夏井いつき先生の俳句生活

夏井先生のプロフィール

夏井先生のプロフィール

夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。

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3月の兼題

「土筆」

1月の審査結果発表

兼題「三寒四温」

 お待たせしました! 1月の兼題「三寒四温」の結果発表でございます。今月も夏井先生からのアドバイスは必見です。東京の2月末は梅の花が見頃で風も穏やかで、「春だなあ」となごんでいたのですが、3月に入ってからは雪やみぞれが降り続いていて、見事な「三寒四温」ぶりです。本格的な春が待ち遠しいですね。3月の兼題「土筆」もふるってご応募ください。(編集部より)

「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。

天
三寒四温葛根湯がうそ甘い

平本魚水

夏井いつき先生より

 風邪の引き始めによく効く「葛根湯」は、発汗や解熱作用のある漢方薬。鎮痛作用もあるので肩こりや頭痛などにも効きます。「三寒四温」の頃は、気温の変化も大きく、体調を崩しやすい。「葛根湯」との取り合わせは相性が良いですね。
 下五「うそ甘い」の「うそ」は接頭語で、「なんとなく、どことなく」の意。「ほの甘い」「やや甘い」等ではなく、「うそ甘い」という表現が一句の眼目であり、「うそ」の響きのよそよそしさが隠し味にもなりました。
 そういえば、「葛根湯」って服用する度に、甘さの度合が違うと不思議に思っていたのですが、ある薬品会社のホームページにこんな記述を見つけました。「風邪や冷えた時など、体が欲する時は甘く感じるようです。」そんな事実を知れば尚更、「葛根湯」は「三寒四温」という季語に似合っているなと感じ入った次第です。

地
三寒四温かぜ武器となり楽器となり

古賀

「三寒四温」の「かぜ」は、「武器」のように寒々しくもあり、「楽器」のように心楽しくもなれる。発想そのものが詩ですね。中七下五「なり」のリフレインで佳き調べも生まれました。「かぜ」を平仮名にする表記にも心遣いがあります。

三寒四温子に花の名をつけようか

一石劣

「三寒四温」の頃に生まれる「子」の名付けを考えているのです。「花の名をつけようか」という口語の呼びかけが優しい一句。春を待つ心が、そんな思いを育むのでしょう。どんな花の名前をつけたのだろうと、想像も広がります。

耳鳴りの濁る三寒四温かな

喜祝音

 我が耳に棲みついている「耳鳴り」とは、妥協しつつ付き合ってきたのだけれど、「三寒四温」の頃は、殊更その音が濁って感じられるのです。かすかな溜息と春を待つ思いが読み取れる下五「かな」の詠嘆も効いています。

三寒四温有精卵は金色に

じゃすみん

 季語「三寒四温」を感じとっているのは、人間だけではありません。温め始めて十日頃の「有精卵」を光に透かすと、血管などができ始めているのが分かります。その命の証を「金色に」と表現。春になる頃にはヒヨコたちも誕生します。

三寒四温親父長生きしろよ馬鹿

江口朔太郎

 寒かったり温かくなったりの「三寒四温」。親父、体に気をつけろよ、「長生きしろよ」という息子からの思いがけない労わりの言葉。何、「馬鹿」言ってんだよ。照れるだろう、と父。ほんのりと心温まる父子の会話です。

人
  • 四温待つ遊足像の前のめり蛙里

  • 鳩の群れ四温の空を梳るあいむ李景

  • 三寒は耳に四温は喉元にあたしは斜楽

  • 三寒四温天動説の星忙し石井一草

  • 咲くことの痛き三寒四温かな泉晶子

  • 雲の楕円ゆつくり崩れ四温なる糸川ラッコ

  • 路地裏の三寒四温肉うどん伊予吟会宵嵐

  • 中指で掬う四温のニベアかな澤田紫

  • 阿蘇に湧く三寒四温の風の音清水ぽっぽ

  • 三寒四温雨はしづかに死につづける常幸龍BCAD

  • 三寒四温ゆたかに濁る花崗岩ぞんぬ

  • 三寒四温みづはまあるくなるとちゆうはごろも856

  • 三寒四温の日和ときをり五十肩樋口滑瓢

  • 三寒四温末吉結はへ蕾とす黒子

  • 四温とは卵で眠る夢のごと宮井そら

  • 三寒四温すなほに杉の子のそだつRUSTY=HISOKA

  • 四温待つ三寒とこそ弓を射る相生三楽

  • 三寒四温パンドラの箱が開く愛燦燦

  • 三寒四温木管のModerato愛島さと子

  • 三寒四温最南端の汽笛かな藍野絣

  • 三回忌終へて三寒四温かな青井季節

  • 三寒の鳶と四温の鴎かな青居舞

  • 三寒四温母の粗相を陰に干す蒼空蒼子

  • 飴玉の影は色付き四温日和青田奈央

  • 退職日三寒四温の先にあり青砥展典

  • 池の藻のゆらりゆらりと三寒四温赤い花弘

  • 張り替えしガットの固さ三寒四温赤尾てるぐ

  • 三寒四温知育菓子ってあまい赤尾双葉

  • 浅間山三寒四温のうすけぶりacari

  • 三寒四温ロンドの三楽章あかり

  • 三寒四温人は何時でももうちよつと赤尾実果

  • 三寒四温五年目のひきこもり愛柑(あかん)いつき組note俳句部

  • 三寒のびゅるん四温のしゅると風明惟久里

  • 鐘鳴らす手に国境はなし四温空地ヶ有

  • 三寒や介護日誌は八年目あくび指南

  • 長考の一手三寒四温の歩浅乃み雪

  • あれは夫四温に潤む星一つあじさい卓

  • 猿山の裾はまつくら三寒四温葦屋蛙城

  • 三寒四温カピバラの鼻の下藍創千悠子

  • 三寒四温あそんで育つ金平糖足立智美

  • 三寒の諍い四温の譲歩へat花結い

  • 糠まぜぬまぜる三寒四温かな渥美こぶこ

  • トンネルを抜けて詩人の郷四温あみま

  • 子ゴリラのでんぐり返る四温かな綾竹あんどれ

  • 参道の砂利濡れてゐる四温かな綾竹ろびん

  • 三寒や厨に固き貝の口荒一葉

  • 三寒四温動植物の伸び縮みあらかわすすむ

  • 三寒を臥して四温の散歩道有本としを

  • ふくよかなパーする稚の四温かな淡湖千優

  • 三寒の演歌四温のカンツォーネアンサトウ

  • 三寒のつわりと四温の胎動井若宙

  • 三寒に樹皮は太古の魚の如飯田淳子

  • 公転の軸の歪みや三寒四温飯沼深生

  • 物忘れふえて三寒四温かな飯村祐知子

  • 三寒四温開かずの間未だ閉づ粋庵仁空

  • 三寒四温有給をつかいきるよ池田華族

  • 調弦の弾く四温の光かな池田桐人

  • 三寒の波止場四温の大漁旗池之端モルト

  • マルボロや雨の四温の外階段イサク

  • 三寒四温父の背の抜糸跡伊澤遥佳

  • 関節の軋み三寒四温にて石井久次

  • 人工の水晶体入る四温の雨石垣エリザ

  • 採血の手をゆるり解き四温かな石塚碧葉

  • 三寒の空へ梯子を伸ばしたり石塚彩楓

  • 三寒や鏡の中の薄化粧石原由女

  • 手放せぬ三寒四温の頭痛薬石村香代子

  • 子午線のゆるむ三寒四温かな石村まい

  • 三寒の凝りを四温の陽に解す和泉攷

  • 三寒に角張る旧きボルボかな石上あまね

  • テーブルの血圧計や三寒四温いそのサリー

  • 三寒を嘆じ四温を憂ふ母板柿せっか

  • ねんてんの芯へ三寒四温かないたまき芯

  • 白球の音まだ硬き四温かないちすぺ

  • 送り歯のゆつくり三寒四温かな一ノ瀬なつめ

  • 三寒を抜けて四温の木曽路かないつかある日

  • ゆくりなし四温待たずに犬は逝く一秋子

  • 葉の裏にさなぎ膨らむ四温かな伊藤亜美子

  • 四温晴鴉の翅の黒光り伊藤映雪

  • 三寒四温稽古は嘘をつかぬもの伊藤なおじい

  • まち針の柔らかに留む四温かないとへん製作所

  • 面会のID返す四温かな井中ひよこ号

  • 三寒四温高き雲低き雲稲畑とりこ

  • 石棺や三寒四温天文図イナホセドリ

  • 三寒四温洗車機ブラシの虹居並小

  • 天窓や四温の朝の目玉焼き井上れんげ

  • 三寒四温母の記憶の中の母井納蒼求

  • 黒髪にヒジャブのひかる四温かな猪子石ニンニン

  • 地の神は三寒四温遊び好きいまいみどり

  • 鶏鳴の聞こゆる土手の四温かないまいやすのり

  • ピアソラや四温日和に針下ろす今乃武椪

  • 三寒四温常住坐臥僧跣妹のりこ

  • 三寒も四温も生きて飯を食う伊代ちゃんの娘2

  • 三寒四温大河ドラマの相関図岩佐りこ

  • あやとりのもつれをほどく四温かな岩清水彩香

  • 叔母訪ぬ三寒四温なきホー厶植田かず子

  • 東雲の模糊も三寒四温かな上野徹心

  • 三寒や次も足腰痛む客上野眞理

  • セメントに雀のあそぶ四温かな上原淳子

  • 招待状挿して四温の栞とすうからうから

  • ハンドクリーム一つしぼみぬ三寒四温靫草子

  • 寛解だってさ四温日和のスズメ海野青

  • 三寒やまだ髷結へぬ面皰ヅラ梅朶こいぬ

  • 焼きそばのソース足したる四温かな梅田三五

  • 許せるか許せぬ嘘か三寒四温江川月丸

  • 伯母ちゃんは四温の空へ消えてった蝦夷野ごうがしゃ

  • 吸ひて吸ひて肺の奥まで四温かな蝦夷やなぎ

  • 賞罰欄空きて三寒四温かな越冬こあら@QLD句会

  • 枡席にデビ夫人ゐる四温かな朶美子

  • 断捨離の三寒庭仕事の四温えりべり

  • 三寒に一月振りの雨こまか円美々

  • 神谷町四温日和のポケモン展近江菫花

  • 馴染めぬ街の三寒四温にゐる大岩摩利

  • ラジオでは四温の日々と締めにけり大久保一水

  • 胡同(フートン)に四温の来たり庭に阿爺大久保加州

  • 三寒四温なれど山なお寂し大阪駿馬

  • 塗装屋が足場を外す四温かな大澤眞

  • 三寒四温隣家廃屋となり大嶋宏治

  • 三寒や右麻痺の腕ズッシリと大嶋めで

  • さいしょはぐぅさんかんしおんじゃんけんぽん太田怒忘

  • 三寒四温薬一錠加はりぬ大塚恵美子

  • ピアノ弾く日々の三寒四温かな大津美

  • 自画像と生きる三寒四温かな大和田美信

  • 三寒の潮は四温の浜に果つ岡一夏

  • 佐渡ヶ島近くに見えて四温かなおかえさき

  • 三寒四温青森は火のかたち可笑式

  • 三寒と四温のあわい鬼の舞い岡田いっかん

  • 三寒の別居となりて四温晴岡田きなこ

  • 母の耳とおく三寒四温かな岡田ひろ子

  • 松葉杖囃す三寒四温かな岡田雅喜

  • 三寒が吸はれ四温は吐かれけり男鹿中熊兎

  • 病院の窓辺三寒四温かな岡村恵子

  • 三寒四温アトリエにテルペン油の香岡山小鞠

  • 三寒四温後遺症なる無味無臭小川さゆみ

  • 小康の院内散歩三寒四温小川しめじ

  • 四温の陽窓辺に足の爪を切る小川天鵲

  • 検尿の紙コップ折る四温かな小川野雪兎

  • 三寒の空に連峰立ち尽くす小川都雪

  • 全開のリュックびろんと干す四温オキザリス

  • フーコーの振り子は変わりなく四温沖らくだ@QLD句会

  • 三寒四温遮光器土偶まどか荻原湧

  • 蜂蜜の伸びる気泡や四温光小倉あんこ

  • 三寒四温金継ぎは一期一会おこそとの

  • 三寒四温みづひかりめく龍神社越智空子

  • 補助輪が取れて四温の風になる小仲翠太

  • 四温晴うづきだしたる土のなかおひい

  • 三寒の烏音程外しつつおぼろ月

  • 三寒の空の谷間をモノレールぉ村椅子(志村肇)

  • 三寒四温いつでも祖母はお陰様おんちゃん。

  • こゑ消去できず三寒四温かなかいぐりかいぐり

  • 三寒四温アルパカの目の透け具合海堂一花

  • 顔認証遅々と三寒四温かな海峯企鵝

  • ポケットに汚れお神籤四温日和甲斐ももか

  • 小海線緩く弧を描く四温かな香依蒼

  • 仏僧の抑揚を追ふ四温かな火炎幸彦

  • 測量士四温の雨に沈む靴樫の木

  • 三寒四温しりとりが終わらない梶原菫

  • 胎動の激しき四温晴れの午後風薫子

  • 三寒四温くたくたの折紙蝸牛

  • 点滴の百の針跡三寒四温花鳥風猫

  • 三寒や部屋を陣取る段ボールかつたろー。

  • 湯気立ちて三寒四温の牛舎かな加藤水玉

  • 赤本が路肩に死んでゐる四温かときち

  • 単語帳足して三寒四温かな叶田屋

  • リハビリの小径も四温茜雲金子陽

  • 三寒四温足毛伸びきる烏骨鶏金子泰山

  • 三寒四温シーソーの子の代わる代わるかねつき走流

  • 目の閉じた写真を笑う四温かな花星壱和

  • 緩みたる四温の夜の下駄の音釜眞手打ち蕎麦

  • 釣り人の浮に四温の波優し神島六男

  • しみじみと四温の月のぼやけをる神谷たくみ

  • 三寒四温風は泣いたり笑つたり亀田かつおぶし

  • 三寒四温余生と言うも気忙しく亀山酔田

  • オカリナは四温の響き子の寝息鴨の里

  • 風の子や三寒四温の影を踏む絡丸いと

  • 鉄塔の巨樹めく捩れ四温光刈屋まさを

  • 嬰児のうんち褒めあふ四温かな川越羽流

  • 三寒四温うずめの裳緒解き始む翡翠工房

  • 閉店の喫茶「みちくさ」四温晴れ河村静葩

  • 二番目の父ゐる夕餉三寒四温干天の慈雨

  • うかうかと傘寿三寒四温かな閑酉

  • 鹿の跡躍る三寒四温かな季紫子

  • 三寒四温オルガンの空気音岸来夢

  • 窓際に吊るす鳥かご四温光喜多丘一路

  • 三寒四温高麗人参瓶に沿ふ北野きのこ

  • 猫縮み伸びて三寒四温かな北乃大地

  • 万蕾を宿し三寒四温の樹北村環

  • 三寒四温のさばり続く鼻白髪木寺仙游

  • 能面の微かに弛む四温かな城内幸江

  • 化粧水の肌になじみて四温かな木下美樹枝

  • ささくれ畳へ三寒四温の陽きべし

  • 岩絵具三寒四温のでこぼこ木ぼこやしき

  • 糠床の中の三寒四温かな気まぐれ亭いるか

  • 三寒の円空四温の木喰仏木村隆夫

  • 三寒は我に四温は子供等に木村弩凡

  • 三寒四温おむつ外しの上手き保母木元紫瑛

  • 樽の香の甘し四温のワイナリーQ&A

  • 三寒四温遠くを見ている埴輪の目Qさん

  • 三寒の残せるきのふと云ふ尻尾きゅうもんde木の芽

  • 壁睨む坊主三寒四温の無京野秋水

  • 三寒四温五人姉妹のみな丸顔杏乃みずな

  • 湯治場の自炊三寒四温かな霧澄渡

  • 三寒四温ホルンの旋律は不穏くぅ

  • 半島は三寒四温鯱の群れくさ

  • 米を研ぐ五指八の字に四温かな久信田史夫

  • 三寒四温ウクレレの弦切れたままくつのした子

  • 三寒やこむらがえりの夜をなく熊谷温古

  • 三寒に膝関節の鳴る夜明紅三季

  • 海面の鱗のゆるぶ四温かな眩む凡

  • 三寒四温麹の熱の朗らかに栗田すずさん

  • 遠浅の鳥居三寒四温の朱久留里61

  • 三寒よ行くな四温よまだ来るな黒山万牛

  • パウルクレー色に四温の響きありくんちんさま

  • 犬清く老いて三寒四温かな恵勇

  • 尾道の猫の三寒四温かな月下檸檬

  • 鉄琴と木琴の間の四温かなげばげば

  • 三寒四温帆を張る船や張らぬ船健央介

  • これがたぶん閉経三寒四温謙久

  • 賽振りて三寒四温うらなひぬケント

  • 文鳥の脚のか細さ三寒四温剣橋こじ

  • 転職を決めて三寒四温かな恋瀬川三緒

  • 三寒四温言い訳長き予報河国老末廣

  • 三寒四温集会の給湯室紅紫あやめ

  • 編めぬままほどく三寒四温かな柑たちばな

  • 瓦踏むユンボ三寒四温かな幸田梓弓

  • ポケットに指輪三寒四温かなこうだ知沙

  • じり高の相場三寒四温かな宏楽

  • 三寒四温江戸の柱の時計鳴るごーくん

  • 陽当たりの三寒四温待合所こきん

  • 三寒の決意四温に緩びたり小園夢子

  • 三寒四温バイエルのたどたどし木染湧水

  • 頸管の短し三寒四温らしこてぬぐい

  • 餌を盗む鳥祓ふ三寒四温虎堂吟雅

  • 鍵盤の白さ三寒四温かな後藤三梅

  • 街灯の潤む四温の夜明け前来冬邦子

  • 襟ぐりの鎖骨三寒四温かな古都鈴

  • 三寒の裸電球風強し粉山

  • 三寒の花ひらきゆく中国茶このみ杏仁

  • 三寒や浅草発の終電車小林昇

  • 朝刊の手触り三寒四温かな小林のりこ

  • ひかる息三寒を君走りけり木挽町豆奴

  • 骨髄移植五年三寒四温こひつじ@QLD俳句会

  • 親鸞のふと腑に落ちて四温の日ごま爺

  • 三寒の日向の土に四温の香小南子

  • 傘たたみ四温の雨に濡れたがり小望月あうる

  • 三寒四温新アリーナに海匂ふ小山晃

  • 三寒と四温の間にゐて童貞GONZA

  • 良き農場に子牛生まるる四温かなこんのゆうき

  • 三寒や折り鶴の嘴硬しコンフィ

  • 甥っ子の歯の抜け変わる四温かな西條晶夫

  • 四温晴れ動く胎児の大欠伸さいたま水夢

  • 積木して四温に崩し凪の海埼玉の巫女

  • 奥能登の三寒四温槌の音齋藤桃杏

  • すり切れた街の三寒四温かな坂口いちお

  • 嬰児の頬はへこまぬ三寒四温坂野ひでこ

  • 半島の三寒四温に解く家や坂まきか

  • 髪束ね三寒四温の裾野かなさくら亜紀女

  • 光射す四温の句座をひらく鍵桜鯛みわ

  • 三寒四温子の心臓とひとつなる桜姫5

  • 三寒や母校に残る百葉箱雑魚寝

  • 母乳パック持って行く道三寒四温笹桐陽介

  • 三寒四温のど詰まるほど薬さち今宵

  • 味噌樽に石積む三寒四温かな佐藤恒治

  • 入院の三寒四温爪を切る佐藤志祐

  • 荒ら家に三寒四温押し寄せる佐藤俊

  • 三寒四温雲は浅間を一巡りさとうナッツ

  • 三寒の風を残して四温光佐藤浩章

  • 五苓散もらふ三寒四温かな佐藤ゆま

  • 昨今の三寒四温横綱に土さのじ

  • しづかなる雨となりゆく四温かな佐野良彦

  • 三寒四温朽ちし鳥居の連なりを錆田水遊

  • 三寒やきつちり量る小さじ一彷徨ういろは

  • 三寒四温溜池は工事中さむしん

  • うさぎ埋め三寒の土余りけりさるぼぼ17

  • 三寒四温いびつなる動脈瘤沢井如伽

  • 自転車や三寒四温の膝小僧沢拓庵◎いつき組カーリング部

  • 赤べこゆらゆら三寒四温かな澤田捨楽

  • 三寒の厨しやりりと研ぐ包丁三月兎

  • そろそろと四温にめくる求人誌珊瑚霧

  • 猫老いて三寒四温の頃淡し   仮名遣い三尺玉子

  • 巻き爪の包帯弛む四温かな塩沢桂子

  • 新しいカルテ三寒四温嗅ぐ塩の司厨長

  • 墨の香や三寒四温の声を聞く四季彩

  • 三寒に笑ひ四温に笑ふ客柿司十六

  • 医務室の四温カーゼの減るはやさ四條たんし

  • 三寒四温ゴム入れ替える子供服信濃のあっくん

  • 三寒四温果物色の空愛でる芝歩愛美

  • 三寒四温かくれ家にぎんがみのばら渋谷晶

  • 病得て浸る四温や海は青しぼりはf22

  • やりすごす三寒じゅわとがんもどき島田あんず

  • 休日の四温に鸚鵡よくしやべる清水縞午

  • 三寒四温白の絵の具に白重ね清水祥月

  • 三寒のなくて四温の日本晴清水容子

  • 三寒に気早な小鳥羽干せり霜川このみ

  • 三寒四温ヴィンテージ店開店霜月シナ

  • 逆バンジー三寒四温の空へ下丼月光

  • 三寒のあとの四温のおぼつかな下村修

  • 三寒四温土三寒六饂飩打つ     =うどんの茹で加減?洒落神戸

  • 三寒四温せせらぎの横枝に鱗柊二@冨美夛

  • ポケットに五百円ある四温かな順之介@QLD句会

  • 三寒や灯す会津の絵蝋燭庄司芳彦

  • 接吻を待つ空と木や三寒四温白井佐登志

  • 菜園の堆肥三寒四温かな白井百合子

  • 三寒四温ドアの軋みを聞き分けて白沢ポピー

  • 三寒に重し四温に軽し脚四郎高綱

  • 空は鏡三寒四温てふ振子白よだか

  • 三寒四温登山靴に乾く土しわしわ

  • 三寒のウォッカ四温のロシアンティージン・ケンジ

  • 十五歳海へ四温のスニーカーすがりとおる

  • 靴音の転調を聴く三寒四温杉岡ライカ

  • 建前の四温日和となりにけり杉尾芭蕉

  • 三寒のオリオン四温のシリウス杉本果ら

  • カンディンスキーめける三寒四温かな鈴木由紀子

  • 三寒四温柱時計のまた止まる清白真冬

  • 三寒の祇園四温の先斗町すずなき

  • 幼名の声へ振り向く四温の日鈴野蒼爽

  • 今ミの音くらいの三寒四温鈴野冬遊

  • 生き延びし軍鶏の三寒四温かな主藤充子

  • 三寒四温オセロの石は白と黒砂山恵子

  • 七度目の巳年を迎え四温晴青児

  • 三寒四温図書館の延滞本清仁

  • 三寒四温我が影は巨大です青邑

  • 小児科の机散乱三寒四温瀬央ありさ

  • 夢千代の足湯ゆたゆた四温晴sekiいつき組広ブロ俳句部

  • 星すすぎ三寒四温は風まろむ摂田屋酵道

  • 三寒の陽だまり藁の中に山羊千・いつき組広ブロ俳句部

  • 三寒四温消しゴムのこぼれる窓枠素因数分解

  • 胸の琥珀三寒四温の輝きそうま純香

  • 又三郎よぎる三寒四温かな草夕感じ

  • 三寒四温五臓六腑へ温き水外鴨南菊

  • 首筋の黒子艶めく四温かなそまり

  • 交差するエスカレーター六基四温空豆魚

  • 三寒の現場復旧終え四温たーとるQ

  • 国生みの島に三寒四温の香高岡春雪

  • 救急車けふは走らぬ四温かな高木音弥

  • 三寒や月をくはふる指狐高瀬小唄

  • 三寒や南海トラフの本売れる鷹取碧村

  • 眠剤を半分に三寒四温高橋寅次

  • 包丁に反りたる三寒の砥石高原としなり

  • 更年期のごとき三寒四温かな鷹見沢幸

  • 三寒の腰痛四温の微熱かなたかみたかみ・いつき組広ブロ俳句部

  • 三寒の弾力強しカチョカバロ   チーズ滝上珠加

  • 三寒の夜やペーチカの唄甘し滝川橋

  • 手つむぎに明け暮れ三寒四温かな竹内不撚

  • 老犬の巻き尾の太し四温晴たけぐち遊子

  • スコップに三寒四温の土匂ふ竹田むべ

  • 三寒四温オカリナのオクターブ吹くたけろー

  • 三寒四温牛の胎子は雌らしい多数野麻仁男

  • 三寒四温ガラスの穴は捨ておかれただ地蔵

  • 三寒四温調号のやうに雲多々良海月

  • 移住相談四温の空の雲きれい立田鯊夢いつき組広ブロ俳句部

  • 三寒四温オペレーターは人の声田中勲

  • 腰痛を鎮む三寒四温かな田中紺青

  • 長城の果てや三寒また四温谷斜六

  • 三寒四温糠床ヘ手をかへす谷しゅんのすけ

  • 三寒四温せせらぎの拍動す田上南郷

  • 四温光タイムカプセル埋めた場所田畑整

  • 三寒四温五臓六腑をくるむ古希田端欲句歩

  • 三寒四温脈拍めく晩鐘玉家屋

  • 三寒四温あそびつつ育つ子ら田村利平

  • 三寒やバックネットの金属音鱈瑞々

  • 三寒四温ねうねうと伸ぶ猫の髭丹波らる

  • 母叱り子叱り三寒四温かな千夏乃ありあり

  • 三寒四温あの塹壕にもきっと智同美月

  • 四温なる思惟の弥勒菩薩かな千歳みち乃

  • 三寒四温往診は不意にくる千葉信子

  • 三寒四温ほのと灯れる有平棒彫刻刀

  • 主訴多き整体三寒四温かな千和にの

  • 五十分先のバス待つ四温かなつえりん

  • 神々の三寒四温鈴をふる月城龍二

  • 失業中三寒四温靴の傷月見里ふく

  • 三寒四温辞表の筆のおぼつかなつくばよはく

  • 半返す糸進みけり三寒四温つくも果音

  • 三寒のぽつんと日溜まる空きベット辻本四季鳥

  • 産声は寝息となりて四温来ぬつちや郷里

  • 三寒四温メビウスの帯捩れ津々うらら

  • ギター鳴る三寒四温の南口椿泰文

  • 本棚の本もたれあふ四温かな坪田恭壱

  • ワラビーの仔に育児嚢あり四温爪太郎

  • 三寒四温国会議事堂微動鶴富士

  • 四温なれICUに恩師の名徹光よし季

  • 三寒四温木は深く呼吸する天雅

  • 三寒のひかがみ四温の膝小僧天陽ゆう

  • 三寒四温猫よけボトル眩し

  • 定まらぬ自画像や三寒四温トウ甘藻

  • 手水うく三寒四温の風孕み21

  • 今日たぶん三寒四温「し」のあたり遠峰熊野

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  • 利益グラフのやうな三寒四温渡部克三度

  • 三百円当たりて三寒四温渡辺香野

  • 来客の座布団並べ待つ四温渡邉花

  • 三寒四温じんわり伸ばす膝の裏渡辺陽子

  • 外出は四温中日の歯医者かな渡邉わかな

  • 三寒四温の床掃除機は蛇亘航希

  • 三寒の四温ざらつくたなごころ岩木順

  • 三寒の四温掃き出す車庫のみづ佐藤儒艮

  • 三寒の四温伊香保へバス予約二見歌蓮

  • 三寒四温やちんちろりんの七振り目あたなごっち

  • 園バス追う自転車三寒四温アニマル可秘跳

  • 雲間より三寒四温のひかりさす片岡明

  • 朝刊の柔き三寒四温かな加山シンゴ

  • 三寒や箱根路を行く中継車うめやえのきだけ

  • 開けたての緑茶三寒四温かな芥茶古美

  • 風強し三寒四温吹きとばす天鳥そら

  • 見上げる空三寒四温鳥の飛ぶあらいゆう

  • 温さはサドルへ三寒四温なり伊藤小熊猫

  • 戸の外は三寒四温子の寝息大野てまり

  • 茶柱や三寒四温風が舞う大原妃

  • 玻璃戸より三寒四温蠢きて岡井風紋

  • 旅の朝三寒四温煙る山影夢者

  • 三寒四温茶柱の立つ朝妻と如月ゆう

  • ごみを出す首筋の三寒四温國本秀山

  • 一着二着同着三寒四温今藤明

  • 大漁旗なびくハラソ祭三寒四温櫻井弘子

  • 母来る三寒四温燗つける雨降りお月さん

  • 三寒四温皺増えつつ俊足一慎

  • 照り込む日三寒四温の訪れ丘るみこ

  • 三寒四温梅酒の実や芳醇末広野暢一

  • 今日の眉とってもきれい三寒四温十月小萩

  • 嫁ぐ日は三寒四温ゆるむ頃秋芳

  • 胃カメラの結果を聞く日三寒四温はままこみかん

  • 三寒の針孔に四温の赤き糸匹田小春花

  • 起立礼三寒四温の一日入学ふさ女

  • 店の前三寒四温手を擦る本気のめんそ

今月のアドバイス
夏井いつき先生からの一言アドバイス

◆俳号のお願い二つ

①似たような俳号を使う人が増えています。
 俳号は、自分の作品をマーキングするための印でもあります。せめて、俳号に名字をつけていただけると有り難く。共に気持ちよく学ぶための小さな心遣いです。

②同一人物が複数の俳号を使って投句するのは、堅くご遠慮下さい。「いろんな俳号でいっぱい出せば、どれか紹介されるだろう」という考え方は、俳句には馴染みません。丁寧にコツコツと学んでまいりましょう。


◆ひとことアドバイス


●俳句の正しい表記とは?

  • 節分を 越えて 気持ちは 上り坂ぽんた

「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪


●兼題とは

  • 祖母軽歩今日のメニューは七日粥直太郎

  • 認め合ふ異なる詞去年今年ねずみ

 本俳句サイトでは兼題が出題されています。今回は、季語「三寒四温」での募集でした。次回の兼題を確認して、再度挑戦して下さい。


  • 聘礼使三寒四暖も乗せ来る竹庵

  • 四音日和「うさぎとかめ」の勝利者は綱川羽音

 うっかりミスなのだろうな、とは思うのですが。投句ボタンを押す前の確認を習慣づけましょう。


●季重なり

  • 三寒の雪の華四温の花香伊藤節子

  • 土の色三寒四温のあたたかさ梅泰然

  • オンドルの三寒四温煙る空えのき絵巻

  • 手袋はリュックの中に四温かな木村カズ

  • 三寒のマフラー四温のスカーフ薩摩じったくい

  • 冷たさも四温を待や温水に高橋紀代子

  • セーターをいつ洗おうか三寒四温中藤雅子

  • 朝散歩三寒四温に鴨集ふ徘徊狂人

  • 三寒四温日差し明るし風寒し原善枝

  • まあだだよ三寒四温山椒の芽山野花子

  • 三寒の蘭の花芽の頑なさ理真

  • 三寒に芽吹き伸びゆく四温かな

 一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「三寒四温」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。


●入力ミス・文字化け

  • エアコンを2?下げる三寒四温橋爪利志美

 入力ミス、誤字脱字はよくあります。送信ボタンを押す前の、最後の確認を習慣にしましょう。文字化けは不可抗力に近いけど、文字化けしそうな字を予測できるかも。


●今月の選外

「三寒四温」は七音なので、扱い方が難しい季語。更に、時間経過を含んでいる季語なので、その特色も含めて、挑み甲斐のある季語ではありました。とはいえ、季語を説明するに終わった句や、逆に季語の本意を無視した句などがいつも以上に目につきました。
 毎回のことではありますが、言葉を詰め込み過ぎて十七音が破綻したり、言葉の選択ミスで自分にしか分からない句になっているもののも一定数ありました。
 客観的に自分の句を眺めるために、経験値は重要な要素ではありますが、せめて投句するまでにささやかな時間をおいて、見直してみることを習慣づけましょう。〆切当日にドタバタするのではなく、自分なりの事前〆切を作り、「句を寝かせる」ことをお勧めします。

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3月の兼題

「土筆」

過去の審査結果

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