夏井先生のプロフィール
夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。
3月の審査結果発表
兼題「土筆」
「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。
父は海母は土筆野にて想ふ
小川しめじ
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夏井いつき先生より
俳句において、「想ふ」という動詞が必要なケースは極めて稀です。なぜなら、「想ふ」という心の動きがあるから、その句が出来上がっているわけで、わざわざ書く必要がないことが多いのです。
が、掲出句における「想ふ」は、作者の感情を吐露するためではなく、「想ふ」という事実を述べるために使われているので、父母への思慕が抑制された形で書かれています。
「父は海」と「母は土筆野」は並列で置かれていますが、季語は「土筆野」。春の野にいるのです。土筆の生えている野に立つと、いつも「母」を思い出します。考えてみると、「父」を思い出すのは「海」を見ている時だなと気付くのです。たった十七音にすぎないのに、この家族の来し方が、読者の胸中にはろばろと広がってくる。上質な郷愁に満ちた作品です。
放棄田の閑かな歓呼つくづくし
at花結い
「放棄田」にびっしり生えているのは土筆です。顧みられることもなかったこの田は、今、土筆たちの「閑かな歓呼」に満ちています。下五「つくづくし」という調べのある傍題が、「歓呼」の一語に共鳴するかのような一句です。
土筆には力ありけり直な力
岡崎未知
「土筆」という小さな植物にも、当然生きる力はあります。それをわざわざ「力ありけり」と詠嘆した後の「直な力」という描写が、一句の眼目です。真っ直ぐに健気に伸びてくる「土筆」への、なんと素直な賛歌でしょう。下五の字余りも木訥な響きです。
円墳の土筆の生えぬひとところ
清水縞午
古墳は日当たりもよく土筆はよく育ちます。ところが、「ひとところ」だけ生えていない場所があるのです。土筆の生えていない所をクローズアップすることで、季語「土筆」を描く。逆転の発想が見事な映像になりました。
雲梯に垂るや土筆に平行に
兎野紫
「雲梯に垂るや」と詠嘆しているのが、なんだか大袈裟で笑えます。子供ではなく、大人かもしれません。ぶら下がったけれど、次へ進めない感じ。ただ真っ直ぐに生ている「土筆」に対し「平行に」と客観的に述べてるのもユーモラスです。
土筆摘みて明日の弱気を飼ひ慣らす
野井みこ
「明日」何があるかは書いていませんが、己の心に巣くう「弱気」と闘っているのです。とても勝てそうにないから、選んだのは「飼ひ慣らす」という平和共存の道。「土筆」を摘む行為が、その思いを支えてくれているかのようで。
教卓のヤクルトにさすつくしかな剣橋こじ
とりあえずヤクルトへ挿す土筆かな常磐はぜ
スカイツリーほどの土筆を摘みにけり宮坂暢介
スカイツリーへ同じ高さの土筆かな高岡春雪
空き地今日より土筆野となりにけり藍創千悠子
土筆煮る此処は小鬼の棲みし村足立智美
契約の取れぬ上司と摘む土筆石川穴空
つくしんぼ重軽石はちょっと重いいたまき芯
土筆なんか出して地球の無防備な岡一夏
土筆摘む利き手いつしか忘れをり可笑式
溜息と共に土筆は剥かれたか亀山酔田
遺書書いて来たのに土筆生えてゐる干天の慈雨
どの鳩も歩いて土筆避けにけり北野きのこ
鉄棒はこんなに低いつくしんぼ城内幸江
近道はだいたい斜めつくしんぼさるぼぼ17
辞めてやる土筆千本摘んでやる三尺玉子
淋しさや土筆の摘まれたきかたち常幸龍BCAD
この土筆たぶん茅舎のいまの筆立石神流
土筆摘みながら土筆を踏んでゐる田村利平
土筆野に知事が起工の鍬入れる竹庵
つくしんぼ小学生という仕事八田昌代
外務省の柵を越えたる土筆かなみつれしづく
土筆土筆土筆決起する勇気宥光
土筆煮る子犬に獣めく臭いEarlyBird
青空に挨拶一つ土筆の子あいあい亭みけ子
廃線につくし効率の片隅相生三楽
痩せた土筆一本見逃してやる相沢薫
城址より湾ながむれば土筆かな藍野絣
土筆よく見える目となる土筆摘むあいむ李景
逢ふことは天のシナリオ野に土筆逢來応來
園児下車座席に土筆こぼれをりあ。うん
聖剣を引き抜きし夜の土筆飯青井えのこ
堤防の法踏ん張るや土筆摘み青井季節
嘘泣きを練習する子つくしんぼ青田奈央
土筆摘む指先みどり天気雨あおのめ
陽に透かすつくしんぼうは象牙色赤鰯
つくし十いや百待てよ二百かよ赤尾双葉
袴剥くたびに土筆の吐息の粉赤富士マニア
つくしんぼ野原は僕のつうしんぼ赤目作
屋敷神閑かに揃ふ筆の花acari
とりあえず一つ褒めよう土筆んぼう赤尾実果
あっさりと振られて下校中土筆愛柑(あかん)いつき組note俳句部
両岸に土筆あるらし丸木橋明惟久里
土筆摘み句友巻き込む日和かな空地ヶ有
ハザードマップは網掛け土筆摘む秋月あさひ
陽光とともに土筆をひと握りあき兄はようせい
土筆むく一病の指ひにかざすあくび指南
土筆生ふれどガイガーカウンター鳴る朝雲列
土筆摘む其の後のこと考へずあさぬま雅王
始まりは焼野原からつくしんぼあさのとびら
ひとつづつ子ら名をつけるつくしかな浅乃み雪
夫は黄泉手酌の土筆ほろ苦くあじさい卓
つくしんぼ百年前の腕時計葦屋蛙城
子の発つに黙の見送りつくしんぼ阿修羅
浪江町検知器の先土筆群明日に翔ぶ会
つくし野や自分史といふ日記帳我孫子もふもふ
ニュータウンつくしの谷を抱きおり我孫婆
土筆摘む右へ左へ尻の揺れあまぐり
ひと仕事終え寛げる土筆かなあみま
土筆摘む十本までは数えたが雨森茂喜
つくしんぼぽくんぽくんと土わらふ綾竹あんどれ
ハモニカの風に揺られてつくしんぼ綾竹ろびん
廃線の土手鎮まりて土筆土筆あややDC
北山は国語満点つくしんぼあらい
週刊文春広げ土筆の袴取り荒一葉
平家星苦き土筆の胞子飛ぶ荒木響
先発の土筆のみどり風のなか荒木ゆうな
土筆野や見知らぬ子らと雲を追ひ有村自懐
父母よりもはるかに生きて土筆食ぶ有本としを
つくしつくしそらはひろかろまるかろう在在空空
達筆の父の文読むつくづくし淡湖千優
青空のまるくなる日の土筆かなアンサトウ
十四基先祖連なり土筆生ふ井若宙
家跡に数へて僅か土筆生ふ飯田淳子
ストリートビューや郷里のつくしんぼ飯塚煮込
聡明でくよくよしないつくづくし飯沼深生
お互ひに名の出ぬ吾と汝つくしんぼ家守らびすけ
遠富士にやすらふ眼土筆原猪狩鳳保
土筆摘む母は憧れ捨てきれず生野薫
へこたれてなぞいられないつくし踏む池田悦子
駆け降りる土筆の群や川堤池田桐人
王の子のやうに照れ屋でつくづくし池之端モルト
つくしつくし子の手にしあはせの穢れイサク
つくしんぼ迷路のように庭歩く伊澤遥佳
土筆野にクレーンめく手翁の手石塚碧葉
つぎつぎとからすよく鳴くつくしんぼ石塚彩楓
土筆立つ明日を思い煩わず石堂多分
嘆いても瞬きもせぬ土筆かな石原しょう
土筆描けば墨に土の香まじり来る石原花野
しりとりは三番勝負つくづくし石原由女
童うた聞こえて目覚む土筆かな石本美津
土筆いっぱいの裾野泣き笑い和泉園実
つくづくしサドル失せたる三輪車石上あまね
土筆野や父は土へと帰りたるいそのサリー
もちを伐る算段ほうけたる土筆板柿せっか
土筆摘む次の人へと残しつつ一井かおり
つくし見る晴れぬ心の晴れるまで市川卯月
一面の土筆大地の産毛かな市川りす
横たわる鳥の骸や土筆採り無花果邪無
碧天に土筆立つなり吾は猫一ノ瀬なつめ
つくづくし妻は話の腰を折る一慎
七回忌大黒さんの土筆和え伊藤亜美子
人生は長く短し土筆煮る伊藤映雪
つくづくしおきやんな友の墓ちかく伊藤恵美
お浸しを逃れ画材の土筆かな伊東海芋
道端の土筆やかつてここは海伊藤順女
地に潜む何かに推され土筆伸ぶ伊藤なお
土筆伸ぶ袴はやがて羽になる伊藤柚良
星までの距離に憧れつくしんぼ伊藤れいこ
あいうえお順に並んだつくしんぼいとへん製作所
土筆の子二階に姪の住み始め伊ナイトあさか
水子地蔵密やかに増ゆつくづくし井中ひよこ号
土筆摘み了へて光の量競ふ稲畑とりこ
ロッククライミング隙間の土筆イナホセドリ
たましひの先触れとして土筆出づ居並小
訪問や地図には載らぬ土筆の野井上れんげ・いつき組広ブロ俳句部
凸のよな城跡記号土筆生ふ井納蒼求
土筆生ふ君ら芝の子にあらずよ井口良範
つくしんぼ輪廻の果てに伸びてまた猪子石ニンニン
土筆野へ紙飛行機の急降下いまいやすのり
相続せし土地の土筆も分与して伊予吟会宵嵐
土筆一本自分史の栞とす岩木順
土筆摘むどうしようもなく青い空いわさちかこ
無規則に無駄に無口につくづくし岩清水彩香
筆の花全速力の雲眺め上野眞理
コンクリの継目に揃ふ土筆かな鵜飼ままり
土筆生ふ軽やかにつく嘘の数うからうから
嫌婚の耳へ土筆のうすけむり兎森へる
もううちの子になれアスファルトのつくしうすい木蓮
土筆原次の一歩はどこに置く宇田の月兎
純ちゃんと一本橋を土筆野へ内田こと
ふるさとは未だ単線つくしんぼう空木眠兎
つくし摘む法事のいとこまたいとこうつぎゆこ
つくしんぼ一寸法師はきかん坊靫草子
つくしんぼ幼馴染でご夫婦で卯之町空
黒い丘土筆土色浮き立ちて海口竿富
補助輪をとった転んだつくづくし海野青
きうきうと風がほしいと土筆啼く梅朶こいぬ
コッヘルの味噌ラーメンに土筆五本梅田三五
恐竜の首の長さを知るつくしうめやえのきだけ
せせらぎや喝采のごと土筆生ふ浦城亮祐
土筆すくすくめくり忘れの暦江川月丸
つくしつくし微笑みの無い町を出て江口朔太郎
つくづくし岩戸を覗くアマテラス蝦夷野ごうがしゃ
土筆野を分かつ昭和の線路跡蝦夷やなぎ
生業として墨を磨り土筆食ふ越冬こあら@QLD句会
つくづくし精一杯の嘘をつく絵十
土筆出づ場面緘黙の児が書道江戸きり子
一本の土筆税務署の裏庭に朶美子
泣き止まぬ迷ひ子つくし握りしめえりべり
筆の花上下二巻を点訳す近江菫花
遠山は寝ぼけ土筆の笑いたるおおい芙南
十歳の嘘つき同士つくし摘む大岩摩利
土筆苦し父の包丁研いでみる大久保加州
日曜日少し寂しく土筆摘む大越総
つくしんぼ転校先はひとクラス大越マーガレット
白雲の影の流れて土筆生ふ大嶋宏治
この街に合うスニーカーつくしんぼ太田怒忘
童謡の一番歌ひ土筆煮る大塚恵美子
人見知り同士の会話土筆摘む大津美
青空へ生きろ生きろとつくづくし大富孝子
黄泉へたつ百寿見送る土筆かな大野喬
あきらめることも生きかたつくしんぼ大野美波
我が息子土筆の家族拐いける大家港一
闇へ吐く土筆の胞子や利休色大矢香津
風の音を覚えて太きつくしんぼ大和田美信
つくづくし縁ある人の多かりきおかえさき
土筆出で丘の歓び空の青岡田きなこ
空瓶に土筆挿したる新居かな岡田ひろ子
城の景なき城あとにつくづくし男鹿中熊兎
土手下の土筆の波に駆け下りぬオカメインコ
土筆摘む母のテネシーワルツかな岡山小鞠
土筆摘むあの時の風柔らかい丘るみこ
土筆摘む橋から橋を風の唄小川さゆみ
猪除けの柵のあちらにある土筆小川天鵲
土筆だれの子はかまに受くる雨よオキザリス
太陽とあうんの呼吸めく土筆沖庭乃剛也
つくつくのつくしつむつむくつはふむ荻原湧
土手滑りなぎ倒されし土筆かな小田毬藻
縁先に爪切る午後やつくしんぼ尾田みのる子
土筆つむ筑波に雲の動かぬ日おだむべ
土筆の森を闊歩する吾は小さき竜越智空子
土筆は我雨雲を突く大杉は鬼弦千枝子
つくづくしひとつひとつの野のひかりおひい
テニス場ひとごととして土筆生ふぉ村椅子(志村肇)
機関士へ手を振った日や土筆摘おんちゃん。
つくしんぼ三分の一は善意海音寺ジョー
自転車のぽつんと遠くなる土筆かいぐりかいぐり
桜島土筆の頭焦げてをり甲斐ももみ
撫で斬りにされたる土豪筆の花火炎幸彦
土筆摘む手話のやうなる指の先影夢者
ぺたんこに潰した鞄つくづくし風花まゆみ
名を呼べばふりむく土筆ありそうで風見瑪瑙
雨の日の手紙のにほひつくしんぼかしくらゆう
陶土搗く水車の軋み土筆摘む樫の木
隠れたき日もあり土筆五六本梶原菫
土筆生ふベランダの声に綻ぶ片岡一月
ポケットに小石と羽とつくしんぼ加田紗智
つくし野や手話友達とこんにちは蝸牛
たどたどしき手話土筆を伝えおりひだまりえりか
これだけの土筆を摘んで野に投げて桂子涼子
吾子摘みし食へぬ土筆の捨てがたし桂佐ん吉
犬駆くる土手は朗らか土筆摘む加藤水玉
答案にならぶ△土筆伸ぶかときち
うちの土地ではないですがつくしんぼ金子泰山
東京にミルクをこぼす筆の花加能雅臣
転職やいつもの土手のつくしんぼ花星壱和
土筆摘む最後長者になる話神谷たくみ
たい焼きはしっぽ土筆はあたまから紙谷杳子
地面から溢れることば土筆かな亀子てん
火星にもきっと有ります土筆なら亀田かつおぶし
宅配の隅に故郷の土筆ありかもめ
土筆出づ誰も拾はぬ五円玉絡丸いと
みどりごのなみだはこやしつくしんぼ刈屋まさを
土筆野やむかし合戦あつたとこ河上摩子
上を向けない日の午後のつくしんぼ川越羽流
ひらがなのやうに生きたしつくづくし翡翠工房
はじめてのおつかいさせりつくしんぼ河孝
愛娘不在五日目土筆摘む河村静葩
ランドセルのつくし新生児室に岸壁の龍崎爺
土筆野やはるかキーウの地雷除去閑酉
日本に真面目に生きにけり土筆喜祝音
けふも晴れ母の口ぐせ土筆干す如月ゆう
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通学路のつくししくしく泣かないで岸来夢
志立てて上京つくし立つ酒暮
毒舌な祖母と黙々土筆むく季切少楽・いつき組広ブロ俳句部
土筆野や遠くに灯る駅の窓北大路京介
袴取る土筆炊く母居らぬのに北川茜月
土筆野や土塊つけて猫車北村環
土筆とふ大地の放つ独り言木寺仙游
排ガスの道にすっくとつくしんぼ木村カズ
ごんぎつねつくし野原を駆け回る木村かわせみ
つくしんぼすぐに大家のビルが建つ木村信哉
道端の土筆帽子は笊となり木村となえーる
弟の分は残して土筆摘木村弩凡
土筆野やうろ覚えなる恋の歌Q&A
リハビリの折鶴よ飛べつくづくし久えむ茜咲
つくしん坊と対峙して離郷するきゅうもん@木の芽
挨拶に名刺は要らぬ土筆かな鳩礼
つくしんぼ此処は浅間山(あさま)の噴いた痕杏乃みずな
土手下の猫の骸や土筆摘む清鱒
土筆野に風の道あり大落暉霧賀内蔵
万葉の歌口ずさみ土筆摘む霧澄渡
登校の殿にゐてつくし蹴るギル
園児らの攻撃受ける土筆かな近未来
つくしんぼぼんくら子つていつたよね句々奈
とめはねの美まし雲たち土筆伸ぶくさ
母摘んだ土筆はお花摘みの場所鯨之
校則は意気地無しなり土手土筆くずもち鹿之助
筆箱に隠して土手のつくしんぼくつのした子
日の音叉かたき土割るつくしんぼ熊谷温古
土筆野や左足まだ踏ん張れぬ紅三季
ボール跳ねる子ら跳ねる土筆が出る曇ゆら
肉球のやうな日陰や土筆摘む眩む凡
つくしつくし天へのびゆく打球音栗田すずさん
麻痺の手も全部わたくしつくしんぼ久留里61
縄文の海なりし野に土筆摘む愚老
曲がり角誰にも摘まれぬ土筆あり黒瀬三保緑
つくしんぼ小さな願い叶うべし桑田栞
土筆野や愛犬「チビ」のまま老いぬ恵勇
土筆野の風たっぷりと旅鞄月下檸檬
つくしんぼ明朝体の雲を刷くげばげば
土筆手にブラームスから團伊玖磨ケビンコス
白杖の音恋めくを聴く土筆欅谷風来
土筆摘む土に貝殻混じる里健央介
星爆ぜて土筆の先に通知音謙久
つくしんぼ布団を叩く音に怒気剛海
ぼくだけのはらつぱくださいつくしんぼ公木正
土筆避け草書のように畔歩く河国老保忠
古本も古着も貰い土筆摘む紅紫あやめ
美味いとか不味いではなく土筆喰う柑たちばな
日本は午後三時です土筆摘む幸田梓弓
悪戯に頷き返す土筆かなこうだ知沙
土筆つくし淋しき空に何を描かむ古賀
単線の特快土筆右向け右古烏さや
土筆伸ぶ壁の時計の螺子巻けば木染湧水
粉ミルクは明日まですんと立つ土筆こてぬぐい
ヒロインもわれも老いたり土筆摘む後藤三梅
サイドアンダーミラーの小さき土筆野粉山
かき分けてちさき光や初土筆このみ杏仁
焼却場の煙たなびく土筆かな小林昇
彼の空き地土筆の国の興るらし小林はい魚
帰り道は土筆に聞くや一年生駒茄子
つくしつくしたれかひきぬきはふりたる小南子
波長合う友は口下手つくし摘む小山晃
土筆伸ぶ晴れ続くこと疑はずGONZA
土筆たち誰も喋らぬ厨かなこんのゆうき
祈祷師に土筆をひとつ渡しけりコンフィ
まほろばの旅の夕餉の土筆かな埼玉の巫女
縄文の石の列なり土筆摘む彩汀
弟と仲直りして摘む土筆齊藤凪音
土筆野やジグザグにゆく三輪車齋藤桃杏
手の中にあかるき乾き土筆摘さおきち
土筆摘む部署異動もうあしたからさ乙女龍チヨ
我々はコピペ人間つくしんぼ酒井春棋
膝小僧あかるし土筆摘む少女さかえ八八六
つくしんぼ昭和守りたる学徒兵坂口いちお
自慢げに語る闘病選る土筆坂まきか
つくしんぼ妻を伴い新天地櫻井こむぎ
めりめりと成長痛や土筆の夜桜鯛みわ
曼荼羅の入り口に立つ土筆かなささき良月
つくしんぼみんなそろっておひとよしさざれいし
ジョイントの余韻線路を照る土筆さち今宵
この土手の端まで土筆摘み放題佐藤志祐
二日酔ひ土筆は耳たぶのかたささとう昌石
つくづくし土手といふものなつかしきさとうナッツ
土筆摘む垂直に街うつろへどさとうゆうき
「ただいま」と言ひだすやうな土筆摘む佐藤ゆま
チェロの弦弾くごとくに土筆摘む佐藤レアレア
摘みながら土筆相手に独り言里こごみ
土筆ただ生きていたかっただけだ里山子
土筆狩る無垢に高ぶる開拓者錆田水遊
つくしんぼ喧嘩の仕方知らぬらしさぶり
少しづつ違ふ空見る土筆かな彷徨ういろは
まづ夫に入選伝へ土筆和え佐柳里咲
やはらかにつくしほどけて川のおと沢井如伽
ああ今日もコールド負けかつくしんぼ澤田紫
撮り鉄の脚立の足元に土筆澤野敏樹
土筆てふ籠いつぱいの日の軽さ三月兎
爪に泥くの字の土筆引き合って斬九郎
下処理の水は豊かや土筆食む珊瑚霧
土筆野やそっぽを向いて寄りそうて塩風しーたん
土筆摘む特にあてなど無くて摘む塩沢桂子
土筆摘む祖母馴れ初めを淡々と塩の司厨長
うとましく思ふほど欲張る土筆摘塩原香子
憎しみは暇より生まるつくづくし柿司十六
噂にはイオン予定地つくし摘むじつみのかた
地の力集めて灯す土筆かな信濃のあっくん
帝劇は閉館今日も土筆生ふ芝歩愛美
土筆つみつつ幸せをさがしつつ渋谷晶
つくしんぼ注ぐひかりに真っ直ぐにしぼりはf22
夜明け前空塗り替える土筆かな島掛きりの
半年待ちの眼の手術土筆見る島じい子
つくづくし三億年をうすみどり島田あんず
気泡めく土筆地球は平衡か島田雪灯
さはれない子もゐる土手のつくしんぼ島田ユミ子
昼休みヘルメットへと土筆どさっ清水祥月
土筆摘み上弦の月低きかな清水三雲
小さき手の土筆あしたは誕生日霜月シナ
国会は荒れてゐるやう土筆煮る下村修
夫と摘む朝のつくしの百本目じゃすみん
選ばれぬ土筆の影やずる休み砂楽梨
ふりむけば母さんいない土筆落つ十月小萩
土筆摘む新参者の人類めシュリ
だるまさんがころんだ土筆みつけたじゅんこ
つくしんぼビル屋上の大明神じょいふるとしちゃん
ホームランボールときどき土筆かな白石美月
七回忌過ぎてひとりで摘む土筆白井百合子
人にエラー土筆は右に靡きけり白沢ポピー
ソラシレド野にいつぱいの土筆唄不知飛鳥
土筆踏む吾とよけて行く野良猫と白猫のあくび
3ばかり続く半生つくしんぼ白よだか
土筆揚ぐ部屋に野原の香りけりしわしわ
校庭の土筆ティンパニの音程ジン・ケンジ
少年は土筆を踏まず引き越せり新濃健
かりそめの帰郷にあらず土筆摘むすがりとおる
精神科帰路に土筆の萌えにけり鈴木季良恵
恐竜の里は走りの土筆かな鈴木由紀子
孵化と羽化の音を拾うて土筆伸ぶ鈴白菜実
きっと明日も土筆だけれど飛びたい空清白真冬
土筆摘む村の石碑に神代文字すずなき
土筆折るたび軋むこころとからだ鈴野蒼爽
鶏舎を脱走の一羽土筆もゆ鈴野冬遊
水切りの五段飛びたり土筆まで素敵な晃くん
煮るまへの土筆の多さ口々に主藤充子
土筆摘む土に幸せもらふごと砂山恵子
打ち捨てし陶片の間に土筆伸ぶせいしゅう
土筆摘む笊いっぱいの軽さかな清仁
土筆野へ時効の恋を置いてゆく瀬央ありさ
地雷原に残され尖る土筆あぁ瀬紀
賃上げの満額妥結つくしんぼsekiいつき組広ブロ俳句部
ビル陰の土筆まちぼうけの私千・いつき組広ブロ俳句部
風刺画を覆う土筆や新聞紙外鴨南菊
土筆摘むけふの野山の狐日和そぼろ
四歳のプロポーズなりつくしんぼそまり
土筆つくし漁港をブルーインパルス空豆魚
思ひ出の土手の土筆に火をつけよぞんぬ
三つ目の襞の反りたる土筆かなたーとるQ
なあ土筆じぶんはじぶんなんだよねたいらんど風人
土筆摘む瀬音のとどくパン屋裏高尾一叶
川風に光の帽子つくしんぼ高木音弥
鬼に見つかりたきやうなつくしんぼ高橋寅次
子どもには子どもの事情つくしんぼ高橋ひろみこ
つくしんぼ明日消さうとする命鷹見沢幸
土筆野に慣れてつくしの浮き上がるたかみたかみ
土筆坂昼には父の退院なり田川弦太
二本ずつ鉛筆土筆筆箱に滝上珠加
シーソーのわたし重すぎつくしんぼ滝川橋
四つん這ひの杖あなたなる土筆摘たけぐち遊子
幸せの実例として土筆煮るタケザワサトシ
車椅子押す手に力つくしんぼ竹田むべ
土筆つてだいたい交番の横よたけろー
つくしんぼ家族五分刈り撫でたがる多事
母摘むや記憶の軸として土筆多数野麻仁男
「それからね」夕べ厨の土筆かな多田知代子
くすぐられくすぐりかへして風とつくし多々良海月
死ねばただの無名の戦士つくづくしだっく
つくづくし許してくれる人のゐて立田鯊夢いつき組広ブロ俳句部
土筆摘むここはたたら場壱番地谷口詠美
つかまへるために土筆は風を待つ谷斜六
土筆煮る禿の夢を唆し谷しゅんのすけ
ひとり身は見かけ自由よ土筆伸ぶ谷町百合乃
土筆野や瓦礫の咆哮は無色田上南郷
青空へ土筆のびのび乱打戦田畑整
田はすでに神の領域つくづくし玉家屋
大き子はお辞儀のできて土筆かな玉木たまね
垂直の場所にある夢つくしんぼ玉野文
土地買ってまずは土筆にしゃがみこむ玉響雷子
つくしんぼ笊にうっちゃり手羽を煮る鱈瑞々
右利きの土筆左利きの土筆千夏乃ありあり
地球から土筆否土筆につく地球千歳みち乃
火星への移住は遠しつくづくし彫刻刀
山肌をつねらぬやうに土筆摘む千和にの
土筆野や建築資材とヘルメット月見里ふく
土筆野を駆けるつまずくポニーの仔つちや郷里
つくしんぼ木星くくと剥きました津々うらら
篳篥の音で土筆は生まれるの綱川羽音
犬眠るちやうど土筆の下あたり坪田恭壱
磨ぎ汁につくし風呂から九九の歌爪太郎
不幸とはわざわざ土筆踏み歩くツユマメ・広ブロ俳句部
彼方此方の土筆の背伸び吾の欠伸鶴富士
土筆摘む五重塔の高きかな哲庵
お辞儀する工事看板つくしんぼ電柱
子に貰ふこどもの時間つくしんぼ天陽ゆう
園庭のままごとの跡つくしんぼ土井あくび
土手のぼる土筆のリレー始まりぬ苳
つくすほど飛び出す怒りつくしんぼトウ甘藻
土筆摘みトレパンの膝湿りをり遠峰熊野
つくしんぼみんな誰かに褒められたいとかき星
みちのくの大地の神や土筆立つときめき人
浮く雲の素地は土筆の胞子らしDr.でぶ
つくし野や棺へ納むる物は何戸口のふっこ
つくしんぼ子にいい人のできたらしどすこい早川
童心にもどれぬ指で土筆もぐ十津川ポロ
父と九九うたふ土筆の袴取りどゞこ
つくしんぼのびのび車止め堅しとなりの天然水
園児服洗へば浮かび来る土筆戸部紅屑
教卓の照れくさそうな土筆かな苫野とまや
土筆摘むまでが手柄の配偶者富野香衣
土筆摘む二週間後は社会人とよ
孫は早や書道六段土筆伸ぶ豊岡重翁
先輩がネタへダメ出しつくしんぼ鳥田政宗
佐伯門い出て土筆の踏まれける豚々舎休庵
御神木の雫を弾くつくづくし内藤羊皐
防人の歌のかなしき土筆かな中岡秀次
土筆見る空も快晴我も晴れ中澤孝雄
昨日摘み尽くしてもなほ土筆中島走吟
勾配はきつい土筆と仁王様永田千春
吾が役はその他大勢つくしんぼ中十七波
つくしんぼ伸びればこそばゆいキモチ中原柊ニ
笛吹きの青年の脚つくし煮る中村希奈子
ライトフライ後逸土筆に球止まる中村想吉
保育園消えて風待つつくしんぼなかむら凧人
覚えたての「つくし」をぎゅっとおうちまで中山由
土手に寝て土筆と同じ星を見る那須のお漬物
伸びしろはまだまだ土筆野は広し夏草はむ
致死量の土筆を摘んで帰りけり夏湖
半分は踏まれてよしとして土筆夏椿咲く
父母といふ他人土筆は卵で綴づ夏雨ちや
祖母在りし日と同じ空土筆摘む夏目りる
なるようになるさ俺達つくしんぼななかまど
生家もう誰かの生家土筆摘む七瀬ゆきこ
水茎に返事躊躇ふ土筆かな7パパいつき組広ブロ俳句部
プライドは時々邪魔につくづくし名計宗幸
どこまでも追いかけるごと土筆摘むなびい
土筆野や明日は東京人となる奈良素数
風を切る鬼を見送るつくしんぼ奈良風子
竜脚類は割と少食筆の花西川由野
雲描く数多の絵筆だね土筆西村小市
土筆とわたし一番星と交信中二城ひかる
望郷や風に土筆のにほふころにゃん
一叢のつくしの猫をうつろはす仁和田永
鎌を持つ死神つくしの首を刎ね布川ユウリ
合唱のばらばら園児つくしんぼ布村柚子
土筆摘む何か大事なこと忘れ沼宮内かほる
土筆生ふひとかどの恋ついぞ無く沼野大統領
皆違ふ弁当広げつくしんぼ猫辻みいにゃん
ミサイルは全て土筆に変えるべし猫ふぐ
変わりなきけふの凡々つくしんぼ猫またぎ早弓
空の青空の青へと土筆出づ根々雅水
空に書くとめはねはらい土筆かな野の小花
水きよら土筆つむ手の黒きこと野山めぐ
生めいた土筆の色を手折りけり白雨
土筆野でキャッチ場外ホームラン白山一花
くるぶしに土筆の視線ひゃっぽん分橋本有太津
生意気な土筆もいます私です蓮井理久
祖母の手に似てきた我が手土筆摘む蓮見玲
みづすこしうごく土筆のふしのなか長谷川水素
つくしんぼ送電できぬ電線路葉月庵郁斗
つくし摘み彼方に武田のろし跡花岡淑子
土筆つむ幹線道路の凸と凹花はな
小児歯科の椅子しなしなの土筆あり花彼岸
寂しん坊ばかり集へりつくしんぼはなぶさあきら
一斉に喋りはじめる土筆かな花見鳥
三男坊摘むわ摘むわのつくしんぼ花和音
生ひながら土筆みづみづしく古りぬ葉村直
あのあたり母の日溜りつくしんぼ林省造
奈落より現れし土筆合唱団林典子
あの頃はもっと跳べたねつくしんぼ巴里乃嬬
土筆つむ母は再婚したらしい春あおい
つくづくし風の錆びたる鉄塔へharu_sumomo
土筆ひしめく廃校のうさぎ小屋晴田そわか
つくしんぼ週に六日の習ひ事春野ぷりん
見えぬ主峰クッカーに煮る土筆春海のたり
たまゆらに出でし土筆のありにけりはれまふよう
空海の唐入りて摘む土筆かなHNKAGA
風に揺るる土筆や空へ書く未来東沖和季
煙吹く土筆に牛の涎かな東田一鮎
土筆摘む母の手の皺永遠にあれ東原桜空
土筆摘み縄文の血かざわつきて東山たかこ
好きじゃない今夜の土筆夫と摘む匹田小春花
土筆の大群急斜面に布陣ピコリス
土筆の鎧強そうな弱そうな菱田芋天
たづねびとこの土筆野にゐないのかヒッチ俳句
お隣の畔に土筆の群れたがりひでやん
土筆摘気づけば人の其処此処に一石劣
左手に土筆三十一本目日向こるり
我が罪を見たる土筆を摘んで捨つひなた和佳
煮つめれば老いの夢めく土筆かな比々き
まよったら土筆のかどを曲がりなさいヒマラヤで平謝り
子どもらの土筆土筆の声まろし日吉とみ菜
山畑は雨の上がりてつくづくし平井千恵子
風の声聴いてゐるかにつくしんぼ平井由里子
黒ずんだ煮汁土筆は生きてたよ平野芍薬
中庭はあかるき孤島つくづくし平本魚水
土筆のびざかり昭和百年目廣重
土筆摘む指に土筆と同じ節広島じょーかーず
空へ青出しきつてこの土筆かな広瀬康
青年に非ず土筆の玉子とじ弘友於泥
プリントと土筆を渡す見舞いの子フージー
土筆つと大樹の元にさやかなり風慈音
昨日までここらにあったはずの土筆ふくじん
シェアハウス凭れかからぬ土筆かな福田みやき
つくしの土手は中央環状線藤井かすみそう
立ち上がる力土筆の青い空ふじこ
土筆摘む一文銭の埋まつてゐた藤咲大地
土筆採る老婆の腰が良い角度藤沢・マグネット
慎ましく恙なき日や土筆摘む藤原涼
せせらぎを耳に遊ばせ土筆摘む藤本仁士
筆の花返事は明日の雨上がり船橋こまこ
手間暇の暇ばかり食ふ土筆かなふにふにヤンマー
空映す銀のシャベルやつくしんぼ冬島直
鳥居より奥の土筆の白さかな古瀬まさあき
土筆野へ放課後呼んでおいて無言ふるてい
ウォールガーデンの土筆が右隅にペトロア
土筆描くつくし色のガラスペン鳳凰美蓮
摘む手にも光集むる土筆かな房総とらママ
つくしんぼかなばつかりの通信簿黒子
レックスの影に灯れる土筆かなほこ
軽薄な土筆となりて口笛をほしぞらアルデバラン
仰山のことに仰天つくしんぼう星田羽沖
土筆摘む吾子と映画の帰り道星月彩也華
何歳に戻らむ土筆食む夫は星詩乃すぴか
ネタ合わせ終えて一人は土筆摘むほしのり
雨粒をこぼす土筆のはかまかな細葉海蘭
土筆摘み縄張りあるがごとく摘む凡々
やわやわと空に仮名書く土筆かな凡狸子
フォービート刻みぐんぐんつくしんぼ舞矢愛
土筆らの弾くマリンバ牧の雨牧場の朝
詩集あり栞はひだまりの土筆まこと七夕
土筆野やきっと何かがあったとこ増山銀桜
子の寝息萎ゆる土筆の紙コップ町田勢
土筆あまた守りの長き草野球松平武史
土筆摘む納骨堂に眠る伯母松本こっこ
足跡に囲まれる土筆一本瑪霊
胞子吐く土筆の魂抜けるごと毬雨水佳
間延びした土筆補講の帰り道まるにの子
頑是なき星のことづて土筆かな丸山美樹
青春を悩む土筆の頭です三浦海栗
初めての校歌斉唱土筆伸ぶ三日月なな子
曇空ひらけ土筆を鍵として帝菜
つくしんぼ独り言より歌が好きみかん成人
曙を含ませ描く土筆かな三木崇弘
再開のキャッチボールよ土筆生ゆ三茶F
ひよひよの土筆ひよひよの吾の手に岬ぷるうと
アカペラで輪唱の子ら土筆伸ぶ三崎扁舟
土手に屈むこれがつくしと教へつつ水須ぽっぽ
土筆摘む巨人の帽子いっぱいにMR.KIKYO
つくしんぼう見つかりたいか生きたいか水巻リカ
土筆いっぽん揺らす戦前の風三隅涙
リコーダー調子っ外れ土筆出る巳智みちる
日輪の匂ひこぼせる土筆かな満生あをね
エイヤッと地上へ土筆風を嗅ぐ美月舞桜
ひとのいま絶えて土筆の世となりぬみづちみわ
切り株の卓やつくしと枝の箸源早苗
敬語さえ使えるような土筆の子南りぱりこ
真っ直ぐに生きられぬ我土筆踏む美村羽奏
土筆萌ゆほつほつと燃え尽きし野に三群梛乃
足りるとはこんな感触つくづくし宮井そら
土壙墓は忘れられたり土筆生ふみやざき白水
わんちゃんはおいくつですかつくしんぼ宮下ぼしゅん
太陽を嗅ぎ風を聴く土筆かな宮武濱女
トルコ語のクイズぽちぽちつくしんぼミラベル
つくしんぼみんなおんなじだった頃麦乃小夏
ワイパーに土筆のふくろ退任日麦野光・いつき組広ブロ俳句部
この野から武人埴輪よ土筆摘む無弦奏
千年を競ひ摘み初む土筆かな紫小寿々
紙ひこうき着陸つくしたち無傷茗乃壱
土筆生ゆ空のはじまりだと思ふ本村なつみ
つくしんぼ子供の頃の夢は何処momo
キャンバスに土筆の粉や風を置く百瀬はな
雨粒をかくまう大地つくしんぼ桃園ユキチ
つくし摘む土手こげ臭し明日は雨森上はな
膝折つて人が壊れてゆく土筆森太郎
不揃いの土筆学校休みたい森ともよ
結婚をしなよ土筆を煮るような森葉豆
青空は案外軽しつくしんぼ杜まお実
つくしんぼナイスキャッチの泥だらけ森毬子
つくしつくし好奇心ってこんなかたち森萌有
静かなる土筆の唱う鎮魂歌もろ智行
空ちよつと土筆がくすぐつてやろう弥栄弐庫
土筆摘み終へラジオより校歌かな野州てんまり
風の息をなぞる土筆の草書体安田伝助
利き腕は猫もあるらし土筆出づ安田葉子
つくづくし河原になびく応援旗安元進太郎
新居にも馴れてひと日の土筆摘み山内彩月
つくし摘む母は子に子はその母に山口愛
病院に帰る坂道土筆摘む山崎力
ばあちゃんが土筆に聞いている明日やまさきゆみ
つくしんぼ揺れてだれかの風の音山里うしを
おとんぼの友となりけりつくしんぼ山育ち
土筆聴く風の電話の重き声山田季聴
マントルの玄孫だそうよ土筆んぼ山本武子
先達の声を外れて土筆摘む山本八角
材木を正直な線土筆坊やまもと葉美
ふるさとは平屋つづきやつくしんぼ雪子
土筆折る度に夕風生まれけり柚木みゆき
造成地土筆ひとくれ残しけり柚子こしょう
土筆野に監督の声よく通り緩木あんず
これ田んぼこれ駐車場土筆和羊似妃
美しき爪の摘みたる土筆かな横井あらか
土筆土筆土筆の先に道祖神横田信一
つくしんぼここは寂れた遊園地横山ひろこ
締切は明日だけれど土筆摘む吉田蝸牛
土筆煮る土の光も混ぜ合わせ吉谷地由子
いつまでも童顔の夫つくづくし吉成小骨
土筆もういいや河原が広すぎる吉野川
墳丘の傭兵たりし土筆摘む余田酒梨
つくしんぼ五四三二一発射よみちとせ
あどけなき義母になりけり土筆和楽和音
伊予弁のやうな風来てつくしんぼRUSTY=HISOKA
勝利とは希望の事よつくしんぼリーガル海苔助
非正規の儘だ不惑だつくしんぼ柳絮
尻と尻ぶつかり合って土筆摘み連雀
病む犬のゆまりの路よつくづくし朗子
引継書かき上げ畦に土筆またろまねす子
段々と子の輪広がる土筆摘みわかなけん
ぞう組のせんせい泣いた土筆摘若林くくな
欲張るな妻よ土筆はもう良かろ海神瑠珂
曲げわっぱ濯ぎて土筆摘み帰るわたなべいびぃ
ホームランボールをどけて土筆摘む渡部克三度
つくしつくしお兄ちゃんと呼ばないで渡辺香野
靄る空そつと押し上げ土筆出ず渡辺陽子
一本の農道百本の土筆渡邉わかな
俳壇に小さき罅や土筆伸ぶ亘航希
ポイ捨ての空き缶降ってくる土筆笑笑うさぎ
失業や土筆の袴外す昼くぅ
走者撮るヘリコプターや土筆摘む霜月ふう
土筆伸ぶ倹しき儀式のごとく伸ぶすりいぴい
待ち人は待つほど来ない土筆摘むふさ女
土筆摘む指腹袴を剥く指尖藤白真語
面倒な女でごめん筆の花満る
彼の人へ問ふ「死者の尊厳」土筆生ふ山田啓子
諦めた鍵や警察署の土筆うた歌妙
つくしんぼ母と無邪気な頃のこと木ぼこやしき
なあ土筆やさしいだけぢや駄目なのか浅井翠
「もういいよ」「もういいかい」とつくしんぼ赤い花弘
つくしがねたべないでっていってるの赤坂みずか
つくしんぼたけしけんちゃんどうしてる安春
土筆より大きいと威張りてもなあいつかある日
土筆摘み一つ見えると数多見え一秋子
独唱のつくし翌日に合唱するえのき筆丸
つくしんぼスギナなんかにならないで大阪駿馬
眠たくて頭をもたげる土筆かな大野てまり
君と居て踏んでしまったつくしんぼ岡村恵子
喰はれると思はず土筆まるはだか沖乃しろくも
画用紙に人より高く土筆生ふ海峯企鵝
笑っちゃう土筆大好きわけもなく樺久美
ペンだこのあったあたりで摘む土筆蔵豊政
土筆摘む指にいのちの火の赤くケント
煙吐く煙草のようなつくしんぼ光陽
土筆摘む孫が数えるところまでごーくん
踏まないでそこは土筆の生える場所こきん
土筆つくしマッチのやうに真っ直ぐよ小望月あうる
画用紙に4B走らせ土筆かな小山秀行
つくしんぼ父の背丈を追ひ越せりさくら悠日
籠盛りの土筆吐息の袴取り佐々木佳芳
ブランコを待つ足元に土筆かな沢田恵子
孫は伸び吾は縮みたるつくしんぼ四季彩
土筆ん坊はじめの大地に吾子立つ四郎高綱
土筆摘み明日はどの服着ようかな森牧亭遊好
腰曲がり名を忘れても土筆摘む鈴木秋紫
去年まで土筆確かに此処にあり泉幸
ことごとく地球に直角土筆かな徹光よし季
うす紅の土筆草々にまぎれず古川しあん
ぬぬぬぬと地からちんちん土筆萌え松井酔呆
ほないこか孫に急かされつくしんぼ麗詩
母さんに叱られている土筆かな蒼空蒼子
道草を咎めし母やつくしんぼう小倉あんこ
土筆摘む喋り疲れて家路かな愛燦燦
土筆摘み袴をむきて祖母の味逢花菜子
土筆摘む打席の君は歓呼浴ぶ青居舞
習習と土筆の頭撫でる風青砥展典
校長の長き話しやつくしんぼ青野すみれ
異世界へ迷い込みたる土筆つみ青松紫雲英
土筆摘む土手に転がる夫のをり赤尾てるぐ
土筆くしゅん綿棒すすむ鼻の奥あが野みなも
田んぼ道兄妹競う土筆摘み赤恥山子
二時間の手間は小鉢の土筆なりあかり
線路端母と妹と土筆摘み阿支子
土筆摘み野に夫と佇み遊び聰子
不本意に形怖がられて土筆秋さやか
今ははた土筆摘みたる丘もなし昭廣凡字
土筆伸び生きてみたいな真っ直ぐに空き家ままごと
行く末は知らねどつくし摘み合った日アクエリアスの水
つくしんぼ早歩きより遅歩き芥茶古美
土筆立つ一年生のごとく立つ淺野紫桜
土筆んぼ土手でまどろみほっぺにキス亜紗舞那
「こっちにも!」吾子が見つける土筆かなあさみあさり
土筆摘む吾子を優しく包む風明日葉
ポッと出た坊と付けたくなる土筆飛鳥井薫
つくしんぼそぼふる雨にみをまかせあすなろの邦
土筆煮やあんなに摘んでこれぽつちあたしは斜楽
土筆の子PM2.5の空へあたなごっち
つくしんぼ出ようか出まいか思案中あつこっとん
空見上げ土手の土筆に相談しアツシ
眼福やひよいひよいひよいとつくづくし渥美こぶこ
曽祖父の墓石隣の土筆かなアニマル可秘跳
背高の土筆を二つ産院へあねもねワンヲ
さみどりや天ぷら用の土筆の穂阿部八富利
君のため土筆摘む指は緑に雨戸ゆらら
大地から送り出される土筆かな天鳥そら
ぐちゃぐちゃのデコ巻き寿司やつくしんぼアマリリスと夢
墓地は内緒つくしづくしの夕餉かな雨乙女
お化け煙突今日は三本つくし土手雨霧彦(木ノ芽)
節くれた指ポキポキと摘む土筆雨李
背負われた子からぱらぱらつくしんぼあらかわすすむ
明日また背を比べたき土筆かなあらま彦
空に向け土筆すんすん発つ構え蛙里
青空へ突き刺す土筆の群生や有川句楽
土筆煮や明治の母の重さあり杏っ子
千鳥足つくし野抜けて猫の行く飯田ももこ
八十爺躓く先に土筆かな飯沼比呂倫
つくしんぼ学校いかぬ僕が摘む五十嵐真岳
「パパあげる」手のひらの上つくしんぼ粋庵仁空
朝日差すのつと土筆や河川敷郁松松ちゃん
わんこ跳ね土筆片手に我固まる池田華族
菩提寺の匂いよ孫は土筆とり石井久次
やはらかな日差浴び浴び土筆摘む石井紫
ここそこの庭の土筆のうまからん石岡女依
煤かぶりかぶりてもつくし駐車場石垣エリザ
三回忌庭のはずれに土筆かな石田ひつじ雲
土筆坊鍋のお風呂でキュっと鳴き石田ひろみ
飲み込んだ小言の背にはつくしんぼ石の上にもケロリン
園児らと約束の道つくしんぼ石村香代子
土手の上頭出してる土筆かな泉恵風
霧雨をまとひて土筆青めけり和泉攷
ふる里を椀の土筆が語らせるいちご一会
深刻な話聞きつつ摘む土筆いちすぺ
ふぞろいの丈の弾むやつくしんぼ一久恵
ここにもと指差す先の土筆かな伊藤薫
土手歩き母の笑顔の土筆摘み伊藤節子
還暦や土筆摘む時追想す伊藤ゆかり
耕されぬ地に肌色やつくし摘む伊藤小熊猫
土筆の子見上げた天空は萌黄色伊那寛太
土筆生う人立ちあがるごと一途井原昇
うっかりと日が暮るるまで土筆摘むいまい沙緻子
土手に立ち風に唄うかつくしんぼいまいみどり
ガリバーになつた気分や土筆の野井松慈悦
園バス待つ吾子や土筆ポコ・ア・ポコ今乃武椪
土筆踏み「春来ねえかな」と言う男芋けんぴ
採られずに残る土筆の不安感芋二郎
つくしんぼ伊代ちゃんの娘でよかった伊代ちゃんの娘2
寅さんの旅についてく土筆の子岩佐りこ
さじ投げて横たわるよこつくしんぼ岩瀬敬子
袴とれば生命の土筆灰汁の色植田かず子
チンアナゴと思ったら土筆だったかうえともこ
隈畔のぽつねんといる土筆かな上野徹心
町の子も土筆摘む摘む休耕田上原まり
宗教勧誘の人の手帳つくし宇野翔月
列をなす園児のようなつくしんぼ海沢ひかり
土筆摘む右耳かゆし左手で梅里和代
つくしんぼ天に目掛けて夢つかめ梅泰然
母と摘み佃煮にしたあの土筆浦文乃
つくしんぼ母校への道広がりて麗し
道の縁土筆集まり背比べ越中之助
遠き地ヘ赴く息子に土筆煮るえのき絵巻
吹く風の匂いに土筆のメッセージ榎美紗
お土産はティッシュにくるんだ土筆たち榎本奈
風温み歩道の脇に土筆湧く榎本雅
土筆たち進路決めた子お出迎ええみくれ
採りはせず撮って投稿「土筆だよ」遠藤玲奈
空港の買い上げの土地つくしんぼ円美々
ほら土筆オカズ一品増えた晩大江戸小紋
初物の土筆の天ぷらまづ夫に大久保一水
天平の風や尼寺跡つくし生ふ大澤眞
土筆の子自然の力に驚嘆す大島一声
土筆摘むうふふと笑ふ母はゐる大嶋めで
土筆摘む背には散歩の犬の息太田けいこ
古里の母の思い出土筆摘む大舘さと
雨けむる錆びた軌道に土筆かな太田一駄歩
土筆摘むふるさとの土手愛しけり大原妃
土筆三つ思い起こすや幼な友大原雪
ままごとのおかずとなりぬつくしんぼ大道真波
袴付け土筆背伸びし大人顔大村千尋
ちび土筆はかまひとつで天へ伸ぶ岡井稀音
土筆摘みスカートもたげいいお脚岡崎佐紅
首塚の脇にポツポツつくしんぼ岡田いっかん
土筆つくし湯掻けばほんのひと小鉢岡田瑛琳
歳忘れ土筆を摘んで時忘れ岡田恵美子
電柱の根性土筆これにありおがたみか
土筆煮て今日の定位置松花堂岡本
土筆なり送り出す手は門握る小川紅子
遠近のピントを合わせ土筆摘む小川野雪兎
弟のあとを兄追うつくしんぼ小川都雪
土筆です本名では嫌われてます沖らくだ@QLD句会
土筆隠す幼き日の友すでに逝き奥寺窈子
土筆摘む土手に小さき背中三つ巨椋明生
河川敷ファールボールの踏む土筆おこそとの
土筆むくばばの手母の手我の手お品まり
迷い箸鯛も土筆もお食い初め小田孝子
おっとっと踏んじゃいやだと土筆の子小野ぼけろうじん
土筆取る娘の姿残像に海堂一花
山の辺に春日大社に土筆摘む香依蒼
かくれんぼひとりふたりとつくしかな柿本苧麻
土ゆるみ鳥の声ききでる土筆風早杏
ハカマとる面倒嬉し美味土筆梶浦和子
土筆煮る好きだったよねこの苦み鹿嶌純子
土筆摘む温泉街の旅かばんかじまとしこ
子ら摘みし土筆香ばし箸が伸ぶ風遊び為参
首筋に朝日戯る土筆かな風かおる
夕餉なり茹でよ炒めよつくづくし風之川
頭寄せ園児ワイワイつくしんぼ風の母
線路脇親に隠れて土筆摘む片岡明
袴からにょきにょき肌色土筆ん坊片岡みみ
秩父は遥か喜寿越えて土筆煮る帷子砂舟
園児らのバギーことこと筆の花花鳥風猫
筆の花自然災害伝承碑かつたろー。
もういいかぃつんつんつんと筆の花桂葉子
越して来て初めて食すつくしかな金澤孝子
ひとり来て土筆摘む野や昏れかかる金子陽
きゅぴきゅぴと鳴る靴たのし土筆つみかねつき走流
土筆野や今年マンション建つ現場釜眞手打ち蕎麦
ハレの日や土筆の胞子飛び渡る神木美砂
ポケットの土筆妻から咎められ神島六男
土筆食む郷の陽の香と地の苦さ神長誉夫
土筆野や光るビロード雨上がり亀岡恵夢
電車音土手の土筆も手を振りぬ亀くみ
今年また線路の脇の土筆かな亀田みのる
陽だまりに土筆つんつん空は青亀山逸子
向こう向く螺髪が並ぶつくしんぼかもね
かがみこみ夫に夕餉の土筆摘む鴨の里
フタころころ土筆のお膝元にちょうど加山シンゴ
川堤土筆の群れに遮られカラハ
香り高き御仁はいずこ土筆摘む川崎ルル
台所土筆灰汁抜き割烹着川辺世界遺産の居候
君来ずや土筆と一緒に待ちぼうけカワムラ一重
そろそろかまだかと悩むつくしんぼがんも三世
一斉に吹き出す胞子土筆かなkey
土壌から筆は生えぬやつくしんぼ季川詩音
畦道の土筆を避けてタイヤ跡菊池克己
キャタピラの踏み跡隙間の土筆かな木口まり子
薪風呂の湯のやわらかし土筆かな喜多丘一路
視線感じて見てみれば土筆なり北の星
凛々しさや袴纏いて立つ土筆北美三風
土筆つくし千日ぶりの植樹帯北村崇雄
佃煮の土筆疲れた父に出す貴田雄介
猫と土筆開発白紙の空き地ギックリ輪投げ
土筆食う一つひとつの命食う木下桃白
白髪が増えし鏡や筆の花木下風民
ツンツンと地球の髭かつくしんぼきべし
土筆摘み土手の向こうに伯耆富士(ほうきふじ)木村修芳
ござ滑り土手の土筆や潰れける木村波平
つくし煮を勧める指に灰汁の色木元紫瑛
信楽に土筆和へたる窯の跡京野秋水
光浴び背くらべする土筆んぼう喜楽胤
幼き日土筆のおひたし茜色楠田草堂
裏庭で土筆摘んだのは昔くすみ輝く
鳶工のズボンだぼだぼ土筆撫づ草臥れ男
鬼子とよぶなつくしんぼ青みたるくちなしの香
土筆摘むもう一つの手は祖母の手に愚禿忍
その先の土筆どうする工事中國本秀山
土筆野に身も心も解けたり國吉敦子
日も暮れてかごいっぱいの土筆かな窪田和子
先着順採り放題の土筆野へ倉岡富士子
土筆かなアスファルトの割れ目二本ぐりぐら京子
ふにゃふにゃのつくしんぼまだふり回す空流峰山
土筆摘む少女眺めし空青し黒田良@しろい
保健室土筆ん坊の背比べ黒猫さとみ
土筆かな今日も御空に雲を描く黒山万牛
これはさもどうぞ見つけて土筆んぼくんちんさま
土手登り大の字転げ土筆撫で慶唯
町角を過ぐや土の香土筆の香家古谷硯翠
家の庭家庭訪問土筆摘む紫雲英
土筆摘む荼毘に伏す間の幼な子はケンG
今日からは余生ひとまず土筆食う恋瀬川三緒
南斜面乳呑児抱いて土筆摘む紅陽
五寸とて天を目指すやつくづくし宏楽
ふるさとの畦見飽きたる土筆かな郷りん
風かすか空き地の主か土筆んぼココヨシ
出立を並び見送る土筆かな越乃杏
代々の段々畑土筆摘む小嶋芦舟
肩寄せて仲睦まじき土筆かな湖水鈴
躓くも転ばぬ先の土筆かな小杉泰文
一列の土筆や犬の散歩道小園夢子
帰ろうかひしゃげた土筆ぶら下げて小武頼子
測量杭エイッと押しのけ土筆の子古知野朝子
どこ迄も土筆いつ迄も摘む子ら虎堂吟雅
つくしんぼ子らの鉛筆尖らせて後藤周平
つくしんぼまだ補助輪の足元に来冬邦子
土筆摘むしわくちゃな手やほろ苦し小鳥コ
背負式手動噴霧器つくしかな古都鈴
牛の群れ土筆野っ原踏んで立ち小林澄精
ため息の後に見つけし土筆かな小林のりこ
幼き日従妹と摘みし土筆かな小林弥生
土筆煮や手間を惜しまぬ母の味こひつじ@QLD俳句会
爪黒く土筆の袴母と取り駒形さかつ
ばあちゃんの指差す土筆今も尚こま爺
園児らがひたい寄せ合い見る土筆こむぎ
土手沿いに線路のように土筆かな碁練者
猫の背がぐうんと伸びる土筆見たコロンのママ
振り抜けば土筆のファールグラウンド今藤明
つくしんぼ朝の光に笑いあうさいたま水夢
つくしんぼ尋ぬる犬の鼻光るさいとう歌月
土手の上並ぶ土筆とパノラマカー齋藤鉄模写
妣と摘みし土筆の土手や来し方へさかい癒香
土筆来ぬ土手にて手に手と脱ぎし靴坂島魁文
盛大に土筆生えたる祖父の庭坂野ひでこ
発見の土筆見せ合う笑み眩し坂本千代子
踏まれしも知られざるとも土筆伸ぶ坂本雪桃
摘み渡す土筆其のまま乾涸びる相良まさと
友逝きし夜土筆の苦味やけに咲世咲
初登校度度ふり返るつくしんぼ咲まこ
土筆摘む今日は伊吹山まで良く見える櫻井弘子
ハカマ取る土筆音符になぞらえて桜月夜
つんと伸び土筆に吾も背筋立て桜華姫
大過なくその日その日をつくしんぼ桜姫5
舅どの土筆摘み摘みポストまで笹桐陽介
子は土筆そっと握りて放したり笹靖子
土筆摘む父の喜ぶ酒のあてさざんか
きのふけふ歩む日和に土筆かな砂月みれい
土筆鍋うどん放り込む囲炉裏端佐藤蜻蛉
連れ合いと何だかんだと土筆採り佐藤公
踏まれても伸びゆく土筆古戦場佐藤恒治
津波後の命つないだ土筆かな佐藤茂之
土筆和人事異動の内示あり佐藤俊
讃岐富士吾子と夕餉の土筆摘む佐藤浩章
荒れ狂うあの日の海辺土筆揺れ佐藤佳子
つくし手に笑む子の写真過去の我さなえ@東京
土筆立つ場所は我等の秘密なりさふじわよ
人生のベテランばかり摘む土筆さむしん
あちこちに身を立てし子ら土筆摘む沢拓庵◎いつき組カーリング部
新聞に土筆広げて明日も晴れ沢山葵
飼い主を見い見い進む土筆野を三角山子
被災地で元気に背伸びする土筆傘寿のヤコ
土手でうとうと土筆の森に迷い込み四王司
寝そべりて天突く土筆蒼い空しかの光爺
おみやげは別子飴五粒に土筆じゃけぇじきばのミヨシ
かの土手はかつて壕なり土筆立つ篠崎彰
震災を超えし土筆に手を合わせ忍之一字
土筆つむ見目好し二三押し花に篠雪
きびきびとつくし天乗せ蕎麦の湯気清水ぽっぽ
嬉々として袴取る母土筆和え清水容子
この原の土筆はすべて縁続き霜川このみ
公園を一人土筆と土遊び下丼月光
単語帳片手に探すつくしんぼ沙那夏
新聞の一面にむく土筆かな洒落神戸
エプロンを籠のかわりにして土筆朱胡江
こうやつて土筆の袴子に脱がせ柊二@冨美夛
土筆煮て夕餉の一品おすそ分け柊瞳子
箸先の土筆つくづく移住の子秋芳
いにしへの人も屈みて土筆摘み順之介@QLD句会
土筆食ふ遠き戦時や母の味正見
弾頭よりクラスタ拡散せし土筆正念亭若知古
吾と待つ目地の土筆や小海線SEAN
土筆の池や見慣れぬ青サギ書夏太浪
再就職の車窓土筆に見送られ白井佐登志
ケンケンや明日も晴れと土筆揺れ西瓜頭
弾頭は繁栄放つつくしんぼ末広野暢一
青空に土筆かほだす散歩みち杉浦あきけん
同じようでひとりひとり違う土筆杉岡ライカ
土筆野やこんなところにベビー靴杉尾芭蕉
教会の野鐘楼の下にも土筆杉本果ら
わんこの鼻先土筆は直立不動涼風亜湖
土手はやて土筆の胞子けぶり立つすずきじゅん
退職す正門脇の吾と土筆涼希美月
土筆摘み我先走る園児帽数哩
土曜日の園解放や土筆摘む須磨ひろみ
リードの先のシロとチョコつくしんぼすみれルース
独り居や喰うあてなしの土筆摘み静江
土筆食む箸持つ指の黒き爪晴好雨独
踏むまいと跨いだ先に又土筆青児
丸で電波塔の新芽生ふ土筆青峰桔梗丘
我が姪や逞しさ増す土筆かな瀬野広純
鉄橋で折り返す土手土筆摘むせり坊
父の忌や遺文と残り香土筆摘む惣兵衛
幼な児の息吸ふつくし伸び盛りそうま純香
「ねぇまーだ?」土筆の天ぷらを待つ子らそしじみえこ
レッスン日練習さぼり土筆摘み染井亀野
胞子はぜ土筆の気持ちは黄緑か邨虚空
はかま取るまでが仕事と土筆取り駄詩
これ何と吾子の握りし筆の花大
船出かなたつたひとつの土筆なり大康
ひとクラス分集ひゐる土筆かな大ちはる
野に腹ばい土筆見上げるつぶらな目平たか子
ああ面倒土筆袴と機嫌取り高上ちやこ
咲かねども花言葉ある土筆かな高辺知子
土筆野や異国の夫を思いつつ高嶺遠
にいちゃんは年長組だつくし摘む高橋花紋
土筆とる幼子の手にあふれるや高橋紀代子
土筆伸ぶ保育園まで手をつなぎたかはし千百
早や一年土筆の生える庭の隅高橋基
土筆狩り遥かに瀬戸の海望み高旗三紀子
地下茎を深く手繰りてつくしんぼ高原としなり
土筆の穂観て立ち竦む都会の子田上コウ
幼子の手につくしんぼ潰れ気味高見正樹
つくしつくし子どものやうにしゃがんでみる高山佳風
陽だまりを分け合う土手の土筆たち滝澤和恵
お目当ては土筆採りかな墓参り瀧本彩月
嫌われし縁の子なりつくしんぼ竹内不撚
ひもじさの戦(いくさ)よ来るな土筆喰ふ武田豹悟
通園着ポッケに残る土筆かな多胡蘆秋
園服のポッケにつくし砂まるけ太之方もり子
堤防runペットボトルへつくしんぼたすく
宝探しにょきっと土筆土手歩き祐紀杏里
尺ごとに土筆一本土手登るただ地蔵
プランター生まれの土筆白き肌糺ノ森柊
犬走り土筆怒りて粉を吹くただの山登家
コンクリの割れ目こぞって立つ土筆立花かおる
土筆摘む小さき背中のまん丸よ田鶴子
土筆取る人なき村の外れ土手たていし隆松
ディーゼル車見送りゆらり土筆かな伊達紫檀
土筆和えで一献寿命までの夢田中勲
一夜にて土筆の畦となりにけり田中牡牛
釈迦のごと天を指したるつくづくし田中紺青
土筆摘む指の爪から香りだす田中みどり
手のひらの土筆並んで脱力し谷相
土筆出ではずむ心は置き忘れ田畑せーたん
びわこ虫土筆登りて飛びにけり丹波らる
指先や黒し土筆のはかま剥ぎチームニシキゴイ太刀盗人
悄気込んだ土手のフーテン土筆かなちくりん
ときわすれ教え子と摘むつくしんぼ智幸子
土筆の生える場所胞子が記憶智同美月
土筆煮て小鉢の柄を選ぶ妻千鳥城.広ブロ俳句部カナダ支部
ぽかぽかと大きく伸びする土筆かな茅野ともぞう
手のひらの粉も明るき土筆かな千葉右白
土筆の子風たふやかに抱擁す千葉信子
グローブにたんと土筆を摘みにけりちやあき
はかま爪入(い)る痛み超え食(は)む土筆千夜美笑夢
トーマスの運ぶ土筆の袴かなちょうさん
震災の地割れに土筆堂々と著子民人
ペン立てに土筆三本お~いお茶つえりん
土筆だれ友と戯れ風あそぶ司蓮風
土筆採る母の指先袴色塚本隆二
摘みきれぬ土筆の中に立ち尽くし槻島雫
土筆着く母の笑顔と風を連れ月の莵
幼子が土筆を起こし連れ帰るツキミサキ
土筆狩り背中の籠でふて寝する月夜案山子
土筆摘み尼僧頭巾の破顔かなつくばよはく
古なじみ会えば嬉しきかな土筆つくも果音
シンフォニの音符の如く土筆生え辻瑛炎
子ら跳ねて土筆顔出す通学路辻ほな
土筆摘む指先の匂ひほのかかな辻本四季鳥
笑顔かな土筆摘む妻おさな子につついぐれちゃん
土筆生ふ高台かつて武家屋敷椿泰文
土筆野の新築祝い赤レンガ津幡GEE
土筆取いつの間にやら迷い子に手嶋錦流
我が孫の名わからぬ父へつくしんぼ哲山(山田哲也)
園児らと光のなかの土筆かなてつねこ
秘密とす土手のあそこはつくし出る輝由里
かさかさの大地筆の花ぽつぽつ天雅
嫁して知る土筆入りたる玉子とじてん子
土筆食う青き時代の苦味茹で天童光宏
土筆をば見つむる先に富士の山天王谷一
踏まれゐて不協和音の土筆たち冬野志奈
総出して土筆の佃煮ひとつかみ東森あけば
陽浴びて微睡む土筆そっと摘む徳庵
母の背のまた縮みをりつくしんぼどくだみ茶
特急を土筆見送る通過駅とくねん
翌日の指に土筆の灰汁の色どこにでもいる田中
土筆んぼ亡き母思ふ卵とじとこやまよもこ
骨納め二本の土筆墓守のごと杼けいこ
痛む腰忘れ屈むや土筆採り冨川ニコ
とんがりを掠める風の土筆かな富永武司
ドッグラン土筆に集う黒い鼻登盛満
青空へ選手宣誓つくし伸ぶ友@雪割豆
傘はもう魔法のバトンつくしんぼ富山の露玉
焦土冷めうぶ毛のやうに土筆いづ777
袴締めチョンと蹲踞の土筆かな頓堀頓
土筆剥く母と吾の手の黒ずんで内藤清瑤
陽光を奪い苦味に変え土筆なかかよ
板長の叱責飛ぶやつくづくし中里凜
幼子の指先のごとつくしんぼ中島葉月
パワー沸く自然の息吹き土筆飯中嶋緑庵
自転車をこげぬ急坂土筆生え中藤雅子
造成地増えて土筆の減りにけり仲間英与
一握の土筆酒一合のあて仲操
袴脱ぎ鍋へ土筆よ旨くなれ中村明日香
疎開地の味思いつつ土筆煮る中村あつこ
圧し合いの土筆つんつん天めざす中村こゆき
準優勝帰りのバス降り土筆摘む中村雪之丞
ゆったりと胃袋満たす土筆かな中山清充
土筆摘む子らの笑顔やざる一杯流れ星
この土手で母と土筆摘みし幼き日七五三五三
ライブ配信土筆生まれし過程梨山碧
抜歯の日胞子や硬く濡れ土筆夏雲ブン太
ふるさとの畑の土手の土筆かな生天目テツ子
土筆たふたふゴルフボールの通る道奈良岡歩
袴取り黒いもみじ手つくしのこ奈良華咲
故郷は先づ土筆野を訪ねけりナンカラ牛眠
焙烙でつくし煎る母焦がしがち南全星びぼ
裏庭の土筆の変わり身は早くにいやのる
つくしんぼ螺髪のような頭出しにえ茉莉花
ゴールポストのごとく立つ土筆かな西尾至雲
山火事の山を見あぐる土筆かな西尾照常
旧姓で呼ぶ旧友や土筆摘む西田月旦
土筆生ふ大渋滞の池の淵西野和香
一段が大仕事なる子ら土筆二重格子
お裾分けの土筆のレシピ探しおり二十八
土筆取り子に任せてとうたた寝し入道まりこ
ひと握りの土筆さし出す台所庭野環石
土筆嗅ぎ鼻に挟みし吾子愛し庭野せんたく
土筆たち歌う野原のコンサートヌートリアみゆう
丁寧な暮らしとふらし土筆煮る沼沢さとみ
大の字でうつらうつらと土筆かなねがみともみ
たわむれに摘まれ捨て置かれる土筆猫塚れおん
摘まれまいと土筆は生える父母墓添い農鳥岳夫
アンテナを土筆に天と地の交信野口雅也
土管抜け土筆の基地へ飛び出せり乃咲カヌレ
主人なき畑につくし並び待つ野三弓
ランドセル背負う子の先につくしんぼ野瀬博興
ランドセル土筆が一つ揺れておりののクラブ
佃煮もおひたしも良しつくしんぼ野の菫
土筆煮て夫と何度もする話野ばら
土筆野は断層の上すまし顔野原一草
捨て畑や今はつくし野風渡る野原蛍草
川べりを数多の土筆すくむ足のりこうし
晴天や土筆広がる秘密基地則本久江
反逆の土筆六角形は開かれる羽織茶屋
休耕田土筆だけが伸び伸びと白山おこ女
この辺りから季節移りの土筆かな橋爪利志美
子の成長地蔵に祈り土筆伸び橋野こくう
生きる糧苦い土筆も貪った波止浜てる
草野球吾子出番なく土筆摘む馬笑
紅ひらり足先は土筆早や夕べ蓮田初老
日をまとひ土の匂ひの土筆摘む羽住博之
子に引かれ今年も土筆に話しかけ長谷島弘安
つくづくし一両電車の走る土手畑中幸利
土筆摘む関節伸びぬ指で摘む初野文子
土筆生え続く草原鎌を研ぐ花笠きく
放たれし空に遊ぶや土筆の胞子(こ)英凡水
ポケモンを言い合って子ら土筆つみ花豆
故郷の土筆帽子に摘み入れん花水木
何もなきふる里の味土筆食う羽馬愚朗
顔寄せて土筆の接ぎ目当て遊ぶはままこみかん
諸々を持たず土筆の叢に立つはむこ
背伸びしてほろ苦し恋つくづくし林田リコ
解体の空き家見守る土筆かな原島ちび助
つくしんぼ囲みつんつん都会の子原水仙
つくし摘むはかま取る指黒く染み原田一歩
小さき手の土筆にリボン結びけり原田くろなつ
つくしんぼ明日は東京負けるなよ原田民久
焼けこげた土手に伸びてく土筆かな原善枝
それぞれのひとりになりて摘む土筆春うらら
土筆摘み小川の流れ青い空haru.k
土筆でるあく抜きするや疎開のこう春のうらら
つくづくし風を掴みて胞子飛ぶはるの風花
次々と覗く土筆に誘はれて春美
列車音カメラの前の土筆かな葉るみ
一匙の初離乳食つくしんぼはるるん1号
一斉に頭を出した土筆かな伴田至誠
摘めるだけ摘んで土筆のまだありぬ万里の森
鉄橋に一輛列車つくづくしピアニシモ
佃煮で一度食べたやつくしんぼひーちゃんw
土筆摘む先ずは写真を撮ってから東の山
鳥のこゑあとずさりして踏む土筆樋口滑瓢
廃部後のテニスコート脇に土筆火車キッチンカー
その青き頭は食めぬつくしんぼひすい風香
籠の中土筆の山の萎れをり向日葵姐@いつき組広ブロ俳句部
手に土筆サイレン響く碧い空ひまわりと蒼い月
つくしんぼ泣いてる子供慰めてひめりんご
土筆の穂緑の胞子発光す平岡梅
ZOOの庭檻の隙間に出る土筆平野純平
尻の下折れず我慢の土筆かな平松一
つくしんぼ先に見せ後つうしんぼ比良山
三十代独身の前土筆あり平山仄海
六角形自然の不思議土筆にも昼寝
蝶の眼の匂ひのマスク土筆かな微呂
ローカル線土筆の袴剥きにけり浩子赤城おろし
寝ころべば土筆折る音あちこちに広島あーやあーや
子や孫に小鉢の中のつくしんぼ広島立葵
めづらしや民家の庭の土筆かな廣田惣太郎
震度3アスファルト傍土筆出づ広野光
土筆野やタダの夕餉に精を出し広ブロ俳句部三日余子
吾子と見し土筆は土筆同じ色琵琶京子
袴着け登城土筆が出揃いてFUFU
袴脱ぎ一風呂浴びて土筆かな深蒸し茶
手をはなすそれがお仕事つくしんぼ福井桔梗
横並び丈を競わぬ土筆かな福川敏機
食べるの?と土筆を知らぬ都会の子福前彩芽
荷をほどく土筆見つけし転居先福ネコ
甘辛く煮た土筆あり法事の膳ふくのふく
袴脱ぎ散らかしてゐるつくしんぼ福間薄緑
川釣りの仕掛け転がし土筆狩り福弓
土筆摘み母は内緒の土手がある福来良
土筆掴む土手沿い捻挫の量産地ふくろう悠々
土筆んぼうふふと光る休耕田ふじい眞みこ
屈み込むスキー場跡の土筆かな藤丘ひな子
仏様の五指のやうなる土筆かな藤里玲咲
我が犬も土筆に鼻よせくしゃみする藤田聡恵
片方の靴脱げ土筆に出会えた日藤田紫桜
ふぞろいが味わい深い土筆つむ藤本だいふく
「ねえ母さん」土筆の袴取りながら藤原訓子
失恋やならぶ土筆を横目見るフタバ凛
仮置きの反古を捨てろよつくしんぼ舟端たま
先生の濃き醤油煮へ土筆摘風友
けんかしてあそんでふたりつくしんぼ冬野とも
土筆出て祖母の土手を思い出しぶるーふぉっくす
土筆摘む汚した手には野の香り古澤久良
単線のレール伝ひに土筆かな古道具
野の草に負けじと伸びる土筆かな古谷芳明
つぽつぽと空を突き刺すつくしんぼ碧西里
故郷の野路変わらずつくしんぼ芳醇
しゃがみ込み土筆だけ摘む小さき手峰晶
花でも草でもない土筆ゆらゆら暮戯
五億年前からいるのかつくしんぼ星雅綺羅璃
ビニールへ吾子の喃語とつくづくしほしの有紀
土手の上祖母に手をふり土筆とりほたる純子
スクールバス降りて連れションつくしんぼポップアップ
アパートや遠い昔の土筆んぼ堀籠美雪
汲々と生きる都会の土筆かな堀卓
先越され手ぶらの帰宅土筆採り堀隼人
テスト赤点つくしんぼ伸びほうだいポンタロウ
初恋のペンと便箋土筆本間美知子
しみじみと土筆摘む幸食ぶる幸前田冬水
七の段は少しむずかしつくしんぼ槇原九月
灰汁ありや爪黒くなり土筆和槇まこと
つくしつくし痛き腰をかばう日に牧茉侖
休日は土筆探しに暇つぶしまこと(羽生誠)
生え競うつんつんつんとつくし哉正男が四季
つくしんぼ空に描くは綺麗な弧雅蔵
禿頭にいたづららしき土筆かな町田思誠
陽を浴びて土筆色づく駐車場町家の日々輝
花言葉意外驚土筆かな松井英雄
五線紙をスキップするよに摘む土筆松浦姫りんご
足弱の母も連れたし土筆の野松岡玲子
つくしんぼ燃える朝日にいま目覚め松尾祇敲
つくしつくし踏まないように走りけり松坂コウ
土筆出づ小楠公のおわす墓堀邦翔
弾正の爆死せし山土筆摘む松田寛生
好物は土筆と書くか身上書まっちゃこ良々
夕暮れて帰りたくない土筆摘むまつとしきかわ
孫の摘むつくし娘の手で和え物に松永好子
来年は独り立ちせん土筆摘む松野蘭
つくしんぼ遊びほうけて空の籠まやみこ恭
野に土筆街にはビルが建ち並ぶ真理庵
母さんを追い越している土筆狩まりい木ノ芽
青春はややも苦しよつくしん坊まるごとハテナ
真白なる前掛けに摘む土筆丸山隆子
大空を土筆とともに仰ぎけり満月
土筆今我に会う為地を破る美衣珠
皆平等の昭和魂つくしんぼ三上栞
裾は踝にし避ける土筆の野三河三可
強そうな土筆見つけて節あそび水間澱凡
凛としてセピアの袴穿く土筆三高姫
くるぶしの丈に揃ひし土筆摘む三田忠彦
雑草にすがり土筆を摘む堤美津うつわ
遠き日の土筆苦味に母想ひ光月野うさぎ
土筆摘む背中の吾子の寝息かなみづたま
あやとりし吾子の炒めし土筆喰む光森早苗
学童の岐路や土筆を追いかけてみなづき光緒
孫連れて植物園へ土筆見に湊かずゆき
土筆生ふ戦場ヶ原遊歩道みなみはな
先生へこれが土筆のお礼です嶺乃森夜亜舎
道すがら暫し留まり土筆摘む美春
土筆摘む指嗅ぎに来る散歩犬見屋桜花
フェンスから顔出すつくし草野球みやかわけい子
旅立ちを見送る背中とつくしんぼ宮城海月
つくしんぼ母は秘密の場所を持つ都乃あざみ
デッサンのモデルとなりぬ筆の花みやま千樹
小川跨ぎ土筆の道は誰も来ず美山つぐみ
別れ告ぐ苦さは土筆食べたせい深山柚仁
土手沿いの先駆けすくっとつくしんぼ宮村寿摩子
つくしんぼう「縄跳び電車が通ります」みらんだぶぅ
摘み忘る土筆を足して夕ごはん椋本望生
散歩中土筆追い追いはるばるとむじか
ツナマヨと茶筒と堤つくづくし武者小路軽妙洒脱篤
母送り野辺に土筆のふたつみつ霧想衿
猫の尾を掴んでしまう土筆摘み睦月くらげ
田舎道つくしを描く筆選び睦長月
取り去っても取り去ってもつくづくし武藤ゆうじ
小さき手のリコーダーの音土筆の子むねあかどり
急ぎ来て土筆やいずこ通学路村上の百合女
思い出のあまりに多し土筆摘む村上弥生
摘まで置く子に教えたき土筆かな室依子
つくしんぼ根っこは線路のびている恵のママ
ここにいる我の不思議さ野の土筆目黒青邑
半分が空つくし摘むポーズの子メディックス千里
まっさらなリハビリシューズつくしんぼ茂木りん
這いつくばって君と見る土筆かな望月ゆう
中堅や土筆野のながめせしまにもも
束にして水に放てば浮く土筆森海まのわ
地軸という軸など見えず土筆かな森佳月
革命の如き土筆野ありにけりもりさわ
指先は土筆の先の色違い森重聲
母つんで土手に芽生えし土筆かな森嶋ししく
袴取りし爪に土筆の灰汁三日もりたきみ
土筆煮のわずかや祖母の割烹着守田散歩
老犬といつもの土手を「あら土筆」森中ことり
祖父母亡き庭に今年も土筆あり森野恵
合唱の和音は天へ土筆伸ぶ森日美香
母の背と畦道土筆湯を沸かす森茉那
かばかりの土筆摘み終え恵比須顔もりやま博士
線路沿い乗客見送る土筆かな諸岡萌黄
透け透けの土筆からから出世なぞ山羊座の千賀子
タラップを降りた芝生に土筆かな八木実
同姓の投句者うれし土筆摘む矢澤かなえ
朝日さす残り区画に土筆萌え痩女
土筆摘む祖母の背中の小ささよやなや
気が付けばほうけた土筆脳裏の中やのかよこ
皆は母子で土筆摘む指黒し八幡風花
指先を黒く染めたる土筆かな山内泉
土筆出た遠い息子からライン山内文野
草屋根の土筆見つけし晴れた朝山尾政弘
校門を出て一本の土筆かな山川腎茶
かさこそと内緒話の土筆摘む山川たゆ
草野球土筆とともに声援す山口絢子
若き日の父と土筆と弟と山口香子
土筆ズボンを穿いて生えすくすくと山口雀昭
道草に摘んで帰りし土筆炊く山口笑骨
あっつくし!しゃがんだ、撮った、摘み取った山崎のら
助手席で泣き顔隠し指す土筆山下智
我隠す如くに土筆はしゃぎけり山下義人
おこりんぼう土筆のびしろ恋心山田一予
廃線後幾年月の土筆かな山田好々子
子ら帰り置いてけぼりの土筆かな山田翔子
土筆出る明日の夜は孫の部屋やまだ童子
ジョギングの足止め土筆探しけり山田はつみ
土筆ありたった一本頭撫で山田文妙
つくしんぼ土手の上から母の声大和杜
土筆みて言を呑むゆとり待つ山薔薇
つくしんぼ我が子が摘んだ昔あり山本葉舟
大の字や土筆百本分の空山姥和
土筆突く大空ふはり走り書き有野安津
土筆見て献立メモに卵足す雪鯨
先生は年子の姉よつくづくしゆすらご
土筆和え食するほどの齢かな柚木啓
つくしんぼどこから来たの誰の子なん宙美
越木岩土筆と並ぶ相撲とり夢一成
土筆野や風の模様の伊万里焼陽花天
でこぼこの探検隊いざ土筆野へ陽光樹
ひょっとしてひょっとしてひょっとして土筆横浜J子
古墳群幼な子摘みとるつくしんぼ横山道男
暗がりの圧する風に土筆立つよしぎわへい
まだかしらやっと見つけたつくしんぼ吉田春男
子供らに摘まれることもなし土筆吉田びふう
土筆伸ぶ威風堂々ビルの横吉藤愛里子
親の顔知らず土筆の憐れかなYoshimin空
寝転ぶや土筆伸びるを待つゆとり米山カローリング
喧嘩して帰る理由の土筆摘む楽花生
ままごとの残りは母へ土筆摘らん丸
つくし摘むけふは路傍の五六本理佳おさらぎ
つくしんぼ乳歯抜けたよ屋根へそれっ!リコピン
車椅子の母の指さすつくしんぼ理真
つくしんぼ園児の並ぶごときかな凛
土筆野へ紙飛行機の旋回すルージュ
青年はロケットでありつくづくし留辺蘂子
翠色の野を背に土筆ブラザーズ瑠璃ホコリ
空へ出づ胞子と弾糸つくしんぼ呂ろロ
亡き父の四十九日に土筆摘みわきのっぽ
鎮魂歌土筆の影の揺れる音わぎゃん
四十九日の母の法事や土筆摘むわたなべすずしろ
つんつんと列の成したる土筆かな渡邉花
じゃまないと声リフレイン土筆坊和脩志
土筆採り颯一筆啓上すあかねペン銀
いつからか摘まずにめでる土筆かなおんあいす
- 夏井いつき先生からの一言アドバイス
-
◆俳号のお願い二つ
①似たような俳号を使う人が増えています。
俳号は、自分の作品をマーキングするための印でもあります。せめて、俳号に名字をつけていただけると有り難く。共に気持ちよく学ぶための小さな心遣いです。②同一人物による複数俳号を使った投句は、堅くご遠慮下さい。
「いろんな俳号でいっぱい出せば、どれか紹介されるだろう」という考え方は、俳句には馴染みません。丁寧にコツコツと学んでまいりましょう。
◆ひとことアドバイス
●兼題とは
背広脱ぎ夕餉の香り春浅し西澤
本俳句サイトでは兼題が出題されています。今回は、季語「土筆」での募集でした。次回の兼題を確認して、再度挑戦して下さい。
●季重なり
幼子の手に春嬉し土筆かな南天子
つくしみててぶくろはずすさんぽみちいっくん22
春うららつくしんぼうが背比べ花園ゴンキツネ
春の里土筆のダンス風まかせ古川しげ子
暖かや土筆摘む吾子犬昼寝紅兎
土筆姫蝶にキスされ目覚めたり中村カパコ
黄砂吹く土筆に被る問題視星夢光風
一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「土筆」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。
●仮名遣いについて
群生の土筆喋っているやうな伊藤キキ
うまさふなフエンスのむかふの土筆かな遠藤千草
世の憂い聴いていさうな土筆かな上原淳子
かあちゃんが叱られてゐるつくしんぼ湯屋ゆうや
代わりならいくらでもゐるつくしんぼ横山雑煮
歴史的仮名遣いは、普段使っている現代仮名遣いとは違うので、多少勉強する必要があります。
この五句は、歴史的仮名遣いと現代仮名遣いが入り混じったり、間違ったりしています。自分で調べてみるところから、学びが始まります。
●季語について
雨上がりつくつくしみっけ庭の端ほうちゃん
つくつくし空清らかに萌えはじむ月城龍二
入力ミスかもしれませんが、「つくつくし」は秋の季語「法師蟬」の傍題。春の季語「つくし」の傍題は「つくづくし」です。似ているので、ついつい間違えてしまいがちな二つの季語です。
袴取り真っ黒くろや母の爪古賀厚子
兼題が「土筆」なので、「袴取り」と書けば分かると考えたのは理解できるのですが、季語が兼題として出題されている場合はその季語(或いは傍題)を詠み込むことが必須です。
杉菜も人も生まれた時は土筆色君塚美蕉
「土筆」という文字は入っていますが、あくまでも「土筆色」という色の種類として使われています。むしろ、「杉菜」の句だと判断すべき一句です。
つくしんぼスギナはあれど見いだせずみかりん65号
つくしんぼが枯れて、杉菜が出てきます。同じ地下茎がでてくるものとはいえ、季語としては別物として認識されています。この句の場合は、「スギナ」の句だと判断されるでしょうね。
タラ芽食い次は土筆と言う嫗雨降りお月さん
土筆読む漢字知る頃姿見ず山下弥生
こちらの二句も「土筆」という文字は入っていますが、どちらも「土筆」が眼前にあるわけではありません。一句目は、むしろ「楤の芽」の句というべきでしょうし、二句目は無季の句と判断されるかもしれません。
ぴっかぴか土筆のようなニューフェース鍵盤タロウ
季語が比喩として使われた場合、季語の鮮度は落ちます。
PTSDが土筆のごとく生えてくる玉響海月
ただ、この句のような場合は、妙な切迫感があって、詩としては味わえるかと思いますが、このあたりの評価は分かれるところです。
比喩を逆転させることで、この句材を生かすことはできます。
【添削例】 PTSDみたいに土筆生えてくる
これならば、文句なく秀作に頂きます。
お待たせしました! 3月の兼題「土筆」の結果発表でございます。今月も夏井先生からのアドバイスは必見です。投句の際のお客様登録が必須となってから半年ほど経過しましたが、投句の数は衰え知らずで、編集部も嬉しい悲鳴を上げています。皆様いつもありがとうございます! 5月の兼題「涼し」もふるってご応募ください。(編集部より)