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『NHK俳句』『プレバト』でおなじみ夏井いつき先生の「俳句生活 よ句もわる句も」

夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。
『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。

今月の兼題はこちら

7月の審査結果発表

兼題「稲妻」

遠く光だけが見え、雷鳴が聞こえず雨を伴わないものを指すことが多い。雷と違い、光に注目した季語。
※傍題でも可

7月兼題『稲妻』は1,772句もの投稿をいただきました。初めて投稿くださる方も増えてきています。4月の開始から7月までの累計で、6,027句もの投稿をいただきました。たくさんの投稿、誠にありがとうございました。
8月以降も引き続きたくさんの投稿をお待ちしています(編集部より)。

「天」と「地」の入賞者には、夏井いつき先生イラストつきのクリアファイルをお送りいたします。

入選作品

※「兼題が入っていない」「短歌である」等、
 以上に該当する投稿句につきましては入選外となります。

天
稲妻や人は獣のごとく産む

テツコ

夏井いつき先生より

 なぜ、稲光を「稲妻」というのか。「稲妻」は「稲の夫(つま)」の意で、古代、稲は稲妻と交尾することで結実すると信じられていました。傍題「稲つるび」は、稲が雷光と交わる=交尾む(つるむ)の意でもあります。「雷」が雷鳴を主体とする夏の季語であるのに対して、秋の季語「稲妻」はその雷光を指します。
 上五「稲妻や」の強調の後に続く「人は獣のごとく産む」という詩語に圧倒されます。確かに、人間が哺乳類=「獣」であることを生々しく実感するのが出産の現場かもしれません。稲が雷光とつるみ結実するように、「人」も「獣のごとく」交わり産むのです。「稲妻」との取り合わせが生と性を腥く匂わせる、迫力ある作品です。

地
稲妻の走って鼬見たような

亀山水田

一瞬の「稲妻」、素早く逃げ走る生き物の影を見たような気がします。あれは「鼬」かもしれないが、それも一瞬のことで定かではない。「稲妻」の光が見せた幻影かもしれないと呟く作者がいます。

魚も人も瞳の濡れて稲つるび

久我恒子

「魚」の「瞳」が濡れているのは当たり前ですが、「魚も人も」とたたみ掛けた後に出現する「稲つるび」に戦きます。一瞬の雷光の下で魚も人も瞳を濡らしながら、交わり産み死んでいくのです。

稲妻を豊かにセイウチの鼾

一阿蘇二鷲三ピーマン

「稲妻」は農耕の歴史から生まれた季語ですが、「セイウチ」たちの空にも雷光を走らせます。走る「稲妻」を横目に「鼾」をかく「セイウチ」たち。「豊かに」という言葉のなんと美しいことか。

稲妻のへし折れたるとしなりたると

塩谷人秀

まさか「稲妻」の一物仕立てに挑む句がでてくるとは思いませんでした。「へし折れたる」稲妻があれば「しなりたる」稲妻もあるという淡々たる描写は、まさに俳人の眼力が捉えた瞬間の映像です。

稲妻やイラクの空はミドリイロ

登るひと

頭上に「稲妻」が走ったのです。この光景はどこかで見た気がするなと思う。空爆のニュース映像の「イラクの空」がこうだったと気づく。「ミドリイロ」の美しさと禍々しさに、胸を衝かれる一句。