夏井いつき先生の俳句生活

夏井先生のプロフィール

夏井先生のプロフィール

夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。

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9月の兼題

「秋思」

※発表日が20日に変わりました※

5月の審査結果発表

兼題「梅雨」

「ばいう」「つゆ」と読む。6月下旬に差し掛かるころからの約三十日間の時期を言う。

5月の兼題『梅雨』はGWの前半に投句が集中し、結果過去最多タイの2,743句でした。毎月投句いただき、本当にありがとうございます。
6月の兼題は『蝉』です。みなさまの投句、楽しみにお待ちしております(編集部)

入選作品は「天」「地」「人」「佳作」4段階で評価します。

天
キヨスクの朝刊風に濡れて梅雨

古瀬まさあき

夏井いつき先生より

 暦の上では六月十一日頃の入梅の日から三十日間の長雨、および雨期が「梅雨」です。「梅雨」は天文の季語ですが、時候の意味合いも含んでいるのが特徴。つまり「梅雨」とは、降ってくる雨粒だけを指すのではなく、長雨の続く時期も意味するのです。
 「キヨスク」は駅の売店です。「朝刊」はお客さんがすぐ手に取れるホルダーに並べられているのでしょう。当たった雨粒によってではなく、「梅雨」の時期の湿気を含んだ風によって「濡れて」いるという後半の措辞が秀逸。硬貨と引き換えに受け取った「朝刊」を広げると、ホームに降り込む雨粒が紙面を濡らします。難しい季語を、天文と時候の両面から描いた一句に拍手を贈りましょう。

地
ゴミ箱にビニール垂れる垂れる梅雨

いかちゃん

「ゴミ箱」にいい加減に突っ込んだ「ビニール」が「梅雨」の風に煽られてながら増々垂れ下がってくるのです。「垂れる垂れる」のリフレインが、「梅雨」の一語を引っ張り出してくる構造も巧み。

溶媒に梅雨のひかりの甘からん

「溶媒」とは物質を溶かすための溶液。フラスコの溶液に「梅雨」の時期の「ひかり」が甘そうに映っているのでしょうか、「梅雨」という時候を溶かす溶液が「梅雨」の雨滴だと読んでも面白いか。

青梅雨や埃しずかな薬品庫

古田秀

「青梅雨」は青葉の印象を内包している季語。窓の外には青葉の雨が降り続く日々が移ろい、「埃しずかな」は埃の溜まっていく日々も感じさせます。下五にて薬品臭がツーンと読者の鼻腔を刺します。

荒梅雨のピアノに黒き獣飼ふ

樫の木

「荒梅雨」は荒々しく降る長雨。室内に置かれた「ピアノ」にも強い湿気が及んでいくかのようです。ピアノに飼う「黒き獣」とは荒々しい和音か、楽曲か。「荒梅雨」も黒々と吼え立てるかのよう。

貝殻の奥から梅雨を見てゐたり

すりいぴい

「貝殻の奥から」という発想に驚きます。「貝殻」の穴から見える雨粒はどんなだろ、降り続く日々をどう過ごそうと想像すると楽しいような憂鬱なような「梅雨」の日々が浮かんでは消えていきます。

人
  • 万葉の梅雨あたたかき樹木葬いさな歌鈴

  • オランウータンは背を向けたまま梅雨の檻いさな歌鈴

  • 青梅雨やテーブル下の果実酒瓶おんちゃん。

  • 梅雨じめりアイツ殴った掌の記憶おんちゃん。

  • 起きて寝て寝て起きてまだ梅雨のなか清島久門

  • 荒梅雨や厩舎をさかる二三頭清島久門

  • 介護実習モデルは「ケイコ」梅雨寒し比々き

  • ぼんのくぼふつさりおほふつゆじめり比々き

  • おほらかに梅雨のひかりを吐く轍

  • 時は雫こぼるる梅雨晴れの献花

  • 正苦泉のぬるりとぬるし梅雨の宿いかちゃん

  • 腸の如き地下鉄抜けて梅雨いかちゃん

  • 鯨幕に囲はれてゐる梅雨の家すりいぴい

  • 見たこともない梅雨の蟲うぶぶぶぶすりいぴい

  • リノリウムの廊下の長し梅雨の夜樫の木

  • 梅雨の夜の何かを踏んでゆくタイヤ樫の木

  • 着陸すネオン煌々たる梅雨に古田秀

  • 梅雨の放課後やチューバの長き音古田秀

  • 梅雨深し透析室といふ真白古瀬まさあき

  • 梅雨の日に父の背骨を拭いてゐる古瀬まさあき

  • 梅雨ばうばう子犬がいても拾へない小川めぐる

  • 梅雨の宿アカシアの間はいわくつき小川めぐる

  • 梅雨寒や明け方の咳湿りおり鈴木由紀子

  • 梅雨雲の山にちぎれて漂へり鈴木由紀子

  • 二十円足りぬ梅雨の切手代露砂

  • 日本より梅雨の匂ひの茶封筒露砂

  • 梅雨深しボーイの磨く銀の匙にゃん

  • 梅雨時の離れたがらぬドロップスにゃん

  • 梅雨深し車両に湿る人いきれふじこ

  • 梅雨の日を甘くふくらむスフレかなふじこ

  • 街灯の無音なる波満つや梅雨ほろろ。

  • 黒鍵のエチュード梅雨の礼拝堂ほろろ。

  • 鉄分の臭ひの大気梅雨兆しうさぎまんじゅう

  • 青梅雨やクランク多い城下町うさぎまんじゅう

  • 満席の客は動かず梅雨のバスあまぐり

  • 森の匂ひ濃し妖(あやかし)潜む梅雨あまぐり

  • 梅雨寒や祖母すく髪の長きことかわせみ

  • 梅雨籠なる言葉を知りて梅雨籠るかわせみ

  • 魚屋の姐御は休み梅雨深しぐずみ

  • 梅雨深し八百屋に欠伸する番犬ぐずみ

  • 傷口の膿の匂ひて梅雨深しくりでん

  • 梅雨空やペリカン喉の膨れをりくりでん

  • 梅雨時や弓のごとくにしなる脚クロまま

  • 梅雨空に肉球匂って寝るソファクロまま

  • ドライヤーコード抜けてた梅雨じめりサイコロピエロ

  • 梅雨ぐもり手術四時間の音沙汰サイコロピエロ

  • 梅雨といふ円周率のやうな鬱さとけん

  • 窓に梅雨雲採血の赤黒しさとけん

  • 剥き出しの鉄骨梅雨果てしなきしかもり

  • 銀輪銀輪梅雨の駐輪場しかもり

  • 月経の近づく痛み梅雨寒しじゃすみん

  • 深煎りの水出し珈琲待つ梅雨じゃすみん

  • 天井の染み島めくや梅雨に飽くすみ

  • 青梅雨やカミツレの香の中にゐるすみ

  • ハ長調弾き終え梅雨はト短調ちゃうりん

  • 梅雨ごもり小指の爪を青く塗るちゃうりん

  • 荒梅雨や山に異臭の立ち始むテツコ

  • モーテルの看板匂ひ立つ梅雨テツコ

  • 青梅雨や雫あかるきビニル傘ぬらりひょん

  • 梅雨の闇ノースリーブの腕二本ぬらりひょん

  • 干し葡萄食む梅雨知らぬトルファンではらぐちゆうこ

  • 鼻呼吸音のみ響く梅雨のヨガはらぐちゆうこ

  • 梅雨曇やどのスイッチでどの灯りふるてい

  • タギングの犇く梅雨の高架下ふるてい@タギング=スプレーペンキで描かれた落書きの一種

  • 梅雨ながし机に閉じる中也の詩みやかわけい子

  • 木琴の響かぬ家や梅雨深しみやかわけい子

  • 鈍色の虫の骸や梅雨湿りみやこわすれ

  • 梅雨寒や駅のピアノのジムノペディみやこわすれ

  • 新聞の見出しやはらか走り梅雨ワカシ君一年生

  • 茫として時報ラヂヲの梅雨籠ワカシ君一年生

  • 青春は心の陰部黴雨の闇哀顏騎士

  • テレビ見て腹立つ日々や梅雨籠哀顏騎士

  • 綿棒に取る青梅雨の湿りかな葦たかし

  • 新宿の朝は出涸らし梅雨晴間葦たかし

  • 青梅雨や弁当に半額シール或人

  • 青梅雨や「万葉集」にひくライン或人

  • 折ってみた青梅雨の新品チョーク井原千恵理

  • 青梅雨やシェフの気まぐれ星パスタ井原千恵理

  • 水族館出て泳ぎゆく梅雨の街一斤染乃

  • 司会者の声はパステル梅雨なのに一斤染乃

  • 毒の字が苺みたいな旱梅雨塩谷人秀

  • 梅雨空や我が衣手は何もない塩谷人秀

  • 梅雨にほふ横浜駅はなほ工事佳山

  • 屋上の埋まらぬ梅雨の駐車場佳山

  • 校庭の浅き凹凸梅雨長し可笑式

  • 傘差さぬホスト大股梅雨の朝可笑式

  • 荒梅雨のサバンナゾーンただ静か花南天

  • 青梅雨のピンク電話へ積む十円花南天

  • 梅雨寒や朝の独りのだし茶漬け甘平

  • 予備校の机のキズや梅雨曇甘平

  • いつか読む本を積み上げ梅雨となる亀山酔田

  • 梅雨深し光の如き砂糖菓子亀山酔田

  • 象舎出る象待つ梅雨の傘二本亀田荒太

  • 新聞に紙の匂いの梅雨の朝亀田荒太

  • 梅雨寒や途切れる言葉つくろいて玉井瑞月

  • 長梅雨や枠いっぱいに借りる本玉井瑞月

  • 上京は二十八歳梅雨に逢う玉響雷子

  • 引戸鍵きしと締まりて梅雨の夕玉響雷子

  • 梅雨雲やゴドーを待つやうな二人玉木たまね

  • 長梅雨に剣のごと傘携行す玉木たまね

  • 深き梅雨計測器より目分量桑島 幹

  • 梅雨の街薩摩切子の一口目桑島 幹

  • 洗車して水滴美しく梅雨を行く溝口トポル

  • 新宿の上半分が梅雨に消ゆ溝口トポル

  • 号令に椅子を引くなり梅雨の窓綱長井ハツオ

  • 海側の窓は閉め切り梅雨の佐渡綱長井ハツ

  • 追ひ込みをかける駿馬や梅雨の中高橋寅次

  • 腰椎へ食ひ込むボルト梅雨じめり高橋寅次

  • 過去帳に考の筆文字梅雨深し 彩楓(さいふう)

  • 梅雨寒やサビ取りしてる花鋏彩楓(さいふう)

  • 狡る休みして梅雨の音聞いてをり

  • しづかなり象の親子に降る梅雨

  • えびの殻剥き終へ乾く指や梅雨山田喜則

  • なまぐさく匂ふ花咲くもう梅雨か山田喜則

  • 灰青のみずうみをゆく梅雨の舟獅子党裕介

  • 教室の孤独や窓に梅雨の湖獅子党裕介

  • 青梅雨や黒髪も服も濡れちまえ潤目の鰯

  • 店内に三人ほどが梅雨連れて潤目の鰯

  • 梅雨空にチョークの文字の美しきはね松山帖句

  • 梅の雨木の匂い立ちのぼる古書松山帖句

  • 梅雨灯り蒼し螺旋のガラスペン上坊幹子

  • 解体の工事静かや梅雨の町上坊幹子

  • 山僧の語る鳴き龍梅雨が好き上野眞理

  • 約束は梅雨あけてからもう一度上野眞理

  • 梅雨湿り吾子の散髪むづかしき西藤智

  • 薄紙のふくれのまろき梅雨湿り西藤智

  • 梅雨雲や水いぼ潰すピンセット青海也緒

  • 硬そうな鏡の乳房梅雨曇青海也緒

  • 青梅雨や猫の猫草ほおばりて石川由美子

  • 犯人が解るまではと梅雨籠石川由美子

  • 梅雨寒や注文と違ふ珈琲赤馬福助

  • 悪口と渡り廊下と梅雨の空赤馬福助

  • 生肉のつやめく梅雨闇の虎舎倉木はじめ

  • 恋人に飽き隧道の梅雨を行く倉木はじめ

  • 荒梅雨やこつくりさんが帰らない多々良海月

  • 標本の蛙鳴きけり梅雨じめり多々良海月

  • 元彼へライスシャワーを投げる梅雨大槻税悦

  • 忌避剤を家中に吹く梅雨の朝大槻税悦

  • 梅雨の日の休憩多き仕事かな中西柚子

  • 骸あり音なき梅雨の雨に濡れ中西柚子

  • 荒梅雨や人はちいさくなってゆく登りびと

  • 手のごとく木は青梅雨へ青梅雨へ登りびと

  • 梅雨深し海はしとどに濡れにけり藤田康子

  • 梅雨の記憶母の家出は日暮れまで藤田康子

  • 荒梅雨よ富士の赤池喚び出でよ 

  • 梅雨蒼くスワンボートの傾きぬ

  • 梅雨深き電子マネーの音澄みぬ奈良香里

  • 息をするたびにチョークの匂う梅雨奈良香里

  • 梅天に千年杉の梢鳴る内藤羊皐

  • コンパスの描く真円梅雨湿り内藤羊皐

  • 梅雨雲のしづか断崖の弾痕南風の記憶

  • 梅雨雲は優しノートに百の「死ね」南風の記憶

  • 青梅雨や乗合バスのリンスの香猫愛すクリーム

  • こめかみのずくんずくんと梅雨湿り猫愛すクリーム

  • 梅雨寒や玻璃の鏡の羅生門白よだか

  • 梅雨の庭ザムザのような虫がいる白よだか

  • 空梅雨や拳の痛みと壁の穴白瀬いりこ

  • 竹藪の骨の正体旱梅雨白瀬いりこ

  • 休場の力士の名札梅雨の夕八木実

  • 手洗場粉石鹸の汚す梅雨八木実

  • 半眼の獣をりけり梅雨の檻飯村祐知子

  • 青梅雨や大水槽をマンタゆく飯村祐知子

  • 梅雨深し祝日のないカレンダー富山の露玉

  • 青梅雨やガラスボールへ白き花富山の露玉

  • 水満たす生殖器居た梅雨の闇福良ちどり

  • 頸椎の四番五番梅雨来たる福良ちどり

  • 梅雨長く師の達筆の読み辛く北野きのこ

  • 苔清き煉瓦の隙間梅雨の朝北野きのこ

  • 梅雨闇や耳の奥には蝸牛殻明田句仁子

  • 長梅雨やのそりと閉まるエレベーター明田句仁子

  • 売れ残る魚の腹や梅雨匂ふ茂る

  • 振り返る記憶虫食い梅雨深し茂る

  • 叡山の構えの低き梅雨かな有瀬こうこ

  • 梅雨深しガードレールのぬいぐるみ有瀬こうこ

  • 梅雨空や黄ばむ切り抜き読み返す葉るみ

  • 梅雨近し計量匙の粉の跡葉るみ

  • 梅雨の街足場濡れたる日曜日葉月けゐ

  • 密やかに梅雨始まれり夜の底葉月けゐ

  • おしぼりはセルフサービス梅雨寒し鈴木(や)

  • 風貌に合わぬ筆圧梅雨寒し鈴木(や)

  • 潮の濃く匂ふ魚がし梅雨曇鈴木淑葉

  • 梅雨寒や通夜のテントの溜り水鈴木淑葉

  • 少年の舌打ち響く梅雨の駅momo

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  • 空色の薬は偽薬梅雨曇とかき星

  • まっすぐ行こうかどの辻も梅雨の辻ときこ

  • 倫敦へ帰るをみなに傘を梅雨としなり

  • 渓流の苔むす岩や梅雨匂うとしまる

  • 青梅雨や貴船の朝のけぶりたるはむ

  • 梅雨の音今日はミとラが主役かなハムサンド

  • 雨のままずっといたいと梅雨は言うひっそり静か

  • 約束の街荒梅雨の只中にひでやん

  • 梅雨曇無心で磨く洗濯機ひろ夢

  • 梅雨という響き優しい父母の庭ふうこ

  • 夜這いする梅雨も半ばの曇り空ふくろう悠々

  • 梅雨呑み込む苔の静かや赤子寝るペトロア

  • 青梅雨や制服のまま海月見にほしの有紀

  • 窓に描くイロハニホヘト梅雨深むぼたんのむら

  • ハメハメハ大王のごと梅雨ごもりまちる

  • 超音波ゼリーはブルー梅雨の空まどん

  • 梅雨の日のやりたいことは水あそびみいちゃん3才

  • 嘘つきの夫待つ椅子や梅雨の闇みかりん

  • オブラートに包む頓服梅雨じめりみそまめ

  • 蝦夷梅雨や花田番屋の三平汁みなと

  • 鍵盤の戻りの悪しき梅雨兆すみゆき

  • 葉の上の最初の星が弾け梅雨むらさき(6さい)

  • 骨接ぎのBGMはジャズの梅雨もつこ

  • 頓服の在庫数える迎え梅雨ももたもも

  • 梅雨曇湿布は背骨の右左ゆすらご

  • 長き梅雨びっくり箱の武者震いゆづ

  • えら呼吸の記憶辿りて梅雨かなよにし陽子

  • 梅雨寒や長湯の夫の「イエスタディ」ラーラ

  • 梅雨籠り馬齢重ねと文を書くわかなけん

  • 昔むかし襁褓旗めく梅雨の家亜紀女

  • 梅雨の匂い中間テストの教室に満つ亜美子

  • 象一頭落ちてきそうな梅雨の空愛燦燦

  • 梅雨曇二駅先の特売日葵新吾

  • 梅雨深しすぐになくなる緑のクレヨン安藤芽衣

  • 梅雨の夜亡き友集ひ独り酒伊藤ひろし

  • 筆持ちてにじみ美わし梅雨深し伊藤節子

  • 産着干す豆腐屋の窓梅雨兆す衣川俊子

  • 煮え切らぬ男の如き梅雨の空遺跡納期

  • 青梅雨や古き愛車の黒光る宇佐美好子

  • 白き荒梅雨や変圧器に烏烏飛兔走

  • 梅雨の宵煮こごりのごと常夜灯遠藤百合

  • ペディキュアの十指違へてついりかな塩沢桂子

  • 梅雨寒や患者の我妻を待つ加島

  • ダンゴムシ迷路に放ち梅の雨夏柿

  • 梅雨籠り匂い残して犬の果つ花岡淑子

  • 梅雨寒や黒傘ふたつ布教らし花屋

  • 梅雨冷えや病身のわれに老母あり花喰い鳥

  • 自販機の売り切れランプ梅雨じめり花伝

  • 青梅雨や点滴キライ5病棟花紋

  • 梅雨だしねそんなにがんばらなくていいよ海碧

  • 「友達に戻ろう」「そうね梅雨だしね」海老名吟

  • 同じ曲二度と聴けない梅雨の傘灰田兵庫

  • 梅雨の朝漏れて聴こえる平井堅笠原理香

  • 梅雨青し墳墓の堀のさざめける幾恋良石

  • 梅雨曇り今日は見えない岬あり紀泰

  • 梅雨籠りお茶とハヤカワミステリー亀山逸子

  • 全身で前進の嬰梅雨近し菊原八重

  • 乾燥機へ入れるパンツや梅雨はじめ菊池洋勝

  • けいこさーんつゆがとつとつやってきた吉田結希

  • 梅雨じめり蔵書に多き旧字体久我恒子

  • 梅雨なりきケニヤの紅茶濃く淹れて宮部里美

  • 青梅雨やボタンをとめる糸細く薫子(におこ)

  • 梅雨入りすひねもすフライタイイング畦のすみれ@フライフィッシング用のフライを作成すること

  • 琴の糸張り直したり梅雨曇蛍子

  • 梅雨さなか岩手の寺に稲穂料月の砂漠

  • 梅雨長くして嵌まる大人の塗り絵見屋桜花

  • ひっそりと梅雨ひっそりと田を濡らし原田

  • 白無垢の褄高くとる梅雨曇り原田彰子

  • 腸炎の犬の鳴く夜や梅雨じめり湖雪

  • 銭湯の「閉店」滲む梅雨の町五月野敬子

  • 梅雨の灯を集め兜太の日記読む光子

  • 梅雨の村ベンガラ競う吹屋かな甲山

  • 梅雨の日に鏡みがきて部屋写す香子

  • 梅雨の底シーツ纏わせたる素肌香羊

  • ままごとも倦怠期なり梅雨の昼高田祥聖

  • 劉金の尾の跳ねる音梅雨ま近今井淑子

  • 梅雨寒の犬の尸(かばね)を深く置く佐藤儒艮

  • 梅雨激し怒れる猫の息臭し砂舟

  • 骨接ぎの職人の皺梅雨の夕斎乃雪

  • 焼鳥の煙ゆるゆる梅雨の路地坂まきか

  • 骨拾い梅雨のみどりに箸うごく榊昭広

  • 梅雨の空スカイウォークのオランウータン三浦ごまこ

  • 「15の夜」流す五十や梅雨籠り三河五郎

  • 灰色の紫暮れ六つ窓の梅雨山沖阿月子

  • 梅雨の尾瀬みな戻りくるけもの道山口要人

  • 梅雨曇占い今日はびりっけつ山山こすみ

  • 畳の目ひやと吸いつき梅雨曇山内彩月

  • 腹ばいで青い唇笑う梅雨市山利也

  • 連れ帰へる古書の匂ひや梅雨深し慈温

  • 駆血帯外せば梅雨の匂ひ立つ次郎の飼い主

  • 空梅雨の舗道に零すレモネード七咲人天

  • 青梅雨に漱ぎてひかり伊勢国七瀬ゆきこ

  • 空き缶や梅雨には梅雨の匂ひあり室谷早霞

  • 宿の名の薄きタオルや梅の雨若井柳児

  • 梅雨暮れるグランクラスの赤ワイン秋月なおと

  • 黒四は早梅雨なり仏岩秋水

  • 梅雨に入り着物姿の母傘を秋代

  • 淹れたての珈琲ほのか梅雨の朝重仁

  • 青梅雨の木々に合羽に両の手に春都

  • 梅の雨ハーバリウムに透けている小笹いのり

  • 五月雲包茎手術は高すぎる小市

  • 建仁寺の阿吽の龍の鳴きて梅雨小倉あんこ

  • 梅雨冷えや指に食い込むレジ袋小池玲子

  • 障害者の更新申請梅雨曇小嶋芦舟

  • 梅雨寒やハイネの頁濡らす夜松ちゃん

  • 右にラーク左にシャネル座る梅雨松野菜々花

  • どうせまた口だけのこと旱梅雨焼田美智世

  • 南より利休鼠の梅雨がくる植田かず子

  • 荒梅雨や仮設の庭に金次郎色葉二穂

  • 蝦夷梅雨や空と大地の混じり会う森弘行

  • コピー機につまる英文梅雨兆す真宮マミ

  • 梅雨に溶けしづかに泣くよ窓ガラス真繍

  • ハモニカの仕切り小さし梅雨匂ふ真壁正江

  • 梅雨しとどスワンの船の目に涙酔進

  • 梅雨寒やジャズの流るる露天風呂雛まつり

  • 梅雨出水仮寝の宿のうすあかり菅利通

  • 梅雨の夜や何かが靴に飛び乗りぬ瀬尾ありさ

  • 梅雨空やまた読み返す三国志成田わや

  • 降れば憂し降らねば困る梅雨農家清水容子

  • 銀行のマットは斜め梅雨を来て西川由野

  • 梅雨生まれ雨がお祝いしてくれる西村咲音

  • 梅雨暗く蛇姫の墓碑過ぎりけり青い月

  • 幾日の梅雨幾日の魚心地青萄

  • ヘイジュードトランペットで梅雨雲突きぬく石垣エリザ

  • 梅雨寒やエアロバイクを永遠に赤橋渡

  • 世界一周のパンフレットと梅雨籠り川村昌子

  • 梅雨の朝キリマンジャロの香りから双子の父

  • 梅雨湿りくにゃりと曲がる蛸煎餅倉岡富士子

  • 小芝居で殻割る給仕梅雨曇多事

  • 梅雨が来たメランコリックシンフォニー大久保響子

  • 荒梅雨や紅茶の底の青の花大小田忍

  • 宿題の多い休日梅雨籠大津美

  • 梅雨ごもる独り李白の書写かな知足

  • 早々と梅雨の気配でありにけり池田功

  • 青梅雨や腹の子もまた眠る午後竹内桂翠

  • 蝸牛考付箋のページ開く梅雨茶野ねずみ

  • きりきりと芥まはるや梅雨の淵中原久遠

  • オブラートくしゅりとちぢむ梅雨籠宙のふう

  • 落語聞くうつつ忘れの梅雨の夜や鳥越 

  • 梅雨のカフェ飛入りありの朗読会直木葉子

  • 梅雨じめり老母の爪も柔らかに鶴の子

  • 梅雨の夜の老いの汚穢の後始末天鵲

  • 行く当ての無くて図書館梅雨じめり田村利平

  • 学校の渡り廊下や梅雨湿り田中ようちゃん

  • 60色絵の具にある梅雨の色田畑尚美

  • テーラーの鋏まつすぐ梅雨湿り渡辺音葉

  • 献体へ迎への車梅雨寒し渡辺牛二

  • 喧騒の豊かなり新宿の梅雨渡邉一輝

  • 飛行機の音歪みたる梅雨曇渡邉竹庵

  • 保存食仕込む部屋の香梅雨の香や登久光

  • 梅雨の星赫し実験ラットの碑土井探花

  • 透析のじっとり梅雨の這いにけり冬のおこじょ

  • 梅雨籠羊羹駄菓子のやうに食ぶ藤色葉菜

  • サンキャッチャーつんと弾いて梅雨の底藤田真純

  • 梅雨の夜ロータリーに若者の輪徳庵

  • 長梅雨の教室友の枝毛切る奈良素数

  • ロッカーの梅雨のにおいの体操服薙田碓

  • アスピリン三錠服んで梅雨かな楢山孝明

  • 梅雨闇や猫の瞳は金環蝕楠田草堂

  • デジタルの刻む表示や梅雨籠尼島里志

  • 無限なる点線街の滲む梅雨日午

  • 電線に梅雨前線ひっかかり入江幸子

  • 梅雨曇テールランプの太き波梅里和代

  • 傘の先空を小突けば梅雨が来た博子さん

  • 梅雨深し待たされている理髪店白米

  • 墜栗花雨夫のピアノのまた始まる板垣道代

  • 青梅雨や点字読みゐる指の先板垣美樹

  • 梅雨冷に斎場までの地図を捨つ板柿せっか

  • 梅雨じめり父のキセルの油色比良山

  • 古鏡うつるその顔梅雨曇り百合乃

  • 梅雨寒や粘っぱる湿布の冷やっこさ浜けい

  • 骨壷のまだ温かし梅雨曇り風花

  • 寝返れば耳から漏れる梅雨の音風舟

  • 鈍色の波折りたたむ梅雨の海風峰

  • 梅雨の街激辛カレーオーダーす 風紋

  • ネクタイの結び目固く梅雨の駅福井三水低

  • 長梅雨や深爪の折る千羽鶴文月さな女

  • 一日を玻璃越しにゐて梅雨しぐれ   文女

  • 傘たたむ店員真顔梅雨曇片栗子

  • 青梅雨のα波へとうたた寝す弁女

  • 地球儀の梅雨の真青へ出港す豊田すばる

  • 空梅雨やひりりと痛む失き乳房凡鑽

  • 梅雨じめり別れた夫の妻に会う満る

  • 番傘の香りをたたむ女梅雨椋本望生

  • 梅雨籠あと一番と打ち続け木村波平

  • わが梅雨のひと日を寄席の浅草に門未知子

  • 炒飯とワインで寝つく梅雨の夜門前町のり子

  • 青梅雨や栞を挿むエピローグ野ゆき

  • 高き塔登りてみても梅雨は梅雨野地垂木

  • 女梅雨ドリンクバーは四杯目油揚げ多喰身

  • 古書店の若き主人や梅雨青し有本仁政

  • 梅雨時に生まれた母は祖母(はは)嫌い夕波

  • 梅雨雲に近づいて行くタワーかな理佳

  • さつきからボサノバばかり梅雨のカフェ鈴木麗門

  • 鎌倉へ梅雨の匂ひに誘われて連雀

  • ぽろろんと片手のショパン梅雨籠國吉敦子

  • 寝たきり証明書署名捺印梅雨続く櫻井弘子

  • 非常ボタン押して梅雨空運び出し祺埜箕來

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  • 梅雨晴を跳ぶよ義足のアスリート西尾至史

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  • 描き終わる刺繍の図案梅雨夕焼八幡風花

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  • 待つ待たぬ待つ梅雨夕焼の江の島暝想華

  • 梅雨の蝶義母の電話に身構へる播磨陽子

  • 守礼門へと縺れ合ふ梅雨の蝶水夢

佳作
  • 梅雨の空未来が変えた過去に会う大本千恵子

  • 青梅雨や着こなし上手な女が行く谷口あきこ

  • 青梅雨やポツッと雫にカサッと去るnid

  • 日めくりの格言眺む女梅雨AKI

  • 窓を開け風の重さで梅雨を知るANGEL

  • 空梅雨や菜園の庭猫通るmika-na

  • 梅雨の傘江戸しぐさを語る教師sakura a.

  • 梅雨空や灰から青へのリトマス紙あおか

  • 涙眼を隠し見上げる梅雨の空あかり

  • しずかさや屋根をつらぬく梅雨の音あきけん

  • 梅雨嬉し休みの母とドーナツとイカロス

  • 笊と掛け迷う昼時梅雨曇イキイキ生活

  • 木毎雨宿る梅雨知らずして保健室いっちゃん

  • 朝刊をめくる指先梅雨じめりいまいやすのり

  • くるくるの髮と闘う梅雨の朝いろをふくむや

  • 降り出して道路も匂う梅雨の午後うっしー

  • ゆく河の流れは絶えず梅雨の朝うどまじゅ

  • 梅雨空や出掛けぬ理由ぐるぐるとオカメインコ

  • 梅雨の朝ばいうえお云ふ子の支度おっとりガメ

  • 青梅雨や白き指さき紅をひくおひい

  • 飲んでも呑んでも梅雨の除湿器おぼろ月

  • 雫だけ吊るす物干し竿や梅雨かつたろー。

  • から梅雨や砂漠のやうなドライアイキョロちゃん

  • 退院と笑まひし父のついりかなくま鶉

  • 生乾き晴れ間こいこい梅雨空にくるるん

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  • 弁当に冷ました煮物梅雨曇じょいふるとしちゃん

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  • 走り梅雨ワンフレーズを叩き込む中島圭子

  • 腹痛は大蛇のうねり送り梅雨よち桜

  • 木の葉より雫ほろほろ戻り梅雨三泊みなと

  • 我もまた免許返納梅雨明ける希林

  • 白内障オペ終わり梅雨明けの空尾関みちこ

  • 九つに戻る母の眼梅雨の月三浦真奈美

  • 人形を机へひとつ梅雨の月大和田美信

  • 終電に置き傘忘れ梅雨の月中島知恵子

  • 君に借りた傘の皺伸す梅雨の月片岡ひまり

  • 誕生日母は喜ぶ梅雨の雷川畑彩

  • 梅雨の雷マンホールから目が二つ潮雲

  • 梅雨夕焼スーラータンの旨い店ハルノ花柊

  • あかね色水面をす(統)べる梅雨夕焼け永花

  • 水色の首輪遺して梅雨夕焼今井葉月

  • はじめての赤いペディキュア梅雨夕焼け池上敬子

  • 地に這うや濡れて片羽根梅雨の蝶ふみ

  • 玻璃越しに猫の見送る梅雨の蝶長谷川ロンロン

  • 梅雨晴間介護日誌に花丸をあん

  • 梅雨晴間テニスコートの破れ傘いくちゃん

  • 梅雨晴にてるてる坊主の自慢顔お品

  • 梅雨晴れ間スキップランラン子らが行くきさら

  • 梅雨晴れや見上げる空に芸術の雲さきまき

  • 梅雨晴間養浩館に座して二服の茶たじま

  • 梅雨晴れや手土産くるは垣根越しのりっぺ

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  • 梅雨晴れや母の紬を広げたり岡れいこ

  • 梅雨晴れ間さみだれ色の葉の眩し吉成しょう子

  • 梅雨晴れ間みずたまりのビル跳び越える吉田己香

  • 人恋し梅雨の晴れ間の鳶の声教来石

  • 逢えない日近くて遠し梅雨晴れ間菜奈子

  • 奪ひあふ勘定書や梅雨晴間松田夜市

  • 梅雨晴れ間窓開け海の声を聞く城山のぱく

  • するりんと開く古雨戸梅雨晴や真澄

  • 梅雨時の晴れ間のような誕生日西村圭

  • 梅雨晴れや日本酒の会開催す知音

  • 今朝もまた鳩に起こされ梅雨晴間都乃あざみ

  • カツレツの頃よく揚り梅雨晴れ間藤井茂

  • 梅雨晴や乳母車押す四歳児二鬼酒

  • カーブミラーの水のごと梅雨晴れの影睦月くらげ

  • 梅雨晴間洗い観音の目を洗う野紺菊

  • 水色の雲の速さや梅雨晴れ間来冬邦子

  • 梅雨晴れ間水玉に笑顔さんざめき楡野ふみ

  • 梅雨晴れの神保町やキーマカレー腹胃壮

今月のアドバイス
夏井いつき先生からの一言アドバイス
  • 船頭の漕ぐ手に落ちる五月雨月夜同舟

○小さな季寄せなどには「梅雨」と「五月雨」をまとめて解説している場合もあるのかもしれませんが、基本的には別の季語だと考えるべきです。講談社版『新日本大歳時記』では、「五月雨」は以下のように解説されています。【陰暦五月(陽暦の六月)頃に降り続く長雨。梅雨がその時候を含むのに対して、雨そのものをさす。】
 そもそも季語は「時候・天文・地理・人事・動物・植物」と六つのジャンルに分類されます。「梅雨」「五月雨」はどちらも天文の季語ですが、前出のような違いがあるのです。まして「梅雨晴」「梅雨夕焼」「梅雨の月」「梅雨の雷」のような天文の季語は、表現される光景が全く違います。同じ季語だとみなすのは無理がありますね。
 さらに「入梅」「梅雨入り」「梅雨明け」は時候の季語、「梅雨出水」は地理の季語、「梅雨の蝶」は動物の季語と、それぞれジャンルが違ってきます。
 今回は、「人」「並選」ともに、ある程度は許容しましたが、これを機会に歳時記を確認して、その違いを整理してみて下さい。

●季重なり

○一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「こどもの日」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみましょう。

  • 梅雨もよし紫陽花の道雨散歩haru
  • トタン板かたつむり這う梅雨の朝きつね火
  • イモの葉にゆらゆら梅雨のアマガエルひこぞう
  • 梅雨の空慈雨に色めく草木よ雅水
  • 若き田に注ぐ梅雨の音蛙の音久保恵美
  • 梅の実もてんとう虫も梅雨寒し犬飼茶太丸
  • 梅雨しずく汗も心も地にしみて心の友蔵
  • 朝焼けが移って燃える梅雨の空千川小舟
  • 梅雨晴れ間ヤングコーンのおすそ分け鷹野みどり
  • 梅雨の花芭蕉を見たか黒揚羽東風弘典
  • 梅雨のしずく青きトマトに実りの予感任人
  • 梅雨つゆつゆ納戸で遊ぶ黒いカビ夢おとめ
  • 洗われて梅雨の晴れ間の白いシャツ矢野茂樹

●俳句の正しい表記とは?

○「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪

  • 梅雨空に 紛らす涙 天の母こもとびぃびぃ
  • 念入りに 風呂の清掃 梅雨に入る星野茜

●兼題「梅雨」が入ってない

○今回の兼題は「梅雨」です。兼題を詠み込むのが、たった一つのルールです。

  • 俄雨葉裏にじっと黒揚羽白水
  • 子育てを終えて五月の雨が降る有迷人

●作者不明&兼題無し

  • 雨音に心の中へといざなわれ

〇俳号は、その作品が自分のものであることを明確にするために符号です。投句する場合は、俳号を明記してください。似たような俳号が増えています。俳号には、必ず苗字もつけて下さい。