夏井いつき先生の俳句生活

夏井先生のプロフィール

夏井先生のプロフィール

夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。

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1月の兼題

「煮凝」

11月の審査結果発表

兼題「冬晴」

 お待たせしました!11月の兼題「冬晴」の結果発表です。今月も夏井先生のアドバイスは必見です。(編集部より)

「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。

天
冬晴れや茨木のり子に叱られる

岡田いっかん

夏井いつき先生より

 今回は、全く個人的な好みでこの句を推させて下さい。
 「茨木のり子」は詩人です。なぜ、茨木のり子に叱られているのか。それは、『自分の感受性くらい』という彼女の詩集を指しているに違いありません。「ぱさぱさに乾いてゆく心を ひとのせいにはするな」から始まる詩ですが、最後の一連はこう終わります。「自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ」
 私がこの詩集を初めて読んだのは、教員になった年でした。一読、頭を殴られたような思いがしました。茨木のり子さんの言葉は、まさに「冬晴」のように凛々しく美しくきっぱりと屹立しています。混沌とし始めた今の時代、私たちは再び、心にこの「冬晴」を抱いて生き直さねばと強く思った次第です。

地
弔砲を撃つ冬晴の薄きとこ

居並小

 皇族、貴族、軍人の柩が埋葬される時に、弔意を表すために発射される空砲。弔砲の音は、張り詰めた空気を揺すり、空に轟きます。
「冬晴の薄きとこ」へ向かって撃たれたような音の感覚に、強いリアリティを感じさせる作品です。

鯖街道の起点は冬晴の入江

竹田むべ

「鯖街道」とは、若狭で水揚げされた鯖を京へ運ぶための道。この入江がまさに起点だったのか、という実感が一句の眼目です。入江の頭上に広がる「冬晴」は、今も昔も変わらぬ冷たさと美しさでそこにあります。

玉眼の仰ぐ冬晴なむあみだ

トウ甘藻

「玉眼」とは、仏像に水晶等をはめ込んだ義眼か。あるいは高貴な方の目か。「~仰ぐ」とあるので後者の可能性もあります。真っ青な冬晴れの美しさに、思わず「なむあみだ」と念仏が口をついて出たのかもしれません。

伊能図の全き線や冬晴るる

沼野大統領

 伊能忠敬が制作した日本列島の地図。眼下に見える海岸線は、まさに「伊能図の全き線」のように続いているのでしょう。この小高い峠から伊能忠敬もこんなふうに冬晴れの空を見上げたのかもしれないという感慨もまた。

犬失つて冬晴にこの手を晒す

冬島直

「犬失つて」は、逃げたとかではなく、亡くしたのだと読みました。リードを握っていた「この手」、あの子を抱いていた「この手」は、今「冬晴」に晒されているだけなのです。破調が短調を奏でて、読者の胸に迫ります。

人
  • 日曜のいかにも冬晴という空だいずみ令香

  • 冬晴へジャングルジムがツンと立ついたまき芯

  • 冬晴や後は借金返すだけ無花果邪無

  • 冬晴やもつ煮の旨き競馬場伊藤映雪

  • 年金事務所出て冬晴に眩む妹のりこ

  • 冬晴の口笛最後だけフラットうからうから

  • 舌禍の冬晴に父を干したまま兎森へる

  • 冬晴に晒すや骨に触れきし手岡一夏

  • 冬晴の座標は我を軸にして岡根今日HEY

  • 冬晴を正しく病んでいる国旗樫の木

  • 冬晴れやここには何が建っていた佳寿

  • 冬晴や貨物機を出る象二頭眩む凡

  • 冬晴や句帳に記す木の名前坂野ひでこ

  • 産科医がやさしい。外は冬晴慈雨

  • ぽちぽちと目薬じじんと冬晴れシュリ

  • カバの歯を削る冬晴のおじちゃん白沢ポピー

  • ピッケルへ乾杯冬晴のコーヒー丹波らる

  • 冬晴にすすぐさびしき肺腑かなにゃん

  • すこーんと冬晴すうがくが解けない花彼岸

  • 冬晴や鉋に恍惚の柱葉村直

  • 冬晴へ拭へりサバイバルナイフRUSTY=HISOKA

  • 冬晴の天を切り抜く近江富士青野みやび

  • 冬晴の空を切取るスタジアム釜眞手打ち蕎麦

  • 冬晴れや銀器に凝れるゆるきもの相生三楽

  • 冬晴や関東平野へ雲迅く相沢薫

  • 立山と走る千里浜冬晴るる藍野絣

  • 冬晴や肺年令は九十五逢來応來

  • いい夫婦の日冬晴れの探鳥地青居舞

  • 冬晴や獣はみんなきれい好き蒼空蒼子

  • 冬晴の到車ぱらぱら社の実青空まる

  • 冬晴を助走に鳥の羽ばたきぬ青田奈央

  • 冬晴や紫煙の先の白い月青砥展典

  • 冬晴や三角定規かざす空あおのめ

  • ロッカーに冬晴入れて夜の街赤い花弘

  • 冬うらら父と諸越ほろり食む赤尾てるぐ

  • 冬晴や五本指ソックスの穴あかねペン銀

  • 冬晴れの天下泰平のうたたねあが野みなも

  • 冬晴や空に黙礼結果待つ赤目作

  • 冬麗やバギーに赤ん坊と犬愛柑いつき組note俳句部

  • 冬晴や祈りに向かい伸ぶ草木秋桜みりや

  • 冬晴の遺壁歪曲の鉄骨空地ヶ有

  • 天寿全うす冬晴の葬列秋月あさひ

  • 冬晴や白球弾け左中間空き家ままごと

  • 冬晴や煙草燻らす船大工秋山らいさく

  • 連続でもらうクーポン冬日和芥茶古美

  • 冬晴や葉つぱはニュートンを知らず明智明秀

  • 冬晴や送電線を拉ぐ青朝雲列

  • 冬晴を跳ねてじてんしゃ買いにゆくあさぎりななみ

  • 冬晴に母の声まだ叱つてる淺野紫桜

  • 影もまた背筋伸びやか冬日和あさのとびら

  • 冬晴やバス待つ土手の草の鋭き浅乃み雪

  • 冬晴や海に迫り出す赤鳥居朝日雫

  • 冬晴や河口工場群始業葦屋蛙城

  • 冬晴や紙ひかうきを声が追ひ阿修羅

  • 冬麗の右膝一日愛想よく明日ぱらこ

  • 発掘の土は鴇色冬麗あたしは斜楽

  • 冬晴に触れて観覧車のカタカタ足立智美

  • 冬晴の潟や望遠鏡の群れあたなごっち

  • 冬晴や波紋戯る逆さ富士アツシ

  • 冬晴やはづかしさうな讃岐富士渥美こぶこ

  • 冬麗や置き配手配して足湯我孫子もふもふ

  • 冬晴やゴジラのごとく東寺の塔阿部斑猫

  • 冬晴にぴりりと顔の乾びけり阿部八富利

  • 冬晴に放つ洗車の水と杞憂あまぐり

  • 冬晴や襟よりあぎとのんど出づ甘茶トーシロー

  • 冬晴れやピサの斜塔を手で支え雨戸ゆらら

  • 冬晴や瞑想の芯つかみけり天鳥そら

  • 冬日和をイマジン閑かレノンの忌雨乙女

  • 冬晴や慰霊花捧ぐオホーツク雨霧彦(木ノ芽)

  • 冬晴れて後口の良い酒だなあ雨森茂喜

  • 冬晴や露天風呂から望む富士雨李

  • 冬晴やキリンの腹の皺深し綾竹あんどれ

  • ラジコンのジープ転げて冬日和綾竹ろびん

  • 冬晴や手術帰りのBランチ綾小路へこ

  • 同期との偽番組のロケ冬晴あらい

  • 冬晴や嫁ぐ子既に母の顔新井ゆう

  • 冬晴の古書市蔵書印に×有村自懐

  • 冬晴や永寿讃へる喪のハガキアンサトウ

  • 冬晴や土器の名告ぐる拡声器安春

  • 冬晴や老いを銀座に応挙展杏っ子

  • 仏飯につや冬麗の観世音飯村祐知子

  • 冬晴れや麻雀教え合う小部屋池田悦子

  • 冬晴や校庭の影みな駆くる池田桐人

  • 冬晴をおでこに溜めているチワワイサク

  • 冬晴れや耕運機の跡まっすぐ伊澤遥佳

  • 冬晴れの擬宝珠ひやり赤き橋為参

  • 冬晴や動画に霞む背番号石井久次

  • ふゆばれの青はいいろのガザ石垣エリザ

  • 冬晴や介護ベッドの脚の跡石田ひつじ雲

  • 冬晴や伐らるる木々に赤テープ石塚碧葉

  • 冬うらら辻に焦げたる醤油の香石塚彩楓

  • 冬晴や音刻みいる古時計石原花野

  • 冬晴や自転車は空飛びたさう石原由女

  • 不機嫌の薄皮剥がし冬晴るる石村香代子

  • 冬晴や骨壷を割る槌の音和泉あやめ

  • 冬晴に鐘は鳴り出棺の今和泉園実

  • 冬晴の超高層ビル嘘は無し市川りす

  • 冬晴や肩書き重き男逝くいちご一会

  • 礼服のつどいて庭は冬日和いつかある日

  • 冬晴やかの赤瓦照る天守一久恵

  • 冬晴や機影掠りし摩天楼一秋子

  • 冬晴れは川空白にするらしや一慎

  • 冬晴れや点滴に我が息合わせ五つ星

  • 冬晴や瀬戸内海に橋三基伊藤亜美子

  • 冬晴れや知盛の影みもすそに糸冬因果

  • みちのくの冬晴の風無垢の色伊藤恵美

  • 冬うらら赤子と遊ぶ大型犬伊藤順女

  • 冬晴や御諏訪太鼓の音ひびく伊藤節子

  • 冬晴や町中華みな千円に伊藤なお

  • 舌先にトローチのあな冬日和伊藤柚良

  • 冬晴の下に寂しき氷鬼いとへん製作所

  • 冬晴に絵を描くごとく鳥が散る井上鈴野

  • 冬晴や金縁清きティーカップ井上れんげ・いつき組広ブロ俳句部

  • 冬晴や貨車にづらづらグラフィティ井納蒼求

  • 冬晴にピアス震はすうねりかな井口良範

  • 眉あげてひかりへあらがへ冬晴猪子石ニンニン

  • ららららラジオ冬晴の窓際に井原昇

  • 冬晴や筑波二峰の影ゆたかいまいやすのり

  • 島影の一つは遠く冬日和井松慈悦

  • 冬晴や子の長髪を切り戻す伊予吟会宵嵐

  • CTの影は広がり帰路は冬晴伊代ちゃんの娘2

  • 冬晴の野末や三分の二の孤独岩木順

  • 冬晴や前を走るは(わ)ナンバー岩清水彩香

  • 冬晴や尾根の明るき雑木山岩田呟雀

  • 訃報にも慌てなくなり冬麗上野眞理

  • 冬晴やフリマの隅のレコード盤上原淳子

  • 冬晴やうつぼかづらを硝子越し上原まり

  • 冬晴やアリアの透る礼拝堂鵜飼ままり

  • 蜜月の国道二号は冬晴兎野紫

  • 四日目の解熱や冬晴の湯浴うた歌妙

  • 異国の人降りて冬晴の優先席うただねこ科

  • 冬晴れの今日に栞を明日よ来い内田ゆの

  • 冬晴や正拳突きの子らの湯気空木眠兎

  • 冬晴や窓どれも正しき硬度靫草子

  • トロッコ降りれば冬晴の立山卯之町空

  • 統数研帰りの老父冬晴れりうましか(志村肇)

  • ガラスのシュガーポット冬晴の茶店海月のあさ

  • 冬晴やまねきに役者名の消えて麗し

  • 馬の嘶き冬晴れのファンファーレ江川月丸

  • 冬晴や市電ぐぐぐと速度上ぐ蝦夷やなぎ

  • 冬晴へ英気放てる丹沢山江戸きり子

  • 冬晴の鼻歌ならば「北酒場」遠藤玲奈

  • 冬晴の工事現場にまだ大樹延命寺

  • 整わぬスキップの子ら冬麗近江菫花

  • 辞めるのをやめる冬晴のキャンパス大岩摩利

  • 冬晴や入り江見下ろす丘に椅子大久保加州

  • 冬晴れや長谷の観音今日も在る大越総

  • 冬晴やふらりと覗く古着市大越マーガレット

  • 冬晴や孤独をなげく観覧車大澤眞

  • 冬晴や肺に吸ひ込む蒼き空大澤道史

  • 冬晴れの擬宝珠ほのかに町の影太田一駄歩

  • 冬晴や人形多き問屋街大塚恵美子

  • 冬晴や港へ向かふ大漁旗おおにしまこと

  • 冬晴れや無縁仏になるもよし大道真波

  • 冬晴や決勝戦は同門下大谷維鶴

  • 冬晴や赤き溶岩海へ垂る大矢香津

  • 冬晴やとうとう祖母になるらしく大和田美信

  • 冬晴や古本市はバニラの香大和出ユウスケ

  • 冬うらら夫が指揮する模様替え岡井稀音

  • 冬晴や歯医者内科とはしごせりおかえさき

  • 冬晴や日ノ本に弓放つ音可笑式

  • 冬晴や見慣れぬ道は新居へと岡田瑛琳

  • 冬晴や雲母の欠片のごとく川岡田ひろ子

  • 冬晴や表彰式の「はい」の声岡田雅喜

  • 喇叭鳴る散骨の海冬晴るる丘ななみ

  • 冬晴や猫の瞳の琥珀色岡山小鞠

  • 冬晴を鳥鳴き合うて野辺送り小川さゆみ

  • 冬晴や棟梁と酌む祝酒小川しめじ

  • 遺言の封して背伸び冬麗小川天鵲

  • 冬晴や保護犬の曳く車椅子小川野雪兎

  • 空か山か稜線は冬晴のもの小川都雪

  • 冬晴の橋の継ぎ目に蒼き草オキザリス

  • 冬晴に底の透けたる古九谷椀沖庭乃剛也

  • 冬晴や水おみくじのくっきりと荻原玲香

  • 冬晴や千年の木と古希の吾と小倉あんこ

  • 冬晴やこんなにも吾を撮りし父越智空子

  • 冬晴や太陽柱に猫と入る乙華散

  • 冬晴にこころの余白みつけたりおひい

  • 冬晴や湯屋にカンツォーネのハモる海音寺ジョー

  • 冬晴や鼻腔に抜けるハーモニカ海峯企鵝

  • 冬晴や居眠りしている古時計香依蒼

  • 冬晴や鉄路に兆す鈍き音火炎幸彦

  • 冬晴を従え杜に天守あり梶原菫

  • 冬晴や校舎の窓の絵しりとり雅翠

  • 冬晴れや白き塩瀬の躾解く風乃絣

  • 冬晴や酒の香ほのと蔵通り加田紗智

  • 傷心や冬晴の空はからっぽ帷子砂船

  • 冬晴れの屋上や丹沢連山は美し花鳥風猫

  • 冬晴や短波ラジオの混じる街ひだまりえりか

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  • 冬晴や犬に山の名岬の名川越羽流

  • 冬晴や山頂で飲む缶コーヒー川崎ルル

  • アルパカの長き検温冬晴るる翡翠工房

  • 冬晴の鳩が屋根で乾いている川端妙松

  • 冬晴れやぐっと近づく神の山カワムラ一重

  • 冬晴や曙杉は真っ直ぐに神田八景

  • 前撮りの遺影なりけり冬麗喜祝音

  • 冬晴やラオスに遺る不発弾季川詩音

  • 冬晴や変声前の弾き語りきざお

  • 冬晴にがんセンターのそびえおり季紫子

  • 冬晴の猿山しがみつく子猿岸来夢

  • 冬晴の校庭午後は持久走季切少楽・広ブロ俳句部

  • 冬晴や背骨にのこる夜の熱北大路京介

  • 病得てさいごの法話冬晴るる喜多丘一路

  • 冬晴になりさう今日も目覚めたか木谷智子

  • 冬晴が痛い子供の手が柔い北野きのこ

  • 冬晴や墓は要らぬと笑ふ父北村環

  • 冬晴や真昼の風呂へ親子連れ貴田雄介

  • 冬晴や砂蒸し風呂に埋まれつつきなこもち

  • 冬晴の屋根は口笛吹いている城内幸江

  • 冬晴れの留守電「師は大往生」木下桃白

  • ふゆばれのそらがさいしょのおともだち黍団子丸

  • 列柱ましろ冬晴の美術館木ぼこやしき

  • 冬晴れに半鐘の錆かがやけり木村カズ

  • 冬晴や近江は秘仏ご開帳木村かわせみ

  • 冬晴や千木に翩翻日章旗木村修芳

  • 冬晴れの壁忽然とバンクシー木村信哉

  • 交番の壁の(0件)冬うらら木村となえーる

  • 冬晴や尾翼を追いし鳥の列木元紫瑛

  • 冬晴の路地や天日干しの廻しQ&A

  • 冬晴や楠の大樹の深呼吸Qさん

  • 冬晴や来世で出会ふ指切りす旧人がいど

  • 冬晴やリュックの教案たしかめる九ゼットン

  • 冬晴や筆一閃に墨跳ねて京野秋水

  • こんなにも冬晴君を孤独にして杏乃みずな

  • 冬晴やは行の多き古本屋煌星アニカ@TFP句会

  • 冬晴の外階段に喫煙者霧澄渡

  • 冬晴や蹄鉄磨ききつて白ギル

  • 冬晴るる山寺の玉こんにゃくよキン肉アタル

  • 冬晴や明るく染むる祖母の髪くぅ

  • 異国語の呪文めく寺冬晴るる句々奈

  • 肩書はすつからかん冬晴の道くさ

  • 冬晴やカラコロ回るハムスターくつのした子

  • 老いの恋冬晴れの日の日向の香くにとうりん

  • 吊り橋の先だけを見て冬日和國吉敦子

  • 無名墓地のさだかにこゑや冬日和熊谷温古

  • 冬晴や木彫りの熊の背を亀裂栗田すずさん

  • 冬晴や裾まで力む筑波山栗田芳文

  • 冬晴やヤギに序列のある話久留里61

  • 冬晴や薄目せし地が瞠目す愚老

  • 冬晴にウクレレ四弦甲高くくろだ@しろい

  • 冬晴の田の道何処へ出でるやら黒猫さとみ

  • 冬晴れのけふが一番好きといふ黒山万牛

  • 迎えなき退院冬晴と祝う桑田栞

  • 冬晴へ放り出す巨躯や退院す恵勇

  • 冬晴や信濃の草に転ぶ鳥家古谷硯翠

  • 冬晴や拳解けばたなごころげばげば

  • 冬晴の機嫌よろしき露天風呂ケンG

  • 冬晴や光を磨く布ありてケント

  • 冬晴の庚申塔に三猿よ剣橋こじ

  • 冬晴やオーボエの音に包まれる小泉久美子

  • 冬晴や見知らぬ人と立ち話恋瀬川三緒

  • 冬晴や牢屋のような喫煙所剛海

  • 冬晴やくつきり見ゆるさくら耳公木正

  • 冬晴の模擬店溜まる八角の香紅紫あやめ

  • 冬晴や青の種類を数えたる柑たちばな

  • 冬晴のひかり溶けゆくベビーバス幸田梓弓

  • 冬麗の喃語こぼるる銀の匙幸田柝の音

  • 冬晴や列なす市のすぐき漬け宏楽

  • 冬晴れて贄の命は骨見えてごーくん

  • 冬晴や瓦の波は凪ぎわたり古賀

  • 冬晴やまばたきするまんまるの鳩こがらしごぼう

  • 冬晴や鼻は金色御神牛古烏さや

  • 冬晴や超過勤務の洗濯機胡秋興

  • 冬晴や山に鋏の音しづか木染湧水

  • 冬晴や陣屋を曲がる灯油売り児玉ひでき

  • 冬晴の四次元へ吾を解き放す後藤周平

  • 冬晴や模試受ける日のHB来冬邦子

  • 冬晴れの青の集いて颪濃く粉山

  • 冬晴や牧羊犬の聡き耳このみ杏仁

  • 冬晴や出走待つ背静体す小箱守

  • この道も通行止めなり冬日和小林脱太郎

  • 天界に海のあるらし冬うらら小林澄精

  • 冬晴や旅立ち前の運命線駒茄子

  • 冬晴の窯出し罅のかりりんと紺雪ぬくし

  • 冬晴や大体合っている時計今藤明

  • 冬晴の朱雀門から人の波さいたま水夢

  • 冬晴や龍の背歩く尾根の道埼玉の巫女

  • 冬晴や森の匂ひの老詩人彩汀

  • 冬晴れの浜名湖風を切るボート齋藤鉄模写

  • この街の冬晴を餞とする斉藤立夏

  • 冬晴や鴉どこどこ屋根を蹴りさおきち

  • 七回忌の喉の渇きや冬晴るさ乙女龍チヨ

  • 靴にする硝子に冬晴の黄色酒井おかわり

  • 冬晴や大河は凪を決めてをり酒井春棋

  • 冬晴や偏食しないけものたちさかえ八八六

  • 冬晴れのベンチにひとの熱のこる榊昭広

  • 冬晴やお水の絶えぬ稲荷様坂口いちお

  • 冬晴や黙して枝は浄く伸び咲まこ

  • 冬晴のそらへ蛇口は上を向く桜鯛みわ

  • 墓碑磨く父の忌日や冬うららさくら悠日

  • 冬晴やうたた寝からの葛根湯佐々木佳芳

  • 区役所を出たらわたくしの冬晴笹桐陽介

  • 冬晴れに閉じるメモ帳ひらく胸笹靖子

  • 冬晴や癌の告知を免れるさざれいし

  • 冬晴や初の杖もて買ひ物へ佐藤恒治

  • 五限目の点呼代返冬晴るるさち今宵

  • 冬晴や蜘蛛の巣高く風はらむ砂月みれい

  • 冬晴や国境線にある地雷佐藤茂之

  • 冬晴や名刺百枚使ひ切り佐藤志祐

  • 冬晴や鼻にピアスの人と牛さとう昌石

  • 冬晴や温泉たまご待つ足湯佐藤ゆま

  • 浄焼供養冬晴にたゆたふ佐藤佳子

  • 鬱に翼を冬晴に白き帆を佐藤レアレア

  • 冬晴れやホッキョクグマの足みじか錆田水遊

  • 鳶職の茶髪つややか冬晴るるさぶり

  • 冬晴や越後平野に空あふれ彷徨ういろは

  • 冬晴にソの音あふれ白い靴さむしん

  • 冬晴や風と走れる河川敷紗藍愛

  • 冬晴や肋骨開き息を吸ふ百日紅

  • 遺跡より鮪の脊骨冬晴るるさるぼぼ17

  • 冬晴へ紙飛行機のふらりと弧沢拓庵◎いつき組カーリング部

  • 自己解放しようぜ冬晴れ冬晴れだ澤田紫

  • 冬晴や術後観察最終日沢山葵

  • 銀輪の眩し冬晴を人力車三月兎

  • 冬晴やアビー・ロードの順で揉め珊瑚霧

  • 冬晴や様子見決まる肺の影塩風しーたん

  • 冬晴てドレーン解かれし妻の朝塩の司厨長

  • 三日目の冬晴エレキバン痒し柿司十六

  • 冬晴や棟上げ餅の赤と白じつみのかた

  • 冬晴や家族を一人骨にして信濃のあっくん

  • 発射するかも冬晴のスカイツリー篠雪

  • 冬晴や授業料免除の通知芝歩愛美

  • 冬晴の助手席うつらうつらかな島田あんず

  • 冬晴や遠くに埼玉新都心島田ユミ子

  • 冬晴や牛の削蹄鎌を研ぎ清水縞午

  • 冬晴に櫓の杭の立ち始む霜月シナ

  • 最終区冬晴を追う上り坂下丼月光

  • 冬晴の畑のしづかに日を吸へり下村修

  • 冬晴や隅に傷あるショーウインドじゃすみん

  • 冬晴や身の丈に合ふ銅の斧砂楽梨

  • 病窓に冬晴の湧出すチューブ柊二@冨美夛

  • 和尚駆る石段冬晴の空へ秋芳

  • 二重跳二回できたよ冬麗じゅんこ

  • 冬晴や巨き罅澄む角塔婆常幸龍BCAD

  • 冬晴や硝煙に血に少し肉庄司芳彦

  • 銀鍍金ほろほろ冬晴の並木正念亭若知古

  • 失業元年冬晴の再出発白よだか

  • 冬晴や南京町のビルの谷西瓜頭

  • 明日よりはひとりのあさげ冬晴るる水都かほりこ

  • 冬晴れの卒寿ピアスを開けた母すがのあき

  • 冬晴といふ名の寄り道をしませう杉浦萌芽

  • 冬晴れの気怠き吐息中也の詩杉岡ライカ

  • 冬晴や吾を乗せゆたり雲ひとつ杉本果ら

  • 冬晴や重機古家を食い尽くし涼風亜湖

  • 冬晴や卓球大会のおにぎり鈴木季良恵

  • 冬晴の校舎や背にざらつける鈴木由紀子

  • 古書積みしラビリンス抜け冬晴れへすずしろ桂

  • つい貰ふチラシ冬晴の新宿鈴白菜実

  • 水平線まっすぐ引いて冬晴るるすず耀子

  • 冬晴や馬飛びの子の長き腕砂山恵子

  • 側転や一瞬冬晴が痛いすまいるそら

  • 北陸に木装のキハ冬日和須磨ひろみ

  • 冬晴や霊長類は手にシャベルすりいぴい

  • 冬晴や甍の波は饒舌にせいしゅう

  • 「鹿の子餅入荷」冬晴の日本橋瀬央ありさ

  • 冬晴にみすゞの碧を配合す宗珂

  • 眼の細き遮光式土器冬晴るる草夕感じ

  • 東京スカイツリーの刺さる冬晴肺までも外鴨南菊

  • 冬晴や鶏冠のように立つ産毛そまり

  • 冬晴へ手を振るように磨く窓空豆魚

  • 冬晴のどこを切り取っても虚無だたーとるQ

  • 歪なき光に身置く冬晴来大ちはる

  • 冬晴や天は真白き立方体大地緑

  • 冬晴や我が魂魄はあと三月平たか子

  • 冬晴れやあつけらかんと無一物たいらんど風人

  • 冬晴れの富士上京のE座席高尾一叶

  • 冬晴や都市の綺麗に積まれけり高橋手元

  • 冬晴や魚の延髄へと刃物高橋寅次

  • 冬晴や有給休暇余りあり高橋ひろみこ

  • 冬麗や名画座を出て遠回り高橋マママリン

  • 冬晴の下山の小石ぐぢと蹴る高原としなり

  • 冬晴の古墳のてつぺん立ちにけり鷹見沢幸

  • 冬晴や地下鉄の駅深い深いたかみたかみ・いつき組広ブロ俳句部

  • 冬晴や腕を押し出すストレッチ高山佳風

  • 冬晴を奏で柱の組める音滝上珠加

  • あんこ炊く玻璃戸のくもり冬日和滝川橋

  • 仔犬抱けば石鹸の香や冬うらら武井保一

  • 冬晴れや東に筑波西に富士竹内不撚

  • 冬晴やスコア上がりしTOEICたけぐち遊子

  • 仔犬なる柔らかき殻冬日和多事

  • 冬晴や母のしぐさに似てきたり立花かおる

  • あきらめてぽかんつきぬけて冬晴立田鯊夢

  • 冬晴や馬油の匂い残る指辰巳電柱

  • 冬晴の妻に先立たれし駱駝立石神流

  • 冬晴の水辺をあがる鳥の列田中みどり

  • 冬晴や息ぶつけあふ交差点谷斜六

  • 冬晴や取り壊されしアーケード谷しゅんのすけ

  • 冬晴の庭に我が影新しく谷町百合乃

  • 冬晴や雑木林の脱皮する田上南郷

  • 冬晴やおかず溢れる曲げわっぱ田畑整

  • 冬晴の白髪月のごと豊か玉家屋

  • 君はまだ無色の無職冬うらら玉木たまね

  • 冬晴や牧水館の空の青玉響海月

  • 冬晴の木立は風を得て奏づ田村利平

  • 冬晴やバイタルデータ高止まるチームニシキゴイ太刀盗人

  • 冬晴や上着の掛かるジャングルジムちえの瀬

  • サーファーの乗りくるうねり冬晴る竹庵

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  • 一般公開冬晴れの乾門原島ちび助

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  • 冬麗前世もきつと冬生まれ青星ふみる

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  • 冬晴れや遙かに富士の浮き上がる赤富士マニア

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  • 冬晴へひとすじけむりさようなら亜紗舞那

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  • 冬晴れや戦乱の影まだ遠く飛鳥井薫

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  • 冬晴やボランティア行く能登の道明日に翔ぶ会

  • 冬晴や鳶急降下海の街麻生恵澄

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  • 今朝もまた熊害無線冬晴ぞat花結い

  • 冬晴の淀を駆け抜けたる王者あみま

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  • 冬晴やうみに空あり光あり在在空空

  • 冬晴やそつと絡める夫の腕淡湖千優

  • 天守閣急な階段冬晴るる飯田淳子

  • 冬晴や宍道湖の瀬の濁りたる飯沼深生

  • 潮鳴りを聞きつつ帰る冬うらら猪狩鳳保

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  • 冬晴れて猫の骸は空になる生野薫

  • 冬晴の女性総理や富士青し郁松松ちゃん

  • 冬晴や帽子がたかーいコックさん池田華族

  • ジャンプ高し冬晴れのドッグラン伊澤ゆき抄

  • 冬晴の彼方へ響け「鳥の歌」石堂多門

  • 新品の万歩計手に冬晴れに石の上にもケロリン

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  • 冬晴や鍋釜持ちてドライブへ泉恵風

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  • 翳す手のひらに蹼冬の晴町田思誠

今月のアドバイス
夏井いつき先生からの一言アドバイス

◆俳号のお願い二つ

  • ①似たような俳号を使う人が増えています。
     俳号は、自分の作品をマーキングするための印でもあります。せめて、俳号に名字をつけていただけると有り難く。共に気持ちよく学ぶための小さな心遣いです。

  • ②同一人物による複数俳号を使った投句は、堅くご遠慮下さい。
     「いろんな俳号でいっぱい出せば、どれか紹介されるだろう」という考え方は、俳句には馴染みません。丁寧にコツコツと学んでまいりましょう。


●兼題とは

  • 今日は秋晴れかМRIの中で思うおにやんましゅう

  • 秋晴や親爺の足へ靴入れる山野花子

  • 雪解けの逢えぬ孫達愛おしみわきのっぽ

 本俳句サイトでは兼題が出題されています。今回は、季語「冬晴」での募集でした。次回の兼題を確認して、再度挑戦して下さい。


●季重なり

  • 冬晴れてラーメンすする白き息大野順さん

  • 願い事冬晴の夜の流れ星喜楽胤

  • 冬晴や猫もふとんも日向ぼこ畠野案山子

  • 冬晴やパンビオの蝶ゆらゆらと鳳凰美蓮

  • たくわんに塩なすりこむ冬晴れか松岡徘徊狂人

 一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「冬晴」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。



  • スヱタより千鳥翔ぶよな冬日和弘友於泥

「冬日和」は、「冬晴」の傍題。この句は、意図的な季重なりを狙ったものです。
 セーターの模様の千鳥が翔ぶのではないかと思うような冬日和であるよ。上五中七の比喩を使って「冬日和」を表現した作品です。
 兼題「冬晴」の今回、天・地には推しにくいのですが、この技術は褒められてしかるべきでしょう。


●変換ミス

  • 冬場れや吾子の右靴どこ消えたかもめ

  • 冬場や猫かわいがるじじとばば木村波平

「冬晴」の変換ミスだということは分かりますが、日頃から変換ミス・入力ミスへの注意を怠らないことも、鍛えるべき俳筋力の一つです。


●寒晴

  • 寒晴にすつくと電波望遠鏡津々うらら

  • 寒晴と宇宙もう目と鼻の先野口雅也

「寒晴」を「冬晴」の傍題としている歳時記・季寄せもあるのだろうと推測はしますが、「寒」の一字がある以上、寒の頃と限定して考えるのが妥当ではないでしょうか。


●夜? 夕暮?

  • 冬晴の夜の青さを見つけた日松田迷泉

  • 冬晴れの光を増していく三日月山崎のら

  • 冬晴や星見の前の早夕餉有川句楽

 夜空の雲が無い部分は、昼ならば青空なのだという気付きから、このような句が出来ていることは十分理解できます。
 あるいは、夕方のまだ空が明るい時間帯だからOKかなという気持ちも、分かりはします。
 が、「冬晴」という季語の本意として、多少無理があるのではないでしょうか。


●今月の選外

 何か表現しようと格闘しているのは分かるのだけれど、句意が解読できないものが少々ありました。
 自句に対する最も評価の甘い読者が自分です。しばし時間をおいて読み返すだけで、自分の句を客観的に分析できる場合もあります。早めに作句し、〆切までに何度か冷静に読み直す習慣をつけることをお薦めします。

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1月の兼題

「煮凝」

過去の審査結果

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