

  • 鶏頭や更地になりてなほ我が家三浦金物店

  • 二三鉢鶏頭並ぶパーマ屋さん澪つくし

  • 鶏頭や強がり女の隠すもの三茶F

  • 老紳士荷に鶏頭をくくりつけ巳智みちる

  • 鶏頭や赤線跡のラーメン屋みづちみわ

  • 鶏頭は浮気男の味方をす光峯霏々

  • 母方の一族強し鶏頭花みつれしづく

  • けいとう花とうきょうにとうめいなぼく南方日午

  • 鶏頭を握るどこまで握る吾子水無月葉子

  • 鶏頭や歌稿にペンの尖る影港のパン屋

  • 鶏頭や人を嫌ひになるバイト水面叩

  • 鶏頭もリーダー赤に決まっとるみほめろ@いつき組広ブロ俳句部

  • 鶏頭や子宮と違ふ緋もいい宮井そら

  • 鶏頭や髭の社長が創業者宮坂暢介

  • 鶏頭やここで浦上四番崩れみやざき白水

  • 鶏頭や己の影を踏みにじる宮武濱女

  • 五右衛門風呂鶏頭の中抜けて宮部里美

  • 鶏頭や突如野犬に出遭う辻みやま千樹

  • 鶏頭や火種は奴の小さき嘘みわ吉

  • トーチキスさせて鶏頭真つ赤つか椋本望生

  • 鶏頭やえんえんとジミヘンのリフ向原かは

  • 鶏頭の禍々しきを標とす睦月くらげ

  • 鶏頭の名を当てさせる散歩道村上一杯

  • 鶏頭は爆ぜぬパン生地は目覚めぬ紫小寿々

  • 鶏頭はマッチ5本分の炎むらのたんぽぽ

  • 鶏頭や空手の型のかっちりと村松登音

  • 鶏頭や道はまっすぐ北へ伸びモコ

  • 鶏頭やひかりを吸ふは夜気の刻本山喜喜

  • 鶏頭やごつんと風にぶつかりぬmomo

  • 境界の鶏頭抜かれ匂う土百瀬はな

  • 鶏頭やポテチごときが食いきれぬももたもも

  • 喚きつつ老いてゆくなり鶏頭花森佳月

  • 馬鹿みたく数式詰めてそな鶏頭もりさわ

  • 鶏頭強し保健室の教科書森田祥子

  • 鶏頭や遠足もない十五歳森田愛美

  • お見舞いの帰り赤すぎる鶏頭森中ことり

  • 鶏頭の雨を呼びたり飛鳥山森山博士

  • 鶏頭の庭に盛りの事故物件もろ智行

  • 鶏頭やホットばかりの自販機め山羊座の千賀子

  • 鶏頭や噂の多き三丁目矢橋

  • 鶏頭の空を刺すまで緩みなき矢橋

  • 寺に鶏頭腹の児は八ヶ月八幡風花

  • 光という声に驚く鶏頭花ヤヒロ

  • エコバッグ背負い鶏頭跨ぎけり山井直

  • 陽光になづき疼らき鶏頭花山内彩月

  • 鶏頭や柩へ父の墨と筆山川腎茶

  • 思ひ出のなんだかこわい鶏頭花山崎のら

  • 震災の壊れた時計鶏頭花やまさきゆみ(みやこわすれ改め)

  • 鶏頭や一年生の膝の裏山﨑瑠美

  • 鶏頭や身ぐるみあらはに赤らみて山科美穂

  • しづけさのひしめき合つて鶏頭花山田蹴人

  • 鶏頭や二番目に覚えし名前やまだ童子

  • 裏露路やそこは明るい鶏頭で山田文妙

  • 鶏頭や面識のない相続人山野麓

  • 風営法遵守鶏頭が明るい山本先生

  • ナベサダの音つんざくや鶏頭花山吉白米

  • 震度五の鶏頭赤き夜の渋谷遊井ユウ

  • 鶏頭や日に合掌をする暮し宥光

  • 鶏頭群るる軽く殺処分と言ふな雪井苑生

  • 鶏頭や母の編み機の金属音雪音

  • アポロンと名付けし雲や鶏頭花雪華きなこ

  • 病片は小瓶に鶏頭は窓にゆすらご

  • 虎猫の四十九日や黄鶏頭陽花天

  • 鶏頭や朱筆手だゆき校了日羊似妃

  • 退紅の鶏頭淋しきまま眠る横縞

  • ぼってりと滲む鶏頭予後のこと横浜J子

  • 鶏頭の有機と処刑場の無機吉川拓真

  • 鶏頭や酸素の音は脈のごとよし季

  • けいとうは青空みたいにひろがっている吉田結希

  • 鶏頭やみづうつ律の尻ゆたか葦たかし

  • 鶏頭や今日はだれと話したか吉田びふう

  • 境界線ちょっと鶏頭出ておりぬ吉野川

  • 鶏頭のあかあかきいろマティスの絵よしみち

  • 歯肉疼きて鶏頭の花睨む吉行直人

  • 鶏頭を脳に受け入れさせにけり吉行直人

  • 鶏はけんかつぱやいよ鶏頭花余田酒梨

  • お朝拝に園児鶏頭を捧ぐY・りこ

  • 鶏頭の赤ミゼラブルなる蒼穹夜紫遠

  • 私には怖い鶏頭てふ名前ラーラ・K

  • 鶏頭やつつけば仕返しされさうな雷紋

  • 唐藍の花や和尚の艶笑譚RUSTY=HISOKA

  • からあいを咲かす媼の無色かな若林千影

  • 鷄頭やブラックホールへ献花楽花生

  • 鷄頭の襞覗く子のぼんのくぼ梨音

  • 無職一ヶ月鶏頭の目につくローストビーフ

  • 鶏頭や「痴漢注意」の曲がり角和光

  • 鶏頭に触れる生命線無き手渡邉一輝

  • 鶏頭やすでに隣家の忘らるる渡邉桃蓮

  • 嘘まじる祖母の話や鶏頭花渡邉わかな

  • 鶏頭や母の怒りの種尽きず青井晴空

  • 母はまだ生きているふり鶏頭植う蒼空蒼子

  • 鶏頭が逆光の中で群れてゐるあかり

  • そぐわぬか鶏頭の赤父の墓明るいゲタ

  • 鶏頭にとりのこされて狂う風あきののかなた

  • だいだいの鶏頭の家彼の家伊藤治美

  • 鶏頭や決戦の口紅は濃く風ヒカル

  • 鶏頭の黄色の揺るる療養所岸野草太朗

  • キーキーと井戸水汲みて鶏頭花紫瑛

  • 門灯のひとつ点るや鶏頭花塩沢桂子

  • 鶏頭を揺らせポンプ車ひつきりなし戸部紅屑

  • 蜂蜜と鶏頭買ひたり日曜日林たまさか

  • 鶏頭やドクターヘリの飛ばない日藤田ゆきまち

  • 鶏頭の赤の底ひの黒々と眞理子

  • 鶏頭や銀貨に揺らぐある男

  • 血の海か鶏頭は嫌いだ嫌い横田信一

  • 鶏頭のように爛れた頃だった竜子@ノエル

佳作
  • 鶏頭やきやふんきやふんと鳴く子犬ミラベル

  • 鶏頭をまへに仔犬のあとずさり瀬尾白果

  • 鶏頭や母は娘に変わりゆく河村静葩

  • 鶏頭や母は子どもになりました高橋ひろみこ

  • 鶏頭や焔の高く天をつく井上橙子

  • 槍鶏頭炎のごとく天を焼く中島葉月

  • 倒れても鶏頭天を目指しをり大谷如水

  • 倒れたる鶏頭の尖天をさす榊昭広

  • 鶏頭や忿怒相かな明王院那須のお漬物

  • 鶏頭や不動明王忿怒して奈良素数

  • 深紅とは限らぬ色の鶏頭や四葉の苦労婆

  • 鶏頭と言えば赤とは限らない花純広場

  • 鶏頭やひかり波打つ絹の紅笑笑うさぎ

  • 槍鶏頭五本投入れ阿修羅かなあ・うん

  • 月命日香煙纏い揺れる鶏頭青橘花

  • きしる子の目に鶏頭の映りおり青野遊飛

  • 鶏頭や海底マグマのうねり出す蒼鳩薫

  • 鶏頭の花びらなぞり待ちぼうけ紅紫李依

  • 鶏頭の襞やはらかし母のごと赤松諦現

  • 緋に見知るかばの血のあせ鶏頭花明惟久里

  • 鶏頭や嫌いなままで半世紀あくび指南

  • 鶏頭や黒一色のクロゼットあさいふみよ

  • 鶏頭の幼名「けいと」柔らかき麻生恵澄

  • うまいこと付けた名前ね鶏頭て石橋千佳子

  • 鶏頭よお前の心も血まみれか伊多波良子

  • 扇鶏頭一人そよがぬ立ち姿宇田の月兎

  • 植木屋の残す鶏頭二つ三つ梅里和代

  • 嘘に嘘重ねて赤き鶏頭花浦野紗知

  • 鶏頭の紅は淋しき髪染める江川月丸

  • 鶏頭や末の叔母もう喜寿になり笑姫天臼

  • 鶏頭の赤ばかり植え義妹逝く円美々

  • 雄鶏の朝鳴き一つ鶏頭花近江菫花

  • 鶏頭は下人の頬の面皰かな大熊猫@四句八句

  • 鶏頭のうなじ伸ばせば白い雲岡田一了

  • 謎なぞのやうな花穂や鶏頭花小川都

  • 鶏頭を弄ぶ君の中指小澤ほのか

  • 鶏頭や仮装にはしゃぎたき心越智空子

  • 鶏頭花囃子聞こゆる地域寄席かいぐりかいぐり

  • 鶏頭よ東京の空は天晴れかかえる

  • 鶏頭の赤一色に足すくみ風花美絵

  • 鶏頭花何も実らぬ畑かな花伝

  • 鶏頭や神鶏枝に休みをり門未知子

  • 鶏頭やとさかの端を撫づる風かぬまっこ

  • 鶏頭のフリルに隠す横恋慕カフェオレ草

  • 鶏頭や騙されたふりしてだます神or愛

  • 鶏頭や百年前の昼を燃ゆ亀の

  • 鶏頭や燃え尽きることなき犬歯江南和波

  • 鶏頭やママの十八番はテレサテン岸来夢

  • 鶏頭や縁側に干す客お座布きべし

  • 鶏頭や酷使されたる前頭葉木村となえーる

  • 鶏頭や遊女干したる湯文字かなQさん

  • 鶏頭の垂れる刹那を截ちにけり京野秋水

  • 鶏頭や男があはく紅を引く工藤悠久

  • 鶏頭や映画になったハプニング海月莉緒

  • 鶏頭やそぼ降る雨の田原坂くるみ今日子

  • 鶏頭に朝の光の姦しや久留里61

  • 鶏頭や昭和喫茶のソファのごとくんちんさま

  • 十七のままのお七や鶏頭花このみ杏仁

  • 鶏頭を八百屋お七が愛でてゐる千代之人

  • 首切らば血の滴るや鶏頭花雑魚寝

  • 鶏頭をにぎりこぼれる日の粉かな笹おいけ

  • 鶏頭やまあるくなったおぼん・こぼん里山子

  • 鶏頭や群れて地獄の築地かな三休

  • 異世界の入口はここ鶏頭花寿松

  • アンデルセンのひらがなせもじ鶏頭花じょいふるとしちゃん

  • 鶏頭やたった12で吾子尽きる素敵な晃くん

  • 赤ん坊鶏頭をさわってまあるい目高村唯

  • 鶏頭や真直ひと鳴き告ぐるよなたすく

  • 天鵞絨をつづらに折りて鶏頭花唯飛唯游

  • 鶏頭の残像朽ちたプレゼント田中勲

  • 鶏頭に水やらねばと鳥が鳴く田中善美

  • ドロップの缶へ鶏頭の香扇ぐタマゴもたっぷりハムサンド

  • 屋根滑り落ち鶏頭となつたとさ玉庭マサアキ

  • 鷄頭や神輿の声は遠くから堤善宏

  • 鶏頭や献立閃く道すがら椿こちょすけ

  • 鶏頭の造花かしらと伸ばす指津幡GEE

  • 待ち伏せの闇に浮かぶは鶏頭か露口全速

  • 鶏頭の襞や眼下にいろは坂てまり

  • 鶏頭や原色好きの四歳児とき坊

  • 鶏頭や花魁挿しの哀の色ときめき人

  • 鶏頭花母から手編み届きけり友@雪割豆

  • 大病を得ての余命や鶏頭花中瀬すみっこ

  • 鶏頭よShall we dance?手を取られ尼島里志

  • 鶏頭や吾子も真っ直ぐ育ちたりノアノア

  • 鶏頭や玉入れの籠はいっぱいパクパクポンタ

  • 鶏頭に鬼胎の火葬夕星や羽織茶屋

  • シナプスはいきいき鶏頭は真っ赤はぐれ杤餅

  • 吾の拳鶏頭達に負けをリぬ蜂鳥子

  • 街路樹の隅ゆるされて鶏頭花パッキンマン

  • 鶏頭画雄しべ雌しべは喉あたり花岡淑子

  • 鶏頭の花燃え尽きて夜半かな花弘

  • 鶏頭や震う閻魔の抜きし舌はなぶさあきら

  • 鶏頭のはみ出しているランドセル浜野洋志

  • 鶏頭や軍手と麦わら干してあり原野乃衣

  • 君と笑うセピア色の鶏頭花針子のネコ

  • 枯山水に咲けぬ鶏頭怒るHNKAGA

  • 鶏頭や陽の色天に返しをりひすい風香

  • 好きなだけケーキに鶏頭咲かせればヴィッカリー趣乃

  • ようこそ道一直線の鶏頭花雛子なな

  • 鎌入れた鶏頭花の赤かりけり日吉とみ菜

  • 鶏頭もあなたも尖るほどよろし深町明

  • 鎌振れば血潮がとぶか鶏頭花深蒸し茶

  • 鶏頭や父のくびりし鶏の鍋福川敏機

  • 鶏頭かケイトウのラベル擦れし福田みやき

  • 鶏頭やパートのエプロン色褪せし福山文子

  • 売店のソーセージ燻る鶏頭花風友

  • 鶏頭の赤まっすぐに飛ぶ宇宙またあ

  • 鶏頭や窓べに吊るすドレス二枚丸山隆子

  • 鶏頭や南京町といふ絵の具まんぷく

  • 鶏頭や廓詞は覚えたて帝菜

  • 鶏頭や拾い戻そかダンス靴三島瀬波

  • ダミ声の考の円座や鶏頭花みなと

  • 鶏頭や右脳と左脳に分かれけり湊かずゆき

  • 門扉脇太き鶏頭仁王立つみなみはな

  • 鶏頭や雛の命を掬ひ上げ宮田羊

  • 鶏頭やホットミルクの膜すくふ雅乃珠晃

  • 闇夜より鬼が舌出す鶏頭花宮村土々

  • 鶏頭やむかし親父の屠る庭武者小路敬妙洒脱篤

  • 植込みの頭もたげし鶏頭やむねあかどり

  • くしゃくしゃに蔵ふ遺伝子鶏頭花村上牛蒡

  • 鶏頭や子供のままのワカメちゃん森の水車

  • 鶏頭に紅蓮華鳴らし競わせる八木実

  • 塔の陰鶏頭の紅見せぬなり

  • 草野球拍手送るは鶏頭花山口絢子

  • 鶏頭や再放送はサスペンス山口たまみ

  • 鶏頭やお笑い芸人養成所ヤマコー

  • お祭りのひよこ何処や鶏頭花山育ち

  • 音符らが溢れるごとく鶏頭花山田啓子

  • 子ウサギの上着びろうど鶏頭花蓮花麻耶

  • 鶏頭に浪速言葉の二人連れわかなけん

  • 鶏頭の赤の滲める夕日かな若井柳児

  • 軒先に女王の気配鶏頭やわたなべいびぃ

  • 色褪せぬ鶏頭みたいに歳重ねあいあい亭みけ子

  • 鶏頭の如く明るく真っ直ぐに愛華沙羅

  • 鶏頭にチップはずんで華すまひ藍彩々

  • 鶏頭や般若心経唱和する愛燦燦

  • 鶏頭や彼見惚る緋の色ドレス青居舞

  • 鶏頭の色添えたるや地鎮祭あおいなつはやて

  • 鶏頭のすくと立ちたる里の庭大竹八重子

  • 鶏頭の植え替えに根を労りぬ赤子沢赤子

  • 御玄豬に鶏頭挿して立華生け聰子

  • 鶏頭や日本を護る頭角を昭谷

  • 鶏頭のヘドバンのごと風強し秋野茜

  • 鶏頭の花弁のごとく燃えていて秋山まこと

  • わが庭の鶏頭のなか鶏はしる秋代

  • 石段の端に鶏頭の一つ咲く秋吉孝治

  • 恋をした。燃ゆる鶏頭色あせぬ天空海まりん

  • びょうびょうと朱をなし鶏頭もえさかる芥川春骨

  • 鶏頭や胃腸の弱い父植えぬ朝方静流

  • 鶏頭や罪過のごとき重たさを朝の実

  • ニワトリのトサカ怖くて鶏頭嫌い麻場育子

  • 鶏頭の寄り集まって圧倒す明日良い天気

  • 鶏頭の夜目にも赤く襞光り飛鳥井薫

  • 野良ばえや鶏頭一つ父の墓あそぼ葉

  • 鶏頭や夫はコンロを消し忘るあたなごっち

  • 鶏頭や老犬の墓添い守るakkotas

  • 鶏頭や正信偈あげ痺れ切れ渥美こぶこ

  • 鶏頭やペット墓碑脇二三本跡部榮喜

  • 鶏頭や若冲デフォルメす鶏冠sakuraa.

  • 手をひかれ泣きながら鶏頭の道雨戸ゆらら

  • 渋滞の歩道に並ぶ鶏頭よアマリリスと夢

  • 鶏頭や七宝焼きの七回忌雨霧彦@木ノ芽

  • トラクター休む足元に鶏頭花あやや

  • 俺はやる鶏頭燃えているのかお前も荒川ドクターペッパー

  • 終活の捗らぬまま鶏頭花あらら

  • 鶏頭におじぞうさまのかくれんぼ飯田むつみ

  • 試合完敗残りの水と鶏頭燃ゆyellowkettle

  • 鬼雨の夕鶏頭の花事もなし粋庵仁空

  • 鶏頭に告ぐる想ひは色褪せぬ生野薫

  • 鶏頭や花瓶の中の異邦人郁松松ちゃん

  • 鶏頭の真っ赤に立つや華やぎて池愛子

  • 鶏頭につい手をかざす朝の赤池田華族

  • タテカンとビラと中央花壇には鶏頭石垣エリザ

  • 鶏頭や15分のみの面会石川巴里

  • 顔よせてささやき笑う鶏頭や石田恵翠

  • 鶏頭や今日もブルーな防護服石の上にもケロリン

  • 鶏頭や魔女のドレスと孫が指し石原直子

  • 鶏頭や脳味噌の襞日々減りて和泉明月子

  • 鶏頭は赤き矢印天を指す遺跡納期

  • 鶏頭や引退の日の声清しいつかある日

  • 鶏頭や冠を数う紅白の騎樹十後

  • 童の瞳おなじ高さに鶏頭花伊藤順女

  • おぶさりて医者行く道に鶏頭の緋伊藤節子

  • 波平の脳ミソ燃ゆるごと鶏頭伊藤正規

  • 鶏頭を撫でし過日の祖父の庭伊藤美由紀

  • ジェラシーを吸い込み赤き鶏頭花伊藤れいこ

  • 問ふ前によっつと出す子や鶏頭花伊藤小熊猫

  • 鶏頭やチーズケーキはあと二つ稲垣由貴

  • 鶏頭や街道沿ひの小さき墓地井中ひよこ号

  • 寄せ植えのフリジング映え鶏頭花稲葉こいち

  • 鶏頭や食える脳みそ食える年居並小

  • 古家の跡形も無く鶏頭花伊縫音々

  • 鶏頭や一人暮らしになれぬまま井上幸子

  • 野良畑に去年の名残や鶏頭花今村ひとみ

  • 鶏頭や又探し物して一日今井淑子

  • 鶏頭の脈打つごと揺れてをり入江幸子

  • 鶏頭の混ざる仏花ときんつばと彩人色

  • 目を見張るオレンジ色の鶏頭花ゐろをふくむや

  • 鶏頭を愛ずる私憤は内に秘め岩木順

  • 生家跡ただ片隅に鶏頭花岩田勇

  • 駆け上がる先に広がる萌鶏頭いわつよ8

  • 寄せ植えの鶏頭の赤誇らしげvivi

  • ボランティア一列に鶏頭咲かす上原まり

  • 鶏頭の心に炎を移しけり空木眠兎

  • 雄鶏は頭突き飛び蹴り鶏頭にうっちーまみ

  • 鶏頭の一株雄々し昇る陽ぞ内海七奏

  • 鶏頭やその口紅のいろ欲しい宇野翔月

  • 鶏頭に熱き炎の恋の影海野洋

  • ほほ触るるははの羽織やけいとう花梅木若葉

  • 香りなき鶏頭ゆれた墓跡まえ梅ジャム

  • 鶏頭の溝と遺伝に囚はれり梅野めい

  • 鶏頭や揚げパンの店温かく浦文乃

  • 鶏頭や仏の道はどう行けば麗し

  • 鷄頭や糜爛していく我が戀蝦夷野ごうがしゃ

  • 頭撫で鶏頭の花そっぽ向き越後縮緬

  • 赤ワイン一気に酔ひて鶏頭花越前岬

  • 鶏頭を初めてという母に添う江藤薫

  • 里帰り母校の花壇鶏頭や榎本はなちゃちゃ

  • ミニ鶏頭吾娘の黙なる誕生祝海老あまびゑ

  • われわらべ庭をいろどる鶏頭よえみばば

  • 鶏頭や村を梯子車れつなしてM・李子

  • 手触りは母のよそいき紅鶏頭えんどうしん

  • 鶏頭は街灯の色押し返し遠藤百合

  • 花なのか絨毯かも鶏頭は大江戸小紋

  • かくれんぼ親指姫はケイトウに大江風鈴

  • 鶏頭や数へて脳の皺刻む大倉千古

  • 鶏頭の華に想いは色あせぬ恋大島一声

  • 鶏頭や昨夜の喧嘩謝れず太田鵯

  • 鶏頭や老いはそのまま赤のまま大野喬

  • 事故現場傍に植えられし鶏頭や大野静香

  • 墓掃除鶏頭が守る海の風大原妃

  • 鶏頭やマンション増えて姿消し大原雪

  • 鶏頭はマーズアタックに似たやつ大神阿修羅

  • モノクロの部屋ケイトウは燃え盛る大山きょうこ

  • 鶏頭や怒り心頭忘れおり大山小袖

  • 鶏頭や今も咲いてか廃屋に岡れいこ

  • 鶏頭やアスクレピオスの杖に似る魚返みりん

  • 紅よりもなお紅紅と鶏頭花岡崎俊子

  • 鷄頭や牛後の我等水くれる岡崎佐紅

  • 鶏頭のまろき手触り破顔かな岡田明子

  • 鶏頭や虫食いの葉に爛々と緒方朋子

  • 草ゆれて鶏頭顔出し猫とんだ岡田ぴか

  • 鶏頭をなでる我が子がいとおしくおがたみか

  • 葉陰から尻尾突き出す野鶏頭岡塚敬芳

  • 鶏頭のスカート似合うおさらいかい岡本

  • 少女の日何思ひけむ鶏頭花奥田早苗

  • 鶏頭を蝉籠に入れ友を待つ奥寺窈子

  • 鶏頭の咲くころ若嫁逝きにけり𠮷川壽一

  • 夕暮のセピアに灯る鶏頭花小倉藍朱

  • 鶏頭に赤き血潮を馳せてみる小栗福祥

  • 鶏頭のひだに触れたる吾子の指お品まり

  • 鶏頭は毛糸の花と母は嘘尾関みちこ

  • ドレープもギャザーも赤き鶏頭花小田和子

  • 百年の大木に添ふ小鶏頭小田龍聖

  • 朝ぼらけ庭の鶏頭ピンと立ち小田孝子

  • 鶏頭を眺め焼鳥喰らふ丘小田虎賢

  • 白骨の赤き大脳鶏頭花小田慶喜

  • 鶏頭やなだれ倒るる色の艶乙華散

  • 鶏頭の色と重なる毛糸玉お寺なでしこ

  • 鶏頭も敵わぬ朝の鳥の声於保紫織

  • 鶏頭や野良いく籠を見送りぬ沢瀉あけみ

  • 鶏頭にじょうろ紅白帽に笑み小山田之介

  • 鶏頭に恋路を語る白昼夢海音寺ジョー

  • むかわりに同じ色なす鶏頭は海瀬安紀子

  • 脳回の規則沿ふ鶏頭の知恵果音

  • 退院の日鶏頭の鮮やかに加賀くちこ

  • 紺碧の天鶏頭はすくと立ち案山子@いつき組広ブロ俳句部

  • 秘すこともせず炎立つ鶏頭花

  • 仏壇にケイトウの紅鮮やかに柿野宮

  • 鶏頭の怪しいほどの赤い色笠江茂子

  • 青年よ牛尾よりも鶏頭だ加島

  • 鶏頭やくねる坂道墓参り鹿嶌純子

  • 陽を浴びて茎まで赤き鶏頭花柏原淑子

  • 鶏頭の灯りがともる日暮れ時

  • モヒカンを生む玄関の鶏頭花加知吾郎

  • 鶏頭や寄植えの首領めく赤く花鳥風猫

  • 耐久性抜群の腹鶏頭花かつたろー。

  • 鶏頭の柔らかさ沁みる坂上加藤紗子

  • 鶏頭やイギリス衛兵気取りかな加藤雄三

  • 鶏頭や家門を守る母のごとかなえの

  • とりどりの鶏頭朽ち茶大雨後金子真美

  • 鶏頭を吹き消し目合う砂ケーキかねた奈津子

  • 鶏頭の赤踏みしめて鉄車輪神長誉夫

  • 鶏頭や無口の人の寄り添うて神谷米子

  • 乱れ咲く風にも負けず野鶏頭亀井汀風

  • あちこちの墓前灯すや鶏頭花亀田稇

  • 仏前へ庭の鶏頭一二本亀山逸子

  • むっくりと鶏頭の咲き庭の隅亀山酔田

  • 閉店を知らす貼り紙鶏頭花かもめ

  • 墓閉じた跡を彩る野鶏頭カラハ

  • 鶏頭や水やりをして尚紅く佳流葉

  • 雲煙の阿蘇ふところに鶏頭花果禄

  • 鶏頭や母の残ししベレー帽川野カッパ

  • 鶏頭やエールを我に初出張川村記陽子

  • 仏蘭西のキヲスクの絵と鶏頭花川村湖雪

  • アコークロー鶏頭のびる帰り道カワムラ一重

  • 震災の街の鶏頭紅々と川村昌子

  • 鶏頭の温もり残す夜の庭閑蛙

  • 閉店は知らず鶏頭二三本看板のピン

  • 手術室閉じる瞼の鶏頭花紀杏里

  • 鶏頭や豆腐の熱き息遣いKII

  • 鶏頭や夕陽の赤と競い合い菊川寝ん猫

  • 鶏頭や毛糸のそれと見まごうて岸本元世

  • ほろ酔いで酒場を出れば鶏頭花酒暮

  • 鶏頭や燃え尽きるまで愛を詠む北大路京介

  • 鶏頭や今日の口紅決める朝北の貴子

  • 側溝にとさかがのぞく鶏頭かきた実実花

  • おかあさん鶏頭だよこれ習ったの木野まち

  • まず鶏冠から説明す鶏頭を木村かおり

  • 鶏頭咲く庭に白色レグホン木村修芳

  • 鶏頭やビロードのように頬に触れ木村波平

  • 鶏頭や溜息裂きし緋の軌跡休広忌

  • 鶏頭や襞に折り込む願いごと鳩礼

  • 鶏頭や記憶の襞のあかあかと菫久

  • 断捨離す就活始め鶏頭花空龍

  • 羊雲流れる鶏頭の照り曇り楠田草堂

  • 鶏頭やあの老夫婦睦まじい楠美翠

  • 鶏頭を見下す孫の背丈かなぐずみ

  • 鶏頭や今年は墓石に寄り添うて朽木春加

  • 鶏頭は孤独波打つ天鵞絨に熊本芳郎

  • 鶏頭や被災の家に夕日影栗の坊楚材

  • 並べた鶏頭公民館の前空流峰山

  • 鶏頭やドイツ村にて朝燃ゆる黒田良

  • 今年から一人鶏頭供花に持ち桑田栞

  • 鶏頭の裾ひるがえしフラメンコ桑田さなえ

  • 雨ふくみ鶏頭の赤ガーネット桑原和博

  • 鶏頭や雄鶏達の髪飾り恵風

  • 鶏頭炎え忘れ去らざるうしろつき鯨野

  • 鶏頭を突つく雄鶏名の如きケセラ幸子

  • けいとうと鶏冠の赤の色比べ月昭

  • 鶏頭や去年八つ当たり今年咲き紫雲英

  • 鶏頭や褪せるを恥じぬ女ありケンG

  • 鶏頭や何と戦うその頭源氏物語

  • 父の忌をすぎて赫しや鶏頭花こいぬ

  • 鶏頭を嫌う母の手われも似て郷りん

  • 鶏頭に朝からの雨深く沁む柑たちばな

  • 鶏頭や本番前のカーニバル香田ちり

  • 御精霊雨しみて鶏頭火の色に紅茶一杯

  • 鶏頭や洗濯ハンガーはベビー服幸内悦夫

  • 鶏頭やシャッターを切る君の背をこうやこう

  • 芸術は爆発なりき鶏頭花宏楽

  • 鶏頭の襞ひらく日ごと日ごとに五月ふみ

  • 花なれど布の温みや鶏頭花古賀未樹

  • 鶏頭や母の遺影に紅映す古烏さや

  • あらくさを覆ふ鶏頭赤えぼし小久保ゆた夏

  • 鶏頭の路傍にひとつ切通し小嶋芦舟

  • 残る気に高き鶏頭廃寺跡小杉泰文

  • あったか毛布鶏頭の花撫でてみる木積

  • 鶏頭の鉢を抱へて父帰る後藤三梅

  • 赤と黄の鶏頭伸びて青空に孤独士

  • 鶏頭の赤さ滑らか立ち姿琥珀

  • 鶏頭や習い始めのひいひいふう虎八花乙

  • 茅葺の家に鶏頭炎立てぬ小林昇

  • 鶏頭や亡き友の家ほど近く小松甘夏

  • このきつい道の先には鶏頭が小山祐治

  • 鶏頭に付かず離れずアブラムシコンソメタール

  • 鶏頭の幼な時誤解のせし毛糸近藤祐子

  • 素直にはなれぬまゝ老ひ鶏頭花紺乃ひつじ

  • 鶏頭の赤ドラキュラの足止まる西條晶夫

  • 燃える緋で種をはぐくむ鶏頭や西條恭子

  • 日当たり良好鶏頭直立す齋藤夜明鳥

  • 沖縄の鶏頭やひめゆりの色坂上一秀

  • 鶏頭と知れど見とれし尊い毛坂島魁文@回文俳句

  • キャンバスにまだ出せぬまま鶏頭の緋坂本千代子

  • 鶏頭の衰えかかり種を残す相良まさと

  • こわい名ね鶏頭なでる指先の碧さくら

  • 鶏頭やお前はいつも独りなの櫻井こむぎ

  • 鶏頭や我は杞憂の頭でっかち櫻井弘子

  • 鶏頭や頭でっかちばかりおりさくら悠日

  • 鶏頭の供華にもならずほうけをり桜姫5

  • 帯すがた西陣織の鶏頭や佐々木幸江

  • マスク下げ鶏頭にグータッチ紗々

  • 鶏頭の昔なつかし首かしげ薩摩おごじょ

  • 白浪を蹴立つ帆船鶏頭花佐藤恒治

  • お供えが鶏頭ばかり墓真っ赤佐藤しのぶ

  • 謎多き本能寺鶏頭の紅佐藤志祐

  • 鶏頭や漆黒の壁赤に染め佐俊俊

  • 鶏頭の橙の海を泳ぐ猫里海太郎

  • わいわいと尖る鶏頭賑やかに佐藤佳子

  • 鶏頭はままごとに皆輝いてさなぎ

  • 鶏頭の天鵞絨の脳の恍惚サバナ光風

  • 鶏頭の赤枯れた母屋の差し色に彩友美

  • 疫禍小康鶏頭生けてバー再開澤野敏樹

  • 母知らぬ少年の恋か鶏頭花さんとうせい

  • 孫の声鶏頭の間で見え隠れしかの光爺

  • 鶏頭や手紙ポストへ旅行客しげとし

  • 医師が指す脳の写真や鶏頭花獅子蕩児

  • 鶏頭や新生児のごと頭たれ品川笙女

  • 鶏頭の赤や赤我儘な母柴桜子

  • 鶏頭に胸を張らせてヒダのココ島じい子

  • 紐一本引つ張りしごと鶏頭は嶋田奈緒

  • 艶やかや仏の前の鶏頭か嶋良二

  • 圧巻の反田恭平鶏頭花清水祥月

  • 鶏頭や朱をつくしたき吾が余生清水容子

  • 鶏頭の暖かさ供う墓参かな清水東二

  • タイムセールの仏花鶏頭は深緋霜月詩扇

  • 鶏頭や雲の優しき衣着る十一月菜名

  • 鶏頭の素知らぬ顔や川流る洒落神戸

  • 鶏頭を囲み議論す十四五人しゅういずみ

  • 鶏頭のファルダの裾や街灯柊二(冨田)

  • 整形外科受付に咲く紅鶏頭秀道

  • 鶏頭や真紅消したとて深紅残るや獣羅

  • 生きたいと燃える吾なる鶏頭花松雨紫陽花

  • 鶏頭の種の行方知る荒し庭湘南じじ

  • 鶏頭や裾翻しフラメンコ正念亭若知古

  • 鶏頭や心の炎絶えぬやう庄野酢飯

  • 鶏頭は誰が活けたか不思議色ショートケーキ

  • 鶏頭の色を着こなす歳になりじょん爺

  • 廃屋の語り部なりし鶏頭や白井佐登志

  • 放し飼いここにあそこに鶏頭おる白とり貝

  • 王妃のビロウド鶏頭の手触り森牧亭遊好

  • 鶏頭花見ることもなし離郷の地酔軒

  • 鶏頭や子規句思いて数えるみる杉浦俊

  • 鶏頭や供華にかはる妣のへや杉浦あきけん

  • 鶏頭のビロードの肌なまめかし杉浦真子

  • 長鳴きは東天紅か花鶏頭杉尾芭蕉

  • 万葉の恋歌知るや鶏頭は杉本果ら

  • 柔らかき鶏頭は児の髪に触れ杉山博代

  • 鶏頭や妻は朝からお冠杉柳才

  • 血か聖かモデルルームの紅鶏頭鈴木パンダ

  • 鶏頭よ元気なふりはもういいか清白真冬

  • 鶏頭や窓より光るコルネット鈴ノ樹

  • 職質に仏頂面す鶏頭花鈴野蒼爽

  • 鶏頭や極彩色の競ひ合ひ晴好雨独

  • 賑やかな庭の鶏頭こぼれ種清香優

  • 鶏頭の妖しく咲ける隣家かな勢田清

  • 知らずして咲く鶏頭や異国の地星夢光風

  • 鶏頭や生き方決める遺言書瀬央ありさ

  • 鶏頭揺れる子らは無心に砂遊び仙台駄菓子

  • 鶏頭かお地蔵さまかと足速むそしじみえこ

  • 鶏頭の咲けば故郷にゐるごとしソフィ

  • くも膜下出血の色鶏頭花空野兎

  • 紅の植木鉢赤札の鶏頭それいゆ

  • まよい道鶏頭の路地紅々と駄詩

  • 鶏頭花ヘリコプターを辿りけり太閤検地郎

  • 陶窯の煙と揺るる野鶏頭泰山

  • 槍鶏頭エヴァ初号機のプラモ立つ帝釈鴫

  • 鶏頭や生辰独り祝いけり高石たく

  • 神木の気を被く帰路鶏頭花髙上ちやこ

  • 鶏頭にマスクをしてみたけど多可木@ノエル

  • 鶏頭や教会までのアプローチ高木音弥

  • 鶏頭に幼き日々の走馬燈高橋紀代子

  • 鶏頭のどこへ散歩してもひとり高橋なつ

  • 鶏頭のぽつり鰥の窓辺かな高橋裕樹

  • 深紅なる天鵞絨仕立鶏頭花髙見正樹

  • 鶏頭にふれ種やさしくこぼれぬ高山佳己

  • 鶏頭や内緒話は垣根越し滝川橋

  • 草やぶの鶏頭ぬくかぬくまいか卓女

  • 鶏頭の種よ一寸先は闇ぞ竹一

  • 鶏頭の空を背負って背負われて武田歩

  • 鶏頭の強き緋の色若冲の色多胡蘆秋

  • 鶏頭や隣宅の赤突き抜けりただ地蔵

  • 鶏頭を飾るもう二度と逢わない立田鯊夢@いつき組広ブロ俳句部

  • 鶏頭や蟻の旅する紅き谷立野音思

  • 無謀なるかな鶏頭を写生する辰野史会

  • 首傾げ鶏頭見るや鏡奥たていし隆松

  • 鶏頭の太々しさも許す今蓼科嘉

  • 鶏頭や俺にキモいは褒め言葉立部笑子

  • 鶏頭の燃える色にはなれぬ恋立山喜美子

  • 鶏頭や久かたぶりの紅さして立山はな子

  • ままごとの鶏頭飾りて日も暮るる田名網伸子

  • 鶏頭や不思議な縁に生かされて田中洋子

  • 鶏頭や靴下片方見つからず谷相

  • 老いた犬鶏頭を背に熟睡す谷口あきこ

  • 鶏頭をいつも仏花に活けし母ミーナ

  • 鶏頭も釈迦も天指しすくと立つ谷本真理子

  • 鶏頭や不死鳥衝く凝る挿すや田上智佳士

  • 茎太くすつくと立てり鶏頭花玉井令子

  • 鶏頭のつづく聖火の去りし道玉木たまね

  • 鶏頭や茶花になれぬ悲しさよダメ夫

  • 白票や帰路の鶏頭さやさやとダンサーU-KI

  • 鶏頭花崩れゆく脳子を忘れ千葉睦女

  • 鶏頭やバイラオーラに焦がる風千風もふ

  • 鶏頭を摘みし三つ時忘れけりちゃんこダイエット

  • コロナ禍に負けた貼り紙鶏頭花長楽健司

  • ケイトウの近寄り難しき麗しさ津国智之

  • 背負い籠の鶏頭供し墓仕舞い対馬清波

  • 鶏頭や巨大団地を彩りて津田涼子

  • 鶏頭の派手さも憎しコロナ明け土屋紅蠍

  • 髭面の祖父のこぶしや鶏頭花綱川羽音

  • 鶏頭の見送り一次試験の日T-京條

  • 鶏頭と注意書きの漬物樽デイジーキャンディー

  • 黒墓石鶏頭朱く爺酉年でえくのぼお

  • 鶏頭や怒る親父に似たりけり哲庵

  • 鶏頭の揺れているべしあの庭に哲山

  • 車椅子押す手を止めて鶏頭花鉄猫

  • 鶏頭や何をそんなに怒ってるでんでん琴女

  • 鶏頭に尻込む犬と遠回り天童光宏

  • 鶏頭の赤は亜香里を推す証東京子

  • 家在りし更地の傍に赤鶏頭藤陽丸

  • 風ふいて鶏頭の揺れ眩暈かな徳庵

  • 鶏頭や鬼籍の文字に知る重みDr.でぶ

  • 鶏頭と知る道草の楽しさよ杼けいこ

  • 鶏頭のなぜかやさしき風情かな十音

  • 壇蜜の耳打ちの香よ鶏頭花トポル

  • 鶏頭の紅純喫茶の椅子も又冨川友香理

  • 久々の膝にかさぶた鶏頭やとみことみ

  • 鶏頭のチャクラ全開子規の庭富野香衣

  • 鶏頭や襞に遊ばすラビリンスTomo@雪ん子

  • 鶏頭ともわもわの自律神経登盛満

  • 鶏頭はとさかばかりの幼年期とよ

  • 鶏頭や心を燃やす空が呼ぶnaoki

  • 鶏頭花濡れて十四五子規の庵中十七波

  • 鶏頭の揺れる住宅展示場中里蛙星

  • 閉店の隅に鶏頭逞しく中嶋京子

  • ビロードとベロアの違ひ鶏頭花中島圭子

  • 蒼天を刺す鶏頭の尖りかな中島走吟

  • 鶏頭を揺らして生を思い染む仲田蓮謙

  • 鶏頭や鶏の背に乗る子犬中中

  • 灰色のビルに鶏頭のコサージュ中西歌子

  • 我が久留米鶏頭見るに誇る街ながのりりー

  • 鶏頭を撫づる心尖りし朝仲操

  • 鶏頭の雨染み入りて葉先染む中村こゆき

  • 鶏頭にあがり見えない迷路ありなかむら凧人

  • 主なき庭に鶏頭錆び如雨露中村まさあき

  • 鶏頭やカラー診断我の色凪ゆみこ

  • 形なき怒りの色に咲く鶏頭なしむらなし

  • 華の道血管圧迫鶏頭花夏雲ブン太

  • 鶏頭の朱が目印の曲がり角七朝まるよ

  • 鶏頭や菊水紋の総絞り⑦パパ@いつき組広ブロ俳句部

  • ふるさとは二人二匹と野鶏頭浪速の蟹造

  • 家具店ののうみそのやう鶏頭花なみ夢めも

  • 万花しぼむ庭鶏頭の赤しぶしなんじゃもんじゃ

  • 夕さりてなお鶏頭の際立ちぬ國只妙子

  • 鶏頭や汗ばむことなく化粧できにいやのる

  • 鶏頭や厚化粧なる婦人会西村棗

  • タクシーの顔面大破鶏頭花?二重格子

  • 昆虫の異種格闘技鶏頭で二上松風

  • 鶏頭や赤く執拗く吾が妬心弐ノ九

  • 時流れ鶏頭に頬しわくちゃにねがみともみ

  • 一人居をのぞむ孤独や鷄頭花ねぎみそ

  • 毛があるからけいとうなのね重いのね野井みこ

  • 首につぐ首の怪しさ鶏頭花野口雅也

  • 鶏頭や庭先へチャボ走り来る埜水

  • 天平や海越え鶏頭来たりけり野中泰風

  • スコップとおかっぱ頭と鶏頭と野々香織

  • 鶏頭や赤く染まりて土に立つ延杜

  • 燃え盛る畑の端や鶏頭花のりこさん

  • 鶏頭や物干し脇に咲き継ぎて白雨

  • 墓石の裏にひっそり鶏頭花馬笑

  • 鶏頭の旺盛な気に後ずさる畑詩音

  • 鶏頭や雨風に耐え大様に畑中真土

  • けんけんぱぁ垣根の隙に鶏頭花葉月けゐ

  • 紅黄橙心浮き立つ鶏頭や服部たんぽぽ

  • 鶏頭を植えたる父の髪白し初野文子

  • 鶏頭の種類でかわいく思った日花岡浩美

  • 門扉あけ花壇に鶏頭アプローチ花咲みさき

  • 鶏頭や幼きに見た鏡台の紅花咲みさき

  • 鶏頭の花芯ほつほつ種こぼしをり花野

  • 鶏頭のその肉厚を供へける馬場雄一郎

  • 鶏頭の褪せぬ赤執着のよう馬場勇至

  • 鶏頭や旧友尋ねし石畳浜口好山

  • 鶏頭花赤子の頬の柔らかき早川令子

  • 鶏頭の紅鮮やかに草屋かな林誠子

  • 鶏頭もおもいおもいの赤白黄原善枝

  • 深夜の工事見守るかに鶏頭原島ちび助

  • 脳の襞解剖学の黄鶏頭原島里枝

  • 気取り屋の血筋の濃さよ鶏頭花原田民久

  • 鶏頭の咲く家に停まる救急車原宣子

  • あれた庭鶏頭だけが知る昔haru.k

  • 鶏頭に嫉妬している濡れ落ち葉春爺

  • 鶏頭や箪笥にシャッポを探す母晴菜ひろ

  • 鶏頭や若花嫁の角隠し葉るみ

  • けいとうや鶏も気取って顔並べはるる

  • 肩の荷重き鶏頭の凭れをりはれまふよう

  • モノクロの家路に浮かぶ鶏頭花ひーたん@いつき組広ブロ俳句部

  • 鶏頭のドレス真紅のフラメンコひーちゃんw

  • 鶏頭の極彩ハロウィンに負けずひがし小波

  • 鶏頭や遊び疲れて眠る猫東の山

  • 鶏頭の見守る無縁仏かな東原桜空

  • 鶏頭や生花主人添える側光源爺

  • 胸元のCHANELも眩し鶏頭花微喜

  • 痛い足応援の声鶏頭だ美泉

  • 鶏頭の茎も茜と夕日さす日向の熊

  • 鶏頭やはたけきっちり分けて咲きひな芙美子

  • 烈しきは鶏頭のいろ歓喜天緋乃捨楽

  • 天才に似て鶏頭の脳の皺比々き

  • 鶏頭をぽんぽん突き憂さ晴らす氷室茉胡

  • 鶏頭や幾度干しても褪せぬシャツ姫川ひすい

  • 鶏頭花母のセーター思い出しひめりんご

  • 道半ば鶏頭の赤厳かに平井麦春

  • 尽くるまで踊るかセロシア陽は落ちぬ 平井千恵子

  • 雄鶏の勢い見たり紅鶏頭平岡花泉

  • 鶏頭やお喋り仲間またひとり平林晶子

  • 鶏頭や厚き花弁の混み合いて平松一

  • 鶏頭や赤く儚く咲きにけり平本文

  • 鶏頭の手触りビロード祖母の庭昼寝

  • ケイトウの鶏頭という嘘月白くてひろいしまみ

  • おしゃれする姿ふんわりウモウケイトウ裕子

  • 鶏頭と我が脳髄の互換性弘友於泥

  • 鶏頭や記憶の底の庭に立ち琵琶京子

  • もののふの腹裂きし咲く鶏頭は深川佳子

  • おつとめコーナーの気品鶏頭花福月スミレ

  • 選挙カー赤き色増す鶏頭や福弓

  • 鶏頭や推しの病を知る今宵ふくろう悠々

  • 鶏頭は毛糸ではないと知る二十歳藤井聖月

  • 庭燎笛こころを揺らす野げいとう藤井弘子

  • 西の空翳る陽に緋の鶏頭花藤井眞魚

  • 鶏頭を眺めて遊ぶ迷路かな藤丘ひな子

  • 鶏頭の穂をなでてゆく通学児藤倉密子

  • にはとりの墓石に鶏頭花擦れ藤咲大地

  • 鶏頭や生き血飲み干すままに咲く藤里玲咲

  • 逆上がり廻りて赤し鶏頭花藤原涼

  • 褪せぬは君添い歩く路鶏頭藤原咲希

  • 有耶無耶を飲んでくれたの鶏頭は豚ごりら

  • 軒下の鶏頭祖母の遺志の如し双葉@あさ葉会

  • 鶏頭のフリル母の笑顔編む布野悠乃

  • 鶏頭の赤デジカメが色飽和古澤久良

  • 鶏頭を見て何度でも奮い立つヘッドホン

  • V系の声の君が代鶏頭花へなけん

  • 並列に鶏頭は群れ片や鳴くヘルベチカベチベチ

  • 故郷の畔に鶏頭競い咲きほうすい

  • 黒々と深紅猛るや鶏頭花茫々

  • 鶏頭や花束のごととりどりにぼくのはね

  • 鶏頭花おのれのままに生くる生く星乃ぽっち

  • 万歩計いちまん超えて鶏頭花星善之

  • 子を預け鶏頭花持ち法会かな細川治子

  • 鶏頭落ちた待ちぼうけの姉はベソ堀江弘子

  • ボクサーのパンチ受けしか鶏頭花堀隼人

  • 鶏頭や鶏さばく母たくましき盆暮れ正ガッツ

  • 鶏頭やハートのクィーンはツンデレ梵多

  • 刈り上げの襟足持てり鶏頭花凡々

  • 鶏頭のもぐもぐ犬のごとく撫で本間美知子

  • 鶏頭や老い猫が逝き朝白しほんみえみねこ

  • 鶏頭や潜りてちぎる指の先凡狸子

  • 鶏頭花東京五輪が甦るma_tant.

  • 茎に葉に赤を走らせて鶏頭まあぶる

  • 種子あまた抱へて紅し鶏頭花前田冬水

  • 鶏頭や還暦祝うおしゃれ帽茉叶

  • 鶏頭や色とりどりの選挙カー雅王

  • ひも男手には束ねた鶏頭花正岡丹ん

  • 鶏頭や主なき庭咲いており雅蔵

  • 鶏頭やガスバーナーの青焔眞さ野

  • 鶏頭へ雄たけびにじる初孫やマジカニャンチョロー

  • 陽を吸うて鶏頭の朱溢れけり町田勢

  • 鶏頭の立ちすくみたる赤さかな松井酔呆

  • 花ばたけ遠に山脈鶏頭花松尾祇敲

  • 鶏頭や商店街をチンドン屋松高網代

  • 百色の赤色揺れぬ鶏頭花松田文女

  • 鶏頭や後追いの子の涙声抹茶子

  • 鶏頭やフォーカスされる色の濃さまつとしきかわ

  • 激動のスカーレットや鶏頭花松野蘭

  • 鶏頭は無数の花の冠や松村貞夫

  • 鶏頭と夕日紅(クレナイ)競いけり松本修

  • けいとうよとさかを連ねて笑いおり松本牧子

  • 鶏頭花後家の畑の一面に真宮マミ

  • 片想い鶏頭の緋よ吾も緋なり豆福樹々子

  • 鶏頭や友の旅立ち届きをりまやみこ恭

  • 鶏頭や潜り込みたる花迷路真理庵

  • 鶏頭や迦具土神大暴れまりい@木ノ芽

  • 鶏頭のフリル赤あか道しるべ三浦ろーず

  • 声嗄らし鶏頭に勝て白応援水乃江辰

  • 老いらくの寂寥かと鶏頭花水野ややちゃん

  • 鶏頭の襞くっきりや蟻の道みちむらまりな

  • 鶏頭嫌いお下がりのかぎ針編み美月舞桜

  • さかり過ぎ鶏頭五本の庭なりし光子

  • 鶏頭や日差しをそつと憩はせる満る

  • 鶏頭に手伸ばす幼な子墓の前緑風音女

  • 鶏頭や尖るわたしを吸収す南風紫蘭@木ノ芽

  • 今年また鶏頭あかし空き家にも三保鶴

  • ガーデンの鶏頭揺らし猫走る見屋桜花

  • 一本の真っ赤な鶏頭庭のすみ宮階愛子

  • 背負うもの多き晩年鶏頭花みやかわけい子

  • 鶏頭に毛糸が咲くのと傾ぐ吾子みやがわともこ

  • グヮッシュの朱色で描いた鶏頭花宮原浩智

  • 鶏頭や手編みドレスのキューピーさん宮原みかん

  • 鶏頭やビロードのよう陽に映る美山つぐみ

  • 草間より覗く炎や鶏頭の花宮村寿摩子

  • 鶏頭のどっぷり濡れて昏き庭夢雨似夜

  • 箱庭の鶏頭彩る龍田山夢民庵世々

  • 鶏頭や鶏の逆立つ首の羽根無弦奏

  • 鶏頭や太極拳の朝しづか無恙庵閑酉

  • 鶏頭や根をはりて立つ学級園紫けい

  • 婆の血を吸うて鶏頭いさぎよし村瀬っち

  • 君からの鶏頭花じてん繰る夜暝想華

  • 鶏頭や祖父の好みし黒砂糖目黒千代恵

  • 鶏頭や見ての通りに吾は潔白目に若葉

  • 次から次へ鶏頭の群車窓へと望月ゆう

  • たおやかに鶏頭怒髪天を衝け望月朔

  • 鶏頭の朱と交わらむ夕日差桃香

  • 挨拶の代わりに撫でる槍鶏頭杜まお実

  • 還暦の母のデコルテ鶏頭花森毬子

  • 鶏頭の先に見ゆ老い母の日々もり葵

  • 鶏頭を包む手白しにわたずみもりたきみ

  • 鶏頭花勝ち気な友の涙ぐせ杜乃しずか

  • 朝鳴きをこえる鶏頭の鮮やかさ森ひのき

  • 立ち振る舞い歌劇のように鶏頭は杜若友哉@はなばた俳句会

  • 己咲く畑に鶏頭顔にしみ八重葉

  • 帰る子に終わる野球や鶏頭花矢口

  • 鶏頭や瞳の青き転校生矢口知

  • 鶏頭を身に纏いたし君と会う痩女

  • 道端より摘みし鶏頭仏壇に八治

  • ネット情報ケイトウ満開って柳井るい

  • 鶏頭や紅芋タルトのティータイム柳川耀一郎

  • 鶏頭の赤に決意勇気をもらうやのかよこ

  • 山野辺に気取りて咲きし鶏頭や山内なおみ

  • 主の無き庭の鶏頭盛りなり山口香子

  • 鶏頭ににわとり来ては摘まみ食い山口雀昭

  • 鶏頭の倒れしままや無人駅山口はなこ

  • もえる赤されどひだ足らぬ鶏頭山崎彩遊

  • 曇流れけいとうの摩可月覗く山崎鈴子

  • 唐の国より海を渡り来鶏頭花蓮香(山端直子)

  • 鶏頭や怒涛見おろす住ひなる山薔薇

  • 鶏頭や赤チン塗った膝小僧山村楓

  • 青空に鶏頭すっく乱舞する山本康

  • フラメンコ舞うや路傍の鶏頭花山本ひろゆき

  • 鶏頭の花弁滑らか天鵞絨の山本蓮子

  • 鶏頭は光を襞に抱き抱え柚木みゆき

  • 鶏頭の庭に祖父の笑顔懐かしむ夕凪丸

  • 孫待つや床で反りたる鶏頭花雪ノ下青観

  • 鶏頭や9回裏に咲く炎弓原トーヤ

  • 無菌室まど越しのみの鶏頭花ゆめの常盤

  • 鶏頭花記憶のしわを畳みたり夢見昼顔

  • 鶏頭の前頭前野めく個性羊似妃

  • 判をつく郵便物や鶏頭花欲句歩

  • ぬくぬくとぬくぬく色の鶏頭や夜香

  • 鶏頭や花に例えの鋭さよ吉哉郎

  • 七八も十四十五か鶏頭やサイジョウタケシ

  • 鶏頭の仮面舞踏会オペラ座でよしぎわへい

  • 鶏頭や嘘ついた子の幸となれ吉田郁

  • 手の中に確かな重み鶏頭花吉武茂る

  • 時隔て母娘で読む本鶏頭の赤吉田まゆみ

  • 花魁の扇舞魅せられ鶏頭花吉田里香

  • 鶏頭の赤提灯や自宅飲み吉藤愛里子

  • 喉元に妻の一分鶏頭花柳絮

  • 手をかざし鶏頭真似る母愛らしRyubaba

  • 鶏頭や縮む勇気にどうか火をるんやみ

  • 風に舞い種子を飛ばすや鶏頭よ麗詩

  • 踏切に散って咲くかな鶏頭花烈油子

  • 鶏頭の赤が好きだと夫の言ふ蓮香(山端直子)

  • 脳みそのしわ増し続く鶏頭や紫雲英田

  • 鶏頭よ秘めたる恋の炎立つ連雀

  • 鶏頭や軍鶏の鶏冠に競い勝ち蓮風

  • 鶏頭花生を満喫しろと言う若宮直美

  • 君走る渡り廊下の鶏頭や俳優人

  • 鶏頭や今朝も青空子らは行き海神瑠珂

  • 鶏頭や恋占いはできなそうわたなべすずしろ

  • 鶏頭は人工物の如くあり渡辺香野

  • 鶏頭に傾倒するのはしきだから渡部昌平

  • 鶏頭の燃ゆる揺れる青空高し渡邊史

  • 寄せ植えの真中鶏頭主役かな渡辺陽子

  • 鶏頭に雄鶏の鳴く声を聴く吾亦紅

  • かくれんぼ鶏頭並み立つ寺の庭葵はるか

  • 鶏頭や声の戻りし学舎に玉雪兎

今月のアドバイス
夏井いつき先生からの一言アドバイス

●投句者の皆さんへ

○俳号とは、その句が自分のものであることをマーキングする働きもあります。ありがちな名前、似たような俳号での投句が増え、投句者双方の混乱も起こっています。
 共に学び楽しむための俳句欄を維持していくため、〈俳号に姓をつける〉あるいは〈差別化できる俳号を工夫する〉ことを、ささやかな約束事としてご協力願います。


●俳句の正しい表記とは?

  • Uターン 近頃見ない 葉鶏頭あきら君
  • クレヨンで 描いたみたいな あか鶏頭甘虫
  • 鶏頭に 夕暮れせまる 河川敷桐山榮壽
  • おしゃれする どう見ても姿 ウモウケイトウ紫菀(シオン)
  • けいとうと 木の間に見えし 白き富士杉野喜久
  • 鶏頭が 一直線に 並んでる戸田なお

○「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪


●一句一季語から練習

  • こぼれ種鶏頭の赤朝寒し江田綾子
  • ゆく夏の夕日をあつめて鶏頭の朱如月霞
  • 夕涼に吾子の丈超す枯鶏頭國吉隆仁
  • 鶏頭の華を愛でつつ冬支度研さん
  • 鶏頭や風かけ抜ける青野原佐々木邦綱
  • 鶏頭も花火とともに乱れ咲く実本礼
  • 晩秋の鶏頭の花燃え盛る竹下京子
  • 空たかしビロード冠にけいとうよ冨川精子
  • 鶏頭や野紺嫁菜のアレンジで榛名ぴぐもん
  • 朝焼けに競う秋寒の鶏頭○エツねも
  • 荒れ放題庭に鶏頭トンボ花深山涼水
  • 鶏頭や祖母の手編みのセーターよ諸岡萌黄

○一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。

  • 鶏頭の種を召しませあかまんま狐火

○季語の「赤のまま」なのかどうか?少々悩みます。


●兼題とは

  • リレーにて優勝チームは赤蜻蛉赤木菜々花
  • 人々をするりと抜けてゐる落花一小鳥
  • 虫ですらひとりで歌う長い夜きゃべつ
  • 山への想い募れどもゆけぬ我が身に悶々とするしまたるみこ
  • 後の月さらば背番号18土佐結実
  • 彼岸花いくつも抱いて墓参り西典子
  • この婆にスッポトライト今日の月前田三紀

○今回の兼題は「鶏頭」です。兼題を詠み込むのが、本サイトのたった一つのルールです。

  • 渓頭へ嫁ぐ挨拶諳んずる馨子

○変換ミス? だろうとは思うのだけど。残念。


●文字化け

  • まだ癒へぬ傷や鶏頭落?浴ぶ木原洋子

○ネットでの投句は、この問題が時折起こります。残念。


●前回の兼題

  • テキーラの夜に蟷螂の立ち尽くす小殿原 あきえ
  • 雑踏を越えゆく駅の蟷螂よ鈴吉
  • 首かしげ見つめる蟷螂何思う花岡幸嗣
  • 緑の大地にそよかぜ蟷螂の卵山本らん

○これは、前回の兼題「蟷螂」ですね。〆切間際に投句してしまったのか。投句は余裕をもって!


●季語深耕

  • 鶏頭の如き唇震わせる海碧
  • 若き母ホコ天に咲く鶏頭かささきなお
  • 鶏頭のように立ちたい母としてぶるーふぉっくす

○「鶏頭」という言葉は入ってますが、鶏頭が比喩になっている分、季語としての力は弱くなります。

  • 鶏頭のように爛れた頃だった竜子@ノエル

○これも同じタイプの句ではありますが、一行詩としての力はあります。「鶏頭→爛れる」という類想に軸足が残っているのは惜しいですが。

  • 鶏頭の種まき咲くは葉鶏頭大西千景
  • 花言葉添へ君に手向けむ葉鶏頭瑞希ゆうな

○「鶏頭」という文字は入っていますが、「葉鶏頭」は別な季語として独立しています。ちなみに「葉鶏頭」の投句は13句ありました。

○季語には、「傍題」と呼ばれる派生季語があります。今回の兼題「鶏頭」の傍題もさまざまあるのですが、今回はひとまず以下のものを傍題として、選句しております。
扇鶏頭 箒鶏頭 槍鶏頭 房鶏頭 ちゃぼ鶏頭 紐鶏頭 黄鶏頭 三色鶏頭 鶏頭花 韓藍の花

  • 枯鶏頭紅の仄かや種あまた内藤由子

○本選句欄において、底本としている講談社版『新日本大歳時記』では「枯鶏頭」は冬の季語として掲載されています。
 ただ、秋の巻の「鶏頭」の例句として「鶏頭の大頭蓋骨枯れにけり」「ねんごろに枯れて鶏頭引かれたる」などが掲載されているのは、悩ましいところです。
 季語は、一定ラインできっちり線が引けないところも多々あります。一句一句、ケースバイケースの選句であるとご理解下さい。

ご応募はこちら

12月の兼題

「雪催い」

過去の審査結果

俳句生活TOPへ戻る