夏井いつき先生の俳句生活

夏井先生のプロフィール

夏井先生のプロフィール

夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。

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1月の兼題

「三寒四温」

11月の審査結果発表

兼題「千鳥」

 お待たせしました!11月の兼題「千鳥」の結果発表でございます。今月も夏井先生からのアドバイスは必見です。千鳥とはどんな鳥だろうと動画を視聴してみたら、脚の動きが想像の3倍ほど速くてびっくりしました。波にさらわれないためには、あれくらいのスピードが必要なのでしょうか。気になった方はぜひ、動画を探してみてください。1月の兼題「三寒四温」もふるってご応募ください。(編集部より)

「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。

天
晴れ晴れと千鳥を散らしつつ着岸

古瀬まさあき

夏井いつき先生より

 打ち込まれた木の杭、張り渡された板。河口近くの小さな船着き場を思いました。波打ち際では、千鳥たちが餌を漁っています。人々を乗せる渡し舟でしょうか、モノを運ぶ簡素な川舟かもしれません。そんな舟が着岸するさまを眺めているとも読めますが、個人的には舟に乗っている人物の視点から味わいたい作品です。
 冬晴れの明るい空。冷たいけれど頬に気持よい風。目指す船着き場に着く寸前、砂浜の千鳥たちがハッと飛び立ち、小舟はコツンと着岸に揺れる。「晴れ晴れと千鳥を散らし」とは、まさにこの実感に違いないと。ややもすると間延びしがちな「~つつ」という措辞が、「着岸」までのささやかな時間を映像化。いかにも季語「千鳥」らしい描写の一句となりました。

地
三条は身投げに浅し小夜千鳥

トウ甘藻

「三条は身投げに浅し」という書きっぷりが、まるで瓦版の文言のよう。三条河原が嘗ての刑場であることを思い出せば、上五「~は」の助詞の意味も、深く味わいたい所。増々淋しく増々妖しく「小夜千鳥」鳴く京の夜です。

千鳥啼く遠くで中くらゐのなゐ

ふくじん

「中くらゐ」は、中位の意。「なゐ」は地震を指します。「遠く」「中くらゐ」は、昨年の能登半島地震を念頭においての表現でしょう。「千鳥」が鳴く度に今もどこかでという不安が、「啼く」の一語にも濃く滲みます。

千鳥去る音楽性の違いだらうか

罪一@藻の霊

 波打ち際をトコトコ歩く千鳥ですが、気ままにハッと飛び立つのも特徴。それを「音楽性の違いだらうか」と受けとめた詩的把握に独自性があります。取り合わせた「千鳥」「音楽性」の二語が、美しい言葉の火花を飛ばして。

水上バス大きく揺れて夕千鳥

天風月日

 浅草から隅田川を下ります。すれ違う船の波で「水上バス」が大きく揺れるのです。夕空をかすめる千鳥の群れの向こうに、やがてレインボーブリッジも見えてきます。中七「~て」がゆったりとした時間の表現にもなって。

パンプスは無理ね千鳥は移り気ね

伊予吟会宵嵐

 千鳥たちが餌を探す砂浜を歩くには、そりゃあ「パンプスは無理」でしょう。続く「千鳥は移り気ね」という台詞は、千鳥のことを述べつつも、その奥には含みがあります。恋の終わりを予見させるあの日の「千鳥」の光景。

人
  • コンビナートは管の怪物千鳥飛ぶ樫の木

  • 夕千鳥波にひかりのねぢれゆく常幸龍BCAD

  • 浜千鳥避難タワーに百の杭ギル

  • 夕千鳥主婦とは休みなき無職青居舞

  • 銅像は空へ弓引き浜千鳥EarlyBird

  • 白波と白砂白雲白千鳥愛燦燦

  • 波越ゆる勇気おのおの群千鳥逢來応來

  • 千鳥群れ一羽零れしまた戻るあ・うん

  • 千鳥駆けまはる地球の公転す青井えのこ

  • 子千鳥や閖上浜のやすらけし青井季節

  • 星の浜啼く音遠く千鳥かな蒼井憧憬

  • 浜隠す防潮堤や千鳥啼く青井晴空

  • 双眼鏡に千鳥捉へてゐる平和蒼空蒼子

  • ロザリオを千鳥が元へ放り投ぐ青田奈央

  • 一本のキャタピラ跡を往く千鳥青砥転典

  • 向かい風ちどりと呼べど振り向かずあおのめ

  • 波の上に富士を据ゑたり浜千鳥蒼鳩薫

  • 空を埋め埋まらぬ悲しみ千鳥なく青松紫雲英

  • 千鳥ほろろんスイミングの帰り青水桃々(俳句迷子の会)

  • 波音を遠目に千鳥ぽぽぽぽぽん赤尾双葉

  • 遠ざかる息子の船や千鳥たつ赤富士マニア

  • 海水でぼくが錆びても千鳥くる赤馬福助

  • 地団駄を踏むかのやうに千鳥駆く赤目作

  • 天を欲る夕波千鳥五羽十羽愛柑

  • 千鳥鳴く埋立予定まで二年明惟久里

  • 鳴き声を川面へ流し千鳥翔ぶあきちゃんはようせい

  • 漂うて流されはせぬ千鳥かな秋野しら露

  • 千鳥来る小さな嘘をついた後芥茶古美

  • 空と海縫い合わすごと千鳥翔ぶ淺井翠

  • 千鳥寄る日溜まりのナースシューズ朝雲列

  • 千鳥舞う転校生は大阪弁あさぎりななみ

  • 千鳥ちどりひかりの粒を啄めり明後日めぐみ

  • 結核の苫屋を千鳥発つ夕べあさのとびら

  • 三口づつ陽光つつく千鳥かな浅乃み雪

  • 逆光を抜けて千鳥の軽くなる芦幸

  • 浜千鳥なみ穏やかなけふの能登あじさい卓

  • 砂粒もこの世のひかり群千鳥葦屋蛙城

  • 二十四の瞳も千鳥を追うたろか飛鳥井薫

  • 磯千鳥くくくくつつつくくつつつあたしは斜楽

  • あぶくにも砂にも変はり夕千鳥足立智美

  • 駅北のBARの名「千鳥」千鳥来るあたなごっち

  • 寄りて散る千鳥まみれの汀かなat花結い

  • 空つぽの心ぴろぴろ啼く千鳥渥美こぶこ

  • 汽水湖を渡る風駆く千鳥かな渥美謝蕗牛

  • 叢雲に連れられて行く千鳥かなあねもねワンオ

  • あかつきに黄金色なる浜千鳥我孫子もふもふ

  • 千鳥鳴く月の引力強き朝あまぐり

  • まんまるい千鳥も荒波越えるのにあまどかに

  • 失恋やうたえば千鳥はれやかに天鳥そら

  • 楽園は吾の足元や夕千鳥あまぶー

  • 守り人の笛かと見れば千鳥かな天海楓

  • 海風に下手な三線島千鳥雨乙女

  • 浚渫船の引き揚ぐる土砂浦千鳥雨霧彦(木ノ芽)

  • とんと糞りとととと走る千鳥かな綾竹あんどれ

  • 波来れば飛ばぬことなし浜千鳥綾竹ろびん

  • 流れ着く物ただ呆然と千鳥あらかわすすむ

  • 群千鳥海から参る大鳥居有村自懐

  • 群千鳥海つれゆきて去りゆきて在在空空

  • 小石積む賽の河原の千鳥かな淡湖千優

  • さみしさの金粉撒いてゆく千鳥アンサトウ

  • 風に舞ふ千鳥遥けき貨物船安春

  • 夕干潟千鳥の跡の消えるまま杏っ子

  • 千鳥啼く眼を抉じ開けるように啼く飯沼深生

  • ひとり寝のシーツは硬し小夜千鳥飯村祐知子

  • 千鳥発つ次の死臭のする方へ家守らびすけ

  • 歩くことまた思ひ出す千鳥かないかちゃん

  • 競り人の帰路を千鳥の長き影池内ときこ

  • 軋みたる汽車は千鳥に追い抜かる池之端モルト

  • 千鳥飛ぶ方が浄土だ南無阿弥陀イサク

  • 歩く度水輪繋げる千鳥かな伊澤遼可

  • 足あとに足あと重ね恋千鳥石塚碧葉

  • 恩人へ何も返せず千鳥啼く石堂多分

  • 三軒のためのバス停浜千鳥石原由女

  • 千鳥鳴く宿に古びしシャンデリア石村香代子

  • 小さき身で地球を跨ぐ千鳥かな石本美津

  • 夢千代の貝殻節や磯千鳥いずみ令香

  • 群千鳥島にひとつのパン屋さん石上あまね

  • ゴカイなびかせて千鳥のすこし飛ぶ板柿せっか

  • 欲のないわたくし職のない千鳥いたまき芯

  • 千鳥とぶ空のたちまち黝く市川卯月

  • 空っぽの干潟へ千鳥溢れをり市川りす

  • 一羽だけ落ち着きのある千鳥かないちすぺ

  • 千鳥の啼くや釣糸のふれ微か一ノ瀬なつめ

  • 千鳥鳴く男振りなら仁左衛門いつかある日

  • 嘴の真直ぐ風に丸き千鳥一久恵

  • 浜千鳥逃げ遅れしは三羽かな一愼

  • 花街のおさらい会や千鳥鳴く伊藤亜美子

  • 潮風にさらす頬傷千鳥啼く伊藤映雪

  • 震災のこの浜辺にて啼く千鳥伊東海芋

  • けふもまた足跡置いて島千鳥伊藤薫

  • 千鳥鳴く母を泣かせるためでなく伊藤なおじい

  • 決別の強気のあとの千鳥濡れ伊藤正規

  • 鯨めく群しならせて千鳥来る伊藤柚良

  • 磯辺から手土産放り浜千鳥伊藤小熊猫

  • 潮来れば潮のかたちに引く千鳥糸川ラッコ

  • 水門に一滴の雨千鳥鳴くいとへん製作所

  • 千鳥下りぴくりと動くぽこと泡伊ナイトあさか

  • 鳴かぬ千鳥やコーヒーを啜る漁夫居並小

  • 砂利のよな卵抱ふよ小千鳥は井納蒼求

  • 千鳥よぶ従姉は今も浜言葉井原昇

  • 白波に白波に湧く群千鳥いまいさちこ

  • 千鳥鳴く郷愁に迷い込む夕いまいみどり

  • 暮れ方にはしけは過ぎぬ千鳥の音今村ひとみ

  • 散骨の海はすべらか千鳥鳴く妹のりこ

  • 千鳥去る河口は川が死ぬところいりこのにゃらつめ

  • 地震の浜声をこぼして千鳥翔つ岩木順

  • 砂州に立つ千鳥てんでに思案顔いわさちかこ

  • 浜千鳥駆く水平の傾ぐごと磐田小

  • 砂礫地にかよふ千鳥の鳴かぬ影イワンモ

  • シアワセと云へば千鳥がサミシがり植木彩由

  • 千鳥百砲弾と成る畔哉上野徹心

  • 痛みなき日々で充分千鳥かな上野眞理

  • 増水の川を越えゆく千鳥かな上原淳子

  • ゆふづつに呼ばれ一羽の千鳥かなうからうから

  • 測量の一歩千鳥のテテテテテうた歌妙

  • 忠敬が測量の跡浜千鳥宇田の月兎

  • 千鳥鳴く糸弛むよな波の朝内田こと

  • カステラのざらめが痛い遠千鳥内本惠美子

  • 千鳥飛ぶ嬰の乳歯の生え揃ふ空木眠兎

  • 潤みたりついと見上ぐる千鳥の目靫草子

  • 光のトリルやるりるり夕千鳥海野青

  • ヨットハーバー暮れる千鳥の残る声梅里和代

  • もう母は幼女のやうで夕千鳥梅朶こいぬ

  • 砂浜に矢印千鳥はもういない梅鶏

  • 閉園の告知剥がれて浜千鳥うめやえのきだけ

  • 土匂ふ雨に始まり千鳥かな浦城亮祐

  • 人間のたかが百年小夜千鳥浦野紗知

  • 打ち寄せる水の一部として千鳥江口朔太郎

  • 千鳥千鳥小さい順に叶う夢越冬こあら@QLD句会

  • 千鳥鳴く恋はうたかた飯を食ぶ江戸きりこ

  • 初産の千鳥集まる浜優し笑姫天臼

  • 星の飛び千鳥の飛びてすぐ消えて朶美子

  • 白む空へ神の千鳥を撒かれけり絵夢衷子

  • 蒼天の婚の前撮り浜千鳥えらいぞ、はるかちゃん!

  • 力なき日ざしに浜千鳥群るるえりべり

  • 追いコンの果てたる宿や千鳥聞く円錐角膜

  • 海ごみの色を信じず夕千鳥旺上林加

  • 夕暮の連写に飛沫く群千鳥近江菫花

  • 父のいた港を姉と遠千鳥おおい芙南

  • 水といふ光を走る千鳥かな大岩摩利

  • 片恋や人工島に小夜千鳥大久保加州

  • 群千鳥カザルスの歌聞こえるか大越総

  • 足どりのリズム朗らか群千鳥大越マーガレット

  • 走った停ったまた走った千鳥大阪駿馬

  • 千鳥去り空を虚ろに眺めけり大竹八重子

  • 市販薬効いて千鳥と琵琶湖浜太田怒忘

  • 影こぼしつつ翻る千鳥かな大塚恵美子

  • 千鳥啼く人と正しき距離に居て大和田美信

  • 千鳥鳴く掛け違ひたる釦あり岡井風紋

  • 外つ国の娘の手紙千鳥なくおかえさき

  • 海岸にむれる千鳥やひとり旅小笠原保之

  • 浜千鳥波に追ひつかるる一羽可笑式

  • 手で覆うマッチの炎浜千鳥岡田きなこ

  • 返す波千鳥をさらっていきそうで岡村恵子

  • 千鳥飛ぶ武庫川駅は川の上岡山小鞠

  • スカジャンの金龍淋し小夜千鳥小川さゆみ

  • 腰据えて素振り百回朝千鳥小川しめじ

  • ゆふさればみづこのこゑになるちどり小川天鵲

  • 群千鳥要返しの舞扇小川都

  • 千鳥へとなびく女の髪かなしおきいふ

  • 夕千鳥微動だにせぬ托鉢僧オキザリス

  • 群れる散る重ねひねもす千鳥かな沖乃しろくも

  • 干潟から千鳥ほわほわ生えている荻原湧

  • 千鳥往く蹴出した砂は鈴のごと小椋チル

  • 不夜城のコンビナートや千鳥鳴くおこそとの

  • 波がはじく算盤玉や浜千鳥遅狐

  • 水軍に暮らしありけり千鳥鳴く越智空子

  • 朝日まぶされたる沼や千鳥鳴く音羽凜

  • はらはらと影をのこして千鳥かなおひい

  • 飛ぶ夢の決まって落下千鳥啼くおぼろ月

  • ニンゲンって小さすぎるよ、ねぇ千鳥ぉ村椅子(志村肇)

  • 群千鳥辿れる過去を親の影おんちゃん。

  • 浜千鳥墓石と同じ雲を見つ海音寺ジョー

  • 浜千鳥玩具の指輪光欲し海峯企鵝

  • 浜千鳥記憶の中の海の色香依蒼

  • 舟伏せてありし行く手や群千鳥火炎幸彦

  • 千鳥行く波の果てなき旅路かな影夢者

  • 千鳥飛ぶ小さき軽石多き島風花まゆみ

  • 千鳥きて視覚領域ひろがりぬ風花美絵

  • 群なす千鳥空墨垂らす梶浦正子

  • 小千鳥の走る走る止まる 走る風薫子

  • 瀬に雲を欲し千鳥のぢつとゐる片岡六子

  • 移住者の塩の試作や島千鳥加田紗智

  • 湘南やスマホに千鳥の音かすか帷子砂舟

  • 群千鳥波に躓く奴もをり花鳥風猫

  • 群千鳥流れとどまる川静かかつたろー。

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  • 群れ千鳥躱せる波の靴先に亀山酔田

  • 小夜千鳥ゆうべのことは秘密ですかもめ

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  • 漣は月の胎教千鳥啼く川越羽流

  • 貝を焼く小屋の煙や浜千鳥川崎ルル

  • わだつみの息差し千鳥まろばせて翡翠工房

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  • 通船は船長不足島千鳥川村湖雪

  • 小夜千鳥摩れば細し母の脚河村静葩

  • 千鳥千鳥うちの社訓がだいきらい川村ひろの

  • 千鳥啼き海峡の淵群青へ川本宗利

  • 足跡の正しき歪み千鳥とぶ干天の慈雨

  • 家苞に提げる一尾や千鳥啼く閑酉

  • 晩鐘のきらきら荒びけり千鳥喜祝音

  • 千鳥が空を飛んでも不合格か季川詩音

  • 野鳥の会千鳥を数ふ三番瀬菊池克己

  • 千鳥飛ぶ橋の真中は県境岸来夢

  • 遠ざかる影の細さや夕千鳥北大路京介

  • 砂浜のジープの轍千鳥啼く喜多丘一路

  • 銀の海千鳥は千鳥の風熾し北柴潤

  • 千鳥つつつ離岸流にはふれぬやう北藤詩旦

  • 咥えたるゴカイぶらぶらぶら千鳥北村環

  • 千鳥啼くここは排他的水域きつネつき俳句系Vtuber

  • 朝ぼらけ千鳥の脚の黄ぞ淡き着流きるお

  • 浜千鳥波の波紋に酔ひにけり城内幸江

  • 川向うかつて花街千鳥かなきべし

  • 波は引く千鳥の邪魔をせぬやうに木ぼこやしき

  • 釣果なき龍神丸に千鳥舞う木村信哉

  • 浜千鳥はぐれし一羽風の中木村隆夫

  • するすると虫するすると追う千鳥木村となえーる

  • 千鳥の子砂利に紛れて生まれをり木元紫瑛

  • 曹長の墓へ一礼夕千鳥Q&A

  • 故郷は帰る家無し千鳥鳴く久えむ茜咲

  • 浜千鳥行きつ戻りつ避難小屋鳩礼

  • 三味もよし酒もまたよし川千鳥京野秋水

  • 千鳥見て帰らん母許をとほく杏乃みずな

  • 軽トラの屋根へ移りし千鳥かな清鱒

  • 千鳥駈く時折影の絡みつつ霧賀内蔵

  • 天草の千鳥デウスのこと知らず霧澄渡

  • 漣は海の寝息や小夜千鳥菫久

  • 千鳥鳴く一塊に地平臨む近未来

  • 十年目の別れ話や夕千鳥くぅ

  • 千鳥来てみづの痛みの燦めけり句々奈

  • 浜千鳥哀しみの数哭きつくせくちなしの香

  • 老境の目ぢから弱し千鳥来る國本秀山

  • 砂浜の夕日ついばむ千鳥かな久保田凡

  • 海は紺淋しみをれば夕千鳥熊谷温古

  • ほらあれは父架けし橋千鳥鳴く蜘蛛野澄香

  • 浜千鳥手ぶらで来たの姉の家倉岡富士子

  • ほんたうに千鳥を支へたる脚か眩む凡

  • 千鳥飛ぶきらひな人の名は流れ栗田すずさん

  • 千鳥らの吾には届かぬ声や声空流峰山

  • 鳴き砂のなかぬ千鳥のかろさ哉愚老

  • 何度でも映る千鳥を波攫ふくんちんさま

  • 生き急ぐ波を千鳥の立ち止まる恵勇

  • 千鳥足重し千鳥の足軽しけーい〇

  • 遊ばれている波のよな千鳥のよな月下檸檬

  • わだつみは泣き虫の神千鳥群るげばげば

  • 漁のなき火曜と土曜千鳥啼く健央介

  • うかうかと骨踏む音や浜千鳥謙久

  • 振り返る眼差し撮られ千鳥かな紫雲英

  • 千鳥啼く小さき見出しの再稼働ケンG

  • 千鳥飛び貝は静かに口を閉づケント

  • 走る千鳥追ふは川面のひかりかな剣橋こじ

  • 亡き人の所作を千鳥の群に見る恋瀬川三緒

  • 流木にごみに千鳥のくつろげり公木正

  • 炭を磨る暇の耳に千鳥かな柑たちばな

  • 千鳥来る善い子住みたる町に来る幸田梓弓

  • 浜千鳥漂流物は家のドアこうだ知沙

  • 石混じる波見定めし千鳥かな郷りん

  • 波消しは海の背骨か群千鳥古賀

  • 玄海の風群千鳥切り分ける古烏さや

  • 美しき人工干潟夕千鳥小笹いのり

  • 幾度も影は攫われ浜千鳥木染湧水

  • 千鳥啼く生死同月子は逝けり古知野朝子

  • 鳴く千鳥太極拳は声もなく後藤周平

  • 千鳥鳴く億年で成る海岸に後藤真昼

  • 浜千鳥観察小屋の雑記帳来冬邦子

  • その嘘を推し量りかね白千鳥このみ杏仁

  • N度目の未遂の自決群千鳥小林脱太郎

  • 6Bの鉛筆色の千鳥の目駒村タクト

  • そびえ立つ津波探知機浜千鳥小山晃

  • 武庫川の護岸工事や千鳥鳴く碁練者

  • 水底の都の歌や夕千鳥GONZA

  • 磯千鳥有刺鉄線越しの海今藤明

  • げに平和千鳥にも逃ぐる為の羽こんのゆうき

  • 丘の少女のオカリナは浜千鳥西條晶夫

  • 千鳥鳴く夜明けは海の彼方からさいたま水夢

  • あんなにも来たかつた海千鳥鳴く彩汀

  • 青空へ帰る詩人や遠千鳥齋藤桃杏

  • 千鳥来るしぼんでゆかぬわだかまりさ乙女龍チヨ

  • 波千鳥媼翁と添い遂げしさかい癒香

  • 足跡を地上絵として千鳥ならさかえ八八六

  • 江ノ島の千鳥路肩を共にありく榊昭広

  • 千鳥鳴く潮にくもりし道路鏡坂口いちお

  • 千鳥啼く空はただただ青いだけさかたちえこ

  • 母の怒声聞きたき日なり夕千鳥坂野ひでこ

  • 再診結果と交互に見遣る千鳥坂まきか

  • 波音を千鳥の声が縫うてゆく咲まこ

  • 生まれては還る波あり夕千鳥桜鯛みわ

  • 千鳥鳴く離島にミサの音微か雑魚寝

  • ひよひよと風になびくや波千鳥佐々木佳芳

  • 千鳥往くただ寂しさをぶら下げて笹桐陽介

  • 千鳥立つ河原無口になりにけり笹靖子

  • 太陽が怠けている日千鳥啼くさざれいし

  • ききながす友の陰口夕千鳥さち今宵

  • 速足の千鳥にピント合う奇跡佐藤公

  • 千鳥鳴く漂着の星ひとかけら佐藤志祐

  • 千鳥駈る砂浜にイーゼルを挿すさとう昌石

  • 浜千鳥五羽やってきて二羽消えたさとう隆明

  • 動かねば石に紛るる川千鳥佐藤まり子

  • さざ波に遊ぶ千鳥の透けゆけり佐藤ゆま

  • 戻り来る波を寿ぎ磯鳴鳥 佐藤レアレア

  • 千鳥千鳥空に呼ばれているよほら里山子

  • 遠千鳥あれは心中する二人錆田水遊

  • 野辺送り千鳥の声の所まで彷徨ういろは

  • 夕千鳥金星金の声で啼く紗羅ささら

  • 浜千鳥進めば頬に風生まれさるぼぼ17

  • 蹠刺す砂利道の砂利夕千鳥沢井如伽

  • 焼香消えそう群千鳥欠けそう沢胡桃

  • 地の酒を飲めと蔵人島千鳥沢拓庵◎いつき組カーリング部

  • 千鳥鳴く淋しいなんて云ってない澤田紫

  • 原発の浜静かまた千鳥来る沢山葵

  • 対岸は行けぬふるさと浜千鳥三角山子

  • ぬれる目の何を見るらむ浜千鳥塩沢桂子

  • ペースメーカー心音千鳥遊びたる塩の司厨長

  • 物事を忘れゆく日々千鳥鳴く塩原香子

  • いつぴきの千鳥うをんとうねる波柿司十六

  • 抗戦の夕日を背負ふ千鳥かな四條たんし

  • まっさらのジャーナル開く千鳥鳴く紫檀豆蔵

  • 明け六つの便座はぬるし千鳥鳴くじつみのかた

  • 夕千鳥妻の写真は空ばかり信濃のあっくん

  • 後ろ足捨て得た自由千鳥嗚呼忍之一字

  • ふんばってとまって千鳥ふんばって芝歩愛美

  • たつた今きてもうゐない千鳥かな渋谷晶

  • ひるがへりひつくり返り群千鳥 しぼりはf22

  • ちどりちどり流木に記憶の残滓島田あんず

  • 浜千鳥砂はこはれた星の屑清水縞午

  • 島つなぐ橋の高さや浜千鳥清水三雲

  • 風にのり巴をくずす河千鳥清水容子

  • 波洗う儚き足や白千鳥霜月詩扇

  • 群千鳥違はず波を見てゐたり下村修

  • 小千鳥や遊び疲れた波静かじゃすみん

  • 千鳥鳴く旅の終わりに出す葉書沙那夏

  • 夕千鳥明日は誰と遊ぼうか柊瞳子

  • 千鳥飛ぶ海は数多の死を孕む樹海ソース

  • 浜千鳥渚鏡に星ひとつじゅんこ

  • 歩行器の車輪の軋み千鳥鳴くじょいふるとしちゃん

  • 千鳥鳴き星をかぞへし頃思ふ正見

  • 俺の吹くハモニカ波に消え千鳥不知飛鳥

  • おのころを飛び立ち海へ浜千鳥白梵字

  • 千鳥追い行き着く海の死臭かな四郎高綱

  • ひき潮や海のこきふを知る千鳥白猫のあくび

  • 憂鬱なテトラポッドに啼く千鳥白プロキオン

  • ぬっと干潟おちこちおちこち千鳥白よだか

  • 小夜千鳥テトラポッドに万の傷ジン・ケンジ

  • 異土の浜昏れて千鳥のおぼめかし新濃健

  • 物憂げな千鳥ふと地球を廻す水蜜桃

  • 悪所船漕ぐや櫓臍が啼く千鳥すがりとおる

  • 撥条のおもちゃのごとき千鳥かな杉浦真子

  • 片恋を千鳥は知らず暮干潟杉岡ライカ

  • 疎ましき風車幾つも浜千鳥杉尾芭蕉

  • 鋼青に一番星や啼く千鳥杉本果ら

  • よくもまあ千鳥の足の細さかな杉本誠

  • 廃線の巨木染まりて千鳥啼く涼風亜湖

  • 鈍雲の穴や撒かるる白千鳥鈴木由紀子

  • アダージョの波音アレグロの千鳥鈴白菜実

  • 対岸は錆びた製油所浜千鳥すずなき

  • 青のほつれをぬいながら千鳥来る鈴野冬遊

  • 心痛に薬の足らぬ千鳥かな主藤充子

  • 鳰の湖波に千鳥を遊ばせて須磨ひろみ

  • 千鳥鳴く伊根の舟屋の屋根瓦晴好雨独

  • 小夜千鳥津波の土地に街灯清仁

  • 今日はずる休み千鳥へ譲る道瀬央ありさ

  • 眉月の切っ先われに千鳥啼く瀬紀

  • 地御前の神の干潟や磯千鳥seki@いつき組広ブロ俳句部

  • 人魚姫溶けいつぱいの千鳥生るせり坊

  • 昇る日へ飛び入る千鳥波の音千・いつき組広ブロ俳句部

  • 浜千鳥じわじわ酸化する鳥居素因数分解

  • 波際の光りにあそぶ千鳥かな草夕感じ

  • 群れ飛べば寂しさ忘れ浜千鳥ソフィ

  • 千鳥群れ豊かな孤独ありにけりそまり

  • ねえ千鳥ひとりがつらいわけじゃない空豆魚

  • 千鳥啼きすなどる風の目に染みる邨虚空

  • 三日月の幽けき端よ千鳥去るぞんぬ

  • あれがたぶん俺を嘲笑った千鳥たーとるQ

  • 群千鳥恐れ自ずと増幅す平良嘉列乙

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佳作
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  • 漂着のボトルに夕日浜千鳥あかり

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  • 降り立てば浜の光となる千鳥秋野茜

  • 逆光に礫となりて千鳥飛ぶ花見鳥

  • ずんぐりと千鳥の羽の光るるや宮川令

  • だるまさんがころんだ千鳥の走りあさぬま雅王

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  • 砂色のそばかすの数ゆく千鳥あかねペン銀

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  • 日本丸千鳥ともに病み上がる季紫子

  • 千鳥飛び闇問ひ瞳や一人閉ぢ坂島魁文

  • 海も河も眠る季節や千鳥啼く

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  • 千鳥すら自由に空を食べるのに野山めぐ

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  • 砂浜に集ふ千鳥や酔ひの朝岩佐りこ

  • 小夜千鳥独り手酌の旅の宿岩清水彩香

  • 鳴き声を聞きたし夜の浜千鳥植田かず子

  • 針運ぶ千鳥かがりや千鳥鳴く上原まり

  • 友偲ぶ真っ青の空千鳥鳴く兎野旬子

  • 果見えぬきょうの仕事よ千鳥鳴く宇佐美好子

  • 千鳥来るかつて浜辺のアスファルトうつぎゆこ

  • よちよちの泣き子と齟齬す鳴き千鳥宇野翔月

  • 良き日かな北の空より群千鳥卯之町空

  • しめ縄の掛かる神岩千鳥降り海口竿富

  • 群千鳥たちてあっけらかんと磯海月のあさ

  • 浜千鳥駆けて止まりてまた駆けて梅田三五

  • 千鳥鳴く声聞きたしと風の中麗し

  • 抽斗の昭和の新聞紙千鳥吽田のう

  • 千鳥鳴くハシビロコウの知らんぷり江川月丸

  • 福を呼ぶ千鳥は此処に孫ふたり江口YUKO

  • 月影の天使のはしご小夜千鳥蝦夷野ごうがしゃ

  • 乱流を操り千鳥急降下蝦夷やなぎ

  • 千鳥翔び波の変化の少しずつ絵十

  • 浜千鳥ともに荒波超えてゆけえのき絵巻

  • 千鳥とぶ白化粧のあの山へえのき筆丸

  • 千鳥に陽重力の無きバランセよ榎美紗

  • 年の差婚もう金婚ね波千鳥榎本咲

  • 指先に千鳥の群舞みぎひだり榎本奈

  • 向かう駅すぼめし肩や千鳥舞う榎本雅

  • 浜辺にて千鳥見ながら家族らとえみくれ

  • 波と遊ぶ押し引きうまき浜千鳥遠藤千草

  • 千鳥泣き窓から探す夕暮れに遠藤倫

  • 佇みて翼癒ゆるを待つ千鳥遠藤玲奈

  • 荒波に千鳥啼く声遠からづ   原句ママ円美々

  • 足跡無くここにはおらぬ千鳥かな大久保一水

  • 親しみにパンちぎれども千鳥去る大澤眞

  • ちょこちょこと戯けた歩み千鳥群れ大島一声

  • 海風や千鳥の軽く飛びにけり大嶋宏治

  • つんつんと枝寛にとまる千鳥かな大舘さと

  • 佐保の川瑠璃玉遊ぶ千鳥かな太田一駄歩

  • 来ぬ人を待つ砂浜に千鳥なく大野喬

  • 夕千鳥千人針と祖父の影大野美波

  • 千鳥いる潮引き砂のうれしさよ大原妃

  • 告げられぬ二人眺める千鳥かな大原雪

  • 特養に母と別れて千鳥かな大矢香津

  • 子千鳥の親を抜き去る走りぶり岡井稀音

  • 千鳥なく親の歸らぬアパートに岡崎佐紅

  • 千鳥啼き万鳥渡る越冬地岡崎未知

  • 人麻呂の立ちし浜辺か千鳥鳴く岡田一竿

  • まんまるのぺぺぺと歩く千鳥かな岡田瑛琳

  • 帰る海女後を追うよに千鳥鳴く岡田恵美子

  • 舞い降りた千鳥ゆびさすほほよせておがたみか

  • 夕波を千鳥を数ふ数ふれど男鹿中熊兎

  • わらわらと干潟の照りの千鳥かなオカメインコ

  • 千鳥鳴く人影まばら恋の浦岡本

  • 万葉の詠み人達に鳴く千鳥丘るみこ

  • 酔いどれよ千鳥とてある自尊心小川紅子

  • 警笛で翻すごと群千鳥沖庭乃剛也

  • 千鳥走るシャッターチャンスなどくれず沖らくだ@QLD句会

  • 懐かしや佐保川千鳥古歌にあり奥寺窈子

  • 上京の吾子呼ぶ如く浜千鳥巨椋明生

  • 廃校や群をはぐれて啼く千鳥小倉あんこ

  • 奥能登の復旧遅々と小夜千鳥小田毬藻

  • 大縄をくぐるよう飛ぶ浜千鳥小仲翠太

  • 千鳥らの啼き舞う姿やまじりたや小野ぼけろうじん

  • 波の間に耳鳴りなのか浜千鳥おんあいす

  • 金曜日千鳥にまじりて闇の中械冬弱虫

  • 溜まり水遊ぶ千鳥やフェス前夜甲斐ももか

  • 潮焦がれ河原飛びたつ千鳥かな柿本苧麻

  • 覚束ぬ足の運びや浜千鳥梶浦和子

  • 友はもう散り散りになり千鳥啼くかしくらゆう

  • 薄日さす空群れとなし立つ千鳥鹿嶌純子

  • 三味の音やちりとてちんと浜千鳥華胥醒子

  • 缶コーヒ傍に千鳥の啼く今宵梶原菫

  • 浜小屋の破れ窓から千鳥鳴く風かおる

  • 星空の浜に千鳥の鳴くを聞く片岡明

  • 千鳥鳴く凪の浜辺を漫ろ行く桂子涼子

  • 矢印のやうに千鳥の急ぎゆく桂佐ん吉

  • 擬傷する無償の愛の千鳥かな桂葉子

  • バレリーナ恍惚の息千鳥飛ぶ叶田屋

  • 砂に腹隠して黙す白千鳥仮名鶫

  • 愛し子の歩き始めよ千鳥鳴く可児真由美

  • いにしへの近江の海や夕千鳥かぬまっこ木ノ芽

  • 千鳥鳴くあなたに会えて陽のベンチ樺山鴻春

  • 波静か千鳥爪跡昼の月神長誉夫

  • 来ぬ渡し雨粒つたう千鳥の背紙谷杳子

  • 外海へ追いつ追われつ群千鳥神谷米子

  • 忘るまじはるか彼方よ千鳥なく亀井汀風

  • 埋め立て地千鳥棲みしや夢の洲亀くみ

  • 千鳥鳴くかつて風車のありし空亀子てん

  • 千鳥来よ東尋坊に花流す亀田荒太

  • 突如来てすぐ飛び立てり群千鳥亀田みのる

  • 群れ離れ一人で遊ぶ千鳥かな亀山逸子

  • あの千鳥見えぬ羽ばたき大渡海かもね

  • 夕暮れの小島の磯の千鳥かな鴨の里

  • 斜張橋暮れて泣くなり浜千鳥狩谷和寓

  • 引き留める人もいなくて小夜千鳥河上摩子

  • まだ姿見たことのない千鳥かな川口聡美

  • 鳴り砂のイタンキ浜の千鳥かな河孝

  • 鬼はどこジグザグ歩きの千鳥かなカワムラ一重

  • 条約が守る干潟と白千鳥邯鄲

  • 潮引いて砂へ千鳥の乱れ足神無月みと

  • 防人の故郷恋しと千鳥の啼く樺久美

  • 能登の凪針無き時計千鳥鳴く岸壁の龍崎爺

  • お前もかほろ酔い気分と千鳥の群れがんも三世

  • 波打ちに万葉集の千鳥かなkey

  • 松原やタンカーよーそろチドリの歩木口まり子

  • 斑犬の遠吠え千鳥夕空へ如月ゆう

  • 真実は何処と想う千鳥かな岸野孝彦

  • Bling-Bang-Bang-Born踊る友千鳥岸本元世

  • 湘南の夕陽と消える千鳥たち酒暮

  • 小千鳥や不揃いの段落記号季切少楽・いつき組広ブロ俳句部

  • 波かわし風と戯る千鳥かな北乃大地

  • 浜千鳥素足で哭くやオホーツク北美三風

  • 水際の跡さらわれぬ千鳥かな貴田雄介

  • 双眼鏡首にぶら下げ群千鳥木下美樹枝

  • 淀川の湾処に千鳥と子と我と木村かわせみ

  • 千鳥白湖上に黒き松江城木村修芳

  • 群千鳥おこぼれ待ちや帆柱に木村波平

  • 戯れあひて憩ふ千鳥の干潟かな木村弘美

  • 浜千鳥慌ただしさに立ち止まるQさん

  • 千鳥見てラッパーのみに遇ひにけりきゅうもん@木の芽

  • 砂浜で波と千鳥が鬼ごっこ喜楽胤

  • 帰り路を知らずに千鳥ピョイと鳴く銀長だぬき

  • 組討の波打際よ千鳥啼くくさ

  • 青空へファンブレイクに翔ぶ千鳥鯨之

  • 飛び立ちて又戻り来る浜千鳥楠田草堂

  • 走りつく先がゴールの千鳥かなくすみ輝く

  • 来る来ない夕波千鳥詠みてをりくずもち鹿之助

  • 石投げの子の足元を夕千鳥くつのした子

  • 母鳥の腹に隠れて千鳥の子國吉敦子

  • 千鳥飛ぶ木材港の浮力かな久留里61

  • 浜千鳥人影きえて舟一艘黒田良@しろい

  • 千鳥発つ水平線を縫うように黒猫さとみ

  • トトトトツーモールスを打ち千鳥行く黒ばあや

  • 千鳥鳴き吾子まねて鳴く多摩川原桑田栞

  • 啄む間友よ来たかと千鳥啼く家古谷硯翠

  • 失恋の私を置いて飛ぶ千鳥げんきいっぱい

  • 颯爽と飛ぶ後ろにはむら千鳥けんさん

  • 千鳥鳴く予選通過を知らせおり源氏物語

  • 鳴き砂の己の歩み浜千鳥鍵盤タロウ

  • 昏れていく波と遊ぶは千鳥かな輝雲彩

  • 浜千鳥戦匂うか海向こう河国老末廣

  • 解放の鐘よ千鳥の羽ばたきよ紅紫あやめ

  • 千鳥ゐるウユニ塩湖のごと水面幸内悦夫

  • 中継の干潟に憩ふ千鳥かな宏楽

  • 千鳥翔く恋をしたかに淡路島ごーくん

  • 千鳥来て潮満つ岩場の影数多こきん

  • 汽水域波間に千鳥見え隠れココヨシ

  • 摩天楼見え隠れする千鳥かな越乃杏

  • 平らかな海の白さに千鳥鳴く小園夢子

  • 夕飯の知らせか千鳥河川敷小手川とし

  • 特攻兵その胸中よ島千鳥虎堂吟雅

  • 波音は通奏低音千鳥鳴く後藤三梅

  • 千鳥さえ亡骸悲し戦止め小鳥コ

  • しめ縄を抜けて光芒島千鳥粉山

  • 波暮れて浜の離宮の千鳥鳴く小林昇

  • 夕映えに群れ飛ぶ千鳥染められし小林澄精

  • お堀より千鳥羽ばたく佳き日かな小林のりこ

  • 一番星居残り千鳥何急ぐ木挽町豆奴

  • 千鳥群れガムランのリズム響く浜駒形さかつ

  • 惑星の水のソムリエ川千鳥こま爺

  • 喰われたる卵悲しや千鳥啼く小湊八雲

  • チクタクと眠れぬ夜更け千鳥鳴く小南子

  • 走り去る千鳥数えて暮れ紛れこむぎ

  • かがなべて厭離と成りし浜千鳥小望月あうる

  • 散骨の砂に足跡浜千鳥小山秀行

  • 千鳥来る小さな町のリサイタルコロンのママ

  • 鳴き砂の音は聞こえぬ千鳥鳴く埼玉の巫女

  • 国道を横切る千鳥待つ車齋藤鉄模写

  • 軽々と遥々と千鳥万里の空宰夏海

  • あえかなる残存湖になみ浜千鳥さおきち

  • 変わり身の疾き酔いどれごと千鳥酒井春棋

  • 前撮りのピース千鳥のVライン榮紅

  • 千鳥啼く未だ明けやらぬ由比ヶ浜坂田雪華

  • あの群れは千鳥だったと図鑑置く坂本千代子

  • 山門の茅葺に雨露小夜千鳥坂本雪桃

  • 千鳥来る平瀬の石の目を凝らす相良まさと

  • 術なきや齢重ねし千鳥かなさくら亜紀女

  • 水琴のかそけき調べ千鳥ゆく櫻井こむぎ

  • 寄せる波退く波縁取る群千鳥櫻井弘子

  • 疾くムツゴロウ逃げよ千鳥が来るぞ桜月夜

  • 千鳥来る三陸の浜復興し桜華姫

  • 千鳥鳴く昔のことは夢の夢桜姫5

  • 色もない千鳥もいない浜歩くザクロ石

  • 親元を離れ千鳥の声高く笹団子

  • 千鳥鳴く海辺で恋にさようならさざんか

  • みぎひだりちょちょちょとちょちょと浜千鳥砂月みれい

  • 引き潮に鳥居現る浜千鳥佐藤恒治

  • 地雷より黄色い花や啼千鳥佐藤茂之

  • 千鳥踏みし跡消す波の戯れ佐藤俊

  • 豆腐屋の笛の音優し夕千鳥佐藤似貂

  • 波かぶる神磯鳥居千鳥飛ぶ佐藤浩章

  • うやうやとお辞儀かさねる千鳥かな佐藤佳子

  • 友逝きてちんちん千鳥の啼く夜よ里こごみ

  • 群千鳥空に斉しく翻りさぶり

  • 群千鳥あたたかき無視うけとりてさむしん

  • 辞めざるを得ない理由よ千鳥鳴く紗藍愛

  • キュイキュイと赤子歯固め千鳥来る沢田恵子

  • アルペジオの隙間を埋める千鳥ちどり澤田捨楽

  • 終点の駅は竜宮浜千鳥澤野敏樹

  • ゆふちどり波穏やかに須磨の浜三月兎

  • 目で追う千鳥マリッジブルー晴れぬ珊瑚霧

  • てちてちと歩む千鳥の伸びちぢみ三尺玉子

  • 群千鳥半音階的幻想曲三水低オサム

  • 浜千鳥波消し並ぶ日本海塩風しーたん

  • 舞い降りし千鳥の彼方闇迫るしかの

  • 潮風にキリリと沖向く浜千鳥しかの光爺

  • 千鳥啼け欄干に我一人なりきじきばのミヨシ

  • 洪水の後に残った千鳥かな紫月

  • 砂にあと残さず易く千鳥往く篠雪

  • 払暁の幽きひかり浜千鳥しばのおはる

  • 立ち止まりまた歩き出し千鳥来る島じい子

  • 波寄せば千鳥のちりりちりりかな島田雪灯

  • みづぎはの千鳥の脚や波柔し島田ユミ子

  • 波音にはぐれ千鳥の聲消され清水ぽっぽ

  • エッシャーの絵と見まごひし千鳥かな霜川このみ

  • 前撮りを囃す千鳥や薩摩富士霜月シナ

  • 奇妙なる流木ありてちどり鳴く霜月ふう

  • 過疎の寺賽銭箱に乗る千鳥下丼月光

  • 平成の千鳥は今も浜におり紫藪@藻の霊

  • 重き砂あちかこちかと率る千鳥慈庵風

  • 浜千鳥と遊べや式部駆け出して十月小萩

  • 吾子泣けば汝の子も泣かる千鳥来る朱胡江

  • 千鳥鳴き三つ指立てて待つ千鳥柊二@冨美夛

  • 三番瀬凪ぐや千鳥の影ぽっちり秋芳

  • 夕千鳥つれぬそぶりの汀かな正念亭若知古

  • 千鳥来ていっそう静かな工場跡白井佐登志

  • 千鳥啼くプランクトンの潮溜まり白石美月

  • 夕暮れの母恋しかる千鳥かな白井百合子

  • 故郷へ聞かすせつなの千鳥声白川譽

  • 宿の名の書かれたる下駄夕千鳥白沢ポピー

  • 行く末を二羽の千鳥に思い馳せしわしわ

  • 築地あと波除さんが千鳥待つ神部雅則

  • 残照を千鳥や下戸もけふばかり西瓜頭

  • 牛丼弁当ぶらぶら小夜千鳥末広野暢一

  • 青空の千鳥と遊ぶ由比ガ浜杉浦あきけん

  • 群千鳥満艦飾の歓迎船杉柳才

  • 渚にて首をかしげる千鳥かな鈴木季良恵

  • 千鳥の子親を追いかけ抜き去りて鈴木秋紫

  • 窓の外千鳥のつがいキウイ喰む鈴木里羅久

  • 澄みきった空や千鳥の声一つ鈴子

  • 浜千鳥すは冒険の一歩二歩清白真冬

  • ぷかぷかと靴と浮かぶか群千鳥鈴野蒼爽

  • 風が刺す身をすくめ見ゆ浜千鳥素敵な晃くん

  • 波寄せて千鳥の足にかかりけり数哩

  • 風に乗り波間に隠見浜千鳥青児

  • 凪の刻消波ブロック舞う千鳥せいしゅう

  • 千鳥越しザワつく鳴き声かぶる吾子星夢光風

  • 始祖鳥の裔や卵埋るる白千鳥摂田屋酵道

  • 大空は広重ブルー千鳥飛ぶ瀬戸ティーダ

  • 千鳥の鳴き声は万葉集に始まる瀬野広純

  • 昼休み静まる工場千鳥かな泉幸

  • 風は波頭にも触れゆく小夜千鳥全美

  • いそいそと旅の途中か浜千鳥草堂Q幸

  • 忘却の朽ちたる舟に千鳥鳴く惣兵衛

  • 捨て船に寄するさざ波群れ千鳥そうま純香

  • 街遠く千鳥とわたし宇宙(そら)の中そしじみえこ

  • サハリンに手を振る人や島千鳥外鴨南菊

  • 満つる潮テトラポッドに千鳥啼くそぼろ

  • 千鳥啼く故郷の海や琴奏づ染井亀野

  • ありがとうと託す千鳥が消えた空駄詩

  • 言問て一筋残す浜千鳥大康

  • 千鳥泣く声をかぎりに母捜し大ちはる

  • 潮騒の宿にて聞くや浜千鳥平たか子

  • 薄明にチューハイ片手に波千鳥高上ちやこ

  • しんがりは句読点めく群千鳥だがし菓子

  • 千鳥舞う夕陽のエッフェル2旋回たかandひろ

  • 千鳥啼く背の子のあんよぴくんぴくん高辺知子

  • 浜千鳥つい考えている人のこと高嶺遠

  • 風強く浜の千鳥の声も消し高橋紀代子

  • 海近し千鳥の鳴くや夕まぐれ高橋ひろみこ

  • 残照の尖る波頭や浜千鳥高橋ままマリン

  • 手を合わす耳に亡母の浜千鳥高旗三紀子

  • 浜辺来て千鳥の一歩に未来馳せ田上コウ

  • 一人旅君を思へば千鳥鳴く鷹見沢幸

  • 半没の廃船の屋根啼千鳥高見正樹

  • 波寄せぬ千鳥よけぬやひもすがら高山佳風

  • ひとりでも千鳥といれば輪の中に滝川陽子

  • 三番瀬千鳥の一羽二羽三羽竹内一風

  • 見つめれば俯く千鳥あまたおり武翁

  • 小千鳥の小千鳥らしく愛らしくタケザワサトシ

  • シベリアの颪啄む浜千鳥武田豹悟

  • 彩雲の干潟千鳥のこゑ細し竹田むべ

  • 寄せる波千鳥の群れの返す波たける

  • ちどり啼く電話まつすぐ前向いてたけろー

  • 舫い解く磯に千鳥の今日も鳴く多胡蘆秋

  • 黄昏の渚影絵のごと千鳥太之方もり子

  • 小石似せ砂地に卵川千鳥たすく

  • 伐採の隠れ家探す千鳥かな祐紀杏里

  • 千鳥行く子の生浜に託しけりただ地蔵

  • 犬の子の千鳥の群れに分け入りて糺ノ森柊

  • 父母と石拾いけり夕千鳥多田知代子

  • 千鳥のランウェイ引波の消しゴムただの山登家

  • ニッキ飴ころりほおばり小夜千鳥立川茜

  • ことろことろ遊ぶ千鳥の風の声だっく

  • ビール腹なのに腰高千鳥ゆく田中勲

  • 千鳥かなチリチリと子等塾帰り田中みどり

  • 母恋しと泣きじゃくる子夕千鳥田中ようちゃん

  • 千鳥来て吾が唇に三拍子たなばたともこ

  • マニキュアの爪吾は女千鳥鳴く谷相

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  • 犬の歯に見えなくもなし群千鳥田村利平

  • 重力は千鳥の踵さえ掴むだんがらり

  • 風紋に残す千鳥の三連符竹庵

  • 樽かつぐ太郎冠者や浜千鳥ちくりん

  • 手庇で光る千鳥の行方見る智同美月

  • 古里の海のにほひや夕千鳥ちやあき

  • 螺旋描く足跡の先千鳥群れ千夜美笑夢

  • 君と吾の重なる影や夕千鳥ちょうさん

  • 浜さする波に千鳥のてんてんと千和にの

  • 千鳥群れ干潟賑やか餌探し司蓮風

  • 嬰児とぴょんぴょん跳ねる千鳥かな塚本隆二

  • 群千鳥その柑橘の名は何ぞ月石まちこ

  • 徘徊の千鳥に病重かりき月城龍二

  • 病床の吾に泣くなと千鳥鳴く月の莵

  • 還る地の無きこゑ夕浜の千鳥月待小石

  • 生きてればひとりじゃないよ鳴く千鳥ツキミサキ

  • 群千鳥空と水面の柄となり月見里ふく

  • 影のごと砂浜を行く夕千鳥月夜田しー太

  • 砂浜に一番乗りの千鳥かな柘植雅一

  • 千鳥鳴くひげ剃りあとの絆創膏辻ホナ

  • 前後ろ付きつ離れつ夕千鳥辻美佐夫

  • 波の上波間を遊ぶ群れ千鳥辻本四季鳥

  • 鳴く千鳥今朝は乱るる三拍子辻栄春

  • 白千鳥恥ずかしそうにしゃくり鳴くデイジーキャンディー

  • 川千鳥錦帯橋をくぐりぬけ手嶋錦流

  • 波際の光を追って千鳥かなてつねこ

  • 白波やピィユンピィユンと鳴く千鳥テレシア

  • 曇天の浜辺ほのめく千鳥かな電気石

  • 千鳥啼く迎え叶わぬ拉致の海天童光宏

  • 水切りの石に驚く千鳥かな天王谷一

  • 足跡は薄きスタンプ浜千鳥どこにでもいる田中

  • 立ち止まり駆け出す千鳥吾に似たりとこやまよもこ

  • きらきらの催眠術師磯千鳥登盛満

  • 鳴る風や小首かしぐる浦千鳥友@雪割豆

  • とてちてと歩む千鳥や銀の風富山の露玉

  • 啼千鳥お伽噺の読み聞かせとよ

  • 潮騒に消ゆる鳴き声浜千鳥

  • 千鳥ゆくリリリ、リリリのリズムかな内藤清瑤

  • バス停を探す夕暮れ千鳥かな内藤未来仁

  • さざ波のむこう漂ふ千鳥かな内藤由子

  • ストトトト風切り走り去る千鳥なかかよ

  • 波の音千鳥の姿遠漁船中澤孝雄

  • 浜千鳥強風こらえ日本海中島葉月

  • 砂浜に影落としてや夕千鳥仲間英与

  • まだ残る駆ける千鳥の足跡か中村明日香

  • 被災した浜に千鳥は戻りけり中村こゆき

  • 波に耐え西を見つめる千鳥かな中村雪之丞

  • 十分の三者面談夕千鳥凪ゆみこ

  • てきれきの波しぶき浴び千鳥立つ七五三五三

  • 出勤のホームへ出でる千鳥かな那須のお漬物

  • ぬれ光る砂に千鳥のトコトコと菜々の花畑

  • 友を憶ひ寝返りいくど千鳥鳴くなびい

  • 浜千鳥スマホで見るも楽しかり生天目テツ子

  • 砂ばかり千鳥鳴く鳴く我も泣くにいやのる

  • 残された干潟で遊ぶ千鳥かなにえ茉莉花

  • ただ一羽にても千鳥の走る跳ぶ西尾至雲

  • 金網の隙をすらりと千鳥かな西尾照常

  • 紅みさす靄の渚の千鳥かな西郡うり

  • 曇天に鈴の音かすか川千鳥二城ひかる

  • 川千鳥一人石飛びする童入道まりこ

  • 天空や影を落として千鳥飛ぶ二和田躬江

  • かわ風のさみしき音や千鳥なく布村柚子

  • 拉致の浜今も変わらず千鳥来る沼宮内かほる

  • 朝帰り外れ千鳥と漂ヘり猫辻みいにゃん

  • 寅さんの後ろ姿や千鳥鳴く猫ふぐ

  • 波が消す海辺の余韻千鳥飛ぶ猫またぎ早弓

  • 追えば逃げ待てば来る来る千鳥来るねこむらさきご

  • 大空を千鳥の群れの風になる根々雅水

  • 千鳥鳴くは海に染まらぬ主張なり農鳥岳夫

  • 沙のランウェイ千鳥らしき足跡野口雅也

  • 寂しさに千鳥訪ねて浜に来る埜水

  • 水平線一糸乱れぬ千鳥かな野瀬博興

  • 万葉集よチチと鳴く千鳥詠む野中泰風

  • 河原に子らの影なく群千鳥野の菫

  • 打ち寄せる千鳥よ客船は遥か野ばら

  • 降り出した雨に千鳥は低く飛ぶ白山一花

  • 星のごと空を流るる群千鳥橋爪利志美

  • 千鳥来る啄む干潟よろつきて橋野虎空

  • 子千鳥と仔犬と子蟹が鬼ごっこ波止浜てる

  • 逝く友に何を語ろう浜千鳥馬笑

  • 父と子のそぞろ歩くは千鳥かな蓮田初老

  • 波を追ふ小さき千鳥の刻み足蓮見玲

  • 浦千鳥やまぬ涙のから笑い畑美穂

  • 眼差しを千鳥の足に操らる八田昌代

  • 低空の輸送機追いし夕千鳥服部義一

  • 風強し独り眺める群千鳥初野文子

  • つつつつぴたつつつ歩む子千鳥似て八方おこじょ

  • 潮騒にたどる父の香夕千鳥羽奈あかり

  • ゴミ群れの岸に千鳥の見え隠れ花岡淑子

  • 口笛を千鳥と共に響かせて花咲明日香

  • 千鳥追ふあの子をずつと追ひかけて花咲めだ香

  • 波しぶき千鳥となりて飛び立てり花南天あん

  • いぶせし砂蹴散らして千鳥ゆく花彼岸

  • 舟上げる足跡ふたつ浜千鳥はなぶさあきら

  • 砂あそび辿る磯波追ふ千鳥英凡水

  • 悲しくば逢いにおいでと鳴く千鳥羽馬愚朗

  • 千鳥来ぬ宛先不明の文を棄つ馬風木瓜子

  • 今日までの悩みは杞憂小夜千鳥浜友輔

  • チャップリンインニューシューズなり千鳥はむこ

  • 行き交えば浜辺の癒し千鳥かな葉森木霊

  • 千鳥啼く自転車旅の九十九里早川令子

  • 歩みては誰を呼ぶのか千鳥鳴く林田リコ

  • 住人のごと島千鳥無人島原島ちび助

  • 吾を忘れ祖母よ夜明けの群千鳥原田くろなつ

  • 航跡のなめる磯音浜千鳥原田民久

  • 初めての千鳥鳴く声スマホにて原善枝

  • 風受けて千鳥の群れが空に散るharu.k

  • 哀調をおびた千鳥の声渡る春爺

  • 行く方を知り千鳥走らむ白き月haru_sumomo

  • 千鳥来ぬしばし遊ぶや鄙の庭はるの風花

  • 逃げ足は音符のかたち白千鳥春野ぷりん

  • 岩になる二つ並んだ川千鳥はるるん1号

  • 日本の浜辺一歩の千鳥かな伴田至誠

  • きゆうと啼き小首かしげて浜千鳥ピアニシモ

  • 人生も右へ左へなぁ千鳥ひーちゃんw

  • 窓下の千鳥しづかに着岸す東田一鮎

  • 伸びやかに喉ふるわせて千鳥鳴く東の山

  • 千鳥らよ小町の札は我が取る東原桜空

  • ちいちいと智恵子呼ぶよな千鳥啼く東山たかこ

  • 千鳥翔つ富士に夕日の沈む浜樋口滑瓢

  • 波に連れちょこまか走る千鳥かなピコリス

  • 海風に此処だ此処だと鳴く千鳥久女

  • 一握の砂の残像島千鳥ひすい風香

  • 波と花一匁する浜千鳥ひと粒の種

  • 寄り添いの期待は無駄の千鳥ですひな扶美子

  • 千鳥二羽波に遊ばれ睦まじき向日葵姐@いつき組広ブロ俳句部

  • ぬかるみに一本足らず千鳥足ひまわりと碧い月

  • 何求め千鳥啼きたる浜辺かなひめのつばき

  • 灯台で休む千鳥の遊び鳴きひめりんご

  • ジェット機に小首傾げる浜千鳥平岡梅

  • 薄雲に溶ける千鳥と残す声平野純平

  • 夕闇の浜辺千鳥の声清く平松一

  • 打ち寄する波と空き缶啼く千鳥比良山

  • 五歩進んでは休みたる千鳥かな平山仄海

  • 干潟にて右往左往の千鳥かな昼寝

  • 干拓のさだめは知らぬ千鳥かな廣重

  • 唯一羽我が子捜すか千鳥啼く広島あーやあーや

  • 二人して見つめるだけや浜千鳥広島立葵

  • 新天地アポストロフィのよな千鳥広瀬康

  • たそかれに千鳥や遊ぶみぎわせん廣田惣太郎

  • 飯盒のごはんとカレー鳴く千鳥ひろ夢

  • 千鳥舞う渚で献杯フラの友琵琶京子

  • 浜千鳥六坪ほどを遊び場にフージー

  • 千鳥鳴く都恋しや須磨の浜風泉

  • 夕映えや千鳥休みし朽ちた船FUFU

  • 千鳥来て盃換えて一献す深澤健

  • 河口堰反対過ぐる千鳥かな福田みやき

  • 三股の足跡チョンと千鳥発つふくのふく

  • 乱世とて明鏡止水鳴く千鳥福弓

  • 藷けむり波に千鳥の羽休む藤井寧々子

  • 夕暮れて沖にサーファー磯千鳥藤丘ひな子

  • 千鳥鳴き妻そわそわと待ちくれし藤川鴎叫

  • 腰を上げる妻待ちかね千鳥鳴く藤川雅子

  • 波が引くついばむ千鳥よく見れば藤沢・マグネット

  • 引く波に千鳥の跡の消えにけり藤澤迪夫(みちを)

  • 浜千鳥行きつ戻りつ尾の左右藤原涼

  • 千鳥鳴く過疎の波くるふるさとは藤本だいふく

  • 千鳥見て写経の筆もつられをりフタバ凛

  • 高き柿千鳥飛び寄る古老の木敷知遠州

  • チッチッ智恵子の呼び合う千鳥らよ古川しあん

  • 子を守る擬傷哀れや白千鳥古澤久良

  • 参道に千鳥漫ろう五十鈴川種種番外

  • 波来ればちょこまかと千鳥かな古道具

  • 浮見入る千鳥鳴き声風の波古谷芳明

  • クセスゴい不意打ち走り千鳥かなヘッドホン

  • 火葬場の煙に霞む群千鳥べびぽん

  • 波しぶき異国を凛と見る千鳥峰晶

  • 右向いて波を数えて群千鳥ほうちゃん

  • 雨雲に千鳥賑わう九十九里暮戯

  • 着メロはなぜか讃美歌群千鳥ほこ

  • 自我は大いなるまぼろし群千鳥甫舟

  • 地の呪縛背負ひて千鳥飛びにけり細川鮪目

  • 朝を待つ地球にぽつん浜千鳥堀江むすぶ

  • 親なくし何処を彷徨う浜千鳥堀籠美雪

  • 古歌の哀しき千鳥何処にあらむ堀隼人

  • 蒼穹のエアショーのごと群千鳥堀邦翔

  • 吾に似て千鳥なぜ鳴く一人きり本間滋之

  • 睦まじく鳴き合ふ千鳥ひとり居に本間美知子

  • 思ひ寝の夢移ろふや小夜千鳥前田冬水

  • 沙蚕皆獲り尽くさんと浜千鳥槇原九月

  • 浜千鳥トロイメライの波際に正岡田治

  • 朝もやにのたりのたりの千鳥かな雅蔵

  • 磯千鳥鳴き声届かぬ波の音町尾葉城

  • 波際のキリスト像に千鳥乞い町家の日々輝

  • 千鳥啼く夜の病室後にして松井貴代

  • 二次会の終へし我等や小夜千鳥松井政典

  • 懐っこい海のホテルの千鳥哉松浦宣子

  • 暁に友呼ぶ千鳥吾はここぞ松岡玲子

  • 千鳥啼く岬灯台光り初む松尾祇敲

  • 洲の千鳥並ぶ様子は四分音符松尾老圃

  • 澪標咲くや此花夕千鳥松高法彦

  • ほろ酔いの傘寿祝や夕千鳥松永好子

  • 指笛をかき消すごとく千鳥鳴く松野蘭

  • 浜の朝千鳥へ駆ける赤子かな松橋春水

  • 防潮堤嵩上げ千鳥は見えぬ松本厚史

  • 一人居に千鳥が鳴きて聞き返す松本俊彦

  • 千鳥かな行きつ戻りつ耳すまし松本牧子

  • 千鳥来て指さす君を見つめをりまやみこ恭

  • 朝千鳥眼下には網投げる人瑪麗

  • 千鳥啼き波打ち際を二倍速真理庵

  • 日本語に耳傾けて千鳥かなまりい木ノ芽

  • 波際をはないちもんめ群千鳥まるにの子

  • 青空の雲からこぼる千鳥かな美衣珠

  • 悲しげな鳴き声の千鳥好まざり三浦ゆりこ

  • 両親に温められる千鳥の子澪那本気子

  • 波に沿う千鳥の描く正弦波三日月なな子

  • ルーン字のごとく千鳥の一歩二歩帝菜

  • 君いずこ千鳥が鳴かぬ星空の下みかりん65号

  • 三歩行き頷く極意千鳥かな三河三可

  • 子は親に親は子に鳴く浜千鳥みかん成人

  • 足あとを残す旅路や千鳥発つ三崎扁舟

  • ぷかぷかと引きなき浮きや夕千鳥MR.KIKYO

  • 老犬と浜辺の散歩千鳥跡みづたま

  • 落日を背に江ノ島や浜千鳥三田忠彦

  • 止まり見て又止まり見て千鳥かな満生あをね

  • 荒海やとぎれとぎれに啼く千鳥三日余子・いつき組広ブロ俳句部

  • 仮住まい家族帰らず千鳥来る美月舞桜

  • 夕千鳥チリリトトトと凛と立つ光森やこ

  • 気配消す米寿の祖父や白千鳥満る

  • 癖のある歩き姿や白千鳥緑区のへこ

  • 水際を忙しくつつく若千鳥湊かずゆき

  • 夜半前街で群れなす千鳥かな峰木一紀

  • 寄せ返す波と千鳥は鬼ごっこ嶺乃森夜亜舎

  • 千鳥鳴く浜辺に悔いを埋めて発つ見屋桜花

  • 青空に吾子が指さす千鳥発つ宮城海月

  • 白千鳥鳴き声好きな母と聴く美山つぐみ

  • ちょこちょこと干潟の千鳥なに楽し宮村寿摩子

  • あくびして千鳥の覗く魚籠は空

  • 潮引きしところへ砂絵描く千鳥椋本望生

  • 波寄せてつつつ千鳥は波を追ふ無弦奏

  • 浜千鳥一羽の時も楽しかろう村上の百合女

  • 千鳥飛び波が飛び交ふ波勝崎村のあんず

  • 灰色の海に歪む点線めく千鳥むらのたんぽぽ

  • 千鳥翔つ振り向けば夕映えの奈良暝想華

  • 雨の夜や千鳥の声よ胸しみる恵美笑

  • 千鳥の沼今は災害瓦礫の山メディックス千里

  • 千鳥追う土曜保育の帰り道めりっさ

  • 震える退団挨拶飛ぶ千鳥望月朔

  • 海風のままに任せて群千鳥望月ゆう

  • 空高く群れなす姿千鳥なり元村幸月

  • 海千鳥眺め生き様問うてみる樅山楓

  • 小夜千鳥宛先のない手紙書くmomo

  • 東京のゼンマイ仕掛け千鳥鳴く百瀬はな

  • 砂の鳴く音の大小千鳥駆く桃園ユキチ

  • 雌はみなたくらむものよ千鳥さえ森上はな

  • 鴨川やあれは千鳥と教えられ森佳月

  • 千鳥鳴く足あと消ゆる汀かな森里綾里

  • 曇り空千鳥スイミー西へゆく森重聲

  • 千鳥かな小波をさけて豊浜に森嶋ししく

  • 浜千鳥八人ならぶ役場前森朋代

  • ランウェイのごとく浜ゆく千鳥かな森野恵

  • 群れ千鳥楽しき様に涙する森茉那

  • 千鳥立つ漕艇のさざなみオールの先森宮野原

  • 九十九里千鳥遊ばせ寄せる波諸岡萌黄

  • リハビリの一歩一歩や千鳥の尾山羊座の千賀子

  • 畑起こす農夫の後を千鳥かな矢澤かなえ

  • 二度見する海なし県の千鳥かな野州てんまり

  • 何思ふ千鳥きょとんと二歩三歩安元進太郎

  • 奥能登の友は散り散り千鳥鳴く痩女

  • 雨後の朝舳先の千鳥羽ばたけりやつがねすわこ

  • 打ちつける波頭の飛沫千鳥の声八手薫

  • 早朝に一羽の千鳥田歩くやのかよこ

  • 千鳥行く南の国に思いはせ山内泉

  • 海鳴りや千鳥と吾のみ残さるる山川腎茶

  • 千鳥遊ぶコンテナ船は遥か沖山川たゆ

  • 急かされる日も無くなりて川千鳥山口絢子

  • 波高し雲は急ぎて千鳥鳴く山口香子

  • 釣人の忘れし餌を食む千鳥山口笑骨

  • 千鳥鳴く列車の音にかき消され山崎佳世

  • 歩け歩け歩けよ千鳥みちなくも山里うしを

  • 羽ばたきて去る千鳥波消し去らん山下義人

  • 鳥羽佐田の湯屋へと下る千鳥かな山島美紀

  • くねくねと歩く千鳥や波高し山育ち

  • 弾道弾尻目の着水旅千鳥山田季聴

  • 片脚で行く先はかる千鳥哉山田啓子

  • 荒海を凛と見つむる千鳥かな山田翔子

  • 千鳥鳴く自転車漕いでいく土橋やまだ童子

  • サックスにぴいと振り向く浦千鳥山田はち

  • 千鳥鳴く痛哭の束空破る大和杜

  • どっしりと座りて話すや浜千鳥山野花子

  • 時を待つシューズ紐締め群千鳥山博山

  • あれはほら賭けてもいいわ浜千鳥山吹なお

  • 唐橋の千鳥つと来る小舟かな山本八角

  • 白千鳥きやうりゆうの雲わらつてるやまもと葉美

  • 我の背に応援団よ千鳥啼く山本蓮子

  • ビル街や千鳥と吾のパルクールU-KIfromJuicyJam

  • 引潮や砂に千鳥の影群れて柚木みゆき

  • 千鳥ゆく人の愚かさ嘆きつつ雪子

  • 足跡を振り向きもせず浜千鳥雪音

  • 千鳥啼く子の亡骸に黒き数珠ゆず柴

  • 靴の跡あと風紋に千鳥啼く宙美

  • 容疑者は千鳥ぞ砂紋荒らしたるユリノイロ

  • 明日こそは違う一日千鳥跳ぶ緩木あんず

  • 波引いて滲む足跡千鳥かな陽花天

  • 母逝くや遠くの空で千鳥鳴け夜香

  • 千鳥よも少し一緒にいておくれ横須賀うらが

  • 千鳥なく君に文書く離れ部屋横田信一

  • 大波も小波も友か浜千鳥横山道男

  • 幼子の千鳥を追うや喝采によしぎわへい

  • 白波を逃げて奔るや浜千鳥吉田蝸牛

  • スコープの外へ内への千鳥かな吉武茂る

  • 小千鳥の船べり軽く走りゆく吉田春代

  • 群千鳥夢中でついばむレジ袋吉田びふう

  • また靴を履き替えてゆく千鳥かな吉田ルイ

  • 群千鳥囀るがごと波波波吉成小骨

  • 頼りない足跡たどる恋千鳥吉藤愛里子

  • 千鳥なく偉大な詩人逝きにけりYoshimin空

  • 客人と中洲屋台の千鳥かな酔頭火

  • 馴れ鮨の発酵きわむ千鳥の来四葉の苦労婆

  • つくろへどほつるるみぎは恋千鳥余田酒梨

  • 地球儀に痕跡さがす千鳥かなよみ、ちとせ

  • かさかさと歩みの進む千鳥かな夜山藤乃

  • チチチピィピィ千鳥井戸端会議かな辣油酒

  • 群千鳥X X(エクスエクス)とあんよしてらん丸

  • 平和とは涙の事か浜千鳥リーガル海苔助

  • 寄せる波たたずむ千鳥何思ふ

  • 飛ばさるるやうに飛びゐる浜千鳥ルーミイ

  • 群千鳥砂の迷宮走りこめ瑠璃ホコリ

  • 巡視船錨に休む千鳥かな連雀

  • バックホウの暫し止まりぬ川千鳥朗子

  • 蒼天を喝采のごと千鳥飛ぶわかなけん

  • 仲間との想い出語り遠千鳥わきのっぽ

  • 真夜中のラジオのノイズ千鳥かな和光

  • 流れたる唱歌の記憶浜千鳥渡邉花

  • 水平線ぢつと見つめた千鳥の仔渡邉久晃

  • 明け渡る湖はべた凪浜千鳥渡邉心水

  • 潮引きて島現るや浜千鳥渡辺陽子

  • 途切れし二人の話や千鳥啼く渡邉わかな

今月のアドバイス
夏井いつき先生からの一言アドバイス

◆俳号のお願い二つ

①似たような俳号を使う人が増えています。
 俳号は、自分の作品をマーキングするための印でもあります。せめて、俳号に名字をつけていただけると有り難く。共に気持ちよく学ぶための小さな心遣いです。

②同一人物が複数の俳号を使って投句するのは、堅くご遠慮下さい。
「いろんな俳号でいっぱい出せば、どれか紹介されるだろう」という考え方は、俳句には馴染みません。丁寧にコツコツと学んでまいりましょう。


◆ひとことアドバイス


●俳句の正しい表記とは?

  • 遠千鳥 故郷を織りし 海の旋舞ひかる

  • 朝一に 幼な青葉にくる千鳥古川しげ子

  • 今はただ 脳裏の内に 浜千鳥元々

  • 波が消し 千鳥何処と 問う吾子よ夕子はん

「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪


  • 佐鳴湖の波打ち際に千鳥かな。中嶋緑庵

 俳句には、句読点は不要です。


●兼題とは

  • 下関なにはなくても河豚がある里山散歩

  • 洗い立てシーツの上に赤とんぼ田中寿信

 本俳句サイトでは兼題が出題されています。今回は、季語「千鳥」での募集でした。次回の兼題を確認して、再度挑戦して下さい。


●「千鳥」だけど季語ではない

  • 校章に千鳥模様や多様性五十嵐翼

  • デフォルメす千鳥格子エムの如く中藤雅子

  • 手をつなぎ着せた肌着は千鳥柄針子のねこ

  • 秋雨に優しく映える千鳥柄お寺なでしこ

 模様としての「千鳥」は季語になりません。


●「千鳥足」「千鳥」は人間のことか?

  • お父さん一杯ひっかけて千鳥足会田美嗣

  • 月の夜の疲れ押し寄せ千鳥足海老原順子

  • 友なくし飲んだ帰りは千鳥足河合ひろたか

  • 体育祭走ってよろめく千鳥足菊の花

  • 上機嫌居酒屋帰り千鳥足松井英雄

  • 九十の父の歩みは千鳥足ミナガワトモヒロ

  • 増してくる年末向けて千鳥足村田真

  • おひさまと奈落の狭間千鳥足剛海

  • サイレンの残響千鳥足の闊歩森太郎

  • 千鳥足浮世の憂さが晴れるかや伊代ちゃんの娘2

  • 砂浜に千鳥足取りおぼつかず遠藤佐和子

  • 千鳥足浜ゆく父を追いかける北川茜月

  • 楔打つ千鳥足跡砂深く久信田史夫

  • 千鳥足淡海の砂を起こしけり花水木

  • 亡き父の千鳥の足も忘れゆくtabei白芙蓉

  • ながむるや吾子の足跡千鳥かなつついぐれちゃん

 これは、季語の「千鳥」とは言い難く……。


●千鳥が比喩に

  • 今は不可千鳥のごときすばしこさやまもとのり。

 季語を比喩として使うと、季語としての力が弱くなります。


●違う季語が入って

  • 浜千鳥歌えば遠き宵の雪島のぺんぺん草

「千鳥」という言葉は入っていますが、別の季語との取り合わせ。「浜千鳥」は曲名ですかね。


●季重なり

  • 風凍え海辺の千鳥白きと舞う亜紗舞那

  • 千鳥鳴く秋浜の夕暮れくれにけり梅泰然

  • 千鳥啼く朧夜の谷風光る武山和彦

  • 千里浜の黒き千鳥や寒茜チームニシキゴイ太刀盗人

  • 千鳥啼く冬の立山暮色に恵のママ

 一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「千鳥」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。


●入力ミス

  • 晩鐘の渡る湖上に浜地鳥三木崇弘

 入力ミス、誤字脱字はよくあります。送信ボタンを押す前の、最後の確認を習慣にしましょう。


●今回の選外

 毎月のことではありますが、句意が読み切れないもの、入力ミスあるいは変換ミスと思われるものがありました。自分が表現したい内容にどう言葉を寄せていくか。ここが俳句の技術という部分になります。


●こんな類句も

 入選句と重複掲載の方もありますが、参考までにご紹介。

  • だるまさんがころんだ千鳥とまったねこむらさきご

  • だるまさんが転んだ千鳥も止まる美衣珠

  • 波を追い波に追わるる千鳥かな伊藤亜美子

  • 波を追い波に追われし磯千鳥沖庭乃剛也

  • 波を追い波に追われて浜千鳥塩風しーたん

  • 波を追ひ波に追はれて千鳥かな虎堂吟雅

  • 波を追ひつ波に追はれつ千鳥かななびい

  • 波を追ひ波に追はるる浜千鳥庭野環石

  • 波を追ひ波に追はれる夕千鳥茂木りん

  • 浜千鳥波を追つたり追はれたり伊藤順女

  • 波しぶき追いつ追われつ浜千鳥砂月みれい

 これらは「千鳥」という季語の本意に近い部分でもあります。このような季語情報を踏まえた上で、いかにオリジナリティとリアリティを加えていくか。参考にして下さい。

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1月の兼題

「三寒四温」

過去の審査結果

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