夏井いつき先生の俳句生活

夏井先生のプロフィール

夏井先生のプロフィール

夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。

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5月の兼題

「凉し」

3月の審査結果発表

兼題「土筆」

 お待たせしました! 3月の兼題「土筆」の結果発表でございます。今月も夏井先生からのアドバイスは必見です。投句の際のお客様登録が必須となってから半年ほど経過しましたが、投句の数は衰え知らずで、編集部も嬉しい悲鳴を上げています。皆様いつもありがとうございます! 5月の兼題「涼し」もふるってご応募ください。(編集部より)

「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。

天
父は海母は土筆野にて想ふ

小川しめじ

夏井いつき先生より

 俳句において、「想ふ」という動詞が必要なケースは極めて稀です。なぜなら、「想ふ」という心の動きがあるから、その句が出来上がっているわけで、わざわざ書く必要がないことが多いのです。
 が、掲出句における「想ふ」は、作者の感情を吐露するためではなく、「想ふ」という事実を述べるために使われているので、父母への思慕が抑制された形で書かれています。
「父は海」と「母は土筆野」は並列で置かれていますが、季語は「土筆野」。春の野にいるのです。土筆の生えている野に立つと、いつも「母」を思い出します。考えてみると、「父」を思い出すのは「海」を見ている時だなと気付くのです。たった十七音にすぎないのに、この家族の来し方が、読者の胸中にはろばろと広がってくる。上質な郷愁に満ちた作品です。

地
放棄田の閑かな歓呼つくづくし

at花結い

「放棄田」にびっしり生えているのは土筆です。顧みられることもなかったこの田は、今、土筆たちの「閑かな歓呼」に満ちています。下五「つくづくし」という調べのある傍題が、「歓呼」の一語に共鳴するかのような一句です。

土筆には力ありけり直な力

岡崎未知

「土筆」という小さな植物にも、当然生きる力はあります。それをわざわざ「力ありけり」と詠嘆した後の「直な力」という描写が、一句の眼目です。真っ直ぐに健気に伸びてくる「土筆」への、なんと素直な賛歌でしょう。下五の字余りも木訥な響きです。

円墳の土筆の生えぬひとところ

清水縞午

 古墳は日当たりもよく土筆はよく育ちます。ところが、「ひとところ」だけ生えていない場所があるのです。土筆の生えていない所をクローズアップすることで、季語「土筆」を描く。逆転の発想が見事な映像になりました。

雲梯に垂るや土筆に平行に

兎野紫

「雲梯に垂るや」と詠嘆しているのが、なんだか大袈裟で笑えます。子供ではなく、大人かもしれません。ぶら下がったけれど、次へ進めない感じ。ただ真っ直ぐに生ている「土筆」に対し「平行に」と客観的に述べてるのもユーモラスです。

土筆摘みて明日の弱気を飼ひ慣らす

野井みこ

「明日」何があるかは書いていませんが、己の心に巣くう「弱気」と闘っているのです。とても勝てそうにないから、選んだのは「飼ひ慣らす」という平和共存の道。「土筆」を摘む行為が、その思いを支えてくれているかのようで。

人
  • 教卓のヤクルトにさすつくしかな剣橋こじ

  • とりあえずヤクルトへ挿す土筆かな常磐はぜ

  • スカイツリーほどの土筆を摘みにけり宮坂暢介

  • スカイツリーへ同じ高さの土筆かな高岡春雪

  • 空き地今日より土筆野となりにけり藍創千悠子

  • 土筆煮る此処は小鬼の棲みし村足立智美

  • 契約の取れぬ上司と摘む土筆石川穴空

  • つくしんぼ重軽石はちょっと重いいたまき芯

  • 土筆なんか出して地球の無防備な岡一夏

  • 土筆摘む利き手いつしか忘れをり可笑式

  • 溜息と共に土筆は剥かれたか亀山酔田

  • 遺書書いて来たのに土筆生えてゐる干天の慈雨

  • どの鳩も歩いて土筆避けにけり北野きのこ

  • 鉄棒はこんなに低いつくしんぼ城内幸江

  • 近道はだいたい斜めつくしんぼさるぼぼ17

  • 辞めてやる土筆千本摘んでやる三尺玉子

  • 淋しさや土筆の摘まれたきかたち常幸龍BCAD

  • この土筆たぶん茅舎のいまの筆立石神流

  • 土筆摘みながら土筆を踏んでゐる田村利平

  • 土筆野に知事が起工の鍬入れる竹庵

  • つくしんぼ小学生という仕事八田昌代

  • 外務省の柵を越えたる土筆かなみつれしづく

  • 土筆土筆土筆決起する勇気宥光

  • 土筆煮る子犬に獣めく臭いEarlyBird

  • 青空に挨拶一つ土筆の子あいあい亭みけ子

  • 廃線につくし効率の片隅相生三楽

  • 痩せた土筆一本見逃してやる相沢薫

  • 城址より湾ながむれば土筆かな藍野絣

  • 土筆よく見える目となる土筆摘むあいむ李景

  • 逢ふことは天のシナリオ野に土筆逢來応來

  • 園児下車座席に土筆こぼれをりあ。うん

  • 聖剣を引き抜きし夜の土筆飯青井えのこ

  • 堤防の法踏ん張るや土筆摘み青井季節

  • 嘘泣きを練習する子つくしんぼ青田奈央

  • 土筆摘む指先みどり天気雨あおのめ

  • 陽に透かすつくしんぼうは象牙色赤鰯

  • つくし十いや百待てよ二百かよ赤尾双葉

  • 袴剥くたびに土筆の吐息の粉赤富士マニア

  • つくしんぼ野原は僕のつうしんぼ赤目作

  • 屋敷神閑かに揃ふ筆の花acari

  • とりあえず一つ褒めよう土筆んぼう赤尾実果

  • あっさりと振られて下校中土筆愛柑(あかん)いつき組note俳句部

  • 両岸に土筆あるらし丸木橋明惟久里

  • 土筆摘み句友巻き込む日和かな空地ヶ有

  • ハザードマップは網掛け土筆摘む秋月あさひ

  • 陽光とともに土筆をひと握りあき兄はようせい

  • 土筆むく一病の指ひにかざすあくび指南

  • 土筆生ふれどガイガーカウンター鳴る朝雲列

  • 土筆摘む其の後のこと考へずあさぬま雅王

  • 始まりは焼野原からつくしんぼあさのとびら

  • ひとつづつ子ら名をつけるつくしかな浅乃み雪

  • 夫は黄泉手酌の土筆ほろ苦くあじさい卓

  • つくしんぼ百年前の腕時計葦屋蛙城

  • 子の発つに黙の見送りつくしんぼ阿修羅

  • 浪江町検知器の先土筆群明日に翔ぶ会

  • つくし野や自分史といふ日記帳我孫子もふもふ

  • ニュータウンつくしの谷を抱きおり我孫婆

  • 土筆摘む右へ左へ尻の揺れあまぐり

  • ひと仕事終え寛げる土筆かなあみま

  • 土筆摘む十本までは数えたが雨森茂喜

  • つくしんぼぽくんぽくんと土わらふ綾竹あんどれ

  • ハモニカの風に揺られてつくしんぼ綾竹ろびん

  • 廃線の土手鎮まりて土筆土筆あややDC

  • 北山は国語満点つくしんぼあらい

  • 週刊文春広げ土筆の袴取り荒一葉

  • 平家星苦き土筆の胞子飛ぶ荒木響

  • 先発の土筆のみどり風のなか荒木ゆうな

  • 土筆野や見知らぬ子らと雲を追ひ有村自懐

  • 父母よりもはるかに生きて土筆食ぶ有本としを

  • つくしつくしそらはひろかろまるかろう在在空空

  • 達筆の父の文読むつくづくし淡湖千優

  • 青空のまるくなる日の土筆かなアンサトウ

  • 十四基先祖連なり土筆生ふ井若宙

  • 家跡に数へて僅か土筆生ふ飯田淳子

  • ストリートビューや郷里のつくしんぼ飯塚煮込

  • 聡明でくよくよしないつくづくし飯沼深生

  • お互ひに名の出ぬ吾と汝つくしんぼ家守らびすけ

  • 遠富士にやすらふ眼土筆原猪狩鳳保

  • 土筆摘む母は憧れ捨てきれず生野薫

  • へこたれてなぞいられないつくし踏む池田悦子

  • 駆け降りる土筆の群や川堤池田桐人

  • 王の子のやうに照れ屋でつくづくし池之端モルト

  • つくしつくし子の手にしあはせの穢れイサク

  • つくしんぼ迷路のように庭歩く伊澤遥佳

  • 土筆野にクレーンめく手翁の手石塚碧葉

  • つぎつぎとからすよく鳴くつくしんぼ石塚彩楓

  • 土筆立つ明日を思い煩わず石堂多分

  • 嘆いても瞬きもせぬ土筆かな石原しょう

  • 土筆描けば墨に土の香まじり来る石原花野

  • しりとりは三番勝負つくづくし石原由女

  • 童うた聞こえて目覚む土筆かな石本美津

  • 土筆いっぱいの裾野泣き笑い和泉園実

  • つくづくしサドル失せたる三輪車石上あまね

  • 土筆野や父は土へと帰りたるいそのサリー

  • もちを伐る算段ほうけたる土筆板柿せっか

  • 土筆摘む次の人へと残しつつ一井かおり

  • つくし見る晴れぬ心の晴れるまで市川卯月

  • 一面の土筆大地の産毛かな市川りす

  • 横たわる鳥の骸や土筆採り無花果邪無

  • 碧天に土筆立つなり吾は猫一ノ瀬なつめ

  • つくづくし妻は話の腰を折る一慎

  • 七回忌大黒さんの土筆和え伊藤亜美子

  • 人生は長く短し土筆煮る伊藤映雪

  • つくづくしおきやんな友の墓ちかく伊藤恵美

  • お浸しを逃れ画材の土筆かな伊東海芋

  • 道端の土筆やかつてここは海伊藤順女

  • 地に潜む何かに推され土筆伸ぶ伊藤なお

  • 土筆伸ぶ袴はやがて羽になる伊藤柚良

  • 星までの距離に憧れつくしんぼ伊藤れいこ

  • あいうえお順に並んだつくしんぼいとへん製作所

  • 土筆の子二階に姪の住み始め伊ナイトあさか

  • 水子地蔵密やかに増ゆつくづくし井中ひよこ号

  • 土筆摘み了へて光の量競ふ稲畑とりこ

  • ロッククライミング隙間の土筆イナホセドリ

  • たましひの先触れとして土筆出づ居並小

  • 訪問や地図には載らぬ土筆の野井上れんげ・いつき組広ブロ俳句部

  • 凸のよな城跡記号土筆生ふ井納蒼求

  • 土筆生ふ君ら芝の子にあらずよ井口良範

  • つくしんぼ輪廻の果てに伸びてまた猪子石ニンニン

  • 土筆野へ紙飛行機の急降下いまいやすのり

  • 相続せし土地の土筆も分与して伊予吟会宵嵐

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  • つくし摘む法事のいとこまたいとこうつぎゆこ

  • つくしんぼ一寸法師はきかん坊靫草子

  • つくしんぼ幼馴染でご夫婦で卯之町空

  • 黒い丘土筆土色浮き立ちて海口竿富

  • 補助輪をとった転んだつくづくし海野青

  • きうきうと風がほしいと土筆啼く梅朶こいぬ

  • コッヘルの味噌ラーメンに土筆五本梅田三五

  • 恐竜の首の長さを知るつくしうめやえのきだけ

  • せせらぎや喝采のごと土筆生ふ浦城亮祐

  • 土筆すくすくめくり忘れの暦江川月丸

  • つくしつくし微笑みの無い町を出て江口朔太郎

  • つくづくし岩戸を覗くアマテラス蝦夷野ごうがしゃ

  • 土筆野を分かつ昭和の線路跡蝦夷やなぎ

  • 生業として墨を磨り土筆食ふ越冬こあら@QLD句会

  • つくづくし精一杯の嘘をつく絵十

  • 土筆出づ場面緘黙の児が書道江戸きり子

  • 一本の土筆税務署の裏庭に朶美子

  • 泣き止まぬ迷ひ子つくし握りしめえりべり

  • 筆の花上下二巻を点訳す近江菫花

  • 遠山は寝ぼけ土筆の笑いたるおおい芙南

  • 十歳の嘘つき同士つくし摘む大岩摩利

  • 土筆苦し父の包丁研いでみる大久保加州

  • 日曜日少し寂しく土筆摘む大越総

  • つくしんぼ転校先はひとクラス大越マーガレット

  • 白雲の影の流れて土筆生ふ大嶋宏治

  • この街に合うスニーカーつくしんぼ太田怒忘

  • 童謡の一番歌ひ土筆煮る大塚恵美子

  • 人見知り同士の会話土筆摘む大津美

  • 青空へ生きろ生きろとつくづくし大富孝子

  • 黄泉へたつ百寿見送る土筆かな大野喬

  • あきらめることも生きかたつくしんぼ大野美波

  • 我が息子土筆の家族拐いける大家港一

  • 闇へ吐く土筆の胞子や利休色大矢香津

  • 風の音を覚えて太きつくしんぼ大和田美信

  • つくづくし縁ある人の多かりきおかえさき

  • 土筆出で丘の歓び空の青岡田きなこ

  • 空瓶に土筆挿したる新居かな岡田ひろ子

  • 城の景なき城あとにつくづくし男鹿中熊兎

  • 土手下の土筆の波に駆け下りぬオカメインコ

  • 土筆摘む母のテネシーワルツかな岡山小鞠

  • 土筆摘むあの時の風柔らかい丘るみこ

  • 土筆摘む橋から橋を風の唄小川さゆみ

  • 猪除けの柵のあちらにある土筆小川天鵲

  • 土筆だれの子はかまに受くる雨よオキザリス

  • 太陽とあうんの呼吸めく土筆沖庭乃剛也

  • つくつくのつくしつむつむくつはふむ荻原湧

  • 土手滑りなぎ倒されし土筆かな小田毬藻

  • 縁先に爪切る午後やつくしんぼ尾田みのる子

  • 土筆つむ筑波に雲の動かぬ日おだむべ

  • 土筆の森を闊歩する吾は小さき竜越智空子

  • 土筆は我雨雲を突く大杉は鬼弦千枝子

  • つくづくしひとつひとつの野のひかりおひい

  • テニス場ひとごととして土筆生ふぉ村椅子(志村肇)

  • 機関士へ手を振った日や土筆摘おんちゃん。

  • つくしんぼ三分の一は善意海音寺ジョー

  • 自転車のぽつんと遠くなる土筆かいぐりかいぐり

  • 桜島土筆の頭焦げてをり甲斐ももみ

  • 撫で斬りにされたる土豪筆の花火炎幸彦

  • 土筆摘む手話のやうなる指の先影夢者

  • ぺたんこに潰した鞄つくづくし風花まゆみ

  • 名を呼べばふりむく土筆ありそうで風見瑪瑙

  • 雨の日の手紙のにほひつくしんぼかしくらゆう

  • 陶土搗く水車の軋み土筆摘む樫の木

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  • 土筆生ふベランダの声に綻ぶ片岡一月

  • ポケットに小石と羽とつくしんぼ加田紗智

  • つくし野や手話友達とこんにちは蝸牛

  • たどたどしき手話土筆を伝えおりひだまりえりか

  • これだけの土筆を摘んで野に投げて桂子涼子

  • 吾子摘みし食へぬ土筆の捨てがたし桂佐ん吉

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  • 通学路のつくししくしく泣かないで岸来夢

  • 志立てて上京つくし立つ酒暮

  • 毒舌な祖母と黙々土筆むく季切少楽・いつき組広ブロ俳句部

  • 土筆野や遠くに灯る駅の窓北大路京介

  • 袴取る土筆炊く母居らぬのに北川茜月

  • 土筆野や土塊つけて猫車北村環

  • 土筆とふ大地の放つ独り言木寺仙游

  • 排ガスの道にすっくとつくしんぼ木村カズ

  • ごんぎつねつくし野原を駆け回る木村かわせみ

  • つくしんぼすぐに大家のビルが建つ木村信哉

  • 道端の土筆帽子は笊となり木村となえーる

  • 弟の分は残して土筆摘木村弩凡

  • 土筆野やうろ覚えなる恋の歌Q&A

  • リハビリの折鶴よ飛べつくづくし久えむ茜咲

  • つくしん坊と対峙して離郷するきゅうもん@木の芽

  • 挨拶に名刺は要らぬ土筆かな鳩礼

  • つくしんぼ此処は浅間山(あさま)の噴いた痕杏乃みずな

  • 土手下の猫の骸や土筆摘む清鱒

  • 土筆野に風の道あり大落暉霧賀内蔵

  • 万葉の歌口ずさみ土筆摘む霧澄渡

  • 登校の殿にゐてつくし蹴るギル

  • 園児らの攻撃受ける土筆かな近未来

  • つくしんぼぼんくら子つていつたよね句々奈

  • とめはねの美まし雲たち土筆伸ぶくさ

  • 母摘んだ土筆はお花摘みの場所鯨之

  • 校則は意気地無しなり土手土筆くずもち鹿之助

  • 筆箱に隠して土手のつくしんぼくつのした子

  • 日の音叉かたき土割るつくしんぼ熊谷温古

  • 土筆野や左足まだ踏ん張れぬ紅三季

  • ボール跳ねる子ら跳ねる土筆が出る曇ゆら

  • 肉球のやうな日陰や土筆摘む眩む凡

  • つくしつくし天へのびゆく打球音栗田すずさん

  • 麻痺の手も全部わたくしつくしんぼ久留里61

  • 縄文の海なりし野に土筆摘む愚老

  • 曲がり角誰にも摘まれぬ土筆あり黒瀬三保緑

  • つくしんぼ小さな願い叶うべし桑田栞

  • 土筆野や愛犬「チビ」のまま老いぬ恵勇

  • 土筆野の風たっぷりと旅鞄月下檸檬

  • つくしんぼ明朝体の雲を刷くげばげば

  • 土筆手にブラームスから團伊玖磨ケビンコス

  • 白杖の音恋めくを聴く土筆欅谷風来

  • 土筆摘む土に貝殻混じる里健央介

  • 星爆ぜて土筆の先に通知音謙久

  • つくしんぼ布団を叩く音に怒気剛海

  • ぼくだけのはらつぱくださいつくしんぼ公木正

  • 土筆避け草書のように畔歩く河国老保忠

  • 古本も古着も貰い土筆摘む紅紫あやめ

  • 美味いとか不味いではなく土筆喰う柑たちばな

  • 日本は午後三時です土筆摘む幸田梓弓

  • 悪戯に頷き返す土筆かなこうだ知沙

  • 土筆つくし淋しき空に何を描かむ古賀

  • 単線の特快土筆右向け右古烏さや

  • 土筆伸ぶ壁の時計の螺子巻けば木染湧水

  • 粉ミルクは明日まですんと立つ土筆こてぬぐい

  • ヒロインもわれも老いたり土筆摘む後藤三梅

  • サイドアンダーミラーの小さき土筆野粉山

  • かき分けてちさき光や初土筆このみ杏仁

  • 焼却場の煙たなびく土筆かな小林昇

  • 彼の空き地土筆の国の興るらし小林はい魚

  • 帰り道は土筆に聞くや一年生駒茄子

  • つくしつくしたれかひきぬきはふりたる小南子

  • 波長合う友は口下手つくし摘む小山晃

  • 土筆伸ぶ晴れ続くこと疑はずGONZA

  • 土筆たち誰も喋らぬ厨かなこんのゆうき

  • 祈祷師に土筆をひとつ渡しけりコンフィ

  • まほろばの旅の夕餉の土筆かな埼玉の巫女

  • 縄文の石の列なり土筆摘む彩汀

  • 弟と仲直りして摘む土筆齊藤凪音

  • 土筆野やジグザグにゆく三輪車齋藤桃杏

  • 手の中にあかるき乾き土筆摘さおきち

  • 土筆摘む部署異動もうあしたからさ乙女龍チヨ

  • 我々はコピペ人間つくしんぼ酒井春棋

  • 膝小僧あかるし土筆摘む少女さかえ八八六

  • つくしんぼ昭和守りたる学徒兵坂口いちお

  • 自慢げに語る闘病選る土筆坂まきか

  • つくしんぼ妻を伴い新天地櫻井こむぎ

  • めりめりと成長痛や土筆の夜桜鯛みわ

  • 曼荼羅の入り口に立つ土筆かなささき良月

  • つくしんぼみんなそろっておひとよしさざれいし

  • ジョイントの余韻線路を照る土筆さち今宵

  • この土手の端まで土筆摘み放題佐藤志祐

  • 二日酔ひ土筆は耳たぶのかたささとう昌石

  • つくづくし土手といふものなつかしきさとうナッツ

  • 土筆摘む垂直に街うつろへどさとうゆうき

  • 「ただいま」と言ひだすやうな土筆摘む佐藤ゆま

  • チェロの弦弾くごとくに土筆摘む佐藤レアレア

  • 摘みながら土筆相手に独り言里こごみ

  • 土筆ただ生きていたかっただけだ里山子

  • 土筆狩る無垢に高ぶる開拓者錆田水遊

  • つくしんぼ喧嘩の仕方知らぬらしさぶり

  • 少しづつ違ふ空見る土筆かな彷徨ういろは

  • まづ夫に入選伝へ土筆和え佐柳里咲

  • やはらかにつくしほどけて川のおと沢井如伽

  • ああ今日もコールド負けかつくしんぼ澤田紫

  • 撮り鉄の脚立の足元に土筆澤野敏樹

  • 土筆てふ籠いつぱいの日の軽さ三月兎

  • 爪に泥くの字の土筆引き合って斬九郎

  • 下処理の水は豊かや土筆食む珊瑚霧

  • 土筆野やそっぽを向いて寄りそうて塩風しーたん

  • 土筆摘む特にあてなど無くて摘む塩沢桂子

  • 土筆摘む祖母馴れ初めを淡々と塩の司厨長

  • うとましく思ふほど欲張る土筆摘塩原香子

  • 憎しみは暇より生まるつくづくし柿司十六

  • 噂にはイオン予定地つくし摘むじつみのかた

  • 地の力集めて灯す土筆かな信濃のあっくん

  • 帝劇は閉館今日も土筆生ふ芝歩愛美

  • 土筆つみつつ幸せをさがしつつ渋谷晶

  • つくしんぼ注ぐひかりに真っ直ぐにしぼりはf22

  • 夜明け前空塗り替える土筆かな島掛きりの

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  • 昼休みヘルメットへと土筆どさっ清水祥月

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  • だるまさんがころんだ土筆みつけたじゅんこ

  • つくしんぼビル屋上の大明神じょいふるとしちゃん

  • ホームランボールときどき土筆かな白石美月

  • 七回忌過ぎてひとりで摘む土筆白井百合子

  • 人にエラー土筆は右に靡きけり白沢ポピー

  • ソラシレド野にいつぱいの土筆唄不知飛鳥

  • 土筆踏む吾とよけて行く野良猫と白猫のあくび

  • 3ばかり続く半生つくしんぼ白よだか

  • 土筆揚ぐ部屋に野原の香りけりしわしわ

  • 校庭の土筆ティンパニの音程ジン・ケンジ

  • 少年は土筆を踏まず引き越せり新濃健

  • かりそめの帰郷にあらず土筆摘むすがりとおる

  • 精神科帰路に土筆の萌えにけり鈴木季良恵

  • 恐竜の里は走りの土筆かな鈴木由紀子

  • 孵化と羽化の音を拾うて土筆伸ぶ鈴白菜実

  • きっと明日も土筆だけれど飛びたい空清白真冬

  • 土筆摘む村の石碑に神代文字すずなき

  • 土筆折るたび軋むこころとからだ鈴野蒼爽

  • 鶏舎を脱走の一羽土筆もゆ鈴野冬遊

  • 水切りの五段飛びたり土筆まで素敵な晃くん

  • 煮るまへの土筆の多さ口々に主藤充子

  • 土筆摘む土に幸せもらふごと砂山恵子

  • 打ち捨てし陶片の間に土筆伸ぶせいしゅう

  • 土筆摘む笊いっぱいの軽さかな清仁

  • 土筆野へ時効の恋を置いてゆく瀬央ありさ

  • 地雷原に残され尖る土筆あぁ瀬紀

  • 賃上げの満額妥結つくしんぼsekiいつき組広ブロ俳句部

  • ビル陰の土筆まちぼうけの私千・いつき組広ブロ俳句部

  • 風刺画を覆う土筆や新聞紙外鴨南菊

  • 土筆摘むけふの野山の狐日和そぼろ

  • 四歳のプロポーズなりつくしんぼそまり

  • 土筆つくし漁港をブルーインパルス空豆魚

  • 思ひ出の土手の土筆に火をつけよぞんぬ

  • 三つ目の襞の反りたる土筆かなたーとるQ

  • なあ土筆じぶんはじぶんなんだよねたいらんど風人

  • 土筆摘む瀬音のとどくパン屋裏高尾一叶

  • 川風に光の帽子つくしんぼ高木音弥

  • 鬼に見つかりたきやうなつくしんぼ高橋寅次

  • 子どもには子どもの事情つくしんぼ高橋ひろみこ

  • つくしんぼ明日消さうとする命鷹見沢幸

  • 土筆野に慣れてつくしの浮き上がるたかみたかみ

  • 土筆坂昼には父の退院なり田川弦太

  • 二本ずつ鉛筆土筆筆箱に滝上珠加

  • シーソーのわたし重すぎつくしんぼ滝川橋

  • 四つん這ひの杖あなたなる土筆摘たけぐち遊子

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  • つくづくし風を掴みて胞子飛ぶはるの風花

  • 次々と覗く土筆に誘はれて春美

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  • 土筆摘む先ずは写真を撮ってから東の山

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  • 廃部後のテニスコート脇に土筆火車キッチンカー

  • その青き頭は食めぬつくしんぼひすい風香

  • 籠の中土筆の山の萎れをり向日葵姐@いつき組広ブロ俳句部

  • 手に土筆サイレン響く碧い空ひまわりと蒼い月

  • つくしんぼ泣いてる子供慰めてひめりんご

  • 土筆の穂緑の胞子発光す平岡梅

  • ZOOの庭檻の隙間に出る土筆平野純平

  • 尻の下折れず我慢の土筆かな平松一

  • つくしんぼ先に見せ後つうしんぼ比良山

  • 三十代独身の前土筆あり平山仄海

  • 六角形自然の不思議土筆にも昼寝

  • 蝶の眼の匂ひのマスク土筆かな微呂

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  • 寝ころべば土筆折る音あちこちに広島あーやあーや

  • 子や孫に小鉢の中のつくしんぼ広島立葵

  • めづらしや民家の庭の土筆かな廣田惣太郎

  • 震度3アスファルト傍土筆出づ広野光

  • 土筆野やタダの夕餉に精を出し広ブロ俳句部三日余子

  • 吾子と見し土筆は土筆同じ色琵琶京子

  • 袴着け登城土筆が出揃いてFUFU

  • 袴脱ぎ一風呂浴びて土筆かな深蒸し茶

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  • 横並び丈を競わぬ土筆かな福川敏機

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  • 片方の靴脱げ土筆に出会えた日藤田紫桜

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  • 「ねえ母さん」土筆の袴取りながら藤原訓子

  • 失恋やならぶ土筆を横目見るフタバ凛

  • 仮置きの反古を捨てろよつくしんぼ舟端たま

  • 先生の濃き醤油煮へ土筆摘風友

  • けんかしてあそんでふたりつくしんぼ冬野とも

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  • 土筆摘む汚した手には野の香り古澤久良

  • 単線のレール伝ひに土筆かな古道具

  • 野の草に負けじと伸びる土筆かな古谷芳明

  • つぽつぽと空を突き刺すつくしんぼ碧西里

  • 故郷の野路変わらずつくしんぼ芳醇

  • しゃがみ込み土筆だけ摘む小さき手峰晶

  • 花でも草でもない土筆ゆらゆら暮戯

  • 五億年前からいるのかつくしんぼ星雅綺羅璃

  • ビニールへ吾子の喃語とつくづくしほしの有紀

  • 土手の上祖母に手をふり土筆とりほたる純子

  • スクールバス降りて連れションつくしんぼポップアップ

  • アパートや遠い昔の土筆んぼ堀籠美雪

  • 汲々と生きる都会の土筆かな堀卓

  • 先越され手ぶらの帰宅土筆採り堀隼人

  • テスト赤点つくしんぼ伸びほうだいポンタロウ

  • 初恋のペンと便箋土筆本間美知子

  • しみじみと土筆摘む幸食ぶる幸前田冬水

  • 七の段は少しむずかしつくしんぼ槇原九月

  • 灰汁ありや爪黒くなり土筆和槇まこと

  • つくしつくし痛き腰をかばう日に牧茉侖

  • 休日は土筆探しに暇つぶしまこと(羽生誠)

  • 生え競うつんつんつんとつくし哉正男が四季

  • つくしんぼ空に描くは綺麗な弧雅蔵

  • 禿頭にいたづららしき土筆かな町田思誠

  • 陽を浴びて土筆色づく駐車場町家の日々輝

  • 花言葉意外驚土筆かな松井英雄

  • 五線紙をスキップするよに摘む土筆松浦姫りんご

  • 足弱の母も連れたし土筆の野松岡玲子

  • つくしんぼ燃える朝日にいま目覚め松尾祇敲

  • つくしつくし踏まないように走りけり松坂コウ

  • 土筆出づ小楠公のおわす墓堀邦翔

  • 弾正の爆死せし山土筆摘む松田寛生

  • 好物は土筆と書くか身上書まっちゃこ良々

  • 夕暮れて帰りたくない土筆摘むまつとしきかわ

  • 孫の摘むつくし娘の手で和え物に松永好子

  • 来年は独り立ちせん土筆摘む松野蘭

  • つくしんぼ遊びほうけて空の籠まやみこ恭

  • 野に土筆街にはビルが建ち並ぶ真理庵

  • 母さんを追い越している土筆狩まりい木ノ芽

  • 青春はややも苦しよつくしん坊まるごとハテナ

  • 真白なる前掛けに摘む土筆丸山隆子

  • 大空を土筆とともに仰ぎけり満月

  • 土筆今我に会う為地を破る美衣珠

  • 皆平等の昭和魂つくしんぼ三上栞

  • 裾は踝にし避ける土筆の野三河三可

  • 強そうな土筆見つけて節あそび水間澱凡

  • 凛としてセピアの袴穿く土筆三高姫

  • くるぶしの丈に揃ひし土筆摘む三田忠彦

  • 雑草にすがり土筆を摘む堤美津うつわ

  • 遠き日の土筆苦味に母想ひ光月野うさぎ

  • 土筆摘む背中の吾子の寝息かなみづたま

  • あやとりし吾子の炒めし土筆喰む光森早苗

  • 学童の岐路や土筆を追いかけてみなづき光緒

  • 孫連れて植物園へ土筆見に湊かずゆき

  • 土筆生ふ戦場ヶ原遊歩道みなみはな

  • 先生へこれが土筆のお礼です嶺乃森夜亜舎

  • 道すがら暫し留まり土筆摘む美春

  • 土筆摘む指嗅ぎに来る散歩犬見屋桜花

  • フェンスから顔出すつくし草野球みやかわけい子

  • 旅立ちを見送る背中とつくしんぼ宮城海月

  • つくしんぼ母は秘密の場所を持つ都乃あざみ

  • デッサンのモデルとなりぬ筆の花みやま千樹

  • 小川跨ぎ土筆の道は誰も来ず美山つぐみ

  • 別れ告ぐ苦さは土筆食べたせい深山柚仁

  • 土手沿いの先駆けすくっとつくしんぼ宮村寿摩子

  • つくしんぼう「縄跳び電車が通ります」みらんだぶぅ

  • 摘み忘る土筆を足して夕ごはん椋本望生

  • 散歩中土筆追い追いはるばるとむじか

  • ツナマヨと茶筒と堤つくづくし武者小路軽妙洒脱篤

  • 母送り野辺に土筆のふたつみつ霧想衿

  • 猫の尾を掴んでしまう土筆摘み睦月くらげ

  • 田舎道つくしを描く筆選び睦長月

  • 取り去っても取り去ってもつくづくし武藤ゆうじ

  • 小さき手のリコーダーの音土筆の子むねあかどり

  • 急ぎ来て土筆やいずこ通学路村上の百合女

  • 思い出のあまりに多し土筆摘む村上弥生

  • 摘まで置く子に教えたき土筆かな室依子

  • つくしんぼ根っこは線路のびている恵のママ

  • ここにいる我の不思議さ野の土筆目黒青邑

  • 半分が空つくし摘むポーズの子メディックス千里

  • まっさらなリハビリシューズつくしんぼ茂木りん

  • 這いつくばって君と見る土筆かな望月ゆう

  • 中堅や土筆野のながめせしまにもも

  • 束にして水に放てば浮く土筆森海まのわ

  • 地軸という軸など見えず土筆かな森佳月

  • 革命の如き土筆野ありにけりもりさわ

  • 指先は土筆の先の色違い森重聲

  • 母つんで土手に芽生えし土筆かな森嶋ししく

  • 袴取りし爪に土筆の灰汁三日もりたきみ

  • 土筆煮のわずかや祖母の割烹着守田散歩

  • 老犬といつもの土手を「あら土筆」森中ことり

  • 祖父母亡き庭に今年も土筆あり森野恵

  • 合唱の和音は天へ土筆伸ぶ森日美香

  • 母の背と畦道土筆湯を沸かす森茉那

  • かばかりの土筆摘み終え恵比須顔もりやま博士

  • 線路沿い乗客見送る土筆かな諸岡萌黄

  • 透け透けの土筆からから出世なぞ山羊座の千賀子

  • タラップを降りた芝生に土筆かな八木実

  • 同姓の投句者うれし土筆摘む矢澤かなえ

  • 朝日さす残り区画に土筆萌え痩女

  • 土筆摘む祖母の背中の小ささよやなや

  • 気が付けばほうけた土筆脳裏の中やのかよこ

  • 皆は母子で土筆摘む指黒し八幡風花

  • 指先を黒く染めたる土筆かな山内泉

  • 土筆出た遠い息子からライン山内文野

  • 草屋根の土筆見つけし晴れた朝山尾政弘

  • 校門を出て一本の土筆かな山川腎茶

  • かさこそと内緒話の土筆摘む山川たゆ

  • 草野球土筆とともに声援す山口絢子

  • 若き日の父と土筆と弟と山口香子

  • 土筆ズボンを穿いて生えすくすくと山口雀昭

  • 道草に摘んで帰りし土筆炊く山口笑骨

  • あっつくし!しゃがんだ、撮った、摘み取った山崎のら

  • 助手席で泣き顔隠し指す土筆山下智

  • 我隠す如くに土筆はしゃぎけり山下義人

  • おこりんぼう土筆のびしろ恋心山田一予

  • 廃線後幾年月の土筆かな山田好々子

  • 子ら帰り置いてけぼりの土筆かな山田翔子

  • 土筆出る明日の夜は孫の部屋やまだ童子

  • ジョギングの足止め土筆探しけり山田はつみ

  • 土筆ありたった一本頭撫で山田文妙

  • つくしんぼ土手の上から母の声大和杜

  • 土筆みて言を呑むゆとり待つ山薔薇

  • つくしんぼ我が子が摘んだ昔あり山本葉舟

  • 大の字や土筆百本分の空山姥和

  • 土筆突く大空ふはり走り書き有野安津

  • 土筆見て献立メモに卵足す雪鯨

  • 先生は年子の姉よつくづくしゆすらご

  • 土筆和え食するほどの齢かな柚木啓

  • つくしんぼどこから来たの誰の子なん宙美

  • 越木岩土筆と並ぶ相撲とり夢一成

  • 土筆野や風の模様の伊万里焼陽花天

  • でこぼこの探検隊いざ土筆野へ陽光樹

  • ひょっとしてひょっとしてひょっとして土筆横浜J子

  • 古墳群幼な子摘みとるつくしんぼ横山道男

  • 暗がりの圧する風に土筆立つよしぎわへい

  • まだかしらやっと見つけたつくしんぼ吉田春男

  • 子供らに摘まれることもなし土筆吉田びふう

  • 土筆伸ぶ威風堂々ビルの横吉藤愛里子

  • 親の顔知らず土筆の憐れかなYoshimin空

  • 寝転ぶや土筆伸びるを待つゆとり米山カローリング

  • 喧嘩して帰る理由の土筆摘む楽花生

  • ままごとの残りは母へ土筆摘らん丸

  • つくし摘むけふは路傍の五六本理佳おさらぎ

  • つくしんぼ乳歯抜けたよ屋根へそれっ!リコピン

  • 車椅子の母の指さすつくしんぼ理真

  • つくしんぼ園児の並ぶごときかな

  • 土筆野へ紙飛行機の旋回すルージュ

  • 青年はロケットでありつくづくし留辺蘂子

  • 翠色の野を背に土筆ブラザーズ瑠璃ホコリ

  • 空へ出づ胞子と弾糸つくしんぼ呂ろロ

  • 亡き父の四十九日に土筆摘みわきのっぽ

  • 鎮魂歌土筆の影の揺れる音わぎゃん

  • 四十九日の母の法事や土筆摘むわたなべすずしろ

  • つんつんと列の成したる土筆かな渡邉花

  • じゃまないと声リフレイン土筆坊和脩志

  • 土筆採り颯一筆啓上すあかねペン銀

  • いつからか摘まずにめでる土筆かなおんあいす

今月のアドバイス
夏井いつき先生からの一言アドバイス

◆俳号のお願い二つ

①似たような俳号を使う人が増えています。
 俳号は、自分の作品をマーキングするための印でもあります。せめて、俳号に名字をつけていただけると有り難く。共に気持ちよく学ぶための小さな心遣いです。

②同一人物による複数俳号を使った投句は、堅くご遠慮下さい。
「いろんな俳号でいっぱい出せば、どれか紹介されるだろう」という考え方は、俳句には馴染みません。丁寧にコツコツと学んでまいりましょう。


◆ひとことアドバイス


●兼題とは

  • 背広脱ぎ夕餉の香り春浅し西澤

 本俳句サイトでは兼題が出題されています。今回は、季語「土筆」での募集でした。次回の兼題を確認して、再度挑戦して下さい。


●季重なり

  • 幼子の手に春嬉し土筆かな南天子

  • つくしみててぶくろはずすさんぽみちいっくん22

  • 春うららつくしんぼうが背比べ花園ゴンキツネ

  • 春の里土筆のダンス風まかせ古川しげ子

  • 暖かや土筆摘む吾子犬昼寝紅兎

  • 土筆姫蝶にキスされ目覚めたり中村カパコ

  • 黄砂吹く土筆に被る問題視星夢光風

 一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「土筆」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。


●仮名遣いについて

  • 群生の土筆喋っているやうな伊藤キキ

  • うまさふなフエンスのむかふの土筆かな遠藤千草

  • 世の憂い聴いていさうな土筆かな上原淳子

  • かあちゃんが叱られてゐるつくしんぼ湯屋ゆうや

  • 代わりならいくらでもゐるつくしんぼ横山雑煮

 歴史的仮名遣いは、普段使っている現代仮名遣いとは違うので、多少勉強する必要があります。
 この五句は、歴史的仮名遣いと現代仮名遣いが入り混じったり、間違ったりしています。自分で調べてみるところから、学びが始まります。


●季語について

  • 雨上がりつくつくしみっけ庭の端ほうちゃん

  • つくつくし空清らかに萌えはじむ月城龍二

 入力ミスかもしれませんが、「つくつくし」は秋の季語「法師蟬」の傍題。春の季語「つくし」の傍題は「つくづくし」です。似ているので、ついつい間違えてしまいがちな二つの季語です。


  • 袴取り真っ黒くろや母の爪古賀厚子

 兼題が「土筆」なので、「袴取り」と書けば分かると考えたのは理解できるのですが、季語が兼題として出題されている場合はその季語(或いは傍題)を詠み込むことが必須です。


  • 杉菜も人も生まれた時は土筆色君塚美蕉

「土筆」という文字は入っていますが、あくまでも「土筆色」という色の種類として使われています。むしろ、「杉菜」の句だと判断すべき一句です。


  • つくしんぼスギナはあれど見いだせずみかりん65号

 つくしんぼが枯れて、杉菜が出てきます。同じ地下茎がでてくるものとはいえ、季語としては別物として認識されています。この句の場合は、「スギナ」の句だと判断されるでしょうね。


  • タラ芽食い次は土筆と言う嫗雨降りお月さん

  • 土筆読む漢字知る頃姿見ず山下弥生

 こちらの二句も「土筆」という文字は入っていますが、どちらも「土筆」が眼前にあるわけではありません。一句目は、むしろ「楤の芽」の句というべきでしょうし、二句目は無季の句と判断されるかもしれません。


  • ぴっかぴか土筆のようなニューフェース鍵盤タロウ

 季語が比喩として使われた場合、季語の鮮度は落ちます。


  • PTSDが土筆のごとく生えてくる玉響海月

 ただ、この句のような場合は、妙な切迫感があって、詩としては味わえるかと思いますが、このあたりの評価は分かれるところです。
 比喩を逆転させることで、この句材を生かすことはできます。
【添削例】 PTSDみたいに土筆生えてくる
 これならば、文句なく秀作に頂きます。

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5月の兼題

「凉し」

過去の審査結果

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