夏井いつき先生の俳句生活

夏井先生のプロフィール

夏井先生のプロフィール

夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。

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5月の兼題

「凉し」

4月の審査結果発表

兼題「蜂」

 お待たせしました!4月の兼題「蜂」の結果発表でございます。今月も夏井先生からの「今月のアドバイス」は必見です。過去にも「蝶」「蜩」など虫の兼題はありましたが、ごく小さいものにピントを合わせていくようなイメージが湧いてきて面白いですね。6月の兼題「短夜」もふるってご応募ください。(編集部より)

「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。

天
蜂球の対流しつつ解けゆく

百瀬一兎

夏井いつき先生より

「蜂球(ほうきゅう)」とは、蜜蜂が巣分かれする時の群れの様子を表した言葉です。巣を離れた女王蜂は、半数程度の働き蜂を引き連れ、新しい巣を作ります。巣に適した場所が見つかるまで、蜂たちは球を為すように固まって、一時待機するのです。その様子はまさに「対流」しているかのよう。蜂たちは、押し合いへし合いしつつ、グルグルと流れを作るかのように犇めいています。偵察に出ていた働き蜂が良き場所を見つけてくると、蜂球は「解け」るかのように、少しずつ移動し始めます。中七から下五の描写の言葉を手に入れるまでに、作者はどのぐらいの時間「蜂球」を見つめていたのでしょう。蜂の単体を観察した「一物仕立て」の句も多かったのですが、「蜂球」という現象と真っ向勝負した姿勢も、大いに評価したい作品でした。

地
戸袋へ次々と蜂満中陰

川村湖雪

「戸袋」は、雨戸などを収納するため敷居の端に作られる部分。「満中陰」は死者の成仏を意味する忌明け。親の四十九日でしょうか。生家の戸袋に巣を作り始めている蜂たちは、生きるための営みを続けています。

脈打つや蜂より抜けし蜂の針

樫の木

 人の皮膚を刺した蜜蜂の針は、簡単には抜けません。逆に蜂の腹の一部がもぎ取られ、そこからドクンドクンと蜂の針へ向かって、毒を押し出すのです。「脈打つや」の詠嘆から立ち上がってくる、生々しい映像が見事です。

新任は知らぬ百葉箱に蜂

となりの天然石

 新しくきた先生は、この学校の「百葉箱」に「蜂」が巣を作っていることを知らないのです。理科部の生徒の呟きでしょうか。「新任」の先生への興味が、「蜂」という季語を通してきらきらしています。

発火寸前ちちちち怒る蜂の口

黒子

「蜂の口」をアップで眺めてみると、実に禍々しい形をしていると思ったことはあるのですが、「発火寸前」という比喩や「ちちちち」というオノマトペが、如何にもそれらしく、「蜂」らしいリアリティに満ちています。

蜂はいま怒りに震へたる礫

にゃん

「蜂」は今、完全に攻撃モードになっています。ぶんぶんという羽音は、「怒り」の音です。蜂の金色は、あたかも「怒り」の色であるかのよう。「怒りに震へたる礫」がこちらに向かって飛んでくる。そんな迫力の一句です。

人
  • 日の本の百花へ蜂の八百万丁鼻トゥエルブ

  • 職安の花壇働き蜂まばら堀卓

  • 蜂の針抜けない保険証が無い板柿せっか

  • 蜂の影はらひバッタータイム告ぐ新多

  • さみしさの反証として蜂を飼ふ伊藤映雪

  • 蜂刺しぬ淋しき吾に熱を足す伊藤柚良

  • 蜂帰る夕日の色の脚を垂れ川越羽流

  • 蜂まぶしイムジン河の唄とほしRUSTY=HISOKA

  • 蜂たかる閉ぢて久しき車井戸アロイジオ

  • 町内会費集めて留守と蜂ばかり犬山裕之

  • なにごともなき日やすずめ蜂のほか植木彩由

  • 鼻かかぐ鉄の象にも群れる蜂梅里和代

  • 物置の死角を蜂のぶち当たる梅野めい

  • らうたげな蜂の行き来や薬師堂うめやえのきだけ

  • 黙示録めく蜂飼の防護服加良太知

  • 蜜蜂の無音や供へ花震ふ閑酉

  • 吾は砂に蜂流木に休みたり三水低オサム

  • 養蜂箱の縁に潰れし蜂二匹ジン・ケンジ

  • 柵越ゆる蜂きて象の無頓着田村利平

  • 窓に蜂隣家の洗濯終了音鱈瑞々

  • 蜜蜂はファラオを守りきれたのか綱川羽音

  • 蜂を飼い蜂を食べますそんな村寺尾当卯

  • 八センチの換気孔より千の蜂としなり

  • 青空の反対色として蜜蜂中岡秀次

  • 目に花粉蜂の恍惚極まれり春海のたり

  • ちりとりに埃と憤怒だつた蜂ふるてい

  • チェーンソーの明るき駆動みつばち来碧西里

  • 分蜂途中やシグナルに鈴生りあ・うん

  • 岩波文庫ならぶ書肆へと熊ん蜂EarlyBird

  • 蕊ふかく深く震わせ蜂の翅愛燦燦

  • やはらかき蜂の羽音や父帰る逢來応來

  • 抑止力なき平和とは蜂がこわい青井えのこ

  • 陽光に蜂の羽音や検査の日青井晴空

  • 蜂飛べり翅捻らせて粘らせて青居舞

  • 蜂何時も母を違わず戻りけり蒼空蒼子

  • 朝の駅ひとすぢよぎる金の蜂あおのめ

  • 木星に異変が起きた雀蜂蒼鳩薫

  • 光浴びる蜂献身の生涯よ青花潜

  • メドレーの選曲の輪の方へ蜂青水桃々@いつき組俳句迷子の会

  • 熊蜂の礼儀正しく花に降る赤尾てるぐ

  • 雨が死んでいた容疑者はこの蜂赤馬福助

  • 蜜蜂や今日は掃除と決めました愛柑

  • すてばちに泣いてすっぴんすずめばち明惟久里

  • 沈黙の碑文ハミングの蜜蜂空地ヶ有

  • 蜜蜂の花粉だんごの佳き黄色秋野しら露

  • 役目終え蜂一粒の種子となる芥茶古美

  • 雀蜂群る登記できぬ廃屋朝雲列

  • 目が合へば気の良ささうなくまんばち朝月沙都子

  • 仄暗い芯をよすがとして蜂も明後日めぐみ

  • せまりくる蜂やわらはは方違へあさのとびら

  • 蜂飼うや珠玉のごとく巣箱抱く藍創千悠子

  • 蜂ならば有事の楯にされる齢あたしは斜楽

  • 詩集閉じて薄ぼんやりと蜂を聴くあなうさぎ

  • 蜂飛んで馬の蹄に眠くなる阿部八富利

  • 山野草手折らん横切る蜂遅々とあまぐり

  • 生きゆくは孤独や蜂の目の孤独あまぶー

  • 窓の蜂と不協和音の子守唄雨乙女

  • 軒下にアシナガ蜂を孕む城雨霧彦(木ノ芽)

  • 空腹や発火しさうな熊ん蜂綾竹あんどれ

  • レコードの音飛び蜂のホバリング綾竹ろびん

  • 苔飛び蜂飛び屋根洗浄のしぶき飛びあややDC

  • 雀蜂高倉健の面構へ荒一葉

  • 武器捨てよ蜂はとっぷり蕊の中アンサトウ

  • 麗しく青傘に蜂落下する飯田淳子

  • 蜜蜂の脚は手であり籠であり飯村祐知子

  • 蜂の顎蜂のくびれを切断すいかちゃん

  • 旋回の蜂の森閑たる狂気いくたドロップ

  • 聖書手に神父叩けり蜂一つ郁松松ちゃん

  • 頭もぎ猫にくれてやる蜂でかし池田華族

  • 巣を盗られ落城騒ぎの雀蜂池田桐人

  • 貸し切りと思しき露天風呂に蜂池之端モルト

  • 二の腕の蜜蜂よいま八か月イサク

  • 庭造り蜂の羽音にもう慣れて石井久次

  • 蜂にじる袖の中空に雲なし石垣エリザ

  • 蜜蜂や五百羅漢を一巡り石川明

  • 迷い蜂ここはあなたの場所じゃない石川巴里

  • 熊蜂に声の身体を離れゆき石原由女

  • 巣をつくる女王蜂こわごわ叩く泉晶子

  • 蜂一匹たんぽぽ組を掻き回す和泉攷

  • 蜂払ひ内角高めにツーシーム石上あまね

  • 職人と吾子は仲良し蜂を打ついその松茸

  • 柔らかき水をさすらふ蜂の針いたまき芯

  • あの蜂はうちの子と言う養蜂家いちばほうすい

  • 行く手に熊蜂さて右か左かいつかある日

  • ワグナーの響き引連れ足長蜂一久恵

  • 果つるまで贄噛みしだく胡蜂一愼

  • 愛犬の額に残る蜂の針伊藤順女

  • 蜂来てる涙を拭いてさあ行こう糸へん製作所

  • 駅弁に蜂の一匹止まりけり伊ナイトあさか

  • 敵味方決めぬ安らぎ蜂うなる井中ひよこ号

  • 蜂生るおろおろ這へる巣脾の上伊奈川富真乃

  • 紙吹雪掃く掃く死んだ蜂も掃く居並小

  • 蜂掴む蜘蛛の頭へ蜂の針井納蒼求

  • 東京を旅して蜂に刺されけり伊予吟会宵嵐

  • シートに飯掻っ込んで蜂の飛び交う伊予素数

  • 蜂の針まだ私の温度にて磐田小

  • 蜜蜂を恋煩いとすり替えるイワンモ

  • 教室の蜂と呼ばれて死に絶えるうえともこ

  • ブゥンと来て顎弾き出す雀蜂上野徹

  • 雀蜂山の人居て地酒汲む上原まり

  • 蜜蜂を一匹城と空と撮る兎野紫

  • 部屋の隅三日動かぬあれは蜂宇佐美好子

  • 重なったサッシに雀蜂きれいうた歌妙

  • 雨の日や樹液に群るる足長蜂空木眠兎

  • あしたはどつち分蜂の蜂焼かれ靫草子

  • 蜂止まり地球の自転止まりおり宇野翔月

  • 長命寺道明寺蜂迷いけり海口竿富

  • 蜂はらうブラシ柔らかなる手もと海月のあさ

  • 蜂煌めいた今わたし恋に落ちた海野青

  • この辺にタイムカプセル女王蜂うみのすな

  • 振り払う母の手刺さぬのか蜂は梅鶏

  • 花粉かふんカフン幸福な蜂よ浦野紗知

  • 蜜蜂や我が煩悩の元氣なり粳としこ

  • 飛んでいただけの大き蜂叩かれて麗し

  • 白昼を占領の蜂二万匹吽田のう

  • 蜜蜂の羽音のリズムこそばゆし江川月丸

  • 周りより半音低き女王蜂蝦夷やなぎ

  • 一二匹三四五六七蜂来越冬こあら@QLD句会

  • 部屋に来し蜂行方不明しづかなり絵十

  • 神仏も恋に急かるる蜂の声恵猫

  • 蜜蜂の住所富士コーポ屋上笑姫天臼

  • 蜂がいるからじいちゃんち行くのいやえりいも

  • 蜂の骸ケルン大聖堂の地下えりべり

  • 花房の豊や蜂の溺れかけ遠藤千草

  • 白昼や酔ひどれの蜂墜ちにけり遠藤玲奈

  • 戦場のドローンに似て蜂唸る近江菫花

  • 蜂よ飛べ恋心いま手放そう大石聡美

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  • 蜜蜂や働くことに迷ひなし釜眞手打ち蕎麦

  • ロートルの出番職場の蜂騒動神島六男

  • 蜂空にとどまる羽にぶら下がり神谷たくみ

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  • 来ない来る来るな来ないで蜂羽音亀田荒太

  • 土蜂や十階建ての地下の都市亀田かつおぶし

  • 茎上る蜂の飛びたる日向雨亀山酔田

  • 落とされた巣跡に二匹蜂戻る鴨の里

  • 崩落や土の呼吸の蜂の城刈屋まさを

  • 蜂つかむ手にふわりと残る息狩谷わぐう

  • 蜂の来て献花に翅音ふるへけり河上摩子

  • 蜜蜂の翅音ふたりでも寂しい河村静葩

  • 労災のまだ下りぬ腕足長蜂川村ひろの

  • ゴジラ襲来すと蜂の眼に我は邯鄲

  • あくにんをせいぎの蜂がさしころす干天の慈雨

  • ゆっくりと蜂の軌道を外れたり神無月みと

  • 熊蜂と空を分け合うベンチかな菅野まこ

  • 燦燦と出窓に壊れかけの蜂喜祝音

  • 蜂飛行青空こぼるる剥がれゆく木口まり子

  • 土蜂の忙しき羽音地震の国岸来夢

  • 蜂は億年の砂時計のかたち北藤詩旦

  • 蜂の針熱し明石焼痛し北村崇雄

  • 朝眩し配管工の首へ蜂着流きるお

  • 蜂の群れのぞりのぞりと這ひにけり城内幸江

  • 卑弥呼の国の蜂の産毛の光きのえのき

  • 蜜蜂やたまの休みの軽き朝きべし

  • 巣は固きバベルの塔や雀蜂木ぼこやしき

  • 郵便受け蜂の親子に明け渡す木村かわせみ

  • 縄電車脱線させる雀蜂木村隆夫

  • 花束に潜む蜜蜂退職日木村弘美

  • 絶命の蜂の口元つつき見る木元紫瑛

  • 蜜蜂や学童の校舎は木造Q&A

  • 働蜂の旋回す売家の看板きゅうもん@木の芽

  • 地蜂焼く縄文人の貌すこし杏乃みずな

  • 蜜蜂の翅音の黒き落暉かな清瀬朱磨

  • 花垣に蜂株式市況の午後霧澄渡

  • 足長蜂のまだこと切れぬ六肢かな霧賀内蔵

  • 逆上がりのはじめのやうに萼に蜂ギル

  • 熊蜂に奪はる庭の制空権菫久

  • 足長蜂飛ぶとき足は無重力久信田史夫

  • 熊蜂の毳艶やかな葬儀前草臥れ男

  • 蜜蜂は働く僕は歌うたうくつのしたこ

  • 仇討ちのごとく猛りて蜂来る工藤悠久

  • 蜜蜂や裏の庭にも光射す國吉敦子

  • 夜勤へと急ぐ母をり蜂の音九萬太郎

  • 熊蜂に猫は気配を消してをり紅三季

  • 床に果つ手の甲を刺したる蜂は蜘蛛野澄香

  • 蜂昇る退る花芯を向きしまま眩む凡

  • 地面すれすれを蜜蜂の臆病栗田すずさん

  • 女系図の片隅黒き雄蜂の死久留里61

  • 熊蜂の仁王が鼻に出入りせる愚老

  • くすぐったき掌ぐるると蜜蜂くんちんさま

  • 納骨や蜂の羽音は遠ざかり桂子

  • 蜜蜂やアコーディオンの風甘し恵勇

  • 蜂になりたい蜂になりたい商談中けーい〇

  • 碑の暮れて蜂きよらかに唸りけりげばげば

  • 熊蜂や寂しいときは丸くなる健央介

  • 消灯の化学室黄蜂の唸り謙久

  • 湖の風蜂は樹液を舐め続け紫雲英

  • 海峡を越えて蜂飼い美瑛までケンG

  • この蜂は謀殺されし王子だらう剣橋こじ

  • 睨み合う蜂と我息詰まるとき恋瀬川三緒

  • 屋根裏に蜂ぜんそくの薬プシュ公木正

  • 死にさうな蜂そのままに勝手口幸田梓弓

  • 蜜蜂の針とゴツホの左耳古賀

  • 樹皮削る無心の雀蜂の顎古烏さや

  • 蜜蜂やそこが実家のあった場所こきん

  • 蜂の群ほか汚れなき空の青越乃杏

  • 熊蜂の不意の逆襲切通し小嶋芦舟

  • 曇天にひとは景色よ蜂忙し小園夢子

  • 蜜蜂の脚のだらんと飛び交へる木染湧水

  • 耳元で唄う蜜蜂明日は雨来冬邦子

  • 終活や蜂の羽音の忙しなき後藤三梅

  • 逆光や音より来る雀蜂このみ杏仁

  • 防戦の脚無き蜂が針残す小林共捺哉読

  • 野の花の蕊の匂ひや蜂群るる小林昇

  • 干したシャツぶつかりぶつかり蜂の去る小林のりこ

  • 駆除されし蜂巣の後に惑ふ蜂小林憲子

  • 雨あがる戸袋を出る蜂二匹駒形さかつ

  • 蜜蜂は阿形の口を住処とす駒村タクト

  • 巣を追われ羽音つたなき女王蜂小湊八雲

  • 落武者の里の墓石蜂棲みぬ小山秀行

  • 兵は朽ち蜂は機械のやうに鳴るGONZA

  • 蜂与へればラマヌジャン目覚めさうコンフィ

  • アカシアの風に吹かるる蜂あまたさいたま水夢

  • 日曜のミサ終え蜂を飼ふ仕事彩汀

  • 青空に風のトレモロ蜂飛来齋藤桃杏

  • ハーレーの直進熊蜂の旋回さおきち

  • 盤面をくづさぬやうに蜂はらふさかえ八八六

  • 弱り蜂にぎれば強き打ち震へ榊昭広

  • 流刑地は哀し足長蜂逝ける坂島魁文

  • 「先生が蜂つかまえた」図工室坂野ひでこ

  • もうやれんでもやめられん蜂払う坂まきか

  • 有休の尽きて羽音の鈍き蜂さくさく作物

  • 閉店の張り紙剥がれ戻り蜂櫻井こむぎ

  • 蜜蜂よ供花のみつは苦からう桜鯛みわ

  • 蜜蜂や造花褪せゐる無縁墓雑魚寝

  • ソプラノの掠れ掠れや蜂飛べりさざなみ葉

  • 蜂入りて出たし出したし空遠しさざれいし

  • 雀蜂ちよんちよんと水飲みて去る砂月みれい

  • 瞑想の僧の頭上に蜂迫る佐藤俊

  • いつときも蜂の翅音は青空とさとう昌石

  • 蜂の好奇吾の好奇はて神は佐藤似貂

  • 蜂ぶるんぶるんサブちゃん歌い切る佐藤茂之

  • 背をこつりこつり雀蜂の吊り目佐藤儒艮

  • 蜂唸る地雷探してゐるやうに佐藤レアレア

  • 蜂がいるできれば登校したくない里山子

  • 臆病な蜂よ涙の跡黒し錆田水遊

  • 少年の視力脚力地蜂追うさぶり

  • 飛翔にて暗号しるす蜂のありさむしん

  • 日輪を背負ひて蜂は震へけり紗羅ささら

  • 蜂来れば枝ごとしなる赤き花紗藍愛

  • 蜂が蜂捕へ団子にしてしまふさるぼぼ17

  • 蜂寄り来ねむそうな脚ぶらさげて沢井如伽

  • ベーコンが爆ぜた子蜂に刺された子沢胡桃

  • 雀蜂戦地まみれの世界地図澤田紫

  • 花蜂の旅に便乗したし今さわだ佳芳

  • 翅音に蜂三匹を聴き分けり沢拓庵◎いつき組カーリング部

  • 蜂退治今日の安田はヒーローだ三月兎

  • 雀蜂獲物へ絞る単複眼三休

  • 暗がりに蜂焼く父の背中かな塩沢桂子

  • それゆへに鏡の上を飛べぬ蜂歯科衛生子

  • 蜂や堪忍の閾値まで3秒四條たんし

  • 蜜蜂ゆらゆら追視の坐禅中紫檀豆蔵

  • 蜂の来て吾も百花の一となり篠雪

  • たましひのふるへと蜂の心音と渋谷晶

  • 牛の仔の顔に蜂きて無表情島田あんず

  • 蜜蜂にか細き花茎のたわむたわむ島田ユミ子

  • 花蜂に好かれる右のふくらはぎ清水祥月

  • 蜜蜂や呂律の午後を泛かみくる清水縞午

  • 出入りの蜂おかまい無しの阿形像清水容子

  • 夜の窓ほし透き通るはちの翅しみそーやめろ

  • 花蜂の旨し旨しと震う羽霜月詩扇

  • 車内騒然吊り革を抜ける蜂芍薬

  • みつばちの振る尻ひかりまみれかなじゃすみん

  • 区役所の屋上に住む蜂は区民沙那夏

  • 薬剤に女王蜂だけ逃げ延びる写俳亭みの

  • 大楠に軌道変へられ蜂の群れ砂楽梨

  • 花芯わななく蜜蜂の周波数十月小萩

  • 蜜蜂刺すや君の手を離せない朱胡江

  • 午睡するアリスの庭に蜂謳う秋芳

  • 斎藤のグローブ蜂に噛まれけり樹海ソース

  • 蜂が来て母の壁となる父と僕種種番外

  • 蜂の朝スローに着弾する幻視シュリ

  • 解体を知らでか軒の蜂たちはじゅんこ

  • 卒塔婆の濡れてゆったり蜂の行くじょいふるとしちゃん

  • 蜂の目の輪廻半周目の怒り常幸龍BCAD

  • 蜂過ぎてまた過ぎて街並み遠く白井佐登志

  • デモの列蜂の震わす針一つ白玉みぞれ

  • 蜂の影ブンと肝まで届きけりしろくも

  • 旧邸をジュラ紀の華のやうな蜂白プロキオン

  • 蜂の音の悪寒のへばりつく鼓膜白よだか

  • 蜂唸る中山北路渡り切り新城典午

  • 蜂群れて掩体壕の朽つるまま新濃健

  • 犯罪者蜂に刺さるる日和かな親睦

  • 分封の群蜂消ゆる化粧坂すがりとおる

  • 青空や蕊粉まみれの蜂の貌杉浦あきけん

  • 二畝は蜜蜂の島なりしかな杉尾芭蕉

  • 熊蜂のホバリング学校行かぬ鈴木秋紫

  • 蒼天の犠打のきららか熊蜂鈴木由紀子

  • 蜂猛る敵はすっぽ抜けのシャトル鈴白菜実

  • 花蕊を今日の蜜蜂右回り清白真冬

  • うなりなき低空飛行の蜂の眼鈴野蒼爽

  • 掃除婦にロッカーはない蜂が飛ぶ鈴野冬遊

  • 花蜂やバターのやうに日は溶けて主藤充子

  • 蜂追うて少年北へ行くと言ふ砂山恵子

  • 石段で死を待つ蜂の目は黒し青峰桔梗丘

  • 母国てふ異国の暮らし青き蜂瀬央ありさ

  • 君の胸に蜜蜂とめて夜を聴く瀬紀

  • 雀蜂お大師堂に籠りけりseki@いつき組広ブロ俳句部

  • 蜂去りぬ荒れ手の子らは字を識りぬ摂田屋酵道

  • 恋知らず死にゆく蜂に日の当たる千広ブロ俳句部

  • 車椅子に蜂母の歩みは遅々全美

  • 新しき卒塔婆の上に蜂休む惣兵衛

  • どつくんと命伸縮蜂の針草夕感じ

  • ミサイルの続報蜂の移動距離そうり

  • 花蜂は風の揺らぎを縫ひにけり想レベル7

  • 土踏まずのまだ無き足や花蜂来外鴨南菊

  • こんなにもやさしい蜂が手の平にソフィ

  • 行く蜂の脱力めいてうしろ脚そまり

  • 鼻先に飛び来て熊蜂の凝視空豆魚

  • ぐぐと尻ひづませて逝く蜂の眼はぞんぬ

  • 等速直線運動という蜂たーとるQ

  • 腰低く足長蜂は飛びゆけりたいらんど風人

  • 蜂飛ぶやキッチンカーの列は長し高岡つくね

  • 蜜蜂の巣食ふ仁王や當麻寺高木音弥

  • 仏像の指先蜂の来て離れだがし菓子

  • 知己の庭群るる蜂すらも絶景高瀬小唄

  • 蜂も怖かろ明日の雨に濡れること髙田祥聖

  • 空き缶の蜜ごみ箱に蜂迷い髙田佳典

  • 吊るされた海星に蜂は翅休め高辺知子

  • 蜜蜂に抜かれる集団下校かな髙橋花紋

  • カメラ持つ私の影を蜜蜂へ高橋寅次

  • 大空を軋ませ来たる雀蜂高橋ままマリン

  • ガラスごし首傾げ蜂我を視る田上コウ

  • 読経起こり熊蜂鎮まりぬたかみたかみ・いつき組広ブロ俳句部

  • パリ五区へ蜜蜂の群れ墜つるなり高山佳風

  • 硝子窓にごつんと黄蜂当たりけり滝上珠加

  • 蜂球の眩し産む性重ければ滝川橋

  • 青空にぶつり穴あけ蜂二頭たきるか

  • 告解や神父の左耳へ蜂たけぐち遊子

  • 蜂としてたたかふ時の来たりけりタケザワサトシ

  • 蜂飛ぶや垂らした脚を持て余し竹田むべ

  • 蜂刺して止まりて翅の後ろ向きたけろー

  • じつとして蜂を目が追ふ耳が追ふ多数野麻仁男

  • 虎の檻静かに入り出る蜂よ糺ノ森柊

  • 熊蜂の乱舞は蜜に酔うたかに多々良海月

  • なめらかな熱のさざなみ千の蜂立川茜

  • 老蜂の花と一緒に転げけりだっく

  • 日向に熊蜂太陽の黒点立田鯊夢・いつき組広ブロ俳句部

  • 蜜蜂の死して脈打つ毒嚢よ立石神流

  • 蜂飼の指愛でるごと蜂歩む蓼科嘉

  • 子どもらを一匹の蜂攪拌す谷相

  • 蜂が来た私の花に蜂が来た谷口美奈子

  • 蜂よ蜂よ末摘花のごとき吾谷本真理子

  • 泥団子捨つ鉄球のやうな蜂玉家屋

  • 怒り貌くづさず蜂の食はれゆく玉木たまね

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  • 陰干しのおねしょ布団に熊ん蜂福弓

  • 背を丸め吾の指先に青き蜂藤井かすみそう

  • 絵を見れば点でなく蜂の羽ばたき藤井京子

  • 蜜蜂の小さき威嚇や花の園藤井眞おん

  • くまんばち花の下飛ぶ葛井寺藤丘ひな子

  • 庭先の蜂ゆるぎなきエアロビクス藤川雅子

  • 山蜂たかる吾子は泰然と笑む藤倉三希子

  • 甘き風名残り蜂来る休耕地藤里玲咲

  • 惑ふやうな蜂のゆくへに惑はされ藤白真語

  • 蜂払う手白し舞妓置屋帰る伏見レッサーレッサー

  • ママチャリに蜂が伴走角曲がる藤本だいふく

  • 蜂来たぞ!吾子の変身ダンゴムシフタバ凛

  • 花蜂のあとを追いかけ古民家へ二見歌蓮

  • 土手に置く弁当包みに蜂が寄る船橋こまこ

  • スーパーのレジに飛びくる雀蜂赴美榮

  • 一本勝負ぞ戸袋の雀蜂風友

  • 女王蜂亡きあと洞の蜂うつろ冬島直

  • クマンバチ来るを待つや撮影会古澤久良

  • 種を蒔く銀座蜜蜂育まん古庄萬里

  • 唸る蜂洗濯物にかくれんぼヘッドホン

  • 武装して雀蜂を煙に巻く勉聖

  • 蜂がくる癒しの庭に足るを知る鳳凰美蓮

  • 突然の蜂に庭師も驚いて望月

  • 「ハチ注意」看板前の蜂上下峰晶

  • 花弁にもぐり吸いつき蜂えがお宝松苑

  • すずめ蜂迷いこみけり目の嵐ほこ

  • 給油所の金庫に止まる熊ん蜂星月彩也華

  • みつばちや企業戦士をいち抜けたほしの有紀

  • この先は通らせまじと蜂の飛ぶ細葉海蘭

  • 時止まるダッシュボードに休む蜂ほたる純子

  • 花写る駅のポスター前に蜂牡丹ゆり

  • 刺したあとひと粒涙流す蜂堀籠美雪

  • 蜜蜂飛来きな粉団子になりて堀隼人

  • 蜂退治上司も部下もなかりけり堀邦翔

  • 並木路晴るる日に見ゆるあ々蜂よ本気のめんそ

  • 窓を開け蜂を追い出しホッとする本多みさみさ

  • 越して来た蜂の住まいは大団地ポンタロウ

  • 辛くとも女手一つ蜂の母本間滋之

  • 盛大に花粉散らしてくまん蜂凡狸子

  • 蜂の織りなす六角形の不思議牧場の朝

  • 蜜蜂が特攻花を飛び回る正岡田治

  • 蜜蜂やけふはどちらのカフェにしよ雅蔵

  • バイオリン奏でる宇宙(そら)に蜂が舞う町屋の日々輝

  • 働き蜂の皆雌なりとガン見する松井酔呆

  • 落しもの探す道の辺蜂の群れ松井貴代

  • ベランダの鉢植えの上蜂が舞う松井英雄

  • 光さす嫌われ者の蜂だって松浦宣子

  • 軒下にほとりと蜂の転がりぬ松岡玲子

  • 熊ん蜂いまホバリング妻待たむ松尾祇敲

  • 甲冑の兵士の如しスズメバチ松尾老圃

  • 蜂刺すも声無き母の白き足松風花純

  • 分室はハニカムもよう蜂の城松坂コウ

  • 記念樹の根元に蜂の戯れて松沢ふじ

  • 蜜蜂来る何故だか妙に慌ただし松平武史

  • 警察署からの着信蜂翅音松田寛生

  • 蜂とんで地球を救うアースデイまっちゃこ良々

  • 平静を装ふばかり蜂が来てまつとしきかわ

  • 生きるには刺さねばならぬ蜂の性松永好子

  • 蜂が来て自分の服の色を見る松野蘭

  • 古の国宝よりも今の蜂松本俊彦

  • 花粉玉かかえし蜂も黄に染まり松本牧子

  • 蜂ふわり納屋の小窓の闇より来真宮マミ

  • 花蜂やみづやりの手を払いをりまやみこ恭

  • あんぱんをちぎる手の先に蜂の眼瑪麗

  • 蜜蜂の8の字ダンス餌はここ真理庵

  • 熊蜂や唱えていたるおまじないまりい@木ノ芽

  • 逃げ込んだスカートの中蜂の針まるにの子

  • 蜂が刺し幼子の足腫れあがる三浦ゆりこ

  • 守れない約束ばかり蜂の針澪那本気子

  • 蜜蜂や働き終えて樹木葬三日月なな子

  • 花がらをつんで不穏な蜂の音みかりん65号

  • 蠢くは花弁の部屋の蜂の影神酒猫

  • 蜜蜂は良くすずめ蜂悪の括り三茶F

  • 中腰の巨人の帽子スズメバチMR.KIKYO

  • 蜂二匹静止のままの睨み合い水谷未佳

  • やまびこに蜂の羽音のかさなりてみづたま

  • 蜜のない木々にも蜂の音響き巳智みちる

  • 熊蜂に占拠されたり空生家みちむらまりな

  • 窓つぶて家なき蜂の体当たり美津うつわ

  • とらはれて蕊となりゆく蜂の群満生あをね

  • 怒る蜂並ぶナナハンロックフェス美月舞桜

  • 花に居る蜂みて水遣り手を止めぬ光月野うさぎ

  • 蜂が舞う水琴窟の音に羽音ミツの会

  • 宿部屋に先客ひとり雀蜂緑区のへこ

  • 蜜を吸いスッととび去り若き蜂皆川徳翁

  • 背負ひしは痛みと蜂の命なりみなづき光緒

  • 蜂の来て夫の額刺す事務所かな源早苗

  • 蜂何処開けし巣脾の蜜蝋香三群梛乃

  • 七彩のガーデン蜂のホバリング見屋桜花

  • 引越しの右往左往や蜂乱舞みやかわけい子

  • 一直線に大気を抜けて熊蜂は宮川令

  • 蜜蜂の出這入り似合うまるい鼻宮下ぼしゅん

  • 刺さぬ蜂でも蜂は蜂泣く吾子よ深山柚仁

  • 蜂が居る軒下見れば巣がふたつ美山つぐみ

  • 色か香か蜂迷いなく花のもと宮村寿摩子

  • 垣根越え蜂降る庭に隣の子

  • 吾を絡ぐ翅音勇まし熊ん蜂みらんだぶぅ

  • 蜜蜂と花柄摘みの温い朝三輪白米

  • もも組の蜂はぶぶんとひかりけりミンコフスキー

  • 蜂に聞け花粉まみれで畑去りぬムーンさだこ

  • ヒト好む実を成す畑を避ける蜂無月秋扇

  • 仲良くて蜂にさされし兄弟村木年子

  • 蜂飼うや末は農家か仙人か村先ときの介

  • 頼もしい暖簾の関に迷い蜂村崎山藤

  • そんなことしたくは無いのと蜂はいう村田玉うさぎ

  • 蜂の群れ一直線に蜜運ぶ村のあんず

  • 山蜂や箱根八里を夫と行く暝想華

  • ガラス越し蜂が子供と睨めっこ恵のママ

  • 巣の消えし蜂一頭のほのかな羽音目黒智子

  • 蜂の針をぬく子にあこがれる子ら毛利尚人

  • 蜂や蜂愛らしいのも怖いのも望月朔

  • 硝子戸へあたりつづける威嚇蜂本山喜喜

  • 蜂群れし秘めたる恋に頬濡らす樅山楓

  • 低反発クッションのごと蜂の腹もも

  • ぶんぶんと働き蜂の愚痴止まずmomo

  • 蜜蜂の羽音静かに襲来す桃香

  • スズメバチ喧嘩ごしなる我が上司ももくりかんきち

  • 物置の空気の微動スズメバチ森佳三

  • 先客の蜂はせわしげ無人駅モリコリゴリ

  • 熊蜂や鑓水弾き飛び立ちぬ森茂子

  • 波紋描く蜂の羽音やにはたづみもりたきみ

  • 武器晒し蜜を吸いおる蜂の群れ森の水車

  • 蜜蜂やペールトーンのスタイに来杜まお実

  • 痛っとして跳び立つ我に蜂いたる森茉那

  • 手を止めて身を屈めるや雀蜂諸岡萌黄

  • 蜜蜂や羽音で花をおほひたり焼津昌彦庵

  • 雀蜂弁当箱にホバリング八木実

  • 飛び回る蜂に感謝や馳走食む矢澤かなえ

  • 迷い蜂出口探すやバスの中矢澤瞳杏

  • 蝿ほどに蜂を強くは叩けない野州てんまり

  • 話し込み陽も落ち蜂にうながされ安元進太郎

  • 干しものをする母だけが蜂に刺される痩女

  • 雨あがりにょきにょきと巣から蜂八手薫

  • 玄関に現る蜂やびっくり腰やのかよこ

  • この指とまれ!神社の土蜂一番に八幡風花

  • 青空にブンと舞飛ぶくまん蜂山内泉

  • 我に無き天命持ち飛ぶあの蜂は山内文野

  • 廃校の木造校舎蜂も去り山尾政弘

  • 蜂・蜂・蜂蜂の一刺し蜂絶ゆる山川腎茶

  • 熊蜂に教わる花の盛りかな山川たゆ

  • 忽然と蜂雲唸る森の天(そら)山川充

  • 窓辺よりベランダ眺む蜂の舞山木戸兆舞

  • 蜂の腹折れそうだけど毒を持ち山口雀昭

  • 触れたくもあり金色の蜂の毛や山口たまみ

  • 疾風にはあおられ蜂もついついと山口愛

  • 蜜蜂の怒りの針や火の粉浴ぶ山崎かよ

  • 黙々と巣を大きくす蜂の母やましろあきこ

  • 仲人や花粉つけたる蜂の足山育ち

  • おだやかな蜂ふるさとへ辞令かな山田一予

  • 蜂失せて人の絶え逝く愚か識る山田季聴

  • 蜂の音や坂道を駆け下る子らやまだ童子

  • 蜜蜂の重さ卓球台にあり山田はち

  • 庭に蜂水撒き途中で逃げ帰る山田はつみ

  • 迷い蜂車中で小躍り大騒ぎ大和杜

  • 熊蜂や酒蔵へ明るき坂を山姥和

  • 蜜蜂と蜂ブンブンが鬼ごっこ悠颯

  • 雀蜂武器を持つ国持たぬ国有野安津

  • つっかけの夫婦追ふ巣分かれの蜂宥光

  • 翅音くる厳つき蜂や道ゆづる柚子こしょう

  • 羽小さき太っちょの蜂ホバリングゆず柴

  • 襲撃に術なし足長蜂哀しゆすらご

  • 玻璃越しの怒りのまなこ足長蜂柚木啓

  • バーベキュー生肉喰らいて蜂去りぬ夢散人(光散人)

  • 対面の蜂フェイントの相俟ってユリノイロ

  • 花蜂の園となりける廃校舎陽花天

  • 古民家の縁側風に蜂の音陽光樹

  • 蜜蜂の花粉だんごの後ろ足夜香

  • 学舎の天地鳴動小さき蜂横井あらか

  • カフェテラスはずまぬ会話蜂二頭横須賀うらが

  • 仲直りのきっかけそは蜂飛来横田信一

  • 養蜂の星に降り立つ養蜂着横浜J子

  • 蜂の群れ過ちしもの追い詰める横浜順風

  • 働き蜂労働基準監督署横山道男

  • 蜂翅音黄色いワッペン揺れる路芦浦美乃

  • 写真撮る背後で蜂がホバリング吉田かのこ

  • 雀蜂こっちを睨む藪の奥吉富孝則

  • 大輪のはなのはなうた働蜂吉成小骨

  • ガラス越し悪役凌ぐ蜂の顔吉藤愛里子

  • 悪人ぢやないのよ私蜂に云ふYoshimin空

  • フェロモンで巣乗っ取る蜂女王蜂四葉の苦労婆

  • 熊蜂のまどの隙間をさがしてるよみ、ちとせ

  • みつばちの集団引っ越し湿り空楽俳

  • ワープする足長蜂や睨めっこ楽和音

  • 蜂の一刺し情熱は悪に勝つリーガル海苔助

  • 勇ましく地を蹴り子等が追う地蜂六星菴

  • 父元気、人より蜂が大好きで柳絮

  • 蜂叩く田舎の似合ふひととなり流流

  • 草むしり小指じんじん小蜂野郎涼えつろう

  • 蜜蜂は会話するらしダンスしてルージュ

  • 針持つ身のどけからまし蜂の飛ぶ瑠璃あさがおT

  • 遣り水にかわす花蜂攻めあぐむ麗詩

  • 蜂を打つ苗字変わった御局が烈稚詠

  • 地蜂とりこけつまろびつ男衆連雀

  • 篠突く雨蹲居に蜂へばり付くわかなけん

  • 五センチの巣よ働き蜂は二匹若宮直美

  • 犬散歩蜂が近寄りエスケープわきのっぽ

  • 出入りする蜂や巣箱の出口混む海神瑠珂

  • ホバリングの熊蜂鼻先でよけわたなべすずしろ

  • われ無職蜂の集めた蜜を舐めわたなべいびぃ

  • ガレージの裏に蜂湧く空家かな渡部克三度

  • 戦いの破れし蜂の仏かな渡邉花

  • 残すため巣を出づるとや女王蜂渡辺陽子

  • 立ち話の三人を蹴散らす蜂渡邉わかな

  • 濯ぎ干す頭上に蜂が二三匹ワヨ

今月のアドバイス
夏井いつき先生からの一言アドバイス

●俳号のお願い二つ

①似たような俳号を使う人が増えています。
 俳号は、自分の作品をマーキングするための印でもあります。せめて、俳号に名字をつけていただけると有り難く。共に気持ちよく学ぶための小さな心遣いです。

②同一人物が複数の俳号を使って投句するのは、堅くご遠慮下さい。
「いろんな俳号でいっぱい出せば、どれか紹介されるだろう」という考え方は、俳句には馴染みません。丁寧にコツコツと学んでまいりましょう。

※同一アドレスからの投句は、同一人物と見なしております。


俳句の正しい表記とは?

  • 給付金 蜂の一刺し 豊芦原ギザギザ仮面
  • 初出勤 車内の蜂よ さあ飛びたて里中リリカ
  • 花をみて 蜂が いないこと願う匿名希望
  • 黄金色 蜜の国へと 蜂の旅三宅孝
  • 煌めいて 茶葉に蜜蜂 登る坂結城良太

〇「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪


●兼題とは

  • 春雨や 落ちる夕日と 手に桜ふじかわ
  • 気づいてよ アナフィラキシー 君に刺す大森いずみ
  • 五分桜家族総出で舌鼓小室治夫
  • そろそろと屍体も腐る葉桜かな淺谷豊

○本俳句サイトでは兼題が出題されています。今回は、季語「蜂」での募集でした。次回の兼題を確認して、再度挑戦して下さい。


●「蜂」を詠んだのだろうと推測はできますが

  • 警戒色 秒で癇癪 私のよう明日翔
  • 顎を上ぐ見渡す花はタイムマシンありいかな
  • 「柚子の香」のクリーム塗りて香に刺されS・葉子

●「蜂蜜」は季語ではない

  • 初採れは小瓶の蜂蜜金の露内田典子

 かなりありましたが、「蜂蜜」は季語ではありません。


  • 蜂蜜と花を分け合い蜜吸う子七五三五三

 入力ミスでしょうか。


●もしかして「枇杷」のこと?

  • 朝方の蜂の産毛の如き琵琶野井みこ

 楽器の琵琶は「産毛の如き」ではないので、「枇杷」の入力ミスかな。とはいえ、「蜂」が比喩に使われているので、季語「蜂」を主役にしているとは、言い難いのです。


●人間を蜂に例えている?

  • いいものよ働き蜂は手酌酒来ヶ谷雪
  • 生涯を働き蜂でありにけりこひつじ@QLD句会
  • 蜂のわれレモンイエロの花を買うtabei白芙蓉
  • 蜂となり刺したき人の二三人月城龍二
  • オフィスに吸い込まれ行く蜂の如西こでまり
  • 休みなき働き蜂の一畳間宮村土々
  • 行末や職蜂と化す新社員佑灯地蔵
  • 炊飯器持たせコバチを見送りし山内悠生

 季語を比喩として使うと、季語としての鮮度が落ちます。


●耳鳴りのこと?

  • 高齢の内耳に潜む蜂羽音多胡蘆秋

 これも、比喩ではないかなあ?


●季重なり

  • 蜜蜂が 菜の花とまり 春が来たしげ3
  • 睨み合い イチゴの上の スズメバチ本橋理音
  • 富士見ゆる蜜蜂とめり福寿草松尾美郷
  • のどかなり蜂の羽音と子等の声金澤孝子
  • 草刈るやBGMはくまんばち秋月あさひ
  • 蜂々や許されぬ日の朝寝かな欅谷風来

 一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「蜂」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。


  • 甘楽町桜の枝に日本蜂扇原寛一郎

「桜の枝」なので微妙ですが、花が咲いているから蜂がくると解釈すれば、やはり季重なりに分類されそうです。


●内容的にちょっと微妙?

  • 蜂ふわり広背筋の力こぶ飯沼深生

「力こぶ」は腕の筋肉なので、「広背筋の力こぶ」との表現が、微妙です。


  • 蜂からのプレゼントきてパンつける季川詩音

 蜂蜜のことを詠んでいるのだとしたら、微妙です。


  • 太陽に溺れている蜂否琥珀いりこのにゃらつめ

 琥珀の中の蜂……だとしたら、死んでしまっていますから、季語「蜂」としては微妙です。


●句意がよく分からない……

  • はらわたに熊蜂を飼ふ整体師三尺玉子

 比喩でしょうか?


  • 澄みる空蜂に刺されし二色晴れ花城キヨトシ

 空が二色晴れとは?? 刺されたところがツートンカラーになったということ?

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5月の兼題

「凉し」

過去の審査結果

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