夏井先生のプロフィール
夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。
4月の審査結果発表
兼題「磯遊」
「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。
磯遊突けば吐くもの閉づるもの
夏椿咲く
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夏井いつき先生より
「磯遊」とは、旧暦三月三日大潮の頃、磯辺で一日を過ごす風習。私の故郷愛媛県愛南町辺りでは「おなぐさみ」と呼ばれ、子供は磯で遊び、大人たちは浜で火を熾し、飲み食いを楽しみました。「汐干狩り」という別の季語はここから派生したと考えられます。
今回の投句には、「磯遊」というよりは「汐干狩」では? というものが多く見られましたが、掲出句はまさに「磯遊」です。汐が引いた磯には、さまざまな生き物が蠢いています。突いてみると、汐を「吐くもの」もいれば、一瞬にして「閉づるもの」もいるのです。具体的な名を書かなくても、それらの色や形がありありと想像させるのが見事な手腕。中七下五のリズムも軽やか。まさに遊んでいる気分がそのまま調べとなった作品です。
にょろにょろがうぴょうぴょしてる磯遊び
広瀬康
「天」の句とほぼ同じ光景なのでしょうが、オノマトペだけでそれをやってしまうという発想が愉快。しかも、かなりの精度で映像化しているのですから天晴れ! 手練れならではの遊び心を、存分に楽しませてくれました。
悍ましき弾力を踏む磯遊
横山雑煮
「悍(おぞ)まし」とは、ぞっとする、いかにも嫌な感じがする、の意。「磯遊」でうっかり踏んでしまったモノを「弾力」という触覚で表現しました。「踏む」の一語が、読み手の足の裏の感触に直結。用言の選択によって獲得したリアリティです。
大鍋にイギリスのしほ磯遊
伊藤柚良
汐干狩の獲物は砂を吐かせる必要がありますが、「磯遊」で採れるカメノテ・トコブシ等は塩ゆでにできます。「大鍋」に入れるのが「イギリスのしほ」とはちょっとお洒落。大人たちが釣った魚等も入れて、「磯遊」もいよいよ佳境です。
磯遊び何か見つけるたび呼ばれ
千和にの
汐が引いた磯で、子供たちは遊び始めます。「何か見つけるたび」に、ねえねえ! と呼ばれるのです。下五の切れのない形が、繰りかえされる行為を表現しています。やがて大人たちも一緒に磯の生き物探しを楽しむのでしょうね。
磯遊果つバケツの者に恩赦
遠藤玲奈
いよいよ引き揚げるよという時がくれば、「バケツ」の中のほとんどの「者」たちは、食べられないから捨てるという「恩赦」に預かるのです。破調の上に、下五は字足らずというこの調べが、「磯遊果つ」の気分に似合っています。
磯遊シャツに鉄人レースの名阿部八富利
磯あそびそこは滑ると地元の子アーモンドよーせい
満ち潮の目印の岩磯遊井上れんげ・いつき組広ブロ俳句部
靴置いた岩は何処だ磯遊黒猫さとみ
兄は貝弟は石を磯あそび青居舞
磯遊び風は印象派の筆致青田奈央
磯遊び手にはきらきら水ばかり飛鳥井薫
穴に手を肩まで入れて磯遊綾竹ろびん
磯遊砂ぷくぷくと貝の息一井かおり
磯遊砂が鳴いたと駆けてくる市川りす
磯遊び巻貝の砂洗いおり上原まり
磯遊び海てふ永遠に曳かれさう靫草子
荒波をしづめる呪文いそあそび沖庭ノ華風
磯遊フェリーの作る波の圧かつたろー。
防塁に千年の波磯遊び川辺世界遺産の居候
指にまだ知らない機能磯遊び北野きのこ
知らぬ子も混ざりてとほき磯遊杏乃みずな
磯遊波の残した温き潮砂月みれい
磯遊フジツボは無口決めこむ福ネコ
膨らむも尖るも毒魚磯遊三浦海栗
風熟れてくればゆふぐれ磯遊RUSTY=HISOKA
磯遊び馬穴に雲の出入りかな葦屋蛙城
透明な眩暈の欠片磯遊び池之端モルト
磯遊ひとりも空を見やしない海沢ひかり
見ず呼べば見ずに応ふる磯遊可笑式
上げ潮に落城間近磯遊び雨霧彦(木ノ芽)
築城も一瞬に崩磯あそび杉本果ら
竜宮城へ投げる貝がら磯遊花南天あん
竜宮城めく楽しき昼餉磯遊び藤原涼
足裏に海の鼓動や磯遊びいまいみどり
磯遊の足裏地球の鼓動聴く岩木順
引く潮の空をも広ぐ磯遊相生三楽
寄せる波けとばしたくて磯遊相沢薫
棒一本あれば足りたる磯遊愛燦燦
金印を抱く半島磯遊び藍野絣
こはがりにそだてたむすこ磯遊蒼空蒼子
二の腕に鯨のタトゥー磯遊あおのめ
磯遊ぶ子らの手跡の砂の舟赤い花弘
ゴジラ岩の日を咥えたる磯遊赤尾てるぐ
磯遊ほかの一家のなかひとり赤尾双葉
巻貝の肝まで露わ磯遊あが野みなも
海神へ投げキッスして磯遊赤富士マニア
波音へ揺蕩う月下の磯遊赤目作
初めての車遠出は磯遊阿支子
磯遊びまた原色の叔母のシャツ空地ヶ有
ポケットに濡れた靴下磯遊び空き家ままごと
島の名を人に教わる磯遊芥茶古美
内海の磯遊タワマンの影あくび指南
磯遊無口な父の細い脛浅井翠
磯遊び古代遺跡を掘り当てん朝倉カグラ
遊び方スマホに聞いて磯遊あさのとびら
空耳はジュラ紀の声か磯遊浅乃み雪
磯祭波がくすぐる土踏まずあじさい卓
磯あそび風のふやけてしまうまで足立智美
父は子に子は母になる磯遊びあたなごっち
磯遊こっから陣地だってばよat花結い
磯遊死んだ鮫持つ妹とアニマル可秘跳
尻三つ横へ横へと磯遊びあねもねワンヲ
鎌倉は雨のち晴れや磯遊我孫子もふもふ
磯遊びの娘よ三角帆の羽根よ我孫婆
古の陶片拾う磯遊雨戸ゆらら
磯遊車に乗れるだけ乗りて天鳥そら
ブラジルを目指し掘る穴磯遊びあみま
岩陰の怪しげを掻く磯遊び雨乙女
あの父が子供をだしに磯遊雨降りお月さん
磯遊び母は流木ただ拾う雨李
午後へ日の醸されてゆく磯遊綾竹あんどれ
新しいママのおにぎり磯遊びあらい
原子炉のあれが煙突磯遊び荒一葉
磯遊地球の頬を掻いている荒木響
蛸捕りの祖母の秘技かな磯遊び荒木ゆうな
潮噴いてこっちだこっち磯遊び蛙里
最後には腰までつかり磯遊び有田みかん
磯遊び貝焼き小屋は薄暗し有村自懐
鯱の唄聞ゆ離島の磯遊安春
磯遊び深入りしたる眩暈かな井若宙
海底火山の軽石磯遊び飯塚煮込
磯遊び隣りの国は海の果て飯村祐知子
磯遊足裏の砂ただ崩れ家守らびすけ
人気なき二人月夜や磯遊び猪狩鳳保
ぬるぬると手からこぼれる磯遊び池田悦子
三ツ岩へ子は一人づつ磯遊池田桐人
発電所の風車ゆつくり磯遊びイサク
描きかけの絵と弁当と磯遊石岡女依
生傷の数競ひ合ふ磯遊石川穴空
磯遊岩間の水のなめらかさ石田ひつじ雲
磯遊男波女波の変り目に石塚碧葉
自転車の旅の途中の磯遊石塚彩楓
海藻が足首掴む磯遊び石原しょう
磯遊いまだ灯らぬ崖の家石原由女
潮溜まりに子らのでこぼこ磯遊石村香代子
欄干にもたれて見てる磯遊び石本美津
磯遊得体の知れぬもの二つ和泉攷
中心にずん胴据えて磯遊和泉園実
磯祭網干す岩に酒のあと泉諒
アマミチューの墓より下り磯遊びいずみ令香
ひつぺがす海星いちまい磯遊び石上あまね
磯遊先生それは違法です板柿せっか
城崩れ波に怒れる磯遊び市川卯月
ふたりとも今着替えたに磯遊いちご一会
磯遊び叔父はなんでも知っているいちすぺ
磯遊二時間魅入る潮だまり一久恵
目の端にかの人捉へ磯遊一秋子
コンタクト乾きに乾き磯遊一慎
飛ぶ跳ねるひかりの粒や磯遊び五つ星
引き潮を待ちて繰り出す磯遊伊藤亜美子
父死んで蹠さびしき磯遊び伊藤映雪
兄弟の手に手にたらひ磯遊伊藤恵美
人の孫借りて楽しや磯遊び伊東海芋
磯遊び去年失くしたイヤリング伊藤なお
貝がらにお金の過去や磯遊糸川ラッコ
ランドセル軽トラに座す磯遊伊ナイトあさか
母の声艫綱めくや磯遊井中ひよこ号
磯遊爪に藻の砂星の砂居並小
磯遊鮮やぐ死滅回遊魚井納蒼求
かいじゆうのせなかのやうだいそあそび井口良範
空と海の境界線や磯遊猪子石ニンニン
磯遊なにかみつけたシヤベルの子井原昇
磯遊くるぶしまでなら濡れていいいまい沙緻子
彼方には観艦式や磯遊今乃武椪
磯遊び走る子の影みな濡れる芋二郎
獅子岩に見えし角度や磯遊伊予吟会宵嵐
磯遊集合の笛早すぎて伊代ちゃんの娘2
ゴム靴を詰め込み明日の磯遊いわさちかこ
背面の太陽近し磯遊び岩瀬けいこ
岩陰へひかり逃げ込む磯遊うえともこ
人消えて時間も消えて磯あそび上野徹心
磯遊海ってこんな色だっけ上野眞理
いきものの名をおしえあふ磯遊上原淳子
水平に尻を濡らせる磯遊うすい木蓮
追い込みと待ち伏せ役と磯遊びうた歌妙
おにぎりのたらこぷちぷち磯遊内田こと
太陽は空真ん中に磯遊空木眠兎
上げ汐に最後の一人磯遊海口竿富
孵化できぬ透きとほるモノ磯遊び海野青
ブルーインパルスに止まる手足や磯遊梅里和代
磯遊ジャニスのこゑは耳の底梅朶こいぬ
娘より小さき我が足磯遊び梅田三五
磯遊ゆつくり海に溶けていくうめやえのきだけ
磯遊海辺の方言のきつし浦文乃
磯遊父手作りの熊手かな麗し
塩きつめのおむすび甘し磯遊江川月丸
磯遊三歩目の岩さぐる足蝦夷やなぎ
磯遊び両手に余る宝もの越冬こあら@QLD句会
少年の踵うつくし磯遊絵十
磯遊び沈黙を聴く帰路真朱榎美紗
磯遊び帰るとすぐに熱出す子朶美子
貝殻の小舟の行方磯遊近江菫花
公害病ありし河口や磯遊びおおい芙南
潮だまりそれぞれ名づけ磯遊大岩摩利
磯遊土木工事の如き子等大久保一水
そこだけは砂紋乱さず磯遊大久保加州
釣り舟を待ちつ火熾し磯遊大越マーガレット
子の語彙に加はる貝や磯遊大塚恵美子
磯遊び詩友の生地みな違ふ大津美
磯遊タバコ燻らす守りの兄大原雪
磯遊蒼を留むや目を閉じる大矢香津
散らばつて光数ふる磯遊大和田美信
夫の足首の白さや磯遊び岡井稀音
磯遊傷は染みると兒は知らぬ岡崎佐紅
木陰から子ら一斉に磯遊岡田瑛琳
デイケアへ送り出しての磯遊岡田きなこ
社宅の子全員揃ふ磯遊岡田雅喜
釣る父の足下楽し磯遊おがたみか
小さきあし浪に浄めん磯遊オカメインコ
巻き貝の砂をこぼしぬ磯遊岡山小鞠
のめり込む指の間や磯遊小川紅子
もう帰る家もないのに磯遊小川さゆみ
何もかもほじくり返す磯あそび小川しめじ
ネパールの娘等も休日磯遊び小川天鵲
傷口のふやけてゐたり磯遊小川都雪
磯遊重心下げて撮る動画オキザリス
三人の島一周の磯遊沖庭乃剛也
かざし見て海へと返す磯遊沖らくだ@QLD句会
同僚の父なる姿磯遊小倉あんこ
磯遊び子に伝わらぬ潮見表おこそとの
磯遊鼻から抜ける郷愁よ小田孝子
水平線初めて見た日磯遊び尾田みのる子
磯遊びしてより行方不明にならう越智空子
磯遊ピコピコと歌うサンダル海音寺ジョー
迷宮の隙間を探る磯遊海堂一花
岩礁のあれがアフリカ磯遊海峯企鵝
指先に柔らかきもの磯遊柿本苧麻
磯遊蛎殻の刃に裂ける皮膚風早杏
小さき掌に小さき魚の死磯あそび樫の木
磯遊子ら囲ませる妙なもの華胥醒子
岩陰に人魚の気配磯遊加田紗智
磯遊やっぱり海は神様だ蝸牛
小さき吾の影を送りて磯遊ひだまりえりか
磯遊100均ルアーよく光る桂佐ん吉
風雲児あがる勝どき磯遊び加藤水玉
あの島へ夕日をシュート磯遊かときち
磯遊び巻貝伝ふ風の音花星壱和
磯遊び児のたかりくる汐溜釜眞手打ち蕎麦
尻餅を吾子に責められ磯遊神島六男
海に伸ぶ影に鰭あり磯遊び神長誉夫
振り向くも見えないアメリカ磯遊神谷たくみ
トンボロの石うらがえす磯遊び紙谷杳子
磯遊び夕日に魚返しけり亀くみ
磯遊び人魚の櫛を見つけけり亀子てん
海はなみ子らはかぜ生む磯遊亀田かつおぶし
松の根に二人並んで磯遊亀山酔田
磯遊びはヒマ火打ち石のまね加山シンゴ
磯遊び神様のように覗き込む加裕子
磯遊び笑顔と罵声波しぶきカラハ
欠けたるも宝となりぬ磯遊絡丸いと
間より泡の生まるる磯遊刈屋まさを
白波と泡見る愉快磯遊び河上摩子
帰りには小さき舟待つ磯遊び川崎ルル
のり弁の竹輪はみ出す磯遊翡翠工房
からかう子からかわれる子磯遊河村静葩
磯遊億年前の此処は何カワムラ一重
これもたぶん宝なんだろ磯遊干天の慈雨
岩の間を覗く己の影磯遊び閑酉
絡みたる忍者熊手や磯遊key
太陽の傾く匂い磯遊喜祝音
磯遊ハンコ注射の跡見える季川詩音
灯台の抜け道使ひ磯遊び菊池克己
磯遊かつぱえびせんまず餌に如月ゆう
磯遊小さき窪みに小さき翳岸来夢
隆起せる故郷に戻り磯遊び酒暮
磯あそび貝びっしりの岩ばっか季切少楽・いつき組広ブロ俳句部
磯遊び友が呟く死にたいと北川茜月
足跡に水じわり湧く磯遊北乃大地
磯遊トミカのポルシェ転ばせり北村崇雄
千五百グラムの脳と磯遊貴田雄介
婆は孫爺は雲追ふ磯遊木寺仙游
靴下は抜け殻のごと磯遊きなこもち
磯遊僅かな海を擽りて城内幸江
磯遊並んだ足に砂溜まる木下風民
貝殻は甘き死の色磯遊木ぼこやしき
磯遊び危うき縁に行きたがり木村信哉
大海のかけらバケツに磯遊木村となえーる
磯遊毒刺に触れて叫ぶ子ら木村波平
捕まへて学名を言ふ磯遊Q&A
波高き因幡の海の磯遊Qさん
磯遊び飽き土産屋のガチャポンへきゅうもん@木の芽
巻貝を手紙に替えて磯遊び鳩礼
磯遊悪魔の球を拾ひけりギル
磯遊びひとまず父が突いてみせ菫久
傷心の海よ磯遊びの人よくぅ
磯遊靴と猫干す舫い船くさ
漂着の謎めくものも磯遊鯨之
「海藻は持ち出し禁止」磯遊びくすみ輝く
舟宿の倅率ゐる磯遊くずもち鹿之助
きらきらと子ゐて母ゐて磯遊び國本秀山
蝋燭岩に夕陽の点火磯遊熊谷温古
磯遊びすれば地球の端になる曇ゆら
幾度なく石見せにくる磯遊蔵豊政
背中から考へてゐる磯遊眩む凡
磯遊あれは求婚された橋栗田すずさん
肉食の巻貝集る磯遊久留里61
磯遊してゐる際を五能線愚老
ここ掘れと本能ひかる磯遊月下檸檬
磯遊び雲を噴きたるくじら岩げばげば
磯遊び母に豊かな尻のあり健央介
磯遊しらじら汚染調査船謙久
海と陸はざまに屈む磯遊びケンG
アスタマニャーナと砂に教はり磯遊 剣橋こじ
密漁の取締中磯遊恋瀬川三緒
時計てふ錠はずしけり磯遊剛海
空海地ぜんぶさわつて磯あそび公木正
両手から逃げ出すように磯遊紅紫あやめ
磯遊地球丸いと教える日柑たちばな
太極拳帰りの妻と磯遊幸田梓弓
漁業権告ぐる札あり磯遊び宏楽
磯遊子は飄々とデカくなり郷りん
磯遊び波はすべてを詩にかへて古賀
景品のリュックサックと磯遊びこきん
空透くる貝殻ありぬ磯遊小園夢子
こし弱く細きうどんや磯遊木染湧水
磯遊び逆立ちて地球持ち上げる古知野朝子
磯遊びカニの爪痕自慢げに五島潮
潮溜りの小さき太陽磯遊虎堂吟雅
磯遊び貝も海星も逃げ遅れ来冬邦子
大きいな父さんのくつ磯遊古都鈴
磯遊び図鑑の『毒』を探しをり粉山
浜に佇つ母は灯台磯あそびこのみ杏仁
日の出待つ仮眠五人の磯遊び小林昇
傷しみて漸く気の済む磯遊小林のりこ
磯遊見守るやうな双子岩小林久女
帰りには海に戻して磯遊小林理真
何回も小波を跨ぐ磯遊独楽(こま爺)
磯遊果てし岩場よ闇が呑む小南子
梅干しのおにぎり四つ磯遊こむぎ
原子炉の呼吸は静か磯遊GONZA
磯遊戦争なんてない世界今藤明
海割れの島はすぐそこ磯遊埼玉の巫女
をんな神祀る小島や磯遊彩汀
光鱗のたゆたう波や磯遊びさいとう歌月
しっぽ振り犬の霊来る磯遊齊藤凪音
太陽と月の駆引き磯遊齋藤桃杏
靴下を風に盗まれ磯遊びさおきち
この石の囲いが陣地磯遊さ乙女龍チヨ
磯遊尻濡らすなよ濡らすなよ酒井春棋
原発の鉄塔静か磯遊さかえ八八六
磯遊ギプスの右手痒くなり坂野ひでこ
磯遊び彼女おるってほんとなん坂まきか
背負う子の涎も清し磯遊坂本雪桃
磯あそび貝の光を手から手へ桜鯛みわ
「いかんちや!」訛り飛び交う磯遊び桜月夜
太陽は割つても戻る磯遊び迫久鯨
屋台から醤油の香り磯遊ささき良月
おにぎりは半額シール磯遊佐藤茂之
磯遊び水平線を傾けてさとう昌石
あはあはと夕日ひとりの磯遊びさとうナッツ
磯遊ぬるるほどわれ無敵なるさとうゆうき
島ひとつひつくり返し磯あそび佐藤ゆま
叔母ちゃんの声は酒焼け磯遊び佐藤レアレア
磯遊波の鼓動に分け入る子里こごみ
磯遊び爪さきはまだ人間で錆田水遊
だんだんに袋重るや磯遊びさふじわよ
この辺り地震の断層磯遊さぶり
磯あそび小さきバケツに小さきもの彷徨ういろは
底見えて底に届かず磯遊び沢井如伽
長いカタカナでモドキ磯遊沢拓庵◎いつき組カーリング部
磯遊び吸盤になる足の裏澤田紫
磯遊びはや七輪に火を熾し三月兎
磯遊それぞれ息吹く岩の底珊瑚霧
磯遊塩気の強い玉子焼き四王司
風呂沸かし子ら待つ祖母や磯遊塩風しーたん
磯遊一眼レフも砂被りじきばのミヨシ
海を空を人を忘れて磯遊び柿司十六
磯遊び沖にひかえし米空母じつみのかた
磯あそび今日一番のシーグラス篠雪
磯遊び令和の東京見晴らして芝歩愛美
うつくしい貝はもろくて磯遊渋谷晶
磯遊パルクール真似岩ジャンプシマエナガ
潮に聞き風に答える磯遊島じい子
磯靴のぐちょぐちょと鳴く磯遊島田あんず
軟体踏んじゃった磯遊遊びの感触島田ユミ子
ちぎられたヒトデの右手磯遊びしまのなまえ
腥き子らの寝息や磯遊清水縞午
磯遊石やはらかにすべらかに清水ぽっぽ
空に足ふみ入れし如磯遊清水容子
豊潤と砂抜きバケツ磯遊び霜月シナ
絵日記の友は転校磯遊下丼月光
日の本のはらわた温し磯遊じゃすみん
磯遊び自販機で買う山の水沙那夏
磯遊雲の時間はこのくらゐ砂楽梨
磯遊び汐水に溶く絵の具かな洒落神戸
尻と尻ぶつけあひつつ磯遊十月小萩
磯遊び沖に綱輪の夫婦岩朱胡江
磯遊び億年前は鰭なる手シュリ
わたつみの光に屈み磯遊順之介@QLD句会
兄追うて岩一つずつ磯遊じょいふるとしちゃん
貝殻は慈念のうつは磯祭常幸龍BCAD
磯遊び潮引く鳥居の袂まで庄司芳彦
縄文の貴石は何処ぞ磯遊びSEAN
磯遊よそ見する子は海を見る白井佐登志
カタカナの生き物ばかり磯遊白石美月
磯遊見学の子の笛ぴょろろ白沢ハジメ旧白沢ポピー
磯遊び記念の貝を海に帰す四郎高綱
蛇紋岩尻にしつくり磯遊白猫のあくび
磯遊び遺書書けさうな色の貝白よだか
磯遊よこたふ佐渡のぼんやりと神宮寺るい
大きすぎるライフジャケット磯遊びジン・ケンジ
磯遊淡き光の貝を手に新濃健
日の落ちていつか哀しき磯遊び森牧亭遊好
磯遊び磯は魚の牢と城末広野暢一
鼻先を海面に乗せ磯遊びすがのあき
磯遊沖の大和に微熱生るすがりとおる
今は亡き叔母とたはむれ磯遊杉浦あきけん
潮騒は口噛みの酒磯遊杉岡ライカ
タモ網に凝らすまなこや磯遊杉尾芭蕉
ダイダラの息に波打つ磯遊び涼風亜湖
アメフラシの鉄砲きびし磯遊すずきじゅん
磯遊目眩し君にもたれけり涼希美月
のつぺり白き貝磯遊のひる鈴木由紀子
磯遊子に口伝する極秘の場鈴白菜実
磯遊膨らみ切った紙おむつすずなき
泣き声は兄呼ぶ声や磯遊鈴野蒼爽
磯遊び砦に隠す光る貝素敵な晃くん
磯遊びヒトは海から進化した主藤充子
飛行機の影蔽ふ浜磯遊砂山恵子
足裏の傷に唾かけ磯遊び晴好雨独
日本語を忘れし吾子や磯遊び瀬央ありさ
法螺吹きが戦艦で来て磯遊瀬紀
磯遊ホントジャナイコトヒトハイウ摂田屋酵道
磯遊びしみじみ遠い水平線千・いつき組広ブロ俳句部
磯遊友達同士恋はまだ泉幸
雨雲ゆるゆると迫る磯遊び全美
岩穴に手を挿す鬼や磯遊惣兵衛
うみうしの宇宙交信磯遊びそうま純香
誰も居ぬ今帰仁の浜磯遊染井亀野
磯遊び落暉授かる二枚貝そよかぜ
がけがキキミミ立てている磯遊空豆魚
誰に許され曇天の磯遊ぞんぬ
いりおもて学生終わる磯遊び駄詩
いそあそびねえちゃんのしりでっけえなたーとるQ
潮の香の濃さにたじろぐ磯遊びたいらんど風人
戦利品母に掲げる磯遊高上ちやこ
地つづきに渡れる島や磯遊高尾一叶
漂着の鯨の死骸磯遊高岡春雪
動くものみな愛おしき磯遊び高木音弥
爪の底に地球抱へて磯遊び高瀬小唄
忘れ物探すやうなる磯遊高橋寅次
磯遊び波の呼吸のゆきわたる高原としなり
砂浜に動けぬ車磯遊鷹見沢幸
子より母盛大に濡れ磯遊たかみたかみ・いつき組広ブロ俳句部
網を手に巡る岩場や磯遊高見正樹
磯遊び返しそびれし海図鑑高山佳風
暮れ泥む波音緩し磯遊滝上珠加
生まれ来る地球のひだと磯遊びたすく
天敵の天敵は吾子磯遊多数野麻仁男
うつぼの歯岩よりのぞく磯遊びただ地蔵
磯遊び砂に埋もれた砂ふるひ糺ノ森柊
磯遊隣の桟橋護衛艦ただの山登家
父母はやさしき標磯遊多々良海月
磯遊び旅に誘う椰子の殻だっく
バケツには明日の我楽苦多磯遊立田鯊夢
磯遊カツンとアトランティスの塔立石神流
知らぬ子も覗くバケツや磯遊伊達紫檀
磯遊びお茶は十本用意せり田中紺青
磯遊びバケツに詰める夕の雲田中みどり
水筒の持ち主はるか磯遊谷相
触れたるは海の底なり磯遊谷斜六
しがみ付く我が子軽きや磯遊谷しゅんのすけ
砂に刺す水筒は基地磯遊玉家屋
磯遊び海の味見をする子らよ玉井令子
巡礼のやうな母娘や磯遊玉木たまね
磯遊び指輪の跡の消えるまで玉野文
磯遊三万年を振り返る玉響海月
碧ばかり背負いて立てり磯遊田村和也
磯あそび流れ昆布を振り回し田村利平
磯遊くさや焼きたる一斗缶鱈瑞々
磯遊アコーディオンのごと欠伸丹波らる
ふくらはぎへらへら磯遊の余熱千夏乃ありあり
廃船を根城に散りて磯遊竹庵
子の背中大きく見える磯遊び智幸子
磯あそびラよりも高いはしゃぎ声千歳みち乃
背守りの青海波照る磯遊千葉右白
肉球の切り傷癒えて磯遊ちやあき
貝拾ふ足跡らせん磯遊び千夜美笑夢
磯遊び吾の足跡に吾子の跡ちょうさん
拾うものみな角のなし磯遊つえりん
磯遊潮戻らぬか水平線槻島雫
軍艦を遠く見ながら磯遊月城龍二
磯遊遥拝所とふ奇岩までつくばよはく
磯遊誰を乗せよか貝の舟辻瑛炎
磯遊び錆の匂ひに湿る髪津々うらら
ドーナツを覗く磯遊に飽きて坪田恭壱
パーカーに砂の熱あり磯遊爪太郎
足跡の水深等し磯遊ツユマメ.広ブ俳句部
熊手持つ武器は持たない磯遊鶴富士
磯遊び大きな波に飛び上がり手嶋錦流
磯遊吾子は寡黙に貝を掘る哲庵
磯遊び眺め点滴受くる部屋輝久
磯遊マドレーヌのよな貝拾ふ天雅
へばりつく未知の生物磯遊電柱
千畳敷を一人占めして磯遊天童光宏
磯遊洞渡る風遠きより天王谷一
磯遊びバケツの夕日満ちるまで天陽ゆう
万物の胎へぶっさす磯遊びトウ甘藻
ママの爪みたいな貝ね磯遊び冬野志奈
磯遊び穴を覗いてゐてばかりとかき星
ストロマトライトの暦磯遊び とき
拾ひたる人魚の鱗磯祭りときめき人
大佐渡に重なる小佐渡磯遊常磐はぜ
大仏を一巡りして磯遊徳庵
足の指ややこそばゆき磯遊Dr.でぶ
下ばかり見たまま返事磯遊びどくだみ茶
光るもの小瓶の底に磯遊戸口のふっこ
磯遊び汀に空と僕のかをどすこい早川
足裏の支点探りつ磯遊び杼けいこ
来る波に昼餉食われる磯遊び十津川ポロ
けなげなる擬装も掬ふ磯あそび戸部紅屑
はちきんの小さな恋や磯遊苫野とまや
磯遊びにて飯事の開店す冨川ニコ
磯遊不埒な波に遊ばれて富永武司
太陽と海をとりなす磯遊登盛満
島までの道顕れる磯遊富山の露玉
磯遊先輩のリーゼントの硬し鳥田政宗
潮騒に胎児うたふや磯遊777
磯遊見知らぬひとり増えてゐる豚々舎休庵
火の島のマグマの上や磯遊頓堀頓
脚指の爪の放埒磯遊び内藤羊皐
磯遊び多佳子はひとり沖を見て中岡秀次
砲台の残る小島の磯遊中尾鎖骨
磯遊胸のクルスの一閃す中里凜
初めての海見る犬と磯遊中島走吟
野球部が平石投げる磯遊永田千春
磯あそび露天の通貨のシーグラス中十七波
耀ひの只中のこゑ磯遊中原柊ニ
磯遊び東京湾は楕円形中村想吉
縄文の人傍に居て磯遊なかむら凧人
磯遊び握り飯の砂じゃりっとす中村雪之丞
磯遊び右肩上に原子炉か那須のお漬物
様々な文字の終点磯遊夏風かをる
磯遊黒板消しのやうな波夏野夏湖
土地の子のてだれの技や磯遊夏雨ちや
眼裏に逃がした魚磯遊ななかまど
引き潮を月に待たせて磯遊び七瀬ゆきこ
磯遊び人魚の脈を診ています7パパいつき組広ブロ俳句部
岩跳んで風に滑るや磯遊名計宗幸
磯遊拾ひし貝は贄ならむなびい
あちこちで脱皮始まる磯遊波彦
磯遊びしたばっかりにもどれない奈良岡歩
食へぬもの拾ひゐる妻磯遊奈良素数
潮水を沸かし貝煮る磯遊びナンカラ牛眠
磯遊テトラポッドの中も海南全星びぼ
磯遊屈みて空の遠くあり西川由野
磯遊び流木挿せり我が国に西田月旦
磯遊こえ簡単に散り散りに二重格子
磯遊び義経岩に雨宿り二十八
岩かげに時間どろぼう磯遊二城ひかる
磯遊ぽふと雲吐くアメフラシにゃん
磯遊び水の歯形のついた岩仁和田永
磯遊ふくらはぎの海藻剥ぐ庭野せんたく
磯あそび海に読ませる向きの文字布川ユウリ
子供らの真下に影や磯遊び布村柚子
膝頭まあるくならび磯遊び沼宮内かほる
ヤハウェが波をとほざけ磯遊沼沢さとみ
われ百人殺せる毒や磯遊沼野大統領
茜色ほれど掘れども磯遊ねがみともみ
背に三笠臨む猿島磯遊猫塚れおん
磯遊またもあの蛸掬われて猫ふぐ
標本は褪せゆく磯遊の風根々雅水
ゆつくりと自転ひねもす磯遊野口雅也
磯遊びシスターのちよい覗き込む乃咲カヌレ
透かし見る掘り当てしもの磯遊び野ばら
家族ごと縄張りできる磯遊野原蛍草
異国より届きし風や磯遊野山めぐ
一瞬を光るみなわや磯遊のりこうし
波音に珊瑚の欠片磯遊び則本久江
星に似た貝を拾いし磯遊白雨
磯遊びアンモナイトはうつくしい白山一花
磯遊手も繋がないあの人は橋爪利志美
磯遊び十指に余る貝の山蓮見玲
開闢の余波の寄る辺の磯遊長谷川水素
金印の島を背にして磯遊び畑中幸利
太陽がずっと見ている磯遊び葉月庵郁斗
たからもの交換しよう磯遊八田昌代
潮溜り影慈しみ磯遊び花岡淑子
磯遊プラスチック紀もうそこに花笠きく
磯遊小さき足跡置いていく花はな
せんせいのぴあすが揺れて磯遊花彼岸
街の子へ手を差し伸べる磯遊はなぶさあきら
牡蠣殻の匂ひ郷里の磯遊花水木
磯遊浜辺にたたむ波の詩花見鳥
夕さればくちびる蒼し磯遊び花和音
磯遊び時計持つ子の嘘上手し葉村直
足跡のゆつたりくぼむ磯遊び林田リコ
異母弟と父と過ごす日磯遊び原水仙
磯遊我ら太古の縄文人原善枝
虹色にそろはぬ貝よ磯遊び巴里乃嬬
瑠璃色の貝の沈黙磯遊びはるの風花
教頭の笛付きリュック磯遊び春野ぷりん
梅干しで足る握り飯磯遊び春海のたり
ゴロタ石静かに戻す磯遊はれまふよう
厩戸王も裸足や磯遊HNKAGA
磯遊ほら水平線を佐渡島万里の森
じいちゃんが急にしっかり磯遊ピアニシモ
蹠に珊瑚の痛み磯遊び東沖和季
とほくより福来旗きたる磯遊東田一鮎
磯遊淡路島まで行けさうな東原桜空
この星のこゑを聴きたし磯遊び匹田小春花
磯あそび外つ国へゆく白き船樋口滑瓢
擦り傷は同じところや磯遊ピコリス
靴探し裸足で帰る磯遊久月翠
砂底の陽射し掴む子磯遊び菱田芋天
子が波を生きてるといふ磯遊びヒッチ俳句
磯遊工事を止めてゐる間ひでやん
磯遊夕日の沁みて風凪ぎて一石劣
屯する魚のチンピラ磯遊比々き
磯遊足首切るかに小波ヒマラヤで平謝り
磯遊び依り代探す細き指向日葵姐@いつき組広ブロ俳句部
立ちあがる岩肌にほふ磯遊日吉とみ菜
磯遊び迷子ばかりのアナウンス平井由里子
脱衣所のざらざら磯遊の夜平野芍薬
岩陰にすくふ目玉や磯遊平本魚水
仕掛け網取りて滑るも磯遊び比良山
逃げ遅れ同士戯れ磯遊平山仄海
雨といふ厄介足して磯遊び広島じょーかーず
磯あそび酒の香米の香醤油の香弘友於泥
別姓の父に連れられ磯遊広野光
Switchをママに預けて磯遊フージー
波音の濁点あはし磯あそび風慈音
磯遊び尻の鋳型に寄する波深蒸し茶
はじまりは散歩やがては磯遊ふくじん
未確認生物の穴磯遊ふくのふく
磯遊び同棲しようと言ってみたふくろう悠々
磯遊砂のプリンの店開き藤井かすみそう
溺れさうな猫を救護す磯遊び藤咲大地
どこからか星の寝息や磯遊藤里玲咲
子の背には小さな翼磯遊藤永桂月
磯遊空気のカドが取れました舟端たま
潮溜りごとに呼ばはれ磯遊びふにふにヤンマー
生きるのが面倒な子も磯遊風友
今歩くここは海底磯遊び冬島直
波のわすれもの見つける磯遊び古織沃
歓声もまだやわらかし磯遊び古川しあん
眼のやうな穴のぞき込む磯遊び古瀬まさあき
老犬を抱っこしながら磯遊古道具
磯遊び島唄を子ら次々と碧西里
火の番の母の呼ぶ声磯遊芳醇
龍宮の窓なる潟の磯遊房総とらママ
潮だまり色をさがして磯遊ほうちゃん
ここからは人類保護区磯遊黒子
ずぶ濡れの他所の子拾ふ磯遊ほしぞらアルデバラン
岩鼻を浜へと廻る磯遊び星田羽沖
磯遊びして来し一家銭湯へ星月彩也華
置き去りの未完トンネル磯遊び星詩乃すぴか
サンダルと踵は鋭角磯遊びほしのり
磯遊きみまだ海をたゆとうかほたる純子
雨過天青大物ひろう磯遊ポップアップ
お互いに無口なままで磯遊堀籠美雪
島の子を先生にして磯遊び堀隼人
手にふれる物みなたから磯遊堀邦翔
磯遊び土産の貝を吸ってみる本郷てい
トンボロの終り窺ふ磯遊前田冬水
ひとり掘りひとり積みたる磯遊槇原九月
瑠璃色の貝殻出よ磯あそび牧茉侖
姉よりもとれて泣かせた磯あそびまこと七夕
浪人の決まりし四人磯遊町田思誠
磯遊なんて陽気な黙祷か松井くろ
磯遊びみな波に尻向けてをり松坂コウ
富士眺む御用邸裏磯遊松平武史
拾いたる貝の蘊蓄磯遊松本厚史
磯遊迎えのボート見えてをりまやみこ恭
丸い石四角い石と磯遊び瑪麗
のぞきこみ落ちる帽子や磯遊び毬雨水佳
踝に波のぬるしや磯遊まるごとハテナ
心地よき頬の火照りや磯遊まるにの子
果と果あはひたのしむ磯遊丸山美樹
磯遊び朝が乾いてゆくはやさまんぷく
磯遊波打ち際の車椅子三日月なな子
空き缶のシールが宝磯遊帝菜
磯遊爪が剥がれる程の穴三河三可
磯遊ついつい何か拾ひけり三茶F
退かぬ子の手にうごめく何ぞ磯遊岬ぷるうと
引き潮を追ふきみを追ふ磯遊び三崎扁舟
磯遊び波を小分けに夫の杖水須ぽっぽ
流木を選ぶ君の背磯あそび水巻リカ
三人のふたり恋仲磯遊び三隅涙
磯遊び十年来のゴム草履三田忠彦
磯遊露わな腿に黒子かな巳智みちる
岩に濃き葉つぱの化石磯遊満生あをね
磯遊弁財天の調べかな三ヶ日ミカンスキー
いきもののなまえすらすらいそあそび満る
ゴム底の探る凹凸磯遊みつれしづく
子供会軽トラでゆく磯遊びみなみはな
切り傷に海藻貼るや磯遊南りぱりこ改向田敏
神武様船出の美々津磯遊美村羽奏
戯画になりたいからひとり磯遊三群梛乃
磯遊空の吐息かシーグラス宮井そら
潮の香に斑のありけり磯遊宮下ぼしゅん
足指の股に滲む血磯遊宮武濱女
磯遊び要介護一立ちあがるみやま千樹
何かいる石動かして磯遊美山つぐみ
磯遊び宝さがしを波が邪魔宮村寿摩子
磯遊勇者の杖を見つけたりみらんだぶぅ
だまし船乗つて一家の磯遊椋本望生
あらまあと馬穴覗かれ磯遊無弦奏
磯遊び波打ち際に妻写し睦長月
磯遊び裸足の下の無窮動村上の百合女
何もせぬこれが真正面な磯遊び紫小寿々
おにぎりの鹹さの風や磯遊茗乃壱
磯遊び中止サイレン大音量メディックス千里
手になじむ流木拾ふ磯遊茂木りん
落陽は磯遊ごと連れ去りぬ本村なつみ
手の腫れた話ししつこく磯遊び百瀬はな
囚われた水は柔らか磯遊桃園ユキチ
磯遊「貝つて空を飛ぶんだよ」森海まのわ
磯遊くじらの胎児祀る島森上はな
磯遊びモルジブの風吹きしかも森きやつか
磯遊び地球の裏をめくるかにもりさわ
方向幕に貸切の文字磯遊もりたきみ
貝採りの塩忘れるな磯遊守田散歩
苔と藻の違い伝達磯あそび森太郎
胎動へ響く波音磯遊び森ともよ
磯遊ちょっと歪な星ひとつ森中ことり
染み込みし酒を惜しみて磯遊杜まお実
波音は尻に迫りて磯遊森毬子
人の骨だつたさうだよ磯遊森萌有
磯遊指切りて血もまた潮もろ智行
磯遊馬穴にやがて理想郷弥栄弐庫
二十円引きのおにぎり磯遊安田伝助
磯遊海外赴任まで五日八幡風花
岩陰に良き残り汐磯遊び山内彩月
ガラクタに両手ふさがる磯遊山川腎茶
磯遊び拾った石を値踏みして山口笑骨
うみうしもがばと岩抱き磯遊び山口愛
磯遊すんと淋しき水平線やまさきゆみ
磯遊暮れて後ろの海坊主山里うしを
磯遊人生の後方より眺む山田啓子
声変わり前と後ゐる磯遊び山姥和
磯遊びお金は小さき貝と石有野安津
磯遊びへ急ぐ裏道砂の路地宥光
磯遊び夫はもとより風来坊雪子
磯遊び城にスコップ突き刺してユキト
磯遊きっと地球は真っ平ら雪鶏
磯遊うれひ色したシーグラス柚木みゆき
崎の果てプロペラのたり磯遊柚子こしょう
磯遊連れて帰れぬものばかりゆすらご
父の目に少年のゐて磯遊陽光樹
海色を掬へば無色磯遊羊似妃
海鳥の追いつ追われつ磯遊横井あらか
磯遊二つ返事のヘルパーさん横山ひろこ
磯遊び宮古の砂に靴を脱ぐ横山道男
海神の脇をくすぐる磯遊吉谷地由子
磯遊びだれだ足裏くすぐるの吉田春代
新品のカラダ汚して磯遊吉成小骨
磯遊脈々知らぬ中国人Yoshimin空
磯遊び石の扉を開けにけり余田酒梨
波寄せて上げ下げの尻磯遊び米山カローリング
遠浅も声届くまで磯遊び楽花生
磯遊び人が段々近く成るリーガル海苔助
磯遊ひたひた踝せつつかれ理佳おさらぎ
寮生は山の子ばかり磯遊柳絮
トンネルを作りて壊す磯遊ルージュ
汐風が煽るおかっぱ磯遊麗詩
磯遊び水平線の先の国連雀
磯遊びさてびたびたのパンタロンろまねす子
磯遊昼はいつものカレーパンわかなけん
小魚に名付けて放す磯遊わたなべいびぃ
磯遊び異国に帰る波静か渡邉わかな
目の欠けて明るきルアー磯遊亘航希
教職の単位の一つ磯遊いたまき芯
いかり瀬の鳥居くぐるや磯遊びいとへん製作所
ローファーは自転車の籠磯遊赤鰯
ローファーで海牛探す磯遊び朝日雫
海牛は貝のやさぐれ磯遊び欲句歩
初めての海牛奄美の磯遊山川たゆ
潮の香は右脳を洗ひ磯遊滝川橋
飛跳ねて足裏白き磯遊京野秋水
磯遊び兄貴の白き脹脛くつのした子
たくし上げれば白き膕磯遊霧賀内蔵
我も子も脛まだ白き磯遊しぼりはf22
乙女らのひかがみ眩し磯遊びアンサトウ
磯遊び彼女の素足眩し過ぎあさぬま雅王
思春期の従姉(いとこ)まぶしい磯遊ちくりん
磯遊大学生の孫ひとり杏っ子
磯遊とんび灯台にゐて見張り飯田淳子
染め髪の尚ほ明かりける磯遊和泉あやめ
化石出ぬ父ちゃんはどう磯遊び大家港一
我楽多といふ宝物磯遊北村環
弟の世話大変だ磯遊び倉岡富士子
磯あそび宇宙の如く謎の蓋子猫のミル
松原や羽衣忘れ磯遊び佐藤佳子
海に来てデジタルゲーム磯遊星夢光風
磯遊ずーっと行ったらアメリカよ竹内不撚
磯遊意訳レゲエと時に涙田上南郷
磯遊び国生み神話真似したり遠峰熊野
磯遊び傷の跡が勲章と中嶋緑庵
磯遊師匠のかかと照れている凡々
磯遊「置引きいてる」太い声正岡田治
もう一つもう一つとて磯遊び雨森茂喜
初恋や並んで貝堀り磯遊び野原一草
新店舗の話し忘れて磯遊里山子
自転車は放ったままに磯遊び多胡蘆秋
腰伸ばし悠遠に島磯遊舞矢愛
出ておいで会いたいだけの磯遊び赤尾実果
父が吾に何か言いたげ磯遊び秋月あさひ
母は吾を見ているだけの磯遊有本としを
父のをり母も居たよな磯遊いつかある日
父の背に脱皮のきざし磯遊兎森へる
磯遊び子にそつくりな夫の顔川越羽流
磯遊びの誘ひ乗らぬ変声期佐柳里咲
磯遊父母祖父母いて僕がいる須磨ひろみ
爪先でやがて尻まで磯遊沢山葵
こんな服着なきゃ良かった磯遊三角山子
ぶりっ子になりし日遠く磯遊田上コウ
磯遊海なし県の子供会苳
目の慣れたころにおしまい磯遊びなかかよ
磯遊び地球で大き呼吸して春あおい
磯遊びいつかの釣りがポケットにEarlyBird
まだまだと子はかぶり振る磯遊あいあい亭みけ子
砂浜へヒトデ見つけし磯遊無
磯遊び時折伸ばし再挑戦逢花菜子
小指から恐る恐ると磯遊相馬杜宇
刻きざむエンジェルロード磯あそびあ・うん
異国語のラベルの瓶や磯遊青井季節
忙殺され今日こそは磯遊青橘花
磯遊び沖に点々海坊主青砥展典
Loveと描く相合傘や磯遊び青野すみれ
独り身に犬と戯れ磯遊び青松紫雲英
磯野家もフグ田家もいて磯遊び赤坂みずか
磯遊そっくりな背の大と小あかねペン銀
五能線「ピーツ」に手を振る磯あそびacari
検査終え鬱を洗浄磯遊びあかり
にぎり飯固くなりゆく磯遊愛柑いつき組note俳句部
拾ふ石投げて二,三回磯遊聰子
磯遊び話し相手の一人分秋桜みりや
磯遊割れ目を覗き込む息子昭廣凡字
たぷたぷと磯遊びしてビンの浮く芥川春骨
磯遊OFF-LIMITSの柵を背に朝雲列
磯遊幼日の写真(うつし)母若し亜紗舞那
磯遊「持って帰るの殻だけね」あさみあさり
小さき靴ならべて吾子は磯遊明日葉
ひもすがら坊主の予感磯遊阿修羅
磯遊びボトルメールの読めぬ文字あすなろの邦
磯遊うっすら手を振る北方領土明日に翔ぶ会
磯遊び子も親も尻濡れており藍創千悠子
磯遊び跳ねた魚に大はしゃぎ愛宕平九郎
磯遊止め隣国のゴミ拾ひあたしは斜楽
磯遊トンビが回り波光るアツシ
あと一枚の声にピースや磯遊渥美こぶこ
瑠璃色の魚泣いてリリース磯遊あまぐり
海なし県夢にまで見た磯遊綾田雄斗
磯遊うつつ忘るる素肌かな綾小路へこ
海原へ投げ石数多磯遊びあらいゆう
磯遊ゴジラ隠れているようなあらかわすすむ
磯遊びバケツに捕らわる異生物在在空空
夕さりの姫様抱っこ磯遊淡湖千優
山の子も海の子となり磯遊飯沼深生
イタタタタ!何かにやられた磯遊び粋庵仁空
ハイターの香ぞとほき日の磯遊生野薫
差し出さる手に手を伸ばす磯遊郁松松ちゃん
爪延ばし狙うは傘貝磯遊池田華族
磯遊び白とゆるめの青きシャツ伊澤遥佳
孫の手に甲羅ひとつや磯遊石井久次
遠き日につないだ子の手磯遊石堂多分
せん妄のじいじを留めし磯遊び石の上にもケロリン
磯遊散らばる孫ら目で追いぬ石原花野
ジジババは子供に返り磯遊泉恵風
磯遊いつかの砂と混ざりけり無花果邪無
磯遊小さき指が差すところ伊藤キキ
何か棲む小さき穴踏む磯遊伊藤順女
岩礁にへばりつく子の磯遊び伊藤節子
砂の城夢の形や磯遊び伊藤ゆかり
遠くにはパラセーリング磯遊伊藤れいこ
泥濘の足に重たく磯遊び伊藤小熊猫
ウミウシや海の宝石磯遊び伊那寛太
島の子や網の小魚磯遊びイナホセドリ
空つぽのバケツ抱えて磯遊び井松慈悦
磯遊び父の背中はセピア色岩佐りこ
母のこゑとほくになりぬ磯遊岩清水彩香
磯遊ローファー五足のあちこち兎野紫
あの海と同じ海かよ磯遊宇田の月兎
引き潮に人は死すてふ磯遊びうつぎゆこ
星獲りぬる子星なりぬ磯遊宇野翔月
吾もまた星の生物磯遊び卯之町空
釣針の行きつ戻りつ磯遊海月のあさ
磯遊を羨むばかり壁の中海なし県民
窓を開け一本道や磯遊浦城亮祐
チーム皆亜美のミサンガ磯遊び江口朔太郎
貝殻の宝探しや磯遊越中之助
才覚をちらと覗かせ磯遊江戸きり子
熊手持ち尻を濡らして磯遊えのき絵巻
磯遊テーブル囲んだ汁の味えのき筆丸
いつまでもバケツは海藻磯遊榎本奈
桂浜龍馬もここで磯遊 榎本雅
磯遊トンボロ渡り孫うれしえみくれ
磯遊び負けず嫌ひな三歳児えりべり
磯遊波を被りてびしょ濡れ円美々
流木品定めして磯遊大江戸小紋
磯遊母の面影遠く見ゆ大越総
磯遊引きずる熊手海老跳ねり大阪駿馬
手のひらに命を包み磯遊び大澤眞
磯遊び潮味のする塩むすび大嶋宏治
一両の電車は遥か磯遊び大嶋めで
靴下とタオル余分に磯遊太田けいこ
磯遊足を日に当て指数え大竹八重子
波の中孫と一緒に磯遊大舘さと
磯遊び行きのなぞなぞ今分かる太田怒忘
波の粒眺めてすごす磯遊太田一駄歩
磯遊び生命線の良し悪し大富孝子
みつめあいふたごのわらう磯遊大野美波
懐かしや一家総出の磯遊大原妃
甘酸っぱい秘密残して磯遊び大道真波
流木を重ねて見立て磯遊岡崎未知
磯遊びおやじといった海はるか岡田いっかん
磯遊宝探して夢見つけ岡田恵美子
サブリナの踝さむき磯遊び男鹿中熊兎
磯遊び航跡光る日が沈む岡村恵子
長靴さかさにざらざら磯遊岡本
磯遊バケツの中を覗く帰路丘るみこ
磯遊すぐに飽きたる人とゐて小川野雪兎
磯遊び生身失せしも残る殼沖乃しろくも
波よ止まれ楽しみ永遠に磯遊び奥寺窈子
磯遊拾いし貝の万華鏡お品まり
潮溜り宇宙を覗く磯遊小田毬藻
指の間からこぼれ落つ砂磯遊御成山
磯遊び波のきらめき背にうけておひい
クラス替えの友らも集い磯遊おぼろ月
磯津港少年ら行く磯遊朧月ひかり
「ママだいじょうぶ?」の児のひとりかな磯遊ぉ村椅子(志村肇)
磯遊び子の声高く負けまいやおんあいす
子も犬も眼らんらん磯遊おんちゃん。
磯遊謎の生物腰引けり甲斐ももみ
磯遊び雨を嫌う子潮に濡れ香依蒼
片方の靴探しゐる磯遊火炎幸彦
二キロ先灯台淡し磯遊案山子<いつき組広ブロ俳句部
磯遊波に負けじと母の唄影夢者
くるぶしに砂の嬉しや磯遊風花まゆみ
陽の浅きそぞろ歩いて磯遊ぶ梶浦和子
磯遊子の手が握るものはなにかしくらゆう
穴を掘り穴を覗きて磯遊び鹿嶌純子
磯遊灯台に来てはや二時間かじまとしこ
海に来て海を怖がる磯遊梶原菫
子らよりも夢中になりし磯遊びカズミンスキー
磯遊び終えて車中に砂光る風遊び為参
磯遊び子等に負けじと空(から)笑顔風かおる
黒ずくめの吾を呼ぶ声や磯遊び風薫子
磯遊び手かざし眺む船はるか風之川
磯遊び岩の上にて弁当を風の母
磯遊時を忘れて母の声片岡明
一散にタープ駆け出す磯遊片岡一月
磯遊び吠えるゴジラを攫う波帷子砂舟
磯遊び指突っ込みたき穴もあり花鳥風猫
磯遊び絆創膏の踵かな桂子涼子
磯遊び水平線はまるかった桂葉子
怖かった海なし育ち磯遊金澤孝子
暮れ残る沖の鳥居や磯遊金子陽
磯遊び荷車のごとベビーカー金子泰山
磯遊び大股の子と小股の子かねつき走流
向かい風君と来たくて磯遊亀岡恵夢
いつの間に満ち潮来しや磯遊亀田ミノル
砂浜に遠く眺める磯遊び亀山逸子
磯遊び水面しずけき稚魚の影かもね
磯遊腰とんとんと空仰ぐ鴨の里
理不尽なこと皆忘れ磯遊びかもめ
磯遊び潮の満ち干の不思議かな河孝
シーグラスは白2黒1磯遊川村湖雪
網両手長靴濡れる磯遊岸壁の龍崎爺
すくいとる水生昆虫磯遊木口まり子
磯遊び小さきスコップ流されし季紫子
たくましき次男のこむら磯遊喜多丘一路
磯遊び立ってられるか動く砂北の星
磯遊九死に一生離岸流北美三風
波兎競い数えて磯遊木下桃白
磯遊びバンドエイドをポケットにきべし
磯遊び腰まで浸りブルブルる君塚美蕉
磯あそび泡ぷくぷくと岩の下木村カズ
波の音聴いてるだけの磯遊木村かわせみ
磯遊び妹と来たよな美保関木村修芳
マダムらもガニ股になる磯遊び紀友梨
磯遊び休職中のひとり旅清鱒
磯遊小さいけれど水族館喜楽胤
磯遊びニライカナイの風受けて霧澄渡
嬉々として野生に帰る磯遊近未来
つづ桶の浜へ干さるる磯遊び句々奈
セザンヌの水浴のごと磯遊楠田草堂
磯遊び数多の命ひかりたりくちなしの香
磯遊記憶の底にプラシャベル愚禿忍
磯遊耳に残りし波の音國吉敦子
思い出に探す貝殻磯遊窪田和子
子供たちお宝さがし磯遊熊谷祐輝
磯遊公園玩具持ち寄りてぐりぐら京子
百均のバケツにずしり磯遊空流峰山
置き去りの赤きスコップ磯遊び黒瀬三保緑
外洋にクルーズ船消え磯遊び黒田良@しろい
純白や貝もつ君の磯遊び黒山万牛
おどおどと岩を返して磯遊桑田栞
磯遊び無数の小さき穴に棲むくんちんさま
晴天なりいくつなれども磯遊家古谷硯翠
磯遊孫の絵日記俺初出ケビンコス
打ち明けず距離置き見やる磯遊紫雲英
椰子の実の着きし浜なり磯遊ケント
革靴に見守られ父磯遊び来来
気分もう海洋学者磯遊小泉久美子
磯遊ぶ子等に乙姫彼の行方河国老保忠
磯遊やがて心が満つるまでこうだ知沙
名も知らぬ貝に恋して磯遊び光陽
LOVELOVELOVE砂に文字書く磯遊ごーくん
磯遊び潮の香残る帰路の髪古烏さや
磯遊び我が子と犬が笑いあいご機嫌
磯遊砂ごと踵さらう波ココヨシ
海の香を総身で浴びる磯遊越乃杏
磯遊び子が素足踏むマッサージ胡秋興
波光り頬も光らせ磯遊湖水鈴
これ以上ないほどまくり磯遊こてぬぐい
磯遊び明日は雲良し風も良し後藤周平
ぼうずでも親子の釣果磯遊後藤昼間
異国語も同じ笑ひや磯遊後藤三梅
収穫は多島美ばかり磯遊後藤葉羽
潮の香や時の止まった磯遊び小鳥コ
タモの中怖々触る磯遊び小林澄精
磯遊帰りの車はすやすやと小林弥生
少年にもどる還暦磯遊こひつじ@QLD俳句会
磯遊汁の貝殻集めおり駒形さかつ
膝小僧の傷と汐風磯遊び駒茄子
水平線見失うまで磯遊び小山秀行
磯遊び拾い集めるシーグラス碁練者
磯遊びおにぎり食べて女子会よコロンのママ
笑い声空まで届く磯遊さいたま水夢
過去は祖父今は孫らと磯遊齋藤鉄模写
波と描く砂の絵文字や磯遊宰夏海
磯遊び近くに騒ぎこころ離る榊昭広
子供らと語る足裏や磯遊坂口いちお
ついそこで磯祭り妻ぞ居てこそ出づ坂島魁文
足指にぐにゃりと砂や磯遊びさかたちえこ
磯遊び砂の感触存分に坂本千代子
磯遊記念写真も手ぶらなり相良まさと
磯遊ネイル気にしつホンビノス咲世咲
亀の手に歓声の夫磯遊咲まこ
肩触れるだけの二人や磯遊櫻井こむぎ
砂山のトンネル開通磯遊櫻井弘子
三陸の今は思い出磯遊び桜華姫
磯遊びの波に阻まれかえりみち桜姫5
波かぶり大物狙う磯遊雑魚寝
漣に足を攫われ磯遊佐々木佳芳
磯遊入院前のごほうびに笹桐陽介
みづを生くいのちにぎやか磯遊びさざれいし
糸垂らし連れねど一人磯遊び 「釣れねど」では?佐渡碧
磯遊びパパの歓声面映ゆし佐藤公
磯遊びとほく傘もつ祖母のゐて佐藤恒治
退院の間もなき人と磯遊佐藤志祐
見上げれば飛行機雲や磯遊び佐藤俊
フレアーのスカート忘れ磯遊佐藤浩章
磯遊び歩いて行かむ不如帰の碑佐野良彦
科学者のまなざしの子や磯遊びさむしん
見はるかす鳥居の向こう磯遊紗藍愛
生命の不思議あふるる磯遊び百日紅
わがままな流星を飼ふ磯遊 ヒトデ?さるぼぼ17
お砂場の道具をもって磯遊び紗流瑠
磯遊び寄せては返し浪の音さんなんぼう
ポケットの膨らむばかり磯遊塩沢桂子
雲も行き時を忘れた磯遊びしかの光爺
童謡を思いだしつつ磯遊び四季彩
潮だまりはぐれた魚を帰す子らジッピ
砂州消えて狭き日本や磯遊信濃のあっくん
忍ばせしポケツト図鑑磯遊島田順子
スカートをちょいとはしょりて磯遊霜川このみ
群馬にて磯遊びなぞよもえせずしもとだつおどろき
見守れる母より遠き磯遊下村修
エレーヌの羽衣眺む磯遊び柊二@冨美夛
磯遊びテトラポッドにランドセル秋芳
忍者服パンダ座りで磯遊種種番外
磯遊び潮のかおりや父母の顔正見
磯遊び息を潜める潮だまり正念亭若知古
かめのてを詰め込む園児磯遊び白井百合子
磯遊びせし子ただ見ゆ五能線不知飛鳥
磯遊び無邪気な子らの無情かな白梟
「クラゲや!」と袋を紛う磯遊び西瓜頭
貝撒きに伝統の磯遊び守る杉森大介
磯遊び大鳥居へと脚向かい数哩
遠景にルフランの波磯遊すみれルース
磯遊吾の手とる孫十五歳静江
磯遊都会っ子の膚水脹れ青児
磯遊もひとつの空潮溜りせいしゅう
磯遊び富士に夕日の沈みけり清仁
足裏に思い出残る磯遊びsekiいつき組広ブロ俳句部
磯遊び幼児のいとこ対決かな瀬野広純
磯遊び時折り母を振り向きぬ草夕感じ
向かいあう恐竜のごと磯遊外鴨南菊
弟のつなぐ手強き磯遊そぼろ
父さんの二の腕白し磯遊そまり
磯遊稚魚を優しく追ひ込む手染井つぐみ
沖島に鳥往くまでは磯遊邨虚空
黄昏に消えし人影磯遊び大
海無しの民憧るる磯遊大ちはる
磯遊黒雲わきて動悸強し平たか子
ローカルに喋るいとこと磯遊び高辺知子
磯遊び足つけられぬ子を抱え高嶺遠
子らの声浅瀬の岩で磯遊び高橋紀代子
古希過ぎた夫婦二人の磯遊び高橋こう
腰痛の夫は見ている磯遊高橋ひろみこ
拐われる靴を追いかけ磯遊び高橋マママリン
磯遊「引き潮」の曲聴きながら高旗三紀子
磯遊びのたりのたりの角力灘たけぐち遊子
磯遊びスマートフォンをまた落とすタケザワサトシ
750cc(ななはん)を降りていそいそ磯遊び武田豹悟
磯遊び肴一品得て仕舞ふ竹田むべ
磯遊バケツを持つて来させる君たけろー
ナゾの目に興味津々磯遊び太之方もり子
カレーの香飯盒めしや磯遊祐紀杏里
遠浅になる夕刻に磯遊立花かおる
漂流木お國離れて磯遊田鶴子
背の妻の足砂に触れ磯遊たていし隆松
ショルダーを襷に光る磯遊田中勲
磯遊遠くにフェリーサンフラワー谷町百合乃
磯遊恐々抓む海星かな田畑せーたん
妹の袖を捲って磯遊び田畑整
真新し消波ブロック磯遊びチームニシキゴイ太刀盗人
光ありだけど孤独な磯遊智同美月
磯遊び蟹の甲羅を葬る子 千鳥城.いつき組広ブロ俳句部カナダ支部
磯遊家路に連れし爪の砂茅野ともぞう
磯遊タワマンの墓標大津波チャーリー・吉田
夕暮れや父はひとりの磯遊彫刻刀
細波に足救われる磯遊司蓮風
鍵落ちて心臓ばくり磯遊び塚本隆二
磯遊砂に両足掴まれてツキミサキ
ペディキュアと足爪の砂磯遊び月見里ふく
飛び立つて邦平和なり磯遊つくも果音
磯遊足跡たどる二人かな辻美佐夫
ドローンの眼空より見ゆる磯遊び辻本四季鳥
磯遊夢に入り来る海の声辻栄春
磯遊び襁褓に砂の判子かな綱川羽音
泳ぎ去るアンモナイトや磯遊椿泰文
陽が落ちて疲れ果てるや磯遊津幡GEE
磯遊び太陽族のくるまかな哲山(山田哲也)
蛸の墨染みし遺品や磯遊び徹光よし季
遠くから声はずみ来て磯遊てつねこ
磯遊厳つき岩に立つ父よ土井あくび
日に三度顔合わせるや磯遊時小町
知らぬ子とバケツと貝の磯遊びどこにでもいる田中
ダンス動画撮って見てのち磯遊となりの天然水
太腿にスカート挟み磯遊富野香衣
テトラポットに登りて降りて磯遊友@雪割豆
引き潮に惹かれ魅かれて磯遊とよ
内海に妹とひねもす磯遊豊岡重翁
白波と共にも呼吸磯遊中澤孝雄
絆創膏の指痛し磯遊び中島葉月
尻もちをついて泣く吾子磯遊仲間英与
磯遊あと十分と兄の声仲操
宿題思い出す吾子の磯遊中村明日香
バーチャルで楽しむ今の磯遊び中村こゆき
石返し小魚帰し磯遊中山由
磯遊び波音響きはしゃぐ声流れ星
磯遊び小さき熊手が岩をかき七五三五三
悩みなどそっと沈めて磯遊梨山碧
遠出して固まる仔犬と磯遊なたのすけ
潮の香でおにぎり食むなり磯遊夏目りる
磯遊牛との日々の懐かしく生天目テツ子
シーグラス見せ合う姉妹磯遊びにいやのる
干潮の暦をにらみ磯遊にえ茉莉花
幼子の足掬う波磯遊二階堂暖簾
磯あそび波に侵蝕されてゐる西尾至雲
上げ潮の波から逃ぐる磯遊西尾照常
魚見つけ急いで親よぶ磯遊び西之原祥春
引き潮の道現るる磯遊入道まりこ
網構え動かぬ吾子や磯遊庭野環石
磯遊磯辺揚げ入りのお弁当ヌートリアみゆう
啄木を気取りひとりの磯遊び猫またぎ早弓
異国の白砂買い子に与ふ磯遊び農鳥岳夫
磯遊び岩に砕けし波に濡れ野瀬博興
思春期の子も口開く磯遊のなめ
磯遊浸す手の皺揉み直しののクラブ
泣き砂の音は聞こえぬ磯遊野の小花
姉弟父釣る傍の磯遊野の菫
磯遊び謎生物を発見すのんのんた
父の背で白河夜船磯遊び徘徊狂人
磯遊先の先に水平線白山おこ女
磯遊潮に教わる帰り時白咒と蒸しエビ
掛け合いや舐めて塩味磯遊橋野こくう
磯遊手綱握って孫の世話波止浜てる
磯遊び吾子に負けじと走り出す馬笑
磯遊ひとりにひとつ小宇宙蓮井理久
深き場所父の佇む磯遊び羽住博之
磯遊バケツに小さな海がある畠野案山子
弁当を置き去りにして磯遊初野文子
見つめあひ小魚(いさな)と幼(をさな)磯遊英凡水
小魚を捕まえんとや磯遊羽馬愚朗
白き手をレースの波に磯遊はままこみかん
どの星へ帰るか忘れて磯遊び林典子
(無人島にて)磯遊び津波警報発令中原島ちび助
ペディキュアの黄色はしゃぐや磯遊原田くろなつ
子の返事聞いて日陰へ磯遊原田民久
磯遊びボール弾んで何処までもharu.k
磯遊していた孫が反抗期春爺
磯遊ひとでの腹は白かつた晴田そわか
磯遊ずぶ濡れの服に虹きらり春のうらら
磯遊クーラーバックの見張り役はるるん1号
小海老追ふ幼子たちの磯遊伴田至誠
磯遊足をくすぐる引き潮よひーちゃんw
磯遊び拾った貝のくらべっこ東の山
磯遊草履に砂を噛みながらひすい風香
磯遊び海星を飼うと泣く子かなひと粒の種
磯遊び子らそれぞれの潮だまり日向こるり
足下で磯遊続く子らに傘ひまわりと蒼い月
磯遊7つの頃に還る君ひめりんご
磯遊び青き地球に生くるもの平井千恵子
カメの手は何を掴まん磯遊び平岡梅
砂山を波に喰われる磯遊び平松一
磯遊小さき子らに小さき魚昼寝
磯遊ちらす対話にサプライズ微呂
大波よ追へば追はるる磯遊浩子赤城おろし
磯遊の子らよ平和とは何か廣重
ままごとに飽きて今日だけ磯遊広島あーやあーや
磯遊び破れしシャツの眩しかり広ブロ俳句部三日余子
磯遊び足裏包む泥温し琵琶京子
砂城で城主となりし磯遊FUFU
真剣に児になる大人磯遊福井桔梗
磯遊こぼしたる貝五つ六つ福川敏機
引き潮の些と蠢くや磯遊福田みやき
磯遊魚籠にたーんと晩のあて福弓
満潮とかけつこするよ磯遊び藤丘ひな子
気に入りのバケツ放さず磯遊びふじこ
尻濡れる気づかず夢中磯遊藤沢・マグネット
磯遊盥に海を創りけり藤白真語
磯遊び思わせぶりか濡れた脚ふじたさとえ
磯遊や脱いだくつくつくつくつくつ藤田紫桜
ワクワクと手を差し入れて磯遊藤本だいふく
磯遊び帰りし子には磯の匂ひ藤本仁士
磯遊知らぬ海なし県民よ藤原訓子
はしゃぎ声波の音消す磯遊び古川しげ子
磯遊び岩積み崩し子らの声古澤久良
帰るぞと叫べど止めぬ磯遊古谷芳明
図書券につられ子守の磯遊びペトロア
じゃぶじゃぶの尻尾も足も磯遊べびぽん
磯遊父と手繋ぎ岩を飛ぶ鳳凰美蓮
煌めくは異国のカケラ磯遊峰晶
関税は大人のおもちゃ磯遊暮戯
磯遊進入禁止俺のシマ北斗星
知らぬまに汀にひかる磯遊ほこ
海くんのパパ焼くかかり磯遊ほしの有紀
いつのまに君が遠のく磯遊細葉海蘭
磯あそび今日は交際記念の日堀卓
磯遊しよつぱい水や初体験本間美知子
陽の光寄せては返す磯遊び凡狸子
呼声か遥か汽笛か磯遊び牧場の朝
磯遊小魚残る潮溜まり槇まこと
足裏に無数の傷や磯遊び正男が四季
磯遊君が嫌なの知りつつも雅蔵
ただ波の音聞くだけの磯遊増山銀桜
眺めゐる病室の窓磯遊 町田勢
足裏を擽る砂の磯遊び町家の日々輝
ボンベ引き磯遊び見る病かな松井酔呆
波ぎわで砂山造り磯遊び松井英雄
潮だまりを覗く目玉や磯遊び松浦姫りんご
磯遊帰りの背なの子の重し松岡玲子
磯遊海賊船は沖に消え松尾祇敲
磯遊び小魚焼いて饂飩出汁松尾老圃
生首の三つ置かれて磯遊び 砂浜?松田寛生
うんちくは波にさらわれ磯遊びまっちゃこ良々
姉二歳弟に語るいそあそび松永好子
後半は鍵を探して磯遊び松野蘭
磯遊日がなたわむる波静か松本牧子
潮溜り群れる生命(いのち)や磯遊び真理庵
磯遊とったばかりの貝を焼くまりい木ノ芽
定期船の大き引き波磯遊丸山隆子
磯遊び転勤先へ子等連れて丸山佳子
沖をゆく船に手を降り磯遊び満月
亀石を見上げ見上げて磯遊美衣珠
潮引きて不如帰の碑や磯遊び三上栞
胴震ふ犬のしぶきや磯遊びMR.KIKYO
顔上げて陽が傾いて磯遊水間澱凡
ギブス脱ぎ磯遊せし弟五歳美津うつわ
結ふ髪も風にほどけて磯遊光月野うさぎ
失恋を知りつつはしゃぐ磯遊び美月舞桜
潮満ちて静かになりぬ磯遊びみづたま
磯遊登山にするか角田山ミナガワトモヒロ
磯遊ぞ小魚我が子瓜二つ水無月葵
磯遊蛸つつきけり潮だまり湊かずゆき
小さきも大きも社宅の子らの磯遊び源早苗
乙姫よ今日はここまで磯遊嶺乃森夜亜舎
磯遊び爪に染み入る潮の香や見屋桜花
時どきは母を確かめ磯遊みやかわけい子
服ずぶ濡れの磯遊びあの頃は宮城海月
磯遊び膝へ肘へと捲り上げ宮坂暢介
人生に意味なんてない磯遊宮坂変哲
尾も白き犬と自撮や磯遊ミラベル
振り向いて高層ビルの磯遊麦乃小夏
吾子初のスコップ持ちて磯遊むじか
夕日の時は短し磯遊むねあかどり
磯遊び笑顔が増えた妻の里村先ときの介
白飯に潮風まぶし磯遊暝想華
磯遊この流木は何処から恵のママ
貝の身は宇宙人めきいそあそび目黒青邑
女川や友偲ばれて磯遊愛島さと子
吾子四人姪甥九人いそあそび望月ゆう
岩の間の闇を覗きて磯遊びmomo
パンツまで濡らし幼の磯遊び百瀬つきか
磯遊つま先立ちの慣れるころ森重聲
蝶蝶魚兄と探した磯遊び森下薫
磯遊び砂を蹴りしスニーカーの音盛島晃紀
磯遊妻と子ら連れバケツ持ち森嶋ししく
磯遊びアンモナイトの眠る岩森葉豆
磯遊びバランス取る母笑う父森茉那
まだ好きと言えないままの磯遊びもりやま博士
岩と岩跳び跳び渡る磯遊諸岡萌黄
磯遊び小さきリュックに紙おむつ山羊座の千賀子
潮吹くな尻が濡れるぞ磯遊八木実
お迎えのパパも戻らぬ磯遊び矢澤かなえ
還暦や乱れる髪で磯遊矢澤瞳杏
結局はパンツ一丁磯遊野州てんまり
子供らに嘗てを伝授磯遊安元進太郎
隆起した波消しの先磯遊痩女
磯遊終えて午睡の車内かな山内文野
転勤族最後の海の磯遊山尾政弘
廃プラのぎらぎらとして磯遊山河穂香
ボーダーのシャツ目に留めて磯遊山口絢子
磯遊やみんなの心笑いたる山口雀昭
ママの声聞こえぬ振りや磯遊び山崎力
磯遊びふくらはぎが白すぎる山崎のら
磯遊笑顔の友もセピア色山下智
磯遊足裏痛くて肩車山下弥生
輪廻という言葉を知った日磯遊び山下義人
磯遊び汐の香する子抱き上げん山内育代
磯遊新品サンダル恋心山田一予
潮風に溜め息吸われ磯遊山田季聴
不揃いのむすび頬張る磯遊び山田好々子
ただ独りスマホ片手に磯遊山田翔子
磯遊び妻も笑った濡れた尻やまだ童子
磯遊泥まみれの子貝握り山田はつみ
照り映える夕陽迫れり磯遊大和杜
追いかけて追いかけられて磯遊び山野花子
三保の海同じ岸辺に磯遊び山薔薇
バランスや引き潮歩く磯遊び山本てまり
六つ揃ふ瞳と足の磯遊山本八角
磯遊スコップ波に洗われて山本葉舟
磯遊災害あれど笑顔とぶ夢一成
富士壺にいのち吸われる磯遊び湯屋ゆうや
終電を乗り継ぎ君と磯あそび陽花天
磯遊知らず十五の磯遊横田信一
磯遊び俯瞰してゐる子の未来横浜J子
磯遊異人のタトゥー国貞か 横浜順風
磯遊び波静かにて貝静かよしぎわへい
磯遊小魚追ひし暮れるまで吉田蝸牛
おどおどと盆地の子らの磯遊吉野川
磯遊誰かが建てた砂の城吉藤愛里子
磯遊赤々沈む岩と影よみちとせ
蟹のごと動く子どもや磯遊楽和音
猪目の貝つい跪く磯遊らん丸
磯遊び足裏くすぐる小石たちリコピン
潮満ちてクツも満ち潮磯遊び凛
童心を沖に忘れて磯遊留辺蘂子
柔らかな素足で挑む磯遊瑠璃ホコリ
山の子が明日を夢見る磯遊び麗仙
磯遊び指先ひかる星の砂黎明
磯遊び素知らぬ顔の犬を呼ぶ籠居子
磯遊ワレハ昭和ノコーラ瓶若林くくな
帰宅後のおいしい料理磯遊わきのっぽ
寄せて引き沈んで光る磯遊びわぎゃん
吾子獲りし貝十個目よ磯遊海神瑠珂
亀の手と恋人繋ぎ磯遊渡部克三度
義経の如き兄かな磯遊び渡辺香野
掻き分けて爪に小砂利の磯遊渡邉花
はるか昔隆起ありしに磯遊渡辺陽子
くすぐったいみづと戯れ磯遊び笑笑うさぎ
- 夏井いつき先生からの一言アドバイス
-
◆俳号のお願い二つ
①似たような俳号を使う人が増えています。
俳号は、自分の作品をマーキングするための印でもあります。せめて、俳号に名字をつけていただけると有り難く。共に気持ちよく学ぶための小さな心遣いです。②同一人物による複数俳号を使った投句は、堅くご遠慮下さい。
「いろんな俳号でいっぱい出せば、どれか紹介されるだろう」という考え方は、俳句には馴染みません。丁寧にコツコツと学んでまいりましょう。
◆ひとことアドバイス
●兼題とは
春来ればひとり咲くらし所々の花倉林路子
砂の下春風吹かぬ貝の世界洞巻き貝
干潟ゆく無言のままの恋ふたりゆずりは
本俳句サイトでは兼題が出題されています。今回は、季語「磯遊」での募集でした。次回の兼題を確認して、再度挑戦して下さい。
●「磯遊」を詠んだ句だと思われますが、
磯釣りの岩はさみどり雲疾し戸根由紀
砂団子孫のが上手く作る謎ハリーポテトン
磯の香や恋の話に頬濡らし岡昌子
兼題は、テーマではないので、「磯遊」という季語を詠み込む必要があるのです。
●季重なり
左利きの望潮捕る磯遊木村弩凡
やどかりの引つ越し先や磯遊び柊瞳子
父は貝子は海月追う磯遊月の莵
干潮の岩場はひじき磯遊び西野和香
鰈ふむ足も小さき磯遊廣田惣太郎
磯遊び智恵子ならねど寄る千鳥三木崇弘
さくら貝欲し浅蜊ばっかり磯あそび山本武子
一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「磯遊」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。
磯遊ズボン濡らして蟹採取伊藤薫
磯あそび蟹の密談場所みっけ岡一夏
磯遊カニと子供の知恵比べがんも三世
蟹つかみ愛でては返す磯遊びしわしわ
しりぞきて蟹をしかりし磯遊鈴木秋紫
磯遊びカニは岩場で相撲せりせいだるま
トンネルを作りて小蟹と磯遊中藤雅子
「磯遊」という季語の光景に「蟹」はいるのですが、ひとまず季重なりであることは認識しておきましょう。
その上で、「磯遊」の句として結球させるか、「蟹」の句として作り直すのか。推敲してみましょう。
●思い出の中、画面の中の磯遊…は微妙
磯遊埋め立てられて街になり 岡れいこ
磯遊びした浜に建つタワマン郡小仲翠太
病室のテレビ賑わう磯遊猫辻みいにゃん
磯遊ワイドショーで見るリビング森野恵
実際に目の前に「磯遊」という季語の現場はないので、これを季語として主役に立てるためには、もう一工夫必要です。
●「潮遊」という傍題は?
潮遊び地下は舟屋の友の家泉晶子
昭和の娘ホットパンツや潮遊方寸
あまり目にしない季語です。ひょっとしたらネット上の歳時記にあるのかもしれませんが、「潮遊」と「磯遊」は、遊ぶ内容が違うようにも思います。
●この季語の使い方はあり?
引き潮に誘われている磯を遊ぶ石垣エリザ
磯といふみづの日向に遊びたり恵勇
うーむ、これはケースバイケースではありますが、悩ましいところです。例えば、一句目ならば「引潮に誘われている磯遊」としてもよいのでは? とも思いますし、二句目の場合、句中でやっている遊びは「磯遊」とは性質の違うもののようにも思われます。
●文法的に合ってる?
磯遊び同じき波は返りしもせじ多田知代子
風少しゆるみてたまへ磯遊船橋こまこ
二句ともに、文法的に無理がありそうです。(作者が表現したいこととニュアンスが違っているかもしれませんが、)もっとカンタンな言葉で書いてみましょう。例えば、一句目は「同じ波返ることなし磯遊」でよいのではないか。二句目ならば「風すこしゆるみて欲しき磯遊」ということが言いたいのでは? とも思います。
平易な言葉でいくらでも表現出来るのが、俳句という短詩系文学です。
お待たせしました! 4月の兼題「磯遊」の結果発表でございます。今月も夏井先生からのアドバイスは必見です。貝やヒトデなど、磯の生き物は多様な形があって面白いですよね。今月の投句からは、そんな生き物たちに遭遇したときの歓声や悲鳴まで聞こえてくるようで、拝読していて楽しい気持ちになりました。6月の兼題「水母」もふるってご応募ください。(編集部より)