夏井先生のプロフィール
夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。
4月の審査結果発表
兼題「亀鳴く」
「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。
亀鳴くや我が法名に見惚れたる
伊藤柚良
夏井いつき先生より
宗派により「法名」の意味は異なっているようですが、『大辞泉』には以下のように記されています。「① 仏門に入って出家受戒のときに授けられる名。戒名。② 僧が死者におくる名。戒名。」
さて、下五「見惚れる」という俗な感情が眼目であるこの一句と向き合っていると、亡くなった祖母のことを思い出しました。
祖父が亡くなって一周忌の納骨の折、祖母も生前戒名をつけて頂きました。墓石に夫婦の戒名を並べて彫り、生きている方は赤字にする風習をこの時初めて知りました。俗名の一字を入れつつも美辞麗句のような文字が並ぶ自分の戒名を、祖母はお尻がむず痒いと苦笑しておりました。「我が法名」の見事さに見惚れつつ、この文字に似合う生き方をしてきたかしらと、ささやかにたじろぐ。そんな作者の思いに寄り添うような、「亀鳴く」静かな春夜です。
亀鳴くや眠らぬ魚として木魚
伊藤映雪
傍題「亀の看経」を踏まえての発想でしょうか。和尚が経を唱え出すと「眠らぬ魚」になってしまうものは? という一休さんの問答みたいな一句です。下五「木魚」の体言止めの後の余白に、亀の鳴き声が静かに重なってくるかのようでもあり。
薄味に雁もどき煮て亀鳴く夜
絵十
「雁もどき」という名前の由来にも諸説あるようです。雁もどきを関西風の薄味に煮て、「亀鳴く」静かな夜を過ごす。「雁」「亀」と生き物の名が二つ入っているのに、どちらも生き物ではないというほのかな可笑しみもまた一句の隠し味です。
亀の鳴く周波数まで声とする
ギル
そもそも亀には声帯がないので鳴かないのだけれど、俳人たちは「亀鳴く」という架空の季語を作りました。ならば、その季語を信じて「亀の鳴く周波数」までを「声」と規定しようではないか、という俳人らしいウイットの一句です。
亀鳴くという淵にある浄財箱
そぼろ
「亀鳴くという淵」に残るのは、どんな言い伝えでしょうか。その淵を覗き込めば、足元には「浄財箱」。傍らには、苔むした小さな祠もあるのかもしれません。いかにも亀が鳴きそうな静けさが、ぬっと匂ってくるような作品です。
亀鳴くや見たら死ぬ絵の何度目か
ツナ好
この「絵」を見た人は皆死ぬのだという呪い。それを見せられているのか、はたまた見たくて見ているのか。「何度目か」という下五のオチにはたっぷりと皮肉が含まれています。亀鳴く話も、死ぬ絵も、ずいぶんな嘘っぱちであることよ、と。
亀鳴くや一塊りの巫女の墓杏乃みずな
臍の緒が欲しき欲しきと亀鳴けり砂山恵子
亀鳴くや喪服の裏地鶴と亀佐藤俊
亀鳴くや寺の宝に柘植の櫛青野みやび
亀鳴くや落とした箸の響く家あかり
亀鳴くや心当たりの有るは有るあじさい卓
一合の米研いでいる亀も鳴く雨降りお月さん
太陽の寿命半ばし亀の鳴くIquedaQuenshi
この桶の亀は鳴くから五千円池之端モルト
亀鳴くや波斯ラムプの灯一滴イサク
亀鳴くや出向終へし家の飯和泉園実
亡き祖母と出かけむと母亀鳴けり伊藤恵美
こめかみのあたりで亀の鳴くをきく糸川ラッコ
あさましく札数えれば亀鳴いて岩本遥
亀鳴くや望遠レンズ磨く夜越冬こあら@QLD句会
人生訓の色紙の傾ぎ亀鳴けり可笑式
亀鳴きぬ補導生徒のうす笑い小川さゆみ
鳴く亀の足は沼地に取られをりオキザリス
真夜の地震蓬莱山の亀鳴けり樫の木
亀の鳴く方へ徘徊して父はかときち
亀鳴くや淋しき耳石あやすため古賀
余命半年亀は鳴く父は呑む雑魚寝
亀鳴くやもう切れそうな玄関灯玉響雷子
月蝕はたれの悪意か亀鳴けり爪太郎
亀鳴くや龍の腹めく登り窯トウ甘藻
亀鳴くと言ひおく老師ご不浄へ花和音
風甘し亀のあの目は鳴くつもり巴里乃嬬
亀鳴くや関守石の座りよし匹田小春花
浅すぎる四番風呂や亀の鳴く森萌有
ぢぢづづるづれぢよとただ亀の鳴く山本栄子
亀鳴けば天沼矛はこをろこをろRUSTY=HISOKA
大仏の手の分厚さや亀の鳴く國吉敦子
亀鳴くや薬師如来の手の厚き後藤三梅
亀鳴く夜ギプスにこもる疼きかな藤原涼
亀鳴くや夜半のギプスにゐる痒み百瀬はな
亀鳴くやトランプにジョーカー五枚あたなごっち
亀鳴くやトランプカードばばばかり猪狩鳳保
あんまり月がきれいだと亀の鳴くくちなしの香
亀鳴くや「今宵は月が綺麗です」と増山銀桜
亀鳴くや低空を飛ぶ軍用機アーモンドよーせい
亀鳴きしか去りゆく万年の朝相生三楽
亀鳴くや畳の縁につまづいて愛燦燦
亀鳴くやここに円空仏御座す藍野絣
亀なけりスマートキーは電池切れ逢花菜子
亀鳴けり九条を読み返す明けあいれふ葵
亀鳴くや凹面鏡のなかの誰ぞ青井季節
亀鳴くや母は孫より犬のこと青居舞
亀鳴くやいずくに鍵の隠し場所蒼空蒼子
亀鳴くや能面は今照る角度青田奈央
亀鳴くや互ひ違ひの宇宙論青星ふみる
亀鳴けり十五年経し被爆牛赤尾てるぐ
亀鳴けばボクは前世になれますか赤尾双葉
亀鳴くや三角関係の終わりあかねペン銀
亀鳴くや彼方で爆ぜる星一つ赤目作
亀鳴くや母とは後悔する生き物愛柑いつき組note俳句部
古本にパラパラ漫画亀鳴くや彩季子
「みんな持つてる」聞こえぬふりを亀が鳴く空地ヶ有
友だちの手記てふ波紋亀鳴けり秋月あさひ
中腹の池に亀鳴く飴含む昭廣梵字
亀鳴くやマークシートの書き損じ空き家ままごと
亀鳴くやぎりぎりぎりと咬合紙秋山らいさく
片想いは片道切符亀鳴くやアクエリアスの水
亀鳴くを聞きて哲書を開きおり芥川春骨
亀鳴くや祖母の旧姓知らぬまま芥もくた
亀鳴くやクラスメイトは留学生淺井翠
あだ話弾んでをりぬ亀鳴く夜淺野紫桜
亀鳴くを待たず大地は揺れにけりあさのとびら
五時の鐘ご無礼と亀鳴きにけり浅乃み雪
嘱託の初給料日亀鳴けり朝日雫
亀鳴くや入眠剤を頼る二時あさみあさり
御暇の一陣の風亀鳴くや浅紫泉
まづは亀やがて鵺鳴く生家かな葦屋蛙城
亀鳴くや通夜の燈明ほそぼりて阿修羅
反照に魅入らるる刻亀や鳴く飛鳥井薫
亀鳴くや墓石無き跡くぼむのみ明日に翔ぶ会
妊娠をしてないにまる亀鳴けり明日ぱらこ
亀鳴くか鳴かぬか蕎麦かラーメンか藍創千悠子
亀鳴くや明日閉店の牛丼屋我孫子もふもふ
働いて働いて働いて亀鳴きます阿部八富利
亀鳴くや無感地震といふ地震甘茶トーシロー
亀鳴くや黄泉に通ずる井戸覗く雨戸ゆらら
亀の鳴く世界にひとつだけの嘘あみま
午前二時亀鳴き終わるのはまだか雨森茂喜
亀鳴くといへば優しき嘘もあり雨李
其処此処に亀鳴き夜を堰き止める綾竹ろびん
亀鳴きて無人トイレに水の音綾小路へこ
傾眠の夫の瞬き亀の鳴く有田みかん
かごめかごめに亀の鳴く声紛れけり有村自懐
亀鳴いて六波羅蜜はあがりなり在在空空
AIに心あるらし亀鳴けりアンサトウ
亀鳴くを待ちゐる如く逝きにけり飯沼深生
亀鳴くやパンを溢るるケバブ食む家守らびすけ
亀鳴くと信じて亀を飼ひにけり郁松松ちゃん
亀鳴くや女老いても声高し池田桐人
亀鳴くや夜伽の座へと闇震ふ為参
亀鳴くや月の裏なぞ夢にこそあれ石垣エリザ
仕様書の解読不能亀鳴けり石塚碧葉
馴染みある地名は消えて亀鳴けり石塚彩楓
乾きたる葬儀の声や亀鳴く間石原しょう
亀鳴くや子供の頃は飛べた空石村香代子
亀鳴くや帰路に馴染みの石一つ石本美津
亀鳴くや生死の狭きあはひより和泉攷
いつよりが長生きだらう亀の鳴くいずみ令香
鳴く亀と奇妙な友情芽生えけり石上あまね
同級生声変りした亀鳴いた一井かおり
亀鳴くや黄昏に厄日を仕舞ふ市川りす
亀の鳴く介護の愚痴を聞くベンチいちご一会
亀鳴くと告げしをみなの顔白しいつかある日
亀鳴いて裸像の肩にかかる息一久恵
亀鳴くや着信音は空音なり一秋子
亀鳴くや「無職」と書きし職業欄五つ星
近道を行けば迷子に亀の鳴く伊藤亜美子
亀鳴くや干潟の端に観鳥台伊藤順女
今日明日か南海トラフ亀の鳴く伊藤なお
亀鳴くや手提げ鞄に鎮痛剤伊藤ペンタ郎
亀鳴くや組体操の最下段糸谷りすん
また同じとこで躓く亀の鳴くいとへん製作所
亀鳴くやボサノヴァ風の雨の音伊ナイトあさか
小さき亀母恋ひ小さく鳴きにけり井中ひよこ号
亀鳴くやこっちの水が合わねえぞ伊那寛太
亀鳴くや虚数二乗に躓けり居並小
亀鳴くを待つ丹田に組まれし手井納蒼求
入る水に首を竦めて亀鳴くよ井口良範
亀鳴くや実家じまいの手の止まる井原昇
亀鳴くや相続放棄無一文いまい沙緻子
亀の看経逢魔が時の厠かないまいやすのり
亀鳴くや結婚すると二女来たり今乃武椪
亀鳴くや訴訟保険の満期来る藺牟田ボンド
万年を瑞穂の国の亀鳴けり妹のりこ
亀鳴くや納豆の糸引けるごと伊予吟会宵嵐
亀の看経今夜はノンアルに伊代ちゃんの娘2
亀鳴くや黄泉平坂ふさぐ石岩木順
亀鳴くや姪のお腹のふっくらと岩佐りこ
亀鳴くやラップの端が見当たらぬ岩清水彩香
二人産み一人前かや亀鳴けりうえともこ
亀鳴くや警策貰ふ半跏趺坐上野徹心
亀鳴くや月華彼方に黒櫓上原まり
亀鳴くや謎の凝りある目覚め時鵜飼ままり
亀鳴くや子らを待ちたる泥団子うからうから
亀鳴くや青さに咽ぶドアを押すうた歌妙
独りなら鳴かないだろう亀の鳴くうただねこ科
亀鳴くや枯れ花束の交差点宇田の月兎
亀鳴くや筆を置きたる墨の艶空木眠兎
亀鳴くや祖父祖母祖父祖母曾祖父母うつぎゆこ
一匹くらゐあれだけゐれば亀鳴くよ靫草子
亀鳴くや寺回廊の温き風卯の花京
亀鳴いてデジャブのやうな廊下ゆく卯之町空
亀鳴くや夢にしかない父母の家梅朶こいぬ
亀鳴くやスワンボートの眼の小さし梅田三五
亀鳴くや名前が書けなくなった義父うめやえのきだけ
亀鳴くや月光仮面の紙芝居江川月丸
亀鳴けば機影みるみる鳥になり江口朔太郎
亀鳴くや階段裏に抜くコルクえぞりすの風
亀鳴けり天守の鯱の泳ぎ初む江連守一
亀鳴くや姉から電話来るけわい江戸きり子
亀鳴くや老木の瘤朽ちていくえふいー
亀鳴くや独り暮らしも三年目ANGEL
空耳にあらず亀鳴くぴいと鳴く遠藤玲奈
亀鳴くやマイナンバーカード更新延命寺
亀鳴いて大器の嬰の大欠伸近江菫花
亀鳴くや夕占強張る戻橋大井道芥
亀鳴くや温め直すカレー鍋おおい芙南
亀鳴くや凶三割の御籤引く大岩摩利
亀鳴くや知らない国の呪詛の札大内とらこ
助手席に縛る水槽亀鳴けり大江きみ
亀鳴くを夜半に待ちたる寝床かな大久保一水
さすらうや亀鳴く夜に失せし恋大越総
亀鳴くや我たまさかに嘘をつく大越マーガレット
亀鳴くやペンの走りし異国の地大塚恵美子
亀鳴くや着信拒否を選ぶ夜は大津美
亀鳴くや昔話の落ちの無しおおにしまこと
線香が揺れて遊ぶや亀鳴く日おおばあば美智子
数独を解く妻に亀鳴きにけり大家港一
亀鳴いて母の秘密を聞きにけり大和田美信
失恋の兆しある夜亀鳴けり岡井稀音
亀鳴くや何もない町と運転手岡崎未知
亀鳴くや思春期の孫返事せず岡田いっかん
亀鳴くや中華のメニュー選る真顔岡田瑛琳
亀鳴くや不老長寿の薬得て岡田恵美子
亀鳴くや生きる意味など問いません岡田きなこ
亀鳴くや人口減の地図記号岡田ひろ子
亀鳴くや父の思ひは我の名に岡田雅喜
途切れつつ亀は鳴きおり電話置く丘なな実
亀鳴くや手話の「心」は輪を描く岡根今日HEY
達筆の御朱印なりし亀鳴けり岡山小鞠
亀鳴くや同窓会の如き通夜小川しめじ
亀鳴くをマイクに拾う教育長小川野雪兎
かごめかごめ亀鳴く方へ向ける耳小川都雪
亀鳴くや手水舎の屋根落ちたまま沖庭ノ華風
甲羅透く心音のごと亀鳴けり沖庭乃剛也
占いに再婚せよと亀鳴けり荻原玲香
亀鳴くや祖父の手掘りの池あたり小倉あんこ
亀鳴くと座敷童子も鼻鳴らしおこそとの
亀鳴くや終の棲家に池の跡おだむべ
この男きつと俳人亀の鳴く越智空子
亀鳴くや隣人何処へ行く歩幅十八番屋さつき
襖絵のはしる筆先亀鳴けりおひい
亀鳴くや城下町にて飴細工海音寺ジョー
亀鳴くや眼鏡の重さ受ける鼻海峯企鵝
宇宙船来ず畦道に亀鳴けり甲斐ももみ
亀鳴くや膝の軋みの音ひとつ影夢者
亀鳴くやいつのまにやら古希の来て風花まゆみ
亀鳴くや「星の王子さま」処方して風早杏
甘やかな記憶の切れ端亀鳴かむ梶浦和子
青春に深き影あり亀の鳴く梶原菫
泥濘に雨の匂ふや亀の鳴くかすかべえやん
千人針死語と言ひたし亀の鳴く加田紗智
亀鳴くや逝きし猫みな集ふ宵帷子砂舟
亀鳴くは聞こえぬ右の耳からか金井双波
亀鳴くや結納金の倍返し金子泰山
亀鳴くや最下位のまま終われない金子美鈴
鉄道の曲線カント亀鳴けり神島六男
ダリの髭噛んで伸ばして亀鳴けり神谷たくみ
水底の孵化告げるごと亀の鳴く紙谷杳子
亀鳴くや海底火山発光す亀田かつおぶし
亀鳴くを待ちて一日終わりけり亀山逸子
尋常の闇にはあらず亀の鳴く亀山酔田
瑞鳥と亀鳴く父の長寿園かもね
マケルモンカB三病棟亀鳴くやかもめ
終止線越えては亀の鳴く夜かな唐澤うに
外来の亀も鳴きけり裏参道絡丸いと
大仏の後ろ回りて亀鳴けり刈屋まさを
亀鳴くや肩書とれた夫とゐて川越羽流
亀鳴くや一人刺繍をする夜半に川崎ルル
亀の鳴くこゑは浅葱の色湛へ翡翠工房
代筆で届く手紙や亀鳴けり河村静葩
亀鳴くや耳たぶの豊かな牧師喜祝音
亀鳴くや蟻は象に勝つだろうか季川詩音
亀鳴くやムンクが聞きしはその声か菊地義明
亀鳴いて術後五年の傷かゆしきざお
迷惑メール削除作業に亀鳴くや季紫子
みづの香の重し亀鳴く闇の底岸来夢
亀鳴くや大和三山神代より喜多丘一路
薬も杖も仕方なし亀鳴けり北平春風
亀鳴くや空指す平和祈念像きなこもち
亀鳴いて滲む万年筆は青城内幸江
亀鳴くや再び開く世界地図木下風民
亀鳴くや引越しの荷が出発すきべし
亀鳴くや雲母煌めく岩静臥木ぼこやしき
亀鳴くや藩主菩提の月照寺木村修芳
亀鳴くやなにせ甲羅が窮屈で木村信哉
亀鳴くや喉に閊えるオブラート木村となえーる
鉛筆を削る香立ちて亀の鳴く木村弩凡
亀鳴くや社の龍の眼の赤み木元紫瑛
型落ちのセダンを買うて亀鳴けりQ&A
カラオケ喫茶の主百歳亀鳴けりきゅうもんde木の芽
亀鳴くや参加者以上の椅子並ぶ鳩礼
亀鳴くや鞍馬不動の滝を切る京野秋水
古着のやうに生家売られて亀鳴けり霧賀内蔵
亀鳴くや役小角は空を飛ぶ霧澄渡
亀鳴くや落語のまくらもう笑う近未来
亀鳴くや異国を知らぬ外来種句々奈
亀鳴くや睡眠薬は甘露めきくさ
亀鳴くや遺影の埃撫で取ったくすみ輝く
せんべろの酒をちびちび亀鳴きぬくつのした子
独り身の黄昏時は亀鳴けりくにとうりん
亀鳴くや実家売却契約日ぐりぐら京子
亀鳴くや義父の最期の手の力栗田すずさん
亀鳴くや赤クレヨンの逆さ文字久留里61
亀鳴くや孤村にぎはす村長選黒岩牡丹
亀鳴くや四畳の宿の床固し玄琶小篇
壇ノ浦潮の底より亀鳴けり桑島幹
亀鳴くや落ちて死ねない橋ばかり恵勇
亀鳴くや星に酔いたる恋心月下檸檬
亀鳴くや啓蒙学の落丁本げばげば
忘却は生きるコツなり亀鳴けり健央介
亀鳴くや掛け湯をはじく片乳房謙久
亀鳴くや憂きも浮気も埒の外ケンG
亀鳴くやホテルの通路迷路めく小泉久美子
亀鳴くや玉依姫の子守唄恋瀬川三緒
亀鳴くや私は水でできている剛海
亀が鳴いてる俺がモテてる変だ公木正
亀鳴くや壁の向こうの母眠る柑たちばな
一呼吸ずれる柏手亀鳴けり幸田梓弓
亀鳴くや光ゆらめく観音像幸田柝の音
騙し絵の出口入口亀の鳴くこうだ知沙
亀鳴いて鎮火御守護の煤けかな河埜スミヰ
亀鳴くや宇宙旅行に百億円宏楽
腰骨のきしむ響きや亀の鳴く黒望
屡雨の廃品回収亀の鳴く苔間きい
亀鳴くや地球三周ほどの嘘越村和行
蔵蔵に馬繋ぎ石亀鳴けり木染湧水
戦なら殺人良しか亀鳴きし古知野朝子
亀鳴くや鍵つ子腹を空かせをり五島潮
亀鳴くや月に現身刻みたし虎堂吟雅
墓を閉じ捨てるふるさと亀鳴けり後藤周平
光害の薄朱き夜亀鳴けり来冬邦子
どこまでも空の豚舎に亀鳴く夜粉山
亀鳴くや半世紀経つ膝の傷子猫のミル
亀鳴く夜茶葉開く音沈む音小箱守
能面の裏の鑿跡亀鳴けり小林久女
亀鳴いて見つけられたきかくれんぼ小林風翠
亀鳴くや神の名思ひ出でざりき五味海秀魚
亀鳴くや戸棚に隠す魔方陣古味鳥椋人
座して待つ移動スーパー亀鳴けり小山晃
亀鳴けりいまだ戻らぬ鳩一羽さいたま水夢
亀鳴くや忘れかけたる古き唄彩汀
亀鳴くや遅刻理由をちよいと盛る齋藤満月
亀鳴くや嘘と知りつつ待つ電話齋藤桃杏
ゆるやかに亀鳴く昼の鎮痛剤さおきち
針の穴糸通らずに亀の鳴くさかい癒香
床柱森にありし日亀鳴けりさかえ八八六
亀鳴くや地下に氷がねむる月坂口いちお
馬鹿な目が風呂傍揃ふ亀鳴かば坂島魁文
亀鳴くや星の図鑑を綴じ直す坂野ひでこ
亀鳴くやこれも油でできている坂まきか
亀鳴くや月に裏側なかりける坂本雪桃
亀鳴くめり蛾の幼虫も鳴くゆゑに咲まこ
亀鳴くや花いちもんめの売れ残り櫻井こむぎ
亀鳴くやブラウン管を叩く癖桜鯛みわ
亀鳴く夕外耳少しこそばゆい桜月夜
着信のなき闇深く亀鳴けり桜華姫
亀鳴くや失せものふいに現れるさざれいし
呼び捨てに驚く君や亀鳴けりさち今宵
裏窓のガラスに耳紋亀鳴けり佐藤志祐
亀鳴く夜膨らむ目薬の滴さとう昌石
亀鳴くや遺品となりし麻雀牌佐藤レアレア
尼寺の闇あさましく亀鳴けり錆田水遊
不揃ひの墓前の読経亀鳴けりさぶり
亀鳴くやダムに沈みし村も夜彷徨ういろは
亀鳴くやじんとくるぶし痛む夜さむしん
亀鳴いてみづの匂ひのやけに濃き紗羅ささら
亀鳴くや爆心地下に眠る皿佐柳里咲
亀鳴くや塵も統べらば星となりさるぼぼ17
亀鳴けり雨の匂ひの銀の月三月兎
亀鳴くや医者の勧める再検査珊瑚霧
亀がかと鳴けば阿亀がめと鳴きぬ柿司十六
失せ物出づ待ち人来たる亀鳴けりじつみのかた
亀鳴くや亡き山姥の座してをり糸野句丹
国策と言ふ名の不義や亀は鳴く篠雪
亀鳴くや不一致で済ませる離婚芝歩愛美
亀鳴くや帰ってこないブーメラン渋谷晶
終電は酒の匂ひや亀鳴けりしぼりはf22
亀鳴くか巨樹に問うても応えなしシマエナガ深雪
亀鳴くや女仙の殻にひびひろぐ島掛きりの
山頭火おそその句碑に亀鳴けり島田あんず
亀鳴くや「気配」は神に返へし済島田ユミ子
亀の鳴く月のあばたの掠れけり清水縞午
亀鳴きて湖心に生まるる紋の翳清水ぽっぽあっと木の芽
亀鳴くや池はここから主のもの志村肇
亀鳴いて河童の百寿祝ひけり霜川このみ
大利根や亀鳴く空の暮れ急がず下總和沙
亀鳴くや一里四方はビルの街下村修
空色の亀を鳴かせてグリムかなじゃすみん
飛行機の後退できず亀の鳴く砂楽梨
亀鳴くやもろびとこぞりてうそをいひ洒落神戸
命日や亀鳴く北の浮御堂柊二@冨美夛
亀鳴くや宇宙を受信するラヂオシュリ
亀鳴くや斬られ役また兄の番焼菓おやじ
亀鳴くを亀の聞いてる黄泉の底常幸龍BCAD
亀鳴くや糸電話から母の声庄司芳彦
かめなきぬらむまりあくわんのんのかげ正念亭若知古
亀鳴くや化石の鳥が高層の街白井佐登志
亀鳴くや阿吽揺らがぬ石の狛白石花仙
亀鳴くや砂糖を少し減して煮る白井百合子
亀鳴くや産道めける小糠雨白沢ポピー
亀鳴けば鯉も鳴くらむ池の底白岩座匠
亀鳴くや人身御供のありし沼白猫のあくび
怪文書に亀鳴く理由「空の殻」白よだか
亀鳴くや徐福の裔といふ村民ジン・ケンジ
亀鳴くやさびしき夜の友得たり新濃健
亀鳴くや惚れし男の名残なく水鳥レイ
亀鳴くや無口な夫の卵焼きすがのあき
亀鳴くや鍵穴錆ぶる貞操帯すがりとおる
亀鳴くや傘寿のあとはどの世へと杉浦あきけん
亀鳴くや龍はあくびをしてをりぬ杉浦萌芽
亀鳴けり廿鯖読み百歳翁杉本果ら
亀の鳴くリズムで捲る単語帳涼風亜湖
亀鳴くや壊されぬままのサンプラザ鈴木秋紫
外国の子を案ずるに亀鳴けりすずきじゅん
古き亀鳴くや休戦会議の日鈴木由紀子
石に腹こすりたる亀むうと鳴く鈴白菜実
亀鳴くや配膳ロボは研修中清白真冬
またぶつけた足の小指や亀鳴けり鈴野蒼爽
亀鳴いてしやらとこころのみづ揺るるすまいるそら
親知らず抜いて亀鳴く中待合須磨ひろみ
恋をせよ恋に落ちよと亀が鳴くすりいぴい
月の裏隕石孔に亀の鳴く青児
亀鳴くや臥房に香の紫煙ありせいしゅう
十五年馴染まぬ社訓亀鳴けり瀬央ありさ
理不尽な寂しさが好き亀の鳴く瀬紀
地獄では亀が大鳴きするそうな千・広ブロ俳句部
亀鳴くや消えし黒子の穴の奥千凡鼓
見覚えのある顔のよう亀の鳴く全美
久闊の氏神二礼亀鳴けり宗珂
亀鳴くやだんだん熱くなる地球早春
亀鳴くや虚数習ひしあの晩に走人
宴たけし鳥獣戯画の亀の鳴くそうま純香
亀鳴くや配線垂れる九龍城草夕感じ
亀鳴くと小天狗二人つれてゆくそまり
創立百年の母校亀鳴けり染井亀野
亀鳴くやつみき積んでは崩しては染井つぐみ
亀鳴いてもう胎内に戻せぬ子空豆魚
亀鳴いて風だけとほる青信号ぞんぬ
酔ひ醒むや保護室に亀鳴いてゐるたーとるQ
亀鳴くやグラスに孤独ひとつまみ大
亀鳴くやモノリスを夜の軸として大地緑
亀鳴くや本を返しに行くだけの日だいちゃんZ!
採譜する金のペン先亀の鳴く高尾一叶
亀鳴くや母九十三の誕生日小鳥遊
亀鳴くや宛先不明友二人小鳥遊こはく
亀鳴くや人はひとつの管楽器高橋手元
亀鳴くやここから先は行き止まり高橋ひろみこ
大王に鳴く亀探せの命賜ふ高橋マママリン
亀鳴くらん静かに暮れる吉備津神池高旗三紀子
亀鳴くや今磔刑に日のあたる高原としなり
目も開けずもの食む義母や亀の鳴くたかみたかみ・いつき組広ブロ俳句部
亀鳴くや陶の狸の目の虚ろ高山佳風
亀鳴くや畳めば温き男帯滝川橋
瑠璃紺や亀鳴く宵の空の色竹内不撚
亀鳴くや三叉神経痛再発竹田むべ
亀鳴くや時折風をぼつと見てたけろー
キヌタ骨辺りにオカン亀鳴けり多事
亀鳴くや吾の折る鶴は嘴ひしゃぐ太之方もり子
火星では火曜が休み亀鳴けり多数野麻仁男
鏡の吾亀鳴くと言ひ吾を無くすただ地蔵
亀なくや忘れた財布を探し中だだちゃ豆
亀鳴くや悔やんでも病んでも同じ多田知代子
鳴く亀か風か河童の産声か多々良海月
亀鳴くやランプはひとつ文庫本田鶴子
亀鳴けば兎も鳴くし人も鳴く立田渓
亀鳴くや帰らぬ人の靴揃へ立田鯊夢
亀鳴くや昨夜の事故のブレーキ痕辰巳電柱
亀鳴くやきしむ褥の茶屋の庭たていし隆松
亀鳴くや相合傘の左側伊達紫檀
亀鳴くや確かにそこにあった店田中紺青
首伸びて亀鳴く素ぶり石の上田中みどり
亀鳴いて何度読んでも同じ行谷斜六
亀鳴くや夫の残した安全靴谷町百合乃
亀鳴くや風に掏らるる万馬券田上南郷
亀鳴くや音楽室の肖像画田畑整
亀鳴くをどんな声かと雲に聞くたべい白芙蓉
避難せむあんまり亀が鳴くもので玉木たまね
亀鳴くや富士の噴火が間近らし田村利平
亀鳴くや手鏡棄つる玉三郎チームニシキゴイ太刀盗人
迷路めく龜の筆順亀鳴けり智恵子
般若風受けて亀鳴く成田山竹庵
老斑の腕つくづく亀鳴けり智幸子
亀鳴くや結婚線をなぞり書き茅野ともぞう
亀鳴くや自分の機嫌取り損ね千葉水路
亀鳴くや目玉親父に無き瞼ちやあき
亀鳴くやここが起点の風ひとつ茶倉
姉の部屋の隅にギターや亀鳴けり彫刻刀
亀鳴くや紙の息継ぐ書庫の奥ちょうさん
亀鳴くや反戦デモの列長く月城龍二
亀鳴くや土偶に小さき乳房ありつくばよはく
亀の居ぬ硝子の街に亀が鳴く辻瑛炎
亀鳴くや開拓碑文黙読す辻栄春
麻酔より醒め切らず亀鳴くを聞くつちや郷里
ありつたけの月の水干し亀鳴けり津々うらら
入り相やをちの廃寺に亀鳴くと都築減斎
亀鳴くや標本箱のピンの錆綱川羽音
亀鳴くや除臭の霧の消えぎはを出来筆樹
履歴書に賞罰なしや亀鳴けり哲庵
亀鳴くや空は海より碧くない天雅
人にある尻尾の名残り亀鳴けり天陽ゆう
正直に記す年齢や亀鳴けり土井あくび
亀鳴くや斎皇女は吉を告ぐ冬野志奈
亀鳴くや昨日へ今日を仕舞ひをり苳蕗
爺四人みんなけんちゃん亀鳴けり遠峰熊野
天国はたぶんど田舎亀の鳴くとかき星
亀鳴くやねずみ色した偏頭痛Dr.でぶ
亀鳴くや焼骨傍の髄内釘戸口のふつこ
亀鳴くを聞ける赤子と百歳とどこにでもいる田中
亀鳴きて鰐も鳴かせてみむとするとすかのようこ
亀鳴くや針は静かに盤を這ふどすこい早川
亀鳴くやみすゞの街の銀瓦どゞこ
口説かれも口説くもせずや亀の鳴く戸部紅屑
亀鳴くか話せる人を友と呼ぶ苫野とまや
亀鳴くや窮屈そうな雲の帯登盛満
亀鳴くや紙面に残る師の名前友@雪割豆
亀鳴くや湖畔の宿の言い伝えとよ
亀鳴くや履歴書の筆圧強し鳥田政宗
亀鳴くや骨拾ふ間の室の熱頓堀頓
亀鳴くや母の口吻子に伝ふ内藤羊皐
スペアキー隠す物置亀鳴けり内藤由子
亀鳴くや微酔が良けれ夜半の酒中岡秀次
亀鳴くや巨石の影の動かざる長岡美衣珠
亀鳴いて死装束のほの青し中金稿
年代の括りはその他亀鳴けり中里凜
神もまた恋をするかと亀の鳴く中島紺
亀鳴くや枝にむすびし凶のくじ長嶋佐渡
亀鳴けり墓林立の高野山中嶋緑庵
亀鳴くや一万年を語らずに中野誠一
亀鳴くや薔薇の字書けぬ花舗店主中原柊ニ
古文書の読めぬ三文字亀鳴けり仲操
亀ぞ鳴く薬切れゆく蕁麻疹なかむら凧人
亀鳴くや月に住むのは百年後中村葉季
亀鳴くや波形緩やか心電図那須のお漬物
亀鳴くや火星の石の落ちる音なつふね。
模型屋の褪せた紙箱亀鳴けり夏雨ちや
過去問の空々しさよ亀の鳴くななかまど
亀鳴くや仏足石の歩きさう七瀬ゆきこ
亀鳴くや放蕩の果ていかならむなびい
亀鳴いて夜の着信画面の名奈良素数
亀鳴くやメビウスの輪をただ歩く西尾至雲
亀鳴くや空へ海へと帰る水西尾照常
研ぎ汁に微かな粘り亀鳴く夜西川由野
亀鳴くや学校の石連れ帰る西崎秋雲
亀鳴くやアンテナおとなしく豊か西田月旦
亀鳴くや吾子の握りし飯丸し西原佳黎
亀鳴くや避妊具自動販売機西村小市
亀鳴くや河童の力石の影二城ひかる
亀鳴くと聞き耳たててゐる八雲にゃん
亀鳴くや冬虫夏草探す森入道まりこ
笑ひたる心の隙を亀鳴けり庭野環石
亀鳴くやきれいなみづの生む電気沼野大統領
カタカナのイラッシャイマセ亀鳴けり猫塚れおん
亀鳴くに皆んなは知らんぷりしてさ猫ふぐ
歪なる月よ我が身よ亀が鳴く猫またぎ早弓
亀鳴くや一反木綿と押相撲猫屋たま猫
亀鳴くや樹齢百年との対話根々雅水
亀鳴くを合図に虫は蛹化せむのなめ
亀鳴くや手水の紋のほどけ行くののクラブ
亀鳴くや沈まぬ姉の恋みくじ野の小花
亀鳴くや三十年の手帳捨つ野の菫
亀鳴くや仲間はづれは僕の番のりこうし
亀鳴くや進化の樹形図のはずれ灰島りんこ
亀鳴くや無濾過原酒に石器の香波止浜てる
亀鳴いてお骨軽しや膝の上橋本諒駿
みよし野に真の闇あり亀の鳴く羽住博之
亀鳴くやいづれ怪しき鏡花の句長谷川水素
亀鳴くや林の奥の黄泉の人ぱせり
亀鳴くや高架下なる鉄の冷え畑中幸利
亀鳴くや父のシーツを揉み洗う葉多豊
亀鳴くや一人となりし大浴場初野文子
亀鳴くや日記に嘘をちりばめて花南天あん
亀鳴くや小川のみづの眠りをり花はな
亀鳴くや左右を寺に続く坂はなぶさあきら
亀鳴くや子なんか要らなかつたかも花水木
亀鳴くや痒いところに届かぬ手花見鳥
太郎寝て次郎寝ぬ夜亀鳴けり花見やまな未
亀鳴くや漬け物少し酒一杯はままこみかん
亀鳴くやトランペットを触らぬ日波見頓
枕木の数だけ鳴かば亀死なむ葉村直
亀鳴くや叩けば灯るブラウン管林省造
亀鳴くや祖母の厨に香ほのか原田くろなつ
亀鳴くや万年生きて疲れ果て原善枝
亀鳴くや暮靄に朽ちし渡し船晴田そわか
亀鳴きて雨の匂ひの美術館春菜理央
倒木の微かな予兆亀鳴けり春の幸
亀鳴くや天女降りたる余呉の浜はるの風花
亀鳴くや生家に届く不在票春野ぷりん
亀鳴くや無投票二期続く町葉るみ
亀鳴くや階硬き立石寺はれまふよう
亀鳴くや空也の口に像六つHNKAGA
亀鳴くや忠魂碑の影ひやと踏む盤若の森
亀鳴くやときをり黙を燻らせて晩乃
亀鳴くや第一分娩室の前繁茂おじ
亀鳴くや罅の入りたる夫婦茶碗ピアニシモ
葉隠れの貌から亀が鳴いてゐる東沖和季
亀鳴くや夜更けに疼く子の踵東田一鮎
「君が好き。」練習するよ亀鳴くよ東原桜空
亀鳴くは聴こゆらし妻の補聴器肥後功一
亀鳴くや龍の背鰭の見え隠れ菱田芋天
亀鳴くや夜間に募る劣等感ひでやん
癒えきらず亀鳴く夜の水の味日向こるり
子は今日もちゃんと食べたか亀の鳴く鄙び梅乃香
亀鳴く日ぴんと喪服を畳みけりひのきあさみ
亀鳴きて吐く息少し生ぬるい日々硝子
星菫派きどり雄亀鳴く真昼比々き
亀鳴くやぼくもこころをもつてますヒマラヤで平謝り
亀鳴くよ話さず漏れる恋心ひまわりと蒼い月
亀鳴くや茶渋を落とす退職日日吉とみ菜
留守電に逝きし師の声亀鳴けり平井千恵子
亀鳴くや橋より暮るる東京湾平井由里子
亀鳴くや舌に張りつくちんすこう平本魚水
手択本開くときめき亀鳴けり浩子赤城おろし
亀鳴いたさて母親を演じやう広島じょーかーず
側室の亀高らかに鳴きにけむ広瀬康
老年の耳に亀鳴く井戸の淵ひろせそのいち
亀は鳴き時計の鳩は引籠る広野光
亀鳴くは黄泉の誰やと語らひぬ風慈音
亀鳴くや嘗ては此処に人柱深町明
亀鳴くや挫骨神経軋む夜半深蒸し茶
此処で亀鳴けど彼処で船の拿捕福嶋あやを
亀鳴くや代替案の出ぬ会議ふくじん
亀鳴くや割り勘の銀一グラム福田みやき
亀鳴くやずしりと黙す広辞苑福ネコ
龍棲まぬ沼の千年亀の鳴くふじこ
亀鳴くや飛行機雲は夥し藤咲大地
花の間へ長き回廊亀鳴けり藤里玲咲
弾痕の壁そのままに亀鳴けり藤本仁士
亀鳴くや妻は一人で生きられる藤原訓子
カメナイテマシタネとエレベーターでふにふにヤンマー
亀鳴くやベンチに乾くビッグイシューふもふも
亀鳴くやしやべつていてはききのがす冬島直
亀鳴くやレジの硬貨に微熱あり古織沃
末吉のみくじ結んだ亀鳴いた古川しあん
亀鳴くや月に人間住むといふ古道具
亀鳴くや水面突き出る水分石古谷芳明
亀鳴くや混線直る古ラジオ文室七星
亀鳴くや切れかけてゐる蛍光灯ペトロア
亀鳴くや納骨堂の冊子受くべびぽん
ナウマンゾウと亀鳴くヒトは嘘をつくほうちゃん
亀鳴くや白くかそけき星座線黒子
包装紙たたむ昭和の亀鳴けり星田羽沖
父探す恍惚の母亀鳴けり星月彩也華
亀鳴くや孵らぬ卵地に還るポップアップ
亀鳴くや久方振りに履くオムツ堀卓
放物線の尿光り亀の鳴く堀隼人
亀の看経病選べるものならば堀邦翔
亀鳴くや夫のいびき子のいびき凡狸子
亀鳴くやギギギとルンバ立ち往生舞矢愛
亀鳴きて空は朱なり地は緋なり槇原九月
耕運機止めて土の香亀鳴けり正男が四季
亀鳴くや黒酢の甕の発酵す松浦美紅
亀鳴くや吾子の手紙を繰り返し松岡さつき
亀鳴くやため息は荷を下ろすよう松坂コウ
亀鳴いて君の納骨日和かなまっちゃこ
何色の鬼になろうか亀鳴きぬ松知
退院の遠のく日々を亀なけり松野蘭
亀鳴くや鎌の先より土こそぐ松和幸太郎
亀鳴くや二ヶ月生理来てをらず丸井ねこ
亀鳴かぬ世に人と居て寂しやなまるごとハテナ
亀鳴くやどうして余るこの薬まるにの子
亀鳴くや遺体袋の兵士たち丸山隆子
亀の鳴く涙で出来た池であり慢鱚
亀鳴くや掩体壕の今は森三浦海栗
亀鳴くや地面師去りし旧家跡三日月なな子
亀鳴くやモルヒネ満ちてゆく夜深帝菜
天守まで亀が鳴いたといふ安土三河三可
亀鳴くや白髪の溜まる排水溝水須ぽっぽ
門前に耳掻き買へば亀鳴けり三田忠彦
噛めない歯病める夜遠く亀鳴けり美津うつわ
亀鳴くやいまだに母の死の泣けぬみづちみわ
亀鳴くや奥歯の失せしあと柔しみつれしづく
亀鳴くやじわじわ見ゆる時の涯南出仁志
戦士とふ前世占ひ亀鳴くよ源早苗
誰も居ぬはずの戸ぱたり亀鳴けり美穂・広ブロ俳句部
神々の優雅な遊び亀ぞ鳴く深森明鶴
亀鳴くやおいてけ堀の魚はねるみやかわけい子
かめなくやなんもなき水曜の夜宮城海月
亀鳴くや不眠不休の信号機宮坂暢介
日落ちぬ邪馬台国を亀長鳴くみやざき白水
亀鳴くや茶碗ひとつを洗う朝美山つぐみ
亀鳴くや人の繰り言つまらぬと宮村寿摩子
亀鳴くや八雲を語る遊覧船麦野光・いつき組広ブロ俳句部
歩かねば骨が錆びつく亀が鳴く椋本望生
亀鳴きて池の波紋は同心円無弦奏
亀鳴くや本閉じ闇を愛おしむ霧想衿
きゅるきゅると湯浴みの窓を亀鳴けり紫小寿々
心音に原始のありや亀鳴きて村崎水晶
高層の影の彼方や亀の看経村先ときの介
亀鳴くや【男・女】の欄の・に〇茗乃壱
亀鳴くや地図から消ゆる我が町を恵のママ
風の縫ふ彫刻欄間亀鳴けり藻玖珠
亀鳴くや鏡の中のほうれい線望月ゆう
ゆふつづへかたりいづる如亀鳴く本山喜喜
亀鳴くや靴に重たき郷の土桃園ユキチ
亀鳴くや無職になりし一日目momo
病名のついて安心亀鳴けり桃猫
半跏思惟シイシイ亀の鳴けば夜森捷子
亀鳴くや婚家は吾を飼いならす森上はな
亀鳴くや座敷の客は後一人森佳三
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妣と同じ方言だったか亀鳴く森田祥子
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亀鳴くや善人多き物語森中ことり
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亀鳴くや由々しく開く城の門もりやま博士
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なんとなく亀鳴く村の神だつた弥栄弐庫
一匹の方が楽しや亀の鳴く矢澤かなえ
亀鳴くや御朱印帳は三冊目矢澤瞳杏
青空を落とした産井亀の鳴く夜寺耕太
認知症検査帰りを亀鳴けり安田伝助
亀鳴くや黒子は黒子のままで死ぬ痩女
亀鳴くや見飽きた窓に我映る柳とうふ
ゲシュタルト崩壊する字亀の鳴く山内彩月
七回忌法話に笑い亀が鳴く山内文野
亀鳴くや吾が齢外る早見表山河穂香
釣道具揃へる夜半や亀の鳴く山口笑骨
食ひ荒れて澱む夕沼亀鳴けり山田季聴
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もう乳房いらぬ齢や亀鳴けり山田好々子
亀鳴くや非番明けのコインランドリー大和杜
亀鳴くや地球の錆びる音を聴く山びこ
退職のメール送信亀鳴けり山辺元香
亀鳴くや空の心で写経する山本てまり
亀鳴くや寂しき時の天の声山本葉舟
小さき穴ボタンにふたつ亀鳴けりやまもと葉美
ほうじ茶は濃いめ亀鳴く日曜日山姥和
鼓笛隊亀が鳴きたくなるリズム八幡浜うさの
池の端捨てた緑の亀の鳴く友鹿
きうきうと亀鳴くときの深紫有野安津
廃校の土の匂ひや亀鳴けり宥光
亀鳴くや継ぎ接ぎだらけのアスファルト雪子
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湯に踊る卵の割れて亀鳴けり吉田蝸牛
この家は売られるらしい亀の鳴く吉田春代
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シャッターの中は薄闇亀鳴けり余田酒梨
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亀鳴くやおかん柩の蓋開けよらん丸
亀鳴けり形見の着物二棹分理佳おさらぎ
無駄骨は仁者の日課亀鳴くや柳絮
妻の還暦子亀艶やかに鳴く竜退治の騎士
亀鳴くや鏡の中に妣の居りるう
透析の白き天井亀鳴けりルージュ
旨い米ありますの紙亀の鳴く瑠璃ホコリ
鳥島の文献調査亀ぞ鳴くれんげChan
亀鳴くや未生の前の我の声連雀
亀鳴くや獏の枕に組み敷かれろまねす子
亀鳴くや夕空滲む滑走路和澄永
亀鳴くやその悪口はもう聴かぬ海神瑠珂
母の見る幻視を数え亀鳴くやわたなべいびぃ
亀鳴くや嘘つきの福祉相談渡部克三度
亀鳴くや街の違和感として我渡辺香野
亀鳴くや寝返り打てば母のゐて渡邉花
亀鳴くやてけてけてんの寄席の町渡辺陽子
広告を絞れば硬し亀鳴けり亘航希
聞きたきは母のおかえり亀が鳴く和脩志
亀鳴くや富山の薬いつ来るか笑笑うさぎ
亀鳴くや暗がり深き古本屋小林浮草
首もたぐキトラ古墳の亀鳴けり小林澄精
亀鳴くを聞き分けるのが特技です野地垂木
俳人の百人寄れば亀鳴けり野ばら
カナリヤはすでに死したり亀鳴くな舟端たま
亀鳴くや傍に認知の夫寝たりお品まり
通夜客は褒め飽き「実はね」亀の鳴く御成山
亀鳴くや夫に従ふ妻の家木谷智子
亀鳴くや賽の河原に屈める背黍団子丸
亀鳴くや三途の川の渡舟料田代充
人生の二週目行かば亀が鳴く水都かほりこ
亀の鳴く昔を語る母九十路戸根由紀
亀鳴くやふるさと思う九十路大舘さと
亀鳴くや雑草愛でて七十路に大矢香津
亀鳴くを未だ聞けずに八十路かな鴨の里
亀鳴くや野暮の極みを堂々とEarlyBird
夕暮れや亀鳴いたのか振り返るあいあい亭みけ子
亀鳴きて古き映画の字幕かな藍空
亀鳴くと不快な夕闇にうかぶ不安あいのふくらみ
亀鳴くや夫に茶を汲む清寂を逢來応來
亀鳴くや母を送りし齢となりあ。うん
亀鳴くや縁でうたた寝空を蹴る青井心平
亀鳴くや欠伸してをり狛の犬青空まる
臨終に亀鳴く声の清々しあおのめ
擬宝珠を拝む八雲や亀も鳴きacari
亀鳴くや朝のラジオで好きな曲芥茶古美
こつそりとスキップするや亀の鳴く圷美流
亀鳴くや夜爪切るなと云ふ母明智明秀
顔ぶれの変わる公園亀鳴けり朝雲列
亀鳴く夜君なき世界ふたたびのあすなろの邦
噴水のあった池たわわに亀鳴く麻生恵澄
灯を消して旅立つ前夜亀鳴けり愛宕平九郎
消えかけのネオン仰ぎて亀鳴けりアツシ
亀鳴くやピンクの封書手に重し渥美こぶこ
たゆみなく睡魔襲ふや亀の鳴くあねもねワンヲ
亀鳴くや十年ぶりのけんけんぱあまぐり
亀鳴くや日記にだけは記録せり天鳥そら
亀の鳴く夜はミステリ二倍速雨乙女
亀鳴きて雲梯掴む子らの声雨霧彦(木ノ芽)
亀鳴くや塩対応の同い年あらい
亀鳴くやハローCQ君いづこ荒木響
幽玄の星合池や亀の鳴く荒木ゆうな
亀鳴くやひとり夕暮れ星を待つ有川句楽
亀鳴けり卒寿に向かふ路程(みち)わづか有本としを
亀鳴くや武将の組みし野面積安春
亀鳴くや欠伸ひとつの午後長し杏っ子
亀なくや令和八年禁酒宣言飯沼比呂倫
亀鳴くを待ちたるやうにひもすがら飯村祐知子
亀鳴くや白内障のセピア色池田悦子
「亀鳴く」!?ひょっとしてだまされてます?池田華族
彷徨ひて宿場の桶の亀の鳴く十六夜の花札
美容液ぬり込む夜は亀鳴けり伊澤ゆき抄
亀鳴くや水面に小波おこす風石田ひつじ雲
亀鳴くや韓国料理でいいよねと石塚壜太呂
亀鳴くやわが影落とす池の面に石原花野
亀鳴くや妻のラインはレス無くて石原由女
亀鳴くや声聞いたよな夢の中泉恵風
亀鳴くを突っ立って待つ日曜日市川卯月
亀鳴くや小雨吹き込む高架下無花果邪無
亀鳴くや寝息始むる腹の上ゐつしん
亀鳴くやプリントくれた子好きになり糸終因果
亀鳴くや独り歩きし夕暮れに伊東海芋
亀鳴くや園児ら去った境内に伊藤薫
亀鳴くや瓦礫の中の人密か伊藤節子
亀鳴くや肋に響く大太鼓井上鈴野
亀鳴くや自国ファースト主義の民猪子石ニンニン
亀鳴くや世相ざわめく夕の刻いまいみどり
百年の盆栽を愛で亀鳴けり井松慈悦
目を揉んでページ閉じれば亀の鳴くいわさちかこ
面接官まだ現れず亀鳴くや上野眞理
微睡みのすき間すき間に亀の鳴く上原淳子
ベランダのティラノサウルス亀鳴けり兎野紫
亀鳴くや畳に残る車輪跡内田ゆの
今夕も十年飼いし亀鳴かぬ海口竿富
亀鳴くや咳の止まらぬ午前二時海月のあさ
耕せば亀の鳴くらむ休耕地梅里和代
亀鳴くや昨日は昨日今日は今日浦城亮祐
亀鳴くか恋うる人なき吾の夜よ麗し
背中から突然教え子亀の鳴く詠・想風土
児の怪我にちちんぷいぷい亀が鳴く蝦夷の珪化木
亀鳴くや明日のために息を吸ふ蝦夷やなぎ
鎮魂の知床の海亀鳴くやえのき絵巻
野良終えし湯気の小窓に亀鳴くやえのき筆丸
亀鳴くや小説もう一区切り読む榎本咲
亀鳴く帰路カバンは重く足のろく榎本奈
亀鳴くや傘寿の同窓会榎本雅
亀鳴くや庭の片隅にぎやかにえみくれ
半眼の亀鳴く猫の逝きし日よえりべり
亀鳴くやAI知らぬ声ひとつ円美々
主去り野に放たれて亀鳴く夜大江戸小紋
亀鳴くは水木しげるも描かざりき大川すまき
難読の地に大師堂亀の鳴く大久保加州
日記書く亀鳴く夜の静けさや大阪駿馬
亀鳴くや夜の宿坊のひそやかにおおさわ酔歩
妻に詫び亀鳴く夜ならできるかも大澤道史
亀鳴くや二匹の水脈を見送りて大嶋宏治
亀鳴くや亡き猫の夢重みのある夢太田亞希
亀鳴くや水平リーベ僕の船太田一駄歩
からくりの時計靡いて亀は鳴く大富孝子
亀鳴くや会社のパソコンフリーズす大野美波
泣かぬ吾子の尻拭う夜亀鳴きぬ大橋日楽
亀鳴くやビールのラベル向き変えて大原那穂
亀鳴くや微睡むふたり55年大原妃
亀鳴くやひとり公園たいこまん大原雪
寅さんはまた旅に出て亀の鳴くおかえさき
太閤や亀鳴く程にお目出度し岡崎佐々紅
亀鳴くや付箋のページめくる毎男鹿中熊兎
瀬戸内の夕陽追いかけ亀鳴くや岡眞弓
亀鳴くや遠くフィドルの優しき音岡村恵子
亀鳴くや米のとぎ汁庭に撒き岡村宗太郎
亀鳴いてぼんやりけむる由布の町オカメインコ
亀鳴くか独り大の字声を待つ岡本
亀鳴くや生命の目覚め息響く丘るみこ
亀鳴くや不倫の閨の常夜灯小川天鵲
亀鳴くや日の入り緩き風ほほに沖乃しろくも
亀鳴いて鼻差で逃げる万馬券沖らくだ@QLD句会
止めどなく聞こゆ繰り言亀の鳴く奥寺窈子
亀鳴くや芭蕉稲荷に人け無く小田毬藻
亀鳴くや積読ひらく紙の音おつき澳吉
風無き野に一人亀鳴くを知る小野ぼけろうじん
亀鳴くや統廃合の進む国おぼろ月
亀鳴くや老翁緩歩す猿肩に海堂一花
目的地周辺ですと亀鳴けり加賀くちこ
騒音にあまた消されて亀の鳴く風音
亀鳴くやすすめと誰か山地蔵風花美絵
亀鳴きて香りたつキャラメルティー鹿嶌純子
亀鳴くや浦島太郎が龍宮へかじまとしこ
古希祝う亀も鳴きたり病自慢風かおる
自慢なるボケの虚しや亀鳴けり風乃絣
亀鳴くや朝餉のねぎを刻む夜風の母
亀鳴きて退職までの日数へたり片岡明
亀鳴くや水しぶき染む石畳片岡一月
亀鳴くや茶トラの遺骨の小さくて花鳥風猫
亀鳴くや洗濯物を干す夫かつたろー。
白髪また増えて憎らし亀が鳴くひだまりえりか
うたたねや亀鳴く空気漂て桂葉子
亀鳴くや御伽の国へ旅立つ子加藤水玉
亀鳴くや郵便受けに不在票加藤栗庵
同期会家路たどれば亀鳴くやかなこと舞い結び
子が発ちて亀鳴く夜や犬と我金澤孝子
亀鳴くか募る想いや人惜しむ金子陽
指からめ耳そばだてて亀鳴く声釛子ふたみ
もう一軒行こうよ亀も鳴いてるしかねつき走流
遠き日の亀鳴く港ハンブルグ亀岡恵夢
亀鳴くや主の白鳥消えし池亀くみ
亀鳴くやかめという名の猫と住む亀子てん
亀鳴けり万年生きる調べかな亀田ミノル
亀鳴くや赤信号のなき家路加山シンゴ
苔寺に亀鳴く明けや影もなし我ゆまる
TV倦んで眼とじて亀鳴くを待つ加裕子
モコモコと山肌持ち上げ亀鳴くやカラハ
要介護1まだまだと亀の鳴く河上摩子
亀鳴くや目覚まし鳴るや起きぬ子よ川野カッパ
亀鳴くやスマホの無情奈落かな川辺世界遺産の居候
亀鳴くや映画の余韻田んぼ道カワムラ一重
亀鳴くや交番前の五円玉岸壁の龍崎爺
同窓会気付けば二人亀鳴けりがんも三世
亀鳴くや明日の天気荒れるらん菊池克己
亀鳴くよ落暉の余韻チャルメラよ如月ゆう
亀鳴くや寝付けぬ夜にラジオ消し酒暮
亀鳴くや欠伸するしかない暇季切少楽・広ブロ俳句部
亀も鳴く肌緩やかにほどけゆく北川茜月
亀鳴くや無言なる背を追うばかり北田ひまり
ぽっかりと亀鳴く夜の読書灯北乃大地
亀鳴くや石舞台へと歩く道北の星
浦島太郎運びしや亀は鳴く北美三風
亀鳴くや地球回りギャング走る貴田雄介
亀鳴くや今日もリリーフ打ち込まれギックリ輪投げ
亀鳴くや老舗閉店の張り紙木下桃白
亀鳴きてスペイン階段独り占め君塚美蕉
亀鳴くやセメントまじる石の堀木村カズ
静けさや背割堤に亀鳴きて木村かわせみ
亀鳴くや甲羅ドボンと水へ落つ木村波平
亀鳴くやプラごみすでに体内に旧人をーるど
亀鳴けり選ばなかつたもうひとつ九ゼットン
笑い声消えて亀鳴く夜の居間Qちゃん・広ブロ俳句部神奈川支部
亀鳴くか沼の石の上天仰ぎ京極江月
亀鳴くやコロッケ揚げる父の指清鱒
亀鳴いて鎮守の杜の闇深く喜楽胤
亀鳴けり三線まざり身たゆたうキン肉アタル
亀鳴くやしっかりたるみし君が腹銀のグランマ
境内に友待つ日暮亀鳴けりくぅ
亀鳴くやローリングストーンズそのままに楠田草堂
亀鳴くや嫁と姑と囲む膳くずもち鹿之助
亀鳴くや弔問の蓙つややかに草臥れ男
亀鳴くや声なき祖父の指うごくくにっち
亀鳴くやソワレの余韻冷めやらぬ國本秀山
風やめば亀鳴く池の石畳窪田和子
亀鳴くや国境乱る世界地図熊谷温古
不法投棄やめなよ亀が鳴いている倉岡富士子
亀鳴いて終末時計進みけり蔵豊政
亀が鳴く枯れた盆栽祖父の跡栗子
亀鳴くや知るよしもなし長寿なぞ栗田芳文
亀鳴いてやがてぽちやんとそれつきり空流峰山
亀鳴くや性善説は信ぜざる愚老
亀鳴くやうさぎ聞いたかこちら見る黒瀬三保緑
池越えの9番ホール亀は鳴くくろだ@しろい
亀鳴くとたばかり背中を向けて泣く黒猫さとみ
亀鳴くや久寿もち重し帰り道桑田栞
木漏れ日の揺らぐ只中亀鳴きてくんちんさま
亀鳴くや夢の終焉待たずして家古谷硯翠
亀鳴くやここで伏線回収かケビンコス
亀鳴くや聞き分くる耳持たむとす獣道辿
亀鳴く夜粉っぽい妻おんな顔欅谷風来
亀鳴くや空耳といふ人の嘘ケント
亀鳴くや廃墟に慕う君の影河国老保忠
亀鳴くや発酵菌の殴り合い紅紫あやめ
湯治場に今日もいる人亀鳴きぬ虹博筋
亀鳴くや白髪数えて微睡て郷りん
亀鳴くや暮るる一日ひとりごと古烏さや
尼寺の暗き厨や亀鳴けりこきん
亀の鳴く会津若松城下町国領柩
山菜の苦味満開亀鳴けり腰高豊
うら寂し堀端一人亀鳴くや越乃杏
不老への夢中の老へ亀の鳴く胡秋興
甘やかにラブソングかな亀鳴けり湖水鈴
亀鳴くや遺影に語るけふの事児玉ひでき
亀鳴くや塞ぐ心を開きたり呉桃周行
亀鳴くやぽつぽつと地に雨沁みる後藤葉羽
亀鳴くやぼーっと何にもせずにゐる古都鈴
亀鳴くやランプの宿の薄明かり小林昇
亀鳴けり象も象舎の外で糞る小林脱太郎
頓挫せし実家の片付け亀の鳴く小林のりこ
夜の庭誰を想いて亀鳴くや小林弥生
亀鳴くや素焼きの蛙本読みて小林理真
戦争がゲームならばと亀鳴きて独楽
夕日さす海辺の棚田亀鳴けり小巻淑乃
言えぬこと聞かぬこと有り亀鳴けりこむぎ
妣の櫛を弟子が刺したる亀鳴けり小望月あうる
誰だろう亀鳴く夜のインターホン小山秀行
亀鳴くや猫がウロウロ落ち着かずコロンのママ
文豪や亀鳴く園へ筆休め紺雪ぬくし
亀鳴くや奇瑞の空に露われる今藤明
亀鳴くやアナウンサーの笑み虚ろサイコロピエロ
亀鳴くや切つてみようか赤い糸埼玉の巫女
いつもの公園亀鳴く夜寂し齋藤鉄模写
亀鳴くといへども長きあくびかな酒井春棋
亀鳴くや腰の痛みによろめいて坂本千代子
ミシミシと亀鳴く夜中目が覚める相良まさと
亀鳴くやよく死ぬことはよく生きること櫻井弘子
亀鳴くやあなたの答え待ちながら笹桐陽介
亀鳴くや何故捨てたのか湯気つかむ笹靖子
亀鳴くや月命日に耳澄ますさざんか
亀鳴くや妻の残したドライヤー佐藤恒治
亀鳴くやもの忘れして独り言砂月みれい
亀鳴くや爺の戯言聴いており佐藤公
0.8リットルほどの亀鳴けり佐藤茂之
からすみを少し炙れば亀鳴けりさとうナッツ
亀鳴くや遺品の整理などもして佐藤ゆま
亀鳴くや歩み続けて一万歩佐藤佳子
夫婦して耳遠くなり亀鳴くか里こごみ
製氷機動き始めて亀鳴くや沙羅双樹サリー
屋久島に放ちし亀よどこに鳴く紗藍愛
亀鳴くかも池田澄子があの席に澤田紫
秀吉の命で秀長亀鳴かせ澤野敏樹
亀鳴くや屏風の美女に抱かれて沢山葵
亀鳴くや思いの外の退職金三角山子
亀鳴くや戯画の兎と戯るるさんなんぼう
亀鳴くや曾ては海でありし街慈雨
亀鳴くや聴力検査のボタン手に四王司
ふるさとの廃村にあり亀鳴けり塩風しーたん
咀嚼筋かすかに動く亀鳴けり塩沢桂子
寛解のカルテ亀鳴く神の聲塩の司厨長
亀鳴く帰り道ふり向く人も無く志垣桜里
平地でも躓く我に亀鳴くやしかの光爺
亀鳴くを聞くよ傘寿になりし今じきばのミヨシ
亀鳴くや三年ぶりの里帰り信濃のあっくん
亀鳴くや月への道の縮まりて島桜
亀鳴くと音重なりて脈ドクン島じい子
万年を生き抜く気概亀の鳴く清水容子
聴き初めし亀鳴く庭ふわりと闇霜月詩扇
亀鳴くや二人暮らしに戻りし日霜月シナ
三振に吠える亀鳴くストレート下丼月光
亀鳴くや引き留められぬ人のいて沙那夏
亀鳴くと聞こえぬ声を聴ける村修懿
秀吉の顔を見ている亀が鳴く十一月
サワーから初むるコンパや亀鳴く夜秋芳
亀鳴くや鳩がオリーブ咥えてる種種番外
亀鳴けり老い急ぎゆく吾の背にじゅんこ
ごみ出しに交わす挨拶亀鳴くや正見
鳴かぬなる季語「亀鳴く」の祖を追へる白石鈴音
亀鳴く夜話さなかった闇を聴く白いねこ
亀鳴くや我の先行く若人ら四郎高綱
瞼裏に光と影の亀鳴けりしわしわ
優しさも同封されて亀鳴けり神宮寺るい
亀鳴くやダムの底より村ひとつ新森楓大
亀鳴くや雨音深く聞きゐたり深幽
亀鳴くという嘘法という矛盾水蜜桃
映画祭やたら亀鳴く家路なり末広野暢一
亀鳴いてかかあ天下の揺らぎけり杉尾芭蕉
診察の帰り亀鳴く三年目鈴木季良恵
亀鳴くや半年ぶりの着信音涼希美月
亀鳴くや酔ふ帰り路の田水の香すずしろ桂
遠回りこれも儲けと亀鳴けり素敵な晃くん
亀鳴けり吾が手の甲の皺深し晴好雨独
亀鳴くや最終駅の帰り道せいだるま
夜口笛吹きて蛇来て亀が鳴く青峰桔梗丘
亀鳴くや親父と歩く帰り道星夢光風
亀鳴くや時を蝕む灰色紳士摂田屋酵道
亀鳴くやタイムカプセルのラブレター惣兵衛
亀老山茜の空と鳴く亀と蘇我のあすか
亀鳴くや耳の唸りの高血圧外鴨南菊
代休日母と晩酌亀鳴く古都駄詩
亀鳴くも鳴くも届かぬ片想ひ大ちはる
亀も鳴け平和憲法守るべくたいらんど風人
無言で手繋ぎ家路途中亀鳴く高上ちやこ
整えし髭の撫でおれば亀鳴く高杉光水
亀鳴くを信ずるひとの寝癖かな高瀬小唄
亀鳴くや遅延受精の卵埋めて高田博子
寺の中お経の声に亀鳴くと高橋紀代子
亀鳴くやLINEの写真見ては閉じ高橋こう
亀鳴いて眼鏡外して眠りおり高橋すずめ
亀鳴くやクラリネットを直すパパ高橋寅次
托鉢の僧の読経や亀の鳴く高橋基
亀鳴くや古きラジオの古き歌高橋光加
若ぶつた着物着るなり亀鳴けり鷹見沢幸
亀鳴くや物価に怯ゆ老夫婦高見正樹
亀鳴かば異国の窓の開かるる滝上珠加
両さんの留守の派出所亀鳴けり武井保一
亀鳴くや命目覚むる干し野菜たけぐち遊子
亀鳴くやゆつくり走る草野球タケザワサトシ
亀鳴くと静かな森の一軒家武部博臣
目覚めれば「ねじ式」の浜亀鳴く夜多胡蘆秋
亀鳴くや逍遥しつつひと休み祐紀杏里
亀鳴くも柱振子とふれあふ夜たすく圭節
爆撃機飛ぶ音のして亀鳴けり糺ノ森柊
亀鳴くをつひに聴きをり武者震只野乙華散
亀鳴くや下山路の杉木立鳴くただの山登家
亀鳴くやガラス瓶に映る娑婆立花かおる
祝宴のあとの静寂を亀鳴けり橘路地
息とめて金箔置けば亀鳴けり立石神流
亀の鳴く街薄着らの肩そびえ田中勲
亀鳴けば用はないからベンチに座る田邊辺
亀鳴くやクライエントは女の子谷相
ふれる指亀鳴く水面揺れる刻たぬちゃん
亀鳴くや釣り人ひとり池の端田畑せーたん
一人酒亀ぞ鳴くなり午前二時旅がらす
亀鳴くや卒寿をぼやく義母の夜玉家屋
亀鳴くや戦が続く闇の世に玉響海月
地震来るアラーム響き亀鳴けり鱈瑞々
亀鳴くや糊の枕へ背の沈むちさいちそく
老いた白柴友の亀鳴くを待つ智同美月
亀鳴くや川辺に一人会社員千鳥城、広ブロ俳句部カナダ支部
肉屋からコロッケ香る亀が鳴く千夜美笑夢
亀鳴くや鎧の下の思慕溢るちろりちろりみゆき
亀鳴くやケット1枚片付けぬちんとんしゃん
九十の免許返納亀鳴けりつーじい
亀鳴くや空を見上げる帰り道司蓮風
今気づく恩師の手紙亀鳴けり塚本隆二
日暮れ時花蜜の香気亀鳴くや月ノイス
寝返りをうつたび亀の鳴くような月の莵
亀鳴くやスマホを金庫に監禁しツキミサキ
亀鳴くや月命日の煙揺れ月見里ふく
相続で空き家バンクへ亀鳴けり月見人
ため息を打ち消すように亀が鳴く月夜案山子
手術受く母は米寿や亀鳴けり辻ホナ
亀鳴くや夜道つきくる風の音辻美佐夫
亀鳴くや本音写らぬレントゲン辻本四季鳥
亀鳴くや冷めし味噌汁まだそこにつちのこ
チューニングずれてるギター亀鳴けり椿泰文
亀鳴くや新卒の部屋に陽の射さず津幡GEE
亀鳴くや貴方いないのなぜですかつぶ金
鳴く亀のこゑ重なりて静寂かな坪田恭壱
亀鳴くやルンバは居間を巡りをりツユマメ・広ブロ俳句部
亀鳴くや求人募集有難し鶴富士
群れ遊ぶ亀鳴く池の静けさよ手嶋錦流
亀鳴くや初診の妻を待つ車内手嶋子犬
墓参り線香ぼとと亀が鳴く哲山(山田哲也)
聞こえぬか亀の鳴く世は平和らし徹光よし季
ひとり観るテレビは「サイコ」亀鳴くやてん子
二刀流極致魅せれば亀鳴けり天童光宏
亀鳴くや水路を過ぎる汽車の音天王谷一
遺言はミステリの中亀鳴けり東森あけば
亀鳴くや恐竜学部在籍すときめき人
亀鳴くや夜更けのゲーム無音なり徳庵
亀鳴きてBフラットと響きをりどくだみ茶
亀鳴くや我も昔にあったような徳永恵楓
亀鳴くや一日だけの軽い嘘とくねん
怪談の聖地巡礼亀ぞ鳴く杼けいこ
亀鳴くを待つ濡れ縁にバインミーとなりの天然水
亀鳴くや九十五歳の尼の経冨川ニコ
亀ぞ鳴く比奈夫数へし百寿かな富永武司
亀鳴いて舅の愚痴を聞き逃す富野香衣
亀鳴けばまたすれ違う同じ人富山の露玉
亀鳴くを待つてゐる間に五合呑み豚々舎休庵
亀鳴くや吾子は砂場に丸まってとんぶりっこ
亀よ鳴けあのミサイルを止めてくれ蜻蛉の眼鏡
亀鳴くやサブスクすべて解約す中尾鎖骨
亀鳴いて万年筆を手に取ってなかかよ
夜読書に更けて亀鳴く部屋机中澤孝雄
亀鳴くや今日に昨日の染みの跡中島走吟
亀鳴くやブリキのおもちゃドラ叩く中島葉月
亀鳴くや石碑の欠片ぽろり落ち永田千春
亀鳴くや空気圧見て終わりとす仲田蓮謙
亀鳴くや海峡通る船影何処中藤雅子
亀鳴くや卆寿の母の笑みこぼる中西千尋
亀鳴くや喉縦に開け吾は演歌仲間英与
亀鳴くや青切符持ち支払いに中村明日香
八十路なほ友はライバル亀鳴きぬ中村あつこ
亀鳴きて公園のベンチ鼻提灯中村宏一
空き家増え亀鳴く道に枝覆う中村こゆき
亀鳴くや夢銀行の残高簿中村想吉
亀鳴くや反戦デモの帰り道中村雪之丞
亀鳴くや門扉のみあり母校跡中山由
亀鳴くや川の淀みも聞くまいと流れ星
列挙した言葉の整理亀鳴けり凪ゆみこ
香を焚き亀鳴くを聴くにはまだ足らず七五三五三
亀の鳴くビルの灯りに更けし夜那須乃静月
高配当謳う話よ亀鳴けり夏草はむ
亀鳴くや胡瓜を餌に四半刻夏椿咲く
落城の怨念今も亀の鳴く夏目坦
亀鳴くや月のうさぎへ念波長名取秀
子は嫁ぎひねもす亀と鳴いてゐる7パパ・広ブロ俳句部
亀鳴くやゆっくり煮出すハーブティー名計宗幸
亀鳴くや水辺の道を子と二人生天目テツ子
亀鳴きて凡人なりき朝が来るなやな
松竹座売り切れ御免亀も鳴く奈良華咲
亀鳴くや堀の噴水口乾く南全星びぼ
亀鳴くや子の手に光る泥団子にいやのる
亀鳴くや面影偲ぶ毘沙門堂にえ茉莉花
のびる麺途切れる会話亀鳴けり西川千波
亀鳴くや水槽の音診断待つ西園撫子
亀鳴くや肩甲骨の折るる音西野和香
亀鳴くや薄桃色の掛け時計西原氷彩
亀鳴くや自由業だと言い聞かす二重格子
サヨナラと亀なく夜はひとり酒丹羽正明
三代にわたる掛け軸亀鳴けり沼宮内かほる
亀鳴くやうつろうつろにOKグーグルねがみともみ
大谷の大きな当たり亀の鳴く猫辻みいにゃん
繰り言の三度巡りて亀鳴いてねこの☆さんぽ
亀鳴くや返信は無しひとり酒ねね丸ねね子
亀鳴くや天神様にお参りす野瀬博興
亀鳴くや消え入りそうな胡弓の音野原一草
老二人いつかは一人亀の鳴く野原蛍草
百年目の廃線去りて亀鳴けり昇椿
丸かりし母の背遠み亀鳴く夜のほほん政子
亀鳴くや阿弥陀様笑む浮御堂則本久江
亀鳴くや双眼鏡を覗き込むのんのんた
ドナドナされるチャリよ亀鳴く一日目羽織茶屋
亀鳴けば早期離職の腹くくり白山一花
飴色の木地山こけし亀の鳴く白山おこ女
亀鳴きてそよぐ布巾の檸檬柄橋爪利志美
亀鳴くやアニメと添い寝の抱き枕橋本有太津
亀鳴けり何を贈ろう誕生日馬笑
亀鳴いて初心に戻る夫婦椀蓮井理久
亀鳴くや古寺の鐘音絶えて蓮見玲
朝湯して呑んでまた寝て亀鳴いて葉月庵郁斗
秒針の音ずれてきて亀鳴けり八田昌代
帰り道羽織るコートに亀が鳴くHaTo
亀鳴くや世界情勢斯くも不穏花岡淑子
わけ知りの口をきくなと亀が鳴く花彼岸
人類の戦(いくさ)きりなし亀の鳴く英凡水
亀の鳴く吾子と息飲む夕間暮れ羽馬愚朗
亀鳴くや色鮮やかな散歩道馬場勇至
亀鳴くを聴く3セクのホームかなはむこ
月の陽川面に揺れて亀鳴くに原口竹九
亀鳴くや三十八度五分の熱原島ちび助
亀鳴きて木鐸の僧暫し止む寺原修一
胃カメラのライブ映像亀鳴けり原水仙
亀鳴くやさっきお昼は済んだでしょ原田民久
ダイエットはAI任せ亀鳴けり春海凌
亀鳴くや我が道筋の是非いかにharu.k
我が想ひ歌に託せば亀鳴けりはるっち
幼子や手のひらに亀の鳴くまで春野夕凪
茶室寂び化け大亀の鳴きたるか春海のたり
亀鳴くや遠き戦の火は高くはるるん1号
亀鳴くや夜風をあてに一人酒ひーちゃんw
怠けるを年を言いわけ亀鳴くや東山たかこ
授かりし胎児腹蹴り亀鳴けり疋田千優
鳴く亀よ重き甲羅を脱ぎ捨てよ樋口滑瓢
亀鳴くや終活ノート一行目樋口ひろみ
亀鳴く中本坪鈴をガランガラン火車キッチンカー
亀鳴くや草の匂いの白髪染めピコリス
亀鳴くや嬰を報せる電話鳴る一石劣
亀鳴きし声に筆執る手を離しひめりんご
亀鳴くや#ママ戦争止めてくるわ飛来英
亀鳴くや吾に会釈す母易し平井智子
亀鳴くや会えぬ吾子の影遠く平野純平
石舞台耳をすませば亀の鳴く平林政子
亀鳴くや無言で作る砂の山平松一
どこからか聞こえてくるよ亀が鳴く平本文
亀鳴くや大屋根リング解体音比良山
亀鳴くや大本営発表流る平山仄海
亀鳴くや遠き昔の私事広島あーやあーや
亀鳴くや小窓を射せる白き月廣田惣太郎
亀鳴くや戦なき世のゆめの声広ブロ俳句部三日余子
AIの静寂一瞬亀鳴けりー呂ひ
亀鳴くやスマホ忘れし昼下がり琵琶京子
亀鳴くやがんの言ひ分聴きませうびんごおもて
亀鳴くや亀の世界の標準語フージー
待望の孫生まれるぞ亀鳴けりFUFU
亀鳴くや吾子初出社の昼下がり風蘭草和
細き雨に頭を上げて亀の鳴く福井桔梗
四畳半亀鳴く夜の手酌かな福川敏機
亀鳴くや闇に風嗅ぐ猫笑ふ福弓
亀鳴く妣に似たあくびのリズムふくろう悠々
亀鳴くや電話ボックスのひとりごと藤井かすみそう
亀鳴くや夕暮れ時の法の池藤丘ひな子
静寂の森で感じる亀鳴くを藤沢・マグネット
亀鳴くや褥にほどく貝の口藤白真語
亀鳴くや電話はいつも話し中藤永桂月
亀鳴くや葉擦れ衣擦れハモリ出す伏見レッサーレッサー
亀鳴くや独身貴族ここにをり藤本だいふく
月あかり海へひしめく亀鳴く群れ不二家バニラ
亀鳴くや香るコインランドリー風友
亀鳴くや一人職場で意地も抜け古澤久良
亀鳴くや湖底の村の再来に古庄萬里
亀鳴くやぽってんふるんと猫の腹碧西里
独り居の本閉じたれば亀の鳴く芳醇
日の沈む刹那静寂亀鳴けり峰晶
独り寝に亀鳴く声の遠く近く房総とらママ
クラス替えやっと見慣れた亀鳴くころ暮戯
良くなってるよ医師の一言亀鳴けり北人
亀鳴くや御陵の傍乃木神社保古亜歩子
亀鳴くや故人も濡れし金福寺帆星
亀鳴くや鼾は無罪か有罪かほしぞらアルデバラン
ラジオより初メッセージ亀の鳴く星乃瞳
亀鳴くやほうれい線を消す体操ほしの有紀
水底へ沈みたき日や亀鳴けり細葉海蘭
亀鳴くや甲高き空我帰るほのちゃん
亀鳴くや遠音聴き入る独りの日前田冬水
亀鳴くや科学万博跡の池牧場の朝
獰猛な川辺の集団亀の鳴く槇まこと
鳴く亀の心意心耳を欹てり牧茉侖
亀鳴くや蛇口ひねれば人が来てまこと七夕
熱っちーな地球抱きて亀も鳴くまさかわそう
亀鳴くや愛しき君に背を向けて雅蔵
枡酒の老黙なるや亀の鳴く町田勢
亀鳴くや肝心なことし忘れき町田思誠
亀鳴くや夜半に聞こゆる母の声松岡才二
我が影も車道に伸びし亀鳴くや松岡徘徊狂人
万年の齢重ねた亀の鳴く松岡玲子
雨上がり晴れたみそらに亀の鳴く松尾祇敲
廃村に亀の看経地蔵尊松尾老圃
亀鳴くも昔の大志今いずこ松平武史
亀鳴くや人それぞれの青があり松田迷泉
外来の亀鳴く池や六時堂松原鈴子
亀鳴くや君とのミサの帰り道松本笑月
亀鳴くや午前二時の店じまい松本牧子
亀鳴きて隈なし岸を渡りをりまやみこ恭
亀鳴いて数珠頂戴の人のあり瑪麗
亀鳴くやパスキーだけのチェックイン毬雨水佳
亀鳴くや鎌倉宮の太鼓橋真理庵
亀鳴く日耳鼻科の検査終えにけりまりい木ノ芽
亀鳴くや目覚めぬ姉の息静かまり子
口笛を吹くほかなきと亀鳴きぬ丸山美樹
子育ての喧騒さなか亀鳴けりまるり
亀鳴く野良猫の侵入を禁ずミースミース
亀鳴けり手術の前の母の声みかりん65号
亀鳴くや美人の洩らす生欠伸三木崇弘
友作り終へて亀鳴く部屋の隅三倉もの
鳴く亀や夜明けの晩に浮かび出る三毛乱次郎
亀鳴くや裸の王がゐる世界三茶F
亀鳴けば亀のあくびの吾にうつり岬ぷるうと
親亀鳴き子亀も鳴くや独居の夜三崎扁舟
人感センサー音声案内に亀鳴く水井良柚
亀鳴くやひとり二次会地下のバーmr.kikyo
夢に立つ亡夫の気配亀の鳴く水巻リカ
亀鳴くや薄給自慢の息子たち三隅涙
ガラス切るチリチリといふ亀鳴けり巳智みちる
亀鳴くや谺に戦ぐコルチ器官満生あをね
亀鳴くや天神様の詣道光月野うさぎ
亀鳴くや田の神さあも微笑みぬ光森光
亀鳴けば赤子寝ぐずる夜夜中満る
亀鳴くや認知の病母の声ミナガワトモヒロ
逃げし亀鳴く声追ふや父一人みなづき光緒
亀鳴くや古民家の宵妻と居る湊かずゆき
耳澄まし鳴く亀をまつ露天風呂嶺乃森夜亜舎
亀鳴くやリハビリ中赤子二人みはやななか
亀鳴くは龍へ変化す五秒前美村羽奏
亀鳴くやひだまりで井戸端のごと三群梛乃
亀鳴くや夜半の湖面に憩う月見屋桜花
コンビニの路上てかてか亀の鳴く宮下ぼしゅん
亀鳴くや乳色の朝父恋し宮本かんこ
亀鳴けりパート面接また落ちてみらんだぶぅ
亀鳴くや百歳の初恋バナシ麦乃小夏
亀鳴きて足早になる抱っこ紐むじか
亀鳴くや足首の骨折れてはや睦月くらげ
物思ひ佇む宵や亀鳴けり村井もこり
亀鳴く屋ふんわり匂う夕げの香村岡より音
亀鳴く夜共に白髪の湿布貼りむらた典珠
亀鳴くや幼き孫も兄となり村の上の百合女
ボイジャーも独りならずと亀鳴けり明月詩悠
母の背を抱きて名を問ふ亀鳴けり暝想華
亀鳴く夜隔てし人の電話取る目黒青邑
浮世絵の放生池に亀鳴けり茂木りん
ごちゃごちゃと甲羅を干して亀の鳴く百瀬つきか
亀鳴きて昨夜(ゆうべ)の嘘を許したり森重聲
亀鳴くや耳の奥まで透き通る森下一期一会
亀鳴くや長生き吾子の嫁取りは森嶋獅子吼
亀鳴いて発射準備の準備待ち森太郎
画面に戦争うす目の亀の鳴く森ともよ
亀鳴くや届けてくれよ我が想い森野恵
亀鳴くや1人病室天井見森茉那
亀鳴けり大陸からの飛来物諸岡萌黄
念のため探す亀鳴くYouTube野州てんまり
亀鳴くや主不在のビオトープ安永彩女
亀鳴くや絡まつてゐる刺繍糸八幡風花
孫遅し帷の奥に亀鳴きて山岡寅次郎
亀鳴くや半世紀ぶりの同級生山川たゆ
亀鳴くや取り越し苦労下ろす庭山口絢子
亀鳴くや聞き耳もたぬ童子山口雀昭
事済んで裸電球亀鳴く夜山口愛
亀鳴くや水面に映る利通碑山崎力
亀鳴くやパンの膨らむ時間待つやまさきゆみ
亀鳴いてコリオリ力じゃ進めない山里うしを
待ち人はみえず亀鳴く池の暮山下智
天地の吐息亀鳴く独り杯山下義人
亀鳴くやあれこれそれと老夫婦山育ち
亀鳴くや歯医者へ向かふ道淋し山田翔子
亀鳴くや寝息の乳児腕の中やまだ童子
亀鳴くや南無阿弥陀仏寺の池山田未知子
亀鳴けば空耳にても聞こえけり山田文妙
風吹くと音楽室で亀が鳴く山野花子
亀鳴くや退職記念の夫婦茶碗ゆきのこ
亀鳴くや長さか幅か試し履きゆすらご
亀鳴くや生命線の少し伸び夢華
飛鳥京上代の亀や鳴くらむ陽花天
亀鳴くやお迎えの爺じと園児陽光樹
特養の窓辺亀鳴く夕べかなYOKOCHAN
お隣の名前も知らず亀は鳴く横縞
亀の鳴く浦島太郎それっきり横山ひろこ
亀鳴くや古墳の傍の用水路横山道男
亀鳴くや怪談噺に徘徊すよしぎわへい
あの人も辞めるかもよと亀鳴けり吉成小骨
亀鳴くぞ命は一度きりなのだ吉藤愛里子
亀鳴くや同窓会の賑ははしYoshimin空
亀鳴くや身勝手が仇独り身に吉哉郎
亀鳴くやグリコじゃんけん最初はグ米山カローリング
太閤も所詮人の子亀の鳴く楽花生
亀鳴くや午後の講義のまばらなりリコピン
色褪せり亀鳴く音色温暖化龍斗
十和田湖の藍い湖面に亀鳴くや凛
亀鳴くやへのへのもへじ泥に描く麗詩
亀鳴くとなにか良いことありそうな麗仙
亀鳴くは泰然やまた備蓄急くロジック・ファットフィールド
外は雨「明暗」読みて亀鳴けりわかなけん
亀鳴くや紫煙ひとすじ兄の墓若林くくな
亀鳴くや一人ぽっちはさみしいな若宮直美
亀鳴くや吾も泣きたい青切符渡邉白梅
亀鳴くや戦後生まれの父の皺渡邉わかな
亀鳴くや池の鯉たち餌を欲す渡俊一
亀鳴くとわが宿に君来たりけりわをんはな
- 夏井いつき先生からの一言アドバイス
●俳号のお願い二つ
①似たような俳号を使う人が増えています。
俳号は、自分の作品をマーキングするための印でもあります。せめて、俳号に名字をつけていただけると有り難く。共に気持ちよく学ぶための小さな心遣いです。②同一人物が複数の俳号を使って投句するのは、堅くご遠慮下さい。
「いろんな俳号でいっぱい出せば、どれか紹介されるだろう」という考え方は、俳句には馴染みません。丁寧にコツコツと学んでまいりましょう。
●兼題とは
幾生紀カメの惑星ウミ満ち嬉なかゆくい
本俳句サイトでは兼題が出題されています。今回は、季語「亀鳴く」での募集でした。「カメ」の一語はありますが、兼題には沿っていません。次回の兼題を確認して、再度挑戦して下さい。
亀の声聞いた証拠なんかないいたまき芯
亀の声聞かむとすれば止みにけり眩む凡
為家と共に聞きたき亀の声内藤清瑤
「亀の声」+「聞く」というアレンジに工夫があるのは分かるのですが、「亀の声」を傍題としている歳時記はなさそうで、悩ましいところです。
●入力ミス
亀泣けリ昇進を告ぐ子のLINE駒茄子
亀泣くや片っぽ失くすAirPod川村湖雪
亀泣くや散歩する身も輕やかに松井英雄
結婚記念日か亀は鳴りにけり宇野翔月
○入力ミスによる誤字等はよくあります。送信ボタンを押す前の、最後の確認を習慣にしましょう。
亀啼くやうつらうつらの昼餉あとさかたちえこ
敢えて「啼く」としたのか、あるいは変換ミスでしょうか。この「啼く」は①鳥や獣などが鳴く。②人が涙を流して泣く。の意のようです。一句の内容からして、普通に「亀鳴く」で良いかと思います。
●季重なり
春ひとり亀鳴くような風あたる村田真
亀鳴いて夕焼けの道手をつなぐ石の上にもケロリン
亀鳴くとふたえの初虹かかりけりかろりーな
亀なくや松の林の落椿たなか里
一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「亀鳴く」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。
亀鳴くや今夏は酷暑てふ予報豊岡重翁
季重なりかどうか、微妙なラインではありますが、季語でもある「夏」「酷暑」という言葉のほうが印象強くなってしまっています。
●季語が比喩に?
静寂を破りて亀の鳴くが如牛美
生きたいよ亀鳴くよりも大声で夢野翡翠
季語を比喩に使うと、季語としての鮮度が下がるということで嫌われます。勿論、意図的にそれをやることも可能ではありますが、かなり高度なテクニックです。
●読み解きにくい句意……
亀鳴きて翠の炎木々に立つ安藤牧
「翠の炎」とは、若葉の比喩なのでしょうか? 最近よく起こっている山火事?
亀鳴くやパンにサンボはトラのバタおんちゃん。
ちびくろサンボはパンに虎のバターを塗る……ってことを、端折って書いてみたのか?
夕の白みかつき恋せし亀鳴く亜紗舞那
「三日月」なら古語でも「みかづき」ですが……「白み/かつき」という二語でしょうか?
他にも、意味の切れ目がどこにあるのか、判断を迷う句。意味自体が推測し切れない句などもありました。
〆切ギリギリに作るのではなく、余裕をもって作っておいて、作品を少し寝かせることで、客観的に自句を評価する目が育っていきます。選外だった皆さんへの、いつも変わらぬアドバイスです。


お待たせしました!4月の兼題「亀鳴く」の結果発表です。
今月も夏井先生のアドバイスは必見です。「亀鳴く」は想像上の季語ですが、北欧神話にも「猫の足音」「山の根っこ」「魚の息」など、存在しないものを材料にした想像上のアイテムが登場します。ありえないものに軽妙さやおかしみを見出す気持ちは、洋の東西を問わないようですね。
6月の兼題「青梅」もふるってご応募ください。(編集部より)