夏井いつき先生の俳句生活

夏井先生のプロフィール

夏井先生のプロフィール

夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。

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3月の兼題

「土筆」

8月の審査結果発表

兼題「墓参」

 お待たせしました!8月の兼題「墓参」の結果発表でございます。今月も夏井先生からのアドバイスは必見です。単に「お墓参り」と考えれば春と秋のお彼岸もあり、つい「おはぎ」などを連想しましたが、季語で「墓参」といったときは「お盆」のものを指すのですね。ちょっとした引っかけ問題のようでした。10月の兼題「秋の暮」もふるってご応募ください。(編集部より)

「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。

天
日本は二時の方向墓参

そうり

夏井いつき先生より

 外地の「墓参」の句は他にもありましたが、具体的な地名を入れずに表現するのは中々に難しいのです。それを、「日本は二時の方向」というこれだけの措辞で伝えている点が巧いですね。「外地」とは、外国の地という意味の他に、第二次世界大戦敗戦前の本土以外の日本領土を指す言葉でもあります。その言葉の印象からでしょうか。私は、北方領土の島々への「墓参」、あるいは樺太の残留日本人のための「墓参」を想像しました。「二時の方向」とは、正面から約六十度の方向。「墓参」しているのは、北方墓参の親族でしょうか、政治家の一団でしょうか。
 この墓に眠る人々は、「日本は二時の方向」にある故国を朝な夕な拝んでいたのかもしれません。歴史の重みをずっしりと抱いた「墓参」の一句です。

地
墓参り終へてしづかな石と花

おきいふ

 墓を洗い、水を替え、新しい供花を挿し、お線香を立て、深々と合掌します。「墓参り」の手順が一通り終わってしまえば、そこには「しづかな石と花」があるのみ。後半の措辞に、その場の空気や心情も滲みます。

お互ひにひとりの墓参とふ会釈

さるぼぼ17

 知り合いでもなんでもないのだけれど、「お互ひにひとり」で「墓参」に来ている人と目が合いました。事情があっての墓参なのか、天涯孤独の一人か。お互いに想像をし合いつつ、淡い「会釈」をして分かれるのです。

墓参り向こうの山は雨柱

鵺之疾秋

「墓参り」に来たところか、帰ろうとしているのか。ふと見渡すと、「向こうの山」には「雨柱」が立っています。こちらの墓山にも雨はすぐにやってきそうです。お線香に混じって、雨の匂いが押し寄せてきます。

花選ぶ時より墓参始まりぬ

花南天あん

 地域によってオーソドックスな「墓参」の花が決まっていたりもしますが、故人が好きだった花を選んでいるのだろうと読みました。「花選ぶ時」から「墓参」が始まっているのだという感慨に寄り添いたくなる作品です。

墓参り海がきれいだ馬鹿野郎

山姥和

 海の傍の「墓参り」です。この海で亡くなった人々の遭難碑の前に立っているのかもしれません。「海がきれいだ」という呟きは、事故のあった日の荒れた海をも想像させます。「馬鹿野郎」は愛惜の極みの悪態。

人
  • 墓参とふ此岸のきはへ風清ら佐藤レアレア

  • 墓洗ふ苔は生者のごと臭し常幸龍BCAD

  • 鳥のこゑなんと明るし墓洗ふRUSTY=HISOKA

  • 猿ガ出マス烏ガ来マス墓参うみのすな

  • 墓洗ふ枯れたる供花の生臭しオキザリス

  • 墓参水来ぬ能登の立水栓沖庭乃剛也

  • 花立の水は鉄の香墓掃除音羽凜

  • けつたいな蔓薙ぎ払ふ墓参彩汀

  • 日晒しの花器へ井戸水墓参り砂楽梨

  • 墓参花屋は丈を心得て末広野暢一

  • 墓となりし父のすなほに洗はるる高田祥聖

  • 墓参りピアノの先生年取った高橋花紋

  • フェリーから指差す丘へ墓参ふくじん

  • 火を奪ひくる海風や墓参もりさわ

  • 坂道に縦列駐車墓参雨戸ゆらら

  • 坂道に縦列駐車墓参村先ときの介

  • 墓参五列目右へ八番目井原昇

  • 墓参本堂右の八番目哲庵

  • 三階の「さー55」へ墓参かな小川野雪兎

  • 2区3号探し歩きて墓参り栩々万波

  • 桜の丘ハの53墓参空豆魚

  • 墓参D-13の田中ですポップアップ

  • 番号で墓の位置知る墓参高山佳風

  • 番号を目当てに歩く墓参ルーミイ

  • 墓参いつもの寿司を食べてくよ新城典午

  • 墓参りいつもの団子ほろ甘く鈴木季良恵

  • 墓参り帰りはいつもの洋食屋諸岡萌黄

  • 墓参り昼餉の寿司の鮮らけし猫またぎ早弓

  • 墓参終へて美々卯のうづら蕎麦青居舞

  • 墓参あとはカツ丼食うだけか朝方静流

  • 墓参あと代替はりせし蕎麦処石上あまね

  • 供養とて足は蕎麦屋へ墓参あとナンカラ牛眠

  • 亡き父のひいきの店に寄り墓参名計宗幸

  • 墓参りしてじいちゃんの好きなゲソ里山子

  • 墓参また丘上の洋食屋雑魚寝

  • 墓洗ふ父の背中を流すごとソフィ

  • 墓洗う亡父背中を痒がったこうだ知沙

  • 暑かろぅ背中流しちゃろぅと墓参正念亭若知古

  • 父の背流したやうに墓洗ふ杉柳才

  • 父母祖父母背中流すは墓参はるるん1号

  • 蝋燭の芯の傾き墓参海峯企鵝

  • 蝋燭の傾く炎墓参刈屋まさを

  • 墓参り締めは総出のカチャーシーEarlyBird

  • 廃屋を横目に過ぎて墓参り相生三楽

  • 墓参先祖に顔を低くして会田美嗣

  • 墓参夫の親族のみと居り藍野絣

  • 抱き寄せるかたちの指や墓洗ふ青井えのこ

  • 墓終ひまでの繋ぎの墓参かな青井季節

  • 代々の喉仏似て墓参葵そら

  • 頭上低くジェットの轟音墓参青井晴空

  • 空は何故あおいのだろう墓洗う青田奈央

  • 打球音響く土曜の墓参かな青砥転典

  • 飛沫浴び石柱洗う墓参あおのめ

  • 墓洗う婿に食べたい物を問う青山実香

  • 芝台の蟻を流せる墓参り赤尾てるぐ

  • 来年は更地の予定墓参赤馬福助

  • 墓掃除白髪混じりの弟の黙赤尾実果

  • 入籍の報告富士の墓参り愛柑

  • 墓参り玄界灘の哮る風明惟久里

  • 小平で自転車借りて墓参り聰子

  • 初めての紐靴に草墓参亜木小鉄

  • 被爆者の父の齢や墓参り空地ヶ有

  • 葛城の山を見上げる墓参り秋月あさひ

  • 弟の運転荒し墓参秋野茜

  • 山すべて墓所となりけり墓洗ふ秋野しら露

  • 目印の墓しまわれて展墓かな秋星子

  • 竹筒と石の先祖や墓参り秋山らいさく

  • 墓参害獣出たという電話芥茶古美

  • 婚約の従姉妹まぶしい墓参淺井翠

  • 墓参遺骨はわだつみの淵に朝雲列

  • 料亭にさっきの家族墓参朝霧さら

  • 墓参終えて白紙のスケジュール朝倉カグラ

  • 墓参送電線の空の青明後日めぐみ

  • 夫の墓参らば先に供華のありあさぬま雅王

  • あの時は腹に居た子と墓参あさのとびら

  • 祖母の才継がぬ親子や墓参り浅乃み雪

  • 朱い字の墓石洗う墓参かな麻場育子

  • 墓無くて波見つめつつ墓参り亜紗舞那

  • 叔父の嫁らしき人をり墓参芦幸

  • 見えていて遠き山寺墓参あじさい卓

  • 掃苔や太陽ひかるコップ酒葦屋蛙城

  • 墓参荒れた田んぼにショベルカーあすなろの邦

  • 賑やかに木立を進む墓参りあすなろの幸

  • 墓参前に愛犬後ろ孫明日に翔会

  • エンディングノートへ手順墓掃除渥美こぶこ

  • 水受けのタバコ移動し墓参アニマル可秘跳

  • 墓参特に伝える事も無しあねもねワンオ

  • 花の名を調べる夕べ墓参我孫子もふもふ

  • 青空に鳩を放てり墓参の子我孫婆

  • うちの区画安くなってる墓参阿部八富利

  • 墓洗ふ風向き変はる桜島天風月日

  • 墓参左にも墓あったのにあまぐり

  • 墓参香煙の向きふと西へ天鳥そら

  • 墓参り土器の欠片のよな湯呑あまぶー

  • 隣にも撒く除草剤墓参あみま

  • 墓参り機上の人となりにけりアムゼルえりこ

  • 墓参り手押しポンプの錆臭き雨李

  • 背の伸びしこと褒められつ墓掃除綾竹あんどれ

  • 人の音させて真昼の墓参かな綾竹ろびん

  • 名をなぞり叱られに行く墓参荒一葉

  • 墓参り手桶の水は緩くなりあらいゆう

  • 建立は明治の初め墓洗ふ有本としを

  • 墓参墓跡累累知らぬ名前在在空空

  • 墓参どの田中家も顔見知り肖草

  • 墓参ちちの時計は孫の手にアンサトウ

  • 天上の星も滅するらし墓参飯田淳子

  • のり巻きは美味母方の墓参飯塚煮込

  • 墓参より墓じまい始まりぬ藍創千悠子

  • 被爆川沿ひを辿りて墓参あたしは斜楽

  • 墓詣羊羮に皺一つなし足立智美

  • 先頭を行く吾は長子墓参り飯沼深生

  • どこまでがうちのお墓だ墓参飯沼比呂倫

  • 初めての町初めての墓参飯村祐知子

  • 弾痕を洗うブラシや墓参家守らびすけ

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  • 墓参り顔も知らないひいばあちゃんいくたドロップ

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  • 墓参り見下ろす海にくじら島岡田一竿

  • 墓洗ふ父によく似る弟とおかだ卯月

  • タクシーは海岸回り墓参岡田瑛琳

  • 縁ありて嫁ぎし義母の墓参り岡田恵美子

  • 内縁のちょっと遠慮の墓参岡田きなこ

  • 墓参り不仲の兄の供花のあり岡田ひろ子

  • よく似てる姉妹の尻や墓参岡田雅喜

  • 墓を洗ひわかば一口吸ひて置く男鹿中熊兎

  • 石段を登りて城仰ぐ墓参岡眞弓

  • 墓参ひと雨過ぎし磴登る岡山小鞠

  • キャバクラのライター点かぬ墓参小川さゆみ

  • 長生きは寂しきことと墓洗ふ小川しめじ

  • 熱き石はかの日の渇き墓洗う小川天鵲

  • 一族の古老となりて墓洗ふ小川都

  • ボットンの本家に寄ってから墓参荻原湧

  • 墓参同期五人で歌ふ社歌小倉あんこ

  • ファンノート雨に打たれて墓参小島やよひ

  • いつもの花束いつもの墓参小田ビオラ

  • 口聞かぬ兄弟もおる墓参かな小田毬藻

  • 墨田川暮れて帰心の墓参おだむべ

  • 形見なる紅の似合ひぬ墓参落句言

  • ついえれば父は善き人墓参り御成山

  • 墓洗う瞬時に水はねつと化すおぼろ月

  • 膝下を確かめ登る墓参海音寺ジョー

  • 庭花の丈揃へたる墓参かいぐりかいぐり

  • 墓参り同じ石段に躓きぬ海堂一花

  • 地方紙を開き墓参の供華と菓子火炎幸彦

  • 墓参末子は祖母の顔知らぬ加賀くちこ

  • 墓参五十九日を生きた姉笠谷タカコ

  • 墓参り供物を数へ子ら数へ風花美絵

  • いきさつを知らぬ養子や墓参り風早杏

  • 享年を読んでいく子や墓参加座みつほ

  • ばあちゃんがすたすた歩く墓参かしくらゆう

  • ハモニカを吹きて終へるや墓参樫の木

  • 両横の供花をみさだめ墓参かじまとしこ

  • 旧仮名の祈祷五島の墓参かな華胥醒子

  • 水汲みは長子の仕事墓参梶原菫

  • わが墓と思ひて墓を洗ひけりKAZU

  • 墓参り納骨室の鍵光る片岡擢石

  • 墓参終へまたねと山に一礼す加田紗智

  • 墓参ぎこちない般若心経帷子砂舟

  • 父憎しにくしにくしと墓洗う花鳥風猫

  • 寝くじの子抱いて墓参の坂道よかつたろー。

  • 墓参り魚の潜みし瀬を跨ぐ桂子涼子

  • 孫できない体でごめん墓参月東ソコラ

  • 子を洗ふかに父の墓洗ふ母かときち

  • 三千年使う漢字や墓参叶田屋

  • 家系図に明るき伯母や墓参仮名鶫

  • ウ冠なぞる歯ブラシ墓掃除金子泰山

  • 海帰る心地墓参りの御経花蜜伊ゆ

  • 凸凹の水汲みばけつ墓参神島六男

  • 墓洗ふ我の薄皮剥ぐ様に神長誉夫

  • 朱色消し全き石の墓洗う紙谷杳子

  • 墓参り園児の歌うアンパンマン亀子てん

  • 祈るほど石乾きたる墓参かな亀田荒太

  • 墓参り終えてそのまま再入院かもめ

  • 墓参あの住職も銀歯かな加山シンゴ

  • 墓参坂の上にて父は待つ加裕子

  • 頼まれたまま墓参するだけだ狩谷わぐう

  • 饅頭を提げて七駅墓参河上摩子

  • 再婚は白紙はらはら墓参川越羽流

  • 月夜野の里見渡すや墓参川崎ルル

  • 釋の字の漫ろな掠れ墓参翡翠工房

  • 大ぶりのピアス外すや墓参河村静葩

  • 墓参百年前と百年後カワムラ一重

  • 墓参擦れつ枯らしの義姉とゐる川村ひろの

  • あの皿の件を自白す墓参干天の慈雨

  • 笑い声ばかりの車中墓参神無月みと

  • 右手パパ左手GODZILLA墓参岸壁の龍崎爺

  • 子のなくて鳥の糞まる墓洗ふ閑酉

  • 墓洗う指に反抗期の微熱喜祝音

  • 墓参通勤バスを途中下車季川詩音

  • 塩漬けの櫻葉香し墓参岸本元世

  • 大酒の父に一合墓参り酒暮

  • 魂の居場所の匂い墓参季切少楽・いつき組広ブロ俳句部

  • 線香を配る妹墓参り北大路京介

  • 合掌のごとき蕾や墓参北藤詩旦

  • よそもんのクルマの群れや墓参北村崇雄

  • 住職の母出迎える墓参貴田雄介

  • 墓参他家の墓石の赤き錆ギックリ輪投げ

  • いませんと言われても行く墓参吉左右

  • 墓参仏花に正面ありにけりきつネつき@Vtuber

  • 我々の終の棲家の墓洗ふ木寺仙游

  • 墓洗う関西弁を隠しつつ着流きるお

  • 墓参り名字に溜る水青し城内幸江

  • 墓参かつて煙草屋この辺りきべし

  • 墓参ただの石かもしれぬ墓木ぼこやしき

  • 姑の墓参す姑となりて木村かわせみ

  • 墓洗ふ入るつもりの無い墓を木村隆夫

  • 誰が生けしか知らぬ花あり墓参木村弩凡

  • 差し色に残り花入れ墓参木元紫瑛

  • 線香は桃の香りや墓参Q&A

  • 墓参本家の長き一日よ久えむ茜咲

  • 墓洗ふ港の風のきれいきれいきゅうもん@木の芽

  • 墓参り増便のバス花も乗せ鳩礼

  • 朗々と心経空に墓参京野秋水

  • 野の風の諾ふばかり墓洗ふ杏乃みずな

  • 不器用に握るおにぎり墓参り清鱒

  • ワンカツプぐにやりと開けて酌む墓参霧賀内蔵

  • 出会う人みな善人や墓参霧澄渡

  • たひらかな街のたひらな墓洗ふギル

  • 霊園は四角ばかりや墓参菫久

  • 意図有りて置かれた石か墓参銀長だぬき

  • 墓参君は年とらなくてずるいくさ

  • 墓参直立不動の供花かな久信田史夫

  • 道すがら拾ふ電波や墓参くずもち鹿之助

  • 墓参り石の熱きに驚きぬくちなし香

  • 墓参終え兄弟喧嘩始まりぬくつのした子

  • 再婚の妻を紹介墓参り久保田凡

  • 一族に放浪の史や墓参熊谷温古

  • 背番号1を掲げる墓参紅三季

  • 墓参母の服着てよろこばす蜘蛛野澄香

  • 寺と揉めたる村の墓参曇ゆら

  • 不自然に赤き落雁墓参りクラウド坂の上

  • 墓洗ふ己の影の消ゆるまで倉岡富士子

  • 灌ぎたるみづにゆきさき墓参眩む凡

  • 花柄の杖の一途に墓参栗田すずさん

  • 墓参となりの花に負けている空流峰山

  • 東京の谷底にある墓洗う久留里61

  • 入牢の不孝を詫ぶる墓参かな愚老

  • 紀の国の湯めぐり飽きて墓参り黒田良@しろい

  • 逆縁の墓参孫らに連れられて桑田栞

  • 花の名をひとつ覚えて墓参慶唯

  • 沈黙の長き真珠や墓参月下檸檬

  • 墓参り蹲めば丸き母のひざげばげば

  • 猫と母乗せて晴れ間の墓参かな欅谷風来

  • 老猫がひょいと出てくる墓参かな健央介

  • 墓参りいつもの歌が流れてる源氏物語

  • 墓石てふ記憶のうつは墓洗ふ研知句詩・いつき組広ブロ俳句部

  • 畦道を凸凹の列墓参り剣橋こじ

  • 砂浜に供花墓標無き墓参小池令香

  • 墓参美男の僧は留守らしき恋瀬川三緒

  • 墓参り紫煙立ちたる赤ラーク剛海

  • 痕跡は残らぬ手ぶらの墓参公木正

  • 墓参り墓で転けたる話また幸田梓弓

  • 耕せし人なき畑墓参郷りん

  • 墓洗う享年指でなぞりつつごーくん

  • しんがりは母とその母墓参り古賀

  • 掃苔の息整えて正信偈古烏さや

  • 心臓にステント四つ墓参小笹いのり

  • 高速道の橋脚下の墓参かな小嶋芦舟

  • 蒼天の桜島背に墓参り小園夢子

  • 変わらざる海・路地・いとこ墓参り木染湧水

  • 墓参り塔婆を鳴らすのは風か虎堂吟雅

  • 江ノ電を下車海を見ず墓参かな後藤周平

  • 義母の名は六文字もある墓掃除粉山

  • 悪夢見て墓参りする気になった小夏すどり

  • 織田瓜の家紋掠れし墓洗ふこのみ杏仁

  • ひいぢぢの宗派は違ふ墓参小林脱太郎

  • 墓参り良いことのみを伝えたり小林のりこ

  • 車椅子の移送重たし墓参こひつじ@QLD句会

  • 一才の義弟の名知る墓参小藤たみよ

  • 墓参りやけに烏の鳴くと父駒村タクト

  • 原爆で灼けし石積み墓参り小湊八雲

  • 空気とろり皆眠たげな墓参小南子

  • 墓参父は母が好きだったこむぎ

  • 家と子を守る再婚墓参り小山晃

  • 墓参橋を渡って淡路島碁練者

  • 産休の先生に遭ふ墓参GONZA

  • パチンコの帰り墓参の人に会う今藤明

  • 合掌の指のささくれ墓参齋藤桃杏

  • 大伯母の存命を知る墓参さおきち

  • ブロックの空の字太し墓参さ乙女龍チヨ

  • 墓参り人は祈りで出来てゐる酒井春棋

  • 背番号もらいて初の墓参り榮紅

  • 墓参先客はまた叔父らしいさかえ八八六

  • 人の居ぬ駅より二里の墓参かな坂口いちお

  • 墓参渡せなかった初任給坂野ひでこ

  • 墓参り時薬なぞ知らん知らん坂まきか

  • 中央道ふた山先の墓参坂本雪桃

  • 隣町自転車借りる墓参り相良まさと

  • 墓参り四時の「上り」が通過せり咲まこ

  • 墓参り一人欠けたる通り雨さくら亜紀女

  • 軽トラの錆や野良着の墓参櫻井こむぎ

  • 墓参一山覆う万の墓佐倉英華

  • 祈る手は貝殻のごと墓参り桜鯛みわ

  • 世間的親不孝です墓参せず桜月夜

  • 石段でじゃんけんグリコの墓参佐々木佳芳

  • 母の呼ぶ名は風めいて墓参佐々木ヨウジ

  • 墓参り大木の雲流れゆくさち今宵

  • 墓参母校一点負けている佐藤茂之

  • 佐藤家の横の佐藤家墓参佐藤志祐

  • 墓参小花はややのおとうとへ佐藤儒艮

  • 方丈の美声流るる墓参かな佐藤俊

  • 迷宮を立ち去るごとく墓参さとう昌石

  • 墓洗ふラークの煙たなびけりさとう隆明

  • グーグルが導く墓へ参りたるさとうナッツ

  • 墓参あなたの孫も来ています佐藤浩章

  • 南向き日当たりも良し墓洗ふ佐藤ゆま(歯科衛生子改め)

  • 古バケツ錆の臭いの墓参里こごみ

  • 墓参り年古る石の破顔せり錆田水遊

  • 亡き母の手縫ひ雑巾墓洗ふさぶり

  • 寂しくも明るくもある墓参彷徨ういろは

  • ふくらはぎ二つ盛りあげ墓洗ふさむしん

  • 朝は義父昼から父の墓参りさやじゅん

  • 紫の花手に集ふ墓参かな紗羅ささら

  • 墓地越境先の手桶のまま墓参沢井如伽

  • 兄達の花束に足し墓参沢拓庵◎いつき組カーリング部

  • 経あげて俄かに陽差す墓参かな沢田恵子

  • 弟で終わる家系図墓参澤田紫

  • 墓参ポンプ押したき子らの列沢山葵

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  • 墓参赤きネイルの細き指藤井かすみそう

  • 墓参隣の人の火を借りる藤井京子

  • うなだれる花を抱えて墓参りふじい眞みこ

  • 墓洗うバケツ二つの重さかな藤丘ひな子

  • 独り居る寂しげ母の墓参藤川鴎叫

  • 古き墓やがて更地に墓参藤川哲夫

  • たれも来ぬ母は寂しき墓参藤川雅子

  • 線香より好きな煙草を墓参りふじこ

  • 拝む人いずれ拝まれ墓参り藤沢・マグネット

  • 過ぎし恋母のみに告ぐ墓参かな藤原涼

  • 門前の餅が目当ての墓参伏見レッサーレッサー

  • 墓参り妣の数珠手に拝む父太井痩

  • 赤文字の母の名白に墓参り文月紺色

  • 懐かしき声の飛び交う墓参かな冬島直

  • 墓参り年数回の逢瀬かなぶるーふぉっくす

  • 清めあげ心安まる墓参りふるかわしげこ

  • ただ今は合い言葉なり墓参り古川しげ子

  • 墓参孫の喧噪お経なり古澤久良

  • 墓守のふわと飛び交う墓参かな古庄萬里

  • 墓参り待ってる犬の大あくび古道具

  • 先祖墓刻まれし和歌墓参かな古谷芳明

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  • 墓参横切る猫が飄々とヘッドホン

  • 墓参り叔母と従姉妹の似た背中峰晶

  • お互いに年をとりし墓参り宝松苑

  • 守り来る溝薄き墓誌墓参房総とらママ

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  • ロザリオを取り出し友の墓参かな細葉海蘭

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  • 近況と悩みつぶやく墓参前田昂平

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  • 山腹の絶景墓参登山眞さ野

  • 墓参り今の自分を告白す町家の日々輝

  • 仏花萎え人影消えて猫墓参松井酔呆

  • 吾の死後は誰が葬るや墓参松井貴代

  • 墓参り参られるのが近くなり松井英雄

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  • 御先祖の足音がする墓参前松岡拓司

  • 墓参風が語るや父母ヶ浜松尾祇敲

  • 墓参り遠き我が子に伝えたし松尾美郷

  • 帰国した娘と先ずは墓参り松尾老圃

  • こちらより賑やかですか墓参松坂コウ

  • 杖となり母に付き添う墓参り松下弘子

  • 一年のご無沙汰でした墓参まつとしきかわ

  • 嫁ぐ日を父母に伝えむ墓参り松永好子

  • 墓参ちょうど一年前の今日松野蘭

  • 母はもう登れぬ道や墓参松本厚史

  • 風に和ぐ香煙紫煙墓参り松本こっこ

  • 墓参りたばこ一本煙一本松本牧子

  • 異国から心の墓参増す近さけーえむ

  • 墓参り父が選びし木の下へまやみこ恭

  • 墓参線香分ける小さな手まりい木ノ芽

  • 水提げて無縁塚過ぐ墓参まるごとハテナ

  • 天上の夫と話すや墓参丸山よし子

  • 墓参り近道覚えた道何処美衣珠

  • 提灯を持ちて歩きし墓参三浦ゆりこ

  • 墓洗う命日同じご先祖様三木崇弘

  • 玄孫達を連れてきました墓参りMR.KIKYO

  • 年重ね母に似てくる墓参かな水谷未佳

  • 墓参り君の二倍も生きるとは水巻リカ

  • 墓参いまも流れる七つの子三隅涙

  • 墓参せし納骨堂やみな個室三田忠彦

  • 墓参十五歳下新妻と巳智みちる

  • 御影石のまろきくぼみや墓参満生あをね

  • 瀬戸の島船頭連れて墓参三日余子・いつき組広ブロ俳句部

  • 墓参優しき木陰も懐かしく光月野うさぎ

  • 墓参水琴窟が木霊してミツの会

  • びつしりと白モヘアめく墓洗ふ満る

  • シウマイに杏が寄つて墓参かな 南方日午

  • 父母の杖を突きつき墓参ミナガワトモヒロ

  • 隣人の残り香ゆれる墓参りみなづき光緒

  • 親不孝詫びつつ拝む墓参り湊かずゆき

  • 新しき隣りの塔婆墓参りみなみはな

  • あの広い背中想いて墓洗う宮城海月

  • 墓参り祖父の話を聞き歩く美山つぐみ

  • 墓参り灯もて花もて賑やかに宮村寿摩子

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  • 早朝の讃美歌友の墓参山田はち

  • 坊主の意ウソとホントの墓参り山田秀男

  • 毎年の愚痴こぼし手合わす墓参り山野花子

  • 墓参り午後はやっぱり中華街やまもとのり。

  • 墓参の花胸に湧き出る悲しさよ山本葉舟

  • 水を飲む飯食べるよに墓参る山本蓮子

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  • 得意気に柏手打つ子墓参かな雪子

  • 墓参読経に混じる鳥の声雪音

  • せめてもの好きな花添ふ墓参かな柚子こしょう

  • 柴犬に面影うつす墓参かなゆず柴

  • 蘇る母の運針墓参柚木啓

  • 墓洗う母のつぶやき遠い雲夢一成

  • 墓参り褒美は昼の回る寿司夢散人

  • 思春期の姪は気怠げ墓参陽花天

  • 名をなぞる指は節くれ展墓かな羊似妃

  • 同じ駅病院前に墓参夜香

  • 家紋より武士の家系や墓参り横山道男

  • 墓参笹と草とが入り乱れよしぎわへい

  • 墓石拭く立つ湯気のあり墓掃除吉田春代

  • 墓参り老いたる父が立つ先頭吉富孝則

  • 墓参り草草草に花供え吉成小骨

  • 墓参むしる草には有る命吉藤愛里子

  • 指先に残る香りや墓参よしみち

  • どの道を行けども険し墓参Yoshimin空

  • 墓参り風に語らう祖母の声山口の俳人よっちゃんV2

  • 三十五年待つ父へ告ぐ墓参四葉の苦労婆

  • 三年を遅れ土踏む墓参り楽花生

  • 墓参魂は若い儘死すリーガル海苔助

  • たつぷりと水を刻字に墓参理佳おさらぎ

  • 兄弟のお使いはバス墓参六星菴

  • 背中越し近況を知る墓参り璃子

  • 墓参笑いの渦は遅き経流流

  • 墓参り連れ立つ母にそよぐ風麗詩

  • 墓参増えたる墓の二つ三つ連雀

  • 男坂ちときつくなる墓参若宮直美

  • 墓参祖母の知る人出逢い場所わきのっぽ

  • 墓参は山ここからおうち見えるねわぎゃん

  • 墓参不仲の過去に気は重く海神瑠珂

  • 清々と帰路の釜飯墓参りわたなべいびぃ

  • 墓参り遠き病床にて合掌奎星

  • 彼岸との道通いたる墓参わたなべすずしろ

  • テトラポットと同色の墓参綿鍋雪

  • 「龍」と言ふ愛犬眠る墓参  五葉松子

  • 百合だいて坂をのぼつて友の墓参越智空子

  • 吾老いて父母の墓参や落葉踏む河上輝久

  • とぐろ巻く蛇と遭遇墓参りひーちゃんw

  • また蛙休む刻字や墓参福良ちどり

  • 墓参日傘を被せ掬う水松本直樹

今月のアドバイス
夏井いつき先生からの一言アドバイス

◆俳号のお願い二つ

①似たような俳号を使う人が増えています。
 俳号は、自分の作品をマーキングするための印でもあります。せめて、俳号に名字をつけていただけると有り難く。共に気持ちよく学ぶための小さな心遣いです。

②同一人物が複数の俳号を使って投句するのは、堅くご遠慮下さい。
「いろんな俳号でいっぱい出せば、どれか紹介されるだろう」という考え方は、俳句には馴染みません。丁寧にコツコツと学んでまいりましょう。


◆ひとことアドバイス


●俳句の正しい表記とは?

  • 墓参 向かって右は 六芒星ギザギザ仮面
  • 不義理する 息子が訪ね 手を合わす前田哲

「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪


●兼題なし

  • 炎天下手向けの水はお湯になり江口YUKO

  • 亡き父母と肌熱伝う草むしり大山あのん

 本選句欄は、毎回季語が出題されています。兼題を確認して、再度挑戦してくださいね。


●兼題も季語もなし

  • 風速六十浄化せよ日本列島田中恵也

  • ご先祖とはるか昔の時おもう春風

  • 報告は精いっぱいの笑顔だけ渡辺香野

  • 共同墓の花立に庭のあの青石垣エリザ

  • 幼き日手合わす人や墓の中岡村理江

  • 墓苔に無沙汰を詫びてそっと撫で梶浦和子

 兼題は、テーマではないので、「墓参」という季語を詠み込む必要があるのです。


●季重なり

  • 墓参冷房ききしビルの中朝日雫

  • ワシワシと蝉鳴く墓へたどり着くあすか風涼子

  • 墓参終えこれで無事にお盆来るいちばほうすい

  • 遠雷に父しのびたり墓掃除おのさびねこ

  • 炎天に秋行きますね墓参り金子英輔

  • 墓参り渡りやめたオジロワシ櫻井りこ

  • 墓参問へば答ふる青葉ずく風信子

  • 墓参り造花イキイキ空高し鳳凰美蓮

  • 墓参りちちはは恋し秋の蝉本間美知子

  • 訛り聞き草刈りとるや墓参り目黒千代惠

  • 墓仕舞い言い出せず手向く鬼灯  山本単魚

 一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「墓参」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。


●むしろ「お盆」の句

  • 墓参りいけずに祈る盆の昼しげ3

 こちらも季重なりですが、「盆」が主役になっている句だといえましょう。


●句意が読み切れなかったもの

  • 墓参墓碑から昊へ殻五つ 松風花純

  • 墓参根深い緑の嘲笑よ械冬弱虫

  • 墓参り転がり落ちて猫になり柿本苧麻

  • 名を刻む鑿の音する墓参り  墓石に刻む名? 佐藤恒治

 なんとなく分かるような気もするのですが、句意が明確につかめません。一句目は、蝉の抜け殻でしょうか、蛇の衣かもしれません。二句目、詩的な表現ではありますが、「根深い緑の嘲笑」をどう解釈すればよいのか? 三句目、自身が転がり落ちた? 何か分からないものが転がり落ちてきたら猫だった? 四句目、時間軸を悩みます。今、ここで墓石に名を刻んでいる? 今、刻んでいるかのような新しい墓碑なのだとしたら、比喩だと分かるような表現の工夫が必要でしょう。

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「土筆」

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