夏井先生のプロフィール
夏井いつき◎1957年(昭和32年)生まれ。
中学校国語教諭を経て、俳人へ転身。俳句集団「いつき組」組長。
2015年初代「俳都松山大使」に就任。『夏井いつきの超カンタン!俳句塾』(世界文化社)等著書多数。
7月の審査結果発表
兼題「毛虫」
「天」「地」「人」「佳作」それぞれの入選作品を発表します。
毛虫己が咀嚼の音に首もたぐ
町田思誠
夏井いつき先生より
兼題「毛虫」に対して、真っ向勝負を挑んだ一物仕立てです。
毛虫をじっと観察しておりますと、時折「首もたぐ」という動作をしていることに気づきます。何か気になるものがあるのか、危険を察知しているのかとも思いますが、しばらくすると何食わぬ顔で、首をおろす。その様を「己が咀嚼の音に」よってであるかのように、と把握した点に独自性と真実味があります。
何の音だろうと首をもたげてみると、その音が止んでいる。首を傾げつつ、また眼前の葉を食べ始める。この繰り返しに「毛虫」という生き物の特徴を捉えたのです。「首もたぐ」という言い切りによって、毛虫のサワサワシャクシャクという密やかな咀嚼音が消える瞬間を、ありありと追体験させてもらった一句でした。
憲法や毛虫の炎立ち上がる
岡一夏
毛虫焼く句は多数ありましたが、上五「憲法や」という詠嘆によって、一句は寓意に満ちたものになります。「毛虫の炎」の向こうに凄惨な戦場を見ているのでしょうか。複合動詞「立ち上がる」に、虚のシュプレヒコールが重なってくるかのようでもあって。
毛虫焼く祖母の火葬のにほひせり
星月彩也華
「毛虫焼く」時の独特の臭いが、嗅覚の記憶を呼び起こしたのです。「祖母の火葬のにほひ」とは、火葬場の煙の匂いでしょうか、焼き上がったお骨の匂いかもしれません。「~せり」の淡々たる言い切りに、悲しみが深まります。
毛虫切る手応えの無さ空は青
井上れんげ
枝の葉にくっついている毛虫を、作業用鋏で捕らえ、真っ二つに切ったのでしょうか。その余りにも「手応え」のない感触に、ハッと心が動きます。「~無さ」という感触から、下五「空は青」という映像への展開が、その実感を強いものにします。
カサカサの写経を丸め毛虫討つ
トウ甘藻
写し終わった「カサカサの写経」の用紙を「丸め」て、何をするのかと思えば、「毛虫」を叩くというのです。何かで何かを打つという発想は多々ありますが、祈りの写経と「討つ」という殺生。その取り合わせが、狙い通りの俳諧味となりました。
よく食らひよく糞る子規庵の毛虫
三浦海栗
病床にあった子規さんは、当に「よく食らひよく糞る」という日常を送りました。上五からの九音分は「~子規」を指すものだと思わせておいて、「~庵の毛虫」と展開させるウィット。作者の手口にまんまと嵌まりつつ、味わわせてもらった作品です。
嘴に毛虫ぶん回されてゐる眩む凡
謗らるるほど澄みわたる毛虫の眼浅乃み雪
毛虫光る太陽の金月の銀葦屋蛙城
翅といふ怒りを内に飼ふ毛虫明日ぱらこ
正義とは斯もあやふや毛虫焼く藍創千悠子
毛虫毛虫みんな友だちなんて嘘アンサトウ
葉裏しか知らぬ毛虫の蠢ける飯村祐知子
根も別に良い人でなし毛虫毛虫家守らびすけ
毛虫の毛盛大に嘴こぼれゐしIquedaQuenshi
毛虫身をよぢるよぢる炎に似るイサク
火の星が死んで毛虫が生まれた木泉晶子
毛虫焼き人と話さぬ一日かな石上あまね
よりを戻すわけがなからう毛虫焼く伊藤映雪
あたしの中の少しのをとこ毛虫焼く伊藤柚良
振られると決めて毛虫を見てをりぬ岩本遥
潮風を刺して毛虫の錆びぬ針海原帆布
毛虫焼く死のうとしない顔ばかり浦城亮祐
立たされるわ掃き掃除だわ毛虫だわ江口朔太郎
毛虫焼く虚子に市井の顔ありし大川すまき
傀儡にも生者のにほひ毛虫焼く沖庭乃剛也
極彩の毛虫の糞の黒きこと樫の木
毛虫這う毛にさざ波のひとくねり木村弩凡
毛虫焼く火も生まれては澄みてをり河埜スミヰ
記念樹のレモンに棘や毛虫這ふこのみ杏仁
毛虫焼かれむらさきの泡噴き出せり齋藤満月
シーソーの対岸に波うつ毛虫桜鯛みわ
毛虫はぐれて毒吐くほど淋しい佐藤レアレア
千の毛のまづちぢまりて毛虫焼かる常幸龍BCAD
けむしさはさはくすぐつたさうなきぎ正念亭若知古
うごうごと毛虫集くや更年期白猫のあくび
暮れ初むる縁切寺に毛虫焼く新濃健
区費集金終え粛々と毛虫焼く涼希美月
艶聞の真偽毛虫の這う速度竹田むべ
逆光に咲くがごとくに毛虫這ふ只野乙華散
焼かれをる毛虫緑の汁を吐く多々良海月
うにゆうにゆと群れて毛虫を這ふ毛虫谷山みつこ
箸先に肥えし毛虫の抵抗す冨川ニコ
三人掛けを小さき毛虫に譲りたり友@雪割豆
芳一の耳の行方や毛虫焼く夏雨ちや
烟りたる毛虫美しき湾曲七瀬ゆきこ
いつまでもねちやつく毛虫踏みし靴長谷川水素
闇を噛む毛虫の顎の汁みどり畑中幸利
毛虫溺れるポリバケツ欠けているふくろう悠々
毛虫焼く婆の呪殺に似たぼやきふるてい
毒薬めく毛虫の紋の美しき松坂コウ
風に聞く部下の出世や毛虫焼く三日月なな子
毛虫居て緑きれいな入所の日三隅涙
木の洞は根の国の口毛虫這う茗乃壱
食ひつぷり良き理科室の毛虫かな森上はな
椿毛虫ひしめくうごめくさんざめく山姥和
苛めるに足るほどうつくしき毛虫RUSTY=HISOKA
毛虫這う毒毛に宿る雨の粒藍空macco
硝子越し毛虫の腹の百の脚あいれふ葵
王子様だつた毛虫と思しき背青井えのこ
やんばるの闇這ふ太き毛虫かな青井季節
這ふ毛虫園児五人の包囲網蒼井小桃杏
憧れのキャンパス毛虫焼くけむり蒼空蒼子
毛虫焼く君の正論聞き飽きた青田奈央
草むらへ毛虫を移す我カンダタ青砥展典
樹葉なき枝にひかりや毛虫這ふ青野みやび
吾の先祖スクナヒコナだと毛虫言うあおのめ
宇宙にも毛虫ゐるらし黒い穴青星ふみる
新顔の毛虫にひるむ貸農園秋月あさひ
過ちにヒリ付く胸と毛虫の禍アクエリアスの水
木陰よりむぞりなぞりな毛虫這い芥川春骨
這う様は戦車のような毛虫かな芥茶古美
毛虫撮る君を遠くに見つめおり朝日雫
チャリ走行中毛虫横断中あさみあさり
果実もぐ手に電撃の毛虫かな飛鳥井薫
毛虫ゐて己が殺意に驚きぬあたしは斜楽
香ばしき音をあげ崩る毛虫かな中はじめ
ζからΩへかはるけむしをりあねもねワンヲ
近づくな波打つ毛虫映える朱我孫子もふもふ
毛虫ゆく新宿二丁目を朝日阿部八富利
南の地震知るごと毛虫むれゐたりあまぐり
毛虫には反重力の近未来甘茶トーシロー
毛虫焼く焚き付けはアイツの写真雨戸ゆらら
毛虫毛虫明日はバラになっている雨森茂喜
毛虫うだりており水をやる雨降りお月さん
ふくふくと毛虫を謳歌してをりぬ綾竹ろびん
数匹の落ちる毛虫とそれ以外綾小路へこ
午後の路潰れて乾く毛虫かな有川句楽
青石は鸚哥のお墓毛虫這ふ有村自懐
夫の背の毛虫どうする思案中在在空空
乱打終えベンチに毛虫また毛虫杏樹萌香
葉裏より光を連れて毛虫出づ安春
無心てふ強靭なもの毛虫這ふ飯沼深生
毛虫好きの少女にもらふラブレター猪狩鳳保
階段のくねる毛虫を追い越しぬ郁松松ちゃん
一匹の毛虫で授業が崩壊中池田華族
不器用に神の塗りたる毛虫かな池之端モルト
毛虫焼く。この星を灼く。ひとをやく、十六夜の花札
聖堂の祈り毛虫の進む床伊沢華純
玄関の毛虫にひとつお題目伊澤遥佳
父帰る門かぶりより毛虫墜つ為参
孵るなり喧嘩売つてをり毛虫石垣エリザ
踏み下ろす先を毛虫の堂々と石田ひつじ雲
小心の能書き長く毛虫焼く石塚碧葉
気づかずに生ける毛虫の付きし枝石塚彩楓
聞き流す稽古毛虫の波打ちて石塚壜太呂
月光を浴びても毛虫毛虫なり石原由女
毒毛虫焼けし火箸のごと頬へ石村香代子
毛虫いま自転車のベル迂回せり和泉攷
サンダルの毛虫お前も海が好き和泉園実
残兵のごと一匹の毛虫投ぐいずみ令香
トラックが毛虫を踏んで走り去る市川卯月
毛虫這うあの子も今年三十に市川りす
毛虫毛虫身投げするのはちょっと待て無花果邪無
釈尊はいかに思ほす毛虫焼くいつかある日
月光に食痕うねる毛虫かな一久恵
毛虫取るティッシュに揺るる残火かなゐつしん
父方の親族絶えて毛虫焼く伊藤亜美子
まっぷたつになりても蠢く毛虫かな糸終因果
毛虫焼く若きをんなのうすら笑ひ伊藤恵美
毛虫ゐる遠回りして帰る午後伊東海芋
青空の事なかれ主義毛虫這ういとへん製作所
颯爽と信号無視の毛虫かな伊ナイトあさか
ほんたうに毒はあるのか毛虫小さし井中ひよこ号
東大の過去問添えて毛虫焼く稲光虎介
雲塊をドローン葬列を毛虫居並小
ほろほろと人死ぬことよ毛虫踏む井上鈴野
毛虫落ちちひさき針の散りぼへり井納蒼求
毛虫を躱すや靴紐解けてをり井口良範
毛虫いまジャングルジムの王である猪子石ニンニン
毛虫百二百が枝を記念の木井原昇
たくさんの毛虫を焼いてまだ探すいまい沙緻子
隣家より越境しをる大毛虫いまいやすのり
毛虫に悲鳴かわいい声も出るんやな今紫
おとしもの水泳帽に毛虫這ふ今村大儀
毛虫突くほどの平和にをりにけり藺牟田ボンド
発電所へ続く並木や毛虫湧く妹のりこ
毛虫落つ安土と桃山の隙間伊予吟会宵嵐
毛虫ムクムク歩くムクムク走る伊代ちゃんの娘2
毛虫焼く憎しみ別のことなれど岩木順
エントランスに毛虫誰も踏むなよいわさちかこ
蓮華座に毛虫の気配きいてをり岩清水彩香
もう少し毛虫のままでいさせてようえともこ
軒下の毛虫は壁の虜かな上野徹心
毛虫這うチワワが吠えて月の庭上原淳子
一閃の嘴より毛虫長々と鵜飼ままり
毛虫焼く酒屋タオルの野太い字うただねこ
奪衣婆は「重い」と言うか毛虫焼く宇田の月兎
毛虫行く葉裏の秘め事風に揺れ空木眠兎
毛虫美しふいに翼の影来る枝に靫草子
この毛虫豊満たるや潰すには海原夏帆
ジャングルの如き実家よ毛虫這う卯之町空
毛虫とは目を合わすことなく埋める海口竿富
射るように見られ毛虫は飼育箱梅里和代
毛虫焼く炎は徐々に広がりて梅田三五
継ぐ者のなき家の畑の毛虫かなうめやえのきだけ
焼かるるを免れ毛虫松を喰ふ麗し
毛虫筋肉と腹脚の共鳴詠・想風土
丸まる毛虫子守唄歌う吾子江川月丸
隙あらば毛虫のこんな所まで蝦夷やなぎ
毛虫這ふ端の捲れた絆創膏えぞりすの風
詳細はAIにポイ毛虫ポイ越冬こあら@QLD句会
葉の縁を律儀に食らふ毛虫かな江連守一
毛虫にも美形のありて夕まぐれ絵十
ひろ君を泣かす毛虫をやっつける榎本咲
熊毛虫横切りて銀翼高し江水木みえ
一寸の毛虫県道渡り切る遠藤千草
毛虫はやあそこに我も動かねば遠藤玲奈
毛虫焼く修行の足らぬ優婆夷かな近江菫花
伝単に毛虫零るる負け戦大井道芥
かの町の震災ニュース毛虫取るおおい芙南
毛虫焼きながら振り向く母の貌大岩摩利
舗装路を泳ぐが如く毛虫行く大久保一水
路の毛虫低い雲から降りたのか大越総
木漏れ日を作りつつ這ふ毛虫かな大嶋宏治
水際の毛虫の影に魚跳び太田一駄歩
言霊の届かぬ毛虫焼きにけり大津美
緑喰ふ毛虫緑の血のかよふ大野喬
雨粒の光を潰す毛虫かな大和田美信
みづからの毛もて地に浮く毛虫かな可笑式
突かれて焼かれて毛虫業を削ぐ岡田きなこ
毛虫焼く母を遠目に三姉妹岡田雅喜
毛虫疾く砂岩の傾斜不整合男鹿中熊兎
火の揺れて微か毛虫の爆ぜる音丘なな実
毛虫群る感電めける偏頭痛岡根今日HEY
参道の毛虫に怯えつつ寄進岡村恵子
黒黒と機関車のごと大毛虫オカメインコ
殺されしクラムボン毛虫の眩し岡山小鞠
明日飛ぶか明後日飛ぶか毛虫這う小川さゆみ
雲間より落っこちてきた毛虫かな小川芯歩
どうしても焼けぬ毛虫の増すばかり小川しめじ
戦争も原発もなき毛虫の世小川天鵲
毛虫には泣かぬ女となりにけり小川野雪兎
この大地を忘れぬやうに毛虫這ふ小川都雪
二の腕のここち毛虫のやはらかさオキザリス
「戦争」に身の毛のよだつてゐる毛虫沖庭ノ華風
這う毛虫杖の先にて潰しけり荻原玲香
母の忌の実家終ひや毛虫這う小倉あんこ
並木道ぽとり毛虫は飛べませんおこそとの
毛虫這う即見ぬふりを貫けりおだむべ
毛虫に腫れて夫は不死身だったはず越智空子
泥濘や毛虫じわりとほどけいくおでめ
姪子の手蠢く正体毛虫なり十八番屋さつき
美しき未来を知らで毛虫這ふおひい
毛虫って葉をちくちくといたぶっておぼろ月
枕草子帯電してる毛虫の背海音寺ジョー
端つこを好む毛虫も妹も海峯企鵝
渾身で車道を渡る毛虫かな火炎幸彦
一途なる毛虫を誰も止められず風花まゆみ
黄泉比良坂壁一面の毛虫風早杏
雨滴波打つ如く毛虫這う梶浦和子
ただ生きて焼かれるだけの毛虫かなかすかべえやん
攻撃の間合いはかりて毛虫這うかつたろー。
忠魂の碑文なぞっていく毛虫ひだまりえりか
仏花の毛虫を墓誌のあしもとへかときち
嫌われる毛虫は子どもまだ子ども金子美鈴
まみどりをのじのじのじと毛虫かな金田庭園
十年ぶりの自転車毛虫轢かぬようかねつき走流
空き缶の切り口冴えて毛虫這う神長誉夫
千金の翅の夢見て毛虫飼ふ神谷たくみ
突かれて悶えて丸くなる毛虫亀田かつおぶし
毛虫這ふ散弾銃の油艶亀山酔田
百円の着火ライター毛虫焼く花陽
近似するサインコサイン毛虫の毛絡丸いと
相続の席をちらりと毛虫焼く刈屋まさを
叙々苑の弁当の箸毛虫摘む河上摩子
毛虫焼くあの御婦人のあんな顔川越羽流
毛虫にもノアの方舟席ひとつ川崎ルル
二時の方向毛虫の赤毛折れ曲がる翡翠工房
炭鉱のカナリヤ鳴くや毛虫這ふ川蝉小鈴
毛虫焼く藁屑爆ぜて尻汚す川辺世界遺産の居候
右頬へ帯状疱疹毛虫焼く川村湖雪
ささくれの多き縁側毛虫這う河村静葩
じっとりと生きるばあちゃん家の毛虫喜祝音
曽ての焚書追想し毛虫焼く季川詩音
都庁下の炊き出し記念樹の毛虫きざお
検針のガスメーターに毛虫の黄岸来夢
魚焼く妻よ庭にて毛虫焼く酒暮
読み難し兄の書き置き毛虫這ふ季切少楽・広ブロ俳句部
毛虫這う既読をつけぬ昼休み北大路京介
手をつきし切株になぜ大毛虫木谷智子
毛虫来て毛虫来る狐狸の山門北平春風
のぞのぞとひかり掻き分け毛虫這うきなこもち
毛虫這ふ二十万個の毛穴閉づ城内幸江
ふうわりと毛虫の針や実家じまい木下桃白
かたまって年輪を喰う毛虫かな黍団子丸
音も無く毛虫降るなり背戸の山木村修芳
大望を抱いて睡る毛虫かな木村信哉
バス風に埃まみれの毛虫急く木元紫瑛
重文の神楽殿より毛虫垂るQさん
毛虫這ふ拒みしこころ届かざるQちゃん・広ブロ俳句部神奈川支部
毛虫焼く通用門の見守り隊鳩礼
毛虫降るロープここより禁猟区共通因数
毛虫行く仁徳陵に気球発つ京野秋水
銃のやうに持つバーナーや毛虫焼く杏乃みずな
毛虫来る異次元に割れ目あるらし霧澄渡
今生の風の触媒てふ毛虫ギル
雨上がり毛虫の糞の夕焼色菫久
葉のひとひら羽ばたく日を毛虫かなキン肉アタル
輪になって毛虫いたぶる天使たち近未来
毛虫焼く祖母の念珠の黒き艶句々奈
原木を鼓動のやうに毛虫ゆくくさ
毛虫行く愛され方は非公開くすみ輝く
赤点のテストで掬いとる毛虫くずもち鹿之助
毛虫這ふ木の重心をふるはせて熊谷温古
毛虫這ふダッシュボードや高速道倉岡富士子
毛虫もぞもぞモノクロのパッケージ栗田すずさん
毛虫むよむよ波打つて波打つて空流峰山
置き去りのユンボ呑み込む葉に毛虫久留里61
一寸の毛虫に一尺後ずさり黒岩牡丹
毛虫駆除猫の手術は参拾萬黒猫さとみ
甲冑の肩ゆく毛虫ひきかへし玄琶小篇
遠い星々の哲学や毛虫焼く桑島幹
コンクリ焼けて円環巡る毛虫くんちんさま
毛虫焼く熊をも撃ち殺せし火で恵勇
毛虫這うて降水帯を呼びにけりげばげば
妹の恋路を呪う毛虫かな欅谷風来
毛虫焼く揺らぐ炎の瑞々し健央介
君まねて毛虫ちりっちり焼く忌日謙久
毛虫ムズ毛虫ムズムズむずかし平和ケンG
毛虫毛虫けむくじやらは嫌ひですかケント
毛虫這ふバットに太き主将の名剣橋こじ
轢かるると思ひし毛虫渡りきる小泉久美子
増えすぎし人に毛虫は焼かれけり剛海
毛虫焼くぼくとおんなじ血の透明公木正
スカートに山あり谷あり毛虫あり紅紫あやめ
産土の杜の毛虫を踏んづける幸田柝の音
毛虫、沢蟹、亀轢いてまた毛虫虹博筋
毛虫けむし人は毒吐く獣らし古賀
自転車の轍に毛虫のたうって古烏さや
好きだった君が毛虫を箸で持つ黒望
溜め息にかたちありけり毛虫這ふ木染湧水
毛虫落ち並木の果てを示しけり児玉ひでき
水に浮き寄り来る毛虫祓ふ波虎堂吟雅
毛虫焼く女の顔白く赤く照る呉桃周行
お祈りし毛虫をどぶに捨てました後藤周平
全身を棘に毛虫の孤独かな後藤三梅
毛虫にも雌雄有りとて殺せざる来冬邦子
毛虫這う女性グループ相関図古都鈴
毛虫焼く夫の笑ひに骨香る子猫のミル
毛虫食む草にも水をやりにけり虎八花乙
甲斐の国の毛虫大波打ちにけり小林浮草
毛虫焼く男結びの実習生小林昇
十の節波の如這ふ毛虫かな小林脱太郎
渋滞の毛虫の上へ鳥の影小林澄精
風洗ふ毛虫の棘の細密画小林久女
葉を食みし毛虫は鳥に喰はれけり小林理真
プレゼン後のあんパン屋上にも毛虫駒茄子
立ち話木陰に毛虫いるようなこむぎ
毛虫焼くその楽しさよ哀しさよ小望月あうる
毛虫焼く鯖街道の分岐点さいたま水夢
毛虫殺めて手も洗はないなんて彩汀
箸の先悶えて落つる毛虫の毛斎藤マカロン
痛きほど朝空青し葉に毛虫齋藤桃杏
触角に邪気のあふるる毛虫ゐてさおきち
星となるひかり毛虫の毛先からさかえ八八六
人恋ひの毛虫をりしか夕まぐれ坂口いちお
白毛虫遺せし糸や友若く沙河小桜
二秒見る毛虫愛しきものとなる坂本雪桃
のそりと毛虫カラマーゾフを読もうかな櫻井こむぎ
友情の二文字毛虫覚えてる桜月夜
ボタ山を毛虫天竺まで遠く雑魚寝
こんにちは無害な方の毛虫ですさざれいし
毛虫焼くころりころりと落ちにけり佐藤恒治
毛虫這う記憶振りきり無垢の羽根佐藤桜月
毛虫這ふ音なき車曲がり来る佐藤志祐
不揃ひのバイタルサイン毛虫落つさとう昌石
背に幽か縋る気配のあり毛虫さとうナッツ
毛虫這ふ一度つきりのうつし世や佐藤浩章
太毛虫トパアズいろの雨の中佐藤ゆま
散る糞の真中に二匹毛虫かな咲仁木
ラジオより母語と思へぬこゑ毛虫錆田水遊
合掌は敢えて省略毛虫焼くさぶり
毛虫地を這ふいづれ空を這ふ彷徨ういろは
日は燦々毛虫未来へ毛を立てる紗羅ささら
車カバーはずし毛虫も取りはずし紗藍愛
見過ごせばいずれ誰かが踏む毛虫さるぼぼ17
太陽を喰らい毛虫よ生き延びよ澤田紫
砂利の端まだ見ぬ草へはふ毛虫佐和粉骨砕身
毛虫撫づあんな言ひ方なからうに慈雨
念入りにつま先ねじり毛虫踏む塩風しーたん
雨粒の大小背負ふ毛虫かな柿司十六
その下は活断層か毛虫出づ信濃のあっくん
太陽に逆らう毛虫の毛尖り芝歩愛美
ひかりめく毛虫と出逢ふポーと呼ぶ渋谷晶
線路わき影を求めて毛虫這う芯歩
私には触らないでと毛虫おる島じい子
ほっといて好きで毛虫になってるの島田ユミ子
切株に毛虫輪になり棒になる清水容子
ためらひの病もくもく這ふ毛虫志村肇
読み手なき古き本焼く毛虫焼く霜川このみ
帰省の枕元小さき毛虫をる霜月シナ
不使用の鍬出す倉庫毛虫毛虫下丼月光
青空へ毛虫のけ反る一人の背下總和沙
その先は浄土にあらず毛虫這ふ下村修
ひかりつつ毛虫の列のわたる道じゃすみん
毛虫愛づる吾子よ明日は明るいぞ沙那夏
箸先をうねる重みや毛虫とるしゃれこうべの妻
毛虫見て子らはどうして寄ってゆく修懿
大毛虫這ふ膿むやうなアスファルト十月小萩
てきとうに生きてるもんね毛虫泣く十八公
チケットの日付は昨日毛虫這う秋芳
戦慄を尾より走らせゆく毛虫シュリ
上りくる毛虫睨みぬ仁王の眼じゅんこ
毛虫よ毛虫こころはどこにあるのだらう白石美月
いじめっ子の名前で呼んで焼く毛虫白沢ポピー
毛虫降るベンチでスマホ打つ女白岩座匠
時は来た軍手割り箸毛虫討つ神宮寺るい
毛虫這う万の毛先に陽を集めジン・ケンジ
幼子の水たまりへと突く毛虫新森楓大
美醜なき闇や毛虫の針の艶水鳥レイ
手弱女は熊襲の裔ぞ毛虫焼くすがりとおる
毛虫横断わたしにはわたしの歩幅杉浦萌芽
黒々と糞を標に毛虫をり涼風亜湖
時速二十キロ毛虫かわす車輪鈴木季良恵
取りこぼす記憶が痛い毛虫かな鈴木秋紫
雨ニガイ毛虫の針の萎えゆけり鈴木由紀子
常盤木の花弁ひけらかしつ毛虫鈴白菜実
ティッシュ五枚毛虫の手触りを消す鈴野蒼爽
毛虫這ふ三十五度のアスファルト鈴花あこ
毛虫踏む足にざわざわ悪夢なり素敵な晃くん
毛虫踏むその足で出る舞台かな砂山恵子
可愛い声だらう毛虫に声あらばすまいるそら
毛虫焼く煙は天に魂は地に須磨ひろみ
毛虫みな怒れる針を天へ向くすりいぴい
トランプの記事に火を付け毛虫焼く晴好雨独
卒塔婆の梵字紛れの毛虫おりせいしゅう
毛虫毛虫可憐なあの子怖がらぬ瀬央ありさ
鳴きもせず媚びるでもなき毛虫焼く瀬紀
白斑いま毛蟲がふがふ残るすぢ摂田屋酵道
雨纏ふ毛虫目で追ふ保健室千・いつき組広ブロ俳句部
木肌の手触り惜しむらく毛虫よ全美
毛虫ゐる螺子の緩みしオルゴール宗珂
毛虫這う美醜のあはひそのままに走人
満身に怒りを負いて生く毛虫惣兵衛
海渡る渡御に同乗毛虫なりそうま純香
ほんたうのさいはひいづこ毛虫焼く草夕感じ
良き棒で押さばじごでる毛虫かな外鴨南菊
急ぎゆく毛虫のあとの砂けぶりそぼろ
毛虫にも小太り細身あるようだそまり
毛虫出づ診察券を探しけり染井亀野
鋏・鎌・箒・毛虫を焼く匂い空豆魚
道化師の眉毛のやうな毛虫かなぞんぬ
未だ惑ひたる我道端の毛虫大
毛虫焼かれて一閃に毛の揃ふ大地緑
カフカ読む私が毛虫かもしれぬだいちゃんZ!
夕映えのふれたきものに毛虫の毛高尾一叶
みどりの精髄毛虫から透けてゐる鷹取碧村
毛虫焼く妻は微塵も躊躇わず小鳥遊
毛虫焼く術もありしと歳時記に高橋すずめ
潰れたるは毛虫なるべし過ぎてより高橋手元
言葉とは突き刺さるもの毛虫焼く高橋寅次
毛虫から円描くように園児たち高橋ひろみこ
枇杷の木の毛虫の痒み盛りあがる高原としなり
ぶらさがる毛虫ほわほわ空は青いたかみたかみ・いつき組広ブロ俳句部
教頭を呼びに来る子ら毛虫毛虫高山佳風
毛虫這う象形文字のうごめけり滝上珠加
毛虫這ふ暴風警報レベル3滝川橋
白線や校庭の木に毛虫降る滝流鮎美
装備して敵は毛虫という平和たきるか
毛虫焼く鬱の字のごと群れたるを武井保一
毛虫への悪意激しき商品棚竹内不撚
聖卓に聖水賜ひし毛虫かなたけぐち遊子
毛虫ゆく真っ直ぐな心のままに多事
知りたくも無き我が余命毛虫焼く田代充
食ふために這ひ這ふために食ふ毛虫多数野麻仁男
外国語飛び交ふ街を横切る毛虫糺ノ森柊
毛虫いまも昭和の大家族の律立石神流
斥候の伏せる鼻先毛虫這ふたていし隆松
垂れ毛虫仁王像めく葉風なか伊達紫檀
毛虫摘む子らのアルミの弁当箱田中勲
宙をゆく毛虫ぐにやりと歪む視界谷斜六
閉じ込めし記憶に罅や青毛虫田上南郷
毛虫這う地面の照りの強さかな田畑せーたん
窓の毛虫や外出しない日曜日田畑整
弱虫も毛虫も内に毒をもち玉木たまね
斑点も眼もあどけなき毛虫かな玉響雷子
毛虫の背ふわふわそよぐ蠱惑かな玉響海月
毛虫這う行方をしかと見届けり鱈瑞々
火バサミのようようつまむ毛虫ぐにゅり智恵子
豹紋の焼くには惜しき大毛虫竹庵
毛虫這う背な一面の修羅の炎よ智幸子
風上に毛虫や湿る後れ髪ちさいちそく
アスファルトに毛虫の闘志みなぎれる千葉水路
房の花毛虫をこえてころがりぬchimekun
八方に光を散らす毛虫かなちやあき
毛虫毛虫顔色を見てばかりの吾彫刻刀
ゴスペルや揺るる毛虫の影の濃くちょうさん
この毛虫きっと父だと見逃せり千代之人
死に際を静かに生きる毛虫ありちろりちろりみゆき
上官を刺した毛虫の焼かれをりつくばよはく
濡れてなほビビと立ちをる毛虫の毛津々うらら
前世での嘘の数だけ毛虫の毛坪田恭壱
毛虫這ふヤクザ映画のロングラン鶴富士
磔刑に処すわたくしを刺す毛虫天雅
腥き炎うねりて毛虫焼く天陽ゆう
つまみ上げし毛虫のふるえ手を伝う苳蕗
毛虫這うきらきらと毛を波打たせとかき星
一徹にじゅげむじゅげむと這ふ毛虫ときめき人
虎柄の毛虫神樹に毛がなびく戸口のふつこ
毛虫焼く誰の許可をもいらぬのか徳永恵楓
毛虫焼く煙はたましひの化身とすかのようこ
毛を立てて這うや毛虫の背に力となりの天然水
父の足兄の背退けて見る毛虫となりの天然石
告白に否のつめたき毛虫かな戸部紅屑
年輪の五百年目へ毛虫落つ苫野とまや
親不知疼き始めてより毛虫富野香衣
翠玉飛び散ったか毛虫轢かれたか戸村友美
事故物件です毛虫も這ってます鳥田政宗
親よりは少し可愛げある毛虫豚々舎休庵
ガラス這ふ毛虫の腹の透ける脚頓堀頓
毛虫てふ行く方向に顔のある内藤清瑤
雨音に毛虫の這へる屍室かな内藤羊皐
陽を浴びてプリズムまとふ黒毛虫ナウシカのおかん
「鏖」といふ文字の恐ろし毛虫焼く中岡秀次
毛虫ひたむき陽の波となりながらなかかよ
金のほむらちりり毛虫のにほひけり中島紺
贅沢はまだ敵なのか毛虫焼く中野誠一
火挟みで紙焚べるごと毛虫焚べ仲間英与
人生急ぐなよ毛虫の行きかふ中村明日香
国会へつづく坂道毛虫過る中村想吉
毛虫行く地を縮めつつその先へ中山由
毛虫はふ葉裏にひそむ昼の影流れ星
毛虫這ふ屈伸の毛をゆらゆらと那須のお漬物
毛虫立つ毛虫のやうに産毛立つ7パパ・広ブロ俳句部
毛虫這ふ毛並に見惚れ逃しけり名計宗幸
死んでなほ心の棘を撒く毛虫奈良素数
雨上がりの空すりぬけて毛虫落つ西尾至雲
集まりて端の毛虫のこぼれさう西川由野
男児らは毛虫の長さ競ひあふ西崎秋雲
駐輪のサドルの毛虫ゐる朝よ西田月旦
当落メール押せぬ刹那を毛虫這う西原佳黎
貴婦人のような色もつ毛虫かな西村小市
幸福の量は平等毛虫焼く二城ひかる
総毛立つ毛虫の群れへ嫌悪の火にゃん
極彩の毛虫邪恋の痛ましき仁和田永
毛虫這ふ身じろぎひとつ糞ふたつ庭野環石
悪性と告げられし日や毛虫這う庭野せんたく
毛虫ふと十進法の国に落つ布川ユウリ
毛虫焼く耳にクルスを光らせて沼宮内かほる
呉市焼山くろい毛虫のにほひして沼野大統領
毛虫湧き葉はかげもなく山迫るねがみともみ
寄る老いや葉裏に毛虫這つてをりねぎみそ
やにわに百円ライター毛虫焼く猫ふぐ
夫の無事祈る毛虫を焼きながらねこまどのねこ
毛虫這う昨夜の怒り収まらず根々雅水
毛虫焼く再エネ推進派村長野口雅也
泣きそうな顔して毛虫したたかな野地垂木
連れ合ひと喧嘩とげとげ毛虫這ふ野瀬博興
じゃんけんに負けて毛虫のわけじゃないのなめ
終齢の毛虫退職の父の背野の小花
棘飛ばす毛虫と言ひて父の焼く野の菫
毛虫落つ乾き切らないシャツの襟野ばら
五風十雨毛虫この世に生まれいづ典子
ペン先の毛虫ペンごと放り投ぐのりこうし
群生の毛虫ずるずるエゴイスト白山一花
殺虫剤毛虫ポタポタテロリスト橋爪利志美
毛虫這う机掴みし震度三葉多豊
畳這う毛虫と僕の限界値葉月庵郁斗
近寄らぬことで毛虫と合意する八田昌代
銀毛の毛虫まるまる樹下の闇花岡淑子
ごみ箱へしずしずスコップの毛虫花はな
濡れ縁に音符のやうにゐる毛虫花彼岸
毛虫けむしトローチ喉を拡げおりはなぶさあきら
配られた札はジョーカー毛虫踏む花豆
毛虫焼く吾は残虐なかほをして花水木
毛虫焼く「少年時代」口遊み花見鳥
今さら「細身が好き」って毛虫焼く花和音
遊歩道ひしひし動く毛虫かな羽馬愚朗
横断の毛虫帰り道を知らずはむこ
ただいまに毛虫焼く手の応へけり葉村直
百葉箱の闇や毛虫の息遣ひ林省造
踏み潰す毛虫吐く蒼生々し原修一
前世の記憶の棘や毛虫這ふ原水仙
毛虫潰す朝刊の犯人笑顔原田くろなつ
薔薇の葉に毛虫爆発五十匹原善枝
雨脚のさゆらぎのやう毛虫の背巴里乃嬬
毛虫這ふ主のゐない床柱晴田そわか
潰されぬ道をさがして毛虫かなはるっち
新築の記念樹に百匹の毛虫春野ぷりん
毛虫ねぶる芙蓉一樹を平らげて春海のたり
一歩ずつ地球を測る毛虫かなはるるん1号
毛虫湧く虫歯の疼く夕まぐれはれまふよう
己が毛のうねりに越され毛虫這ふ晩乃
ハーレーのドロロ生垣這ふ毛虫繁茂おじ
毛虫焼く煙の先の夕日かなピアニシモ
文机に遺る指輪よ毛虫焼く東田一鮎
告発を潰されし夜や毛虫踏む東原桜空
毛虫まつくろけあやめもわかぬ目鼻かな樋口滑瓢
雲と空のあわいふたしか毛虫はう菱田芋天
脈打ちて梁を渡るや大毛虫ひでやん
太陽に似たる毛虫や脈を打つひのきあさみ
コーギーを抱えて毛虫避ける道日々硝子
食べながら十列縦隊する毛虫比々き
隠れ鬼しゃがんで突く毛虫の背日吉とみ菜
学校は早引け引出しへ毛虫平本魚水
毛虫滴る郵便受けのビラの端比良山
極彩の躰がありて毛虫かな平山仄海
つくばんで毛虫愛づる児さびしん坊広島あーやあーや
毛虫けむし過剰包装して潰す広島じょーかーず
故郷捨つ私の激情の毛虫広瀬康
毛虫落つ今朝の夢見の蘇る琵琶京子
艱難の数衒ふべし毛虫の刺風慈音
寿限無寿限無五劫の擦り切れ毛虫焼く深蒸し茶
亡親へしーっと丸まりし毛虫福田みやき
丸まった毛虫ほどけて昼餉かな福ネコ
会長のほつペの腫れは毛虫らし藤井かすみそう
恐るべき速さに毛虫直進すふじこ
毛虫の毛梳る如くに朝の雨藤咲大地
毛虫這う壁よ助手席から降車藤里玲咲
ほどほどの大きさなら可愛い毛虫藤沢・マグネット
木を抱き火に抱かるる毛虫かな藤白真語
けむしけむし望み書かれし札を這ふ藤富うに
葉裏には闇を吐き出す毛虫おり藤永桂月
悪役の捨て台詞めく毛虫這う藤原涼
ベランダの葉を透かしゐる毛虫かな藤本仁士
伸び切つたまま立ち上がりたる毛虫舟端たま
仙台坂ゼームス坂に同じ毛虫ふにふにヤンマー
毛虫肥ゆ革命のなき日曜日ふもふも
葉を食む毛虫空を齧るかのやう古織沃
近づいて焼けた毛虫をそっと嗅ぐ古道具
毛虫這ふ古刹の文字の深さかな文室七星
毛虫這ふ背に漣の生まれをり碧西里
毒毛のさざなみ光り毛虫這ふペトロア
広葉を載せて素早く踏む毛虫峰晶
老木の気力食みゆく毛虫かな保古亜歩子
急用のあるらし毛虫まっしぐら細葉海蘭
毛虫なんか大人はもう触れない堀卓
果無の空より招く毛虫かな堀隼人
むにゃむにゃの南無阿弥陀仏毛虫焼く堀邦翔
一毫の猛る痒さや毒毛虫前田冬水
毛虫啄む雀おぞましいとほしき牧場の朝
毛虫につまずき妖怪展出口牧茉侖
オゾン層の孔よ葉に毛虫の穴よまこと七夕
毛虫焼き母の字残る灯油缶正男が四季
好きやねんそんなん嘘や毛虫這う雅蔵
毛虫這う窓点滴の長き夜町田勢
毛虫にも邂逅したき毛虫ゐて松浦美紅
葉の裏の毛虫かたまる昼静か松岡さつき
富士晴れて地べたを急ぐ毛虫かな松尾祇敲
毛虫語の「け」は「へつらわず生きる」の意松知
身を捩りブランコケムシ風跨ぐ松原鈴子
風を呼ぶ朝鳥媒花に毛虫松本笑月
焼香の遺族のうしろへと毛虫松りんご
醜も美も知らぬ毛虫の這うひと葉瑪麗
前の子に追ひつかぬ距離毛虫這ふ毬雨水佳
毛虫毛虫ぎちぎちとゴッホの夜空まるごとハテナ
わさわさと毛虫のリズム吾のリズム丸山隆子
雨に濡れ毛虫つぶらなゆめとなり丸山美樹
毛虫焼きながら学費を訊ねる子慢鱚
通学路今日はどの子に毛虫降るミースミース
杖の要る日の長きこと毛虫這ふ三上栞
千回を毛虫となつて転生す三河三可
剪定の手を止め毛虫の羽化を待つみかん成人
根の国の底より毛虫這い出でて三毛乱次郎
いい子ぶつて刺さぬ毛虫もきつとゐる水須ぽっぽ
大人には見えぬ巨大な毛虫かなmr.kikyo
ぶつけ合うものは正義か毛虫焼けみづちみわ
庭仕事毛虫うじゃらと迫り来ぬ光森光
嫌ひだと言ひて毛虫を探しをる満る
結界のごとく毛虫の横切れりみつれしづく
毛虫ゆく悲鳴の渦中毛虫ゆくみなづき光緒
葉を掴む毛虫を葉ごと切る吾ぞ源早苗
さぼてんとみまがふほどの毛虫かな嶺乃森夜亜舎
孟子より荀子のリアル毛虫なら三群梛乃
心にも毛虫を飼ひてをりにけり深森明鶴
キャンディのように毛虫をつつみけり宮坂暢介
憎しみが目に出て毛虫後退るみやざき白水
毛虫来るたつぷりと毛を光らせて宮下ぼしゅん
鉄棒を握る数ミリ横、毛虫宮本夏生
白昼を取り込みしづかなる毛虫麦野光
一匹は無視百匹は焼く毛虫椋本望生
全身が波だ毛虫が道渡る無弦奏
空あおぐごと立ち上がりたる毛虫かな霧想衿
をりとりてぞろりとせまるけむしかな六浦筆の介
食み残すパンと毛虫と日を分かつ紫小寿々
毛虫落つ解錠前の管理棟村崎水晶
毛虫湧く息止め我は無となりぬ村の上の百合女
月ほどの軽さ毛虫の咀嚼音明月詩悠
窓越しの毛虫の腹に触れてみむ暝想華
ラジオより戦禍のニュース毛虫焼く茂木りん
毛虫の刺毛は孤独の避雷針藻玖珠
そらをひとすぢの弧毛虫は葉末を本山喜喜
チチと鳴く毛虫からたちの夕暮れ百瀬つきか
テラス席毛虫にふはり紙ナフキン百瀬はな
星消ゆる音受信せり毛虫の毛桃園ユキチ
ふわふわことばちくちくことば毛虫這う桃猫
毛虫撫づ博士御年十二歳森捷子
毛虫あり矜持を持って枝を這う森下一期一会
裏門の毛虫三味線部の音色森太郎
なげやりな貌した毛虫アスファルト森中ことり
土の香に溺るるほどに這ふ毛虫森日美香
毛虫焼くぐだぐだ伸びるアスファルト杜まお実
淋しさを癒すのが下手毛虫玉森萌有
毛虫は静か肩の刺傷は疼くもろ智行
クラス一色白の子の飼う毛虫山羊座の千賀子
大道にはみ出し毛虫野へ返す夜寺耕太
毛虫かと思いきややっぱり毛虫野州てんまり
真っ直ぐに毛虫分速一メートル安田伝助
闇を喰む音ばりばりと毛虫の樹山内彩月
毛虫這う無いものねだりの誕生日山川たゆ
蒸し返す話の中へ毛虫落つ山口絢子
毛虫焼く焔が触るる石割れる山口雀昭
道標を持たぬ毛虫や月の影山口ゆき
ふわふわの淋しい毛虫飼う夜明けやまさきゆみ
毛虫果つ嗚呼水滴のまばゆかり山下義人
次の足毛虫の上をかすめけり山田未知子
まだ死なぬ毛虫うごめく待合室大和杜
釈迦の手も喰まんとするや黒毛虫山の柔安
毛虫這う仏滅にしてやり過ごす山びこ
八卦見の終い知らずの毛虫焼く山本八角
美しき数式静かなる毛虫やまもと葉美
翁めく夫や毛虫の身をくねる雪子
毛虫ゆくおのが毛統べてへうへうと柚木みゆき
けふの吾よ一番若い毛虫這ふ柚子こしょう
朝は東の夕は西の葉食べ毛虫ゆすらご
とは言えど生まれ変わってまた毛虫宙美
毛虫垂れ監視カメラをかはしけり夢華
毛虫だろそれしか考えられない湯屋ゆうや
毛虫焼く煙は蝶の形して羊似妃
歩くから毛虫とわかるこっちが前横縞
ぢりぢりとちぢむルーペの毛虫かな横浜J子
ふるさとの街路でさがすは毛虫かな横浜順風
毛虫這ふ親父が父になりし齢横山雑煮
ひとりでは死ぬのは嫌や毛虫焼く横山ひろこ
嫌なことは山ほどあるわ毛虫焼く吉田蝸牛
毛虫這ふ月に小さきニキビ跡葦たかし
肩越しに実物大の毛虫かな吉成小骨
火の中に毛を逆だつる毛虫かな余田酒梨
毛虫来るライターの火を近付けて米山カローリング
熊並に毛を揺さぶりて毛虫這ふよみちとせ
行く先を食べ尽くしてる毛虫かならいかの星
捕われし毛虫蠢く紙袋楽和音
星一つ毛虫は人を嫌わない楽花生
毛虫焼く「心頭を、、、」とか聞こえし気すもらん丸
菜葉服の語り部ぽつぽつ毛虫焼く理佳おさらぎ
安酒に酔って帰れば夜の毛虫柳絮
千本松原に万の毛虫かな竜退治の騎士
毛虫取る柔らきまま田に捨つる良俗倭人
毛虫終ふ憎愛反る日の来たりるう
波打つ葉毛虫ゆっくり選り好み麗詩
毛虫ゆく僕は踵の減った靴連雀
毛虫万毛虫億とて星は降るロジック・ファットフィールド
葉の裏に縦横詰まる毛虫かな和澄永
予算オーバーで貴方は毛虫です渡辺香野
毛虫焼く煙一本まっすぐに渡邉わかな
毛虫這ふ神の居らざる山もあり亘航希
毛虫這ふ鬱の文字浮く診断書和脩志
割り箸で抓めば毛虫ちぎれさう笑笑うさぎ
マニュキアの色鮮やかに毛虫とるわをんはな
毛虫焼く大歓声のコート裏ただ地蔵
踏みつぶす毛虫に朝の靴重し平井由里子
毛虫より腸をひっぱりだす遊びほしの有紀
たましひの五分ある毛虫かくれけり渥美こぶこ
毛虫にも五分の魂やどるらむ明日葉
命懸け道路横断する毛虫愛燦燦
命懸け毛虫横切るアスファルト櫻井弘子
命懸け渡る一尺毛虫果つ天童光宏
割り箸で摘む毛虫の極彩色雨李
割り箸で挟む毛虫はぶりんぶりん内田ゆの
割り箸で散らす毛虫の子や哀れ恋瀬川三緒
割り箸で毛虫摘んだ幼き日越乃杏
割り箸に毛虫を挟み子等真顔夏目坦
割り箸でつまむ毛虫や五六匹三田忠彦
毛虫取り僅かに震う火箸かな松和幸太郎
菜箸の先も震える毛虫這う宇野翔月
嫌われて歩み止めたる毛虫かな奥寺窈子
嫌われて後空を舞う毛虫かなharu.k
嫌はるる毛虫に咎はなきものを平井千恵子
嫌はれているのも知らず這ふ毛虫momo
毛虫なう嫌われてもな生きるんやあいあい亭みけ子
字の如く毛嫌いされる毛虫なり良柚
おるやおる嫌はれものの毛虫どち杉浦あきけん
毛虫てふ嫌われ者の艶姿にえ茉莉花
アスファルト毛虫急げや車来る石井弥生
轢かれるよアスファルト這う黒毛虫いちご一会
葉の裏は毛虫一家の秘密基地きべし
葉の裏は秘密基地なり毛虫棲むれんげChan
少年ら毛虫の仲間モスラの子哲山(山田哲也)
のそりのそ毛虫はモスラの子供かイナホセドリ
毛虫居てわれを遊ぶや酒二合相生三楽
生娘の帯解くように毛虫落つ空地ヶ有
母作る健康野菜にほら毛虫上野眞理
毛虫だと笑う少年目がひかる大野美波
毛虫着く優しい男思い出す大道真波
葉隠れの毛虫も忍ぶ荒天や樂山詩恩
這う毛虫この先の壁どう越ゆるかなこと舞い結び
白髪増え父そっくりに吾も毛虫四王司
道這う毛虫踏めず吾も儚きや白井佐登志
爺坊主見ん事清しと毛虫避け智同美月
蠢く毛虫これが目だと子に教わるねもふぃらねここ
樹蠢くごと千の毛虫蠢くアーモンドよーせい
真ん中を毛虫一列屋移りす相沢薫
通り抜け無用とふ毛虫の小径逢來応來
葉裏に毛虫や遣り過す雨しとどあ。うん
救急車など呼んでくれるな毛虫這ふ青居舞
くらしぶりひよこの箱の毛虫哉青空まる
道草や毛虫捕らへて友追ひし赤岩量子
這ふ毛虫せえので投げる石の音赤尾てるぐ
歓声のフェスタ毛虫の無表情あかねペン銀
洗濯ばさみにまさか毛虫の捕まれてあが野みなも
毛虫とて早朝歩く散歩道あかり
婚活のテーマパークの毛虫這ふ愛柑いつき組note俳句部
うねうねと歩んでいこう毛虫なり空き家ままごと
何の罪負ひて業火の毛虫かな明智明秀
何者になるのだろうか吾と毛虫淺井翠
喰う毛虫鳥に喰われるまでは喰う朝雲列
お洒落して舞踏会行く毛虫かな朝ごはん
目の隅に違和感ありて毛虫かな朝雲雀十五
嫌毛虫朝陽の中では神々しい亜紗舞那
菜つ葉ごと毛虫黙つて葬りて浅紫泉
毛虫差し妻呼ぶ夫は六尺余あじさい卓
葉を繰れば毛虫蠢くじんじろげあすなろの邦
毛虫の子七変化して羽化光る明日に翔ぶ会
墓地の道黒い毛虫の埋め尽くす麻生恵澄
葉の裏に潜む毛虫や雨近し愛宕平九郎
若さゆえ毛虫尖って飾りたてあたなごっち
水滴を纏ひて這へる毛虫かなアツシ
なあ毛虫毛深いだけでのけもんかat花結い
雨宿り追い抜いて行く毛虫かな天鳥そら
コスプレの舞妓に忍び寄る毛虫雨乙女
バス待ちの傘にぽとりと毛虫かな雨霧彦(木ノ芽)
毛虫這うデマに食いつく人の数あらい
雨宿り木々からぶらり降る毛虫新井ゆう
毛虫ゆく鉄板と化したアスファルト荒木響
参道を急ぎし毛虫一願か荒木ゆうな
毛虫降るレジャーシートにお弁当有田みかん
お毛虫さんと呼ばれぬお毛虫さん有馬マリア
毛虫ゐる木陰と知りつ長居して有本としを
舗装路そこのけそこのけ毛虫行く杏っ子
棒でつんつん先の先草毛虫池田悦子
喰い残しし葉脈透ける毛虫かな池田桐人
老木へのたりのたりと毛虫かな池谷萩邨
毛虫居て次のページを読めなくて伊澤ゆき抄
糸吐きて垂れる毛虫に遭遇す石塚彩楓武器
歩道行く黒き毛虫の速きこと石塚紗楓
かくれんぼ古木の毛虫じっと耐え石の上にもケロリン
毛虫付くおニューのヒール四センチ石原しょう
殺せねば毛虫を箒にて払ふ石原花野
毛虫焼く命の音やちりちりと一井かおり
焼き討ちのわけわからずに毛虫落つ一秋子
毛虫這い配列ばらけ登校班伊藤薫
黒と黄の太き毛虫を跨ぎけり伊藤順女
黒毛虫皆遠ざけて通る道伊藤節子
毛虫ゐて焼くと云ふ父やめてと子伊藤なお
毛虫駆除母は蝶だと叫び逝く伊藤れいこ
小川には小径のありて毛虫ゆく糸川ラッコ
耳元で不穏なざわつき毛虫かな伊那寛太
黒毛虫行き先は何処ごにょごにょといまいみどり
毛虫トルネードはらってもはらっても今乃武椪
ペンションの窓にひっつく毛虫かな岩佐りこ
お蚕様の高貴さも無く毛虫かな上原まり
ベビーカー怯む帰りは毛虫群うた歌妙
ゆらゆらりブランコ毛虫に絶叫が蝦夷の珪化木
毛虫らも生まれ出づゆえ生きてゐる江戸きり子
モコモコの毛虫突かれ潰されてえのき絵巻
畑作や毛虫とおけら無農薬えのき筆丸
うねうねと変わる紋様でも毛虫榎本奈
今年また垣根越え居る毛虫かな榎本雅
花咲かず毛虫ゾロゾロ今年もかえみくれ
ざわざわと鳥肌立ちて毛虫焼く円美々
落っこちてでんぐり返りの毛虫かな大内とら
逆上がりして葉の裏に毛虫みる大久保加州
前世に何しでかしし毛虫かな大越マーガレット
黒毛虫ビロードに似て輝きぬ。大阪駿馬
木陰選る乳母車待つ毛虫かなおおさわ酔歩
痛いから触れないでと毛虫祈り大澤道史
毛虫囲む子らの背中に木漏れ日大滝茂生
そよそよと道幅狭く毛虫かな大舘さと
枝先の毛虫突き出しガキ大将大塚恵美子
厭はれて宙舞ふ夢を見る毛虫おおにしまこと
わーい毛虫枝に絡めりゃヒーローだおおばあば美智子
後ずさり嫌いは嫌い毛虫かな大原妃
通学路老樹とともに消ゆ毛虫大原雪
下駄に染む肝の緑よ毛虫踏む大矢香津
厳かに神社回廊毛虫這ふ岡井稀音
毛虫焼くおみくじ吉と引いた日よおかえさき
時ならぬコート着こなし毛虫哉岡崎佐々紅
世の中は食むこと以外ない毛虫岡崎未知
毛を立ててもぞもぞ急ぐ大毛虫岡田いっかん
アスファルトの真ん中を這ふ毛虫踏む岡田瑛琳
何食わぬ顔で庭師は毛虫焼き岡田恵美子
前足で転がす毛虫庭の隅岡村宗太郎
おお毛虫誰か割り箸持って来て岡本
じゃじゃ馬の木登り上手毛虫刺す岡本一花
実のなる木実の分毛虫味旨しかな丘るみこ
毒針毛離さづ羽化へ毛虫心沖乃しろくも
毛虫這うベンチここなら空いてるよ小田毬藻
毛虫ゐて掴むクラスの勇者なりおつき澳吉
毛虫にも服を脱ぎたい時があるお寺なでしこ
毛虫悲惨蟻が群がる茹だる庭小野ぼけろうじん
毛虫踏む母無表情庭の陣海堂一花
毛虫焼く赤きマニキュア影長し甲斐ももみ
参道の燈籠の苔毛むし居り案山子<いつき組広ブロ俳句部
進化論君にはあるのか毛虫問ふ風音
毛虫這ふ天神さんの膝の上風花美絵
待ち合わせまだ来ぬ席にまた毛虫鹿嶌純子
まぶたうら父と毛虫のけなしあい鹿嶌勇介
ビル群を見上げて毛虫蠢ひて梶原菫
脚の数見てもわからぬ毛虫の毛風かおる
枝の橋叩きて落ちる毛虫かな風乃絣
来て来てと毛虫見つけし妻の声片岡明
猫の坐す賽銭箱へ大毛虫加田紗智
毛虫らが渡りゆく真昼の鋪道帷子砂舟
手の甲に走る痛みに知る毛虫花鳥風猫
悪戯な毛虫の狙う肩の先桂葉子
葉に隠れ毛虫の威嚇赤き角加藤水玉
お局は潰す新人も毛虫も加藤栗庵
昼下がり毛虫も必死我は尚金澤孝子
黄昏れや頭振り振り毛虫往く金子陽
白壁の家は灰色毛虫這ふ金子泰山
道渡る全速力の毛虫かな花星壱和
蹴躓く毛虫や道に這ひ進む神島六男
相容れぬ毛虫焼くひと焼けぬひと紙谷杳子
待つがよし毛虫の鎧脱ぐ時よ亀岡恵夢
毛虫着る鎧のごとく長き毛よ亀くみ
大毛虫ぼくのせいではないと泣く亀子てん
葉の裏の十数匹の毛虫かな亀田ミノル
変身を約束されている毛虫亀山逸子
赤筋の毛虫は無毒みくにぐさかもね
登校の行く手遮る毛虫かな鴨の里
下駄の先欠けて毛虫の横たわるかもめ
ハンドルを毛虫追い越しまた毛虫加山シンゴ
ピンセット毛虫を前に息をのみ我ゆまる
太き糞落として葉裏に毛虫おり加裕子
路渡る毛虫の行き先終の宿カラハ
毛虫這う刺すは世か余か覚悟せり川越茶瓶
色白の美容男子の毛虫駆除河孝
蝶も蛾も見かけぬ今は毛虫のみ川原秀星
画家の眼に神のデザイン毛虫かなカワムラ一重
息止めてつつく毛虫やにらめっこ岸壁の龍崎爺
毛虫とて命は等し逃げ芝居がんも三世
バリバリと食べてモコモコ毛虫かな菊池克己
毛虫這う毒蛾になるを知るらむや菊地義明
山道で一息袖口に毛虫おり希子
ピカッゴロ葉陰の毛虫微動だに如月ゆう
毛虫ども丸石神の顔を這う季紫子
毛虫這ふ石段古き寺の昼岸友之
針を立て高貴に佇む毛虫かな義想
毛虫踏む何の恨みもないけれど喜多丘一路
葉脈を綺麗になぞる毛虫かな北川茜月
物怖じず道の真ん中ゆく毛虫北田ひまり
将来の姿夢見て毛虫這う北乃大地
隣家より這い来る毛虫もさもさと北の星
毛虫這う羽化を待ちたり煙草断つ北美三風
毛も毒も持たずに正気かと毛虫貴田雄介
毛虫も我もとどのつまりは塵となる木下風民
胸の辺りちくりと痛む毛虫かな木下美樹枝
毛虫一匹その節ごとに違ふ意志木ぼこやしき
毛虫界唯一の星ケムンパス君塚美蕉
天をつく孫の悲鳴や毛虫焼く木村かわせみ
毛虫に課す葉を食べること死なぬこと木村となえーる
溶けそうなアスファルトを行く毛虫かなきむらもんぺ
『温暖化ストップ!』掲ぐ毛虫かな旧人をーるど
小さきゆえ毛の猛々し毛虫の子九ゼットン
振られた日校舎の裏で焼く毛虫きゅうもんde木の芽
毛虫這う生きると決めて我も這う清鱒
毛虫踏む未だ既往の恨みあり清満
平常心毛虫の二文字で取り乱す喜楽胤
君が眉胸毛も濃しや毛虫這う銀のグランマ
生花の枝を落とせば毛虫落つくぅ
傲慢のひと集まりて毛虫かな鯨道辿
祖母曰く花は良いけど毛虫はね楠田草堂
パンプスの5cm先を行く毛虫くつのした子
羽夢見もこもこ進む毛虫かなくにっち
生き延びる毒を身に負う毛虫かなくにとうりん
糸吐きて空より垂るる毛虫青國本秀山
子供等に取り囲まれし毛虫かな國吉敦子
南米のリズムさえ聞こゆ毛虫かな櫟こかりな
ホーム入るのぞみと並ぶ毛虫かな窪田和子
毛虫這う子らの嬌声聞こえしや久保善秋
青赤黄美し毛虫でさえなければクラウド坂の上
毛虫かな吾子が好き素手で捕まえぐりぐら京子
手作りの鎧あっぱれ毛虫ゆく栗田芳文
飛ぶこともなく焼かれたる毛虫かな愚老
毛虫めとばばの口癖覚えたり黒瀬三保緑
飛ぶまでは藻掻いて生きよ毛虫かなくろだ@しろい
洗いシャツ姿なき毛虫の攻撃桑田栞
毛虫の毛全て並べて繋ぐ未来桑原志宇
じっとせぬ子をしゃがませる毛虫かな月下檸檬
偏西風蛇行毛虫よ抜かりなくケビンコス
大ぶりの柿の葉裏の毛虫達紫雲英
ルッキズムむさ苦しくても毛虫なり紅結
若造と侮る毛虫華の香が河国老保忠
かわいいと言うに言われぬ毛虫かな柑たちばな
毛虫這う休みやすみに笑ふ母幸田梓弓
いざ毛虫鎧モコモコ身を守る小梅本野花
仕置人みたき顔して毛虫焼く宏楽
毛虫這う悍ましくまた美しく郷りん
毛虫一匹横断の田舎道ごーくん
怪しげな電話の応答毛虫這う小木曽暁春
爪先に葉の落ちるごと毛虫落つこきん
花束に毛虫の這いていたりけり国領柩
放課後の花壇毛虫に調子聞く苔間きい
烈日の幼葉を尽くす毛虫かな腰高豊
「早春賦」の歌碑へ塗り込む毛虫の香越村和行
毛虫這う森林のミニの掃除車胡秋興
階段を上らず毛虫端のほう小園夢子
毛虫の子お主誰の子怪し色古知野朝子
来世こそ絹を纏はん毛虫這ふ五島潮
木漏れ日のオープンカーに毛虫降る後藤葉羽
駆逐せよ毛虫公然と記載され小箱守
毛虫焼き馳せる思いは去りし夫小林頌子
空中の毛虫を躱し自転車漕ぐ小林のりこ
あっ毛虫こっちに来るなあっち行け小林弥生
ひたすらに横切る階の毛虫小春花
この星に私と毛虫共にゐる独楽
毛虫の千姿万態生きる標小巻淑乃
山頂の空這ふごとき毛虫かな小山晃
見破りを許さぬ毛虫あたま振る小山秀行
カップルの間にポトリ毛虫かな碁練者
毛虫いるアナフィラキシーは大丈夫コロンのママ
ぷっくらと毛虫芝生に同化せし紺雪ぬくし
襟に這う毛虫首まであと五ミリサイコロピエロ
散歩道ふにゅっと踏んだあゝ毛虫齋藤鉄模写
毛虫行く道踏むまいぞ踏むまいぞ酒井春棋
苦や死無下にせし意志背に毛虫焼く坂島魁文
よく見れば毛虫も可愛い詫び住まい坂田雪華
近道の空から肩へ大毛虫坂野ひでこ
毛虫這う第九の譜読み二ページ目坂まきか
爛漫の花から糸引く毛虫かな坂本千代子
もそもその毛虫戯る引きずらる相良まさと
涙君さよなら毛虫君おはよ咲くひなげし
這う速し「よいしょよいしょ」と毛虫言ふらむ咲まこ
毛虫からレースのごとく葉が喰われさざんか
毛虫見て上げた悲鳴に110番薩摩じったくい
変身を子らに見せたく毛虫飼ふ佐藤公
とっさに毛虫踏みつぶす若き僧佐藤俊
毛虫見つしかめた眉の毛虫ごと佐藤佳子
ぬたり這い葉を食い尽くし毛虫消え里こごみ
毛虫見て食欲落ちる茶屋の前真田の若奈
トランクを引く一瞬に毛虫落ち沙羅双樹サリー
毛虫這う己の責を直視せん佐柳里咲
糞五つ葉裏に毛虫忍びおり沢山葵
飼い犬に似たる毛虫の焦茶色三角山子
初孫の名前決まりし毛虫踏む山月
校庭や毛虫に話す子へ礫珊瑚霧
毛虫など見向きもせずのがき大将塩沢桂子
厄災をすべて背負わせ毛虫焼く塩の司厨長
毛虫居った散歩学童賑々しじきばのミヨシ
洗車機の飛沫のさきに毛虫一匹しげ
落水の速き泳ぎの毛虫かなじつみのかた
桑の下波の各々這う毛虫糸野句丹
火をかざし毛虫退治の母強し篠雪
葉はぬくみ葉裏の毛虫生まれ出る島掛きりの
吾子感嘆自ら綴る毛虫の記島桜
あゝまたも甘やかな葉を毛虫めが島田あんず
じゃくじゃくと笹食らう毛虫の太し霜月詩扇
槍軍団野良に攻入る毛虫の背柊二@冨美夛
自己主張ばかりの我のごと毛虫駿
芋虫の不精の果てに毛虫なり淳風子
医師とルーペとピンセット毛虫の毛じょいふるとしちゃん
動かぬ毒毛虫すくみ動かぬ手焼菓おやじ
毛虫出る恙無いことを願う朝正見
食い尽くす防風林の毛虫かな白井百合子
存続を賭けて蠢く毛虫かな四郎高綱
悪食のヒトに焼かるる毛虫かな白よだか
何万の毛を集めては毛虫毛虫森牧亭遊好
半歩退き覗き込みゐる毛虫かな深幽
花散りし枝や毛虫に苦情の嵐翠永風彩
殺虫剤せめて毛虫の鳴くのなら末広野暢一
毛虫焼く煉獄の火や伴天連碑杉岡ライカ
悠然とわたる毛虫や門掃けば杉尾芭蕉
金に黒の毛虫標識を這ふ杉本果ら
鶏のつっ突く毛虫くねくねとすずきじゅん
木の葉残らず集めて重ね毛虫踏む清白真冬
毛虫にも急ぐ用あり枝をゆくすず耀子
垂れ毛虫リュックに落ちて移動かな数哩
松毛虫柔き子の腹直撃し隅のボレロ
ばちあたり小便かけて這う毛虫星夢光風
毛虫乗る柑橘の葉を風まかせ駄詩
黒き粒見つけ今年も毛虫の乱たあた
薪いっぱい並べた毛虫おっきかったたーとるQ
恋敵テニスコートの木に毛虫大ちはる
せめてもの片手拝みで焼く毛虫たいらんど風人
絡む湿気の朝毛虫は葉をはむ高上ちやこ
葉々葉々にうじゃうじゃうじゃと毛虫たち高杉光水
毛虫みち忍者のごとく抜き足で高瀬小唄
葉縁の形残して喰む毛虫小鳥遊こはく
足元に毛虫早くて我逃げて高橋紀代子
毛虫刺す剪定の手にしびれ痛高橋こう
柔道着毛虫の群の縞模様高橋基
毛虫降る子が声上げてしがみつき高旗三紀子
水たまり落ちて毛虫のぞわぞわと田上コウ
毛虫喰む葉音楽しむ吾屈む高見沢実雪
ゆきゆきて毛虫の列や常陸武者宝毛
切株が舞台ぞ毛虫のマスゲーム沢庵柚餅子
貫禄のゆつくり動く大毛虫タケザワサトシ
薔薇の葉を食い荒らされて毛虫焼く武部博臣
欠席の連絡早し嗚呼毛虫たけろー
何処へと今日もせっせと毛虫かな田毎信月
ミステリの表紙の裏を這う毛虫多胡蘆秋
灼熱の道を毛虫の早いこと太之方もり子
羽化の日を待って天女の毛虫かな多田知代子
毛虫群れ切り絵のごとき葉っぱ揺れただの山登家
艶やかな毛虫眺めるだけの時立花かおる
疎まるる毛虫ひつそり前へゆく立花やえ
静けさを奪ひし毛虫是非もなし立田渓
毛虫けむし殺さぬ選択は愛か立田鯊夢
毛虫は毛虫のみち吾には吾のみち田中紺青
吾を盾に毛虫と対峙小二女子たなか里
がむしゃらに土塀旅する毛虫かな田中美蟲角
腹みせる観察瓶の毛虫かな田中みどり
毒々しコートの毛虫ランウェイへ谷相
毛虫ゐてペルシャ絨毯めく毛並み谷さとおり
性格は八百屋お七か毛虫焼く谷町百合乃
木の下で波うち動く毛虫かなたぬちゃん
身を守る毛虫に吾子を重ねたり旅がらす
葉の裏にひしめく毛虫総毛立つたべい白芙蓉
句碑に這ひ寄らむ毛虫に湧く殺意田村利平
裏庭は毛虫通りに毛虫街千鳥城、広ブロ俳句部カナダ支部
大道を毛虫悠々横切りて茅野ともぞう
毛虫舞ふ糸一本に命かけ茶倉
目だけ出し毛虫に挑む庭仕事千夜美笑夢
大地震のニュースざわめく毛虫かなつえりん
友達になれぬ寂しさ毛虫かな塚本隆二
踏まれても足掻く毛虫の緑の血月影織音
国宝の仏像の手を毛虫這ふ月城龍二
退治まえ祖母のおもかげ毛虫の佇月ノイス
アト秒で視認距離取る毛虫這う月見里ふく
ベランダの毛虫茹るや影はなし月見人
毛虫見ゆ太極拳の指の先辻瑛炎
糸引きて木陰に遊ぶ毛虫かな辻美佐夫
静止画の街を揺るがす毛虫かな辻本四季鳥
青ざめる青菜に潜む青毛虫辻栄春
毛虫かな我が食食いて太りたりつついぐれちゃん
毛蟲湧きひとまず家に籠りけり都築減斎
単色の毛虫はまだね斑らはね綱川羽音
いつか飛べドジャース帽を這う毛虫椿泰文
捕食され毛虫変態してもなお津幡GEE
にわか雨葉裏に隠る毛虫かなつぶ金
道端を優雅に歩む毛虫かな手嶋錦流
多様性最後の砦毒毛虫手嶋子犬
縞毛虫半刻(はんとき)這ひて三尺越ゆ手島こみち
ひたぶるに這へど疎まる毛虫かな哲庵
キミドリの内臓ごらんと毛虫かな徹光よし季
理不尽と華美な鎧を脱ぐ毛虫テニス猫
毛虫の毛触りたい子と止める母てん子
毛虫のみ弟あねに勝ちてをり天王谷一
顔色も変へず毛虫を焼く妻よ土井あくび
この葉しか食べぬ毛虫の戻り来る灯夏
どうやって掃おうか墓石の毛虫冬野志奈
弁へぬ毛虫や居間を窺へり遠峰熊野
毛虫にも焦りはあると夫の言ふDr.でぶ
毛の動き三拍子なり毛虫這ふどくだみ茶
葉の先を何を求める毛虫かなとくねん
並木道肩に毛虫のぶんぶらりどこにでもいる田中
麻痺足にたたら踏ませし毛虫かなどすこい早川
ドアノブに毛虫垂れただ立ち尽くす杼けいこ
毛虫這う万の足音消して今戸根由紀
侮れぬ決戦覚悟毛虫焼く富永武司
虫食ひの葉には毛虫はもうゐない豊岡重翁
るんるんと葉っぱめくれば毛虫這うとんぶりっこ
こんなにも美しき毛虫よ生れ変り内藤由子
タイルアート這ひゆく毛虫人の波長岡美衣珠
足元に毛虫を見つけ静寂路中澤孝雄
猫を抱く空き懐や毛虫やく長嶋佐渡
女学生叫ぶ背中に毛虫かな中島葉月
前世は罪人だろう毛虫かな中嶋緑庵
剥き出しのモニュメント這う毛虫かな永田千春
転生は花になれよと毛虫焼く中藤雅子
外灯に浮かぶ毛虫のわさわさと中西千尋
我もまた身悶へて焼く毛虫かな仲操
主逝く松に宿りし毛虫かな中村あつこ
人の育ちに重ね毛虫をや嗚呼中村宏一
トツツツツ毛虫に仕向けツツツツと中村こゆき
毛虫這うそのずっと先の平ら雲なかむら凧人
毛虫知る明日翔ぶ空や鏡池汀夏子
ラケットのカバーの毛虫今日昨日凪ゆみこ
やれ毛虫信じ難きぞ風の舞那須乃静月
ランウェイのように小枝をゆく毛虫夏草はむ
あらかたを喰い尽くしたる毛虫一族夏椿咲く
園バスの吾子の手みやげ毛虫なり名取秀
美しき毛虫チャットに問ひてみるななかまど
ふさふさもモヒカンもゐて毛虫かななびい
吾が通る棚田の畦に毛虫かな奈保
人を待つ間に大きな毛虫かな生天目テツ子
葉陰より碧空見上げ毛虫かな奈良華咲
神社裏落ちし毛虫の蠢ける南全星びぼ
何の罰か毛虫落ちたる腕灼けてにいやのる
道を這ふ口髭のごと黒毛虫西尾照常
大相撲決定戦や毛虫焼く西川千波
人試す化身のごと毛虫かな西園撫子
巣篭もりの毛虫柿の葉は網目に西野和香
歩みは遅々として毛虫みつめけり西原氷彩
閉じる日の遠き水門毛虫這う二重格子
好きな子の前につき出す毛虫かな入道まりこ
固唾のみ毛虫見つめる子見つめる283
ゆつくりと葉裏へ消ゆる毛虫かな丹羽凉女
毛虫這う羽化の青空夢の舞い丹羽正明
かわいいとかわいくないがいる毛虫猫塚れおん
小さくとも鋭い毛立つ毛虫かな猫辻みいにゃん
五センチの毛虫の時速トトロ坂猫またぎ早弓
つんつんと毒づく毛虫思春期か猫屋たま猫
ポタポタと軒から毛虫の音の候ねね丸ねね子
制止する猫の目の先緑の毛虫釛子ふたみ
たてがみをゆすりて毛虫怖れなし農鳥岳夫
水琴の音に乗り毛虫ぶうらぶらののクラブ
ゴマの木の葉裏に団子毛虫焼く野原一草
いそいそと毛虫め道を渡りおり野原蛍草
毛虫だつてきつと好かれたきうごき昇椿
葉隠や陰より陰へ征く毛虫のほほん政子
雨上がり雨粒背負う大毛虫則本久江
ふてぶてし靴先登る毛虫かな白山おこ女
むせかえる地を這う毛虫に陰つくり波止浜てる
火バサミで毛虫蠢く生きたいと橋本有太津
毛虫這うくの字くの字で竿の端橋本諒駿
すべり台葉っぱでそっと毛虫取る馬笑
仁も義も知るか毛虫として生きる蓮井理久
毛虫行く満艦飾の船のごと羽住博之
毛虫焼く祖父の背に這う毛虫かな蓮見玲
毛虫焼く聞こえた彼の断末魔ぱせり
毛虫這う二度もスプレーされながら初野文子
七変化けむしの色のたくましさ英凡水
葉の裏の秘密知りたる毛虫かなはままこみかん
毛虫ゆく悠々な路足三対原口竹九
熟睡の吾の足を這う毛虫かな原島ちび助
毛虫横断天敵は朝練の列原田民久
捕へたる毛虫流しぬ音もなしはるの風花
カンダタの毛虫となりて娑婆戻るHNKAGA
妖艶な蛾になる不気味毛虫這うひーちゃんw
避難所の床這う毛虫ただ見つめ樋口ひろみ
枝先に毛虫を付けて見せに来るピコリス
蝶の化身ビオラに眠る毛虫たち久月翠
墓石の父に殉ずる毛虫かな一石劣
どうしても其処が良いのか毛虫ばら日向こるり
けなげにも道渡りをる毛虫かな鄙び梅乃香
夫の目は般若の如し毛虫焼くヒマラヤ杉
きゅうきゅうと悲鳴をあげる毛虫焼くヒマラヤで平謝り
雨露に逆らう毛先水毛虫ひまわりと蒼い月
毛虫ゆく一枚の葉を舟にしてひめりんご
毛虫だとごりごり潰す極悪人飛来英
葉の毛虫割りばし伸ばす朝畑平岡野木路
枝の先どうしたものかと毛虫立つ平野純平
風が舞い葉にしがみつく毛虫あり平松一
産土の濃尾平野を跳ぶ毛虫浩子赤城おろし
碧き針とび散る熱さ毛虫刺す廣田惣太郎
水滴の鎧しゃらりん毛虫練り広野光
大毛虫おぞましたくましうつくし広ブロ俳句部三日余子
名は体をてづかおさむし大毛虫ー呂ひ
ひと休み見上げし枝に毛虫の巣ファーンのカギしっぽ
毛虫だけじつと見つめる博士かなフージー
鳥肌を立てて見ぬふり毛虫這うFUFU
公園の巨木倒れて毛虫ごと風蘭草和
刺さざれば侵さぬものをああ毛虫福井桔梗
蝶になれ醜いアヒルの子の毛虫福川敏機
毛虫びっしり水責めの刑に処すふくじん
薬撒く枝葉の裏の黒毛虫福弓
毛虫をり女三人ただ騒ぐ藤井眞みこ
豆樫の幹に繋がる毛虫かな藤丘ひな子
玄関の毛虫つつかずつまみ置く藤澤澄
洗濯物毛虫付きたるはよ逃げて藤本だいふく
毛虫こそ田舎に住めない理由なり不二家バニラ
親を選べず毛虫の子に生まれて藤原訓子
動けるか憎き毛虫はメタボなり古川しげ子
毛虫喰いたる葉の人模様に笑む古澤久良
うじょうじょと毛虫うごめく葉裏かな古谷芳明
孫の手に毛虫ばぁばへプレゼントべびぽん
枝ばかり残し朝日の毛虫かな芳醇
ジャンヌのごと火刑に処さる毛虫かな房総とらママ
葉の裏にのたりのたりと毛虫かな暮戯
毛虫脱ぐ皮に毛虫の毛脱ぐ皮黒子
剪定の手とめるうじやうじやと毛虫星雅綺羅璃
毛虫鳴くそんなに俺が悪いのかほしぞらアルデバラン
葉に毛虫母は乙女の反応す星乃瞳
眠れないお前のせいだおい毛虫ほたる純子
模試終えて毛虫の毛揺る宵の風ポップアップ
一歩ずつ生きてひとすじ毛虫這うほのちゃん
乙女ならば毛虫は蝶に転じるかと本間美知子
毛虫乗せ毒は無いよと差し出す手凡狸子
手の甲に這わせる毛虫の可憐な目中山典夫
桃の木の毛虫団子や二股に槇まこと
いつきちゃんまって背中に毛虫やん正岡央
赤や黄の毛虫をやをら外へ出すまさかわそう
消しきれぬ気配のままに這う毛虫増山銀桜
毛虫這う飛び退く子犬草光る松岡才二
嫋やかなひとの毛虫を踏み潰す松岡玲子
泣き声の孫の腕這う大毛虫松尾老圃
葉脈となりし街路樹毛虫肥ゆ松平武史
毛虫焼く形だけでも手を合し松田寛生
憂き事に身をまかせんか見る毛虫松本牧子
ふる毛虫ぞくつとはらふ夢の闇豆太
毛虫這う水枕鳴り眼を閉ぢるまやみこ恭
毛虫吐く白糸いつか繭になり真理庵
庭手入れ毛虫触りて運悪しまりい木ノ芽
毛虫もふもふ婚活パーティーは今夜まるにの子
そぞろぞろ葉裏にひそむ毛虫かな圓山みかん
命継ぐ毒針まとふ毛虫かなまるり
理想派転じて現実派毛虫這う三池のり子
グラフィティアートたとへば毛虫の背帝菜
句碑の蔭毛虫お前も愛づるかな神酒猫
壁ドンで落ちぬ恋とも毛虫ともみことかにょん
道渡る毛虫にエールもう少し三茶F
子を追うや砂場の毛虫踏み潰し岬ぷるうと
躊躇ふも足は毛虫を踏みつぶす三崎扁舟
毛虫立つピラティスのポーズ誓言美翠
いのちなど言ひてをられず毛虫焼く水巻リカ
虫愛づる姫か毛虫の前世は三高姫
朝礼の木陰や糸を垂れ毛虫美津うつわ
毛虫よや何の因果でその姿光月野うさぎ
毛虫食み葉脈残す旅路かなミナガワトモヒロ
裏返す葉にはびっしり毛虫かな湊かずゆき
毛虫焼く派遣への自己中発言みはやななか
目指すのはブラックホール毛虫這うみみみ
堂々と毛虫の兄弟渡りけり深森佳鶴
早起きも牛乳箱に毛虫這ひ見屋桜花
天敵の我を横目に毛虫ゆくみやかわけい子
毛虫ゆくつつかれつつもなおもゆく宮城海月
滑り台毛虫に取られ皆帰る美山つぐみ
葉の裏にびっしり並ぶ毛虫は最強宮村寿摩子
毛虫ギャー吾子は花よと飼い始むむじか
バイク道一面の毛虫踏み進むムシ・ミカミ
毛虫焼く動画炎上ジェルネイル睦月くらげ
毛虫這う眉毛ピクリと吊り上がりむねあかどり
嘴に囚われもがく毛虫かな村井もこり
うっかりと踏まず良かった毛虫かな村先ときの介
毛虫見て我が身戒む夕の道むらた典珠
学童の先生毛虫怖がれり恵のママ
ボンネットには気の向くままの毛虫なり望月ゆう
瓜二つ毛虫並べて情のわく森重聲
毛虫いて孫逃げ回る公園で森嶋師子吼
朝朗け食む音聞かす毛虫かな森田祥子
スリッパに先客ジジジ毛虫かな森野恵
憎き彼奴のひとりやふたり毛虫焼く森葉豆
ぶら下がる毛虫目の前たじろぐ吾森茉那
木の間より揺れる毛虫よ蛾か蝶か森本千白
毛先まで愛の詰まっている毛虫もりやま博士
雨上がり透けた葉裏に毛虫いる諸岡萌黄
ケムンパスケムンパスらら毛虫往く弥栄弐庫
迷いなく這いたる毛虫潰さるる矢澤かなえ
緑濃き光射す先毛虫かな矢澤瞳杏
豆の葉の透かし模様に毛虫かな安永彩女
ケ、毛虫ッとじゃくった泣き虫職終えし安元進太郎
からだじゅう武装し毛虫どこへゆく痩女
挿げ替へた鼻緒で惑ふ毛虫かな柳とうふ
ふくらはぎチクチク制服の裾に毛虫八幡風花
アスファルトもそもそもそと毛虫行く山内文野
木漏れ日の肩に毛虫の異国人山尾政弘
あの日から後先思ひて毛虫かな山川充
盆栽の毛虫の睨むピンセット山口笑骨
校庭の木陰で写生毛虫降る山下智
毛虫落つ跳び退く犬の垂れ尻尾山育ち
翅育つ蛹に溶くる毛虫かな山田季聴
毛虫とぶ地球の大地に不時着す山田啓子
這う毛虫棒で掴んでさようなら山田好々子
這う毛虫今日も待ってるいじめっ子やまだ童子
七匹の毛虫列なし葉を食らふ山野花子
幼き日毛虫に怯えた通学路山野ほたる
並木道いまは毛虫の道となり山本栄子
鳥さつと毛虫を咥へ去りにけり山本栄子
毛虫から遠く離れて観察す山本さった
学期末毛虫と花の持ち帰り山本てまり
毛虫過ぎ背中の震え治まりて山本葉舟
帰路の軽トラ野菜や赤毛虫八幡蝶一
病院に連れていかれる毛虫かな八幡浜うさの
松枯らす毛虫隊列国境友鹿
職人の手元止めたる毛虫玉祐圭節
実家から私に付いて来た毛虫宥光
今生を翔べると知らずまだ毛虫雪鶏
思春期と嫌われ毛虫類似点夢一成
毒針のよろひかぶとや毛虫くる夢野いろは
公道を蠢く毛虫麻雀す陽花天
みづのつぶ散りばめ後光さす毛虫陽光樹
毛虫好きはいる「虫めづる姫君」横田信一
この毛虫どんな峨になる見てみたい横山道男
昼下がり毛虫の足を数え見るよしぎわへい
どこに行く真っ直ぐ進む毛虫たち吉澤多喜男
葉は失せて毛虫よく見ゆ梢かな吉田山茶花
草の葉のタラップゆるり毛虫這う吉田春代
踏まれるぞ毛虫を連れて道の端吉藤愛里子
愛情をおぼゆ毛虫のつつがなしYoshimin空
叫ぶママ子が手を伸ばす毛虫かな吉哉郎
毛虫とて釈迦の糸にすがりたし楽々草
威嚇してるダンダラ毛虫の真正直瑠璃ホコリ
酔いもせず伸び縮みする毛虫なり麗仙
葉に毛虫窓からはご飯よの声わかなけん
先回り先回りして子と毛虫若林くくな
わが肩へいずこより来て毛虫付き海神瑠珂
巣網越し百の毛虫の生命揺れわたなべいびぃ
毛虫焼く手慣れし父の棒の先渡邉花
この頃は見かけぬ毛虫いづこにぞ渡辺陽子
前世は高市早苗てふ毛虫中島走吟
俳題毛虫散歩道歩く蛍の誘導灯儀間ゆみ
着てみたい毛虫コートが干されてた月夜案山子
デマいかにしむける毛虫二回までいたまき芯
南国の毛虫の接吻とどまりぬ風友
- 夏井いつき先生からの一言アドバイス
●俳号には苗字を!
俳号とは、その句が自分のものであることをマーキングする働きもあります。ありがちな名、似たような名での投句が増え、混乱が生じています。せめて、俳号に姓をつけて下さい。
皆で気持ちよく、この広場にて共に学び楽しめますよう、俳号の付け方にご留意ください。
●兼題とは
茜色記憶薄れて夢綿毛大富孝子
梅雨闇に明滅を追ふ視野検査阿修羅
火ばさみで次々と抗せぬ青虫古川しあん
蝶が舞うもしや君あの毛虫さん田中謙三
ホ別2とスーツの毛虫またひとり甘陀
毛虫避けるごとく人に避けられて中村雪之丞
毛虫より苦手なヤツが明日来るさかたちえこ
毛虫より害ある汝の叫び声桂佐ん吉
毛虫にも嫌われそうな彼の顔おじゃる子
あおいかぜあおばひらひらけむしはう川村裕次
羽音しき狩り蜂に噛まるる毛虫白石鈴音
佇めば毛虫の歩く端居かなせいだるま
ビオラにツマグロヒョウモン黒毛虫 微妙ですが京極江月
毛嫌いか舞う蝶見つめ毛虫見る村田真
庭に生く羽ばたく夢や毛虫かな平本文
それはきつと走っているのだね毛虫さむしん
本俳句サイトでは兼題が出題されています。今回は、季語「毛虫」での募集でした。次回の兼題を確認して、再度挑戦して下さい。
「青虫」と「毛虫」は別の季語です。歳時記を引いてみましょう。
これは「毛虫」の句というよりは、「蝶」の句だと考えるべきでしょう。
確かに、「毛虫」という言葉は入っていますが、人物を比喩している句だと考えられます。季語を比喩に使うと、季語としての鮮度は低くなることは覚えておきましょう。
「毛虫」という季語を比較の対象として使っています。俳句においては季語が主役となるべきだと考える立場としては、この「毛虫」の扱いについてはもう一工夫欲しいところです。
●季重なり
一句に複数の季語が入ることを「季重なり」といいます。季重なりはタブーではなく、高度なテクニック。季重なりの秀句名句も存在しますが、手練れのウルトラ技だと思って下さい。まずは「一句一季語」からコツコツ練習していきましょう。「毛虫」以外のどれが季語なのか、歳時記を開いて調べてみるのも勉強です。
●「や」「かな」の併用
一句に、切字を二つ 入れると感動の焦点がブレるということで、嫌われます。どちらか一つにしてみましょう。
●どちらの仮名遣い?
歴史的仮名遣いを選ぶか、現代仮名遣いを選ぶかは、作者の選択です。この句の場合は、「きつと」と促音「っ」が大きく表記されているので、歴史的仮名遣いか(?)と思えば、「走って」は小さな「っ」になっているので現代仮名遣いです。「いる」も現代仮名遣いですね。一句における仮名遣いは、統一する必要があります。


お待たせしました!7月の兼題「毛虫」の結果発表です。今月も夏井先生のアドバイスは必見です。「毛虫」と聞くだけでゾッとしがちですが、投句を拝読すると、うごめいたり焼かれたり食べられたりしているさまに詩情を見出す方が多いようです。『堤中納言物語』の一篇「虫めづる姫君」では、毛虫について「思慮深そうで奥ゆかしく、趣がある」と述べられています。そうかなあ、と思いながら画像検索をして悲鳴を上げました。9月の兼題「秋の灯」もふるってご応募ください。(編集部より)