夏井先生のプロフィール
夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。
11月の審査結果発表
兼題「クリスマス」
「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。
聖堂は光の船やクリスマス
樫の木
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夏井いつき先生より
季語「クリスマス」に対して、俗にして卑近なモノや動作、出来事を取り合わせた句、傍題で攻めてきた句など多く寄せられました。それらの発想の作品たちにも大いに心惹かれたのですが、兼題「クリスマス」に率直に向かい合ったこの句を天に推します。
「クリスマス」と「聖堂」はベタ付きの素材ですが、中七「光の船」という比喩が神々しく美しいですし、夜の光景であることがはっきりと読み取れます。その光の船からはパイプオルガンの音や聖歌隊の歌声も響いてくるのでしょう。「船」の一語はノアの箱舟を思わせ、夜という海の中に在る一艘の大きな船のように「聖堂」は光を放っています。そんな敬虔な「クリスマス」の夜なのです。
クリスマス鶏の虚ろを洗いけり
鈴木由紀子
「クリスマス」というよりはその準備。晩餐の主役となるチキンの丸焼き。「鶏の虚ろ」は、鶏の状態形状と共に、作者の心理も暗示しているかのようです。下五「洗いけり」が中七の比喩を支えて。
クリスマス君らマッチも擦れんのか
久我恒子
聖歌隊のキャンドルサービスを思いました。蝋燭に灯をともして街を歩きます。歌はこんなに巧いのに「君らマッチも擦れんのか」という年配者の呟き。「クリスマス」の点景としてなんともリアル。
犬にやる仔羊の骨クリスマス
雪井苑生
二つの生き物を一句に共存させるのは難しいのですが、生きている「犬」と食物という贄となった「仔羊」として巧く表現しています。「クリスマス」とは、犠牲の上にある命の賛歌日でもあります。
ガス欠の空は電飾クリスマス
一斤染乃
よりによって「クリスマス」の夜に「ガス欠」なんて!と見上げる「空」は「電飾」に満ちています。ディナーか、デートか、礼拝か。出掛ける理由はそれぞれあれど、美しい「クリスマス」の空。
チキン揚げて揚げて揚げてタイムカード聖夜の外気
石垣エリザ
俳句として長すぎるのは言うまでもないのですが、内容と調べが合致した自由律俳句。「揚げて」の繰り返しに揚げ油の匂いが充満し、下五「夜気」の一語に我が肺が開けていくようなリアルな感知。
爪は水のごとくきよらかクリスマスほろろ。
ラのたびに透きとほる聖夜のピアノほろろ。
眠るもの皆かがやいている聖夜ほろろ。
恍惚の牛の反芻クリスマス久我恒子
星空に終はる絵本やクリスマス久我恒子
クリスマス馬嘶けば星瞬く古田秀
点描のごとく聖夜の木々と人古田秀
臨月のマリアは五才聖夜劇比々き
疲弊してゐたる聖夜の泡立て器比々き
よれよれのタイが聖菓の箱に垂れいかちゃん
クリスマスツリー螺旋に火傷するいかちゃん
入り江より星を撃つ夢クリスマス古瀬まさあき
クリスマス箱より歌の出でにけり古瀬まさあき
雑魚寝の六畳にクリスマスのかけらぐでたまご
自習室はひかりを湛へ聖夜かなぐでたまご
クリスマス小さき貝の睦みごとみかりん
ジョーカーはまだ手の内にクリスマスみかりん
仔犬また貰われてゆくクリスマスちゃうりん
クリスマス真っ赤な爪で人を待つちゃうりん
子が持つと譲らぬクリスマスケーキ野ばら
仔犬抱くやうに車内の聖菓かな野ばら
路線図のあざやか聖果買ひし帰路かねつき走流
おもちゃ屋のチラシのような聖樹かなかねつき走流
指名手配の見慣れた写真クリスマスカオス
愛という言葉の素直クリスマスカオス
イアホンに聖歌月夜の警備員くま鶉
銀色のくせ字の宛名クリスマスくま鶉
硝子絵の聖母は薄目クリスマスクラウド坂の上
診察の予約を終えて買ふ聖菓クラウド坂の上
どこまでも舗装の継ぎ目クリスマスけーい○
クリスマス五階以上はカラオケ屋けーい○
喉奥の見えて清らや聖歌隊じゃすみん
サーカスの象に触れる子クリスマスじゃすみん
クリスマス無神論者の焼くケーキシュリ
学校が燃えろと祈るクリスマスシュリ
封蝋を厚く垂らしてクリスマスすりいぴい
読み終える聖夜のアガサ・クリスティすりいぴい
筆記体めく聖夜のパスタからめ取るせり坊
列島は波打っておりクリスマスせり坊
甲板を星の溢るる聖夜かなとかき星
図書館に秘密の小部屋クリスマスとかき星
クリスマス銀の義眼の調律師トマト使いめりるりら
クリスマス野良猫の金銀の瞳トマト使いめりるりら
足音はきらきらクリスマスの朝とりこ
寝たきりの義父の手長しクリスマスとりこ
ソノシートかの日を奏でクリスマスはなあかり
旗ひとつチキンライスへクリスマスはなあかり
地球いま難破船めきクリスマスふじこ
クリスマスカロル夜空はすみれ色ふじこ
とりどりに光らされ聖夜のクラゲふるてい
クリスマスのカップル越しに見る水槽ふるてい
クリスマスいちばんとほい湖しづかまどん
クリスマスやっぱりカレーライス食うまどん
チャウチャウの軽き足取りクリスマスみやこわすれ
降誕祭オルガンの音は空の色みやこわすれ
腕時計五分狂うてクリスマス或人
クリスマスに暇な奴は普段も暇或人
柔道部の合宿長しクリスマス伊予吟会宵嵐
クリスマスイブや豆板醤の赤伊予吟会宵嵐
星空を畳みて終ふ聖夜劇可笑式
古新聞丸め宝剣聖夜劇可笑式
寂しさの崖で暮らしてクリスマス甘酢あんかけ
半額の惣菜に「Merry Christmas」甘酢あんかけ
「ぐりとぐら」諳んじた子よクリスマス紀泰
クリスマスクレソンもある無人売り場紀泰
犬の写真に犬のケーキを降誕祭亀田荒太
吉田くんは牧師で医者でクリスマス亀田荒太
和訳なる失恋ソングクリスマス宮部里美
裏口に煙草の煙クリスマス宮部里美
クリスマスシチュー匂へる我が家かな郷中あんず
模試答案破ってひとりクリスマス郷中あんず
よきコーヒー育ちてスマトラの聖夜玉木たまね
宇宙遊泳めく聖夜の尿道カテーテル玉木たまね
クリスマス自販機は缶吐く吐く吐く五月闇
お腹が痛い 聖夜を飲み込む五月闇
賄の焼豚厚しクリスマス綱長井ハツオ
目の上の縫合熱しクリスマス綱長井ハツオ
主の祈りより長き名の聖菓かな高田祥聖
かたちないものばかり欲しクリスマス高田祥聖
気圧配置定まりクリスマス日和佐藤儒艮
クリスマス佐野元春を口笛で佐藤儒艮
クリスマス路上ライブのギタリスト彩楓
ジャズバーへと螺旋階段クリスマス彩楓
クリスマス静かに眠る馬の役斎乃雪
覚えたての言葉きららかクリスマス斎乃雪
どうしたことか吾は聖夜に生まれ落ち次郎の飼い主
聖夜の渋谷担架の上の空蒼し 次郎の飼い主
鷄達へきれいな水を汲む聖夜七瀬ゆきこ
帰れない電飾の家クリスマス七瀬ゆきこ
月蝕を贈る嘘つき聖誕祭潤目の鰯
クリスマスまでは、という命綱潤目の鰯
クリスマスひとりで溜めた嘘ばかり城内幸江
クリスマスアルファベットのはしゃぎすぎ城内幸江
このほしはわたしがつけるクリスマス新開ちえ
クリスマスツリーの埃くささかな新開ちえ
新書判乗せカップラーメン待つ聖夜森青萄
父酔いて聖樹とともに倒れけり森青萄
半月の如露より光受く聖樹西川由野
星集ふジョットブルーの聖夜かな西川由野
けふきえたいのちクリスマスはひかる青海也緒
クリスマス市は飴色空は藍青海也緒
クリスマス無菌室にゐて平穏赤い彗星の捨楽
クリスマス銀貨三十枚の猫赤い彗星の捨楽
真直ぐに聖樹光の束羽織る赤橋渡
ボンネットに聖樹の灯御堂筋赤橋渡
AVは五本千円クリスマス赤馬福助
電灯の笠の埃やクリスマス赤馬福助
点滴の落つる向こうの聖樹かな祖師谷円丈
聖夜の灯ベッドの吾に管三本祖師谷円丈
クリスマス欲しい分だけ星が降る倉岡富士子
コルク栓抜けば星噴く聖夜かな倉岡富士子
妹はただの人形クリスマス倉木はじめ
クリスマスツリー戦火のユーラシア倉木はじめ
声変わりの混じりてにわか聖歌隊仁和田永
段ボールの褥聖樹の灯の幽か仁和田永
社員食堂真夜なるクリスマスチキン多喰身・デラックス
シャンペンはしょんべんの色クリスマス多喰身・デラックス
砂時計の砂きらきらとクリスマス多々良海月
独り身の聖夜チキンが脂つこい多々良海月
降誕祭レジ横にあるドナーカード大小田忍
薬学部の願書に写真貼る聖夜大小田忍
電飾の螺旋に昇るクリスマス宙のふう
クリスマス着信音の隙間かな宙のふう
オルガンの音に勇し聖歌隊斗三木童
クリスマスキャロルに袖惹かれたり立呑バー斗三木童
えんとつと安全靴のクリスマス土田耕平
クリスマスイブ交わらぬ無数の電波土田耕平
割り箸がパスタの油吸ふ聖夜土井探花
クリスマスの金魚ふだんの餌を喰ふ土井探花
ソプラノの優しき雨やクリスマス藤色葉菜
クリスマス螺子きりきりのオルゴール藤色葉菜
鶏舎なほ匂ひ立ちたるクリスマス内藤羊皐
理髪店の鏡の中の聖樹かな内藤羊皐
クリスティ全集揃ふクリスマス南風の記憶
給食のケーキぱさつくクリスマス南風の記憶
伯林やハラルマークの在る聖菓南方日午
クリスマス歌ふキパの子ヒジャブの子南方日午
聖夜とも梅田地下街通るだけ尼島里志
トイレ借るホテルロビーの聖夜かな尼島里志
豚カツの脂キラキラクリスマス板柿せっか
エレベーター開けば流れ込む聖歌板柿せっか
暖色の小樽切子に酒聖夜浜野洋志
爪深く切りぬ二十歳のクリスマス浜野洋志
隣の子さらつてみたき聖夜かな平本魚水
ふたりして聖菓の家をゆづりあふ平本魚水
クリスマス僕を堕ろさなかつた母北野きのこ
差し出すべき頬ももう無いクリスマス北野きのこ
クリスマスカードの消印は銀河椋本望生
片脚づつ入るクリスマスの湯船椋本望生
聖夜冷ゆガールスカウトの募金箱柚木みゆき
自転する星クリスマスをリレーする柚木みゆき
吾子立ちぬ聖樹の星を掴まんと遊飛
痩せぎすのサンタクロースからレシート遊飛
クリスマス村の歯科医の星飾り葉るみ
クリスマス保冷剤二個と立てる指葉るみ
下駄箱の上もすっかりクリスマス朶美子
高い音抜かして歌う聖夜かな朶美子
クリスマス会の牧師のエレキギター樫の木
鎮痛の薬名リリカクリスマス一斤染乃
クリスマス二十世紀の恋遠き雪井苑生
洗われて仔犬きゅんきゅんクリスマス亀山逸子
キルトのひと針目は赤クリスマスnid
白猫の化粧のねんごろに聖夜RUSTY
星の欠片集めて後のクリスマスsakura a.
路面まで輝くクリスマスは雨あまぐり
靴底で擦りたる燐寸の火聖夜あまぶー
おかっぱの首筋寂しクリスマスあらら
救急車雨の聖夜をひた走るイキイキ生活
南半球の渦は右巻きクリスマスいさな歌鈴
一片を七十二度とせよ聖菓いなだはまち
学生寮もるる灯りのクリスマスいまいやすのり
老犬の寝息すこやかクリスマスうさぎまんじゅう
クリスマスあそこの鳥も巣に深くうどまじゅ
静電気パチリ指先にクリスマスおうれん
子に戻るひとの手さするクリスマスかしくらゆう
ペンパルのガラスのツリークリスマスカワムラ
降誕祭こどものひつじはネイと鳴きキートスばんじょうし
消灯のアラーム響くクリスマスきなこもち
つぎはぎの街のひかりやクリスマスぐ
オルガンの深みにはまるクリスマスぐずみ
夜間清掃点呼が響く聖夜かなくるめ絣
父子のみの卓に小さき聖樹かなケンG
襖戸尻埃もっそりクリスマスサイコロ帝釈天
アルバムをひらく聖夜はオルゴールさくら亜紀女
教会の汁粉まろいまろい聖夜さだとみゆみこ
ひかるとは色のすり傷クリスマスさとけん
馬役の子のねむそうに聖夜劇しいたん
久方に煙草に貰ふ聖果の火ジョビジョバ
降誕祭あしたは塵が舞っているしらふゆき
色褪せしオルガンの音や降誕祭すがりとおる
紙やすり犬小屋みがくクリスマススローライフ
クリスマス締めにほうじ茶啜りけりてまり
画廊めく聖夜のリハビリの廊下ときこ
サンタ宛の手紙に猫の名クリスマストクダコスモス
MerryXmas通所介護の母ピンクとしなり
ひらがなの文字の愉しきクリスマスとしまる
クリスマス人身事故のアナウンスねぎみそ
張さんと餃子作りの聖夜かなのど飴
クリスマス預金口座へ過払金パッキンマン
手のひらの星の冷たきクリスマスはむ
祈る手のペン胼胝ぷくりクリスマスひでやん
客が皆酒癖悪しクリスマスべびぽん
黒板に神戸の文化クリスマスほしの有紀
夫の遺影正し聖樹の灯をともすみなと
クリスマス秘密を一つ話そうかみはね
弁当をひとつ買う街クリスマスみやかわけい子
オイルヒーターほどの熱量クリスマスみやこまる
こむら返り幾たびも来てクリスマスみやざき白水
コーンポタージュの膜掬ふ聖夜かなももたもも
クリスマス坂本九の歌が好きヤヒロ
クリスマス椅子の上まで本の山ゆすらご
てっぺんの星のさみしさクリスマスゆりたん
吸い呑みの水の苦さよクリスマスラーラ
三番の歌詞は鼻歌クリスマス葵新吾
街角の易者のゐない聖夜かな葦たかし
クリスマス君へ母国の兵役通知安宅麻由子
夕づつを土産にしたき聖夜かな遺跡納期
ABC覚えし子らのクリスマス井松慈悲
この星は留置所の中クリスマス稲架くぐる
ヒーラ細胞よ聖夜の記憶まだあるか宇佐美好子
大量生産の聖菓や純白宇田建
オーストラリアの海の写真やクリスマス浦文乃
飾らないクリスマスは叔父の三回忌永谷部流
クリスマス乞食になつた役もらふ円
クリスマス地球に大きなリボンかけ黄桜かづ奴
「喪中にて」また一人逝くクリスマス岡れいこ
聖樹消灯し星は天に還る加裕子
ビチャビチャと降るもののある聖夜かな可藤虚
纏足のごとき紙靴クリスマス花屋
クリスマス空に転がる金の鈴花伝
公民館にあげてしまったツリーかな花紋
すり切れたサックスの音や聖夜祭海口あめちゃん
銀色の折り鶴ぽとりクリスマス海老名吟
まっさらの靴ありジムのクリスマス蛙里
クリスマス街は微かに上気せり甘平
クリスマスキャロルナースの望郷亀山酔田
クリスマスソングは静か街老いる亀田稇
通る人みな美しきクリスマス橘右近
てのひらに星の痣得し聖夜かな玉響雷子
折込で押し寄せてくるクリスマス銀のグランマ
折れし聖樹の躯より若芽かな桑島幹
ヤドリギは翡翠色の実クリスマス薫夏
ミカエルの翼が覆う聖夜かな薫子(におこ)
息の合ふ麻里と外呑む聖夜かな月の砂漠★★
くりすますシャンプーとリンス切れている古時計
賛美歌の言葉むつかしクリスマス古都 鈴
降誕祭ミードは星を集めた香湖雪
弾痕の穴から漏れる光聖夜吾輩はペンである
三越のショウウインドウやクリスマス光子
クリスマス南国の地にひかりふる江戸川ちゃあこ
クリスマス催涙弾の光る街香港ひこぞう
クリスマス缶に戻らぬ缶の蓋高橋なつ
予約てふ大人の響きクリスマス高橋寅次
掌の皺の火影に深し降誕祭高沢草々
鉄塔を銀の聖樹として生駒克巳
被災塵にトルソー蒼き聖夜かな今井淑子
クリスマス近し小銭のひんやりと今田哲和
雲間から海射す光クリスマス根々雅水
包まれしシーツの皺やクリスマス根本葉音
青鼻のトナカイも好きクリスマス座敷わらしなつき(8才)
雲の上からダイブしてクリスマス榊昭広
退院のプレゼントのごとき聖夜桜会
しんしんと足跡も無きクリスマス三ツ星なつき
猫じゃらし枯れて金色クリスマス三島瀬波
回りける青空の轟音痛し聖夜山沖阿月子
老犬のいばり聖樹へ供へらる山科美穂
古びたる厩の絵本クリスマス山川恵美子
ヒロシマとバチカン同じクリスマス山川真誠
聖夜なりどれか知らねど星探す山太狼
蝋涙の色あたたかきクリスマス山内彩月
レジ横の煙草の箱製の聖樹獅子蕩児
ポチ用の聖菓5秒で平らげる詩扇
氷川丸祈りの汽笛クリスマス若井柳児
クリスマス星の瞬く帯締めて秋月なおと
畳から樅の葉拾うクリスマス小鷺の足
携帯の地震速報クリスマス小笹いのり
クリスマス海にヤコブの梯子立つ小川天鵲
すれ違ふ去年の誰かクリスマス小池令香
空き缶を坂道に蹴るクリスマス小田慶喜
クリスマスモノクロ写真に綻びて小柳悠子
また蠅が聖菓の上を飛び回り小林陸人
眠りゆく人の手ぬくしクリスマス松山帖句
コンビニの旗クリスマスクリスマス焼田美智世
LEDの星やはらかき聖樹かな上原淳子
このウソはついていいウソクリスマス上野眞理
クリスマスソングや涙ひとしずく城ヶ崎由岐子
ほんもののネコくださいとクリスマス植田かず子
クリスマスグラスの中の摩天楼森本雄二
クリスマス半音ずれる隣の子真宮マミ
ブローチを選ぶ少年クリスマス真繍
星降るよ山で迎えしクリスマス真理庵
ジャケットに温まる指輪クリスマス水元勇吉
止まらない回転木馬クリスマス水夢
クリスマス白根山から大滑走水木華
クリスマスツリーの星を見失う雛まつり
杉の樹に聖樹のごとく星降りたり杉本果蓏
手袋の落ちてる歩道聖夜かな晴好雨独
単身赴任スマホをなぞる聖夜かな清水トキ
異教徒の良い子にも来るサンタかな西原さらさ
ひとの窓すべて潤みしクリスマス西藤智
聖夜迎ふ移植のあとの無菌室青い月
新宿の聖夜はいつも猥雑の中青児
母子寮の大鍋カレークリスマス石井茶爺
八百万の神々またたけるクリスマス痩女
また一つ嘘つきましたクリスマス蒼鳩薫
焼き鳥に銀紙巻くやクリスマス村山信子
クリスマス電気喉頭響きけり大山正木
嗚呼孫は聖樹になって立っている大村真仙
花屋の赤き日クリスマスが匂う大槻正敏
クリスマス色の観覧車へ並ぶ大槻税悦
星降つてとどまる駅の聖樹かな大庭慈温
野良猫と時間をつぶすクリスマス大道真波
クリスマス輝く街が今ギフト大本千恵子
タロットに呪う聖夜のひとりこと沢拓庵
降誕祭焼き菓子二枚分の寄付谷本真理子
雨傘や世界へクリスマスソング池之端モルト
子を背に奏でるフルート降誕祭竹口ゆうこ
クリスマスカップスープの溶け残り竹内みんて
倦むほどの明かりをつくすクリスマス中岡秀次
ジョン・レノンが生きてる世界クリスマス中山月波
もみの木のかほりも遠いクリスマス中山白蘭
クリスマス金魚丈夫に育ちけり中村凧人
クリスマス金波銀波のナポリの夜中島圭子
オーブンの残る余熱やクリスマス中八矢的
粉砂糖たんと降らせて聖夜かな昼寝
バニラ味の経管栄養クリスマス直木葉子
クリスマスツリーの玉に歪む眉天野呑水
鉄道忘れ物市傘は百円クリスマス天野姫城
クリスマス馴染みのバーは今更地田村利平
聖夜なり飯風呂寝るのつつがなく杜弦
子羊の3の吾子どれ聖夜劇都乃あざみ
点滴越しの瞬き小児病棟の聖夜土屋雅修
アルバム五曲目は飛ばすクリスマス藤田ゆきまち
クリスマスさびしさよこの指止まれ藤田康子
自販機の明かり聖夜の病棟徳
猫が舐め私が舐める聖菓かな内本惠美子
みな泳ぐ南半球クリスマス楢山孝明
長男は引き取るつもりクリスマス二鬼酒
聖菓の果実赤い子宮摘出播磨陽子
クリスマス行き交う人の総重量梅嶋紫
法王の帽子傾ぐる聖樹かな梅里和代
星々の数と聖夜の嘘の数白よだか
潮騒は母の心音クリスマス八幡風花
常長の帆船寄するクリスマス板垣美樹
マンションの聖樹設ふ植木職比良山
しがみつく小枝のしずくクリスマス尾花なお
クリスマスツリー載せ軽トラが行く菱田芋天
クリスマスビンゴカードに穴数多富山の露玉
クリスマスツリーが低くなりにけり武田朋也
星多き故郷に在るクリスマス風花まゆみ
どんどん坂のんびり歩くクリスマス風峰
プレゼントのぬりゑは五円なり聖夜福ネコ
クリスマス捨て猫ひろう帰り道福泉
プロジェクションマッピングに君の影濃いクリスマス福良ちどり
象飼ひの赤き帽子やクリスマス文月さな女
聖樹にはみずも木霊も宿らない碧西里
紅き実を啄む小鳥クリスマス片岡佐知子
クリスマス千人働く百貨店片栗子
いふたのとちがふサンタクロースばか北村崇雄
書店員ハミングの手やクリスマス牧野敏信
最後に食べるクリスマスケーキの苺睦月くらげ
みどりごの泣き声豊か降誕祭凡々
チンアナゴ顔を出しをるクリスマス抹茶金魚
ゴスペルとグランド・ゼロへクリスマス明惟久里
献血車の午後のひかりや降誕祭明田句仁子
目玉二個映るボールやクリスマス茂る
ほんものの星をながめるクリスマス門未知子
鼻歌は『イマジン』メリークリスマス野地垂木
チェロの胴唸りて鳴るやクリスマス野中カカオ
核ボタン静かに眠るクリスマス野中泰風
クリスマスの夜満員電車の作業靴柳川心一
毛糸焦げる匂い微かにクリスマス唯飛唯游
電飾に闇の刹那やクリスマス有本仁政
沖縄の地図を広げてクリスマス由づる
濁流を照らす光よクリスマス藍野絣
聖夜劇シーツ巻く子のガブリエル梨音
仏壇に聖夜の灯り映りけり里惠子
HERSHEY`S解けば薫るやクリスマス隆和
クリスマス人が地球に居た証鈴木(や
クリスマス隣席のスーツケース真っ赤鈴木淑葉
天井と聖樹の星と在庫の夜鈴木上む
森にあれば鳥の寄る辺の聖樹かな来冬邦子
香煙を浴ぶる巣鴨のクリスマス鈴木麗門
赤提灯知らぬ同士のクリスマス連雀
相続権放棄して買ふ聖菓かな露砂
クリスマス古書店街の馴染み客巫女
星あかり掬う聖夜の露天風呂暝想華
酒神(バッカス)も病むこと有りとクリスマス櫻井弘子
大盛は百円増ですクリスマス洒落神
折り癖のある包み紙クリスマス澪つくし
クリスマス舌先触れる抜歯傷籠居子
シートン動物記揃う聖夜かな邯鄲
みどりごのねいきあまやかクリスマスにゃん
赤ん坊の甘い吐息やクリスマス國吉敦子
ニコライのイコンの吐息クリスマスmomo
サラエボや乳白色のクリスマスシンシア
鳩来るよ鳩又来るよクリスマス紫小寿々
オルガンのどこか軋みてクリスマス清島久門
フランベの炎求むるクリスマス大和田美信
くりすますふるーつがいっぱいだー!吉田結希
鼻息で曇る聖夜のガラス窓⑦パパ
独りでも泣かないオトナ聖夜かな徳庵
降誕祭素足の尼僧灯火かな藤井茂
クリスマスなんで今日だよ癌告知惇壹
酒に匂う男肩組みメリークリスマス小谷百合乃
L探す英字ビスケット聖夜かなAKI
クリスマス夜勤の廊下照らすツリーANGEL
聖夜も我ひとりコインランドリーDr.でぶ
クリスマス光の群れと人の群れharu.k
第九果つ街は余韻やクリスマスM.李子
今ならば独りも愉しやクリスマスあおか
孫の顔何度も浮かぶクリスマスあおひ
羊の絵じつと見つめるクリスマスあきのひなた
クリスマスなんにも所有しない人あさふろ
作り笑顔(わらい)を君に婚活の聖夜 あざみ
豆を煮る寺の厨のクリスマスあさ奏
お決まりの曲と見慣れた電飾クリスマスアンマンパン
クリスマス恨めし我が身家は寺いろをふくむや
クリスマスなにがくるかなたのしみだいをり6才
留学生の無垢な接客クリスマスうまうまさとさ
日本全国にキャラバンカーのクリスマスうめがさそう
クリスマス名も知らぬ子の靴に穴おおい芙美子
蝋燭の消えたにほひや聖夜ふけオカメインコ
リースだけドアに引っ掛けクリスマスおくにち木実
聖樹出し星は絶対わたしと子あーかー
ケーキ載せ自転車を押すクリスマスおざきさちよ
肺いっぱいに吸い込む笑顔クリスマスおさむらいちゃん
クリスマスよるのしじまをつつみをりおひい
聖夜過ぎどこでもドアは廉価なりおぼろ月
良き人になりて聖夜の教会へお品まり
電飾に背中押されし聖夜かなかたちゃん
届きたるサンタクロースからのピザかつたろー。
讃美歌のギター伴奏クリスマスかぬまっこ
クリスマスなのにサヨナラ告げるのかかもめ
お泊りの言い訳になるクリスマスきつね火
子らの目きらり小児病棟のクリスマスきみえは公栄
今年こそ恋してみたしクリスマスクジラ
キリストと二人でありぬクリスマスくっちゃん
あの方も元は異端者クリスマスクロエ
紛争なき地球はまるしクリスマスクロまま
クリスマス娘のサンタ店めぐりこつみ
フロントガラスの雨粒光るクリスマスこぶこ
クリスマス難民にこそ幸あれかしこやなぎゆうこ
緊急入院夫居ぬ家に聖菓ありさかたちえこ
クリスマス神は善意のタクト振りさくやこのはな
ガラケーのままに令和のクリスマスさこ
玄関に厩を飾りクリスマスさざれ石の誉
渋滞にピザ遅れますクリスマスさとう菓子
生まれ出る命見つめて聖夜来るさなぎ
しかめ面の店員ひとりクリスマスしかもり
民衆の流離う光クリスマスじょいふるとしちゃん
墓石に指張り付いたクリスマスしんび
主を囲む晴着の園児聖夜ミサすみすずき
100均の飾り庭木は聖樹化しソレイユ
秘めごとは靴下のなかクリスマスたじま
一切れのケーキをかかえ帰る聖夜タシャキ
聖樹あり星降る里の背くらべ たすく
アラームは包装紙の香クリスマスタマゴもたっぷりハムサンド
トナカイの路面電車やクリスマスたむこん
大家族ふたりぼっちのクリスマスたむらせつこ
クリスマス亡き父思ふ大木やチャッピー☆
クリスマス寝てほしい親寝ない吾子つちのこ
クリスマス幼子たばかる大人たちツユマメ
くらやみに月がかがやくクリスマスツユマメ末っ子@6歳
ピカチューとアンパンマンとクリスマスでぷちゃん
クリスマスイヴは剪定の匂いかなてんてこ麻衣
光射すアンネの小部屋クリスマスときめき人
クリスマス娘の赤いハイヒールとみことみ
クリスマスかのモナリザも祈り笑むなかしまともこ
津軽の海の漁り火や聖樹なりなかにしうさぎ
教皇の警告重し聖樹光るなんじゃもんじゃ
初めてのおつきなケーキクリスマスぬらりひょん
クリスマスくもらせた窓を覗き込むねがみともみ
クリスマス京都タワーは蝋燭にはっかあめ
色も無き寡婦となり初クリスマスはらぐちゆうこ
リボン巻きワインボトルのクリスマスはるちゃん
廃校決定最後のクリスマスハルノ花柊
町巡る窓辺賑わう聖夜祭はるる
クリスマス窓辺に飾るオルゴールひっそり静か
家離れ主役ひとりのクリスマスひな芙美子
闘病をしばし忘れるクリスマスひめりんご
ありふれた日常もまたクリスマスひろ夢
結局は自己都合退職クリスマスふくろう悠々
独り身や星と語らふクリスマスふみ
銃を手に争うウラでクリスマスヘッドホン
雲片を付け来鈴の音クリスマスペトロア
クリスマス正体バレて拭う指ぽんず
ぼきん箱持つ少女ら唄うクリスマスポンタ
クリスマス当直の夜のケーキかなまりい@ 71
産声の響く三階降誕祭まりな
クリスマストマトアボカド台所まるみ
カレンダーにはなまる印クリスマスみちむらまりな
5分の1ケーキ供えるクリスマスみわ吉
弔問をいちずにつづるクリスマスめいこ
セロファンの天使をそっとクリスマスもつ
どん兵衛で過ごす郵便屋の聖夜よしざね弓
灯台やみつめてひとり聖夜かなよしはら木犀
寝たきりの父の耳元にメリークリスマスルゥ
連れられて真似る敬虔聖夜ミサるりぼうし
クリスマス想い行き違いオーー・ヘンリーわかなけん
クリスマスお菓子の靴を履きたい子わたなべぃびぃ
降圧剤けふも飲むなりクリスマスゐるす
海外アニメで知る真なる聖夜亜紗舞那
サンタ帽かぶり聖夜の露天商愛燦燦
山積みのケーキ二個買うクリスマス愛宕平九郎
枕元ベスポジ探るクリスマス茜空子
サンタの数競いし頃のクリスマスかな綾乃栞
クリスマス十二時までのシンデレラ粟崎しずか
白髪染めする妻の背中やクリスマス案山子
蝦蟇口を大きく開けたクリスマス伊藤はな
クリスマス俺はブデイスト酒を飲む伊藤ひろし
30センチの聖樹に飾るアンパンマン伊藤亜美子
クリスマス何時も通りに混む医院伊藤順女
灯それぞれに幸あれかしとクリスマス伊藤小熊猫
人並みや光彩陸離クリスマス伊藤正子
クリスマスサンタ待つ吾子うす目あけ伊藤節子
ゆっくりと滴下クリスマスの講義井原千恵理
半世紀あのクリスマスセピア色井上繁
祈り無くとも聖夜の街に平和あり郁松松ちゃん
啜りをるうどんの出汁や降誕祭稲富三吉
LEDどころか豆電球以前の聖夜羽沖
クリスマス赤子も足にブーツ履く卯さきをん
ただ珈琲淹れて老夫婦の聖夜越智空子
クリスマス幼き日映す玉飾り榎本真希子
リンリンと鈴の音ケーキクリスマス延杜
エサ多く入れて亀とのクリスマス縁恵
水音清か洗礼式の聖夜遠藤百合
想い馳せ子や孫や彼クリスマス遠藤愁霞
手放したネックレスゆれクリスマス塩沢桂子
聖痕やジベル薔薇色粃糠疹横浜J子
十度目のクリスマスイヴの忍び足岡田玲凛
肋骨にひびと言われたクリスマス岡本育子
手術中ランプの消ゆるクリスマス佳山
サンタさん荷物担いでクリスマス加島
乳児院ひそりと眠る聖夜かな夏雨ちや
謂れ説く先から昏れるクリスマス河畔亭
クラリネット子らもスイングクリスマス花岡淑子
プレゼントそろそろバレるクリスマス花咲みさき
約束の聖樹の下で会えたなら花咲明日香
フランス窓に踊る人影クリスマス花南天
髭屑もグレーになりてクリスマス海碧
今日たけは休戦しよう降誕祭馨子
クリスマス家族の予定揃わない笠原理香
急ぎ足にわか信徒のイヴの街閑蛙
クリスマス赤い帽子の小児科医閑々鳥
子を膝にトムテの話クリスマス丸山隆子
わくわくの朝リボン解くクリスマス岸本元世
寺の子も靴下つるすクリスマス希林
夢うつつ子の歓喜待つクリスマス季切少楽
母ちゃんの味噌汁並ぶクリスマス季凛
十五の聖夜受胎告知の意味を知る紀朋
クリスマス約束事とプレゼント貴志洋史
亡き父母の思い出となりクリスマス菊原八重
片方の靴下干せるクリスマス菊池洋勝
街中をクリスマス曲かけまわる吉哉郎
靴下に夢見た頃のクリスマス吉田びふう
クリスマス参加したくて赤い服吉藤愛里子
聖夜劇消えて久しく老二人宮杜都
異国めくいつもの家路聖夜の灯宮田一代
半額のケーキ冷しクリスマス魚男飛男
恋ひとつ聖夜に願ふ淋しがり胸きゅん小町
門前町福引き並ぶクリスマス玉井瑞月
暖かき炎揺らめく聖菓かな玉井令子
パグ二匹三度ドア見るクリスマス銀長だぬき
退院の夫とラーメンのクリスマス空
エクレアで父は晩酌クリスマス空龍
パイプオルガンのとろんと光るクリスマス畦のすみれ
パンとワイン一人ホォンデュのクリスマス蛍子
福引につられてふらり聖樹下鯨木ヤスカ
降誕祭父の命日十字切る月昭
プレゼント投げつけられてクリスマス研知句詩
広告の品で晩餐クリスマス見屋桜花
クリスマスサンタの鈴の音聞こえたよ原善枝
ハンドベル出番無かったクリスマス原田民久
孫の愛カードが運ぶクリスマス源氏物語
金赤緑リボンくるくるX’mas古いっちゃん
在りし日や妻出産のクリスマス古史朗
リボンとく子の笑み願うクリスマス古川勝弘
クリスマス災害支援送りけり戸根由紀
日の本の行事さておきクリスマス後藤久
昨年と違ふ彼女やクリスマス後藤允孝
鬣に星降る聖夜ユルリ島江川月
白卓布慣れぬ銀器やクリスマス 江藤薫
酒樽にツリーキラキラクリスマス甲山
ナースコールしきり病棟の聖夜紅さやか
プレゼント自分で自分にクリスマス高橋光加
クリスマスツリーに最後の星一つ高橋理佳子
英語入試身の丈ほどのクリスマス高瀬多佳子
老独り葡萄酒の甘しクリスマス高石たく
クリスマスやっと仕上げる年賀状今井正博
クリスマス来ないと泣いた吾子も父今次郎
あの顔もこの顔も笑む聖夜の灯今野夏珠
キャンドルに溶けるくちづけクリスマス今澤朗
クリスマス赤き帽子の苦学生佐々木葉一
傷負いしクマにもきたれクリスマス佐藤千枝
トナカイの雌に角有り聖夜行く砂舟
クリスマスすべて肯定ひとり飲み斎藤数
クリスマスサンタの筆跡真似てみる坂まきか
第九歌いベートーベンとクリスマス坂本千代子
降誕祭の朝凍てつきし猫軒下に榊原有衣
独りもんちさきケーキの聖夜かな桜姫5
参道を彩るライトクリスマス鮫島裕美子
独り聴く聖夜の調べしんしんと三浦ごまこ
バタークリームのケーキだったなクリスマス三浦真奈美
クリスマスセールの旗は仏具店三河五郎
クリスマス褪せた聖書の字をなぞる山﨑瑠美
クリスマス星ほし星の過疎の山山育ち
クリスマスカレーが食えるクリスマス山吉白米
叫喚溢る玩具売り場のクリスマス山口要人
降誕祭園児の星と白き羽山口香子
クリスマス昭和のケーキ甘過ぎた山女魚
クリスマス息子の帰省もう少し山川芳明
聖夜来る未定だらけの新婚に山田啓子
おしゃべりの友も今朝は笑むクリスマス山辺道児
山の宿野生モミの木クリスマス山本康
常温の天然水やクリスマス山本先生
歓びに焔は震ふクリスマス山名凌霄
駅前の枯れ木二本を聖樹とし紫瑛
弟をほしいと願うクリスマス鹿嶌純子
自立へと催涙弾の飛ぶ聖夜篠崎彰
ホーム降り一人ひとりの聖夜かな篠雪
聖誕祭と墨黒ぐろと書かれけり紗千子
猫抱きてカードのノエル聴く聖夜紗智
メレンゲを急ぎ泡立てクリスマス蛇井めたる
クリスマス一年前の日記読む珠桜女絢未来
クリスマス今日はたくさん行方不明珠凪夕波
災害の犠牲の石碑クリスマス寿松
クリスマス人それぞれの道を行く修道
ミサの子の頬輝けりクリスマス秀耕
クリスマス世の行事越え七十路を秀道
降誕祭風の連れきしハープの音(ね)秋夕介
名画座の肘掛け譲るクリスマス秋水
鳥の巣の影縁に差しクリスマス春告げ鳥かずえ
ウクレレの小さき讃美歌クリスマス春日野道
晩年の父と祝うクリスマス春野笙子
レシートでふくらむ財布クリスマス初野文子
いつものキスいつもの時間のクリスマス渚
しゃがしゃがと鍋洗う夫クリスマス緒方しんこ
小児病棟へ聖夜のプレゼント小鞠
片田舎テレビの向こうはクリスマス小栗福祥
避難所に生徒の『第九』クリスマス小山晃
降誕祭ソーラーパネル星浴びて小杉泰文
クリスマスツインルームで1人の夜小雪いつか
クリスマスソング奏でる箏のさび小川都
ストリートピアノやハマのクリスマス小倉あんこ
沸く程に孤独感じるクリスマス小倉藍朱
聖樹へと片足上げし犬の罪小田虎賢
クリスマスプレゼントだな赤き箱小田龍聖
聖夜へと未成熟なる夢希望小田和子
幼稚園のクルスの一基降誕祭小嶋芦舟
サンタ帽も髭もしおたれ聖夜九時小南子
クリスマスはやくはやくと駄々こねる松井くろ
クリスマスツリーを揺らす犬の鼻松原隆雄
点滴の子へご褒美のクリスマス松田文子
クリスマス父母の笑顔とためいきと松島美絵
聖歌流れ進む行列弥撒の宵松尾義弘
クリスマス誰を待つのかピンヒール松本裕子
パソコンにひとつ住所をたす聖夜松野菜々花
目を閉じて笑えばそこにクリスマス常幸龍BCAD
ビロードの椅子を考妣に降誕祭色葉二穂
廻廊に四季桜咲く聖夜かな新美妙子
クリスマス私はせぬとお寺の娘森の水車
口ずさみ涙ぽろろんクリスマス森井はな
到着ゲート足速に過ぐクリスマス森弘行
真空が聴こえるような聖夜かな森都
クリスマス何処吹く風と鍋うどん森澤佳乃
カリッポリッアーモンドチョコクリスマス真優航千の母
ハングル語のママの挨拶クリスマス神田央子
命日やチキン丸焼きクリスマス酔進
避難所の子どもら歌ふクリスマス杉浦あきけん
クリスマス猫の迎ふる鈴の音杉浦夏甫
クリスマスケーキ待ってる君を待ってる杉浦真子
さびしさがようやく友にクリスマス菅原千秋
傷つけて悔やむ明日はクリスマス菅原卓朗
商談のパワポ百枚クリスマス世良日守
待ちわびて空っぽの朝クリスマス成田かもめ
ドスンと肩にヤモリ命中クリスマス正岡恵似子
眠らぬ街に聖樹きらきら人きらら清水容子
言の葉の祈り人のみクリスマス清水祥月
停戦は実現するやクリスマス西村小市
きらり泡聖夜に傾くグラスかな西村優美子
ブルーシートの屋根の下にもクリスマス西尾至史
棘も香も消えて素直にクリスマス西條恭子
初孫に指握られてクリスマス西條晶夫
クリスマス色んな窓にサンタ居るね誠美
クリスマス計量カップのワイン飲む青井晴空
シュトレンに粉糖振りてクリスマス青山あじこ
ホーム横目に聖夜のキスを交わしたる斉木智
十月にディナー予約やクリスマス石岡女依
何びとにも門開かれてクリスマス石崎京子
星かざる瞳かがやくクリスマス石田恵翠
腰退ける犬の鼻先聖樹あり雪割豆
忍び足今か今かとクリスマス雪豹
電飾ひっそり聖夜の一軒家千日小鈴
玄関にちさき聖樹一人親千葉睦女
老いふたりショートケーキのクリスマス川村昌子
冷や飯をスープで溶かす聖夜かな川端孝子
海峡に綺羅星の降る聖夜かな浅井和子
クリスマス早く帰って来なさいね前川雪花
クリスマス出口に近い席で飲む曽我真理子
クリスマス崩れたケーキ食べてます惣兵衛
ぶらついて餃子定食クリスマス早山
雑踏に宣教師蠢く聖夜蒼空蒼子
ホテルの部屋に聖書見つける聖夜蒼奏
ハンドベル漸く覚えクリスマス村松登音
クリスマス幼き想い出募りけり多田ふみ
バターケーキがちゃぶ台に載るクリスマス駄詩
亡き友と歩き讃美歌クリスマス大山こすみ
クリスマス天孫降臨此処倭大山小袖
クリスマス喧騒かすかに受験生第一句けいぜろばん
検査結果笑む医師の居てクリスマス鷹野みどり
クリスマス昔のレシピで集う友谷口あきこ
ベットの姉山の向こうでクリスマス谷中薫氏
煙突なく稚児落ち着かぬクリスマス知足
鼓動はげし我が子がマリア聖夜の劇池愛子
ユーミン聞きのっぽのサンタ待つ聖夜池上敬子
クリスチャンじゃ無いが楽しいクリスマス池田功
夫の買う小さき聖果の余りおり池内ねこバアバ
クリスマス思い出の日にまた会おう竹安修二
もみの木が星を掴めし聖夜かな竹一
輿地の子の笑顔嬉しやクリスマス竹内うめ
わいわいと笑顔で交わすクリスマス中山清充
聖菓売るバイトを入れた一夜かな中島知恵子
クリスマス新宿二丁目の喧騒中嶋京子
ヨゼフ役見守る母のクリスマス中嶋純子
メール来て急に華やぐ聖夜かな中原カノン
言ってごらん怒らないからクリスマス衷子
難民の母子を見詰むクリスマス長谷川ろんろ
隣人騒ぐクリスマスと偏頭痛長谷川京水
クリスマスせめて一夜の平和なり長谷島弘安
インスタもやらぬ夫婦のクリスマス鳥越暁
この街のどこ振り向いても聖夜かな塚本桜魚
クリスマス跳ねあげて描くアイライン辻が花
我が家にも壁一杯にクリスマス哲泉
予定なきコンビニケーキのクリスマス天陽
クリスマス切子のグラス二つ出し田村伊都
合唱に繋ぐ友垣クリスマス田中ようちゃん
看護師の讃美歌響くクリスマス田畑尚美
クリスマスの朝聖祖母キクエ昇天す田尾瞳実
聖夜劇ヨゼフの役のシャイな吾子渡辺みちこ
クリスマス光あふるる銀座かな渡辺陽子
緑青のツリーの形クリスマス渡邉野紺菊
希望持てレノンの歌ふクリスマス渡邉竹庵
朝日もが許し湛えてクリスマス登久光
腹に詰め物天火の鶏の聖夜都忘れ
ポップコーンに成り損のうてクリスマス嶋田奈緒
幼な子の頬に聖夜の星降りぬ嶋良二
クリスマス朝が楽しみ子も親も東風弘典
クリスマス人工知能婆に欲し桃雨
クリスマスホットワインのマグ包む手藤原訓子
病室はいつもの白やクリスマス藤田真純
「もしあの時」言わぬが花よクリスマス藤野茜
レジからの景色も華やぐクリスマス道産子ひとみ
赤きヘリより医師降り来たるなり聖夜奈良素数
狛犬の涎ぬらぬらクリスマス凪太
香港は今聖夜の夢も語り得ず楠田草堂
クリスマス小さなツリーの仮設住宅馬笑
少子化とケーキ離れのクリスマス馬場東風
父の忌を終えて聖樹の灯をともす俳句の枝幸十佐
クリスマスガード下にて中華そば背馬
脳までも赤が侵略クリスマス梅木若葉
キャンパスの聖樹に集う若き人白雨
銃棄てて垣根を越えるクリスマス白康人
クリスマス祖母の爪弾く琴の音白瀬いりこ
神前に拍手響くクリスマス白沢修
クリスマスツリーにゃ目もくれぬパンダ白浜ゆい
聖夜には取り置きし酒振る舞うや畑詩音
星隠し地面に分銅クリスマス八重葉
クリスマスうたごえもれるちさきうち八木実
星ひとつ足りぬ聖菓の出来上がり飯村祐知子
クリスマスマリアになれず遊戯会飛来英
思ひ出に灯点す老いのクリスマス樋熊広美
6人兄弟小さき日のクリスマスは26日尾関みちこ
クリスマス百均ツリーの温もりや琵琶京子
幼子や聖樹見る顔光映え美山つぐみ
過ぎ行くを待つ鼻歌の聖夜美翠
農園と街のケーキ屋クリスマス膝折太郎
降誕祭ツリーも母も子に抜かれ浜けい
一年を振り返り見る聖樹かな富田和枝
シスターに黒歴史ありクリスマス富野香衣
独り行く見知らぬ街の聖夜かな 風紋
想い出は子どものころのクリスマス風来坊
クリスマスかつて玩具屋だった場所福井三水低
慕情湧く聖夜のバーのジャズピアノ福弓
25時サンタクロースを待つ子ら弁女
筑波より小樹切り出しクリスマス穂積のり子
クリスマス終われば街はしんとして北原早春
寝たふりをするはずだったのクリスマス北山義章
ベランダの鍵開けておくクリスマス北大路京介
誕生日もクリスマス共ひとつケーキ本間美知子
ほろ酔いでブランコを漕ぐクリスマス盆暮れ正ガッツ
月並のクリスマスなりケーキ買う麻場育子
クリスマス母のシチューはコンニャク入り麻生恵澄
喜寿傘寿老々二人のクリスマス抹香
メリークリスマス!の発声お寺の子満る
クリスマス賑わい明けて街寂し湊かずゆき
透析の流れ浄めよクリスマス蓑田和明
クリスマス法事のありてネイル取る夢見昼顔
メールでの絵文字のケーキクリスマス無頓着
母遺すオルゴール鳴る聖夜かな木村かわせみ
隠れ里讃美歌聞こゆ降誕祭木村修芳
酒二合第九賛美歌聖夜更け木村波平
クリスマスこたつ唐揚げ通知表木澤なお子
人形が欲しくて泣いたクリスマス門前町のり子
クリスマス飾って父兄参観日野木編
その日だけ予定埋まらぬクリスマス有馬裕子
マッチともす窓の向こうはクリスマス柚木窈子
香奠返し購うデパートは聖誕祭柚木窈子
停電のやかんチンチンクリスマス雄山卓女
信者でもなき者ばかりクリスマス葉月けゐ
寝入りばな父の足音クリスマス葉路
初めての南十字座指す聖夜龍季
独居続く今年は聖樹飾ろうか麗し
クリスマスソングスキップスキップ子がはねる蓮花麻耶
クリスマス近しパイプオルガンの音惑星のかけら
予約無しケーキ横目のクリスマス鷲野の菊
クリスマスあと一個売ればひとりぼっち凛
ときめきを忘れて過ごすクリスマス戌の箸置
クリスマス来たる山あいいよいよ静か楡野ふみ
クリスマスケーキに載せた罪と罰涅槃girl
警衛の敬礼メリークリスマス淺野紫桜
クリスマス今日のパティシエママとぼく淺野紫桜(5才)
切り紙の聖樹に灯る折り鶴や澤真澄
信号の変わる瞬間クリスマス祺埜箕來
クリスマスヘッドフォンして息ひそむ齋藤むつは
温暖化白き聖夜は思い出に齋藤杏子
五等分は難し聖菓と中華そば苳
嫌われた猫の置物クリスマス蓼科川奈
早朝の神社に、聖夜曲ひびく齊藤廣子
- 夏井いつき先生からの一言アドバイス
-
●俳号には苗字を!
〇俳号とは、その句が自分のものであることをマーキングする働きもあります。ありがちな名、似たような名での投句が増えています。せめて、姓をつけていただけると、混乱を多少回避することができます。よろしくご協力ください。
◆ひとことアドバイス
●俳句の正しい表記とは?
- なつかしい 柊の実を クリスマスエミコ
- 楽しみを 窓に灯して クリスマスさくら
- 帰途の角 灯りの裾分け クリスマス燦子
- 天井の しみを見つめる クリスマス真冬
- 野良猫も 窓に来ている 聖夜かな星野茜
- クリスマス 電飾の木々 眠られず服部ゆうな
- クリスマス 間際に別れ 休み辛し吉山典子
- クリスマスケーキ 細胞壁ごと 斬られけり丹波太郎
○「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪
- キラキラと
ハンドベルの音
クリスマスしおみー - ちと寒し
さいふかこころか
秋風やなありん - 曇天の
クリスマス の朝
ただうたうなをこ - 露天風呂で
月の影踏む
クリスマス海風 - カタログに
しるし見つけた
クリスマス江田綾子 - クリスマス
階段のぼる
黄自転車小橋敦子 - 桜の木
秋の夜空に
照らされて川端ひろみ - クリスマス
包み紙シワ伸ばす
母大福うさぎ - 塾終わり
爽籟
吸い込み
生きてるときづく鶴岡有香 - 佳き年や
孫のファースト
クリスマス渡辺一重 - 街灯り
思い出の君
クリスマス任人
○テレビの俳句番組では、三行書きにする場合が多いのですが、あれはテレビの画面が四角なので、そのような書き方をしているだけです。重ねていいますが「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが正しい書き方です。
●一句一季語から練習
- 雪が舞う鈴の音かすかにクリスマス桜月夜
- ゆきしまきクリスマスイヴ吾子はゆき紫雲英
- さゆる夜別れの手紙クリスマス大原妃
- 讃美歌の吐く息白し聖夜かな白土景子
○一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。
●兼題とは
- つきいろのためいきのごとさよしぐれ小殿原あきえ
- 螺旋状に時は過ぎゆく去年今年田中勝之
- もみの木は子らが着飾り垂れしなり関口太一
○今回の兼題は「クリスマス」です。兼題を詠み込むのが、本サイトのたった一つのルールです。
●イブだけでは微妙?
- ロンドンの友よりカードイヴの宵石垣葉星
○そもそも「イヴ」は夜を指すから、イヴの宵という用法は、さて? 「クリスマスイブ」と書くしかないよなあ(泣~)
なんとなんと、11月の兼題『クリスマス』は3312句もの投句をいただきました!「俳句生活」はじまって以来の3000句越えです、みなさまご投句いただき本当にありがとうございます。
さて、次回12月の兼題は『去年今年』。令和元年も残り2週間になりましたが、今年を振り返るとともに一句詠んでみてはいかがでしょうか。みなさまの素敵な作品、お待ちしております(編集部)。