夏井先生のプロフィール
夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。
1月の審査結果発表
兼題「三寒四温」
「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。
三寒四温葛根湯がうそ甘い
平本魚水
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夏井いつき先生より
風邪の引き始めによく効く「葛根湯」は、発汗や解熱作用のある漢方薬。鎮痛作用もあるので肩こりや頭痛などにも効きます。「三寒四温」の頃は、気温の変化も大きく、体調を崩しやすい。「葛根湯」との取り合わせは相性が良いですね。
下五「うそ甘い」の「うそ」は接頭語で、「なんとなく、どことなく」の意。「ほの甘い」「やや甘い」等ではなく、「うそ甘い」という表現が一句の眼目であり、「うそ」の響きのよそよそしさが隠し味にもなりました。
そういえば、「葛根湯」って服用する度に、甘さの度合が違うと不思議に思っていたのですが、ある薬品会社のホームページにこんな記述を見つけました。「風邪や冷えた時など、体が欲する時は甘く感じるようです。」そんな事実を知れば尚更、「葛根湯」は「三寒四温」という季語に似合っているなと感じ入った次第です。
三寒四温かぜ武器となり楽器となり
古賀
「三寒四温」の「かぜ」は、「武器」のように寒々しくもあり、「楽器」のように心楽しくもなれる。発想そのものが詩ですね。中七下五「なり」のリフレインで佳き調べも生まれました。「かぜ」を平仮名にする表記にも心遣いがあります。
三寒四温子に花の名をつけようか
一石劣
「三寒四温」の頃に生まれる「子」の名付けを考えているのです。「花の名をつけようか」という口語の呼びかけが優しい一句。春を待つ心が、そんな思いを育むのでしょう。どんな花の名前をつけたのだろうと、想像も広がります。
耳鳴りの濁る三寒四温かな
喜祝音
我が耳に棲みついている「耳鳴り」とは、妥協しつつ付き合ってきたのだけれど、「三寒四温」の頃は、殊更その音が濁って感じられるのです。かすかな溜息と春を待つ思いが読み取れる下五「かな」の詠嘆も効いています。
三寒四温有精卵は金色に
じゃすみん
季語「三寒四温」を感じとっているのは、人間だけではありません。温め始めて十日頃の「有精卵」を光に透かすと、血管などができ始めているのが分かります。その命の証を「金色に」と表現。春になる頃にはヒヨコたちも誕生します。
三寒四温親父長生きしろよ馬鹿
江口朔太郎
寒かったり温かくなったりの「三寒四温」。親父、体に気をつけろよ、「長生きしろよ」という息子からの思いがけない労わりの言葉。何、「馬鹿」言ってんだよ。照れるだろう、と父。ほんのりと心温まる父子の会話です。
四温待つ遊足像の前のめり蛙里
鳩の群れ四温の空を梳るあいむ李景
三寒は耳に四温は喉元にあたしは斜楽
三寒四温天動説の星忙し石井一草
咲くことの痛き三寒四温かな泉晶子
雲の楕円ゆつくり崩れ四温なる糸川ラッコ
路地裏の三寒四温肉うどん伊予吟会宵嵐
中指で掬う四温のニベアかな澤田紫
阿蘇に湧く三寒四温の風の音清水ぽっぽ
三寒四温雨はしづかに死につづける常幸龍BCAD
三寒四温ゆたかに濁る花崗岩ぞんぬ
三寒四温みづはまあるくなるとちゆうはごろも856
三寒四温の日和ときをり五十肩樋口滑瓢
三寒四温末吉結はへ蕾とす黒子
四温とは卵で眠る夢のごと宮井そら
三寒四温すなほに杉の子のそだつRUSTY=HISOKA
四温待つ三寒とこそ弓を射る相生三楽
三寒四温パンドラの箱が開く愛燦燦
三寒四温木管のModerato愛島さと子
三寒四温最南端の汽笛かな藍野絣
三回忌終へて三寒四温かな青井季節
三寒の鳶と四温の鴎かな青居舞
三寒四温母の粗相を陰に干す蒼空蒼子
飴玉の影は色付き四温日和青田奈央
退職日三寒四温の先にあり青砥展典
池の藻のゆらりゆらりと三寒四温赤い花弘
張り替えしガットの固さ三寒四温赤尾てるぐ
三寒四温知育菓子ってあまい赤尾双葉
浅間山三寒四温のうすけぶりacari
三寒四温ロンドの三楽章あかり
三寒四温人は何時でももうちよつと赤尾実果
三寒四温五年目のひきこもり愛柑(あかん)いつき組note俳句部
三寒のびゅるん四温のしゅると風明惟久里
鐘鳴らす手に国境はなし四温空地ヶ有
三寒や介護日誌は八年目あくび指南
長考の一手三寒四温の歩浅乃み雪
あれは夫四温に潤む星一つあじさい卓
猿山の裾はまつくら三寒四温葦屋蛙城
三寒四温カピバラの鼻の下藍創千悠子
三寒四温あそんで育つ金平糖足立智美
三寒の諍い四温の譲歩へat花結い
糠まぜぬまぜる三寒四温かな渥美こぶこ
トンネルを抜けて詩人の郷四温あみま
子ゴリラのでんぐり返る四温かな綾竹あんどれ
参道の砂利濡れてゐる四温かな綾竹ろびん
三寒や厨に固き貝の口荒一葉
三寒四温動植物の伸び縮みあらかわすすむ
三寒を臥して四温の散歩道有本としを
ふくよかなパーする稚の四温かな淡湖千優
三寒の演歌四温のカンツォーネアンサトウ
三寒のつわりと四温の胎動井若宙
三寒に樹皮は太古の魚の如飯田淳子
公転の軸の歪みや三寒四温飯沼深生
物忘れふえて三寒四温かな飯村祐知子
三寒四温開かずの間未だ閉づ粋庵仁空
三寒四温有給をつかいきるよ池田華族
調弦の弾く四温の光かな池田桐人
三寒の波止場四温の大漁旗池之端モルト
マルボロや雨の四温の外階段イサク
三寒四温父の背の抜糸跡伊澤遥佳
関節の軋み三寒四温にて石井久次
人工の水晶体入る四温の雨石垣エリザ
採血の手をゆるり解き四温かな石塚碧葉
三寒の空へ梯子を伸ばしたり石塚彩楓
三寒や鏡の中の薄化粧石原由女
手放せぬ三寒四温の頭痛薬石村香代子
子午線のゆるむ三寒四温かな石村まい
三寒の凝りを四温の陽に解す和泉攷
三寒に角張る旧きボルボかな石上あまね
テーブルの血圧計や三寒四温いそのサリー
三寒を嘆じ四温を憂ふ母板柿せっか
ねんてんの芯へ三寒四温かないたまき芯
白球の音まだ硬き四温かないちすぺ
送り歯のゆつくり三寒四温かな一ノ瀬なつめ
三寒を抜けて四温の木曽路かないつかある日
ゆくりなし四温待たずに犬は逝く一秋子
葉の裏にさなぎ膨らむ四温かな伊藤亜美子
四温晴鴉の翅の黒光り伊藤映雪
三寒四温稽古は嘘をつかぬもの伊藤なおじい
まち針の柔らかに留む四温かないとへん製作所
面会のID返す四温かな井中ひよこ号
三寒四温高き雲低き雲稲畑とりこ
石棺や三寒四温天文図イナホセドリ
三寒四温洗車機ブラシの虹居並小
天窓や四温の朝の目玉焼き井上れんげ
三寒四温母の記憶の中の母井納蒼求
黒髪にヒジャブのひかる四温かな猪子石ニンニン
地の神は三寒四温遊び好きいまいみどり
鶏鳴の聞こゆる土手の四温かないまいやすのり
ピアソラや四温日和に針下ろす今乃武椪
三寒四温常住坐臥僧跣妹のりこ
三寒も四温も生きて飯を食う伊代ちゃんの娘2
三寒四温大河ドラマの相関図岩佐りこ
あやとりのもつれをほどく四温かな岩清水彩香
叔母訪ぬ三寒四温なきホー厶植田かず子
東雲の模糊も三寒四温かな上野徹心
三寒や次も足腰痛む客上野眞理
セメントに雀のあそぶ四温かな上原淳子
招待状挿して四温の栞とすうからうから
ハンドクリーム一つしぼみぬ三寒四温靫草子
寛解だってさ四温日和のスズメ海野青
三寒やまだ髷結へぬ面皰ヅラ梅朶こいぬ
焼きそばのソース足したる四温かな梅田三五
許せるか許せぬ嘘か三寒四温江川月丸
伯母ちゃんは四温の空へ消えてった蝦夷野ごうがしゃ
吸ひて吸ひて肺の奥まで四温かな蝦夷やなぎ
賞罰欄空きて三寒四温かな越冬こあら@QLD句会
枡席にデビ夫人ゐる四温かな朶美子
断捨離の三寒庭仕事の四温えりべり
三寒に一月振りの雨こまか円美々
神谷町四温日和のポケモン展近江菫花
馴染めぬ街の三寒四温にゐる大岩摩利
ラジオでは四温の日々と締めにけり大久保一水
胡同(フートン)に四温の来たり庭に阿爺大久保加州
三寒四温なれど山なお寂し大阪駿馬
塗装屋が足場を外す四温かな大澤眞
三寒四温隣家廃屋となり大嶋宏治
三寒や右麻痺の腕ズッシリと大嶋めで
さいしょはぐぅさんかんしおんじゃんけんぽん太田怒忘
三寒四温薬一錠加はりぬ大塚恵美子
ピアノ弾く日々の三寒四温かな大津美
自画像と生きる三寒四温かな大和田美信
三寒の潮は四温の浜に果つ岡一夏
佐渡ヶ島近くに見えて四温かなおかえさき
三寒四温青森は火のかたち可笑式
三寒と四温のあわい鬼の舞い岡田いっかん
三寒の別居となりて四温晴岡田きなこ
母の耳とおく三寒四温かな岡田ひろ子
松葉杖囃す三寒四温かな岡田雅喜
三寒が吸はれ四温は吐かれけり男鹿中熊兎
病院の窓辺三寒四温かな岡村恵子
三寒四温アトリエにテルペン油の香岡山小鞠
三寒四温後遺症なる無味無臭小川さゆみ
小康の院内散歩三寒四温小川しめじ
四温の陽窓辺に足の爪を切る小川天鵲
検尿の紙コップ折る四温かな小川野雪兎
三寒の空に連峰立ち尽くす小川都雪
全開のリュックびろんと干す四温オキザリス
フーコーの振り子は変わりなく四温沖らくだ@QLD句会
三寒四温遮光器土偶まどか荻原湧
蜂蜜の伸びる気泡や四温光小倉あんこ
三寒四温金継ぎは一期一会おこそとの
三寒四温みづひかりめく龍神社越智空子
補助輪が取れて四温の風になる小仲翠太
四温晴うづきだしたる土のなかおひい
三寒の烏音程外しつつおぼろ月
三寒の空の谷間をモノレールぉ村椅子(志村肇)
三寒四温いつでも祖母はお陰様おんちゃん。
こゑ消去できず三寒四温かなかいぐりかいぐり
三寒四温アルパカの目の透け具合海堂一花
顔認証遅々と三寒四温かな海峯企鵝
ポケットに汚れお神籤四温日和甲斐ももか
小海線緩く弧を描く四温かな香依蒼
仏僧の抑揚を追ふ四温かな火炎幸彦
測量士四温の雨に沈む靴樫の木
三寒四温しりとりが終わらない梶原菫
胎動の激しき四温晴れの午後風薫子
三寒四温くたくたの折紙蝸牛
点滴の百の針跡三寒四温花鳥風猫
三寒や部屋を陣取る段ボールかつたろー。
湯気立ちて三寒四温の牛舎かな加藤水玉
赤本が路肩に死んでゐる四温かときち
単語帳足して三寒四温かな叶田屋
リハビリの小径も四温茜雲金子陽
三寒四温足毛伸びきる烏骨鶏金子泰山
三寒四温シーソーの子の代わる代わるかねつき走流
目の閉じた写真を笑う四温かな花星壱和
緩みたる四温の夜の下駄の音釜眞手打ち蕎麦
釣り人の浮に四温の波優し神島六男
しみじみと四温の月のぼやけをる神谷たくみ
三寒四温風は泣いたり笑つたり亀田かつおぶし
三寒四温余生と言うも気忙しく亀山酔田
オカリナは四温の響き子の寝息鴨の里
風の子や三寒四温の影を踏む絡丸いと
鉄塔の巨樹めく捩れ四温光刈屋まさを
嬰児のうんち褒めあふ四温かな川越羽流
三寒四温うずめの裳緒解き始む翡翠工房
閉店の喫茶「みちくさ」四温晴れ河村静葩
二番目の父ゐる夕餉三寒四温干天の慈雨
うかうかと傘寿三寒四温かな閑酉
鹿の跡躍る三寒四温かな季紫子
三寒四温オルガンの空気音岸来夢
窓際に吊るす鳥かご四温光喜多丘一路
三寒四温高麗人参瓶に沿ふ北野きのこ
猫縮み伸びて三寒四温かな北乃大地
万蕾を宿し三寒四温の樹北村環
三寒四温のさばり続く鼻白髪木寺仙游
能面の微かに弛む四温かな城内幸江
化粧水の肌になじみて四温かな木下美樹枝
ささくれ畳へ三寒四温の陽きべし
岩絵具三寒四温のでこぼこ木ぼこやしき
糠床の中の三寒四温かな気まぐれ亭いるか
三寒の円空四温の木喰仏木村隆夫
三寒は我に四温は子供等に木村弩凡
三寒四温おむつ外しの上手き保母木元紫瑛
樽の香の甘し四温のワイナリーQ&A
三寒四温遠くを見ている埴輪の目Qさん
三寒の残せるきのふと云ふ尻尾きゅうもんde木の芽
壁睨む坊主三寒四温の無京野秋水
三寒四温五人姉妹のみな丸顔杏乃みずな
湯治場の自炊三寒四温かな霧澄渡
三寒四温ホルンの旋律は不穏くぅ
半島は三寒四温鯱の群れくさ
米を研ぐ五指八の字に四温かな久信田史夫
三寒四温ウクレレの弦切れたままくつのした子
三寒やこむらがえりの夜をなく熊谷温古
三寒に膝関節の鳴る夜明紅三季
海面の鱗のゆるぶ四温かな眩む凡
三寒四温麹の熱の朗らかに栗田すずさん
遠浅の鳥居三寒四温の朱久留里61
三寒よ行くな四温よまだ来るな黒山万牛
パウルクレー色に四温の響きありくんちんさま
犬清く老いて三寒四温かな恵勇
尾道の猫の三寒四温かな月下檸檬
鉄琴と木琴の間の四温かなげばげば
三寒四温帆を張る船や張らぬ船健央介
これがたぶん閉経三寒四温謙久
賽振りて三寒四温うらなひぬケント
文鳥の脚のか細さ三寒四温剣橋こじ
転職を決めて三寒四温かな恋瀬川三緒
三寒四温言い訳長き予報河国老末廣
三寒四温集会の給湯室紅紫あやめ
編めぬままほどく三寒四温かな柑たちばな
瓦踏むユンボ三寒四温かな幸田梓弓
ポケットに指輪三寒四温かなこうだ知沙
じり高の相場三寒四温かな宏楽
三寒四温江戸の柱の時計鳴るごーくん
陽当たりの三寒四温待合所こきん
三寒の決意四温に緩びたり小園夢子
三寒四温バイエルのたどたどし木染湧水
頸管の短し三寒四温らしこてぬぐい
餌を盗む鳥祓ふ三寒四温虎堂吟雅
鍵盤の白さ三寒四温かな後藤三梅
街灯の潤む四温の夜明け前来冬邦子
襟ぐりの鎖骨三寒四温かな古都鈴
三寒の裸電球風強し粉山
三寒の花ひらきゆく中国茶このみ杏仁
三寒や浅草発の終電車小林昇
朝刊の手触り三寒四温かな小林のりこ
ひかる息三寒を君走りけり木挽町豆奴
骨髄移植五年三寒四温こひつじ@QLD俳句会
親鸞のふと腑に落ちて四温の日ごま爺
三寒の日向の土に四温の香小南子
傘たたみ四温の雨に濡れたがり小望月あうる
三寒四温新アリーナに海匂ふ小山晃
三寒と四温の間にゐて童貞GONZA
良き農場に子牛生まるる四温かなこんのゆうき
三寒や折り鶴の嘴硬しコンフィ
甥っ子の歯の抜け変わる四温かな西條晶夫
四温晴れ動く胎児の大欠伸さいたま水夢
積木して四温に崩し凪の海埼玉の巫女
奥能登の三寒四温槌の音齋藤桃杏
すり切れた街の三寒四温かな坂口いちお
嬰児の頬はへこまぬ三寒四温坂野ひでこ
半島の三寒四温に解く家や坂まきか
髪束ね三寒四温の裾野かなさくら亜紀女
光射す四温の句座をひらく鍵桜鯛みわ
三寒四温子の心臓とひとつなる桜姫5
三寒や母校に残る百葉箱雑魚寝
母乳パック持って行く道三寒四温笹桐陽介
三寒四温のど詰まるほど薬さち今宵
味噌樽に石積む三寒四温かな佐藤恒治
入院の三寒四温爪を切る佐藤志祐
荒ら家に三寒四温押し寄せる佐藤俊
三寒四温雲は浅間を一巡りさとうナッツ
三寒の風を残して四温光佐藤浩章
五苓散もらふ三寒四温かな佐藤ゆま
昨今の三寒四温横綱に土さのじ
しづかなる雨となりゆく四温かな佐野良彦
三寒四温朽ちし鳥居の連なりを錆田水遊
三寒やきつちり量る小さじ一彷徨ういろは
三寒四温溜池は工事中さむしん
うさぎ埋め三寒の土余りけりさるぼぼ17
三寒四温いびつなる動脈瘤沢井如伽
自転車や三寒四温の膝小僧沢拓庵◎いつき組カーリング部
赤べこゆらゆら三寒四温かな澤田捨楽
三寒の厨しやりりと研ぐ包丁三月兎
そろそろと四温にめくる求人誌珊瑚霧
猫老いて三寒四温の頃淡し 仮名遣い三尺玉子
巻き爪の包帯弛む四温かな塩沢桂子
新しいカルテ三寒四温嗅ぐ塩の司厨長
墨の香や三寒四温の声を聞く四季彩
三寒に笑ひ四温に笑ふ客柿司十六
医務室の四温カーゼの減るはやさ四條たんし
三寒四温ゴム入れ替える子供服信濃のあっくん
三寒四温果物色の空愛でる芝歩愛美
三寒四温かくれ家にぎんがみのばら渋谷晶
病得て浸る四温や海は青しぼりはf22
やりすごす三寒じゅわとがんもどき島田あんず
休日の四温に鸚鵡よくしやべる清水縞午
三寒四温白の絵の具に白重ね清水祥月
三寒のなくて四温の日本晴清水容子
三寒に気早な小鳥羽干せり霜川このみ
三寒四温ヴィンテージ店開店霜月シナ
逆バンジー三寒四温の空へ下丼月光
三寒のあとの四温のおぼつかな下村修
三寒四温土三寒六饂飩打つ =うどんの茹で加減?洒落神戸
三寒四温せせらぎの横枝に鱗柊二@冨美夛
ポケットに五百円ある四温かな順之介@QLD句会
三寒や灯す会津の絵蝋燭庄司芳彦
接吻を待つ空と木や三寒四温白井佐登志
菜園の堆肥三寒四温かな白井百合子
三寒四温ドアの軋みを聞き分けて白沢ポピー
三寒に重し四温に軽し脚四郎高綱
空は鏡三寒四温てふ振子白よだか
三寒四温登山靴に乾く土しわしわ
三寒のウォッカ四温のロシアンティージン・ケンジ
十五歳海へ四温のスニーカーすがりとおる
靴音の転調を聴く三寒四温杉岡ライカ
建前の四温日和となりにけり杉尾芭蕉
三寒のオリオン四温のシリウス杉本果ら
カンディンスキーめける三寒四温かな鈴木由紀子
三寒四温柱時計のまた止まる清白真冬
三寒の祇園四温の先斗町すずなき
幼名の声へ振り向く四温の日鈴野蒼爽
今ミの音くらいの三寒四温鈴野冬遊
生き延びし軍鶏の三寒四温かな主藤充子
三寒四温オセロの石は白と黒砂山恵子
七度目の巳年を迎え四温晴青児
三寒四温図書館の延滞本清仁
三寒四温我が影は巨大です青邑
小児科の机散乱三寒四温瀬央ありさ
夢千代の足湯ゆたゆた四温晴sekiいつき組広ブロ俳句部
星すすぎ三寒四温は風まろむ摂田屋酵道
三寒の陽だまり藁の中に山羊千・いつき組広ブロ俳句部
三寒四温消しゴムのこぼれる窓枠素因数分解
胸の琥珀三寒四温の輝きそうま純香
又三郎よぎる三寒四温かな草夕感じ
三寒四温五臓六腑へ温き水外鴨南菊
首筋の黒子艶めく四温かなそまり
交差するエスカレーター六基四温空豆魚
三寒の現場復旧終え四温たーとるQ
国生みの島に三寒四温の香高岡春雪
救急車けふは走らぬ四温かな高木音弥
三寒や月をくはふる指狐高瀬小唄
三寒や南海トラフの本売れる鷹取碧村
眠剤を半分に三寒四温高橋寅次
包丁に反りたる三寒の砥石高原としなり
更年期のごとき三寒四温かな鷹見沢幸
三寒の腰痛四温の微熱かなたかみたかみ・いつき組広ブロ俳句部
三寒の弾力強しカチョカバロ チーズ滝上珠加
三寒の夜やペーチカの唄甘し滝川橋
手つむぎに明け暮れ三寒四温かな竹内不撚
老犬の巻き尾の太し四温晴たけぐち遊子
スコップに三寒四温の土匂ふ竹田むべ
三寒四温オカリナのオクターブ吹くたけろー
三寒四温牛の胎子は雌らしい多数野麻仁男
三寒四温ガラスの穴は捨ておかれただ地蔵
三寒四温調号のやうに雲多々良海月
移住相談四温の空の雲きれい立田鯊夢いつき組広ブロ俳句部
三寒四温オペレーターは人の声田中勲
腰痛を鎮む三寒四温かな田中紺青
長城の果てや三寒また四温谷斜六
三寒四温糠床ヘ手をかへす谷しゅんのすけ
三寒四温せせらぎの拍動す田上南郷
四温光タイムカプセル埋めた場所田畑整
三寒四温五臓六腑をくるむ古希田端欲句歩
三寒四温脈拍めく晩鐘玉家屋
三寒四温あそびつつ育つ子ら田村利平
三寒やバックネットの金属音鱈瑞々
三寒四温ねうねうと伸ぶ猫の髭丹波らる
母叱り子叱り三寒四温かな千夏乃ありあり
三寒四温あの塹壕にもきっと智同美月
四温なる思惟の弥勒菩薩かな千歳みち乃
三寒四温往診は不意にくる千葉信子
三寒四温ほのと灯れる有平棒彫刻刀
主訴多き整体三寒四温かな千和にの
五十分先のバス待つ四温かなつえりん
神々の三寒四温鈴をふる月城龍二
失業中三寒四温靴の傷月見里ふく
三寒四温辞表の筆のおぼつかなつくばよはく
半返す糸進みけり三寒四温つくも果音
三寒のぽつんと日溜まる空きベット辻本四季鳥
産声は寝息となりて四温来ぬつちや郷里
三寒四温メビウスの帯捩れ津々うらら
ギター鳴る三寒四温の南口椿泰文
本棚の本もたれあふ四温かな坪田恭壱
ワラビーの仔に育児嚢あり四温爪太郎
三寒四温国会議事堂微動鶴富士
四温なれICUに恩師の名徹光よし季
三寒四温木は深く呼吸する天雅
三寒のひかがみ四温の膝小僧天陽ゆう
三寒四温猫よけボトル眩し苳
定まらぬ自画像や三寒四温トウ甘藻
手水うく三寒四温の風孕み21
今日たぶん三寒四温「し」のあたり遠峰熊野
四温晴地蔵の如き木曽の石ときめき人
君の名を覚えし鸚鵡四温かなどくだみ茶
透き通る木鋏の音四温晴戸口のふっこ
三寒と四温の花いちもんめかなどゞこ
三寒四温過去へと進みたまふ母よとなりの天然水
三寒四温筆談折衝にも似たる戸部紅屑
眠そうな三寒四温の白熱灯苫野とまや
だるまさん転ぶふりして四温晴富野香衣
柔らかき捨て猫を抱く四温の日登盛満
三寒や股関節には手術痕とよ
ねじれつつ三寒四温ほどけゆく頓堀頓
抜けさうな乳歯に三寒四温過ぐ内藤羊皐
契丹の曠野三寒四温かな中岡秀次
佳き報せ遺児よりとどく四温かな中里凜
三寒四温水琴窟の音尖り永田千春
三寒の四温待たずにインコの死中十七波
三寒に邪恋を隠しつつ四温中原柊ニ
鼻唄や四温待たるる靴磨き中村あつこ
三寒四温ぽつぽつと孤を歩む中村想吉
三寒四温見合いの返事先延ばし夏草はむ
跳び箱をだんと踏み切る四温かな夏湖
三寒四温星は濡れたる青真珠夏椿咲く
三寒四温の靴箱からつぽがならぶ夏雨ちや
風流れ三寒四温に付箋貼る夏目りる
三寒のジビエ四温の鍋磨き七瀬ゆきこ
虫食いの直売野菜四温かな名計宗幸
三寒の講談四温の落語かな奈良素数
三寒四温日に四回の自己注射西川由野
三寒の土を押し上ぐ四温かな西野和香
波音の届く宿なり三寒四温西村小市
三寒四温とは大空の炎症反応二重格子
三寒四温五百羅漢に五百の銘二城ひかる
納骨へ三寒四温日を紡ぐにゃん
三寒四温二か月待ちの抜歯かな庭野環石
豆腐屋のしづく三寒四温かな沼沢さとみ
巨嘴鳥の目蓋蒼き四温かな沼野大統領
とってつけたような三寒四温かな猫塚れおん
倒木に休む四温のワンカップ猫ふぐ
三寒四温考える人身じろがず農鳥岳夫
三寒の喉を過ぎゆく小さき骨乃咲カヌレ
三寒の無人駅竹ぼうき居る野の小花
捨てる本選ぶ三寒四温かな野ばら
病床の三寒四温七分粥野原蛍草
三寒四温ひかり集むる小川かな野山めぐ
片頭痛三寒四温を計りけりのんのんた
三寒四温AIが読む未来蓮井理久
三寒を龍太四温を兜太読む長谷川水素
土竜塚踏みて四温の畦の道畑中幸利
三寒や弟との別れ風の如花岡淑子
三寒四温一頭きりの猛獣舎はなぶさあきら
佳き手だと患者に言はれ四温かな花水木
不機嫌な風四温から三寒へ花見鳥
書記官の欠伸の洩るる四温かな花和音
三寒四温とはシャコ貝が決めてゐる葉村直
四温かな畑に猿が現れた原島ちび助
四温なる空や遠富士ゆるび初む原水仙
三寒四温あの街角に待つピエロ原田民久
シーソーのゆつくり戻る四温かな巴里乃嬬
フラスコへひかりの溜まる四温かな春あおい
三寒四温まどかなる犀の角晴田そわか
三寒四温鏡の中にしらぬ顔はるの風花
手品師の右手なまめく四温の夜はれまふよう
三寒の吐息四温の深呼吸HNKAGA
三寒の風は四温に発酵す万里の森
飼い猫が蜂蜜色になる四温ピアニシモ
誰かのしあはせ三寒四温かなヒッチ俳句
三関を開き三寒四温かなひでやん
老犬と土手の三寒四温嗅ぐ日向こるり
三寒四温抜け新幹線は黄色ひなた和佳
さみしさでできてるひととゐる四温比々き
ひと坪の畑や四温の土いぢり平井由里子
富士山へ足を投げ出す四温かな平岡梅
ぬかるみに犬猫の跡四温の日平野芍薬
切株の三寒四温といふ過去微呂
水切の音に四温のやはらかさ広木登一
三寒四温吾子叱る母のやうなり浩子赤城おろし
三寒四温よ腫瘍マーカーは微増廣重
マネキンの肌に三寒こびりつき広島じょーかーず
銀輪のコマを外して四温かな広ブロ俳句部三日余子
上履きを洗ふ庭先四温光フージー
連山の如き三寒四温なり風慈音
三寒の散歩四温のギャロップ深蒸し茶
次に来る南海トラフ三寒四温福井桔梗
三寒四温板書消された手の静寂福間薄緑
嗽水まだ歯に沁みる三寒四温福弓
三寒四温なんだか君にふられそうふくろう悠々
三寒四温逐日伸びる爪と髪ふじこ
三寒四温カーネルの髭の濃淡藤咲大地
相続を終えて四温の庭が広い藤里玲咲
三寒四温留守電に母ばかり藤白真語
三寒四温ギブス外れた足がつる藤永桂月
三寒や君に会ふ非常階段風友
ケアマネが来て三寒四温とは楽し古瀬まさあき
三寒と四温のあはひ釘を打つ碧西里
三寒四温や登り窯の鼓動ペトロア
三寒の雨や積まれし本崩るほうちゃん
象のはなS字なしたる四温かなほこ
家庭裁判所前三寒四温停留所星田羽沖
打ち壊す土蔵母屋へ四温の陽星詩乃すぴか
三寒四温朝ドラのもう一波乱ほしのり
三寒四温あしに罅入る弥勒像細川鮪目
加湿器のうなり三寒四温かな細葉海蘭
三寒の上京手付け打ち四温ポップアップ
三寒を過ぐれば君の返あらむ堀邦翔
ころびては三寒四温立つ赤子凡狸子
古着屋のチラシあふるる四温かな槇原九月
シマリスのしつぽのびやか四温かな牧茉侖
三寒四温の選挙ポスター攣るエガオまこと七夕
三寒四温髪結ひの無駄ばなし町田勢
三寒四温黒板の隅にあと◯日松浦姫りんご
三寒四温更地になりし局の傍毬雨水佳
三寒四温今日も揺られて五能線真理庵
三寒の四温のむつき戦ぎをりまるにの子
三寒四温真鯛肥えゆく生簀へ陽三浦海栗
四温まで砂場で待っていたトミカ澪那本気子
フルートを遠く聞きつつ歌ふ四温三日月なな子
三寒四温讃美歌に文語あり帝菜
蹄音は心音、三寒の疾走岬ぷるうと
猫に膝貸して三寒四温かな水須ぽっぽ
三寒四温犬の尾っぽの垂れ具合MR.KIKYO
再検査無事放免の四温かな水巻リカ
自死の夢想続くや三寒四温三隅涙
失敗を出来る贅沢三寒四温満生あをね
太陽を孕む三寒四温の帆みづちみわ
三寒四温悲しい時のビスケット満る
畝すべて均し三寒四温かなみつれしづく
白壁の白のあかるさ三寒四温水上ルイボス茶
心より正直な三寒四温南りぱりこ
三寒のナッツタルトのほの苦し源早苗
三寒四温キタイスカヤに笑ひ声嶺乃森夜亜舎
三寒四温市長を選ぶ消去法美村羽奏
三寒や朱々(しゅしゅ)入れし詩(し)の爛熟す三群梛乃
出張は三寒四温あと土産見屋桜花
古書街に漬かる三寒四温かな宮坂暢介
づかづかと三寒もぢもぢと四温みやざき白水
でたらめに埋める四温の問診票宮下ぼしゅん
産声はまだ三寒四温の廊下宮武濱女
孫と折る四温日和の鶴三羽美山つぐみ
三寒四温波消しブロックやわい音宮村寿摩子
太陽をはたく風車の四温かな宮本モンヌ
三寒四温そっぽ向く中二生麦乃小夏
点滴の萎み四温は雨上がり麦野光・いつき組広ブロ俳句部
三寒四温五年日記の染み淡しむねあかどり
気まぐれな三寒四温けふは通夜紫小寿々
積ん読の三冊消化して四温茗乃壱
三寒や神籤は北の旅は吉メディックス千里
三寒の黒板埋めし多項式めりっさ
三寒は四温待つ間のフェルマータ森重聲
三寒と四温に軋む我が身かなmomo
三寒四温学食のスタミナ丼百瀬一兎
菓子のせるティッシュ薄しや四温来る桃園ユキチ
三寒四温牛乳に草のにほひ森上はな
三寒や銀の板なる相模湾 森きやつか
三寒之奥歯四温之親不知もりさわ
三寒四温借りたビデオはみなホラー森太郎
三寒四温ボブディランだけ聴くラジオ森ともよ
三寒四温鴉の声に甘やかさ森中ことり
三寒四温足りなきものに土踏まず森葉豆
プレハブや四温の窓の軽き音森萌有
越前の空は三寒地は四温もりやま博士
三寒四温瓦礫は撤去され更地弥栄弐庫
眠り猫三寒四温うす眼あく矢澤瞳杏
三寒の朝や写経の墨をする安田伝助
英彦山は黙久女碑へ四温晴八幡風花
三寒四温土の寝息のまだ静か山内彩月
三寒四温ラジオから人生相談山内文野
白杖の点字ブロック三寒四温山尾政弘
三寒や鉢に金魚の朱の点り山河穂香
腐敗する脳の痒さや四温晴山川腎茶
忘れてはならぬ名記す四温かな山口絢子
置きどころなき身削ぐ三寒四温山口愛
三寒四温オカリナは空のいろやまさきゆみ
三寒四温悩み上手を突いて雨山里うしを
三寒四温日差しの中にゆるい声山田啓子
三寒四温静かに眠る車両基地山田好々子
古書店へ抱へる辞典四温かなやまもと葉美
退職の栞の届く四温かな山本美奈友
失恋や三寒四温を漂泊す柚木みゆき
三寒四温赤子自ずと寝返りす宥光
立つすわる羅漢に三寒四温かな雪子
朝ドラの台詞の沁みる四温かなゆすらご
艶のよき鴉四温のごみ置き場夢見昼顔
三寒のことに行列長き店湯屋ゆうや
三寒にはしゃぎ四温にはしゃぐ犬横井あらか
三寒四温浮ついている湖の鳥横山雑煮
三寒四温港に船の無かりけり吉田蝸牛
三寒四温行きたくないが行きませうYoshimin空
三寒の凹凹四温の凸凸余田酒梨
荷造りや三寒四温てふリズム楽和音
死に様も生き様よ三寒四温リーガル海苔助
北方の島くつきりと四温晴れ理佳おさらぎ
リード持つ指やはらかき四温かなリコピン
三寒四温連弾の駅ピアノ柳絮
四温にて片す洗濯止まぬ音麗詩
頓服はにがし四温の日傭取烈稚詠
上人の口から阿弥陀四温かな連雀
絆創膏きゆつと三寒四温かなろまねす子
三寒四温リュックひとつで巴里へ発つ若林くくな
四温なる昼や金栗四三像あらい
三寒四温主任の長き罵詈へ謝意鈴白菜実
勤務地の内示三寒四温かな涼希宗里
白湯に溶く葛根湯や三寒四温星月彩也華
広告のひよこ色三寒四温池田悦子
四温晴れ脱皮する如く園児かな石川明
三寒四温足三里に灸を据ゑ伊藤柚良
島の灯や三寒四温無医の任伊ナイトあさか
とはいえど三寒四温ふられそう井上鈴野
乳飲み子の四温のげっぷ祖父めけりおおい芙南
羽織りつゝ脱ぎて三寒四温かな岡崎佐紅
三寒四温酔うと買う甘きもの桂子涼子
三寒四温渡し逸れしプレゼント桂佐ん吉
やらされたピアノ役立つ四温かな剛海
母眠る三寒四温にうつつ失せ瀬紀
四温の日透析の母紅を引く哲庵
明後日の明かり見えそうな四温かななかむら凧人
月面に足跡ありし三寒四温吉谷地由子
中二の子三寒四温上ぐサドル吉野川
三寒四温復職の面談日さおきち
三寒の風吹き荒れて待つ四温あいあい亭みけ子
おやつのあんこぽとり三寒四温相沢薫
埠頭まで犬の散歩は四温かな逢花菜子
成らぬこと成らぬ三寒四温あり逢來応來
三寒の四温を待てる疼く膝あ・うん
小康に三寒四温と言い聞かせあおのめ
着々と歩む三寒四温かな青松紫雲英
朝市の三寒四温あかだすきあかねペン銀
病窓に平癒祈りて四温の日赤恥山子
三寒を眠り四温を早起きす赤富士マニア
人知れず新星爆発めく四温赤目作
金澤は三寒長し四温短し聰子
会議時間改革三寒四温秋桜みりや
能登の復興の音三寒四温あきちゃんはようせい
マグネットライン深々四温の日秋月あさひ
風見鶏向きて三寒四温かな秋星子
旅の予約悩まし三寒四温昭廣凡字
三寒に愚痴り四温に頬緩む空き家ままごと
三寒の四温に亀のうつらつら浅井翠
三寒四温幾つかのまだできる事朝雲列
耳朶に三寒四温歩き出す明後日めぐみ
三寒と思へど四温鄙の里あさぬま雅王
四温つて水曜日からはじまるのあさのとびら
三寒四温めく制服のリボン朝日雫
面影を待ち焦がれつつ三寒四温亜紗舞那
三寒四温母の癌寛解すあさみあさり
三寒と四温だつたか初七日来芦幸
三寒に心凍えて四温待つ明日葉
ふくらむに四温待ちゐる莟かな阿修羅
三寒の後四温無く衣足して飛鳥井薫
野の小径三寒四温耳澄ませあすなろの邦
声弾む三寒四温朝稽古明日に翔ぶ会
そろりと来三寒四温亀の如あつこっとん
ぽつぽつと三寒四温で枝めざめアツシ
ぬる燗と浅漬け三寒四温かな我孫子もふもふ
アンニュイなる四温の朝の6度9分我孫婆
始発待つ三寒四温明日は寝る阿部八富利
三寒四温すっと背伸ばし外へ雨戸ゆらら
三寒四温福兎耳は陽に伸びてアマリリスと夢
寝たふりの夫の背つつく四温かな雨乙女
ジグザグと三寒四温ジグザグと雨森茂喜
鯉が身じろぐ三寒四温の池雨李
三寒四温消えむ命の炎かな荒木響
当てのなき三寒四温混沌と荒木ゆうな
停戦の六週間夜を四温在在空空
三寒四温菜園かへす父の鍬安春
赤城山遠く三寒四温待つ杏っ子
三寒の四温の家庭裁判所家守らびすけ
公園の母子ら四温日和なり郁松松ちゃん
地鎮祭猫も横切る四温晴石岡女依
送信が押せず三寒四温かな石川穴空
頭痛去り戻りて去りて三寒四温石田ひつじ雲
猫ひなた三寒四温伸びをして石田ひろみ
「木の椅子」を開き三寒四温待つ石堂多分
テレビで訃報次は三寒四温石の上にもケロリン
三寒と四温を木々はもてあそび石原花野
野良仕事三寒四温だけ頼り石本美津
四温かな庭の草木もわらふなり泉恵風
三寒に後押しされて四温は来一井かおり
三寒と四温の町に君といる市川卯月
抱っこ紐包む手三寒四温かな市川りす
ISSの軌道確認四温晴れいちご一会
清らかな大気の呼吸三寒四温無花果邪無
三寒四温気象病てふ託言一久恵
三寒や灯油の残はふた目盛五つ星
三寒も四温も分からぬ病室や一歩千金
母の息深め三寒四温かな伊藤恵美
縁側でごろ寝三寒四温かな伊東海芋
底透ける保湿クリーム四温かな伊藤薫
並びをり重なりてをり亀四温伊藤順女
着るものに困る三寒四温かな伊藤ゆかり
三寒は晴れで四温はなぜ雨かいないふぁん
湯気が舞う三寒四温黒台地伊那寛太
部屋ごもる子がいて三寒四温かないぬいようこ
新居街一望や三寒四温井原昇
三寒の四温に伸びし我五体いまい沙緻子
三寒の四温の服の散らかって今村きき
外つ国の客はやサンダルで四温いわさちかこ
待つのみの三寒四温恋の癒ゆイワンモ
三寒四温卒論片すテラス席うえともこ
くり返す三寒四温カルーセル上原まり
百年後三寒四温はて有るや兎野旬子
三寒四温窓の採寸五か所兎野紫
強風コーン跳ねる三寒四温うた歌妙
吾の影も柔らかく三寒四温宇田の月兎
混ざりゆく紅茶とミルク三寒四温内田こと
母の文字三寒四温の待つ便り空木眠兎
三寒四温パレットに白こんもりと宇都宮駿介
変調をサラッと弾けた四温なり宇野翔月
四温光素顔のままで生きていく卯之町空
三寒にひめくりめくり四温まつ海口竿富
キッチンの三寒四温鍋片し海沢ひかり
三寒四温ふんわりミモザサラダ盛る海月のあさ
日めくりのごと三寒と四温過ぐ梅里和代
土匂ふ三寒四温日記かな浦城亮祐
老ふたり三寒四温窓越しに麗し
洗濯や三寒四温気にかかる越中之助
三寒四温カピバラは湯の中へ絵十
難病に試す薬や三寒四温江戸きり子
暇つぶし三寒四温野良準備えのき筆丸
待つも楽し四温緩むを担々と榎本咲
髪を切る三寒四温背筋伸び榎本奈
朝散歩肌さす風や四温の陽榎本雅
頑張りの三寒四温良い知らせえみくれ
猿三寒四温の罠へ鋭く啼けりえらいぞ、はるかちゃん!
痩せ我慢三寒四温勝負服遠藤佐和子
前向いて三寒四温前向いて大越総
神経痛三寒四温のリズムかな大越マーガレット
薄着して三寒四温に惑わされ大島一声
三寒やしっぽぶるりと散歩の犬は大竹八重子
愛犬と抱き合って待つ三寒かな大舘さと
亀の首三寒四温のびちぢみ太田一駄歩
断捨離に三寒四温燃える母大野喬
はしゃぐ犬三寒四温河川敷大原雪
花ばちを通りにだして四温かな大道真波
火の色に三寒四温薪くべる大矢香津
母の家カーテン替へて四温なる岡井稀音
呼吸器に三寒四温をつなぐ叔母おかげでさんぽ
もやもやが三寒四温つきぬける岡崎未知
リュック負ひ徒歩で買ひ物四温かな岡田瑛琳
三寒の四温を待つや日陰花岡田恵美子
水の中白根伸びたる三寒四温おがたみか
孫じゅけん三寒四温潜り征け岡本
裁き合い三寒四温覚悟をす小川紅子
蟠り解けゆくやうな三寒四温沖庭乃剛也
雨降りて三寒四温に育つ苔沖乃しろくも
服の色迷い脱ぎ着す三寒四温奥寺窈子
三寒四温保湿クリーム一つ減らそ小田孝子
三寒に病むも四温に助けらる小田毬藻
三寒四温紆余曲折の旅選びおだむべ
三寒が泣けば四温が慰もる御成山
畑の畦野菜談義の四温晴れ鬼本余覚
三寒四温ほほえんでるか遠き人小野ぼけろうじん
サザエさん三寒四温また来週おんあいす
三寒四温赤白帽校庭に満つ案山子<いつき組広ブロ俳句部
三寒に薄く色づく土の息柿本苧麻
お福分けありと思へり四温晴れ風花まゆみ
三寒に晴れ着調え四温待つ梶浦和子
三寒や靴紐のない母の靴かしくらゆう
罪作りな三寒四温まよう服鹿嶌純子
三寒四温庭をながむる日々のありかじまとしこ
はや釜山レール四温の音きざみ華胥醒子
干し野菜窓辺に並ぶ四温かな風遊び為参
爺磨く三寒四温鍬の光(こう)風かおる
五歳児のあやとり変化三寒四温片岡一月
じやれ合うて猿山三寒四温かな加田紗智
フロランタンをザクと切る四温かな帷子砂舟
襟立てて街は三寒四温かなひだまりえりか
花が咲く三寒四温トタン屋根桂葉子
足音の三寒四温晴れ晴れと角野天十里
ガラス越し三寒四温まどろみぬ金澤孝子
三寒四温過ぎゆく空色可児真由美
三寒と四温往き来る沈下橋神長誉夫
三寒四温あいこでおわるけんけんぱ紙谷杳子
三寒の四温の日射し届く部屋亀岡恵夢
三寒を耐えて四温の育ちかな亀くみ
三寒四温細胞は分裂している亀子てん
弟は三寒四温待たず逝く亀田稇
四温にも鯉動かざる池の底亀山逸子
天気図のゆらぎ三寒四温かなかもね
三寒とシーソー四温バッタンコかもめ
犬走る水路も太る四温かな加裕子
洗濯や三寒四温で定まらずカラハ
三寒四温弛むボタンを留め直す河上摩子
三寒四温肌にいろいろ塗りたくり川崎ルル
体調は低空飛行三寒四温河孝
三寒と四温に振れる合否かな川辺世界遺産の居候
ロト7五枚三寒四温かな川村湖雪
腰痛む三寒四温の床の中カワムラ一重
等圧線の広き三寒四温神無月みと
空っぽや三寒四温ポチの小屋岸壁の龍崎爺
三寒四温乱れ咲く用箪笥がんも3世
三寒の四温の朝の片頭痛key
三寒や子が介護士になりました季川詩音
顔洗ふ三寒四温手で掬ひ菊池克己
追い越さん三寒四温を説いた亡父岸本元世
三寒の四温の酒の美味さ哉酒暮
三寒四温めがねかけたりはずしたり季切少楽・いつき組広ブロ俳句部
三寒四温誰も座らぬベンチ北大路京介
四温待ち母いそいそと外出する北川茜月
三寒四温まったりと幹に猫北の星
釣果見つ三寒四温知る魚北美三風
三寒四温あだばなとなりて黙北村崇雄
三歩進んで三寒四温二歩下がる貴田雄介
三寒四温筋トレの成果愛づ木下桃白
三寒の膝痛緩む四温かな君塚美蕉
三寒四温やや怖くなる老いも死も木村かわせみ
人まばら三寒四温渡月橋木村修芳
哈爾濱は三寒四温包子割る木村信哉
三寒四温日めくりの丸印木村となえーる
襟元の隙間を合わす三寒や木村波平
三寒に追いつき四温の風甘し久えむ茜咲
球根の三寒四温の助走かな鳩礼
輪行や此処も三寒四温あり清鱒
ゆるゆると三寒四温のじれったさ喜楽胤
三寒を追越す四温二寧坂菫久
人生も行きつ戻りつ三寒四温近未来
待つ人の三寒四温ミルフィーユ句々奈
三寒四温飛行機雲は空の果て楠田草堂
ジャズが好き三寒四温もサビに入るくすみ輝く
ねんねんね坊やいいこだ三寒四温くちなしの香
三寒も喚声響く運動場國吉敦子
散歩道滲む汗拭く四温かな窪田和子
子の帽子借りて四温の畑手入れ倉岡富士子
三寒四温旅サイト見始めるぐりぐら京子
この次の三寒が底願わくば空流峰山
三寒の海に四温の雨きたる愚老
関節は三寒四温に微振動黒田良@しろい
胎内で三寒四温越すを待つ黒猫さとみ
三寒と四温に誘われ夢を見る桑垣若葉
三寒四温いそぐ上京準備桑田栞
バス待ちの三寒四温山の嶺家古谷硯翠
三寒四温加減乗除の数合わせ紫雲英
湯治場の三寒四温老夫婦ケンG
はじめての枕赤子へ三寒四温公木正
明け方も三寒四温菜を刻む郷りん
三寒と四温のはざま母忌日古烏さや
初ろくろ三寒四温待つ器ココヨシ
三寒四温歩み出す娘よファイト越乃杏
鎌倉宮の三寒四温暮るる谷戸小嶋芦舟
頭痛持ち三寒四温悩ましく湖水鈴
聞き澄ます駅ピアノ三寒四温小杉泰文
三寒も四温も坊主数珠廻し古知野朝子
三寒四温迷わず選ぶ勝負服後藤周平
三寒四温肌感覚を研ぎ澄ませ後藤真昼
待ち侘びる三寒四温のワルツかな小鳥コ
川流る三寒四温の音たてて小林澄精
朝忙し三寒四温予報士の声駒形さかつ
足軽く三寒四温土は黒こむぎ
三寒四温鏡に皺を伸ばしをり小山秀行
教室の窓際眠き四温かな碁練者
猫寂しゲージにいない三寒四温コロンのママ
停戦は間近三寒四温かな酒井春棋
頑なな蕾ほころぶ四温かなさかい癒香
出る決心つかぬ三寒四温榮紅
鯉三尾四温のけふは寄り來たり榊昭広
仕掛けにて四温判押し手に怪我し坂島魁文
三寒に四温待つ猫窓のそばさかたちえこ
洗濯の三寒四温で量を変え坂本千代子
三寒のソワレマチネの四温かな坂本雪桃
過ぎし日の三寒四温母の部屋相良まさと
三寒四温匂い微かに窓明かり咲美まき
明かり取りの窓三寒四温かな櫻井こむぎ
三寒四温ゆるくポン菓子のドン桜月夜
三寒に耐えて四温に気が緩み桜華姫
三寒四温一か八かの大博打さくら悠日
雨の傾きて三寒四温かな迫久鯨
三寒や釜蓋開けし湯気の朝佐々木佳芳
三寒四温寛解の友来たる笹靖子
三寒四温もういいかいと子ら遊ぶさざれいし
介護にも三寒四温気を抜かずさざんか
ちぎり絵の三寒四温淡き色砂月みれい
腹巻の自覚三寒四温かな佐藤公
三寒四温二人三脚ずれており佐藤茂之
ワイパーでぬぐふつめたき四温の日さとう昌石
洗濯も散歩も夢も四温かな佐藤まり子
三寒や身震いせんと身構える佐藤佳子
坂のぼる四温の猫の太き足佐藤レアレア
見舞客三寒四温を連れてくる里こごみ
三寒の旅終へし後四温晴さぶり
大股で歩く三寒四温かな紗藍愛
三寒の後の四温に花壇起きさわだ佳芳
病棟や三寒四温出窓越し沢田恵子
風呂の石鹸にひび三寒四温かな澤野敏樹
癌治療三寒四温二クール目沢山葵
脱衣所の三寒四温塵拾う三角山子
三寒とシーソーゲーム四温かな塩風しーたん
待ちわびる三寒四温の向こう側しかの光爺
ぬく寿司は三寒四温今が旬じきばのミヨシ
拍節器三寒四温刻みけりじつみのかた
ハルピンの三寒四温出自追ふ篠崎彰
三寒と四温の合間ファッションショー忍之一字
二度寝せし無職なる三寒四温篠雪
三寒四温からだ丸める朝方島じい子
鬱姫は三寒四温に従ひぬ島田雪灯
天満宮の鈴緒に三寒四温かな島田ユミ子
三寒の歯医者神経取り損ね霜月詩扇
むっくりと旅心起く四温かな霜月ふう
立ち話の伸びて忙しき四温かな沙那夏
火の絶えぬ厨三寒四温かな砂楽梨
丸瓶やビー玉飴と四温光朱胡江
三寒の後の四温の猫まろし柊瞳子
Nの字に三寒四温躙る猫種種番外
三寒四温地の魂に覚醒の拍シュリ
服装に三寒四温を知る朝正見
勘所外す三寒四温の音正念亭若知古
八時間集中講座三寒四温白石美月
一人して二度寝など三寒四温不知飛鳥
三寒四温半跏思惟の観世音白猫のあくび
小包の紅茶に綻びる四温神宮寺るい
三寒の四温の一歩赤長ぐつ深仲夏
能登は三寒四温ユンボ動けり新濃健
三寒四温吾子とりあえず外へ森牧亭遊好
三寒四温の中日パソコン逝く西瓜頭
三寒をじっと我慢や四温まつ杉浦あきけん
粥すすり三寒四温を待つ老母涼風亜湖
夕散歩三寒四温鳶の声鈴木季良恵
二巻から並ぶ全集三寒四温鈴木秋紫
三寒四温異常気象にゆれはげしすずきじゅん
ペダル踏む三寒四温汗ばむ手鈴木里羅久
三寒四温軒下にばばの歌素敵な晃くん
四温日和杖を頼りの一歩づつ数哩
三寒やカメラ動かぬ慰霊旅須磨ひろみ
バーゲンのチラシ悩まし三寒四温静江
三寒四温今朝腰痛の塩梅は晴好雨独
三寒も四温もリズムジャズを聴くせいしゅう
老犬と胎児モゾモゾ三寒四温青峰桔梗丘
吾子成長三寒四温また一つ星夢光風
学生の三寒四温の季節かな瀬野広純
鞄にヒートテック三寒四温全美
髪は伸び三寒四温や待つ手紙惣兵衛
庭の草四温待たずにフライングそしじみえこ
つま先の少し出ている四温かなそぼろ
三寒四温よ柔らかな空気よ染井亀野
太空に『三寒四温』と揮毫する邨虚空
こんな日は祖母の声聞く三寒四温駄詩
能登の海日はまた昇り四温なり大
三寒の夜更けに走るオリオン座大将
三寒四温やうやく緩む蕾大ちはる
陽だまりや三寒四温のウオーキング平たか子
薄皮をむくごとゆらら三寒四温たいらんど風人
タータンチェックでくるむ四温の息高上ちやこ
矍鑠と母訪ね来る四温日和高辺知子
三寒四温朝の蕾のほどけゆく高橋ひろみこ
三寒や子は自転車を乗りまわす高橋光加
三寒四温お茶会の服二種用意高旗三紀子
修復終え三寒四温待つ社田上コウ
三寒も終末期かな出る欠伸高見正樹
木のベンチ力抜けゆく三寒四温高山佳風
三寒四温娘結婚する日来る高よここ
三寒に着た上着脱ぐ四温かな滝澤和恵
義足とて四温のさ中靴が鳴る武田豹悟
窓の露薄れ三寒四温かな多胡蘆秋
被災地も三寒四温の中にあり太之方もり子
ぎつたんと三寒四温ばつこんとたすく
朝刊や指先擦る三寒よ祐紀杏里
復興のニュース三寒四温多田知代子
三寒四温山肌に駒走るただの山登家
三寒の青空四温雨となり立花かおる
苗床に光の滴三寒四温だっく
「あれは?」「はい」銀婚の三寒四温立石神流
三寒の敷石や過疎ゆく電車田中みどり
家猫の三寒四温寝床変え谷相
世の中は三寒四温の期に騒ぎ谷口あき子
フランス語訛りの牧師三寒四温谷口詠美
三寒は読書四温は散歩かな田畑せーたん
四温すぎ富士の白さも薄くなりtabei白芙蓉
背筋へと三寒四温編み込まれ玉木たまね
DJの声柔らか四温晴玉野文
三寒四温夫は茶色に髪を染め玉響雷子
二日酔い三寒四温五里霧中玉響海月
三寒四温鉛筆擱きて部屋探し為六宇近
ベタ踏み坂三寒四温置き去りにだんがらり
三寒四温日めくり破る五日分チームニシキゴイ太刀盗人
九九学ぶ孫の三寒四温かなちくりん
三寒と四温十五の反抗期智幸子
靴下を並べ三寒四温かな千葉右白
打ち上げは延びて三寒四温かなちやあき
三寒を耐え四温待ち娘(こ)内定千夜美笑夢
三寒四温シャッター街の丸ポストちょうさん
三寒四温納車日の連絡来千代之人
リハビリの散歩三寒四温かなつーじい
油断する三寒四温頭痛かな司蓮風
リハビリや三寒四温あと何歩槻島雫
三寒四温散歩再開とメール来月の莵
混ざりゆく三寒四温くりかえしツキミサキ
髪切ろうかなと妻三寒四温辻瑛炎
庭に満つ三寒四温鳥の声辻ほな
軒先に三寒四温の風来たり辻美佐夫
コップ酒三寒四温の風呂上り辻栄春
便り来ず三寒四温過ぐや日々つついぐれちゃん
三寒四温だからやっぱり仕舞わない津幡GEE
挨拶が三寒四温で変わりけり手嶋錦流
能登半島に三寒四温なり哲山(山田哲也)
小さき手を握り三寒四温かなてつねこ
開店日は四温日和や女性シェフ輝由里
腰痛に三寒四温ケセラセラ電気石
帽子は要るか三寒四温の風てん子
魂を絞める三寒四温かな電柱
三寒の道ぐじゃぐちゃと為す四温天童光宏
四温めく日差しに猫が移動して天王谷一
三寒と四温の間父逝きぬ土井あくび
温室の鳥は眠くて三寒四温冬野志奈
三寒四温ロバのパン屋のチンカラリンとかき星
連山や三寒四温衣装替え常磐樹
曇天や三寒四温を待つ手紙常磐はぜ
三寒四温たゆたう刻の重さ徳庵
裸婦像や三寒四温の居間の壁どこにでもいる田中
むず痒き三寒四温くしゃみすとこやまよもこ
四温なり配達員の袖まくりどすこい早川
三寒四温犬バリカンは五ミリ杼けいこ
死神が三寒四温坐りたり十津川ポロ
背筋にも三寒四温伸び縮む戸根由紀
寝て起きて笑う三寒四温かな冨川ニコ
三寒の縮みを放つ四温かな富永武司
懐かしき人よりメール四温かな友@雪割豆
三寒四温買い物メモたまる富山の露玉
湯の町に住む日毎日四温晴豊岡重翁
丹田へ三寒四温なる空気鳥田政宗
三寒四温宮跡過ぎる雲の影豚々舎休庵
三寒四温今日は笑える鬱の友内藤清瑤
三寒四温SNSに山動くなか鹿の子
ひさかたの光に三寒四温かななかかよ
遠望し三寒四温山の色中澤孝雄
三寒を刺して四温の庭の棘中島真珠
告知するか否か三寒四温かな中島走吟
通勤着悩む朝の四温日和中島葉月
陽光の命も息吹く四温かな中嶋緑庵
すぐそこに三寒四温駆け抜ける中谷幸弘
お願いを四温の街に選挙カー仲間英与
三寒四温もう五年生きたいな仲操
三寒四温紅のつぼみ五こ見つけ中村明日香
今朝の風三寒四温のルール違反中村こゆき
父逝くや三寒四温を待たずして中村雪之丞
三寒の猫あまやかに鳴き続け中山蒼社
通過待ち手櫛の髪に四温かな中山由
胸冷えて三寒四温に母想う七五三五三
北日本三寒四温いと厳し無し
三寒四温明日を向き靴磨く梨山碧
三寒は読書四温は運動場那須のお漬物
クレッシェンドに三寒四温指揮者の背夏風かをる
喫煙所の男三人三寒四温夏雲ブン太
遺品箱あくる三寒四温かなななかまど
基地のフェンスを隔て三寒四温かな7パパいつき組広ブロ俳句部
チョーク持つ指に三寒四温かななびい
ディサービスより帰り茶を飲む四温かな生天目テツ子
来月に畑仕舞いの四温かな奈良岡歩
偕老の三寒四温ありのまま奈良華咲
三寒はフルスウィングあと四温ナンカラ牛眠
雑草静か三寒四温の庭南全星びぼ
鬱病の夫と三寒四温かなにいやのる
三寒や陽に照らされて遠ざかりにえ茉莉花
静謐の三寒四温国ざかい西尾至雲
修善寺に三寒四温長湯治西尾照常
息の緒を三寒四温戴きぬ西田月旦
半袖のバックパッカー四温かな二十八
三寒の四温の街の隅に生き入道まりこ
三寒四温小児がん病棟の窓仁和田永
三寒と四温の間にいる僕らヌートリアみゆう
三寒のしんと湯気立つ駅務室暖井むゆき
薄いパジャマ三寒四温よこぎる布川ユウリ
四温びより青き潮(うしお)の匂いかな布村柚子
子らの声四温の亀の甲羅干し沼宮内かほる
送信す三寒四温葉の雫ねがみともみ
比良の山三寒四温黄色待つ猫辻みいにゃん
三寒四温念仏めきて待つあした猫またぎ早弓
飯炊く香早暁の三寒四温根々雅水
白鍵のすきま三寒四温の芽野井みこ
三寒四温ラーフルを使ふ空野口雅也
三寒四温の明るい帰路嬉し野三弓
三寒と四温の狭間陽は登る野地垂木
手水鉢三寒四温藻がゆれるののクラブ
河原は四温日和やひと集ひ野の菫
飛び歩く心が外を三寒四温野原一草
絞り出す軟膏や三寒四温野村齋藤
三寒四温リール引っ張る子犬かな則本久江
風巻きて三寒四温向かう朝白雨
八戸の三寒四温七拍子白山一花
我に言う耐える三寒待つ四温橋野こくう
肺に沁む三寒四温深呼吸波止浜てる
三寒や牛乳瓶の朝の音橋本有太津
三寒も四温もひたすら走る人馬笑
着下ろしは三寒四温に焦りけり蓮田初老
三寒四温ステップ軽くやって来る羽住博之
川の鯉ぷかりと浮かぶ四温かな蓮見玲
三寒の泣く子を抱いて笑む四温葉月庵郁斗
三寒四温自由という不自由八田昌代
三寒四温新居の家具選び初野文子
生地裁ちて三寒四温思案顔八方おこじょ
暦無し三寒四温肌で知る花笠きく
三寒の緩みだしたり夜勤果つ花南天あん
一人旅三寒四温を遊べ遊べ花はな
色襟に替えて君待つ四温かな花彼岸
深き三寒四温の森へ雲一朶英凡水
家電セットポチって三寒四温花豆
大きくと空気を食らう四温かな羽馬愚朗
三寒四温土も大気も湿り帯びはむこ
人肌の恋し三寒四温なり林田リコ
引退や三寒四温の洗面所原田くろなつ
愛猫の抜け毛ただよう三寒四温針子のねこ
三寒やスト-ルまとい四温待つharu.k
バイエルのピアノぽろぽろ三寒四温haru_sumomo
三寒四温田の畔をLRT春のうらら
着ぐるみのおでこに透かし四温の目春野ぷりん
二分足す三寒四温のトースト葉るみ
茶を立てて三寒ぬくし四温をや春海のたり
内視鏡三寒四温の影二つはるるん1号
三寒四温つじつまのあはぬまま半熟かさぶた
我がポチのベランダへ出る四温かな伴田聡
三寒も四温も愚痴をこぼすなりピーターパン症候群
シーソーの沈む三寒四温かな柊琴乃
進路希望書けず三寒四温かな東沖和季
三寒の四温の孔雀羽ぷると東田一鮎
四温の日郵便受けに入る音東の山
万博まで指折る三寒四温樋口ひろみ
三寒も四温も楽し庭仕事ピコリス
病床の三寒四温粥嬉し菱田芋天
三寒や延ばし延ばしの歯科医院ひすい風香
先生の訃報届くや三寒四温ヒマラヤで平謝り
青空の三寒四温実る恋向日葵姐@いつき組広ブロ俳句部
呼吸する三寒四温故郷でひまわりと蒼い月
庭の花三寒四温耐えて咲きひめりんご
あやとびを今日も数える三寒四温日吉とみ菜
三寒四温雨の滴もやはらかし平井千恵子
リハビリや三寒四温をも励み平野純平
三寒も四温も一人客を待ち平松一
ようやつと三寒四温過ぎにけり平本文
三寒四温アンデルセンの生き様よ平山仄海
単子葉三寒四温土を割る昼寝
あなたとの間合いに似たり三寒四温広島あーやあーや
疎遠なる友よ三寒四温だよ広瀬康
三寒四温なれり郷への想ひ廣田惣太郎
四温日和丸まっている上着あり弘友於泥
禅堂の三寒四温骨軋む広野光
三寒や二日目の鍋豆乳足し琵琶京子
所帯持つ三寒四温最中にFUFU
三寒四温オセロゲームの声しきり福川敏機
音外すラッパ可笑しや三寒四温ふくじん
三寒四温ほほに冷たきねこの鼻福ネコ
槌音が響く三寒四温かなふくのふく
木のベンチ三寒四温の手ざわり藤井かすみそう
砂時計昭和百年四温かな藤丘ひな子
来たか草木騒めく三寒四温藤沢・マグネット
ゆで卵食む三寒四温の味藤田紫桜
恋やぶれ埋まらぬ手帳三寒四温藤田聡恵
雲梯の握る手赤し四温かな藤中渚
三寒四温川の音は七色に藤原涼
三寒四温心まあるくウォーキング藤本だいふく
子と公園三寒四温にあわせ行く藤本仁士
「さん・かん・しお~ん」リズムを取ってジャンプする藤原訓子
三寒の去る納屋すっと四温の屁藤原素粒子
目覚ましを止めてまどろむ四温かなフタバ凛
襟立てて三寒四温やり過ごす船橋こまこ
三寒四温ホワイエで聞くロッシーニ舟端玉
昏からずありぬ四温の患家かなふにふにヤンマー
三寒四温一輪挿しへ野の花ふみづきちゃこ
やってしまった三寒四温で熱出した冬の木で考える海
三寒四温星を見上ぐる日々重ね冬野とも
ヘナ染め淡くし三寒四温古川しあん
三寒の湖上彩る釣りテント古澤久良
我が曲は三寒四温ありて成る古庄萬里
土いじり腰を伸ばして四温かな古道具
飛鳥路の蕾色づく四温かな古谷芳明
もう一周三寒四温のランナーべびぽん
温室へ三寒四温鉢の花鳳凰美蓮
木も草も動くけはいや三寒四温芳醇
脚痛し日にち薬と三寒四温峰晶
襟元に三寒四温の報流る房総とらママ
ガザの空三寒四温ミサイル来暮戯
断捨離再開三寒四温ほしぞらアルデバラン
鰻屋のメニュー三寒四温かなほしの有紀
影淡き三寒四温ねこ二匹ほたる純子
三寒に曲がり四温に伸びる腰堀卓
三寒四温ジャケットを犬は脱ぐ堀隼人
三寒と四温の波に呑む涙舞矢愛
痛みつつ三寒四温老いの膝前田冬水
色も香も三寒四温牧広し牧場の朝
四温なり明き日を待つ保護メガネ正男が四季
三寒や漢方薬の効かぬ腰増山銀桜
肩痛む三寒四温窓磨く町家の日々輝
被災地も三寒四温猫歩き松井酔呆
ファッションも三寒四温迷いけり松井英雄
三寒の後の四温を待つ嫗松岡玲子
仰ぐ富士三寒四温堂々と松尾祇敲
三寒の面接試験まつ四温松坂コウ
野に山に街にそれぞれ四温かな松平武史
手術する吾子に三寒四温かな松田寛生
世の中の起伏三寒四温からまっちゃこ良々
耐へて待つ後の楽しみ三寒四温まつとしきかわ
諍いてあとの三寒四温かな松永好子
三寒や飛行機ぐもの細々と松野蘭
三寒四温みほとけひかる位牌堂松本厚史
ペダル漕ぐ三寒四温の向かい風松本こっこ
三寒四温荒野にも隔てなしまやみこ恭
ハンドルを握る手のひら四温かな瑪麗
三寒四温のリズム身に沁む服選びまりい木ノ芽
三寒四温青き小花の未だ見えずまるごとハテナ
くっくっく鳩笑む三寒四温かな丸山美樹
軒下の鉢回す三寒四温美衣珠
お開きや三三五五の四温晴れ三上栞
三寒四温なにやら温が続く三茶F
腰痛は天まかせ三寒四温三崎扁舟
三寒か四温かメリハリつかぬ過去三田
鶏小屋の三寒四温押しくらまんじゅうみちむらまりな
キンコンカン三寒四温五時の鐘美津うつわ
天神に願ふ心や三寒四温光月野うさぎ
成熟する家族や三寒四温美月舞桜
リトマス紙白のまま三寒四温みづたま
三寒四温こたえる我が身更年期緑区のへこ
認知病む三寒四温闇の母ミナガワトモヒロ
三寒四温や父の音は弱しみなづき光緒
寛解は三寒四温越へにけりみなみはな
三寒四温でこぼこの我の道みやかわけい子
枝先の三寒四温膨らみつ宮城海月
人生の余白残して四温来る都忘れ
三寒四温南国の木は耐えているみやま千樹
三寒四温伸びしてはグズるよう深山柚仁
三寒の散歩兎は懐にみらんだぶぅ
二一天作の五は三寒四温椋本望生
墨を磨る三寒四温に惑わされムシ・ミカミ
UFOが飛行見合わす四温日和夢奘
手ひさしに三寒四温川面映え霧想衿
締切の近き三寒四温かな睦月くらげ
子ら巣立つ三寒四温の日々来たる村上の百合女
惜別の四温の風や友は逝く暝想華
北国の三寒四温文届く恵のママ
三寒四温灯る街路樹吐く吐息瑪瑙
三寒の四温の庭や試歩の杖茂木りん
三寒四温君の予定を尋ねたし望月ゆう
ボイトレや三寒四温の吸入器百瀬はな
三寒四温新しい服と靴諸岡萌黄
妻亡くし三寒四温懐かしき森佳月
三寒の四温を待てる妻の息森嶋ししく
三寒四温養殖池はコンビニにもりたきみ
三寒四温十月十日目を待つ森野恵
クレパスの黄色三寒四温の彩りに森日美香
三寒の詩人の墓に四温の来杜まお実
三寒の四温の鳥の実んこ摘む森茉那
起き抜けの床に四温の始まりぬ森毬子
指先の三寒四温待ち遠しモロチンスキー
今日も動かぬ浮子の三寒四温もろ智行
つま先の緩み三寒四温かな山羊座の千賀子
仮設建ち能登は三寒四温かな八木実
ご自愛を三寒四温別れ際矢澤かなえ
三寒四温だらだら坂をジグザグに野州てんまり
空の音に三寒四温雄叫びつ安元進太郎
花々や三寒四温の人類史野生の栗
三寒四温今日の稽古は徒歩で痩女
暖簾だし三寒四温頬できき八手薫
三寒や歯科健診の椅子堅し山川たゆ
北国や四温続くを待ちにまち山口笑骨
さかあがりできた三寒四温越ゆ山崎力
三寒四温通勤服の足して引く山崎のら
林縁に三寒四温土もたぐ山下弥生
うつろふや三寒四温古稀の朝山下義人
三寒四温素足の君に釘付けに山育ち
帰宅渋滞三寒四温カバー曲山田一予
三寒の往路四温で復路新山田季聴
さわさわと三寒四温の葉擦れかな山田翔子
三寒四温水の流れに緑の葉やまだ童子
三寒の薄暗き空四温待つ山田はつみ
三寒の富士と四温の朝稽古大和杜
三寒から走り始めて着く四温山本さった
邂逅の三寒四温頬に指山本八角
三寒四温電動ベッド四十度山姥和
天色のイマジナシオンある四温有野安津
三寒四温早期離職や父のカフェ柚子こしょう
上一枚脱ぎて四温にふき掃除柚木啓
観覧車四温日和の空に浮く宙美
雑草も三寒四温堪えてる夢一成
三寒の膝の痛みをただ撫でる緩木あんず
真夜中のジム走る三寒四温陽花天
はふはふとキムチチゲ三寒四温陽光樹
四温日和をシーソーの四人乗り羊似妃
豆腐屋の三寒四温午前五時横田信一
畑に出で吾は四温の野良仕事横山道男
ダイヤルに指を掛けつつ四温かなよしぎわへい
三寒の四温待ちたる旅支度吉田春代
柵に猿三寒四温の立山の道吉田びふう
三寒四温夫婦茶碗を買い替えに吉成小骨
三寒四温祖母語る満州善し人
土の香や三寒四温昼の窓吉藤愛里子
淀み消え三寒四温に流れ増す米山カローリング
松島の波さざめきて四温晴よみちとせ
せせらぎのひかり三寒四温過ぐ楽花生
三寒や十中八九明日は温らん丸
明日から本気出すから三寒四温里佐
水光の移りつつ三寒四温ルージュ
ドクターイエロー三寒四温のラストラン瑠璃ホコリ
三寒の四温の脱北手記かな黎明
逝きかけて留まつてゐる四温かな朗子
三寒やペテルギウスの赤み増しわかなけん
三寒四温我が家の側にいつも犬わきのっぽ
三寒四温湖水のいよよ煌めきて海神瑠珂
切り過ぎし前髪三寒四温かなわたなべいびぃ
利益グラフのやうな三寒四温渡部克三度
三百円当たりて三寒四温渡辺香野
来客の座布団並べ待つ四温渡邉花
三寒四温じんわり伸ばす膝の裏渡辺陽子
外出は四温中日の歯医者かな渡邉わかな
三寒四温の床掃除機は蛇亘航希
三寒の四温ざらつくたなごころ岩木順
三寒の四温掃き出す車庫のみづ佐藤儒艮
三寒の四温伊香保へバス予約二見歌蓮
三寒四温やちんちろりんの七振り目あたなごっち
園バス追う自転車三寒四温アニマル可秘跳
雲間より三寒四温のひかりさす片岡明
朝刊の柔き三寒四温かな加山シンゴ
三寒や箱根路を行く中継車うめやえのきだけ
開けたての緑茶三寒四温かな芥茶古美
風強し三寒四温吹きとばす天鳥そら
見上げる空三寒四温鳥の飛ぶあらいゆう
温さはサドルへ三寒四温なり伊藤小熊猫
戸の外は三寒四温子の寝息大野てまり
茶柱や三寒四温風が舞う大原妃
玻璃戸より三寒四温蠢きて岡井風紋
旅の朝三寒四温煙る山影夢者
三寒四温茶柱の立つ朝妻と如月ゆう
ごみを出す首筋の三寒四温國本秀山
一着二着同着三寒四温今藤明
大漁旗なびくハラソ祭三寒四温櫻井弘子
母来る三寒四温燗つける雨降りお月さん
三寒四温皺増えつつ俊足一慎
照り込む日三寒四温の訪れ丘るみこ
三寒四温梅酒の実や芳醇末広野暢一
今日の眉とってもきれい三寒四温十月小萩
嫁ぐ日は三寒四温ゆるむ頃秋芳
胃カメラの結果を聞く日三寒四温はままこみかん
三寒の針孔に四温の赤き糸匹田小春花
起立礼三寒四温の一日入学ふさ女
店の前三寒四温手を擦る本気のめんそ
- 夏井いつき先生からの一言アドバイス
-
◆俳号のお願い二つ
①似たような俳号を使う人が増えています。
俳号は、自分の作品をマーキングするための印でもあります。せめて、俳号に名字をつけていただけると有り難く。共に気持ちよく学ぶための小さな心遣いです。②同一人物が複数の俳号を使って投句するのは、堅くご遠慮下さい。「いろんな俳号でいっぱい出せば、どれか紹介されるだろう」という考え方は、俳句には馴染みません。丁寧にコツコツと学んでまいりましょう。
◆ひとことアドバイス
●俳句の正しい表記とは?
節分を 越えて 気持ちは 上り坂ぽんた
「五七五の間を空けないで、一行に書く」のが、俳句の正しい表記です。まずは、ここから学んでいきましょう♪
●兼題とは
祖母軽歩今日のメニューは七日粥直太郎
認め合ふ異なる詞去年今年ねずみ
本俳句サイトでは兼題が出題されています。今回は、季語「三寒四温」での募集でした。次回の兼題を確認して、再度挑戦して下さい。
聘礼使三寒四暖も乗せ来る竹庵
四音日和「うさぎとかめ」の勝利者は綱川羽音
うっかりミスなのだろうな、とは思うのですが。投句ボタンを押す前の確認を習慣づけましょう。
●季重なり
三寒の雪の華四温の花香伊藤節子
土の色三寒四温のあたたかさ梅泰然
オンドルの三寒四温煙る空えのき絵巻
手袋はリュックの中に四温かな木村カズ
三寒のマフラー四温のスカーフ薩摩じったくい
冷たさも四温を待や温水に高橋紀代子
セーターをいつ洗おうか三寒四温中藤雅子
朝散歩三寒四温に鴨集ふ徘徊狂人
三寒四温日差し明るし風寒し原善枝
まあだだよ三寒四温山椒の芽山野花子
三寒の蘭の花芽の頑なさ理真
三寒に芽吹き伸びゆく四温かな凛
一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「三寒四温」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。
●入力ミス・文字化け
エアコンを2?下げる三寒四温橋爪利志美
入力ミス、誤字脱字はよくあります。送信ボタンを押す前の、最後の確認を習慣にしましょう。文字化けは不可抗力に近いけど、文字化けしそうな字を予測できるかも。
●今月の選外
「三寒四温」は七音なので、扱い方が難しい季語。更に、時間経過を含んでいる季語なので、その特色も含めて、挑み甲斐のある季語ではありました。とはいえ、季語を説明するに終わった句や、逆に季語の本意を無視した句などがいつも以上に目につきました。
毎回のことではありますが、言葉を詰め込み過ぎて十七音が破綻したり、言葉の選択ミスで自分にしか分からない句になっているもののも一定数ありました。
客観的に自分の句を眺めるために、経験値は重要な要素ではありますが、せめて投句するまでにささやかな時間をおいて、見直してみることを習慣づけましょう。〆切当日にドタバタするのではなく、自分なりの事前〆切を作り、「句を寝かせる」ことをお勧めします。
お待たせしました! 1月の兼題「三寒四温」の結果発表でございます。今月も夏井先生からのアドバイスは必見です。東京の2月末は梅の花が見頃で風も穏やかで、「春だなあ」となごんでいたのですが、3月に入ってからは雪やみぞれが降り続いていて、見事な「三寒四温」ぶりです。本格的な春が待ち遠しいですね。3月の兼題「土筆」もふるってご応募ください。(編集部より)