夏井いつき先生の俳句生活

夏井先生のプロフィール

夏井先生のプロフィール

夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。

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10月の兼題

「秋の田」

8月の審査結果発表

兼題「朝顔」

 お待たせしました!8月の兼題「朝顔」の結果発表です。今月も夏井先生からのアドバイスは必見です。子どもの頃は夏休みの観察日記をついサボりがちでしたが、大人になって改めて朝顔を眺めてみると、そのみずみずしい色や形に心惹かれ、毎朝の小さな楽しみになりました。10月の兼題「秋の田」もふるってご応募ください。(編集部より)

「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。

天
前屈してあさがほ後屈してあをぞら

かときち

夏井いつき先生より

 季語「朝顔」と「ラジオ体操」を取り合わせる句はよく見かけます。「ラジオ体操」が7音、「朝顔」が4音。実質的にはその下に「や」「の」等の助詞が少なくとも1音は補われますから、足して12音。残り7音で、独自性を発揮するのはかなりの俳筋力が必要です。
 この句の第一の工夫は「ラジオ体操」と書かずにそれだと分からせること。工夫の第二は、その様子が映像になっていることです。「前屈」すれば、朝顔の根方辺りが見え、ゆっくりと体を起こしていくと、蔓に咲く朝顔の全容が、更に「後屈」すると気持ちの良い朝の青空が広がる。見事な描写ですね。「前屈」「後屈」だけを漢字にした表記、「あ」の韻の明るく軽やかな調べ。内容に見合った工夫が随所に見られる気持ちの良い一句です

地
朝顔に水遣ることもちゃんこ番

蒼空蒼子

 ちゃんこ長の率いるちゃんこ班は、一週間単位の担当が一般的なようです。朝起きて、朝顔に水を遣ることから始まる「ちゃんこ番」。なんと明るく健全な相撲部屋の光景でしょう。朝稽古の始まる声も聞こえてきそうです。

あさがほに蔓や遺族といふ単位

げばげば

 朝顔に蔓があるのは当たり前ですが、改めて蔓が支柱に絡みつく様子を眺めていて、嗚呼と声を上げたくなったのかもしれせん。誰かを亡くした後の、遺族という血縁の蔓。この単位が有難くもあり、疎ましくもあるのでしょう。

出棺を終へ朝顔の鉢戻す

幸田梓弓

 自宅からの出棺。同行する遺族たちは用意された車に乗り込み、霊柩車に続きます。送り出しているのは、精進落としの準備にかかる親族でしょうか。出棺の邪魔となっていた朝顔の鉢を元に戻すと、静かな悲しみも湧いてきます。

朝顔に水道管の破れ噴く

HNKAGA

 朝から水の出がおかしいと思ったら、庭の水道管の一部が破損して、水が噴き出しているのです。朝顔に毎日水はやっているけれど、いつもの水やりとは違う朝顔と水の関係を、少し面白くながめている作者の視線は、まさに俳人です。

朝顔のただ巻くちから巻くひかり

碧西里

「朝顔」の一物仕立て。朝顔にあるのは「ただ巻く」という蔓の力。その蔓の先の曲線は、「ひかり」を巻き取るように空へ伸びていくのです。漏斗状の花たちも、朝の渦なす光を吸い込むように、今日の花を咲かせます。

人
  • 朝顔やきのふの星座早見盤青空まる

  • 楽観す朝顔だつて咲いたから青田奈央

  • 詩の傘はあさがほとしてひらくかな古賀

  • つるつるのあさがほ木星のにほひ広木登一

  • 朝顔の置かれしままの非常口櫻井こむぎ

  • 家運衰ふ朝顔は伸び放題澤田紫

  • 大人しい子の朝顔がバカでかい慈雨

  • 電柱を巻き上げ朝顔がでかい千夏乃ありあり

  • 広島は雨あさがほの紺濁る柿司十六

  • 朝顔にすぼむちからやズルやすみ坪田恭壱

  • 朝顔のどれもしぼみたそうにして二重格子

  • 朝顔や嘘より衰へて母は葉村直

  • よく濡れてこの朝顔の火の蒼さ古瀬まさあき

  • 朝顔へ水遣るまでが深夜勤横山雑煮

  • 引越の最後の荷物僕の朝顔坂野ひでこ

  • 引っ越しの軽トラ最後に朝顔花豆

  • 朝顔や17番は左打ちアーモンドよーせい

  • 吹かれゐる風の軽さよ朝顔よ愛燦燦

  • 朝顔や城趾に咲く即興詩藍野絣

  • 朝顔や花殻はまだ深き色あいむ李景

  • 「風に吹かれている」君と吾と朝顔と逢來応來

  • 純白の朝顔死ぬる覚悟あり青井季節

  • ふてくされ肘つき朝顔観察青井心平

  • 萎みたる夜こそ親しき朝顔や青砥展典

  • 朝顔や香炉の灰のうづたかし青野みやび

  • 朝顔や地球吸い込む青い穴あおのめ

  • 朝顔や鎖骨あたりが淋しさう青星ふみる

  • ビイドロの壺に嵌った朝顔よ赤い花弘

  • 朝顔を鳥海山に被せむや赤尾てるぐ

  • 蔓のび飽きてぽっと一輪紅朝顔赤尾双葉

  • 朝顔と君の喃語とミルクの香あが野みなも

  • 朝顔にとある秘密を聞かせをり赤目作

  • 朝顔は夜の湿気を吸った藍あかり

  • 牽牛花知らないおばさん家の子になる愛柑いつき組note俳句部

  • 朝顔や抜け道をまた拵へて空地ヶ有

  • 朝顔の青い簾や染工場秋月あさひ

  • 朝顔や間夫の吐息で開いたの空き家ままごと

  • 朝顔や猫の目玉の蒼きこと秋山らいさく

  • 朝顔は壁一面の不穏なり芥川春骨

  • 朝顔や題は未定の水彩画芥茶古美

  • 朝顔や咲くを待たずに乗る始発あくび指南

  • 瓦礫越す朝顔の蔓雲よ割れあけ

  • 朝顔やひざのかさぶたはがしたい浅井翠

  • 青空教室に朝顔の在りや朝雲列

  • 朝顔や答え合わせはまだしない明後日めぐみ

  • 朝顔やねぢくれてても花開くあさのとびら

  • 読経せる窓へ朝顔傾けり浅乃み雪

  • 朝顔の螺旋五線譜のメロディーあさみあさり

  • 初咲の朝顔挿してけふの供花あじさい卓

  • 朝顔を踏んだり蹴ったり放る捨てるアシツノカラ

  • 朝顔のまづ純白のねぢれやう葦屋蛙城

  • 宿下駄で朝の露天湯牽牛花阿修羅

  • 朝顔の蔓はそのままチャイム押す明日ぱらこ

  • 夜押してさざ波のごと白朝顔麻生恵澄

  • 朝顔や強い人ほど柔らかい藍創千悠子

  • あさがほや毎朝死ぬる星あかり足立智美

  • 朝顔や右へ右へと車椅子あたなごっち

  • 朝顔を千切りて風の聲を聞くアツシ

  • 壊したスマホ窓外の朝顔アニマル可秘跳

  • 朝顔の蔓もあの子に興味ありあねもねワンヲ

  • あさがほのかほらず土のただかほる我孫子もふもふ

  • 朝顔や欠伸大きく茜さす阿部斑猫

  • あさがほの雫プレハブの図書館天風月日

  • 教室に拍手囲まれた朝顔あまぐり

  • でき立てのひと日朝顔ひらき立て甘茶トーシロー

  • 朝顔や猫と目の合ふ美観地区あみま

  • コンクリートの軛を抜けて朝顔雨霧彦(木ノ芽)

  • きっかけは朝顔いくつ咲きました?雨森茂喜

  • 白あさがほ火傷しさうに日のおもて綾竹あんどれ

  • 摘心をためらふ朝顔の赤に綾竹ろびん

  • 朝顔やあの先生は何処行ったあらかわすすむ

  • 朝顔の青に惹かれる齢かな荒木ゆうな

  • アパートの門扉あさがほ緩みゆくありいかな

  • 朝顔の並ぶ廊下や懇談会有田みかん

  • 朝顔や海辺の寺に真水の井有村自懐

  • 朝顔のかをがそこにもあそこにも在在空空

  • 蔓が蔓を掴む廃校の朝顔アンサトウ

  • 朝顔の蔓表札に届きけり安春

  • 朝顔や子ども時代のファンファーレ井若宙

  • 夜半のざわめき蕣の色深くなる飯田淳子

  • あさがほのひかりをふいてゐるやうな家守らびすけ

  • ゑくぼなす朝顔なれど皺すこし猪狩鳳保

  • 朝顔や耳をあてたり覗いたり郁松松ちゃん

  • 鏡の中の朝顔の右左池田悦子

  • 宿題の朝顔咲いたの見たことない池田華族

  • 朝顔の観察日記は大雑把池谷萩邨

  • 朝顔やグンゼのシャツの首伸びて池之端モルト

  • 母と似ぬ化粧を覚え牽牛花イサク

  • 朝顔や縹のゆるみ音もなく為参

  • ふいの生気ふす人に朝顔の青石垣エリザ

  • 天才に閃き僅か牽牛花石塚碧葉

  • 朝顔の紺深くして乳児院石塚彩楓

  • 朝顔の蕾に告げる明日留守と伊藤なお

  • 星々と遺伝子の似て牽牛花伊藤柚良

  • 金星は宙にあさがほ町ぢゆうに糸川ラッコ

  • 朝顔や白湯もう少し冷まそうかいとへん製作所

  • 朝顔や古き団地の体操会井中ひよこ号

  • 絡みつく朝顔今朝は白が好き伊那寛太

  • あさがほや学校に来て引きかへす稲畑とりこ

  • 朝顔や縄文人の料理痕イナホセドリ

  • 朝顔や母に会う日の薄曇り井上れんげ・いつき組広ブロ俳句部

  • 働きに行くよ朝顔見てるから井納蒼求

  • 放射の紐の張られしは朝顔か井口良範

  • あさがおの蔓やなかだるみなきことよ猪子石ニンニン

  • 許します朝顔ひらきぎゅうと閉じいまい沙緻子

  • 朝顔の呼吸清浄なる空気いまいみどり

  • 朝顔のとどく朝の駐在所いまいやすのり

  • 朝顔や引出しごとに薬の名井松慈悦

  • 朝顔や斑に明ける漁師町妹のりこ

  • バッティングセンター朝顔が青い伊予吟会宵嵐

  • あめつちを繋ぐ朝顔蔓ぐんぐん岩木順

  • みずいろの朝顔はいま亡夫へと岩佐りこ

  • 朝顔や星をうつして星を呑む岩清水彩香

  • 支柱なき朝顔不登校の子うえともこ

  • 朝顔や捩れほどけて海の色上原まり

  • 朝顔や代筆はがきの青インク鵜飼ままり

  • 正論を捨てぬ朝顔にはなれぬうからうから

  • 朝顔や猫店長の大あくび兎野紫

  • どうせ無視されるなら朝顔がいいうさの

  • 朝顔の蔓は光の道しるべうた歌妙

  • 歯磨きの鏡に映る朝顔の青宇田の月兎

  • 朝顔の青のさみしい雨催い内田こと

  • 朝顔は横向き一匙のとろみ内田ゆの

  • 朝顔や列車に揺れるボロ下宿空木眠兎

  • 朝顔や合わぬラジオの周波数うつぎゆこ

  • 朝顔の酸っぱき顔に窄みたる靫草子

  • 牽牛花母はそんなに強くない卯之町空

  • 朝顔の筒を覗けば朝日めく海沢ひかり

  • プラ鉢の朝顔一年生のいる家庭梅里和代

  • 酒断てぬ父よ朝顔揺れてゐた梅朶こいぬ

  • あさがほの道に「あ」の影落ちてゐる梅田三五

  • 朝顔やいずれ零れていく記憶うめやえのきだけ

  • 朝顔やパン屋の窯に火の入る麗し

  • 朝顔や風の稽古場影で聞きHN

  • 大輪の朝顔咲いた君が好き江川月丸

  • 朝顔や人皆声上げて生まる江口朔太郎

  • 朝顔へ闇を埋めあう手をほどき蝦夷野ごうがしゃ

  • 絵日記に「朝顔咲きませんでした」蝦夷やなぎ

  • 朝顔や模範となる子ならない子越冬こあら@QLD句会

  • 朝顔や友達の嘘知らぬまま絵十

  • あした逝く朝顔のみな濃紫えりべり

  • 朝顔や駐在の子のかこち顔近江菫花

  • 朝顔の色ほめ背ほめ頼み事おおい芙南

  • 朝顔のおのれ吸ひ込み咲き終る大岩摩利

  • 朝顔咲く今日の予定をさがしをり大久保加州

  • 朝顔や茶碗ひとつを洗う朝大越マーガレット

  • 牽牛花朝の薬と同じ色太田けいこ

  • 朝顔やおこぼ鈴ゆく石畳太田一駄歩

  • 朝顔や水の残りしゴムプール大塚恵美子

  • 朝顔や初めて書けた出勤簿大津美

  • 朝顔やひらがなだけの自由帳大谷維鶴

  • 朝顔や隣家の読経に子らの声大矢香津

  • もう走ることなき母よ牽牛花大和田美信

  • 朝顔や木箱のやうな喫茶店岡一夏

  • 朝顔やライナック照射十秒岡井風紋

  • 白寿まで生きんと朝顔数えたりおかえさき

  • 朝顔のいづくに巻くも強ひられず岡崎佐紅

  • 陸奥の水のやさしき牽牛花可笑式

  • 朝顔の透けるやうなる千草色岡田瑛琳

  • 朝顔やランドセルには家の鍵岡田雅喜

  • 朝顔や百鬼夜行が宴の果男鹿中熊兎

  • 合掌はつぼみのかたち牽牛花岡根今日HEY

  • 朝顔やトランペットの彼は今岡村恵子

  • 朝顔や蕊に湛える陽のひかりオカメインコ

  • 朝顔咲くアメリカにバンカーバスター岡山小鞠

  • 男子寮竿のジャージと朝顔と小川さゆみ

  • 朝顔のしぼむ頃より登校す小川野雪兎

  • 寄る辺なき朝顔けふを地に開く小川都雪

  • 惜しむかに夜光を抱き牽牛花オキザリス

  • 星型の記憶のうつわ牽牛花沖庭乃剛也

  • 朝顔や第二子の話し聴きたる沖乃しろくも

  • 朝顔に聞きてもらふや老の恋荻原玲香

  • 朝顔や軒先までは2オクターブ小倉麻友子

  • 朝顔や跡継ぎのいぬ藍染屋おこそとの

  • 蔓締めて朝顔つぼみ緩めけり遅狐

  • 朝顔や履く人なくば下駄も寂ぶおだむべ

  • 留守居する朝顔に礼薬売り乙華散

  • 朝顔のアパートに帰る看送りて御成山

  • 朝顔や夜勤のゴミ出しは未明海音寺ジョー

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  • 朝顔や散歩の柴の綱弛む海峯企鵝

  • 朝顔や糸綴じ緩む朝の雨香依蒼

  • 朝顔や漢字で名前書けた朝加賀くちこ

  • スーツケースの子にばあちゃんの朝顔案山子<いつき組広ブロ俳句部

  • 朝顔の蔓に絡まるチェロの音影夢者

  • 学校朝顔伸びる伸びる狭庭風花まゆみ

  • 朝顔や網を繕ふ太き指風早杏

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  • おいとまします朝顔はなをおさめたり紙谷杳子

  • 朝顔や小学生のいない町亀子てん

  • 朝顔に生まれて空の声聞けり亀田かつおぶし

  • 朝顔や夕日遮り萎れたり亀田みのる

  • 話し終え赤い朝顔紺の朝顔亀山酔田

  • 朝顔の夜の風吐く蕾かな加山シンゴ

  • 朝顔の鉢に拙き名前あり加裕子

  • 朝顔あおしかけっ子の顔あかし唐草もみじ

  • 朝顔や白目の濁る執行者刈屋まさを

  • 朝顔はまだつぼみ単身初日川内佳代

  • 朝顔の喉へ生まれたてのひかり河上摩子

  • 朝顔の咲きて御空を押し開く川越羽流

  • 朝顔は同じや祖母は曽祖母に川代つ傘

  • 砂消しゴム色の眠剤牽牛花翡翠工房

  • 朝顔やまだ闇を漕ぐ沖の櫓川端妙松

  • 朝顔の咲く家君の還る家河村静葩

  • 朝顔や半端な恋は半色(はしたいろ)カワムラ一重

  • 耳鳴を蓄える牽牛花かな喜祝音

  • 朝顔や一行多いあのね帳季川詩音

  • 休校のゴールネットや牽牛花菊池克己

  • 朝顔やカバンの自毛証明書きざお

  • 青く咲く朝顔青くしぼみたり季紫子

  • まだ傷を知らぬ朝や牽牛花岸来夢

  • 朝顔を覗くうなじの白さかな酒暮

  • 朝顔のきのふの水に応へけり喜多丘一路

  • 朝顔の鉢まづ運ぶ引越屋北村環

  • 朝顔が目印コロッケ屋に母ギックリ輪投げ

  • 朝顔や車輪の取れた三輪車きなこもち

  • 曖昧に起きて朝顔の不細工城内幸江

  • 朝顔や意中のひとつ提げ帰る木下風民

  • 絵日記の朝顔だけは濃かりけり黍団子丸

  • 朝顔の蔓に巻かれたままの夢木ぼこやしき

  • バツイチの友に艶聞牽牛花木村弩凡

  • 朝顔や夜を蓄え夜に咲く木元紫瑛

  • 朝顔や硝子張りなるクリニックQ&A

  • 朝顔や古民家カフェの外厠Qさん

  • 朝顔や未来が遠くにあった頃九ゼットン

  • 朝顔の数も競つた恋がたきQちゃん・広ブロ俳句部神奈川支部

  • あさがおやパートでいいし派遣でいいしきゅうもんde木の芽

  • 朝顔や道を探して道半ば鳩礼

  • あさがほの縁より見ゆる弾かぬ琴杏乃みずな

  • 朝顔に誓願めきし芯のあり煌星アニカ@TFP句会

  • あはあはと朝顔ほぐれつつ開き霧賀内蔵

  • 朝顔や練習中のアルペジオ霧澄渡

  • 朝顔を飛び出して子のそれっきりギル

  • とんがった朝顔を踏み潰したい銀乃沙羅

  • 朝顔を見上ぐる猫や入院すくぅ

  • 濾過できぬ夜を朝顔へ預けゆく句々奈

  • 朝顔のフェンスへサヨナラタイムリーくさ

  • 朝顔は儚げになく諄くなく鯨之

  • 朝顔や着の身着のままの日々楠田草堂

  • 朝顔のアーチランドセルも青いくすみ輝く

  • 朝顔やこゑをしづめて近づく子くずもち鹿之助

  • 褒められて謙遜朝顔のしぼむくちなしの香

  • 朝顔のひな鳥の如天仰ぎ愚禿忍

  • 牽牛花みつめるだけの愛だった熊谷温古

  • 牽牛花褒められたくて木に登る倉岡富士子

  • あさがほに待機電力ほどの冷え眩む凡

  • あさがほのうすきをかぞへりこんせり栗田すずさん

  • 朝顔の観察途中返す鉢空流峰山

  • 朝顔や治療計画書の癖字久留里61

  • 朝顔が見事に咲いて休戦へ黒猫さとみ

  • 朝顔は御空の生みし子どもたち黒山万牛

  • 朝顔や湧水に突っ込む足首くんちんさま

  • 空とにらめっこまた朝顔の負け恵勇

  • 朝顔をつつく鶏見て飯を食む家古谷硯翠

  • クレームの向こう朝顔萎みけり月下檸檬

  • 朝顔や避難所向かう無事祈るケビンコス

  • 朝顔や泣く子託して待つ市バス謙久

  • 朝顔や捻る蛇口のきしみ音紫雲英

  • 八時十五分、街も朝顔も消滅ケンG

  • 朝顔や不揃ひ窓のケアハウスケント

  • 朝顔やまづ一つめのひらきぶり剣橋こじ

  • 朝顔や木魚の響き渡る町恋瀬川三緒

  • 朝顔や餌を待ちをる地域猫剛海

  • 深爪に朝顔の紺染むやうな公木正

  • 朝顔の遠心力の色の染み紅紫あやめ

  • 朝顔や星をほどいて星咲かす柑たちばな

  • 良き墨を磨る朝顔の開くまでごーくん

  • 朝顔や燃えないごみは水曜日郡山の白圭

  • 朝顔や現役の核九千発古烏さや

  • 朝顔と見あぐ飛行機雲三本越乃杏

  • 母を叱るあさがほしをれはじめたる木染湧水

  • 朝顔や仏具屋並ぶ裏通りコダマヒデキ

  • 朝顔やおおきく開け放つた青こてぬぐい

  • 朝顔を楓に這はせ咲かせけり虎堂吟雅

  • 朝顔や跡取る禰宜の顔清し後藤周平

  • 朝顔や子ら駆けてゆく六時半来冬邦子

  • コップの朝顔仏壇新しき古都鈴

  • 解体の足場・あさがほ・外国語このみ杏仁

  • 朝顔や返却日とうに過ぎた本小箱守

  • 朝顔や見慣れた街の日の匂ひ小林昇

  • 朝顔の鉢並びたる投票所小林のりこ

  • 朝顔のつぼみ包むや空の青小林理真

  • 朝顔や太極拳の指揃う駒茄子

  • 朝顔や空どこまでも行けそうな小山秀行

  • 朝顔を齧る真青な空の味GONZA

  • 朝顔やおととい夢で会ったひと今藤明

  • 朝顔は不揃いなひかりの器コンフィ

  • 海色の朝顔ゆるる漁師町さいたま水夢

  • 朝顔の殻摘み百個花百個埼玉の巫女

  • 朝顔やみづの記憶のうすはなだ彩汀

  • 朝顔や今日の暗記は八の段齋藤桃杏

  • 朝顔咲いたけんけんぱつて咲いた斉藤立夏

  • 朝顔の萎めば宇宙人の尻さおきち

  • 朝顔や選んだ方を正解にさ乙女龍チヨ

  • 後れ毛の触れて朝がほささやけり酒井春棋

  • きぬぎぬの刹那に咲くや牽牛花さかい癒香

  • この道だけ朝顔傘上げ立ち見の子坂島魁文

  • わしゃわしゃに朝顔からむ作業小屋坂まきか

  • 朝顔や鼓動せる葉の夥し坂本雪桃

  • 水ラッパ飲み朝顔の開花待つ咲世咲

  • 朝顔や自分と闘うことを止め櫻井弘子

  • 朝顔のほどけて青き音ひらく桜鯛みわ

  • 行潦朝顔の影滲みけり桜月夜

  • 朝顔や老いの自由に杖の先桜華姫

  • 朝顔や隣と揉めし境界線さくら悠日

  • 不登校の家朝顔はまだ蕾雑魚寝

  • うるはしき朝顔咲いて原爆笹桐陽介

  • 朝顔のやさしき蔓の迷いなき笹靖子

  • 朝顔や象の腹打つ飼育員佐藤恒治

  • 朝顔は萎れた理科は4もらう佐藤茂之

  • 朝顔や水のかたちに慣れなくて佐藤志祐

  • 朝顔や夜更けのコインランドリーさとう昌石

  • 朝顔は白赴任地の新住所さとうナッツ

  • 朝刊を取りに朝顔を数へに佐藤ゆま

  • 朝顔や礼して入る体育館佐藤レアレア

  • 朝顔や朝練の曲合い始め里こごみ

  • 朝顔や昭和と平成の隙間に里山子

  • 朝顔のたんとひらきて向き合わず錆田水遊

  • 朝顔や書棚に残る子の日誌さぶり

  • あさがほの蕾のなかに明日のこと彷徨ういろは

  • 青き波朝顔の波迫りくるさむしん

  • メビウスの輪に巻きつきて牽牛花佐柳里咲

  • 朝顔や人相の良き手配犯さるぼぼ17

  • 朝顔に一人暮しの街を決め沢拓庵◎いつき組カーリング部

  • 朝顔や豆腐百丁水底に三月兎

  • 鏡文字混じる朝顔日記かな塩風しーたん

  • 朝顔や酒豪の姉はあんこ好き信濃のあっくん

  • 朝顔や色水に團十郎茶篠雪

  • 風呂トイレ朝顔共同の下宿芝歩愛美

  • 朝顔の蕾にくつがへす力渋谷晶

  • 瑞々しく燃えてゐるなり牽牛花しぼりはf22

  • あさがほの空のしずくの青さかな島掛きりの

  • 朝顔の伸びる明日は蔓の先島じい子

  • 朝顔のつぼみのねじれ夜の色島田あんず

  • 朝顔のひらく空つぽの銀天街島田ユミ子

  • 朝顔や父さるまたを新調す清水縞午

  • 朝顔や昭和戦時の子だくさん清水容子

  • 反復横跳びの起点は朝顔下丼月光

  • 朝顔が咲くから行こう保健室じゃすみん

  • 蕾の色残して萎む牽牛花沙那夏

  • 朝顔や通し稽古の始まりぬ洒落神戸

  • 朝顔や子規のいろゝクレーヲン←「クレーヲン」とは? 「クレヨン」?柊二@冨美夛

  • 青の染みゆく朝顔の喉白しシュリ

  • 朝顔やのんびりゆるむ夜明け前じょいふるとしちゃん

  • 朝顔に許され喪主となる帰郷常幸龍BCAD

  • 朝顔や藍の絞りの糸を抜く正念亭若知古

  • 朝顔の囚われ深き空の青白井佐登志

  • 朝顔のへろへろする日しゅとする日白沢ポピー

  • 朝顔やヒトはゆるゆる年を取る白猫のあくび

  • 朝顔のしゅるりしゅるりと雌しべ受粉白よだか

  • 朝顔や墨糸はじく宮大工ジン・ケンジ

  • 子規庵に変化朝顔勢揃へ新濃健

  • 一葉の恋おとなへば牽牛花すがりとおる

  • 宿題に飽きて朝顔いじりけり杉尾芭蕉

  • あさがおとあいこあいこのあこのてよ涼風亜湖

  • 朝顔や足音のかず花のさく鈴木秋紫

  • 朝顔のみそらのおとをあつめけり鈴木由紀子

  • 東雲の朝顔緩くほどけをり鈴白菜実

  • 折れ線ほどき星を放てり牽牛花清白真冬

  • 指触るるあさがほの破れし花弁鈴野蒼爽

  • 朝顔や青一面に背筋伸び数哩

  • 朝顔の蕾の尖り赤子泣く須磨ひろみ

  • 朝顔やデベソと言われたつていいすりいぴい

  • 朝顔の蔓や結び目解けぬ紐晴好雨独

  • 朝顔や開花の数を日めくりにせいしゅう

  • 朝顔や自分で漕ぐと車椅子瀬央ありさ

  • 闇を嗅ぐあさがお放つ火薬臭瀬紀

  • 朝顔のみづの当番あいうえおsekiいつき組広ブロ俳句部

  • 朝顔や師の手を止めた初王手拙珂知

  • 贖罪の電柱あさがほの受胎摂田屋酵道

  • 英字新聞届く朝顔の青くさき刻せり坊

  • 朝顔や父は昭和の頑固者千・いつき組広ブロ俳句部

  • 朝顔や乳房を探る赤子の手惣兵衛

  • 降る星を秘めし朝顔夜明け待つそうま純香

  • 朝顔の咲く花数へ齢超ゆ素偶

  • 朝顔の屋根まで届き折り返しそぼろ

  • 忙しき日の朝顔蒼きほど憎しそよかぜシュレディンガー

  • 朝顔が萎みホルンのラが鳴らぬ空豆魚

  • 前職の時間に目覚めあさがほもぞんぬ

  • 朝顔の朝や肺癌終末期たーとるQ

  • 絵日記に書かれぬ午後の朝顔よ

  • 朝顔の放射点未来のひかり大地緑

  • 朝顔に「きぼう」と心のルビを振るたいらんど風人

  • 朝顔やシルクシフォンの風の中高木音弥

  • 朝顔や黙して匂ふ水のいろ高瀬小唄

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  • 朝顔や一列に過ぐ登校児おひい

  • モンブランの青インク吸い朝顔におぼろ月

  • 朝顔は絞り女将の襷色おんちゃん。

  • 朝顔に出迎えらるる夜勤明け甲斐ももみ

  • 朝顔や出社の日には咲いている柿本苧麻

  • 誰よりも早く数えたい朝顔鹿嶌純子

  • 朝顔や花さく毎にちさくなりかじまとしこ

  • 朝顔に元気もらってハイタッチカズミンスキー

  • 朝顔や蔓の行く先変えられず風かおる

  • 朝顔の花数えたる幸せは風の母

  • 朝顔の揺る鉢うだく下校道片岡一月

  • 朝顔や深呼吸して今朝の青片栗子

  • 朝顔や掃き清めたる寺の庭ひだまりえりか

  • 朝顔に手をふれ通う朝の道勝烈庵

  • 朝顔は潔き良きかな世に別れ加藤水玉

  • ふくよかに垂る朝顔の巨大輪加藤栗庵

  • 朝顔や夜逃げ家族の忘れ物加藤麗未

  • 朝顔や孫と競うは花の数金澤孝子

  • 風そよぐ朝顔清か夜明け前金子陽

  • 朝顔の摘心乳白色の血神木美砂

  • 遅咲きの朝顔キラリ雨上がり亀岡恵夢

  • 朝顔や透けて柔らか青き空亀くみ

  • 朝顔の賑わいに聴く喇叭の音かもね

  • 朝顔のぱっと開いた誕生日鴨の里

  • 朝顔は蔓伸ばし子はひとり旅かもめ

  • 朝顔や羨むほどのつるの伸びKAYOKO

  • 花萎む朝顔照らす街灯りカラハ

  • じいちゃんの朝顔持って登校す川崎ルル

  • 朝顔や妻のまぶたはまだ重く河孝

  • 東屋の赤青朝顔紙芝居川村湖雪

  • 貰い水してまで朝顔守る人樺久美

  • 朝顔五つ咲き絵日記は七つ岸壁の龍崎爺

  • 朝帰り朝顔ちらり黙秘権がんも三世

  • 朝顔や花びら五枚漏斗状Key

  • 朝顔や蔓は気ままに一人旅木口まり子

  • グリーンウォールドソミソラドソの朝顔如月ゆう

  • 路地裏の朝顔構うシェフコート季切少楽・いつき組広ブロ俳句部

  • 朝顔に恋の終わりを打ち明ける北大路京介

  • 朝顔を抱えて帰る子のずらり北川茜月

  • 朝顔を育てし欠けた植木鉢北乃大地

  • 朝顔や草に巻き付く逞しさ北の星

  • 朝顔の色を抽出絵に加う北美三風

  • 朝顔や顔を洗って出直しぬ貴田雄介

  • 黄昏を知ることのなし朝顔は木寺仙游

  • 野晒二体朝顔のレクイエム木下桃白

  • 朝顔や今日は出掛ける用事ありきべし

  • おはようと揺れる朝顔通学路君塚美蕉

  • 名札付き朝顔ふたつ校庭に木村カズ

  • タワマンの朝顔下界を見下ろす木村修芳

  • 出払った路地に朝顔だけの刻木村信哉

  • 朝顔やさっき見ていた空の色木村となえーる

  • 虚空裂き落ちる朝顔音もせず京野秋水

  • 朝顔やマーガリン塗る小さきパン清鱒

  • 迷い道支柱の先の朝顔や喜楽胤

  • 朝顔の青を絵筆に溶かしけり近未来

  • 朝顔や透かしブロック額縁に草深みずほ

  • 朝顔の数を数えて登園す久信田史夫

  • 朝顔や夜の逢瀬を養分にくつのした子

  • 朝顔に手振り踏み出すウォーキングくにとうりん

  • あさがほを咲かせる人のかほ想ふ國本秀山

  • 絵日記の朝顔少し数増やし國吉敦子

  • 誰もいない改札空色朝顔ぐりぐら京子

  • 朝顔やみな口開きいろにほふ栗田芳文

  • 紺深く咲く朝顔の夜明けたり愚老

  • 朝顔に競って水遣る姉妹をり黒瀬三保緑

  • 朝顔を飾る玄関靴疎ら黒田良@しろい

  • 朝顔や素足に触るる蔓の先黒野くろね子

  • 市めぐり変化あさがお江戸好み桑田栞

  • 朝顔や今日こそ妻に謝ろう健央介

  • 寄る辺なき野辺のあさがほ絡み合ふ小泉久美子

  • 朝顔に朝日転がるルーレットこうだ知沙

  • 人無くも咲く朝顔の蔦屋根へ郷りん

  • 朝顔の萎みて鉢の所在無げこきん

  • 朝顔は早起きランのごほうびに黒望

  • お隣の朝顔我が家で伝い咲ココヨシ

  • 朝顔と早晩違ふ通勤者胡秋興

  • 朝顔や柵を突き抜け強き生湖水鈴

  • 歯みがきの眺むる窓辺朝顔や小杉泰文

  • 朝顔のまだ明けやらぬ空を見る小園夢子

  • 赤信号土手一面に野朝顔言周

  • 朝顔の花一時や九相観五島潮

  • 門扉まで伸びる朝顔斜め咲き後藤昼間

  • 朝顔のあの日ヒロシマにも咲けり後藤三梅

  • 朝顔のつる巻くために買う脚立後藤葉羽

  • 線香番朝顔のみが聞く独話粉山

  • 帰らぬ子朝顔愛でる老いた夫子猫のミル

  • 朝顔の清しさ分けてもらひたし小林久女

  • まじですか顔ほどもある朝顔さん小林弥生

  • 朝顔や読書の題は「なぜ生きる」独楽

  • 朝顔や外す蕾の紙キャップ駒形さかつ

  • 朝顔に江戸より続く青のありこむぎ

  • ただひとつ転校生の朝顔かな小山晃

  • 朝顔やラジオ体操二週間碁練者

  • 朝顔やポストの中に孫ハガキコロンのママ

  • 窓の外日陰を作る朝顔や齋藤鉄模写

  • 締切は赤朝顔のしぼむまでさかえ八八六

  • 江戸つ子や朝顔茶漬け芝居小屋坂口いちお

  • 蔓伸ばし屋根まで咲いた朝顔よさかたちえこ

  • 朝顔や軒下の椅子雨ざらし肴枝豆

  • 朝顔の観察記録で起こされる坂本千代子

  • 吾子の抱く朝顔跳ねて下校道坂本美奈子

  • 朝顔や大輪の赤足止める相良まさと

  • 朝顔のやり水キラリ今日始まる咲まこ

  • 樋登り覗く朝顔父の床さくらさく

  • 朝顔や寄る辺無きまま地に咲けり佐々木佳芳

  • パパ対象朝顔前きんえん条例笹野夕

  • 今月は朝顔の鉢仕舞屋前さざれいし

  • 空よりも青きあさがほ水求む砂月みれい

  • 朝顔は骨董の蓄音機かな佐藤俊

  • 鼓笛隊のラッパに躍る牽牛花佐藤浩章

  • 朝顔に今朝も挨拶神明社佐藤佳子

  • 新学期子の弾む声と朝顔と沙羅双樹サリー

  • 朝顔の撤去されたる散歩道紗藍愛

  • 朝顔や雨戸開ければ今日の色百日紅

  • 朝顔やラジオ体操あと二回澤野敏樹

  • 朝顔のこぼれ種より小さき花沢山葵

  • 朝刊と寝惚けまなこと朝顔と三角山子

  • 廃校の朝顔いまだ雨を待つ珊瑚霧

  • 朝顔の蔓が背伸ばし仰ぐ青空さんなんぼう

  • 朝顔に鍵かけられて勝手口四王司

  • 図書館の椅子の並びに牽牛花塩沢桂子

  • 朝顔の蔓巻き直し塾講師塩の司厨長

  • 我が恋も届かぬ朝顔の溜め息しかの光爺

  • 朝顔に遠慮しいしい今朝のバスじきばのミヨシ

  • 朝顔の一帯誘導車すすむ四條たんし

  • 朝顔や空へ宙へのファンファーレじつみのかた

  • 朝顔にベランダ掃除見守られシマエナガ深雪

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  • 朝顔に見られながらの朝帰り霜川このみ

  • 朝顔や隣の蔓と僕の蔓霜月シナ

  • 朝顔に水やりけふの日を始む下村修

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  • 子ら世話す鉢朝顔やきらきらと朱胡江

  • 朝顔を毟る風待つ昼下がり秋芳

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  • 幼子や朝顔の鉢水あふれ白井百合子

  • 朝顔の花一時や遠い空白いねこ

  • 朝顔の萎れ始める登校日四郎高綱

  • 朝顔に遣る水あふれ日の光しわしわ

  • 朝顔や列乱したる蔓ありて深幽

  • 朝顔は押し花となり二日酔ひ水都かほりこ

  • 小さくも前向き駐車場に朝顔末広野暢一

  • 雨樋を這い上がる朝顔の蔓すがのあき

  • 朝顔や賑はふ市と雨上がり杉浦あきけん

  • 白朝顔あの日も咲きしけふのごと杉本果ら

  • 朝顔やまだ小さくも鉢重し鈴木季良恵

  • またひとつ朝顔咲いて通学路鈴木縦横女

  • 朝顔の観察日記一年生すずきじゅん

  • 支柱無き朝顔眺むる無職の吾涼希美月

  • 節水のみず分かち合う朝顔や素敵な晃くん

  • 一鉢の朝顔持ちて転校す砂山恵子

  • 朝顔や微笑む母のおちょぼ口静江

  • 影伸びし朝顔萎えて心失せ青児

  • 朝顔や子等の登校見守りぬせいだるま

  • 門前の朝顔経浴び紫衣纏う青峰桔梗丘

  • 売り尽くし早朝仕込み朝顔や星夢光風

  • 朝顔や儚き恋の青さかな瀬野広純

  • 人の世は死にて生まれて牽牛花草夕感じ

  • 朝顔に背中押されて仕事場へそしじみえこ

  • 朝顔やつるるつるつと棒を巻く外鴨南菊

  • 朝顔に慰められて今日は晴れそまり

  • 懇談日自転車かごに朝顔や染井亀野

  • 朝顔や祖父母と父母と妹と駄詩

  • 朝顔や曇り空見和ぐ妣に似て大康

  • 朝顔や吾子指さして数へをり大ちはる

  • 朝顔やゴーヤの棚に咲きそろい平たか子

  • 滑らかな朝顔に触れ英気もらう高上ちやこ

  • 朝顔の紫紺フェンスに忘れ傘高尾一叶

  • 朝顔やエンゼルメイク優しうす高岡春雪

  • 遠き日の朝顔日記母の顔たかさま

  • 朝顔の花がら摘みし指の赤高辺知子

  • 朝帰りの日朝顔は深く青く高嶺遠

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  • ごみ出せば朝顔笑う寝ぼけ顔広島あーやあーや

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  • 朝顔の藍は深いが蔓届かず広ブロ俳句部三日余子

  • 庇超え空に朝顔舞いにけり琵琶京子

  • 朝刊と朝顔留守を頼まれてフージー

  • 朝顔と思ひ出抱へ学校へ風日

  • 隠居宅青き朝顔出迎えてFUFU

  • 朝顔や二重螺旋で屋根にまで深蒸し茶

  • 犇めきて朝顔の頭を垂るる不器用河童

  • ぼくのだけ出かけてかれるあさがほかな福井桔梗

  • 朝顔やもう一寸のつる仕事福川敏機

  • 朝顔や未だ上がらぬ時給遺憾福前彩芽

  • ヒマラヤに咲く朝顔の青は濃しふくのふく

  • 絵日記や朝顔の花弁の深淵福間薄緑

  • 朝顔や市立つ道の物干し竿福弓

  • 窓覆う朝顔並びて紺ばかり藤丘ひな子

  • 朝顔のしおれた姿照らす我藤沢・マグネット

  • 鳩歩く路地裏の奥咲く朝顔伏見レッサーレッサー

  • 朝顔や日の出の前のウォーキング藤本だいふく

  • 朝顔やひらき染めたる空の色藤本仁士

  • 朝顔の青やゴミステーションへとふみづきちゃこ

  • 日曜の朝顔日本酒で清め暮戯

  • 朝顔や藍より青き大空へ北斗星

  • あをあをと葉をしげらせをり朝顔星雅綺羅璃

  • 朝顔の観察日記まだ半ば堀卓

  • 朝顔に顔中あくび夜勤明け堀邦翔

  • 早起きて朝顔に見るは朝陽かな本気のめんそ

  • 朝光に朝顔ひとつ里跡地本間美知子

  • 朝顔や鉢持ち帰るぶつけつつ槇まこと

  • 行つてきます云ふあさがほにも云ふまこと七夕

  • 泡沫の静寂払暁の朝顔正男が四季

  • 朝顔や仕事終わりの乾杯す正岡田治

  • 朝顔や有刺鉄線に絡まりて雅蔵

  • 朝顔の思慮深き君なりしかな町田思誠

  • 朝顔の花の萎れておらが朝松井酔呆

  • 朝顔や朝待ちかねて咲きほこる松井英雄

  • 朝顔や夢は未来をたぐりよせ松浦姫りんご

  • 朝顔や写真の子らは黒光り松岡才二

  • 朝顔や明日咲くことを決めてをり松岡さつき

  • 屋根までも蔓の朝顔咲き誇り松尾祇敲

  • 朝顔の目覚めに染みる藍の色松尾老甫

  • 右巻きにぎゅっと朝顔秘める藍松坂コウ

  • 朝顔や黄色い帽子青水筒松末甲虫

  • 朝顔が咲いたと妻を起こしけり松平武史

  • 朝顔の淡路瓦に登りくる松田寛生

  • つるばかり伸びる朝顔ぼけたがるまっちゃこ

  • 朝顔の自慢大会教室で松野蘭

  • 朝顔と星々ともに目醒めたり松原善枝

  • 朝顔や眠れぬ夜はほどけゆき松本厚史

  • 朝顔や残る一輪胸をはり松本牧子

  • 倉の前朝顔の艶ひと休みまやみこ恭

  • 朝顔やまだ電柱を上りたる瑪麗

  • 朝顔や色とりどりの朝迎え真理庵

  • 朝顔の咲くまで待とう色知らずまりい木ノ芽

  • 朝顔とあの子に何度逢えるかなまりおR

  • 朝顔の解けるを見ず体操へまるにの子

  • 咲きのぼる朝顔の紺いざ旅へ美衣珠

  • 園庭の青き朝顔空を吸う三日月なな子

  • 朝顔や建て替への間の借家咲き三上栞

  • 朝顔を眺めて旨し茶漬かなみかん成人

  • 朝顔の漏斗の底のデプリかな三木崇弘

  • 朝顔や寝ぼけ身体に沁みる水三茶F

  • 朝顔を繋ぐ水遣り明日約す水上康男

  • 朝顔や一年前と違ふ顔水巻リカ

  • 朝顔の藍の強さよ妣の紅三隅涙

  • 通い路の朝顔おやじの手入れよし三高姫

  • 朝顔の3つ目の花と背比べ巳智みちる

  • 夕べの怪談朝顔知らん顔美津うつわ

  • 白き星抱く群青牽牛花満生あをね

  • 指染めて朝顔摘む児と色水屋光月野うさぎ

  • 朝顔や柔らかなグーまたあした美月舞桜

  • 朝顔や原種のごとき小ささよ光森早苗

  • 橋越えてくる朝顔の蕾かなみつれしづく

  • 朝顔に背中を押され検診へみなづき光緒

  • 宿題の朝顔観察孫起こす湊かずゆき

  • きのふとはちがふ紫牽牛花源早苗

  • 朝顔のあんどん仕立て出来如何に見屋桜花

  • また見たいあなたと共に朝顔を宮城海月

  • 境内に朝顔空の色をして都乃あざみ

  • 朝顔や今朝また一つ観察日誌宮村寿摩子

  • 朝顔より僕が早く起きてやるむじか

  • 朝顔や日暮れ数えて十で咲き睦長月

  • 朝顔や蕾をほぐし朝を待つ村上の百合女

  • 朝顔や遥か彼方の記憶咲く村先ときの介

  • 朝顔や水杯となりぬ雨暝想華

  • 朝顔の観察日記花の数恵のママ

  • あっちかこっちか蔓の行方よ朝顔よ望月ゆう

  • 朝顔の蔦の先には夢の国momo

  • 朝顔や線香の灯はLED森きやつか

  • 朝顔の蔓の自由を支持します森重聲

  • 朝顔やお前も妻もくたびれて森嶋ししく

  • 朝顔や六字名号掛ける朝森田祥子

  • 朝顔の蔓と吾子の背ぐんぐんと森野恵

  • おしまひに絞り捩りてあさがほは森日美香

  • 子ではなく朝顔荷台急ぐ母森茉那

  • 治癒願い天まで届け朝顔や矢澤かなえ

  • 朝顔の目覚め見届け出張す野州てんまり

  • 朝顔や定年近く昇進す安田伝助

  • 朝顔の露払いバス待ちの列安元進太郎

  • 朝顔や千代女の能のお稽古へ痩女

  • 朝顔絡む野ざらしの三輪車八幡風花

  • 朝顔や三角食べの出来ぬ癖山尾政弘

  • 眉のない顔朝顔に見つかった山口絢子

  • 朝早し大朝顔のとぼけ咲山口雀昭

  • 朝顔や当直明けのお巡りさん山崎力

  • 朝顔を数える声去り独り飯山下智

  • 朝顔や腕の産毛のさんざめく山下義人

  • 蔓伸ばす朝顔空を知らぬまま山育ち

  • 朝顔や母の干し物風を孕みやまたか

  • 朝顔や数々清く会話はずむ山田一予

  • 朝顔のうるさい世浸む花の耳山田季聴

  • 朝顔の揺るる小路へまわり道山田翔子

  • 朝顔や今日白二十赤八つやまだ童子

  • 朝顔や最後に見せるおちょぼ口山田はつみ

  • 朝顔に貸すつるべとはいかなもの山野花子

  • 朝顔や巻きひげくるり迷い道山本てまり

  • 朝顔や小さきまねきのおどる文字山本八角

  • 朝顔や見ず知らずの顔通り過ぎ山本葉舟

  • 朝顔や蕎麦屋の二階雨戸閉め雪子

  • 灼熱の屋根瓦めざし牽牛花柚木啓

  • 階段を降りて朝顔おやおはよう宙美

  • 朝顔は咲けど孫らの来ぬ庭辺YOKOCHAN

  • 朝顔も茹だる朝日や今朝無風横井あらか

  • あさがほもしらねば朝顔も知らず横浜J子

  • 紅色の朝顔咲けり母の紅吉田春代

  • ノーコンの朝顔掠め鉢の中吉野川

  • 朝顔や色とりどりのラッパ隊吉藤愛里子

  • 朝顔の一輪のこる昼餉かなYoshimin空

  • 朝顔やひとつひとつに星のをり老酒

  • 名に惹かれ嫌ひな色の朝顔をらん丸

  • 朝顔やベランダ越しに会釈せり理佳おさらぎ

  • 朝顔や夕べの夢を満開にリコピン

  • 藍の朝顔電線を捕らへたり竜退治の騎士

  • 銀輪が揺らす朝顔路地の明け料善

  • 朝顔や写生する間にしおれゆく

  • ひらく青さわさわ風が朝顔へ瑠璃ホコリ

  • 朝顔や人は変わらん八十億連雀

  • 朝顔の紺の向こうに空の蒼わかなけん

  • 朝顔や今朝はひと気のない隣家若林くくな

  • 覚え無き色朝顔の気まぐれにわたなべいびぃ

  • おはよう占い朝顔の顔色渡部克三度

  • 朝顔の目覚めの時や闇残る渡辺陽子

  • 朝顔の蕾ネジ巻き右巻きの和脩志

  • 朝顔の咲けども枯れぬ我が栖わをんはな

今月のアドバイス
夏井いつき先生からの一言アドバイス

●季重なり

  • 朝顔や猛暑を告げるラッパかな青松紫雲英

  • 朝顔に朝一番の秋の蜂白石鈴音

  • 朝顔の一輪白き涼を呼ぶ古川しげ子

  • 朝暑し夕方に咲く朝顔や鳳凰美蓮

  • 朝顔の西日にしぼむ生家かなミナガワトモヒロ

  • 朝顔の蔓を渡し蟻と餌月夜案山子

 一句に季語が複数入る事を、「季重なり」といいます。「季重なり」はタブーではありませんが、高度なテクニックです。 まずは、一句一季語からコツコツ練習していきましょう。
 「朝顔」以外に、どれが季語なのか。歳時記で確認するところから、俳句の筋肉作りが始まります。


●似てるけど違う

  • 夕顔に小さな虫のかげひとつ寿とかいち

 今回の兼題は「朝顔」です。「朝」と「夕」に一文字違いではありますが、「夕顔」は全く別の季語です。


●双葉や種や実は別季語

  • 朝顔の双葉一面朝の庭清仁

  • 朝顔の双葉の出ないの私だけ中村雪之丞

  • 庭の隅朝顔の種残りけり窪田和子

  • 一粒の朝顔の種みつけたり佐藤公

  • ちりがみを解きあさがをの種あふるるすずしろ桂

  • 朝顔の種を数えて一休み七五三五三

  • 朝顔の種や弾ける登校日廣田惣太郎

 季語「朝顔」は、花が咲いている状態を指します。「朝顔の双葉」「朝顔の種」は、別の季語になります。


●現実の朝顔ではない?

  • 朝顔の封筒に入れる車代音翅

  • 朝顔のPOPに呼ばれもう一冊雅翠

  • 朝顔の葉書を見つけ友思うみかりん65号

  • 朝がほの咲く楽しみと古文書に加塚東隆

 四句とも、現実の朝顔ではなく、絵柄や書かれている内容だったりします。これらの使い方は、季語としての鮮度が落ちてしまうのです。


●朝顔の花はここに無い?

  • いつかの朝顔用鉢庭の隅月ノイス

 確かに「朝顔」とありますが、一句の内容を読んでみると、「いつか咲かせていた朝顔用の鉢が庭の隅にある」という光景なので、眼前に朝顔は存在していません。
 このような描き方がダメというわけではありませんが、やはり「朝顔」がありありと見えるように表現したいと思うのです。


●季語がない

  • 利休居士いち輪だけというけれど朝陽

「朝顔」をテーマにしている句ですが、季語「朝顔」が入っていません。


●季語が比喩に

  • 朝顔の如話咲く知古の友飛鳥井薫

  • 朝顔のように昼からよく寝る子吉成小骨

 季語が比喩として使われる場合も、季語としての鮮度が落ちます。このようなケースは、比喩を逆にすると生き返る可能性もあるのです。例えば、一句目でしたら「知古の友のように」とこちらを比喩にして、「朝顔」を描いてみてはいかがでしょう。


●韻律

  • 利休と潔さ朝顔や大江戸小紋

 字足らず・字余りも、俳句におけるテクニックです。
 が、俳句の韻律(調べ・リズム・韻)は、その句の内容と見合うものでなければなりません。
 この句の場合、史実を大づかみしている内容と、この字足らずは、お互いによい影響をもたらしているとはいえません。五七五の定型に入れる工夫をしてみましょう。


●言葉の選び方

  • 藍となる遺伝のちから子朝顔嶺乃森夜亜舎

 下五「子朝顔」は擬人法なのだろうとは思いますが、「子」の一字にささやかな違和感を抱きます。



  • 蒼天のあおを映すや朝顔花百瀬つきか

「朝顔」が四音なので、「花」の一字をつけたのだと思いますが、この使い方も、おススメはしにくい。語順を替えれば問題はカンタンに解消します。
【添削例】 朝顔や蒼天のあお映したる


●入力ミス?

  • 朝顔や朝日昇りて夢消えゆ河豚蛇燕花子

消える? 消ゆる? 入力ミスでしょうか。



  • 朝顔や己を消らる休み終ふ丹波らる

「削らる」? 「消し去る」の入力ミス? でしょうか。

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10月の兼題

「秋の田」

過去の審査結果

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