夏井先生のプロフィール
夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。
5月の審査結果発表
兼題「母の日」
「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。
母の日の花鰹優しく哀しく
うからうから
夏井いつき先生より
五・五・八と一音余る破調です。字余り・字足らず・破調はどこまで許容されるかという質問をよく受けますが、これは「許容」という問題ではなく、一句の調べと内容が調和しているか否か、が問われるべきポイントです。五七五の定型は、いわば明るい長調、破調は暗い短調だと、まずはざっくり理解しておきましょう。
「母の日の花鰹」は、かつて母が作ってくれた鰹節ご飯でしょうか、我が子に作ってやる度に、(元気だった頃、生きていた頃の)母を思い出しているのかもしれません。花鰹の香りは懐かしく、熱いご飯の上でゆらゆら揺れる花鰹は切なさをかき立てます。
「母の日の」「花鰹」とハ音の頭韻を踏みながら五音・五音と畳み掛け、「優しく・哀しく」と四音のリフレインが刻む八音。この淡々とした調べは、「哀し」を基調とした内容を引き立てているといえましょう。
母の日に貰った菓子まで配るんかい
池田華族
季語「母の日」は「母」という人物との心理的関係を反映しますから、こんな小さなドラマも描けるのですね。中七下五の思わず口をついて出た憎まれ口が、臨場感のある母の日の一場面を再現しています。
母の日や残しし壺にしほさたう
池田桐人
「母の日や」の詠嘆から「壺」に焦点が絞られます。塩の壺、砂糖の壺と置かれたそれらは、母が生きていた生々しい証。重ねられたシ音の響きも然る事ながら、下五「しほさたう」という歴史的仮名遣いも味わい深い一句です。
母の日をあのクズ兄が聞いてきた
修懿
「あのクズ兄」という言い方が、この一家の人間関係をありありと想像させます。やっと母に孝行をする気になったのか。いやいや、「母の日」を隠れ蓑に、また無心に来る気なのかもしれない。そんなドラマが一気に動き出します。
母の日の突っ張り棒の頼りなさ
海音寺ジョー
久しぶりに実家に戻り、母が一生懸命据え付けたに違いない「突っ張り棒」の緩さに、苦笑しているのでしょう。母の日の母のために、突っ張り棒を設置し直す子の姿も想像できる、なんとも微笑ましい作品です。
消印は母の日隙間より海鳴り
さむしん
母から届いた手紙か葉書か。消印が「母の日」であることに気づきます。嗚呼、そういえば、日々の雑事に流され母の日のことも忘れていた。そんな思いに重なるように、母の文面の「隙間」から故郷の「海鳴り」が聞こえてくるのです。
膝のみづ抜いて三日目母の日来石上あまね
母の日の風に倒るる鉢の花板柿せっか
母の日や学割で行く母の家いたまき芯
母の日や音痴な母の歌きれい古賀
母の日の空は眩しきがらんだう木染湧水
母の日の苺は怒りさうな赫岡根今日HEY
母の日のひかりへ形見かざしけりRUSTY=HISOKA
初めてのはとバス母の日の銀座横山雑煮
母の日や傷口ふさぐ葉の話浅乃み雪
足裏の湿りや母の日の生家葦屋蛙城
母の日の花束母のやうな花飯村祐知子
ポリバケツあかるし母の日の花屋五味海秀魚
母の日の母の暴言くわりんたうさとうナッツ
母の日や粥のおもてのうすあをく大地緑
母の日のお金に添へるメロンパン野の菫
すぢのすぢまで母の日の肉叩三浦海栗
母の日の歯のなき口の兎めく水須ぽっぽ
母の日の誰かの母に譲る席居並小
母の日やよその母御に席ゆずるいわさちかこ
母の日の母機種変を遂げにけり青居舞
母の日の花は一本母になるあいあい亭みけ子
母の蔵ひし写真母の日のボク相生三楽
母の日やかな釘一行にじみつつ相沢薫
ぶにょぶにょの父の餃子よ母の日よ愛燦燦
母の日の爪切る音の固きかな藍空
麻痺の手の強き力よ母の日よあいれふ葵
母の日やすげなきに花束を置く青井季節
母の日や病窓越しの深緑蒼井小桃杏
庭を案内ここは母の日エリア青橘花
母の日やほぼ正確な目分量蒼空蒼子
母の日や空がきれいと言える人青田奈央
母の日の子と炒飯を作りけり青野みやび
母の日や骨の浮き出た背を流すあおのめ
母の日に母を笑はすことばかり青星ふみる
母の日や病床に赤富士小さく赤尾てるぐ
母の日やもうシーソーは動かない赤尾実果
母の日や要介護二の第二章あかねペン銀
母の日や罪悪感の生卵あかり
母の日や子の自転車に油差す空地ヶ有
骨壺に手を合わせ母の日の朝空き家ままごと
母の日に山羊の子二匹子に加ふ明智明秀
母の日やもう苦しんでいないよね朝雲列
母の日や父は喫茶のナポリタン淺野紫桜
母の日や少年の吹くハーモニカあじさい卓
母の日や恩讐もはや遠き雲阿修羅
母の日の午睡オルゴールの音色あすなろの邦
おとうとの名を書く母の日の日記明日ぱらこ
めしべの匂い密か母の日の花麻生恵澄
母の日や母に夢などあったのか藍創千悠子
母の日や母の手いつも濡れてゐしあたしは斜楽
鉢植ゑの土のかをりや母の日アツシ
母の日や抜きし草の根の長しあまぐり
母の日は快晴母の誕生地甘茶トーシロー
母の日や焦げ目の目立つ卵焼きあみま
道程を読み返したる母の日に綾竹ろびん
母の日や独裁者にも母のゐて綾小路へこ
母の日の風やもうすぐ映画館あらい
母の日や黄ばみし「きょうの料理」繰る有村自懐
母の日の褪せしレシピの走り書きアンサトウ
母の日やぽつりこぼるる父のこと安春
母の日や手足の重き朝を生く杏っ子
母の日や守り歌零る片引き戸安藤牧
母の日やカレーは肉なしちくわ入り井若宙
母の日や赤ちゃんポストに金の鍵家守らびすけ
母の日に母の写真と丸一日猪狩鳳保
母の日やおいなりさんの袋割り池田悦子
母の日や手摺の木膚あたらしきIquedaQuenshi
母の日や父は三箱目のホープ池之端モルト
母の日や母に機織り職の爪イサク
夫亡くし十年母の日のひなた十六夜の花札
母の日や天声人語に赤ペンよろろ石垣エリザ
母の日や庭の明るき焼肉屋石塚彩楓
母の日に取った子宮の重さ訊く石の上にもケロリン
母の日やむかしむかしに散ったゆめ石原しょう
母の日や転倒知らす腕時計石原由女
母の日の働く母の野良着かな泉恵風
母の日や廊下の奥の三面鏡和泉攷
母の日の卵をひとつ味噌汁へいずみ令香
母の日のセールののぼり倒れおり市川卯月
母の日や朝日尊きこと知りぬ市川りす
母の日や母の手に祖母の手の影一久恵
母の日の明けて穿つや検査針一秋子
母の日や卒寿に喝を入れられて五つ星
母と縛る母のアルバム母の日に糸冬因果
母の日の切手が傾いてしまひ伊藤映雪
母の日や我の半分だけが好き伊東海芋
母の日や母の実家の太柱伊藤順女
母の日の回転速き泡立て器伊藤柚良
母の日や母のやうなる雄の猫糸川ラッコ
母の日や義という響きざらりとす井中ひよこ号
母の日や母から貰ふ臍の箱イナホセドリ
ばあちゃんの骨壷のある母の日よ猪子石ニンニン
母の日の大空青し触れてみる井原昇
母逝きて背骨冷たき母の日よいまい沙緻子
母の日やうす桃色の指輪飴藺牟田ボンド
母の日のコーヒーの香のお線香妹のりこ
地に果ては有り母の日の包み有り伊予吟会宵嵐
母の日よ行年が姉妹の目標伊代ちゃんの娘2
母の日やひねもす部屋に伽羅匂ふ岩清水彩香
母の日のひとりの飯の冷えてをり岩本遥
母の日の母は饒舌肩薄しうえともこ
母の日や母のまじないやってみる上野徹心
母の日のよいものらしきヘアブラシ上原淳子
母の日や水分補給の電話二度鵜飼ままり
母の日やエプロンのまま母と会ふうた歌妙
母の日や懺悔するよに手を洗う内田ゆの
母の日や着物納める桐箪笥空木眠兎
母の日の湯舟につかる乳房かなうつぎゆこ
タッパーに溢るる母の日の煮汁 ※語順添削海原帆布
栞替わりの母の写真よ母の日よ梅里和代
母の日のストリートピアノが痛い梅朶こいぬ
母の日や母の雅号の大会議梅田三五
母の日や二人で一人車椅子浦城亮祐
坂道を貯金箱ぢゃかぢゃか母の日江口朔太郎
新しきクレヨン母の日の似顔蝦夷やなぎ
母の日のカメオは口を閉ぢしままえぞりすの風
母の日や吾には上出来不出来の子江戸きり子
母の日のカレーじょうずに三年生榎本奈
喧嘩した嗚呼喧嘩した母の日に遠藤玲奈
母の日や夫に似し子の笑みまぶし円美々
母の日や姉は実家に帰れない延命寺
母の日を長き名前のセレナーデおおい芙南
母の日の門扉悲鳴の如く鳴り大岩摩利
母の日や母とは合わなかった母大内とら
母の日や子宮後屈てふ遺伝大岡秋
母の日や譲りし厨覗きをり大久保加州
母の日や敬語おかしい娘のメールおおさわ酔歩
母の日や真似できぬ適当な味大嶋宏治
母の日や「送金完了」の画面大滝茂生
母の日の廊下に犬の毛の溜まる太田けいこ
母の日や頭の上に老眼鏡大塚恵美子
退院を待たず母の日来たりけり大津美
山肌に夕陽を探す母の日よ大富孝子
母の日や俗名なぞり温き墓誌大矢香津
母の日や去年の菓子ある冷凍庫岡井稀音
母の日やかもめとなりて窓叩くおかえさき
母の日や父がぽつりと祖母のこと可笑式
母の日の五鉢残りし店先よ岡田きなこ
母の日の先週聞きし話かな岡田ひろ子
母の日や母に見せたる逆上がり岡田雅喜
母の日やまあるい婆になりたいの岡山小鞠
母の日や太巻ずしの酢の甘き小川さゆみ
母の日よ許せぬ母の少しあり小川しめじ
母の日や脛に受け継ぐ黒子二個小川都雪
母の日と思へば鳥のよく喋るオキザリス
母の日や子の無き女の詩の在りて沖庭ノ華風
母の日や話せば戻る声の張り沖庭乃剛也
母の日やピン惚け遺影ひかり射し沖乃しろくも
母の日の探し物して暮れにけり荻原玲香
ごめんなさい母の日も嘘つきました越智空子
母の日やストーマの母よく笑ふおつき澳吉
トーストの端つこ母の日の焦げ目海峯企鵝
母の日の花屋のまえの介助犬風花美絵
母の日の亡母の育児日記かな樫の木
母の日や浮きては消ゆるロゼの泡かすかべえやん
母の日や空へ放つて糸電話加田紗智
母の日や反戦デモは五万人花鳥風猫
駆け落ちは二度母の日の武勇伝ひだまりえりか
母の日の風はだんだんよそよそし桂葉子
子の顔を忘れり母の日また来たる加藤水玉
母の日の酢豚はまろやかに黒く加藤栗庵
母の日や造花もいつか枯れるのよかときち
ソプラノの即興母の日の空よ金井双波
ひと日では足りぬ母の日背をさするかなこと舞い結び
母の日や吹き出し見えればいいのに叶田屋
母の日や雲母摺のよな夜を帰京かねつき走流
母の日は足し算でなく引き算で神島六男
母の日も完璧な白割烹着神谷たくみ
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異界の入り口にゐる母の日の母きゅうもんde木の芽
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母にかはり千昌夫聴く母の日くちなしの香
母の日や昭和の母の反戦歌熊谷温古
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逆転の四番へ母の日のマイク月下檸檬
木の匙に溶く母の日のミルク皺げばげば
母の日やこんな親父と連れ添うて獣道辿
母の日や泪は笑んでこぼすもの健央介
「母の日」を母のなき子に授業せり謙久
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母の日に母の昔を聞きに行く櫻井弘子
刺子刺す母の日よ雨の日のショパン桜月夜
折り紙の花母の日の冷蔵庫雑魚寝
母の日やミシン聞こゆる灯のひとつ佐藤恒治
母の日やPayPayかざすホルモン屋さち今宵
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母の日の母が腕なる血圧計さとう昌石
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母の日や小指のほくろ己にもさぶり
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母の日や蝶になれない、ごめんママ澤田紫
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母の日や父の遺した子育て記三角山子
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ハローハローこっちは母の日の朝よ慈雨
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「おぱよう」の子の顔近し母の日よ潮崎くじら
母の日や晴晴老母と畠を打つ塩の司厨長
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母の日や娘代わりの犬の居て篠雪
母の日に読む昭和の編み物本芝歩愛美
母の日のさびしき空よ雲がふるへる渋谷晶
みずいろに母の日の空ひらきおり芯歩
母の日のシールなき寿司買ひにけり島掛きりの
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母の日を呼吸している桐箪笥島田あんず
母の日や母のタンスを覗き見す島田ユミ子
母の日の牛の胎盤どさと落ち清水縞午
母の日の卵より黄身二つ出づ清水ぽっぽあっと木の芽
母の日の贈られし赤捧ぐ白清水容子
袖口の擦り切れて母の日の母霜月シナ
味噌汁はレトルト母の日は一人下丼月光
母の日の海底火山てふこころじゃすみん
母の日のピーク過ぎたり玄米茶砂楽梨
母の日の皺の木綿を母の縫ふ柊二@冨美夛
母の日や現金(ナマ)か地酒かせびり来る十八公
母の日の鏡台天板の欠けて秋芳
母の日やおくどに立つる湯氣拝む種種番外
母の日や臍の緒のごと根を張りぬシュリ
牧渡る子山羊の声よ母の日よじゅんこ
母の日や口いっぱいの麩饅頭焼菓おやじ
琴で聴く軍歌は遠き母の日や正見
銀紙噛むやうに母の日の嘘は常幸龍BCAD
母の日や昔色分けされし日々庄司芳彦
母の日のグリンピース残さず食べた正念亭若知古
抽斗に髪の香遺る母の日や白井佐登志
母の日や母蜂の巣に一雫白石鈴音
母の日へ贈られさうな紅の色白石美月
母の日のオカリナぽーぽぽーぽ、ぽぽ白沢ポピー
母の日も仏花みずみずしき仏間白よだか
心臓は赤い母の日も赤い新海まりも
母の日に月餅アルバムは笑顔信行
母の日や母の歩幅で歩く街ジン・ケンジ
形似る足の小指よ母の日よ深幽
母の日の面会動脈瘤は4センチ末広野暢一
母の日や薄桃色の爪の母杉尾芭蕉
母の日の憂鬱雨の日の調べ鈴木季良恵
母の日や風を入れたる女紋鈴木由紀子
塩加減にぎり加減や母の日やすずしろ桂
母の日に揺らす蕎麦湯の澱みかな鈴白菜実
リビングに子と張る母の日のテント清白真冬
母の日のぽかんと浮かぶ気球かな砂山恵子
母の日の空気ぬるくて海きれいすまいるそら
母の日のかつては母であつた母すりいぴい
母の日や臍は真綿にくるまれて摂田屋酵道
肉は抜いてと母の日の八宝菜宗珂
母の日や母の変形足の爪そうま純香
母の日やどんぶり縁の双喜紋草夕感じ
目印の看板色褪せ母の日よ十合百合
母の日の割られて豚の貯金箱そまり
母の日の水やわらかきウォシュレット空豆魚
母の日や本立ては本凭れさせぞんぬ
シャウエッセンどっさり母の日のおでんたーとるQ
泥色のコーヒー母の日の夜よ大
母の日の父の寂しさ知る歳にたいらんど風人
母の日もほつれを編みてをりにけり高瀬小唄
母の日やテレビに文句つけている小鳥遊
母の日は優しい母のいる子の日高嶺遠
母の日やみづみづしきは母の爪高橋手元
母の日や埃まみれの造花捨つ高橋ひろみこ
母の日や風通す形見の着物高橋マママリン
母の日の売場をひとり通り過ぎ鷹見沢幸
母の日や病窓はもうあかね色たかみたかみ・いつき組広ブロ俳句部
母の日や子供になつて手をつなぐ高山佳風
母の日の握り鋏の年季かな滝上珠加
三日月に腰かけてるさ母の日は滝川橋
母の日の精神科病棟しずかたきるか
母の日やおくすりカレンダーに破れ竹田むべ
母の日の手提げのしやらしやらと笑ひたけろー
母の日や日がな眺むる蜂の狩り多事
母の日や遺影の髪は黒きまま田代充
母の日のちびた鉛筆レシピメモ多数野麻仁男
セロファン綺麗母の日のラッピング多々良海月
母の日の似顔絵ほくろばかでかい立田鯊夢
母の日や何かを入れるお菓子缶辰巳電柱
母の日や仔馬の名付け親となり伊達紫檀
母の日やあと幾度の贈り物田中紺青
母の日や先回りする犬の尻田中みどり
母の日や鏡台の奥秘密あり谷相
母の日てふ切り札のいざ出しどころ谷山みつこ
母の日や母となる子に肩揉まれ田上南郷
母の日の母の加減に炊ける飯玉家屋
母の日の母の昭和の焦げつきて玉木たまね
母の日や隣の実家遠きまま竹庵
母の日や右口角を下げるくせちさいちそく
母の日や末妹だけが家に来ず彫刻刀
母の日や漉し器に味噌の豆残りちょうさん
母の日の心許なきミシンかなちろりちろりみゆき
「母の日」をくしゃくしゃ丸めさて如何につえりん
母の日の父の背中は小さくて月見人
母の日や祖国を歌ふ声柔しつくばよはく
葬儀屋のチラシ母の日特集辻瑛炎
母の日の寮母へ一人一輪ずつつちや郷里
母の日や茹でれば増ゆるファルファッレ津々うらら
母の日やミシン開ければミシンの香都築減斎
母の日や鬼の選びし白き花椿泰文
母の日のよこがほのよな白い月坪田恭壱
母の日の母亡き居間に象がゐる爪太郎
勝ってしまった母の日の腕相撲手嶋子犬
母の日の祝文に無き男文字天童光宏
鼻先を擽る母の日のニベア天陽ゆう
母の日やパン割る音にある怒り土井あつあげ
母の日やヘレカツ右に汁は奥トウ甘藻
胸に抱く赤子母の日まだ知らず冬野志奈
宛先の無き母の日のカードかな遠峰熊野
母の日や風強く不幸では無し徳庵
券はなくとも肩叩きます母の日にとすかのようこ
珈琲売り切れ母の日の自販機どすこい早川
母の日の電話かの地の訛りありどゞこ
母の日の母めいめいに謳いおり隣野つるばら
母の日に母は美し三面鏡となりの天然水
母の日を賀されて子らの戻らざる戸部紅屑
母の日をワルツのやうに踏むミシン苫野とまや
母の日を忌む良い子から脱皮する冨川ニコ
からっぽの子宮へ母の日の献花戸村友美
母の日のオーディション合格通知鳥田政宗
母の日やこんな煮物が好きだつた豚々舎休庵
母の日や日記の鍵の回らざる頓堀頓
母の日やペットボトルの水耀ふ内藤羊皐
母の日や母を怒らぬ日と決めて中島紺
母の日や吾のアルバムに母の文字長嶋佐渡
母の日よあまりに軽き車椅子仲操
母の日に帰れば猫と話す父中村明日香
ママの写真見る母の日の塹壕に中村想吉
母の日の写真の前の小グラスなかむら凧人
母の日やひとつ戸車直したり中山由
母の日の納豆二百回混ぜる夏風かをる
母の日や常連客にもらう花夏草はむ
母の日の空に一線飛行機雲nothing
糠床を混ぜて母の日始まりぬなつふね。
タッパーに敬語の付箋母の日よ夏雨ちや
母の日やリボンほどく手ぎこちなし夏目りる
母の日を塩ホルモンへ誘はるる七瀬ゆきこ
母の日も母に借金してしまふ7パパ・広ブロ俳句部
母の日や子に贈られし草の束名計宗幸
母の日や母は定型ならざりきなびい
母の日は妻の日子の日ほほづゑつく奈良素数
残された時を計りて母の日よ奈良部冬詩
母の日や形見の指輪磨き居りにえ茉莉花
母の日や車椅子押しどこへでも西尾至雲
母の日や末の子呉るる胡蝶蘭西尾照常
母の日や嫁に問はるる隠し味西川由野
母の日や遺影になりさうな笑窪西崎秋雲
母の日のはげしく廻る洗濯機西田月旦
母の日や娘のレアチーズの酸味西原佳黎
威風堂々母の日の回転寿司二城ひかる
母の日の子の包丁のおぼつかなにゃん
母の日や二足歩行の子を追うて仁和田永
母の日や歓楽街で花一輪庭野環石
母の日に車いす押しパーマ行く丹羽正明
母の日を了へ来し皿の位置戻る沼野大統領
母の日の母よ名前で呼んでくれ猫ふぐ
姉妹大喧嘩母の日まで三日野口雅也
母の日や居間の埃は目を瞑る野三弓
母の日のスマホ操作の質問状野地垂木
母の日や母の目尻に皺五本のなめ
母の日や手水鉢に皺はなしののクラブ
母の日や硬き竜頭の腕時計野の小花
空を見る寂しさかかえ母の日に野原一草
母の日や母に会うごと姉に会う野原蛍草
母の日や広告裏の「かたたたきけん」昇椿
しみじみと芋の煮つけを母の日よのほほん政子
母の日や十円足りぬマドレーヌ野山恵生
黄ばまざるかの母の日の感謝状のりこうし
母の日や子なき食卓磨き上ぐ灰島りんこ
母の日や妣の御座すは孝の横白山おこ女
母の日や草を抜いたり眺めたり橋爪利志美
父逝きて母の日の廊深し波止浜てる
母の日や仏壇に置く芋けんぴ馬笑
母の日や枷をするりと解くリボン蓮井理久
母の日の五目ちらしをあおぐ役羽住博之
母の日や義母に実母の香覚ゆ蓮見玲
母の日の灰皿に虫死んでをり長谷川水素
二人乗せ漕ぐ母の日のヘルメット畑中幸利
母の日の面会母の爪を切る初野文子
母の日やひもじさ知らず生きてます花咲春
母の日の雑巾がけや子を迎ふ花はな
母の日の軛の如き赤リボン花彼岸
母の日やほぐれ優しき塩むすびはなぶさあきら
母の日の一人スタバの一時間花豆
母の日や父はちひさくありがたう花和音
汽車賃を数え母の日の街へはむこ
母の日の手紙の誤字を指されけり葉村直
抽斗の奥の石ころ母の日よ林省造
朴の木の年輪数ふ母の日よ原口竹九
母の日の母は女優のようである原島ちび助
母の日や相模以外の国知らず原修一
母の日やシンデレラの手のささくれ原田くろなつ
母の日や無言で過ぎる花植える原善枝
母の日のワイングラスに母の紅巴里乃嬬
母の日のゆつくり溶ける氷砂糖晴田そわか
母の日やゼンマイ仕掛けの鳥の鳴くはるの風花
母の日に母の知らざる海の前春野ぷりん
母の日やぐわつと来る子ざわつと去る春海のたり
昭和百年母の日に拭く桐箪笥はれまふよう
母の日やひ孫の乳歯ひとつ抜けHNKAGA
母の日や団地の錆びしすべり台晩乃
親族相盗例母の日の着信繁茂おじ
母の日や母の日記を読み返しピアニシモ
母の日の母は羽根の夢を見るか東沖和季
母の日やカルストに星あふれをり東田一鮎
母の日や雀の觜に柔きもの匹田小春花
絵本に背向ける子母の日を知らず菱田芋天
母の日や傘を届けし母の傘ひでやん
母の日の二十年後のあんま券一石劣
母の日の田中家合唱団一礼日向こるり
母の日もくひたきものを我つくる鄙び梅乃香
乳がんの痕掻きおって母の日よひのきあさみ
母の日の文字見るたびにざらりざらり日々硝子
母の日の母の髪切る末子かな比々き
母の日や母のへこみの残るソファヒマラヤ杉
母の日に描く似顔絵のサザエさんヒマラヤで平謝り
お茶碗の糸底きれい母の日よ日吉とみ菜
納骨は母の日父さんお待たせ飛来英
母の日やスーパーの変わらぬもやし平野純平
母の日や仏間の隅の衣装箱平松一
戦争が母の日を追ひかけてゐる平本魚水
「母の日」の語感やはらか詩に綴る広島あーやあーや
母の日や右は人工的な胸広島じょーかーず
母の日の母の部屋より母のこゑ広瀬康
母の日や夢の中でも正座して廣田惣太郎
母の日を祝ふ娘のまま老いて広野光
母の日や位牌の横のニット帽広ブロ俳句部三日余子
孤児院に母の日の無いカレンダーフージー
母の日の舫ひのごときリボンかな風慈音
母の日も唯放蕩でありにけり深町明
母の日や皺の微温に胸うずく福島はな
母の日の休戦やがて停戦へふくじん
母の日の母は笑ってるだけでええねん藤咲大地
母の日や痼りのやうな雲を追ひ藤里玲咲
母の日や皺くちやに貼る絆創膏藤白真語
母の日の子の手のひらにだんご虫藤富うに
母の日に白く旗めくユニフォーム藤永桂月
母の日や消せぬ留守電母の声藤本仁士
母の日の来るたび母の遠くなるふもふも
母の日や桃色の入院用具風友
母の日のこびりつかないフライパン冬島直
母の日の箪笥木目の色深し古織沃
夜を跨ぎ母の日鉢らは追いやらる古川しあん
あかあかとさかづき母の日のこいこい古瀬まさあき
母の日や湿気つたままの塩袋文室七星
母の日の地球儀衒ひなく回る碧西里
母の日の器用な箸の白寿かな峰晶
母の日や鏡の中の面窶れ房総とらママ
母の日か母の眼鏡の指紋ふくほしぞらアルデバラン
月並みも喜ぶ母の日の母は星田羽沖
母の日の子等の包みし餃子かな星月彩也華
母の日や里の銘菓と笑点とほしのり
ハハの日はママカカオカンアの響き凡狸子
母の日の湯あがりの背の塗りぐすり槇原九月
母の日や苦労した妣のきれいな手牧茉侖
母の日や暦につけたバツ並ぶまこと七夕
亡母の束ねしイボ竹ほどく母の日よ正男が四季
母の日に去年のプレゼント着てる増山銀桜
働く母の母の日の店屋物町田勢
母の日の湖面きらめく鳥の声松尾祇敲
戦争を語り継ぐ日よ母の日よ松平武史
母の日や解けて白き海の端松田寛生
母の日やふわりふわりと墓地に人松知
母の日や夫と出掛けるパチンコ屋松本笑月
うたた寝の目覚めて虚ろ母の日に松本牧子
母の日やラッピング待つ小学生毬雨水佳
母の日や子供元気で母元気丸井ねこ
母の日の青空ふかき通りみち丸山美樹
母の日やチンとしか呼ばれぬレンジ慢鱚
母の日や煮染の菜の飾り切り三日月なな子
母の日や観覧車より遅き地球帝菜
母の日の履歴を辿る電話かな三河三可
母の日や姑獲鳥の手にも紅い花三毛乱次郎
母の日の母たることのむず痒く岬ぷるうと
母の日とあれやこれやの不整脈水井良柚
母の日や合意済みなる箱届く三田忠彦
眼が痛くなるほど母の日は晴れてみづちみわ
母の日やプラスチックの赤き花みつれしづく
母の日の母に金券貰ひをり源早苗
母の日や電話の鳴らぬ平穏を美村羽奏
母の日やはとバスダッシュして微熱三群梛乃
母の日のぱつぱつなガジュマルの鉢宮下ぼしゅん
母の日のいつも踏みをるミシンかなみらんだぶぅ
母の日やもはや上辺のありがとう麦乃小夏
母の日や真中に臍のある不思議麦野光・いつき組広ブロ俳句部
母の日の母は夕星ショパン聴く椋本望生
点滴の雫よ母の日の病床無弦奏
母の日の花を娘のために活くムシ・ミカミ
母の日や骨折の足引きずって睦月くらげ
母の日や初ぬか漬けはしよつぱしむねあかどり
母の日や双六ならば一回休み村井もこり
母の日の赤は眩き昏さかな村崎水晶
五徳の焦付き母の日の夕暮むらた典珠
母の日やガザにも母子いたものを村の上の百合女
母の日や北極星のゐる座標明月詩悠
母の日や親子で結ぶ帯を選る茂木りん
母の日や抗がん剤に塩素臭藻玖珠
母の日の餃子を囲む十二人望月ゆう
母の日の母に小さな秘密ありmomo
母の日や好きな所を十個云ふ百瀬はな
手に取れば澱ある母の日のワイン桃園ユキチ
母の日や寝湯の枕の木の匂ひ桃猫
からあげや母の日に家出は終わり森捷子
母の日や看護師の読む子の手紙森茂子
母の日は静か6号室退去森太郎
母の日に母になれない犬といる森ともよ
母の日の母は幼女で老人で森中ことり
母の日のしきりに交はすありがたう森葉豆
母の日の妊娠線へ白ワセリン森萌有
花瓶に汲む水の丸さよ母の日よ弥栄弐庫
母の日や丸くなったなあ母さん夜寺耕太
母の日の散歩幾度の武勇伝安田伝助
母の日の帰省お小遣いをもらう痩女
母の日や寺山修司に騙された柳とうふ
母の日の母はほやほや笑むばかり八幡風花
母の日の母恋ふ母の芯に森山内彩月
母の日も漁出る息子の飯握り山内文野
母の日や遺愛の鎌の赤茶色山河穂香
母の日の助手席夕日の真向かいに山川たゆ
母の日や顔健やかに整える山口絢子
母の日や愛の抜けたる指輪拭く山口雀昭
母の日や町買いのラーメンの味山口笑骨
母の日に母もて余すこころあり山口愛
母の日やカレーライスの米硬しヤマコー
母の日や点眼薬の染みわたるやまさきゆみ
欠伸また母の日近き夜のスマホ山下智
母の日や甘納豆の再吟味山下義人
耳撫ずる繰り言愛でし母の日よ山田季聴
母の日やおかんと呼ぶな表では山田未知子
母の日の仏間へこぼす懺悔かな山びこ
母の日の母とわたしの内緒ごと山本栄子
母の日や遺産相続けりがつく山本てまり
湧泉ごごご母の日の常夜灯やまもと葉美
母の日や傍聴席の老いた咳雪鶏
母の日の母よふぬけたおならして柚木みゆき
母の日や水没林の根の太し柚子こしょう
母の日の逃げる前菜ゼリー寄せゆすらご
母の日の母もあいみょん聞きたかろ湯屋ゆうや
先代のねこの夢見る母の日来陽花天
母の日のまくれなゐなる仏花よ羊似妃
ヒヒの歯でいいわホホホホ母の日は横浜J子
母の日に母知らぬ人花を売る横山ひろこ
母の日や今日も床から睨みつけよしぎわへい
母の日や「おまはん産んで良かったわ」Yoshimin空
母の日や父の入りたる仕舞風呂余田酒梨
母の日や父の袖にはぬか味噌が米山カローリング
母の日や一茶の詠の聞こえさうよみちとせ
母の日や墓石の朱文字まだ抜けず楽々草
母の日や今年は供花となる包み楽花生
母の日の折鶴嘴をきつちりと理佳おさらぎ
母の日の母に注射を打ちにけり竜退治の騎士
母の日と気付く花屋の前通りるう
母の日や働く母の爪に土れんげChan
あんぱんのえくぼ母の日暮れにけり朗子
母の日や蓋せし棺の香も忘れロジック・ファットフィールド
母の日は妻が大きく見える日よわかなけん
母の日に啜るしょっぱき拉麺和澄永
捨てられし母の日のわが贈り物海神瑠珂
母の日や介護日誌の3冊目渡邉わかな
東京は鈍角母の日は鈍角亘航希
母の日の母の留守録七回忌笑笑うさぎ
母の日や雲の形に母と子と石塚碧葉
母の日やざわつく雨の談話室小林昇
角ハイを濃い目に母の日の湯飲み茗乃壱
レゴも苺も投げられて母の日森田祥子
母の日の短き指のこねる肉山姥和
母の日や吾を忘れたる母の皺ルージュ
母の日や助手席に聴くボヘミアン黎明
母の日はあと何回かと思案する青松紫雲英
母の日や母は記念日大嫌い絵十
もらうだけになってしまった母の日小田孝子
母の日や宅配業者の顔に汗小林のりこ
母の日に吾娘から電話げに長き晴好雨独
母の日や娘で親で女だわ千・いつき組広ブロ俳句部
母の貌脱いでいいかな母の日は瀬紀
母の日に登る咲きかけの平治岳ただの山登家
母の日や矢羽根の絣売ろうかな苳蕗
母の日のリボン解れし三世代猫またぎ早弓
母の日や娘の彼の贈り物白山一花
母の日や平仮名の“はで笑ふ母"花見鳥
母の日を吾とと母も思ふらむふにふにヤンマー
臍の緒を嗅いでゐる父母の日やらん丸
通帳の在りか問われし母の日やわたなべいびぃ
母の日の母仕合わせと言ひにけり逢來応來
母の日の好みの指輪箱の中アーモンドよーせい
母の日やひらがなだけのメール文EarlyBird
母の日や塩おむすびは俵形逢花菜子
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母の日や入浴介助の白き背なあが野みなも
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母の日のラッピング待つ手持無沙汰伊澤遥佳
母の日にしつけを外すお気に入り伊澤ゆき抄
母の日や髢を添えて紅を差す為参
母の日や近頃早くつく既読石塚壜太呂
母の日や紅い一輪空ヘ置く石原花野
母の日やもう一度妣の褒め言葉石村香代子
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独り言増えて母の日過ぎてゆく江川月丸
母の日は後悔の日ぞ不孝者蝦夷の珪化木
母の日の花束今朝は仏壇に越冬こあら@QLD句会
母の日の絵描けぬ子に白画用紙えのき絵巻
母の日に天へ届けと献盃をえのき筆丸
母の日や家事一つだけ放棄する榎本咲
八十路の祖母と母の日はフレンチへ榎本雅
母の日や親子三代それぞれにえみくれ
母の日やぶっきらぼうは照れ隠しえりべり
はじめての白き花持て母の日やANGEL
母の日はただの日曜父子の家近江菫花
母の日やコンビニスイーツ己が褒美桜里志月
愛満ちて日々母の日と常思う大江戸小紋
失いて母の日のこと母のこと大川すまき
母の日や回転寿司に誘う夫大久保一水
母の日や線路の向こう道の果て大越総
母の日やへたな詩吟を聞かせられ大越マーガレット
母の日の宅急便に飛び出しぬ大阪駿馬
母の日や主語は省略お母ちやん大澤道史
母の日や五木ひろし大ホール大舘さと
母の日の白寿やリカバリーウェア太田一駄歩
母の日の花の色また間違へておおにしまこと
母の日に母の似顔絵母笑ふ大野喬
母の日にきっと涙は似合わない大野美波
母の日もあんたがたどこさしきりなりおおばあば美智子
母の日や写真に声掛け鍵を掛け大原妃
母の日や雨天決行寺社巡り大原雪
母の日が素知らぬ顔で過ぎていく大道真波
母の日や型の崩れたハンバーグ大家港一
母の日や嫌がる健康食並べ大和田美信
母の日の忘るる酒を許しけり岡一夏
母の日も怒れ割り込めこのとしも岡崎佐々紅
母の日や思いの丈を愚妻愚母岡崎未知
母の日や節くれだった太い指岡田いっかん
あかね雲母と見上げる母の日に岡田恵美子
母の日や下駄の鼻緒をすげかえて岡田淑子
鎌を借る畑の母の日の母に男鹿中熊兎
母の日やケンケン乗りで豆腐屋へ丘なな実
手紙書く天国宛てに母の日に岡眞弓
病床の母の日小指だけネイル岡村恵子
割烹着見れば母の日塩むすび岡村宗太郎
母の日に誰か止めてよ口喧嘩オカメインコ
母の日の肩たたき券花になり岡本
母の日やブーケ型に心込め丘るみこ
母の日の慈雨かの国にこそ降りたまへ小川天鵲
母の日の母の遺影を更新す小川野雪兎
母の日や母でない身のつつがなく沖らくだ@QLD句会
母の日や空に大きく「母」と書き奥寺窈子
母の日に触るや仏間の鯨尺小倉あんこ
母の日の23時のLINEかなおこそとの
母の日や白花づくしの仏花買うお品まり
母の日のあの日に帰る写真立て小田毬藻
母の日のピンクスニーカーかっこいい小野ぼけろうじん
母の日にオランダナデシコ色の紅十八番屋さつき
母の日や京の一望予約席おひい
ネジ穴に合わぬ話や母の日もおぼろ月
母の日に寿司桶一升祭り寿司海堂一花
母の日をアニメで知りて受話器取る甲斐ももみ
母の日や癖も仕草も母似なり加賀くちこ
母の日よ赤ばかりなる絵手紙よ影夢者
母の日の母の恋しや老いてなほ風花まゆみ
母の日や元気ですかと丸い文字風早杏
母の日の祝い一番孫動画梶浦和子
母の日や亡き母の句は慈悲に満ち鹿嶌純子
母の日に列車に乗つて母子旅かじまとしこ
母の日や軽い鼾を傍らに梶原菫
生きてたら湯けむり巡る母の日や風かおる
母の日や父母笑顔の絵文字揺る風乃絣
LINEには寝返りの孫母の日に風の母
母の日も母の手料理味はひぬ片岡明
術前の吾子吾の手握る母の日片岡一月
母の日や母乳で吾の目洗ひし亡母帷子砂舟
母の日も子の好物を作る母かつたろー。
母の日の約束だもの飴供え金澤孝子
母の日やほのぼの偲ぶ茜雲金子陽
母の日や三角巾に通す腕金子泰山
「毎日が母の日で良くね」と女子高生釛子ふたみ
母の日や撫でては戻す母の服金子美鈴
野の花と似顔絵おくる母の日よ花星壱和
母の日やふんわり握る塩むすび神長誉夫
母の日や昭和の母は偉大なり亀岡恵夢
母の日や仕入れ荷肩に妣の在りき亀くみ
母の日や幼くなりてゆく母と亀子てん
鼻歌に混ざるスキャット母の日よ亀田かつおぶし
母の日やほゞ叱らない人なりし亀田ミノル
母の日のメニューに添える花一輪亀山逸子
母の日や小包軽き宅急便亀山酔田
母の日や友の机の白き花かもね
一枚の写真すら無く母の日よかもめ
母の日や三度目の話我も老い我ゆまる
母の日に思えど飾れど白き花荷葉
母の日にサーモンの花咲かせをり唐澤うに
母の日や我は子であり母である絡丸いと
母の日はいらぬと母よりライン来もかろりーな
墓前にてそうね明日は母の日ね川崎ルル
母の日や寿司買ってくる父の背川原秀星
母の日や週2カーブス5年らし川村湖雪
母の日や母にはなれず友逝きぬ河村静葩
母の日の思い出切り売り買いたいなカワムラ一重
ははのひにみおくるすがたまどにみる川村裕次
母の日に時間間違う君も母がんも三世
母の日や南部諸州の負傷兵季川詩音
母の日や厨房今日は狭くなり菊池克己
母の日や咲き続けたる鉢植えの菊地義明
車椅子押して母の日茜空如月ゆう
母の日や道灌逸話の花終えり季紫子
母の日や母と椿山荘の庭岸来夢
たこ焼きが最後の母の日となりぬ季切少楽・広ブロ俳句部
母の日や悩む強面花の鉢義想
母の日に贈る母居ぬ七回忌北川茜月
母になれず何もできぬ母の日よ北田ひまり
味噌樽に手を入るる母の日の朝北平春風
思春期は母の日の前に休戦貴田雄介
母の日は茅乃舎の出汁手配済み橘高シャンプー
母の日や末つ子は母独り占め木寺仙游
母の日の何にもないといふ日常きなこもち
母の日や末子の吾は強情で黍団子丸
母の日のあれこれ呉れたがる母よ木ぼこやしき
母の日は弟と早起きをして君塚美蕉
母の日は亡母の年を数えおり木村かわせみ
祖母に母今は私も母の日を木村修芳
母の日や白はまだ無理ピンク買う木村となえーる
母の日や看護婦止まり別れです木村波平
母の日や曲がりし指を隠す母木元紫瑛
母の日の銀座千疋屋のサンドQ&A
花嫁の若き日語る母の日にQさん
母の日の野球の試合三振す旧人をーるど
タイミング探り探りの母の日よQちゃん・広ブロ俳句部神奈川支部
母の日は母思う日となりにけり京極江月
亡き母の背に似て母の日の妻よ京野秋水
母の日の樟脳匂ふ小引出し杏乃みずな
母の日や生菓子の華を供えつつ清鱒
母の日にスマホで白寿の声を聞く喜楽胤
母の日や来し方思う庭いじり霧澄渡
母の日や母異次元の児になりし銀のグランマ
母の日や夕餉はカレーと決めており近未来
母の日に母を施設に入所させくぅ
母の日やプレパラートの上の愛句々奈
母の日や頼む楽天勝つてくれくさ
母の日やリハビリシューズ柔らかし久信田史夫
母の日や九十五歳で逝った母楠田草堂
あなた誰?と問われる前に母の日くすみ輝く
母の日や針穴に糸通す指くつのした子
母の日やばぁばにメイクギャル仕立てくにっち
母の日やいまだ我が母超えざりしくにとうりん
母の日や甘きもの好きだつたなあ國本秀山
母の日や巣立つ子の部屋片付ける國吉敦子
裁縫箱母の日詰まる針一つ窪田和子
母の日や苺ケーキに母数多倉岡富士子
母の日や表札の跡実家売るぐりぐら京子
羨めど戻らぬ吾子と母の日と栗子
母の日や軍手と鎌をトランクへ栗田すずさん
母の日のホームの会話昭和咲く栗田芳文
母の日や互いに見せぬ贈り物空流峰山
母の日や休むを知らぬ母なりき愚老
母の日や小さな赤丸皿洗う黒瀬三保緑
母の日をzoomで祝うイートインくろだ@しろい
ダイソーで車椅子押す母の日よ黒猫さとみ
母の日や初球空振り深く吸ひ玄琶小篇
出涸らしに茶柱母の日の夕餉桑田さなえ
母の日にカレー待ってる夜勤明け桑田栞
母の日に肩叩き券を母が出す軍神
コロッケを揚げる山盛りの母の日くんちんさま
母の日や傾けて描くラテアート恵勇
母の日の偲ぶれどまた影淡く家古谷硯翠
伏線を回収母の日のリボンケビンコス
初めての母の日私?クレヨン画紫雲英
母の日は子どもがつくるライスカレーケンG
顔ぢゆうが皺くちやになり母の日よケント
母の日や戒名に『久』『楽』の文字小泉久美子
母の日三十分コの字型カーテン剛海
母の日や男子四人にべらんめえ宏楽
「幸」の字を持ちて米寿の母の日や郷りん
母の日は特盛にするお仏飯古烏さや
母の日の母と呼ぶ子の無き気楽こきん
母の日の鉄橋の影踏んでゆく黒望
母の日の母亡き花売り花抱ふ苔間きい
母の日の花より団子ねだりけり腰高豊
母の日や母はお陽さまお陰さま五七五八一九
母の日やスイーツ運ぶ銀の匙越乃杏
母の日や五歳の抱く米袋越村和行
母の日に母なる声や産屋から胡秋興
母の日や巣を繕へる鷺の母児玉ひでき
早世の子を持つ母の日石蹴れり古知野朝子
ドローン飛来せず今日はマザーズデイ五島潮
母の日にハハハと白き花咲きぬ虎堂吟雅
母の日や味噌漬の味義母の味後藤昼間
母の日やインクも薄れたる手紙後藤三梅
母の日や伝えぬ感謝は伝わらぬ後藤葉羽
母の日や届く小包吾子の文字来冬邦子
母の日や初めて人に買った花小箱守
母の日や今日は娘がお母さん小林澄精
母の日や母であること母忘れ小林弥生
母の日に児の母より花いちりん小林理真
母の日やメモ書き熱く宅配に独楽
牛丼をかっ込み母の日の母へ駒茄子
母の日や母の好んだ紬着るこむぎ
母の日や頼りにならぬ息子です小山晃
母の日やピザに母の名入れて焼き小山秀行
母の日やわくわく待つよ宅配便コロンのママ
母の焼く厚きオムレツ母の日よさいたま水夢
母の日やこども元気が贈り物埼玉の巫女
母の日に贈り贈られ吾子笑ふ宰夏海
母の日を母になれない友とゐてさおきち
母の日の吾子の手作りハンバーグ酒井春棋
妣の香のふつとたちたる母の日よさかい癒香
今更に詫びても遅し母の日よ坂田雪華
母の日と父の日かかる秤かなさかもと家の鍵しっぽ
母の日や供花を赤に変えてみる坂本雪桃
花揺れる道を二人で母の日に咲くひなげし
母の日の玉子のやはき親子丼桜鯛みわ
母の日や子の選ぶパンみな茶色桜華姫
母の日に千代紙を買う小さな手笹桐陽介
母の日や会うたび母は小さくなりさざれいし
母の日はお洒落な母の着物きるさざんか
母の日に息子気遣う我が歩み砂月みれい
母の日や途切れし家系詫びてをり佐藤桜月
母の日の仏花少しだけ華やか佐藤公
母の日や母へ小さき嘘ひとつ佐藤志祐
母の日や窓を開ければ母の庭佐藤ゆま
母の日の電話一本しみる声佐藤佳子
母の日を父の写真と母と吾と紗羅ささら
餃子巻く母の手忙し母の日に沙羅双樹サリー
母の日のブーケ集結する倉庫紗藍愛
母の日に何も出来ない不甲斐ない佐波乃屋あ季
母の日や良き日だったとむつき替え沢山葵
母の日や「ありがとうね」と耳元でさんなんぼう
母の日や口癖まねてママの役四王司
母の日やおかあさんと呼んでみる塩沢桂子
一花背に微笑む我が子母の日やしかの光爺
母の日はお琴三味線テニスやけじきばのミヨシ
母の日の母を労ふ母の母柿司十六
母の日の名のなき家事よ花に水じつみのかた
母刈りし祖母の白髪母の日よ糸野句丹
母の日にでんぶ多めのちらし寿司島じい子
母の日の朝のタオルの湿りかな志村肇
母の日の母知らぬまま母となる霜川このみ
習いたての「おてつだいけん」母の日に霜月詩扇
母の日や野花を供ふ空青き下總和沙
母の日や子の訪ひのなく暮れにける下村修
幼き子花折り紙で母の日をjacosara
母の日の文「あげる」から「もらう」へと沙那夏
母の日に命日重ねこうべ垂れ淳風子
母の日やまた驚いてまた微笑んでじょいふるとしちゃん
母の日や布団叩きの音はぜる白石花仙
母の日や一人がいいと言う娘白井百合子
母の日や通勤前に釜洗う白岩座匠
母の日の絵しゃもじ園児の吾と母と四郎高綱
母の日や礼のLINEもたどたどし白猫のあくび
迷い迷いて母の日の胡蝶蘭しわしわ
母の日の母の味噌汁母の味新濃健
母の日の断捨離すすむ部屋に風新森楓大
母の日や「今年はこれ」と母の指西瓜頭
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まぶた閉じ母の日想う吾老いぬ麗仙
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母の日に贈る熊手の爪尖らず渡部克三度
母の日やLINEの花でまあいいか渡邉白梅
母の日の仏間に花を供へたり渡邉花
九度八分忘れ母の日母笑みぬ渡辺陽子
母の日や指の結節撫でてみる和脩志
母の日や紅茶をひとりそそぐ朝わをんはな
- 夏井いつき先生からの一言アドバイス
●俳号には苗字を!
俳号とは、その句が自分のものであることをマーキングする働きもあります。ありがちな名、似たような名での投句が増え、混乱が生じています。せめて、俳号に姓をつけて下さい。
皆で気持ちよく、この広場にて共に学び楽しめますよう、俳号の付け方にご留意ください。
●「母の日」のことだとは思うけど……
娘に負わせた業ですストマイを打つ母女郎花
母親の愛情特盛ありがとう☆たかきいくえ☆
百五歳母の手を取り笑み交わす徳永恵楓
娘とも分からぬ母にカーネーション里こごみ
姑で母で妻で娘でカーネーション土井あくび
大声で蝸牛と話す母の日や玉響海月
くちなしを焦がれし記憶母の日の松島汀
母の日やカーネーションの白忘れ森嶋師子吼
母の日や数本の薔薇まだバケツリコピン
賭場の熱母の日も母熔かしおり大井道芥
母の日に亡母の匂ひ硝子壜藍野絣
母の日や獅子は子別れしてナミブ雨乙女
五年ぶりの変貌母の日の謎鱈瑞々
本俳句サイトでは兼題が出題されています。今回の兼題は「母の日」です。この二句は「母の日」をテーマに作っていますが、季語が入っていません。
これらも「母の日」をテーマとして作った句ですが、季語は「カーネーション」になっています。
兼題が季語の場合は、その季語を詠み込むことがルールになっています。今回、季語「カーネーション」の句が五十句近く(季重なり、もしくはカーネーション単体の句)ありました。ちなみに「薔薇、バラ」も十三句ほどあったことも申し添えておきます。
●季重なり
一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「母の日」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。
「母の日」を「や」で詠嘆して、こちらの季語を強調しようとした意図は分かりますが、一句目は「カーネーション」を主役にしても「母の日」だろうと伝わりますし、二句目は「母の日の薔薇」と季語を合体させることも可能です。
◆今回の類想&選外
当然のことながら、「亡き母を想う」「母の齢を越えた」「自分には母も子もいない」等の類想は多々。更に、「母の日に逝った母」「母の日に母になる」等の類似フレーズも散見しました。
そんな中、オリジナリティを加味しようと工夫した句も勿論あったのですが、ちょっと頑張りすぎて、句意が分かりにくくなったものもありました。
母のことも忘れるくらい賭け事に熱中しているということなのか、母自身が賭け事に熱中しているのか。
果実酒とか、そういう類いの壜なのか? 香水や化粧品の壜か?
ナミブ砂漠か? ひょっとして韓国ドラマのタイトル?
「五年ぶりの変貌」は、母の変貌か? 自身の変貌に母が驚いているのか?
このようなケースにおいて「複数の読みがあっても良いのでは?」と質問してくる人もいるのですが、それは作品が完成形になった後のことであって、表現の拙さ・曖昧さを許容していいという話ではありません。
例に挙げた四句は、脱ボンが可能な句材ですから、言葉の選択・語順などを吟味し、推敲してみて下さい。


お待たせしました!5月の兼題「母の日」の結果発表です。
今月も夏井先生のアドバイスは必見です。遠方に住む母、老いた母、仕事や家事をする母、尊敬する母、どうにもそりが合わない母 投句から見えてくるそれぞれの「母」との距離感に、ドラマがあるなと……感じました。7 月の兼題「毛虫」もふるってご応募ください。(編集部より)