画像:夏井いつき先生の俳句生活 2025年12月

夏井先生のプロフィール

夏井先生のプロフィール

夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。

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2月の兼題

「春の野」

12月の審査結果発表

兼題「冬薔薇」

 お待たせしました!12月の兼題「冬薔薇」の結果発表です。今月も夏井先生のアドバイスは必見です。寒さに耐え、生き残ったその姿は強さや凛とした情緒が感じられますね。2月の兼題「春の野」もふるってご応募ください。(編集部より)

「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。

画像:天
筋張りし枝赤く冬薔薇は贄

シュリ

夏井いつき先生より

 足せば十七音の破調ですから、全体の調べがたどたどしく感じられます。しかも前半の展開が、散文的で拙くさえみえるものですから、この句の存在をうっかり見逃しそうになります。
 が、そのあとの展開にハッとさせられます。「筋張りし枝赤く」とアップの映像をなぞったあとに出てくる「冬薔薇」が、尖った枝に突き刺された「贄」のようにみえるという感知。「鵙の贄」という季語がありますが、鵙が捕らえてきた獲物のように、小さいけれど鮮烈な赤い冬薔薇なのでしょう。
 拙なる前半から「冬薔薇は贄」という後半の措辞で、一気に詩に転換させる発想と力業の技法。「冬薔薇」の美しさや妖しさを描こうとする句が多かった中で、異彩を放っている作品でした。勇気ある挑戦です。

画像:地
冬薔薇の赤を選びて引きこもる

板柿せっか

 庭に咲いた冬薔薇でしょうか。その中の「赤」を剪りとり、部屋に飾ったのでしょう。「選びて引きこもる」という後半の展開に意外性とリアリティがあります。「赤」とは、自身を愛せない思いを象徴する色かもしれません。

冬薔薇賢者の石は滅び色

妹のりこ

「賢者の石」は『ハリー・ポッター』シリーズにも出てくる言葉です。この「冬薔薇」の色についての情報は全くないのですが、「滅び色」という虚の色彩が、一句を詩の世界へと導いていきます。本歌取りという技法における新しい展開です。

宝石の傷の匂いか冬薔薇

喜祝音

 美しい「冬薔薇」を宝石に喩える発想ならば陳腐ですが、「宝石の傷の匂い」と書くことで、言葉が化学変化を起こします。中七の助詞「か」によって、読者にも問いかけるような効果を生み出す。これも佳き判断です。

冬薔薇は綺麗突き返されてなほ

はなぶさあきら

「冬薔薇」を誰かに贈る発想もあれば、突き返される発想もあるでしょう。が、「なほ」の一語によって「冬薔薇」の美しさや薫りを味わい直させるという展開に工夫があります。一語を疎かにせず効果的に使う。お手本の一句です。

なれるなら巻貝になる冬薔薇

和脩志

 花びらが巻かれているような薔薇ならではの特徴を捉えました。擬人化でありつつも、「なれる」ものならば「巻貝」になりたいと思っているのは作者自身かもしれません。「冬薔薇」の持つ静けさのイメージが佳き味わいを作ります。

画像:人
  • 蝋燭の清きくびれや冬薔薇葉村直

  • 恐竜の揃わぬ骨や冬薔薇おこそとの

  • 崩れ行く心臓あおし冬の薔薇亀田かつおぶし

  • 研ぐやうに人は老いたり冬薔薇川越羽流

  • うつすらと錆ぶ冬薔薇の花以外眩む凡

  • 冬薔薇の左右に同じ時間かなさとう昌石

  • 離職日や冬薔薇といふファンファーレ佐藤レアレア

  • こころ守るうろこ欲しや冬薔薇錆田水遊

  • 生まれたての炎は臭し冬薔薇常幸龍BCAD

  • 冬薔薇の赤は火傷に似てしづかジン・ケンジ

  • セールの冬薔薇四十路のコンビニケーキ涼風亜湖

  • シガールームに集いし華族冬薔薇高橋寅次

  • 冬薔薇の駅に楽隊降り立ったたきるか

  • 心臓の高さに赤く冬の薔薇武井保一

  • 旋律をもらえぬ歌詞よ冬薔薇田上南郷

  • 冬薔薇をしぼつて考のワインとす爪太郎

  • 讃美歌の「r」明るし冬薔薇トウ甘藻

  • 永遠をかちんと割れば冬の薔薇なかむら凧人

  • 花片みな影を匿う冬薔薇二重格子

  • 風に剥がれて冬薔薇とは自傷仁和田永

  • 寄り合うて冬薔薇乳のいろ蜜のいろ沼野大統領

  • 冬薔薇沈黙は金なわけない松知

  • 冬薔薇バラになれたら話せるか水井良柚

  • 病棟の奥も病棟冬の薔薇水須ぽっぽ

  • 冬薔薇の紅を有害玩具とすRUSTY=HISOKA

  • ビルの灯の一斉に点く冬薔薇アーモンドよーせい

  • 冬薔薇微熱の夢寐の忘れ物相生三楽

  • イルミネーションの骨見る冬薔薇相沢薫

  • 図書館の勝手しったる冬の薔薇愛燦燦

  • ちりちりと風に炙られ冬薔薇あいむ李景

  • 夢のごと泣き疲れし日冬薔薇逢來応來

  • 何もかもやりたがる母冬薔薇青居舞

  • 妹とママの悪くち冬薔薇蒼空蒼子

  • 終末時計の針は進んで冬薔薇青田奈央

  • 冬薔薇の深淵といふ翳りかな青野みやび

  • 注射針血管さぐる冬薔薇あおのめ

  • 友の継ぐ小さき工房冬の薔薇赤尾てるぐ

  • 職亡くし「ヒト」となりけり冬薔薇赤尾双葉

  • 冬薔薇シェークスピアの黒と白あかねペン銀

  • 冬薔薇あの油絵は未完成赤目作

  • 冬薔薇壊れ貴方と再会す赤尾実果

  • 日の脚に針まるくあり冬薔薇愛柑いつき組note俳句部

  • はかなしは清き堕天や冬薔薇秋桜みりや

  • 冬薔薇や爪ギザギザと再生す空地ヶ有

  • 惨劇や影絵のごとき冬薔薇秋月あさひ

  • 冬薔薇の蕾剪れないから孤り芥もくた

  • 冬薔薇ひとり相撲の恋終わるあくび指南

  • ふるさとや冬薔薇灯る星に在り明智明秀

  • 繋ぐ手の微かな痛み冬薔薇朝雲列

  • 冬薔薇や言葉も罪も海へ置く淺野紫桜

  • 今日までの襟章外す冬薔薇あさのとびら

  • 清貧をことほぎとして冬薔薇浅乃み雪

  • 言い訳のことば探すや冬薔薇浅紫泉

  • 何時までも芯は明かさず冬薔薇あじさい卓

  • 新宿のうつむき加減冬薔薇葦屋蛙城

  • 冬薔薇や賞に縁なき街の画家阿修羅

  • 前妻のお皿引き継ぐ冬薔薇明日ぱらこ

  • 冬薔薇土に還らぬものばかり藍創千悠子

  • 男には意固地な女冬薔薇あたしは斜楽

  • 冬薔薇や鮮やかな生静かな死あたなごっち

  • 冬薔薇や棘潜めたる月の影アツシ

  • 冬さうび出発ロビーのビーフカレー渥美こぶこ

  • 冬薔薇シンドラーのリストの余韻我孫子もふもふ

  • 盗人となろうか終電の冬薔薇阿部斑猫

  • 開けてしまふポスト空つぽ冬薔薇阿部八富利

  • 次のパートは検尿回収冬薔薇あまぐり

  • 風の刃に棘削らるる冬薔薇甘茶トーシロー

  • 中央分離帯揺れる冬薔薇雨戸ゆらら

  • 冬薔薇真白きものの気配かな天鳥そら

  • 緊張の登壇コップの冬薔薇雨乙女

  • 十二歳の受験は間近冬薔薇雨霧彦(木ノ芽)

  • ため息は星の凝りへ冬薔薇綾竹あんどれ

  • 冬薔薇となりたし襟は立てたまま綾竹ろびん

  • 冬薔薇やビジネス不仲十二年あらい

  • 冬薔薇好きなソニアの古稀祝荒木ゆうな

  • 善女らの手渡す聖句冬の薔薇有村自懐

  • 寸志には紅き冬薔薇添へてあり有本としを

  • 船に竜骨あり冬薔薇に棘在在空空

  • 冬薔薇や陽に諂へば緋の色にアンサトウ

  • 冬薔薇きこきこと鳴る風見鶏安春

  • 太陽は冬薔薇一輪愛でにけり杏っ子

  • お揃いのアディダスで行く冬薔薇園飯田淳子

  • ガラス棒の折れてしまひぬ冬薔薇飯村祐知子

  • 投了の礼なほ深く冬薔薇家守らびすけ

  • ふところに猫抱いて切る冬薔薇猪狩鳳保

  • ひとり居の静けさ凝る冬の薔薇池田桐人

  • 夭逝の画家は歳下冬薔薇池之端モルト

  • 吐瀉物と来ぬタクシーと冬薔薇とイサク

  • 三十代東南に冬薔薇飾る伊澤遥佳

  • 日時計の短き影の冬薔薇為参

  • 冬薔薇鼓動めく歯の疼きかな石塚碧葉

  • 冬薔薇焼け野が原の鉄条網石塚彩楓

  • 塩モヒが効いて綺麗ね冬薔薇石の上にもケロリン

  • 理髪屋の鏡冬薔薇つる巻いて石原しょう

  • 誕生日誰にもいわず冬薔薇石原花野

  • 旧姓に戻る明日や冬薔薇石原由女

  • あの女に剪まれぬやうに冬薔薇和泉あやめ

  • 寄せ書きのギプスに似顔冬薔薇和泉攷

  • 冬薔薇や鍵屋店主の伏し目がち石上あまね

  • 吾の先にいつもあれかし冬薔薇市川卯月

  • 冬の薔薇棘は鋭しより赤しいちご一会

  • 冬薔薇ラカンパネラの音の欠片一久恵

  • もろともに更地になりし冬薔薇一秋子

  • 冬薔薇上手く笑えぬおとこかな一慎

  • この道は我のみの道冬薔薇五つ星

  • さみしさはいつも他人事冬の薔薇伊藤映雪

  • 冬薔薇や修道院に鉄の柵伊藤恵美

  • 終電の男に抱かれ冬の薔薇伊藤順女

  • 新婦には二人の子あり冬薔薇伊藤なお

  • アメリカに娘のありて冬薔薇いとへん製作所

  • 冬薔薇傾く家に咲ききれり伊ナイトあさか

  • 風止めり冬薔薇のほか色もなし居並小

  • 神様の出入り口なる冬薔薇井上鈴野

  • 冬薔薇の微熱帯びたるやうな色井納蒼求

  • 窓際の冬薔薇尿量ほぼゼロに猪子石ニンニン

  • 冬薔薇車椅子にて神父様井原昇

  • 本当の大人って何冬薔薇いまい沙緻子

  • ふゆさうび意志ある肌に化粧のせ伊予吟会宵嵐

  • 今日も居てくれる亡母の冬薔薇伊代ちゃんの娘2

  • フレンチの卓に冬薔薇ナイフどれ?いわさちかこ

  • 冬薔薇の返すひかりや目を伏せる岩本遥

  • こぼれ聞く見知らぬ言語冬の薔薇上原淳子

  • 冬薔薇に水やり父の四畳半鵜飼ままり

  • あゝこれは泣くしかなかった冬薔薇うからうから

  • 興味ないわたしは冬薔薇になつたうた歌妙

  • 天国に近道は無し冬の薔薇うただねこ科

  • 冬薔薇帰らぬ里から着く荷物宇田の月兎

  • 冬薔薇や悲愴を弾くオルゴール内田こと

  • カスタネットの剛き響きや冬薔薇内田ゆの

  • 死者の耳ピアスはずさぬ冬の薔薇空木眠兎

  • 喪の座敷灯りもれたる冬薔薇うつぎゆこ

  • シスターの細き指先冬薔薇卯之町空

  • 冬薔薇小さな畝がまがってるうましか(志村肇)

  • 冬薔薇病院食の汁は冷め海口竿富

  • 冬薔薇りぼんほぐれるごと散りぬ海月のあさ

  • ピアノの音銀色めくや冬薔薇梅田三五

  • 骨片をそつと噛みたい冬薔薇うめやえのきだけ

  • 冬薔薇や手押し車の舵を取る浦城亮祐

  • ビブリオバトル冬薔薇の静謐江川月丸

  • 移動教室知らぬは吾だけ冬薔薇江口朔太郎

  • 街灯は裸電球冬薔薇蝦夷やなぎ

  • 冬薔薇世界征服前夜祭越冬こあら@QLD句会

  • 冬薔薇ゆられているも棘しづか絵十

  • 群青の海と紐付く冬薔薇江戸きり子

  • 冬薔薇に問う母の夢かなったか榎本奈

  • 赫赫と風に朽ちゆく冬薔薇円美々

  • 冬薔薇の恐ろしき赤雨の昼延命寺

  • 冬薔薇指定重要文化財近江菫花

  • 新しき妻子と散歩冬薔薇おおい芙南

  • 冬薔薇母の日記の殴り書き大岩摩利

  • 冬薔薇紳士の靴音乱れ無し大久保一水

  • 冬薔薇棘のいたみに慣れし頃大久保加州

  • 移り気な己に呆れ冬薔薇大塚恵美子

  • 過呼吸を呼吸に戻し冬薔薇大津美

  • 冬薔薇眩しく抱きて地平線大富孝子

  • 手書きの案内テラスの冬薔薇大谷維鶴

  • 冬薔薇や白き壺へと骨崩る大矢香津

  • 棘が棘磨きし冬の薔薇のあり大和田美信

  • 冬薔薇やペリエの瓶に棲む朝日大和出ユウスケ

  • 冬薔薇父に教えを乞われけり岡井稀音

  • 痛いとは生きてる証冬薔薇おかえさき

  • 冬薔薇祠の奥のマリア像可笑式

  • 冬薔薇や花園仕切る大磐石岡田恵美子

  • フラスコに灯る一輪冬薔薇岡田ひろ子

  • 寂聴も杏子も鬼籍冬薔薇岡田雅喜

  • ドワーフの戦士震ひぬ冬薔薇男鹿中熊兎

  • 鯨幕湿り大輪の冬薔薇丘ななみ

  • 冬薔薇ねぢくる國は土から朽つ岡根今日HEY

  • ひゅーるーと挽歌きこえる冬薔薇オカメインコ

  • 指輪なき母の生涯冬の薔薇岡山小鞠

  • 口笛に目覚めよ蕾冬薔薇小川さゆみ

  • 祖母はまだ知らぬ訃報や冬薔薇小川しめじ

  • キスをして冬薔薇へ置くトウシューズ小川野雪兎

  • ゆふぐれのオラショの島の冬の薔薇小川天鵲

  • 車庫入れや切り返すたび冬薔薇小川都雪

  • くれなゐの見本のやうな冬薔薇オキザリス

  • 冬薔薇闇の話を滔々と沖庭ノ華風

  • 棘に秘し枯淡の憂い冬薔薇沖庭乃剛也

  • 冬薔薇や日暮れる園に溜まる熱沖乃しろくも

  • 世帯主らしく生きねば冬薔薇荻原玲香

  • 冬薔薇や面会室の広き窓沖らくだ@QLD句会

  • ヘルパーは庭の冬薔薇のみを褒め奥井地洋

  • 再生の朝冬薔薇の香仄か奥寺窈子

  • 伯母のメールに九時間の時差冬の薔薇小倉あんこ

  • ガザ地区の記事に包まる冬薔薇小田毬藻

  • 冬薔薇くきと影折る煉瓦塀おだむべ

  • うつむける薄茶のひかり冬薔薇越智空子

  • 白壁につんと影おく冬薔薇おひい

  • 冬薔薇半世紀ほど恋してたおぼろ月

  • 冬薔薇口だけのひと黙らせる海音寺ジョー

  • 冬薔薇やジャブ打つ度に息吹いて海峯企鵝

  • 冬薔薇や昔硝子の御用邸香依蒼

  • 冬薔薇やイヤリング片方落ちぬ案山子<いつき組広ブロ俳句部

  • 水槽の患者の影や冬薔薇風早杏

  • 冬薔薇へルルドの水を零しけり樫の木

  • 冬薔薇に話しかけたる背伸びの子梶原菫

  • 冬薔薇や集合写真はいつも端かつたろー。

  • バラックに続く坂道冬薔薇ひだまりえりか

  • 冬薔薇遺伝子にある記憶孤児桂葉子

  • 冬薔薇をあかあか泣かせゆく朝日かときち

  • 初恋は夢のままなり冬薔薇かとゆこ

  • 冬薔薇咲く乾いた夜こじあけて叶田屋

  • 冬薔薇洋書専門絵本店釜眞手打ち蕎麦

  • 錆の浮く螺旋階段冬薔薇神島六男

  • 雲重く冬薔薇ひとつ灯す庵神長誉夫

  • 冬薔薇誘はれデモの最後尾神谷たくみ

  • ダンボールハウスを飾る冬薔薇紙谷杳子

  • 冬薔薇埃まみれの一輪車亀子てん

  • 畏友から論文届く冬薔薇亀田ミノル

  • 冬薔薇一つの傘の歩み寄る亀山酔田

  • 冬薔薇を飾る再発知った午後かもめ

  • 冬薔薇や少女ははやも准教授唐澤うに

  • 雀荘の柵に凭れる冬薔薇刈屋まさを

  • 冬薔薇や最後の色をふり絞りかろりーな

  • 天使の輪取り替へませう冬薔薇河上摩子

  • プーさんの冬薔薇ホットケーキの香川崎ルル

  • 神苑の句読点となる冬薔薇翡翠工房

  • 冬薔薇剪る手応への骨めきぬ川端妙松

  • 吃音の傍ら冬の薔薇赤し河村静葩

  • 冬薔薇や埃まみれの資本論季川詩音

  • 早寿まで生きるとメモに冬薔薇きざお

  • 冬薔薇こころに遺伝性の棘岸来夢

  • 冬薔薇や鈍色放つ銀食器喜多丘一路

  • 黙祷の瞼は重し冬薔薇きなこもち

  • 冬薔薇ほつれぬやうに咲きにけり城内幸江

  • 冬薔薇棘失ひし姑逝く木下風民

  • 面接の嘘や真っ赤な冬薔薇黍団子丸

  • バス停に老人会の冬薔薇きべし

  • 冬薔薇枯れひとりでに鳴るピアノ木ぼこやしき

  • 冬薔薇彼はピアノの前にいる木村かわせみ

  • 帰宅後の素振り百回冬薔薇木村となえーる

  • アメ横の空箱積まれ冬薔薇木元紫瑛

  • 夫から切り出す別居冬薔薇Q&A

  • 冬薔薇柱時計はラテン文字Qさん

  • ドアマンの皓歯好もし冬薔薇九ゼットン

  • 口癖を継ぎしくちびる冬薔薇煌星アニカ@TFP句会

  • 冬薔薇や碑文は大王の事績霧澄渡

  • 冬薔薇の棘に雫や解脱の日ギル

  • 冬薔薇や老いた王女の夢を見る近未来

  • また来ると病室去りぬ冬の薔薇久我家萬蔵

  • 優駿の鼻孔血のいろ冬薔薇句々奈

  • 母像の鉄の合掌冬薔薇くさ

  • 点滴のいろはにほへと冬薔薇久信田史夫

  • 次々と家族の逝きて冬の薔薇楠田草堂

  • 冬薔薇老いても子にはしたがわずくちなしの香

  • 冬薔薇や君に隠れてする話くつのした子

  • 冬薔薇や止り木として夕日影熊谷温古

  • 冬薔薇花屋へパート退職日ぐりぐら京子

  • 未解決事件の家の冬薔薇久留里61

  • 曲がるまで母は手を振る冬薔薇黒瀬三保緑

  • 沈黙の続くテーブル冬薔薇月下檸檬

  • かなしびは神のらくがき冬薔薇げばげば

  • 冬薔薇や葬列見遣る最後尾欅谷風来

  • 冬薔薇や家継ぐ旅の荷のふたつ謙久

  • 冬薔薇笑顔さびしい人でしたケンG

  • 寒薔薇や礼も言われぬ肩代わり原神かたな

  • 外泊延期主治医の背には冬薔薇剣橋こじ

  • 門兵のごとくすくつと冬薔薇剛海

  • ゆびさきに膿の兆して冬薔薇公木正

  • 冬薔薇や更に淋しき雨上がり柑たちばな

  • 冬薔薇二階はヒトの住む気配幸田梓弓

  • 満ち潮より引き潮が好き冬薔薇幸田柝の音

  • 冬薔薇摂食障害のあの子こうだ知沙

  • 悲しみに幾つもの時差冬薔薇古賀

  • 冬薔薇バッハの肖像画が睨む木染湧水

  • 号哭を表せません冬薔薇よ古知野朝子

  • さめざめと雨冬薔薇の白洗ふ虎堂吟雅

  • 冬薔薇剥がれしガーゼの膿の染み後藤真昼

  • 一昨年の笑顔の写真、冬薔薇来冬邦子

  • 占ひの館を出れば冬薔薇このみ杏仁

  • 日差し入る文机の香や冬薔薇小林昇

  • 冬薔薇くちづけすれば紅茶の香小林澄精

  • 冬バラに話し掛けてる郵便屋小山晃

  • 篝火は燃え尽きてゐる冬薔薇小山秀行

  • 冬薔薇や回収を待つ段ボール碁練者

  • 冬薔薇やお道具箱を検める今藤明

  • 冬薔薇フジコが紡ぐ夜想曲さいたま水夢

  • 冬薔薇へ頬杖ついてゐるピエロ齋藤満月

  • 冬薔薇の家へ序での回覧板斉藤立夏

  • 花に葉に土の香あかし冬薔薇さおきち

  • 生けられてやさしく尖る冬薔薇酒井春棋

  • 冬薔薇連打華々しきコーダさかえ八八六

  • 火薬濃き明けの市街の冬薔薇榊昭広

  • 撓み伸び冬薔薇は夕陽の御旗坂島魁文

  • 冬薔薇や部屋に残りし君の声坂野ひでこ

  • 冬薔薇色褪せぬ裸婦画の視線咲代咲

  • 冬薔薇やこむら返りの痛みひく咲まこ

  • 冬薔薇いまも変はらぬ片笑窪桜鯛みわ

  • 冬薔薇墨絵に棘を立てにけり桜華姫

  • 冬薔薇紅絹色痛くないですか?迫久鯨

  • 冬薔薇は白し脳外の待合室雑魚寝

  • 放課後の美術部室の冬薔薇さざれいし

  • 冬薔薇や産みし子牛を舐めてをり佐藤恒治

  • 朽ちるまで放り置かれし冬の薔薇砂月みれい

  • 冬薔薇やカルテとなりし日記帳佐藤茂之

  • 冬薔薇の匂ひに慣れて部屋ひとり佐藤志祐

  • 冬薔薇胸に挿し合ふ珊瑚婚佐藤浩章

  • 冬薔薇や鼻のニキビに似て孤独佐藤ゆま

  • 冬の薔薇話し相手もゐない午後さぶり

  • 冬薔薇夢見るたびに冥くなる彷徨ういろは

  • 冬薔薇横顔だけを思ひ出しさむしん

  • 逢ひみてののちの冬薔薇いけすかんさるぼぼ17

  • 冬薔薇泣くのははたとせ後回し沢拓庵◎いつき組カーリング部

  • 冬薔薇わたしを褒めるのはわたし澤田紫

  • 冬薔薇ノーベル賞は亡命者沢山葵

  • 両奥の抜歯のつばや冬薔薇珊瑚霧

  • 冬薔薇の棘片思いの憂鬱しかの光爺

  • 惡の字の中に十字架冬薔薇柿司十六

  • 孵らない卵の番や冬薔薇四條たんし

  • 冬薔薇今日は息子と判る母信濃のあっくん

  • 冬薔薇いつまで独居できるのか篠雪

  • 冬薔薇や一日おきの福祉車両芝歩愛美

  • 徐々にあを剥がれたるそら冬薔薇渋谷晶

  • 冬薔薇ここは前世で生きたとこ島田あんず

  • 冬薔薇かがみの中の服の似合はず島田ユミ子

  • 重ねる手はなびらのごと冬薔薇清水ぽっぽあっと木の芽

  • 冬薔薇母のくびほどしなひゆく霜川このみ

  • 中退の虚無冬薔薇よどう生きる下丼月光

  • セロファンに冬薔薇ひかりごと包むじゃすみん

  • 言い忘れた事あるように冬薔薇沙那夏

  • 素通りの眼に刺され冬薔薇砂楽梨

  • 冬薔薇の機嫌伺う昨日今日正見

  • 冬薔薇去年は君がゐた窓辺庄司芳彦

  • 葉も刺も花も痛さう冬さうび正念亭若知古

  • 冬薔薇や為す侵襲の目にひんやり白井佐登志

  • 教会のバザー案内冬薔薇白石美月

  • 我のみが友と思いし冬薔薇白井百合子

  • ポストには不在票庭に冬薔薇不知飛鳥

  • 冬薔薇深く豊かなわらひじわ白猫のあくび

  • ドリームボックスあゝ聲も冬薔薇も白よだか

  • 仄白きいのちの炎冬薔薇神宮寺るい

  • 冬薔薇咲いてしまつて咲く覚悟真藤乙華散

  • 冬薔薇を童女となりし母へ活く新濃健

  • あしたこそ言の葉に変へ冬薔薇水都かほりこ

  • 一輪の紅がさびしと冬薔薇杉浦あきけん

  • 冬薔薇や声に八十億通り杉浦萌芽

  • 冬薔薇に虫蹲る明日は晴れ杉岡ライカ

  • 冬薔薇も聴けり「月の光」を「月光」を杉本果ら

  • 冬薔薇友の子はもう六歳に鈴木季良恵

  • 冬薔薇や棘は盛りの頃のまま涼希美月

  • バイロンのパラフィン紙啼く冬薔薇鈴木由紀子

  • 風失せて光を紡ぐ冬薔薇鈴木りおん

  • 全摘の妻すっぴんの冬薔薇すずしろ桂

  • ふ・ゆ・ば・らと唱ふるごとく闇夜の香鈴白菜実

  • 女王陛下の鏡のなかの冬薔薇鈴野蒼爽

  • 冬薔薇やジョニーの音色老いて恋素敵な晃くん

  • あからさまに老いを読むなと冬薔薇砂山恵子

  • 冬薔薇はさみしいときの心拍数すまいるそら

  • 宮殿に幾何学模様冬薔薇須磨ひろみ

  • 憧れに微量の恐れ冬薔薇瀬央ありさ

  • 君のゆめ覚めてあざあざ冬薔薇瀬紀

  • 冬薔薇へ浮力を与へ射手座へ行くの摂田屋酵道

  • 道化師の笑顔くずれて冬薔薇千・いつき組広ブロ俳句部

  • 棘を生むほどの産声冬薔薇宗珂

  • 青空にうすき残月冬薔薇そうま純香

  • 冬薔薇やアイスランドのルーン文字草夕感じ

  • 冬薔薇しか食べられぬ魔女の庭外鴨南菊

  • 冬薔薇花占いのくつがへるそぼろ

  • 冬薔薇やどうにもならぬものに性そまり

  • 冬薔薇やフェリーの舫綱細し空豆魚

  • 冬薔薇ワルツのための手にならず大地緑

  • 陽を受くるまでの冬薔薇慎ましくたいらんど風人

  • 君が代を手話に一唱冬薔薇高尾一叶

  • 冬薔薇日の射して汝は退院し高杉光水

  • 冬薔薇以外現在完了形高橋手元

  • 冬薔薇空の青さに耐え抜いて高橋ひろみこ

  • 冬薔薇ゼンマイ締めるオルゴール高橋マママリン

  • 冬薔薇我の心もまだ老いず高旗三紀子

  • 冬薔薇の香り繙くことば蔵高原としなり

  • お隣のセンサーライト冬薔薇鷹見沢幸

  • 散る力無きぞ愛しき冬薔薇たかみたかみ・いつき組広ブロ俳句部

  • 疵ありて傷ありて立つ冬の薔薇高山佳風

  • 冬薔薇の蕾D判定の君滝上珠加

  • 雲来り雲去り紅き冬薔薇滝川橋

  • 冬薔薇母の荷物は僅かなり竹内不撚

  • 雨つぶを宝石色に冬薔薇たけぐち遊子

  • 冬薔薇ポストに滲む督促状竹田むべ

  • 印象は文字にはならず冬薔薇多事

  • 初めての日曜礼拝冬薔薇太之方もり子

  • 冬薔薇や遺せる物の然程無く田代充

  • 寒そうび残し鏡のかほりかなたすく

  • 冬薔薇やヨガのアプリの褒め上手多数野麻仁男

  • 何時の間の卒寿ならむ冬薔薇多田知代子

  • 冬薔薇や誰にも媚びることはない立田渓

  • 白といふ鋭利な温度冬薔薇立田鯊夢

  • 冬薔薇や事故物件の壁白し辰巳電柱

  • 冬薔薇や我に厳しい我となれ田中紺青

  • 心臓の水門の脈冬薔薇田中みどり

  • 左手は良き手相らし冬薔薇谷相

  • 冬薔薇恋も見合いもしないけど谷口詠美

  • 冬薔薇や指に音なき課題曲谷しゅんのすけ

  • 冬薔薇や乳房切除をだから何谷町百合乃

  • 冬薔薇低き光を拾いおり田畑せーたん

  • 冬薔薇や荷を引く馬の頸短か田畑整

  • 冬薔薇ひかりにくぼみあるごとく玉家屋

  • 働けともう言はれない冬薔薇玉木たまね

  • 逆光にパラフィン紙めく冬薔薇玉響雷子

  • 遺品など何ひとつ無し冬薔薇田村利平

  • 冬薔薇歌声だけが残りけり鱈瑞々

  • 冬薔薇や枯れる力を残しおり竹庵

  • 冬薔薇一歩踏み出す喪のヒールちさいちそく

  • 冬薔薇「父」空欄と知る戸籍千鳥城、広ブロ俳句部カナダ支部

  • 雲にだけ聞かせるように冬薔薇千葉右白

  • 車高短の排ガス臭や冬薔薇ちやあき

  • 予備校の灯り冬薔薇の黄色彫刻刀

  • 冬の薔薇アドレス篩い落としたりちろりちろりみゆき

  • 十円の短き通話冬薔薇塚本隆二

  • 冬薔薇や友と諍ふ日の孤独月城龍二

  • 冬薔薇酸素マスクの父と会う月見人

  • 冬薔薇が荊になった時もある月夜案山子

  • 冬薔薇写真の母のハイヒール辻ホナ

  • 生きながら遺影選ぶや冬薔薇つちや郷里

  • 冬薔薇や水星火星みんな石津々うらら

  • 冬薔薇ピアスの穴も塞がった綱川羽音

  • 黙祷の肺に冬薔薇は咲くかツナ好

  • 冬薔薇を束ね銀座の午後六時椿泰文

  • 冬薔薇牛乳瓶は母の花器つぶ金

  • ゆびきりげんまんは痛し冬薔薇鶴富士

  • かりそめの恋人待ちの冬薔薇哲山(山田哲也)

  • 冬薔薇時の欠片が乾きをり天王谷一

  • 冬薔薇ビスクドールの半笑ひ天陽ゆう

  • 妣に似た老女の背中冬薔薇土井あくび

  • 冬薔薇映しピアノの黒光り冬野志奈

  • この路を母としりとり冬薔薇苳蕗

  • 冬薔薇や指しならせてラヴェル弾く遠峰熊野

  • 吐く息に輪郭少し冬薔薇とかき星

  • 雑踏に静止のピエロ冬薔薇ときめき人

  • 冬薔薇発火しさうに尖りけり常磐はぜ

  • 冬薔薇やさわさわ軋む手に軟膏戸口のふっこ

  • 変声期前の讃美歌冬薔薇どこにでもいる田中

  • 被災地のかしいだ塀や冬薔薇とすかのようこ

  • 冬薔薇や触れらるることなきままにどすこい早川

  • 冬薔薇ゆらゆら揺する水御籤となりの天然水

  • 冬薔薇を返して鈴木しづ子の句戸部紅屑

  • 冬薔薇の灯り弱音を夜に解く苫野とまや

  • 冬薔薇に闇なき昼を覚へたり富永武司

  • 少年は口一文字冬薔薇富野香衣

  • 欲しいもの何もなくなり冬薔薇富山の露玉

  • 冬薔薇時を刻まぬ腕時計とよ

  • 治らない爪噛み癖よ冬薔薇よ鳥田政宗

  • 冬薔薇毒を入れたる玻璃の壺豚々舎休庵

  • 冬薔薇や歩行器沈む砂利の道頓堀頓

  • 校門に踵返す子や冬薔薇内藤清瑤

  • 唇の傷む人形冬の薔薇内藤羊皐

  • 冬薔薇に鋏を入れるちからかな中岡秀次

  • 冬薔薇を育て渾名は鉄仮面中尾鎖骨

  • 鋭角の日差し冬薔薇の陰翳なかかよ

  • 冬薔薇蝋涙を削ぐ修道士中里凜

  • 鮮明に冬薔薇色に近づく画中澤孝雄

  • 停戦へ百万本の冬薔薇中島走吟

  • 母は今朝亡くなりました冬薔薇長嶋無有子

  • 冬薔薇は天文単位測り待つ永嶋夜久

  • 一咲のけふゆくりなき冬薔薇中西千尋

  • 冬薔薇や人が泣かない夜はない中原柊ニ

  • 予約日を違えし歯科に冬薔薇仲間英与

  • 帯結ぶ鏡の奥の冬薔薇仲操

  • 孤独なる星香は冬の薔薇なる梨山碧

  • むきだしの乳房めく冬薔薇の妍(けん)夏雨ちや

  • 追伸に記す本音や冬薔薇ななかまど

  • 冬薔薇や母にうれひの新しく七瀬ゆきこ

  • 深爪にささくれた指冬薔薇7パパ・広ブロ俳句部

  • 冬薔薇ガリ版の檄舞ひしことなびい

  • 冬薔薇テレビに映るよその国生天目テツ子

  • 冬薔薇や我の最期の服決めて奈良素数

  • 冬薔薇の二輪肩貸す風情にて西川由野

  • 静脈を辿るナースや冬薔薇西田月旦

  • 冬薔薇や船の汽笛の長く鳴る西村小市

  • 朝からの雨は錫色冬薔薇にゃん

  • 使われぬ裏階段や冬薔薇入道まりこ

  • 星空を配る朝刊冬薔薇庭野環石

  • 冬薔薇の香り眼下に航跡波庭野せんたく

  • 生き生きと日がな棘研ぐ冬薔薇沼宮内かほる

  • 打ちつける筆の掠れや冬薔薇猫ふぐ

  • 紅拭い友を見舞いぬ冬薔薇猫またぎ早弓

  • もう慣れた独り暮らしの冬薔薇野地垂木

  • 冬薔薇二年伸ばした髪を切るのなめ

  • 冬薔薇やここが出会いの老いの恋ののクラブ

  • 冬薔薇いらぬこと言わぬ一輪野原一草

  • 冬薔薇や鱗めく夜の輪郭へ野村齋藤

  • 冬薔薇をいま後ろ手に持ち替へるのりこうし

  • 偽れる自分好きです冬薔薇白山一花

  • 冬薔薇や荼毘の重なる月末日橋爪利志美

  • 独り身の一日長し冬薔薇馬笑

  • その呪詛は祈りの欠片冬薔薇蓮井理久

  • 冬薔薇に深紅の元気もらひけり羽住博之

  • 手折る手を思ひとどまり冬薔薇蓮見玲

  • 冬薔薇や少年は死を恐れ初む長谷川水素

  • 冬薔薇や父の褥瘡洗う朝葉多豊

  • 沈黙やカルテの横の冬薔薇葉月庵郁斗

  • 本当は星は消えない冬薔薇八田昌代

  • 点滴のリズム明日へ冬薔薇花岡淑子

  • 頑なの形解けり冬薔薇花咲春

  • 冬薔薇やほんたうに彼善きひとか花水木

  • 陽の欠片まぶして紅き冬薔薇花見鳥

  • 失恋の美術部長の冬薔薇花和音

  • 花束にならずとも良し冬薔薇はむこ

  • 冬薔薇にハレルヤ聞ゆ赤昏し早足兎

  • 冬薔薇や鋏に映る棘の色原口竹九

  • 硝子の天井突き破れ冬薔薇原田くろなつ

  • この星の目的は何冬薔薇原田民久

  • 踏台に板書消す子よ冬薔薇よ巴里乃嬬

  • 飼ひ慣らした牛屠る夜の冬薔薇晴田そわか

  • 吊り篭に翅の残りて冬薔薇はるの風花

  • 致死量の小さじ半分冬薔薇春野ぷりん

  • くれなゐは黄泉への灯冬薔薇春海のたり

  • 冬薔薇は宇宙の遊び人もまたはれまふよう

  • 冬薔薇あゝ閉経といふ地獄万里の森

  • 別れ話こじれし夜の冬薔薇ピアニシモ

  • 冬薔薇ばらばらな靴が来てゐる東沖和季

  • 冬薔薇落人谷にしらじらと東田一鮎

  • 逡巡を断ち切りし冬薔薇を剪る匹田小春花

  • 黒鳥の憩ふ廃園冬薔薇樋口滑瓢

  • 息子には老後託さぬ冬薔薇樋口ひろみ

  • 冬薔薇を抱えて来ても許さないピコリス

  • フェンスてふ牢に冬薔薇のみ咲きてひでやん

  • 指触らば砕け散るらむ冬薔薇一石劣

  • 犬の骨根元に埋めて冬薔薇ひと粒の種

  • 冬薔薇や華僑二世の古暖簾一人男

  • 冬薔薇たぶんこれから別れ話日向こるり

  • 大野一雄扮する娼婦冬薔薇比々き

  • 母さんは母さん冬の薔薇きれいヒマラヤで平謝り

  • 冬薔薇滑り台は鉄のにおい日吉とみ菜

  • 冬薔薇館の主はペルー人飛来英

  • 冬薔薇やFacebookに恩師の死平本魚水

  • 冬薔薇や枝より搾り出す如し平山仄海

  • 冬薔薇柩を埋めて華となる浩子赤城おろし

  • 脆さとは強さでもあり冬薔薇廣重

  • ぬつと棘出てゐる冬薔薇の殺気広島じょーかーず

  • 吾の死後は冬薔薇のみを愛すこと広瀬康

  • ふるへをり襟のホールの冬薔薇が弘友於泥

  • 冬薔薇シーズーだけが待つ暮らしフージー

  • 冬薔薇や及ばぬ夢の後しまつ風慈音

  • 瞬間冷凍のごと深紅の冬薔薇深蒸し茶

  • まだ寿命あるらしと母冬薔薇福井桔梗

  • 煩悩を一輪残す冬薔薇福川敏機

  • 冬薔薇や鉄扉開かぬまま夕べふくじん

  • 冬薔薇の棘半世紀帰り待つ福田みやき

  • サ高住の冬薔薇会話の糸口福ネコ

  • 常用薬残り一錠冬薔薇福間薄緑

  • 縁側の錆びた農具や冬薔薇ふくろう悠々

  • 夭逝の頬の冷たさ冬薔薇ふじこ

  • 冬薔薇や生きる時間を買う鼓動藤咲大地

  • 掻きむしる夜の鉄臭き冬薔薇藤里玲咲

  • 冬薔薇の後ろ姿に立ち止まる藤沢・マグネット

  • あをじろき宿酔にゐて冬薔薇藤白真語

  • 長崎の像の指差す冬薔薇藤永桂月

  • 冬薔薇羽ばたけそうな青い空藤本だいふく

  • 冬薔薇俺は夜にしか斬らないふにふにヤンマー

  • 冬薔薇や父の眼窩に皺重ね風友

  • 冬薔薇や呼ばれぬままの名を待ちて古織沃

  • 人形の家に人形冬薔薇古瀬まさあき

  • 冬薔薇や敬語ほどけてゆく狭間ふるてい

  • 黒柵の聖者の如き冬薔薇文室七星

  • 冬薔薇の声や青き街を迷ふ碧西里

  • 教会の賛美歌冬薔薇の庭へペトロア

  • 空もなんも透きとおってる冬の薔薇ほうちゃん

  • 病棟の朝の外気や冬薔薇北人

  • 冬の薔薇レコード盤へ無垢の針黒子

  • 子を持たぬ決意に揺るる冬薔薇星屑今日子

  • 冬薔薇や履歴書をまた書いてをりほしぞらアルデバラン

  • ありそうなトルソーありそもない冬薔薇星田羽沖

  • 冬薔薇や指輪へ通す薬指星月彩也華

  • 汝れにある他人の顔や冬薔薇星野石香

  • 冬薔薇の痛みにシャッター押せないほしの有紀

  • 英字紙に包みてくれし冬薔薇細葉海蘭

  • 樹木札剥げて冬薔薇の自由ポップアップ

  • バリトンの振動胸に冬薔薇舞矢愛

  • 冬薔薇の色を留めぬ蒼き白馬門宗太

  • 冬薔薇佐渡より鳥の訪ねけり牧場の朝

  • 鋼鉄の階段あをく冬薔薇槇原九月

  • 腕脚に戻らぬ力冬薔薇牧茉侖

  • 冬の薔薇消えない油性ペン乾くまこと七夕

  • 冬薔薇はひたむき手術は十時から正男が四季

  • 冬薔薇米研ぐ音の老ひとり町田勢

  • 鑑真の開かぬまぶた冬薔薇町田思誠

  • 冬薔薇や地中に眠る不発弾松浦姫りんご

  • 冬薔薇月命日は十二日松岡さつき

  • 冬薔薇鴉の空を切り裂いて松岡玲子

  • 刻まれし墓誌のしろじろ冬薔薇松坂コウ

  • 抱癖をあやす夜歩き冬薔薇松平武史

  • 冬薔薇尿瓶に光射しにけり松田寛生

  • 冬薔薇前後左右にある小言松本こっこ

  • 園歩く声の影置き冬薔薇松和幸太郎

  • 冬薔薇今朝はオナガも顔見せず瑪麗

  • 冬薔薇や腹黒が幸せそうに丸井ねこ

  • さかさまに提げて摩天へ冬薔薇まるごとハテナ

  • 病から来る暴言や冬薔薇丸山隆子

  • 冬薔薇ちひさき蕾とほき国丸山美樹

  • 赴任地や母語を話せぬ冬薔薇慢鱚

  • あの人とおなじ訛りの冬薔薇まんぷく

  • 冬薔薇の花より紅き茎である三浦海栗

  • 冬薔薇内耳の石のサリサリと三上栞

  • 冬薔薇や火星探査の続く夢三河三可

  • いつの間に同士と成りぬ冬薔薇みかん成人

  • 冬薔薇を剪る胆管を再築する岬ぷるうと

  • ブリジットバルドー逝きぬ冬薔薇三崎扁舟

  • 冬薔薇や電気の消えた控え室mr.kikyo

  • 冬薔薇に隠した嘘を覗き見る水巻リカ

  • 吾を抱くは吾の両手のみ冬薔薇三隅涙

  • をみな来て冬ばらの歳尋ねけり三高姫

  • 冬薔薇硬き蕾に色を問ふ美智子

  • 血族に他人は一人冬薔薇巳智みちる

  • 赦したるものに冬薔薇アスピリンみづちみわ

  • ペテン師の騙した家の冬薔薇満る

  • 冬薔薇や嘘つくために言葉ありみつれしづく

  • 陽を浴びし冬薔薇月まで届けみなづき光緒

  • 冬の薔薇近くて遠い2階の子みなみはな

  • おとうとを棺に冬薔薇を横に源早苗

  • 冬薔薇マリア観音半眼に嶺乃森夜亜舎

  • 記憶はかなた冬薔薇の棘は硬し美村羽奏

  • 青空の気力は微罪冬薔薇宮井そら

  • 冬薔薇や身内で済ます七回忌見屋桜花

  • 小雨過ぐこぼさぬやうに冬薔薇はみやざき白水

  • 冬の薔薇こゑを殺せば頬ふくらむ宮下ぼしゅん

  • 冬薔薇や歳を重ねて似あふ色みやま千樹

  • 頼りなきひかり飢える冬薔薇深山柚仁

  • プーシキンの詩を浴びて咲く冬薔薇ミラベル

  • 冬薔薇なれそめ聞きたがる生徒麦乃小夏

  • 白ばかり咲き残りたる冬薔薇麦野光

  • 冬さうび不開の門を羽交ひ絞め椋本望生

  • 小さき手の奏づるベルよ冬薔薇無弦奏

  • 冬薔薇号砲乾く往復路むねあかどり

  • かなしみの愛しき仮晶寒薔薇茗乃壱

  • 冬薔薇やさよならの風逃げてゆく目黒青邑

  • 冬薔薇の陽だまり小さき読書会茂木りん

  • 愛犬の香の遺る小屋冬の薔薇藻玖珠

  • 冬薔薇や回り道して迷ふ午後望月ゆう

  • 張りつめた空はレプリカ冬薔薇本村なつみ

  • 孤独との折合ひつけて冬薔薇momo

  • 冬薔薇咲きてしをれるまでの嘘百瀬はな

  • 箔押しの絵本重たし冬の薔薇桃園ユキチ

  • 冬薔薇封蝋は会心の出来森捷子

  • じつと咲く中也の庭の冬薔薇は森上はな

  • 冬薔薇自販機前の車椅子森佳三

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  • 「売家」立札一面の冬薔薇岸壁の龍崎爺

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  • 還暦のグラン・パ・ド・ドゥ冬薔薇古烏さや

  • 冬薔薇や次の講義は5号館澤野敏樹

  • 冬薔薇やカヌレの列の最後尾姫川ひすい

画像:佳作
  • 冬ばらにとげ凛として指をさすえのき筆丸

  • 冬薔薇凛と昭和の喫茶店おおにしまこと

  • 冬薔薇素足の如く凛と立ち黒望

  • 冬薔薇や突風の中凛として湖水鈴

  • 冬薔薇や日差しを凛と赤の芯流れ星

  • 冬薔薇や凛とした影妻のよう森嶋ししく

  • 凛として咲き誇るかな冬薔薇明日葉

  • より凛と棘の鋭き冬薔薇戸根由紀

  • 九輪の黄花凛として冬薔薇やまだ童子

  • 冬薔薇の耐え抜く姿は威風凛凛かなほのちゃん

  • 淋しくも凜と主亡き冬薔薇堀隼人

  • 主亡き門のある家冬薔薇みやかわけい子

  • 主亡き屋敷の主冬薔薇宮坂暢介

  • 主人亡き冬薔薇の蕾は固し

  • 冬薔薇の主なき家を守りけりはままこみかん

  • 冬薔薇やひとつふたつの秘密あり藍野絣

  • 冬薔薇やあの日の君は夫となりあ。うん

  • 冬薔薇やをはづす夜青井季節

  • 近づくと冷たい香り冬薔薇青井心平

  • 冬薔薇を散らす快打や草野球明日に翔ぶ会

  • 軽やかに来るボランティア冬の薔薇井中ひよこ号

  • 冬薔薇が一つ切ろうか切らまいか大阪駿馬

  • 庭柵にドミソと並ぶ冬薔薇大澤道史

  • 頑張れと言ひ過ぎたかな冬薔薇小川紅子

  • 一輪でいい一輪がいい冬の薔薇梶浦和子

  • 帰らじと親元離る冬薔薇風乃絣

  • 老猫の小さきうんちや冬の薔薇花鳥風猫

  • 冬の薔薇認知の夫に老いの妻亀くみ

  • 冬薔薇かくもありたしありたくもなし季紫子

  • 冬薔薇かの人居なくても咲けりごーくん

  • 初恋の人は君です冬の薔薇櫻井こむぎ

  • 冬薔薇「ええ幸せ」とあはき嘘三月兎

  • 冬薔薇や鼻が伸びても嘘が要る慈雨

  • 冬薔薇わたしゃまだまだ死にたくない惣兵衛

  • 冬薔薇や妻の言葉に小さき嘘清白真冬

  • 冬の薔薇ここに貴方はもう居ない高木音弥

  • 冬薔薇や切るを許さぬ立ち姿たべい白芙蓉

  • 冬薔薇都大路を女子走者天童光宏

  • 冬薔薇よ認知の義母のまた転倒杼けいこ

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  • 「美人にね」百歳笑ふ冬薔薇白山おこ女

  • 冬薔薇何に化くやと思案中遠藤玲奈

  • 冬薔薇見合い話を声高にEarlyBird

  • 冬薔薇の見た里山やうら淋しあいあい亭みけ子

  • 遠巻きに一輪浮かぶ冬薔薇逢花菜子

  • 冬薔薇全ての紅を浮き彫りに蒼井優子

  • やっと見つけた間に合った冬薔薇青橘花

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  • 冬薔薇の君の棘をも握りしむ昭廣梵字

  • 冬薔薇君の香りに敗れたり空き家ままごと

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  • 吾の知らぬ街に生く孫冬薔薇よアクエリアスの水

  • 室内に月明かりあり冬薔薇芥川春骨

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  • 朝暗く垣根の冬薔薇浮き出でる亜紗舞那

  • いじめられっ子に寄り添う冬薔薇あさみあさり

  • 瓦礫降る街の片隅冬薔薇飛鳥井薫

  • 風吹きて孤高のワルツ冬薔薇あすなろの邦

  • 旧友来たりチャイの芳醇冬薔薇麻生恵澄

  • 燃える地の抗う民よ冬薔薇よat花結い

  • 冬薔薇と等間隔や姉の怨あねもねワンヲ

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  • 冬薔薇や制服脱げばネイリスト新井ゆう

  • 風の中棘なお固き冬薔薇蛙里

  • 冬薔薇星夜の空に際高し有川句楽

  • 早朝のバス停前や冬薔薇有田みかん

  • 冬薔薇や卒寿の母に紅をひき粋庵仁空

  • 美しき時を生きたり冬薔薇生野薫

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  • 古希の朝庭にひとつの冬薔薇以倉佳子

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  • 路上ライブ最初の客は冬薔薇池田華族

  • 庭飾るLEDと冬薔薇伊澤ゆき抄

  • 冬薔薇の一枝しづけく真紅なり石井久次

  • 出征の朝の横顔冬薔薇石垣エリザ

  • 赤き実は生きた証や冬の薔薇石村香代子

  • ベランダに一ひらほどけた冬薔薇石本美津

  • 色抜かれひらけぬ一輪冬薔薇泉晶子

  • 記念日や冬薔薇の箱宅急便泉恵風

  • 息重し出勤前の冬薔薇和泉園実

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  • 冬薔薇をくしゃりと握り別れ告ぐ一井かおり

  • ゲネプロを終えて冬薔薇見あぐる夕市川りす

  • 延命を拒む母の目冬薔薇無花果邪無

  • 冬薔薇鬢のほつれに夜の帳いつかある日

  • 早朝の産科に産声冬薔薇伊藤亜美子

  • 携帯代未だ母持ち冬薔薇糸終因果

  • 工事中迂回路の先冬薔薇伊東海芋

  • 冬薔薇や野暮な裏庭紅を置く伊藤薫

  • 洋館の広き芝生に冬薔薇伊藤節子

  • 冬薔薇萎びた棘に愛のこす伊藤柚良

  • 冬薔薇きものを着ても細い叔母糸川ラッコ

  • 喜寿越えた妻の前掛け冬の薔薇伊那寛太

  • 冬薔薇や繋留された氷川丸イナホセドリ

  • 冬薔薇や夕べは灯点るから井口良範

  • 冬薔薇イマジンの曲懐古する今井みどり

  • 古書店の主にこやか冬薔薇いまいやすのり

  • 冬薔薇や三点杖で朝さんぽ今乃武椪

  • セーヌ川絵描きのカンバス冬薔薇岩佐りこ

  • 斜陽透く津軽グラスの冬薔薇岩清水彩香

  • 冬薔薇そばにいるからみてるからうえともこ

  • 残業も嫌いじゃないと冬薔薇上野眞理

  • 無言館つぼみ天向く冬薔薇靫草子

  • 強制の接種の帰路へ冬薔薇宇野翔月

  • 晴天の大根の月冬薔薇卯の花京

  • 冬ばらの散歩欠かさぬ臨月の梅里和代

  • 黒縁の写真の笑顔冬薔薇麗し

  • 冬薔薇なぜ果敢にも今に咲く永遠の旅人

  • 就活のES書き上げ冬薔薇詠・想風土

  • 移ろうた浅き夢見し冬薔薇えだまめ

  • 一輪の冬薔薇揺れる友求め越中之助

  • 冬薔薇や深紅も黒に成り果てるえのき絵巻

  • 復興に起つ松柏と冬そうび榎本雅

  • 姉思う香りと棘の冬薔薇よえみくれ

  • 佇まい母のようです冬の薔薇大石聡美

  • 冬薔薇や六十代の若旦那大江きみ

  • 冬薔薇をんな心の爪を研ぐ大川すまき

  • 冬薔薇遠き列車に耳澄ます大越総

  • 円熟の舞台降りるや冬の薔薇大越マーガレット

  • プレゼント配達途中冬薔薇大嶋宏治

  • 冬薔薇つぼみ開かぬままの夜に太田けいこ

  • 里の庭亡き母しのぶ冬薔薇大舘さと

  • 冬薔薇の香りやほのか領事館太田一駄歩

  • ダメもとで言ってみるもの冬薔薇大野美波

  • 夕暮れや空き家にぱっと冬薔薇大原妃

  • 無人駅ホームに母と冬薔薇よ大原雪

  • 廃屋のおしゃべり好きな冬の薔薇大道真波

  • 冬薔薇よ来年こそは尖らない岡一夏

  • 冬薔薇棘の數だけ血を吸ひて岡崎佐々紅

  • 低き空雲を払ひし冬薔薇岡崎未知

  • 冬薔薇ひとり暮らしも十年目岡田いっかん

  • 冬薔薇や水切りのみづ煌めいて岡田瑛琳

  • 廃園に冬薔薇が咲き残りたる岡村恵子

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  • そりかえるほどの風うけ冬薔薇は小野ぼけろうじん

  • 何故咲くと冬薔薇に問う出来損ない海堂一花

  • 病床で冬薔薇咲きと聞きにけり甲斐ももみ

  • 背表紙の飾り字の縁冬の薔薇火炎幸彦

  • 冬薔薇や触れずに終へし午後の恋影夢者

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  • 冬薔薇や世話役のなき外の猫かすかべえやん

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  • 年金でどうにかなるさ冬薔薇風の母

  • 冬薔薇や遠き記憶の庭に咲く片岡明

  • 冬薔薇の紅やラジオのアヴェマリア加田紗智

  • 廃校の庭冬薔薇と青い空帷子砂舟

  • 冬薔薇や夜半の無限スクロール加塚東隆

  • 荒畑や水路は枯れし冬薔薇加藤水玉

  • 弁護士はメモに赤ペン冬薔薇加藤栗庵

  • 冬薔薇艶なき街に紅を差すかなこと結び

  • 冬薔薇の紅の出迎え友の庭金澤孝子

  • 振り向けば香り仄かに冬薔薇金子陽

  • 冬薔薇花片ひとひら震ふとき金子今音

  • 冬薔薇や解きし着物リメイクす金子泰山

  • 冬薔薇見えない雨がぽつり、ぽつりかねつき走流

  • 冬薔薇嫌味を一つ聞き流し花星壱和

  • 冬薔薇よ貴方は貴方そのままで亀岡恵夢

  • 一輪も束ねても良し冬薔薇亀山逸子

  • 子規のいた縁側ガラス戸冬薔薇かもね

  • 冬薔薇や日々よみがえる師の教え鴨の里

  • 冬薔薇の枝葉の透けて海見ゆる加裕子

  • 破れ屋の窓から眺む冬薔薇カラハ

  • 冬薔薇や恋慕のごとき深い紅河孝

  • 一輪で香りも色も冬薔薇川辺世界遺産の居候

  • 徒歩30分ジムまでの道冬薔薇カワムラ一重

  • 冬薔薇絡まぬ指の共寝かな神田八景

  • 冬薔薇何ハラですか無理せずにがんも三世

  • 冬薔薇早起きは三文の徳key

  • 冬薔薇や入院最早二週間菊池克己

  • 冬薔薇一輪猶もちて孤り菊地義明

  • あつらえのスーツ、指輪と冬薔薇と如月ゆう

  • 冬薔薇深き紅色深き愛酒暮

  • 青空と枯枝を彩る赤き冬薔薇義想

  • 散歩道見つからないの冬薔薇北田ひまり

  • 冬薔薇咲きゆく姿たつぷりと木谷智子

  • 灰色の空に一輪冬薔薇北乃大地

  • 花びらは垂れてそのまま冬薔薇北の星

  • 勝負の日冬薔薇凌ぐ吾は発つ北美三風

  • 二年遅れの還暦祝ひ冬薔薇北村環

  • 白雪姫O役を演る冬薔薇貴田雄介

  • 霜溶けの花弁のふち冬薔薇君塚美蕉

  • 病室の君はおしゃべり冬薔薇木村カズ

  • 冬薔薇全摘処置を終えし朝木村修芳

  • 断ち切れぬ断念ひとつ冬薔薇木村信哉

  • 迷い込む路地どん突きの冬薔薇木村弩凡

  • 下灘の錆び付きポスト冬薔薇旧人をーるど

  • あざあざと差す行きずりの冬薔薇Qちゃん・広ブロ俳句部神奈川支部

  • 冬バラを愛でる主人に寄り添わん鳩礼

  • 冬薔薇あなたの強さをもらいたい京極江月

  • 妻とゐてこころ奪はる冬の薔薇京野秋水

  • 冬薔薇や九十歳になる句友清鱒

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  • 曇天に読経ひびいて冬薔薇キン肉アタル

  • 冬薔薇汚れの残る窓ガラスくぅ

  • 転任地離島の校舎冬薔薇鯨之

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  • 境内に薬師の湯殿冬薔薇くずもち鹿之助

  • 冬薔薇に手を添え息を吹きかけり愚禿忍

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  • ビル街の谷は密やか冬薔薇國本秀山

  • 車椅子窓辺に寄せて冬の薔薇國吉敦子

  • 冬薔薇や灯りに見える垣根越し窪田和子

  • 冬薔薇や寮の灯りの三つ四つくぼたみどらー

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  • 深々と見送る女将冬薔薇栗田すずさん

  • 冬薔薇や手入れ呆けて棘の赤栗田芳文

  • 冬薔薇ふたつ蕾があったのに空流峰山

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  • 荒ぶ風上へと誇るは冬薔薇黒猫さとみ

  • 冬薔薇書類の束の残りけり黒山万牛

  • 冬薔薇母の思ひ出色褪せず桑田栞

  • 御手紙の尚息づいて冬薔薇くんちんさま

  • 冬薔薇の蕾眺めて便り待つ慶唯

  • 冬薔薇小さく丸く咲く余生恵勇

  • ひかり受く一条の道冬薔薇家古谷硯翠

  • 冬薔薇や2席空いた送迎車ケビンコス

  • 告白に息をひそめる冬薔薇健央介

  • 寄る辺なき垣根の堅さ冬薔薇紫雲英

  • 秘密基地めく冬薔薇の純喫茶ケント

  • 来し方に後悔あまた冬薔薇小泉久美子

  • 冬薔薇シャッター街の赤提灯恋瀬川三緒

  • 冬薔薇や無垢にも棘が温く育ち河国老保忠

  • 魂を受け冬薔薇の散りてゆく紅紫あやめ

  • 心読めぬ女のような冬の薔薇神戸のカズくん

  • 代表に漏れて冬薔薇揺るる手に宏楽

  • 逢いたいと思いあぐねて冬薔薇郷りん

  • 尼寺の聖女の一日冬薔薇郡山の白圭

  • 冬薔薇青果売り場でイブを待つ木枯ごぼう

  • 赤のイタリア車白色の冬薔薇こきん

  • 吾子を待つピアノ教室冬薔薇苔間きい

  • 冬薔薇をジョグジャグかわす一輪車越村和行

  • カンパイのワイン味はふ冬薔薇小杉泰文

  • 冬薔薇賽の河原に石積みて五島潮

  • 消しゴムで消せぬ事務ミス冬の薔薇後藤周平

  • 放たるる矢の一閃や冬の薔薇後藤三梅

  • 病棟の空調温し冬薔薇後藤葉羽

  • モノしか無い部屋に水漬く冬薔薇粉山

  • 恋文の下書き触れし冬薔薇子猫のミル

  • ふと見れば手に深き皺冬薔薇小箱守

  • 冬薔薇の白くよそほふ朝ぼらけ小林脱太郎

  • 拭き終へしフロントガラスに冬薔薇小林のりこ

  • 病室に点す灯りや冬薔薇小林久女

  • 冬薔薇溶けなば受くる手のひらに小林理真

  • 運命と宿命分ける冬薔薇独楽

  • 冬薔薇や子供らいない窓掃除駒茄子

  • 冬薔薇かよわぬ心抱きしめてこむぎ

  • 冬薔薇やとげの痛さも心地よくコロンのママ

  • 看護婦は戦地へ逝きし冬薔薇紺雪ぬくし

  • 冬薔薇ひそやかに鳥のこゑ降る彩汀

  • 都電撮る路肩に赤い冬薔薇や齋藤鉄模写

  • ユトリロのシャンソン酒場冬薔薇齋藤桃杏

  • 冬薔薇上司の声のボリュームはさ乙女龍チヨ

  • 政局に敢えてたたんか冬薔薇さかい癒香

  • 冬薔薇訪ふ人をらぬ古戦場坂口いちお

  • 冬薔薇よ又一つ消す住所録坂田雪華

  • 病院の結果待つ間よ冬薔薇さかたちえこ

  • 冬薔薇のここがロケ地かかの映画坂まきか

  • キャッチした新婦のブーケよ冬薔薇坂本千代子

  • ブロンドの子の目の青さ冬薔薇坂本雪桃

  • 散歩道冬薔薇見ゆ垣根かな相良まさと

  • 独りなどお淋しくないわ冬薔薇櫻井弘子

  • 真珠婚節目となりて冬薔薇桜月夜

  • 一心にひかり受け止め冬の薔薇さくら悠日

  • 垣根より生づる冬薔薇何処より佐々木佳芳

  • 冬薔薇ひとり薪割る母の紅ささきこてつ

  • 冬薔薇をパチンと切るや未亡人笹桐陽介

  • 冬薔薇番宣出づる吾の刹那さち今宵

  • 雪囲ふ前の冬薔薇堪えており佐藤公

  • 独り身の心紛らす冬薔薇佐藤俊

  • 吐く息に襟を窄めて冬薔薇佐藤佳子

  • チェリストの腕たおやかや冬薔薇里こごみ

  • 足場布ついと近づきぬ冬薔薇小夜ひと月

  • 失ふこと知らない強さ冬薔薇紗羅ささら

  • 名の誤字は言わぬが花か冬薔薇や沙羅双樹サリー

  • 質問を嫌う講師や冬薔薇紗藍愛

  • 暁の母なき家に冬薔薇佐柳里咲

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  • ただそこに亡夫のバラや冬薔薇塩沢桂子

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  • 冬薔薇いのちの意味を問ふごとく島掛きりの

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  • 冬薔薇はトゲ刺す前にそっと咲く島じい子

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  • 数咲きて薄き香りの冬薔薇下村修

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  • ドアベルの心悲しさや冬薔薇秋芳

  • 冬薔薇やララバイに乗り小夜に揺る種種番外

  • 咲ききるか終の力を冬薔薇じゅんこ

  • 冬薔薇モノクロの時季に色添えて春光響

  • 早期退職の決心冬薔薇順之介@QLD句会

  • 冬薔薇や主人洗車の腕近く白石鈴音

  • 冬薔薇を一輪胸にチャペル前四郎高綱

  • 透析の窓に木洩れ日冬薔薇新森楓大

  • 黙々と朝の人々冬薔薇深幽

  • 公園にインチキおじさん冬薔薇末広野暢一

  • 末席の母に手渡す冬薔薇すがのあき

  • 悪戯の虫の居らざる冬薔薇杉尾芭蕉

  • 旅立ちのかすみゆく眼の冬そうびすずきじゅん

  • 国債で武器を増やせし冬薔薇すず耀子

  • 冬薔薇女主人の銀の如露すそのあや

  • 道端につぼみ一輪冬薔薇数哩

  • 冬薔薇ちやんと背すぢを伸ばしゐる隅なめこ

  • 喜寿なんて溜め息深く冬薔薇晴好雨独

  • 冬薔薇や一輪のみで美尽くせりせいだるま

  • オーディション指先傷む冬薔薇星夢光風

  • 数年ぶりの子を待つ庭に冬薔薇曽田利江

  • 冬薔薇内々定の電話かな染井亀野

  • 歯磨きも風呂も嫌なり冬薔薇染井つぐみ

  • 冬薔薇に鼻が近づく散歩道駄詩

  • マネキンの髪にウェーブや冬薔薇たーとるQ

  • 地に下ろし葉のみ生き生き冬薔薇大ちはる

  • 冬薔薇や血を吐くか女性シンガーズ平たか子

  • 冬薔薇や横目に揺れる拡声器高瀬小唄

  • ぽん酢だけ買ひにゆくみち冬薔薇鷹取碧村

  • 冬薔薇起立す庭と犬の墓小鳥遊こはく

  • 人生の主役でありたい冬薔薇高嶺遠

  • とげさしつ花入れに入れ冬薔薇を高橋紀代子

  • 冬薔薇咲く葬儀終えた家の庭高橋こう

  • 冬薔薇咲いてもいいよ咲きなさい高橋光加

  • 冬薔薇や答弁台で見開く目隆松

  • 冬薔薇の重さに耐えて一輪挿し田上コウ

  • 病院に小さき中庭冬薔薇高見正樹

  • 冬薔薇あくまで風にさからはずタケザワサトシ

  • 冬薔薇のそれでも棘のきついこと武部博臣

  • 秒針はパスタみたいで冬薔薇たけろー

  • 冬薔薇やアントワネットの吐息香ぐ多胡蘆秋

  • 水彩画二十本の冬薔薇なり祐紀杏里

  • 吾を待つや朝陽浴びつつ冬薔薇ただ地蔵

  • 冬薔薇や裏通りに赤提灯ただの山登家

  • 生きている言わんがばかリ冬薔薇立花かおる

  • 冬薔薇を供える父の目の白む立石神流

  • 採血の針差し直し冬薔薇伊達紫檀

  • 点描のひとつの赤や冬薔薇谷口ロレッタ

  • ふくらはぎのいつか痩せけむ冬薔薇谷斜六

  • 冷凍になりし冬薔薇ラランブラ旅女

  • 碧空に赤の冬薔薇放り投げ玉響海月

  • 妹刺しきナイフ洗ふや冬薔薇丹波らる

  • テールランプ二キロ続く冬薔薇チームニシキゴイ太刀盗人

  • 子を亡くして重ねる日々や冬薔薇智恵の環

  • 冬薔薇は蕾のまんま固まれり茅野ともぞう

  • 冬薔薇と授産施設のガレットと千葉水路

  • 鉢に娘(こ)の落書き残す冬薔薇よ千夜美笑夢

  • 身ごもりて入籍の吾子冬薔薇ちょうさん

  • 冬薔薇や介護度1の父の背千代之人

  • 冬薔薇ひとりよがりの若作りつえりん

  • 冬薔薇や心明るく散策へ司蓮風

  • 通勤路あのお宅に冬薔薇咲く月ノイス

  • 冬薔薇負けるなと言う朝の窓月の莵

  • 不老不死の秘密を知ってる冬の薔薇ツキミサキ

  • 冬薔薇の庭や老婆の手と鋏月見里ふく

  • 冬薔薇バイトする子の笑顔かな月光一乙

  • 冬薔薇形見のチマの薄紅のつくばよはく

  • 糟糠の妻に贈らん冬薔薇辻瑛炎

  • 誘ふかに小枝そよぐや冬の薔薇辻美佐夫

  • 冬薔薇や夜のしじまに白揺らす辻栄春

  • 冬薔薇や油まみれの換気扇つちのこ

  • 曇り顔破顔一笑冬そうびつついぐれちゃん

  • 洗濯を終えた母の手冬薔薇津幡GEE

  • 冬薔薇わたしそんなにやはぢやない坪田恭壱

  • 冬薔薇やスマホ依存の反抗期ツユマメ・広ブロ俳句部

  • 失いし友との日々や冬薔薇手嶋錦流

  • 「初恋」を諳んじる子や冬薔薇哲庵

  • 還暦の価値を問われし冬薔薇徹光よし季

  • 曇天の公園冬薔薇の健気てん子

  • ほんのりとほんのりかたき冬薔薇とき

  • 冬薔薇や開け蕾の思うまま徳庵

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  • コンビニの灯りに浮かぶ冬薔薇登盛満

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  • あるじ無き洋館ひそと冬薔薇内藤由子

  • 迷わずに決めると誓う冬薔薇長岡美衣珠

  • 朱鷺色と決めてあなたへ冬の薔薇中島紺

  • 病床に遠きまなざし冬薔薇中島葉月

  • 墓参り誰が置いたか冬薔薇中嶋緑庵

  • 冬薔薇マーブルチョコは黒光り永田千春

  • 港見ゆる丘に一輪冬薔薇中藤雅子

  • 冬薔薇に一目置いて針仕事中原美香子

  • 独り鍋窓に亡き母の冬薔薇中村明日香

  • 亡き夫の微笑む如し冬薔薇中村あつこ

  • 冬薔薇の揺れる窓辺に灯がともり中村こゆき

  • 冬薔薇や今日はスマイル強化デー中村想吉

  • シャッター通り果てて二輪の冬薔薇中山由

  • よき言葉心に沁みて冬薔薇那須のお漬物

  • 全快にまだまだ遠く冬薔薇夏草はむ

  • 二三輪散って気付けり冬の薔薇夏椿咲く

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  • 偏屈な男の庭の冬薔薇ヒマラヤ杉

  • 冬薔薇に願いを託し頬拭いひめりんご

  • 想いだにせぬ入選や冬薔薇平井千恵子

  • 冬薔薇意思あるごとく咲く一輪平井由里子

  • 街道の悲しき埃冬薔薇平岡梅

  • 山里の道標かな冬薔薇平野純平

  • 山寺の卒寿の尼僧冬薔薇平林政子

  • 冬薔薇や老いてなお華になり平松一

  • 冬薔薇や強く気高く生きしこと平本文

  • 駅伝のシード権失す冬薔薇比良山

  • 生きてゆく泣くのは今日まで冬薔薇広島あーやあーや

  • 冬薔薇つむをまよへる人の影廣田惣太郎

  • 冬薔薇に棲まふ小虫の三昼夜広野光

  • ホスピスの帰途一輪の冬薔薇広ブロ俳句部三日余子

  • 冬薔薇赤く灯さん路地の奥琵琶京子

  • 冬薔薇の花びら入れてラブレターFUFU

  • 冬薔薇更地に積もる思い出よ風蘭草和

  • 宵の窓吾を待つ猫よ冬薔薇福弓

  • 散りてなお心に赤き冬薔薇無才句

  • 指一本の散り落ちる冬薔薇藤井かすみそう

  • 薄紅の一弁反りて冬薔薇藤丘ひな子

  • 詫状に一輪添える冬薔薇藤原涼

  • 冬薔薇庭に一輪紅に藤原訓子

  • 彼方には純白の嶺冬の薔薇舟端たま

  • 冬薔薇や合掌の手の皺多し冬野捨離

  • カフェ裏の出番終わりし冬薔薇古川しあん

  • 開放で孤独写すや冬薔薇古澤久良

  • 古民家の再生冬薔薇の安堵古庄萬里

  • 冬薔薇古道具屋の招き猫古道具

  • 冬薔薇や第九を流す窓越しに古谷芳明

  • 冬薔薇や住むとこ無くてオーマイガッべびぽん

  • 小輪の冬薔薇黄色陽を浴びて鳳凰美蓮

  • 返納し車庫の広さや冬薔薇芳醇

  • 肌を刺す風の甘き香冬の薔薇峰晶

  • 大輪の冬薔薇星を向き立てり房総とらママ

  • 日没は最後の帰路や冬薔薇暮戯

  • リハビリの都度立ち止まる冬薔薇北斗星

  • 手折らずにあるがままなる冬薔薇星雅綺羅璃

  • 冬薔薇や読めても書けぬ恋の文堀卓

  • 冬薔薇ひとまず齢は父を越え堀邦翔

  • 燃える赤少し横目の冬の薔薇本間美知子

  • 溝掃除空き家に赤き冬薔薇凡狸子

  • よりど無き胸に棘あり冬薔薇前田冬水

  • 冬薔薇柵に絡まる実も真紅槇まこと

  • 二日酔ひ不吉なよかん冬薔薇正岡田治

  • 静謐を閉じ込めて八重冬薔薇正川素宇

  • 冬薔薇に君の秘密を隠しつつ雅蔵

  • 堂々と剪定されし冬薔薇増山銀桜

  • 玄関に帰りを待てり冬薔薇松岡才二

  • 冬薔薇を土産に帰路のそよぐ風松尾祇敲

  • 黙念と見つめる人よ冬薔薇松尾老圃

  • 冬薔薇よ娘生まれた日も咲て松田迷泉

  • 冬薔薇つぼみのままのへそ曲がりまっちゃこ

  • ときめきをいまだわすれず冬薔薇ふくじろう

  • 花片の透ける陽光冬薔薇松原鈴子

  • 冬薔薇やいかにと思う遠き友松本牧子

  • 曇天の赤き蕾は冬薔薇豆久福子

  • 冬薔薇や表札はまだそのままにまやみこ恭

  • 冬薔薇や空家の生家にて文庫毬雨水佳

  • 卒寿超え踊るタンゴや冬薔薇真理庵

  • 冬薔薇の蕾の硬さ時を待つまりい木ノ芽

  • 老い楽のピアノ教室冬薔薇まるにの子

  • 祝開店オープン待つ冬薔薇よミースミース

  • 冬薔薇弁士の声のハイトーン三日月なな子

  • 冬薔薇や母のぬくもり残る色みかりん65号

  • 冬薔薇は置かれた場所に咲くかな三木崇弘

  • 庭守のやうな一輪冬薔薇三茶F

  • 過去を断つ母の拘り冬薔薇水上康男

  • 冬薔薇の香りを纏い庭掃除みずたまり

  • 子規庵に冬薔薇もまたあらまほし三田忠彦

  • 霧笛かな外人墓地の冬薔薇美津うつわ

  • 冬薔薇を覗くユーコ・ヨーコ・トモコ満生あをね

  • 冬薔薇は鬼子母の灯かあかく燃ゆ光月野うさぎ

  • 冬薔薇老けることなき大女優美月舞桜

  • 病棟の廊下に独り冬薔薇ミナガワトモヒロ

  • 冬薔薇かすかに香るベンチかな湊かずゆき

  • 涙ぐむ祖母の遺影に冬薔薇みはやななか

  • 早退の迎えいらぬや冬薔薇三群梛乃

  • 出立の我を励ます冬薔薇深森明鶴

  • 冬の薔薇山陰本線完乗す都乃あざみ

  • 冬薔薇や晴れた空突く棘細く美山つぐみ

  • 冬薔薇の強さ清しき決断日宮村寿摩子

  • 移ろいの中に確かな冬薔薇みらんだぶぅ

  • 冬薔薇やオペ後の彼を共に待たん三輪白米

  • 曇りなき硝子に手を止め冬薔薇麦谷てっぽうのき

  • 長命の冬バラ一本茎ふとし霧想衿

  • スペインの王妃クールな冬薔薇睦月くらげ

  • 冬薔薇に朝もやの海恋かすむ村岡より子

  • 冬薔薇や触れて確かむ命かな村上の百合女

  • 冬薔薇や転倒の父リハビリの棘紫小寿々

  • 冬薔薇や身を切るほどの風当たり村先ときの介

  • また咲けり忘れ形見の冬薔薇むらた典珠

  • うずくまる猫と静夜の冬薔薇暝想華

  • ひとはひとそれなりに生きて冬薔薇恵のママ

  • 風わたり叔母見し庭の冬薔薇木公山鳥言周

  • 冬薔薇や寝具に四つ折りの母もりさわ

  • 空港に向かう息子や冬薔薇森茂子

  • アラフォーのときめき推しに冬薔薇森野恵

  • 早朝の震える冬薔薇シャッター音森茉那

  • 冬薔薇や友と別れの発車ベル諸岡萌黄

  • 結露してプチプチ張った冬のばら八木実

  • 冬薔薇散りても花弁鮮やかや矢澤かなえ

  • 公園の片隅籠る冬薔薇夜寺耕太

  • 冬薔薇の彩葉のままに窓しずく安元進太郎

  • 亡き友の口紅の色冬薔薇痩女

  • しんとしたベッドに横たふ冬薔薇柳とうふ

  • 冬薔薇に陰日向あり懺悔室八幡風花

  • 水盤に冬薔薇の白輝いて山内文野

  • 背後からひかりを当てん冬薔薇山口絢子

  • 冬の薔薇もっと奇麗に咲けないの山口雀昭

  • 讃美歌の窓下(そうか)一輪冬薔薇山口笑骨

  • 冬薔薇を残し鼻唄ひとり帰路山下智

  • 赤子泣くお隣り柔し冬薔薇山下義人

  • ウクライナの力士の涙冬薔薇山育ち

  • 冬薔薇や一喜一憂星占い山田一予

  • 息近いあざとき女子や冬の薔薇山田季聴

  • 冬薔薇内緒話しは筒抜けに山田好々子

  • 冬薔薇や手を振る母の笑み過る山田翔子

  • 冬薔薇帰らぬ主を待つアーチ山田はつみ

  • 冬薔薇や君の輪郭薄れゆく大和杜

  • 冬薔薇に日向を譲り庭掃除山野花子

  • 冬薔薇鳴かずに刻む鳩時計山びこ

  • 他の花の棘にまけさう冬薔薇山本栄子

  • 冬薔薇の棘を摘み折り退職日山本八角

  • 見送りて門扉を閉めて冬薔薇やまもと葉美

  • 剪定はも少し後で冬の薔薇友鹿

  • イライザの胸に深紅の冬の薔薇宥光

  • 咲くことをためらうごとき冬薔薇雪子

  • 冬薔薇や「ムリムリ進化論」のCメロユキト

  • 冬薔薇や好きだと言えず隠す靴雪鶏

  • 結実のやうな時間を冬薔薇柚木みゆき

  • 手を伸ばし微笑み逝った冬薔薇夢一成

  • 消えかけの「一銭焼」だ冬薔薇湯屋ゆうや

  • 神棚にきんつば供ふ冬薔薇陽花天

  • 冬薔薇の蕾あれども枯れし朝YOKOCHAN

  • 尼だけで守る山寺冬薔薇横田信一

  • のぞまれて分わきまえて冬薔薇横山ひろこ

  • 武士の妻言われし祖母や冬の薔薇横山道男

  • 冬薔薇半袖の児ら歌い出すよしぎわへい

  • デイケアに歓喜の歌や冬薔薇吉田蝸牛

  • 冬薔薇棘まで美しかった人吉野川

  • 冬薔薇に止まる早足緩む肩吉藤愛里子

  • 冬薔薇宅配便の届く午後Yoshimin空

  • ベランダや団欒覗く冬薔薇米山カローリング

  • 冬薔薇女医の部屋にはドイツ文字よみちとせ

  • 冬薔薇やこっちの水は甘いのか来知万郷

  • 愚痴一つ言わず聞かずや冬薔薇楽花生

  • ぷつつりと絶えし消息冬薔薇理佳おさらぎ

  • 冬薔薇つぼみのままの長すぎてリコピン

  • 還暦の吾に一輪の冬薔薇を竜退治の騎士

  • 主の逝く家の垣根に冬薔薇料善

  • 冬薔薇つぼみすっくと天仰ぎ

  • 冬薔薇や決意の空は深き青ルージュ

  • 震える字遺せし母や冬薔薇  遺しし、では?礼子

  • 冬薔薇や彩り添える永の旅麗詩

  • 想いあり情熱を秘め冬薔薇や麗仙

  • 出征の広場待ちゐる冬薔薇黎明

  • 冬薔薇畦から手折る小さき刺蓮香

  • ザクザクと夕餉のしたく冬薔薇連雀

  • 冬薔薇やアールグレイの香り立ちわかなけん

  • 冬薔薇の明かりを灯しパトロールわきのっぽ

  • 初恋をとじ込めたまま冬薔薇わたこと

  • 越し行かん隣家に残る冬薔薇わたなべいびぃ

  • 愚痴ひとつ零さぬ母や冬薔薇渡邉花

  • 冬薔薇すつぴんの我気恥づかし渡辺陽子

  • 迷いなき母の眼差し冬薔薇笑笑うさぎ

  • 君来ぬか窓の外には冬薔薇わをんはな

画像:今月のアドバイス
夏井いつき先生からの一言アドバイス

◆俳号のお願い二つ

  • ①似たような俳号を使う人が増えています。
     俳号は、自分の作品をマーキングするための印でもあります。せめて、俳号に名字をつけていただけると有り難く。共に気持ちよく学ぶための小さな心遣いです。

  • ②同一人物による複数俳号を使った投句は、堅くご遠慮下さい。
     「いろんな俳号でいっぱい出せば、どれか紹介されるだろう」という考え方は、俳句には馴染みません。丁寧にコツコツと学んでまいりましょう。


●兼題とは

  • 眠れぬ夜なんでなんでと寒椿遠藤一鳥

 本俳句サイトでは兼題が出題されています。今回は、季語「冬薔薇」での募集でした。次回の兼題を確認して、再度挑戦して下さい。


●入力ミス・文字化け

  • 冬装備築八十年の実家(いえ)じまい静江

 入力ミス、誤字脱字はよくあります。送信ボタンを押す前の、最後の確認を習慣にしましょう。文字化けは不可抗力に近いけど、文字化けしそうな字を予測はできるかも。


●季重なり

  • 冬薔薇や寒き朝日に背を伸ばし澄川ちい

  • 冬薔薇や白き花びら凍てて落ち木村波平

  • 冬薔薇やとげに刺されてより寒く大西まさみ

  • 冬薔薇や寒さ束ねて凛と咲く辻本四季鳥

 一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「冬薔薇」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。


●季語が比喩に

  • 傘寿の母の爪は冬薔薇の深紅シマエナガ深雪

  • 冬薔薇の如き背伸びしハイヒール宮城海月

 どちらも、「冬薔薇」という言葉は入っているのですが、それぞれ季語が比喩に使われています。
 このような場合は、比喩を逆転させるのが、単純な対策方法。例えば、「冬薔薇の深紅は、傘寿の母の爪の色であるよ」「背伸びしたハイヒールのような冬薔薇だ」という文脈にすれば、比喩によって季語を表すことになります。


●今月の類想

「冬薔薇」のイメージとして、「凛としている きりり 気品」「孤独 独り 孤高 淋しい」「ひっそり ひそやか」「罪 嘘 秘密」などを抱く人が多いからでしょうか、「一輪」という言葉を使っているものが一〇一句もあったのは、ささやかな驚きでした。
 類想類句は、短詩系文学の宿命。類想を共感の土台としつつ、一片のオリジナリティ・リアリイティを添えられるよう、俳筋力をつけてまいりましょう。


●今月の選外

 兼題が入っていない人、兼題を読み違えている人など、今月もおられました。「冬薔薇」ではなく「秋薔薇」になっていたケースもありましたが、佳い句でした。是非どこかに投句してみて下さい。
 更に、何か表現しようと格闘しているのは分かるのだけれど、句意が読み切れないものも散見しました。早めに作って、しばし時間をおいて読み返すことを推奨いたします。少し時間を置くだけで、客観的な目を持てることもあります。是非、試してみて下さい。

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2月の兼題

「春の野」

過去の審査結果

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